バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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南極大陸のイベント開始

 

 

南極大陸の防衛イベント開催前日―――。防衛戦である以上、前回のエルフイベントで学んだ経験をここで活かさなくては意味がない。そういった他のギルドメンバーや多くのプレイヤー達は機械の町でトラップ系のアイテムを大量購入しているようだ。あのトラウマに備えてだろうな。

 

次にバフ、デバフアイテム。対モンスター用の備えとしてプレイヤーの間では高く売れたり高騰しているらしい。その二番目に多く買われてるのは回復系ポーションだ。生産職のプレイヤーや嬉しい悲鳴を通り越して忙しいあまりに泣きそうな悲鳴を上げている模様。

 

それらを済ませたら南極行きなのだが、世界の神社は始まりの町にしかないので長蛇の列が途切れない。パーティーで行くならある程度は早く、多くのプレイヤー何千万人の数が現地に着くまで一週間以上は掛かるだろう。

 

 

「えー、その改善としてこれから各エリアの町や里、国にも同じ神社を置くので順番待ちはちゃんと守るように」

 

 

『わったから急いでくれー!!』

 

『俺達も参加したい!』

 

『カムバッーク!!』

 

 

なお、神社の設置は三日前に済ませた。行きは半数も置いたが帰りは二つのみだ。

 

「オルト達。神化したお前達の力を貸してもらうぞ」

 

「任せろ! ご主人のために頑張る!」

 

「私達に頼ってくださいねマスター」

 

「鍛治や修理はオレに任せてくれ!」

 

「フラウも頑張るー!」

 

「ご主人様、期待してね?」

 

「勿論、私達もよ?」

 

「ユグドラシルの樹精として精一杯務めを果たします」

 

「ボクも!」「ワタシも!」

 

「アタシもよ」

 

・・・・・うん。何を言っているのか解るようになったのは嬉しいことなんだけど。やっぱりオルト達のあの声が聞こえなくなって寂しいや。

 

「それじゃあ、今日はたくさんの餅を作りたいと思う。皆も協力してくれー」

 

明日に備え可能な限り作り置きした後は、必要な物を集めたり用意したりしている間に時間は過ぎて―――防衛イベント当日になった。

 

「それじゃあイベントに参加するプレイヤーは集まったなー【蒼龍の聖剣】!」

 

おおおー!!!

 

待ち合わせ場所の南極大陸、無人の教会内に居座る【蒼龍の聖剣】。総勢100名は優に超えている中で従魔が50も超えている。中にはもう既に自分の従魔と合体しているプレイヤーがいるし。

 

「ユイとマイ、イカル。ちょっと質問だ。来てくれ」

 

「「「はい」」」

 

トコトコと歩いてくる三人に質問を投げた。

 

「三人は同じ仲間以外、それこそ知らないプレイヤーと一緒に戦うことって出来るか? 防衛戦だからソロは確実に大変だから、俺みたいなたくさんのスキルと防御力がないと苦労するからよ」

 

「それはちょっと・・・・・」

 

「同じギルドの人とならいいんですけど」

 

「他の人は・・・・・」

 

うーん、やっぱりまだ小さい女の子はそこまでのコミュニケーションはできないか。

 

「ハーデス君。どうしてそんな質問をするの?」

 

「サーバー分けされる可能性があるからだ。だから今の内に聞いておいてパーティーを組んでもらった方がいいだろ」

 

「ああ、それもそうか。じゃあ、ハーデス君が組んであげたら? サイナちゃんしか連れて来ていないんだしさ」

 

イカルがその言葉に目を輝いて俺のパーティーの加入の申請を送って来た。たまには違うプレイヤーと遊ぶ楽しさをしてほしいが、イカルは俺に憧れを抱いているからあんまりしないか。加入の許可を押すと嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

「ユイちゃんとマイちゃんは私と組もうか」

 

「「はい、よろしくお願いします!」」

 

イッチョウは最強の破壊力をゲットした後、サリーとメイプルのところへ向かって行った。

 

「それなら、前回と同じく私とセレーネもお願いしてくれる? ハーデス」

 

聞えていたか、イズがセレーネを連れてきながら加入申請を送って来た。遅れてセレーネも同じ申請のパネルを送ってくるのでYESを押した。

 

「ふふふ、最強の盾とNWO1、2位の鍛冶師が揃ったわね」

 

「不壊のツルハシみたいなのはないと思うけどいいか?」

 

「大丈夫。なかったらなかったで問題ないよ」

 

「そうか。ん-セレーネの射撃力が加わるとなるとアレを使ってもいいかな」

 

アレって? と小首を傾げるセレーネの疑問が解かれないまま運営からのアナウンスが聞こえた。

 

 

『防衛イベント、開始5分前となりました。これから特設フィールドに転送します』

 

 

目の前に参加するかどうかの問いが表示される。俺は迷わずYESを選択した。

 

すると、目の前の景色がウミョウミョと歪み始める。そして、暗転した。驚くこともなく、目の前に広がる景色が変化する。戦闘フィールドではなくて暗い場所で光る円盤の上に俺達は立っていた。周りを見渡せば俺達と同じ光る円盤の上に立っている。

 

『ルールをご説明します。今回の防衛イベントでは500人分けられ各サーバーで防衛する場所は複数ございます。参加するプレイヤーの皆様は複数の場所の防衛に当たり襲撃してくる氷の魔女の軍勢を食い止めるのがイベントの内容です』

 

『防衛する場所には特徴があり、その場所で防衛しますプレイヤーが倒したモンスターの数によって防衛ゲージが増します。また防衛を失敗しますとゲージが1%減少しますが、ゲージが満たされますと防衛の成功として次の防衛する場所へ移動が可能となります。なお、その日の防衛線に出られる回数は5回までです』

 

広々と展開されたパネルに防衛する場所の図。その場所は丘にあったり水上にあったりするが、どれもこれから配置されても直ぐには着けない距離であった。何ならかなり遠い場所だってある。

 

『イベント期間は7日間。イベント中は時間加速されて現実の時間は3時間でございます』

 

『以上を持ちまして説明を終わります。南極大陸の防衛イベント開始いたします』

 

ルールの説明が終わるや否や、目の前が真っ白に染まる光を見た後。俺達は20メートルもある城壁の中に立たされていた。教会で集まっていたギルドメンバーの皆がいない。ランダムで各サーバーに転移させられたようだな。取り敢えずイベントに参加するとしてその後はどうしてくれようか。なんせ・・・・・建物が何一つないから、宿を取ることもできやしない。まぁ、スリップダメージがないからスタミナ管理以外問題はない。問題は同じ場所にいるプレイヤーと早めに次の場所へ行くために防衛ゲージを満たさないといけないことだ。

 

「うわ、窮屈!」

 

「町が何一つもないってどうなってんだ今回のイベントは」

 

「ちょっと、変なところに触らないでよ!」

 

缶詰め状態で思うように動けないプレイヤー達。防衛戦をしようと出入り口へ向かわないと行けないがその場所すら今すぐ誰もわからないままか。

 

「最初に拠点を作るぞ」

 

「拠点?」

 

「どのように作りますか?」

 

「雪をたくさん集めてかまくらを作る。移動するぞ」

 

最初からパーティーに連れてきたのはサイナだけ。後で召喚できる従魔はホームで待機してもらっている。イズ達と500人のプレイヤーの中を縫うように移動して城壁の門のところまで移動すると、そこで雪を搔き集めてかまくら作りを始めた。

 

「白銀さん、何をしてるんだ?」

 

当然、俺達の作業を気になるプレイヤーはいる。作業をする手を止めないで応えに応じる。

 

「かまくら作り」

 

「何でかまくら?」

 

「腰を据えたいから作るんだ。それに仮に今日中この防衛拠点から出られなかった場合、町がないから自分で作ったかまくらの中で過ごすしかないだろ。ま、今日中に出られて作ったかまくらが無駄になっても、次の防衛する拠点で一日過ごすかもしれないがな」

 

「・・・・・先を見越しての行動ってことか」

 

そういうことだ。よーし、皆も入れる大きさにまで盛り上げたな。後は中を掘って掘って掘りまくって~・・・・・。

 

「あの、ハーデス」

 

「ん? セレーネ?」

 

「もうちょっと、ここを撫でらかに掘って。ブロック状より不安定な積み上げたかまくらって、雪の重心に堪えきれなくて崩れちゃうから」

 

「お、おう・・・・・」

 

何か職人の人みたいに言われた。イズに目だけ向けるとメッセージで返して来た。

 

≪セレーネは北の雪国の出身で物作りが趣味が相まって、雪国ならではの雪での行事に積極的に参加してるのよ≫

 

なるほど。妙に真剣なのはそういうことか。完璧なかまくらを作りたいリアルの方で火が点いたようだ。それからセレーネ職人の指導のもとでかまくらは完成した。

 

この日の為に用意した藁をかまくらの中でまんべんなく敷いて地面の冷たさと無縁にする。中心にだけ敷かずヒムカお手製の炬燵を出してようやく腰を据えることができ、イズ達も適当な場所で炬燵に足を入れて落ち着いた。サイナの隣で座る俺は掲示板を潜って戦況報告を見る。

 

 

 

【南極】エルフイベントのリベンジを語るスレ1【防衛隊】

 

 

 

11:防衛隊員

 

ふっざけんなぁあああー!? いきなりしょっぱなから鹿が群れてくんなよもぉおおおおおお!!!

 

 

12:防衛隊員

 

くそがっ、前回よりも難易度が上がってるし!! しかもよりにもよって準備していたトラップがいくつか使用不能だしよぉっ!!

 

 

13:防衛隊員

 

使えるのは閃光手榴弾と爆弾系の手榴弾ぐらいだが、個人的には閃光手榴弾が使用不能じゃなくてよかったと思っている

 

 

14:防衛隊員

 

だけどさぁ~鹿が妙にパワーアップされてるんだよなー。何か馬みたいに体と角が一回り大きくなってるし

 

 

15:防衛隊員

 

鹿絶許!!!

 

 

16:防衛隊員

 

俺もそう思ってた。よくよく見たら名前こそスノーエルクって名前になってるが、あれはヘラジカだろ

 

 

17:防衛隊員

 

この際モンスターの名前はどーでもいいんだけど、レベルが下がったこととパワーアップした鹿のせいで思うように戦えず一回の防衛戦が失敗しちゃったよ

 

 

18:防衛隊員

 

神獣の眷族になってもまだ本調子じゃないのか

 

 

19:防衛隊員

 

これから再挑戦行ってくる!

 

 

20:防衛隊員

 

眷族にはなったけど、そう簡単に元には戻らんって。なったらなったで神獣から発生するクエストをしなくちゃならんし

 

 

21:防衛隊員

 

俺、辰の眷族になったんだけどさ神獣によってクエストの難しさが違うんかな? うちの主神様のクエスト、無理難題なモンを押し付けてくるんだ。装備無しでレベル20以上のモンスターを100体倒せって言うんだぜ?

 

 

22:防衛隊員

 

普通ではないか? スキルでいくらでも倒せるだろ

 

 

23:防衛隊員

 

白銀さんを見倣いなさい!

 

 

24:防衛隊員

 

いやいや、武器がなくちゃ発動できないスキル系だったら大変だろ

 

 

25:防衛隊員

 

≫23 できるかぁー!!

 

 

26:防衛隊員

 

その白銀さんは今どこにいるのやら

 

 

27:防衛隊員

 

確実に同じサーバーにはいないぞこっちは

 

 

28:防衛隊員

 

↑ 同じく

 

 

29:防衛隊員

 

 

↑ 同じく

 

 

30:防衛隊員

 

第5サーバーも同じく

 

 

31:防衛隊員

 

かまくらの中でのんびりコタツに入って寛いでいるぞ

 

 

32:防衛隊員

 

第7サーバーも同じく

 

 

33:防衛隊

 

第11サーバーにもいないなぁ・・・あの人と同じギルドメンバーならいるけど

 

 

34:防衛隊員

 

かまくら!? なんでイベントの初めにかまくらを作ってんのあの人!? しかもコタツだと!?

 

 

35:防衛隊員

 

えええ~・・・・・(困惑)?

 

 

36:防衛隊員

 

今回サスシロではないのかあの人は

 

 

37:防衛隊員

 

いやでも、案外かまくらは必要だろ。町がないなら眠る場所がないならどーすんだって話じゃん

 

 

38:防衛隊員

 

もうとっくに戦っているのかと思ったわ

 

 

39:防衛隊員

 

で、でも。次の防衛拠点に行けば町はあるかもよ?

 

 

40:防衛隊員

 

なかったら?

 

 

41:防衛隊員

 

相手は運営だぞ。悪意ある鹿を送り込んできた時点で他にもいたずらと悪意を用意しているはずだ!

 

 

42:防衛隊員

 

≫40 うーん・・・・・素直にかまくら作るか野宿するしか・・・・・

 

 

43:防衛隊員

 

あのサスシロは先を見越しているに違いない! 仮に次の拠点に町があっても、500人も寝泊まりできる建物があるとは思えない。それを苦労する俺達を運営は嗤うんだヨ!

 

 

44:防衛隊

 

野宿は死ぬんじゃないのか。スタミナの原因で

 

 

45:防衛隊員

 

俺もかまくらを作って来る。今日中に拠点から出られそうにないし

 

 

46:防衛隊員

 

当たりなサーバーって【蒼龍の聖剣】を始めとしたギルド対抗戦で上位10位のギルドのプレイヤーがいるサーバーで間違いないよな

 

 

47:防衛隊員

 

場所取りも大事だし、さっさとかまくらを作って落ち着きたいから俺もそうしよう

 

 

48:防衛隊員

 

≫46 そうだと思うが、主に主力となっているプレイヤーだろ。白銀さんとペインに【炎帝ノ国】のミィのようなトッププレイヤーが一人いるだけでも負けない気はしない

 

 

49:防衛隊員

 

んじゃあ、白銀さんがいるうちのサーバーは勝ち組決定ってことですかーw

 

 

50:防衛隊員

 

あのー、死を振りまく破壊者の双子がいるんですけどもー?

 

 

51:防衛隊員

 

こっちはミィちゃんがいますがー

 

 

52:防衛隊員

 

こっちはペインがいるぜ!

 

 

53:防衛隊員

 

ここはご当地キャラクターの自己紹介をする掲示板だったっけ?

 

 

54:防衛隊員

 

知らん!

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