バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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南極大陸のイベント(1)

 

 

掲示板を閉じて改めて今回のイベントのおさらいをする。

 

「南極の防衛戦は防衛する拠点のゲージを満たしてからではないと他の拠点に行けない設定だな」

 

「エルフのイベントの時と似ていたり似ていなかったりするわね」

 

「うん。特にこの個人でプレイヤーが一度の一戦で、どれだけ多くのモンスターを倒したかランク付けされているね。前回は個人で総合撃破数を競うものだったのに」

 

「今回もパーティーでの撃破数のランキングがある。前とは変わらない」

 

エルフイベント時は第二陣のプレイヤー、イカルがいなかった話だ。掲示板や動画で見ていただろうが実戦は皆無。彼女をどう活かすか俺達次第だが、いつも通りでいいかもしれない。現場で臨機応変、状況に合わせる経験を積ませないとな。

 

「不壊のツルハシの様なアイテムはないと思っていたが、しっかりとあるなぁー」

 

セレーネの目が輝きだした!

 

「うん! “砕氷のツルハシ”は欲しい、欲しいよハーデス!」

 

「使用が限定されるけど、氷の壁を通常のツルハシより2倍も採掘できるからね」

 

「氷の壁って氷塊のことだよな? そんな場所があるとしたら・・・・・」

 

「あの、おっきなクジラがいたところですよね?」

 

その通りだイカルちゃん。俺的にも因縁ある場所でもある。

 

「ハーデス、頑張ろう、ね!」

 

「わかった、わかったからステイだセレーネ。もう初めて会った時の静かで内気なお前はどこに行ったんだ」

 

「いいことじゃない。もしもセレーネが一人だけ違うサーバーで移動させられたら、イベントが終わるまで作ったかまくらの中で引き籠っていそうだもの。それだけハーデスに心を許しているって証拠よ」

 

「それはそれで俺のことを好きになってくれているという表しか」

 

友達としての意味であったが、不意にセレーネが停止して俺を見ながら顔を真っ赤に染め上げ、コタツの布団カバーに顔を埋めて隠した。イズはそんなセレーネを信じられない目で見ては聞き出した。

 

「え、セレーネ? 本当にハーデスのこと好きだったりするの?」

 

「・・・・・ッ・・・・・ッ・・・・・ッ」

 

違う違うと首を横に振るうが、恥ずかしがってからの否定ではなく、自分の心境を知られた羞恥からくるものだとイズと一緒に察した。

 

「イズほど交流はなかったんだがな」

 

「本当にそうよ。イベントの時ぐらいでしょ? 一体いつの間に好きになったのかしらね」

 

びみょーな雰囲気に包まれるかまくらの外では、何やら賑やかな声が聞こえてきた。気になり外へ出ると。

 

「ちょっとそこのプレイヤー、悪いけどどいてくれー!」

 

「え? あーわかったよ」

 

「よーし、大体こんなもんか?」

 

「まさかイベント中にかまくらを作ることになるなんて」

 

「待っている間は暇だし丁度いいだろ!」

 

「ぐわぁー! 崩れた、なんでー!?」

 

「ばっか、天井の方ばかり掘り過ぎだ!」

 

・・・・・必然的にいつか自分達の寝床を作るためのかまくら作りをプレイヤーもすると思ってたけど、人のことは言えないが早くないか君達?

 

「ハーデス、どうしたの・・・あら」

 

「わ、雪玉を作っている人がたくさんです!」

 

イズとイカルも外の状況を見て理解した。防衛戦に出るプレイヤーとかまくらを作るプレイヤーが二分に分かれているこの光景を見れば一目瞭然だろうがな。ゲージの方は・・・・・まだ10%も満たしていないか。

 

「俺達も戦いに出るとしよう」

 

「そうね。ほらセレーネ。何時までも恥ずかしがってないで防衛戦するわよ。何ならもう告白しちゃいなさい」

 

「こ、こくっ・・・・・!?」

 

それは逆効果ではありませんかイズさんや? とにかく俺達も最後尾から列に並んで防衛戦へ挑んだ。門の前はプレイヤーの群れで芋の子を洗うような混雑だ。身体が小さいイカルを立たせてはいけないなこれは。門に進むプレイヤーの歩調に合わせて移動すれば、ほどなくして門前について一歩門から踏み出すと、何かが切り替わる感触があった。気が付くと後ろに続いていたプレイヤー達の姿はなく、俺達だけがそこに立っている。眼前は雪が積もった深い森林、足元は足首まで積もっている雪の大地と左右に広がる景色は・・・・・。

 

「ここも前回と同様か」

 

「そうね。他のパーティープレイヤーが見れるわ」

 

「もう戦い始めているし、左右にいる人達は順番通りじゃなくてランダムかな? 前の人達から、門を通るまで間を空けていないものね」

 

「でも、あちらから見えている景色とは同じみたいですよ? こっちに手を振ってます」

 

確かにそうだな。視界の中には既にREADY・・・・・GO! と表示が出た後だが、敵はまだ出てこない。隣のエリアにいるプレイヤーが、白銀さーん! と叫びながらこちらを見ている。手を振って対応しながら現状を確認する。

 

「このエリアにいると【AGI】が10も減らされるな。おまけにトラバサミの様な設置型の罠アイテムが使えないのも頷ける」

 

「直接地面じゃないと使えないアイテムだものね」

 

手榴弾系のアイテムが使えて安心なのも納得だ。・・・・・地面に直接か。足で雪をどかし、地面を露出するとそこにトラバサミを試しに置いたら・・・設置が出来ました。

 

「こうすればいい話か」

 

「なるほどね。でも、そうしてまで罠を設置しなくていいんじゃない?」

 

「絶対にしなくちゃいけないモンスターが来るぞ。二人三脚で突っ込んでくるゴーレムのような奴らを崩すために」

 

「あ、今回のイベントも・・・・・?」

 

セレーネの疑問に肯定と頷く。

 

「だから一度、この雪原から雪を全部なくさないといけない。イカル、四神朱雀のように【方舟】で綺麗さっぱり流してくれ。【同調リンク】」

 

「わかりました!」

 

そんな中、地響きのような轟音と共に雪煙が山肌から上がる。木々の間からモンスターたちが現れたのを見て、俺たちは会話を切り上げて武器を構えた。エルフイベントで数多のプレイヤーにその脅威とトラウマを植え付けさせた鹿よりも大きい角と体躯の『ヘルク』がしょっぱなから群れで突っ込んできた。

 

「【方舟】!」

 

叫ぶイカルに呼応して俺達は光の足場に乗って上へと避難し、下は大量の水が発生してヘルクの群れを押し流しながらダメージを与えていく。よしよし、第一関門はクリアだな。水が引くとヘルク共々雪も消えてなくなっていて大地が剥き出しになった。

 

「皆が苦戦していたのに、あっという間に倒しちゃったわね」

 

「ハーデスさんのおかげです!」

 

「強いスキルだね」

 

「長続きはしないがな。次、来るぞ・・・・・またお前かエルク! 目潰し!」

 

閃光手榴弾を投げて前列のエルクを眩暈の状態異常を引き起こせば、後続のエルクが一瞬だけだが動きが鈍ったところで。

 

「えいっ!」

 

イズの特性爆弾がさく裂した。【エクスプロージョン】程ではないが、中々の威力だ。纏めて吹っ飛んだぞ。それでも倒し切れないエルクは粛々とMPで弾を補充&装填するセレーネの火縄銃で倒れていく。

 

「調子はどうだその火縄銃」

 

「普段使っているクロスボウより装填が速いし高威力だよ。射程は逆に短いけれどね」

 

「それならこっちでカバーするだけだ」

 

三回目のウェーブは・・・・・まーたお前か、エルク共! 鹿肉を置いて消えやがれぇー!

 

「吹っ飛べ【エクスプロージョン】!」

 

「【エクスプロージョン】!」

 

 

 

 

「よっしゃ、イケイケッ、憎い鹿共を吹っ飛ばせー!」

 

「五回連続で来るのかよふざけんな!」

 

「ちょっとしたインターバルを挟んでからの六回目は・・・うわ、ホッキョクグマか」

 

「火縄銃を持っているプレイヤー。セレーネだっけ、一回もミスってないな。純粋に凄い」

 

「なぁー。眉間や心臓部分を撃ち抜いてるから一撃必殺をしてる。イズの爆弾もすげー吹っ飛び具合を見せてくれる」

 

「後方支援のサイナちゃんは設置型のガドリングガンで撃ちまくっているし、イカルちゃんは・・・よくわからん」

 

「大盾を構えているだけでモンスターが状態異常を引き起こしているよな。スキルだろうけど強いだろ」

 

「あっという間に10回目のウェーブか。今最高は?」

 

「足場の悪さと鹿のせいで伸びしろが悪いぞ。とっくに最高記録は白銀さん達が突破してる」

 

「占領ゲージも白銀さん達が参加した途端に20%まで増えたな。これ、ウェーブの回数が10ごと10%に増えるんじゃないか?」

 

「だとしたら今日中に次の拠点に行けるわけだが、白銀さんだけ活躍させるわけにはいかんだろ」

 

「地味に雪をどかして直接地面に置けば、罠アイテムが使える事実も公開してくれたし、頑張るかな」

 

 

 

 

「やっぱりその盾は強いなイカル」

 

「私達は始めて見たけど、その盾はヤマタノオロチの報酬?」

 

「はい、そうです。『八岐大蛇の大盾』で、スキルの効果はこの盾の前にいる全てにランダムで8つの状態異常を付与するんです」

 

「ランダムってことは、既存していない状態異常も付与できるんだよね。敵からしたら怖いスキルかも?」

 

盾と化した意思を持って動き出した8頭の蛇がメデューサのごとく目の前のモンスターに眼光を放って蛇睨みをしたら、麻痺・石化・氷結・呪い・・・・・後は見ても解らない状態異常になってイカルに近づけないでいる。当然だが一度使用したら一日跨がないと使用できない一日一回のスキルだ。だが、解除するまでの話でこんな連戦するイベントならイカルは強さを発揮する盾を手に入れたのだ。

 

「そんじゃ、俺もお披露目をしてやろうかな。【クイックチェンジ】、そんでちょっと時間を貰って・・・それから【反骨精神】!」

 

「ハーデスも盾を? どんなもの・・・・・えっ?」

 

「大鎚が・・・・・20?」

 

「たくさん武器が浮いてます!?」

 

そう、マイとユイが揃っても四つ分多くハンマーを持てる俺は、片手で10本ずつ持って大暴れをして行く。ふはははっ! 見ろ、俺の一撃を食らったモンスターが面白いぐらいに吹っ飛んでいくぞ! 中にはユーミルとエレンに依頼して作って貰った物もある。

 

 

『八方災害』

 

【VIT+25】

 

【八卦ノ陰】

 

八メートルの八角形の攻撃範囲内に存在する敵に8つの状態異常を付与する

 

 

『八百万ノ繚乱』

 

【VIT+22】

 

【八卦ノ陽】

 

八メートル以内にいる味方に状態異常とスリップダメージ無効のフィールドを展開し付与する

 

 

まったく、これらを見た時は思わず笑ってしまったよ。師弟が打ち合わせたわけでもないのに似た武器を作ったなんて、どっちも嫌そうな顔を浮かべそうだけど教えてみよっと。

 

「・・・・・どーいうことなのかしらね。一人で20本も大鎚の武器を持つなんて」

 

「ハーデスさんは、8つの装飾アイテムを1つに収納する装飾アイテムを手に入れましたよ」

 

「あの中に浮いている手って『救いの手』だよね。それを8つだから16で、残り2つの装飾枠にも同じアイテムをセットしているなら20・・・・・あれ、ハーデスの両手でも持てるよね?」

 

「敢えてしていないかしら? 今は真っ赤な大鎌を持ってるし片手にはいつもの大盾だし」

 

「【無双乱舞】!」

 

攻撃が成功したら対象に状態異常を付与するのと、【STR】の50の数値分の斬撃を放つスキルの合わせ技。50の数値で一つの飛ぶ斬撃が放たれるわけであるから―――5000の【STR】であれば100の斬撃を放つことができる計算だ。

 

鎌から放たれる赤いかまいたちがモンスターに襲って蹂躙し、一掃して見せてくれた。

 

「え、強過ぎない? 【無双乱舞】ってなに?」

 

「この大鎌のスキルだ。【STR】依存のスキルでな。50の数値分ごとに斬撃が一つ飛ばすことができる。それを軽く100以上の斬撃を飛ばしたんだ」

 

「今ハーデスの【STR】・・・・・5000以上ってこと? でも防御力特化なのに?」

 

「その防御力を攻撃力に変換するスキルがあるんだよ俺。なんならHPを減らして【STR】に換算するスキルもあるぞ。その上、勇者と英雄の称号の効果で倍プッシュだ」

 

 

 

「・・・・・おい、とんでもないことを言ってんぞ白銀さん」

 

「貯めに貯めまくった防御力を攻撃力に換えるスキルだと? 防御力極振りから攻撃力極振りのプレイヤーにジョブチェンジとか、最悪すぎるでしょ」

 

「しっかも何だよあれぇー。大鎚が20本ってー」

 

「攻撃力極振りな上に20の死の鉄槌が降り注ぐってマジでシャレにならねぇって。あの双子より危険極まりないじゃんか。あの状態でならベヒモスとかワンパン出来るだろ絶対」

 

「気持ちはわかるけど目の前に集中しろお前等-!! 鹿がくるぞー!?」

 

 

 

「イカルちゃんから聞いたんだけど、八つの装飾アイテムを一つに入れるアイテムって?」

 

「“八呑の指輪”のことだな。ヤマタノオロチの報酬だ」

 

「・・・・・ヤマタノオロチの報酬ってすごいモノばかり?」

 

「ヤマタノオロチだから八に関するスキルやアイテム、装備が手に入ることは確実だな。スキルなんてアイテムやスキルの効果を八回分も上乗せするモンを手に入ったし」

 

故にさっきの斬撃も実のところ800以上の斬撃が飛んで行ったのだ。まだまだやってくるモンスターも序盤も序盤だ。次行ってみよー!

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