バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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南極大陸のイベント(4)

 

 

案の定というかやはりというか。寝込みを襲うことはしなかったもの、眠っている間にどこぞのパーティーのプレイヤーが入って来てスクショをされたらしい。召喚したフェルとフレイヤからお仕置きを受けて死に戻ったようだが、その件で運営からメールが届き話し合いの場として特殊な空間に転移された俺達と先に待っていた若いGMと少しばかり話し合いをしたあと、イズとセレーネ、イカルに謝罪をしてお詫びの品を送った。俺は男だから謝罪する程度でいいと言ったんだが、イカルが俺に猛抗議をした末に俺もお詫びの品を受けることになった。

 

「じゃあ、4人が無断でした俺とイカルのスクショはそのままで。削除しないでいい。イズとセレーネの方は削除してもらいたい方向で」

 

「・・・・・よろしいのですか?」

 

「配信動画でイカルと遊んでいるところを見られているし、今更眠っているところを無断でスクショされていようとあんまり変わんないかなって。たった4人でもやる気をなくされても困るし。今回のイベントに影響を与えるなら、運営から厳しく注意と2度目はNWOから永久追放の旨を伝えてくれればそれで十分だ」

 

「・・・わかりました。死神・ハーデス様がそうおっしゃるのであれば、運営の者にそうお伝えして処置をします。ただ、不貞行為をしたプレイヤーへの擁護発言をしようとも、彼等には何かしらのペナルティを与えることになります」

 

「そこは運営にお任せだ。公開処刑の件も考えるとお咎め無しというわけにはいかないだろ」

 

「はい、もうあのような事は2度と起こしません。運営側もイベントとはいえど、死神・ハーデス様の扱い方に対して私達=運営が認めたアンチ行為だという認識を誤認しかねないことでした。実際にプレイヤーからのクレームのメールが殺到したほどです」

 

「まだ許していません! これからも一生許しませんっ!」

 

「は、はい。本当に申し訳ございません」

 

NWOをやる限りイカルはあの公開処刑をしたプレイヤーや黙認した運営に許さないようだな。それは俺への強い憧憬から来る思いだろうか。

 

「なので・・・あの一件でのお詫びの品を死神・ハーデス様に送りします。内容は彼女達と同じ物でよろしいですか?」

 

「それは構わないけど・・・・・あ、教えれる範囲でいいからちょっとだけ情報を公開してくれ。南極にいるあの空飛ぶ白いクジラと戦える場所ってどこだ?」

 

「それについては誠に申し訳ございません。今の私にそれを公開する権限はありません。しかしながら、示唆させてもらえるならば、もう死神・ハーデス様は彼のモンスターと正式に戦える日は必ず近いと断言させていただきます」

 

なるほど、必ず近いか。あのNPCと接触出来たからかな?

 

「わかった。じゃあ最後に運営の人達に伝えてくれ」

 

「はいなんでしょうか?」

 

「―――運営が振り撒くいたずらと悪意を出来る限り乗り越えてやるって」

 

そう宣言するとGMは面を食らった表情を浮かべた後、いたずら小僧のように微笑んだ。

 

「・・・・・さすがは死神・ハーデス様ですね。運営が考え得るお茶目なスキルをほぼ取得しているだけあります」

 

「待って、ほぼ? ほぼってことは【悪食】や【エクスプロージョン】も含まれてる?」

 

「はい、そうですよ。ですが、“ほぼ”ですので他にも運営側がいたずらで考えたスキルはまだございます。どうかそれらも見つけてください」

 

「いたずらはそれでも悪意は絶対にレジェンドボスだよな? 特にヤマタノオロチとか!」

 

「ご想像にお任せいたします。では失礼させていただきます。今後ともNWOを楽しんでくださいませ」

 

GMとの話し合いは終わり、転移させられた話し合いの場である特殊なルームから酒場兼宿屋の寝室に戻った俺達。

 

「お詫びの品は全部同じってわけだけど、鍛冶師の二人の得する物なのか?」

 

「見てみましょうよ。えーとこれね、『運営からのお詫びプレゼント箱』」

 

「名前的からしても、もうこれだけで何なのか判らないね」

 

「何でしょうかねー」

 

インベントリからお詫びのプレゼント箱を出して膝の上に置く。イカルの手のサイズでも持てる小さな箱だ。それを開くと―――

 

 

ランダムスキルスクロール×5

 

ランダムアイテムボックス×5

 

経験値2倍アップスクロール×5

 

 

まぁ、安定感あるものだった。個人的に運営から謝礼品として送られたのこれで二度目だな。アイテムボックスの方は、また手の平サイズの箱だった。

 

「あ、またですねお姉ちゃん」

 

「また? 前にも運営の人が?」

 

「私自身がバグの影響を受けてね。男用の装備中に性転換したら、ちゃんと装備で着なくて上半身が裸になっちゃったの。その時、居合わせたパーティーのプレイヤーがいてねー」

 

「私が吹っ飛ばしました」

 

「そ、そうだったんだ・・・・・えっと、さっそく開けて見る?」

 

懐かしい思い出話はここまでにする。イカルが妙な雰囲気を纏いだしたしな。俺達は最初にスキルスクロールを開くと―――。

 

 

【水底への誘い】

 

【大地の揺籠】

 

【届かぬ渇愛】

 

【再誕の闇】

 

【滅殺領域】

 

 

「おっ、嬉しいスキルが手に入ったぁー!!」

 

「ハーデスが喜ぶスキルって・・・・・何か怖いわね」

 

「きっと強力なスキルなんだよきっと」

 

「わーい、私も新しいスキルが手に入りましたー!」

 

俺とイカルは喜ぶ。イズとセレーネは平常心で新たに取得したスキルを確認をしている。

 

「それで、ハーデスは何を手に入れたの?」

 

「二つはダブった」

 

「え、同じスキルが手に入ったの?」

 

そのまんまの意味を捉えてしまったイズに笑いながら否定した。

 

「いや、正確には【反転再誕】でいつも使っていたスキルを、反転させていたスキルが改めて手に入ったんだ。ほら、堕天使になれるスキルと足元に黒い魔法陣を展開するスキルの」

 

「ああ、あのスキルを? じゃあ、今後はわざわざスキルを反転させなくていいようになったのね?」

 

「HP500も消費せずにできるようになったのは大きいよ。でも、同じスキルを重複して使えるもの?」

 

「できないんじゃないかな? 同じスキルは2つ以上も手に入らない設定だし」

 

「けれども、結果的に違うスキルでも同じ効果のスキルもあるわけだし。もしかしたらじゃない?」

 

うーん、結局は実際に使ってみるべきだろうな。

 

「さーてお次はアイテムにいこうか。まだ開いていないんでしょう?」

 

「まだです!」

 

「イベント中なのに、私達は違う楽しさをしているわね」

 

「そうだね。でも、どんなアイテムが出るのか楽しみ」

 

ということでいっせーのせーで! ランダムアイテムボックスを開いた途端、俺のインベントリに収納されたアイテムを確認した。

 

 

『スライムの卵』

 

『黄金の対秤』

 

『賢者の石の片割れ』

 

『運命の赤い糸』

 

『虹色の羽』

 

 

「・・・・・」

 

ナニ、コレェ・・・・・。

 

「お姉ちゃん、どうしました?」

 

「・・・・・固まってる?」

 

「もしかして、またすごいアイテムが手に入った?」

 

心配してくる三人の声が停止しかけた思考を呼び戻してくれた。

 

「・・・凄いかどうかはわからないけど、他のプレイヤーには絶対に手に入らないアイテムを手に入ったと思う。三人は?」

 

「ハーデスの言葉を借りるなら、私もそんなアイテムが手に入ったと思うわ」

 

「私も、そんな感じかな? 初めて見るアイテムだから何とも言えないけどね」

 

「何でしょうかこれ?」

 

三人が新しく手に入ったアイテムを吟味している間に俺もアイテムを確認する。卵に関しては確認するまでもないからこの天秤からだ。

 

『黄金の対秤』

 

アイテムを捧げることで様々な恩恵を受けることができる。

左皿「捧げの皿」にアイテムを投入することで、その価値に応じて右皿「恵みの皿」から様々な恩恵を得ることができる。

 

 

『賢者の石の片割れ』

 

遥か昔に元々一つだった伝説の石が国を消滅させるほどの魔力暴走を引き起こした際に割れてしまった。片割れとなったいまでは魔力は宿っていないが、一つに戻せば息を吹き返すだろう。

 

 

『運命の赤い糸』

 

異性と小指を結べば互いのスキルが共有することが可能になるスキル【恋の赤い糸】が取得する

 

 

『虹色の羽』

 

七色の羽をもつ幻の鳥“虹彩鳥オウホウ”という鳥がいる。彼の鳥を見たものは後に幸運に恵まれ、彼の鳥の羽を手にした者はオウホウと戦えるレイドバトルの挑戦権を得られる。

 

 

・・・・・うん、どれも凄いと言わざるを得ないアイテムばかりだった。

 

「確認終えた?」

 

「ええ、私はね。一つだけ私にピッタリなモノが手に入って嬉しかった。セレーネは?」

 

「えっと・・・機械の乗り物が手に入ったよ」

 

「機械の乗り物、です?」

 

「うん。防衛戦の時に見せるよ。それはそうとハーデス、これから行く?」

 

セレーネからの問いに悩む仕草をして言い返した。

 

「6時間も寝過ごしたから、先に情報を集めよう。それなりに進んでいるだろうから、どんなモンスターが出てくるのか知ってからでも遅くはないと思う」

 

「知っているのと知らないのとじゃあ心構えが違うものね」

 

「そうですね」

 

そう言うわけで防衛戦イベントの掲示板に潜ってみた。

 

 

 

【南極】エルフイベントのリベンジを語るスレ2【防衛隊】

 

 

 

234:防衛隊員

 

だ・・・誰か、俺を慰めて・・・・・俺の初めてがモンスターに奪われちゃった

 

 

235:防衛隊員

 

その気持ちは皆も同じだ友よ・・・・・俺も捕まって・・・・・ウッ!

 

 

236:防衛隊員

 

この掲示板の集まりは皆、セクハラの被害者ばかりだな

 

 

237:防衛隊員

 

あれでセクハラで済ませられるのか!? パワハラだろ! 弁護士に訴えられるなら訴えてやりたいよ!

 

 

238:防衛隊員

 

もうゴリラ恐怖症になっちゃったよ俺・・・・・違うリアルゴリラでも今日のことを思い出してしまう

 

 

239:防衛隊員

 

一瞬で筋骨隆々に囲まれた恐怖は一生忘れられない・・・・・!

 

 

240:防衛隊員

 

口が、口の中で蠢くあの感覚が・・・・・オエェェェ・・・・・!

 

 

241:防衛隊員

 

誰か、誰か俺達の代わりにあのゴリラを倒してくれ・・・・・!!

 

 

242:防衛隊員

 

幼女になれる奴等も当てにならない! 奴らすら男を襲うゴリラ以外の母性に目覚めたゴリラに捕まって、聞くに堪えない子守唄で気絶させられて。防衛失敗に終わってしまうんだからよ!

 

 

243:防衛隊員

 

打つ手なしじゃーん

 

 

244:防衛隊員

 

幼女がダメなら少女とか女性の方は?

 

 

245:防衛隊員

 

どうすんだよこれからー!? 誰があんなゴリラを倒せるんだよ!

 

 

246:防衛隊員

 

防衛ゲージだって数時間経ってもまだ10%未満だしなぁ

 

 

247:防衛隊員

 

なぁ、白銀さんのパーティーは?

 

 

248:防衛隊員

 

今回の防衛イベント、難易度が鬼畜過ぎるぞ運営ー!!

 

 

249:防衛隊員

 

俺達の純潔を奪ったツケを何時か払わしてやる!!

 

 

250:防衛隊員

 

≫247 いや、見かけてないな。防衛戦にまだ参加してないんじゃないか?

 

 

251:防衛隊員

 

≫249 純潔・・・・・?

 

 

252:防衛隊員

 

え、何してんのあのパーティー?

 

 

253:防衛隊員

 

俺知ってる。酒場に来て宿になっている二階に行ったきり降りてこなかったから先に眠っているんじゃないか? 一日一回寝ないといけないし

 

 

254:防衛隊員

 

余裕ですか? 自分達ならあのゴリラ共の猛威をスルーできるから余裕ですか?

 

 

255:防衛隊員

 

あーそうだった。てか、早過ぎないか? 一日そう何度も眠ることできたっけ?

 

 

256:防衛隊員

 

戦に備えての睡眠だろ。嫉妬すんなよ

 

 

257:防衛隊員

 

できるぞ。ログアウトは出来ないのは皆も知っているだろうがな

 

 

258:防衛隊員

 

イカルちゃんはまだ子供だから精神的に疲れるのも早いだろうし、それを気遣っての休みならしょうがないよ。どこぞのガチ勢や前線組と攻略組みたいな脳筋と考える頭は違うんだよ

 

 

259:防衛隊員

 

ということはまだ眠っているか起きているかだよな?

 

 

260:防衛隊員

 

≫253 その時の白銀さんは女体化していたか?

 

 

261:防衛隊員

 

起きているならさっさと防衛に参加してほしいんだが?

 

 

262:防衛隊員

 

まだ眠っているならしょーもないけどな

 

 

263:防衛隊員

 

同じサーバーにいるプレイヤーの代表として一番活躍してもらわないと。じゃなきゃ先に進めないし

 

 

264:防衛隊員

 

≫253 ≫260 していたけどそれがどうかしたか? 寝顔を見に行きたいならやめておけ。俺の仲間みたいに運営からペナルティをもらうぞ

 

 

265:防衛隊員

 

そうだな。防衛戦は白銀さんみたいな防御力極振りのプレイヤーが一番輝くイベントなんだからな

 

 

267:防衛隊員

 

俺の仲間みたいって? え、まさかだけど凸したのか!?

 

 

268:防衛隊員

 

このイベントの最中でお前の仲間何やったらペナルティを食らうんだよ

 

 

269:防衛隊員

 

≫264 あの百合の花園の配信動画を見たプレイヤーなら、女同士が一つ屋根の下で同じベッドで眠っているところみたいだろ。俺の仲間がそう言う考えで凸して、止めに行ったはずの仲間も木乃伊取りが木乃伊になって運営からペナルティを食らったんだ。まぁ、当の仲間は反省はしているが後悔はしていない。寧ろ寝顔を見れた上に一枚だけ戦利品を手に入って喜んでいるがな

 

 

270:防衛隊員

 

馬鹿だろお前の仲間!!!

 

 

271:防衛隊員

 

は・・・・・?

 

 

272:防衛隊員

 

なん、だと・・・・・?

 

 

273:防衛隊員

 

おいちょっとマテ。それでいいのか運営。無許可で無断で盗撮されたようなもんだろ

 

 

274:防衛隊員

 

ちょっと、これはイケナイことではないんじゃないで? 運営さんよー?

 

 

275:防衛隊員

 

≫269 なお、後でGMから直接言われたらしいけど盗撮された本人達は今回イベント中だから特別に許してくれたようだ。GMからには盗撮したスクショは誰にも公開しない条件で追放はしないが二度目はないと言われたらしい

 

 

276:防衛隊員

 

・・・今からでも間に合うか?

 

 

277:防衛隊員

 

あ、もう対処し終わった後なのか。まぁ、当然のことだけど仕事が早いな

 

 

278:防衛隊員

 

≫276 ばっか! 運営が見張っているんだぞ、お前で二度目になったら追放されんぞ! 盗撮を許した白銀さんもブッチするぞ!

 

 

279:防衛隊員

 

≫275 あともう一つ付け加えるなら、凸した仲間はお仕置き人の如く配置されていたフェンリルと魔獣の猫から酷い目に遭ったぞ

 

 

280:防衛隊員

 

ヒエッ・・・!!

 

 

281:防衛隊員

 

さすがに無防備で寝ているわけなかったか。なのにそれを知らずに凸したプレイヤーは大バカ野郎か命知らずか変態的な意味で勇者だな

 

 

 

・・・・・参考にならない!

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