東門の防衛戦を成功させた俺達! 喜ぶ間もなく次のレイドボスを挑もう! というプレイヤーが多く意見を言い合うがちょっと待っておくれ・・・・・。
「白銀さん、装備が四割以下になったから耐久値を回復できるっていうアイテムを譲ってくれー!」
「私もー!」
「あのオオサンショウウオに捕食されると装備一式の耐久値が減るんだよなー」
こういうプレイヤーの相手をしなくちゃならないんでなー。と思ったが一部のプレイヤーが。
「お前ら白銀さんからアイテムを貰うとレイドボスをする時間が無くなるから止めろ!」
「そうだぞ! 欲しいなら俺達のをやるから!」
「え、何でそういうことになるわけ? 俺は嫌だぞ」
「おい2つぐらい渡してやれよ。イベント中に10個も使いきれるわけないだろうが。白銀さんがどうして余分に無料で渡したのか考えてみろ」
「捕食されていないプレイヤーはできるだけ捕食されたプレイヤーに白銀さんから貰ったアイテムを渡してやれー! 捕食されてもアイテムを貰ったプレイヤーは絶対に貰うなよ!?」
おや・・・? ありがたいことになってきたな?
「ハーデス、もしかしてこうなること予想してた?」
「いーや、全然? まぁ、他のプレイヤーに渡してほしいなぁーぐらいしか。手間が省けるし」
「そうなんだね」
手間が省けるような展開になって、俺から貰っていないプレイヤー、耐久値が四割以下のプレイヤーは慈善で渡そうとするプレイヤーから受け取って装備の耐久値を回復していく。そうしている間に【覇獣】以外のスキルのクールタイムが終えた。
「ハーデスさん。次はどのボスモンスターに挑みます?」
「クジラは最後だ。だからマンモスに挑む。もしかしたらあっという間に倒せるかもしれないぞ」
「え、防御力が高そうなのに?」
「おう。500人全員の力が必要だがな」
俺がどんな手段を使ってマンモスを倒すのかイズ達は見当もつかない様子。だがそれでいい。それじゃあ皆で行ってみようかー。
―――五日目。
「はい、勝った! 終わった!」
「えええ・・・・・?」
「嘘・・・・・」
「早く倒しちゃったです!?」
「マスターお見事です」
唖然とマンモスとの戦いの結果に信じられないイズ達。他のプレイヤー達も似たような気持でいるみたいで勝った喜びよりで場が湧かず静寂に包まれていた。
説明しよう!
【クイックチェンジ】と【血纏い】、【反骨精神】【侵略者】【背水の陣】で攻撃力極振りの状態のステータスにした俺は【天上天下唯我独尊】を使い、他の全プレイヤーに俺のステータス、つまり極振り状態を一時的に付与してやったんだ。そうなればいくら防御力とHPが高いマンモスと言えど、攻撃力極振りの500人近いプレイヤー相手に抗うことはできない。ゾウとアリではなく大津波とゾウの差だ。
故にHPが一割になっても波状攻撃で直ぐに削り切って瞬殺が可能にしたのだった。イカルの『八岐大蛇の大盾』の効果も凄く発揮してくれた。
「こんな簡単に倒せてよかったのかしら・・・・・」
「言っとくけど、簡単ではなかったことを付け加えてもらうぞ。全身を赤くして真っ直ぐ防壁に突っ込む山のように大きいマンモスを【生命の樹】が使えなかったら食い止めることはできなかったからな」
「イカルちゃんが【相乗効果】でそのスキルとベヒモスに変身できるスキルをしなかったら守れなかったね」
「ちょっと、怖かったですっ」
よしよし、身体を張ってくれたイカルは頑張ったな。偉いぞー。
「あ・・・えへへ」
「残すはクジラだけど、また挑みに行く?」
「掲示板の反応を見てからにしよう。二戦連続で疲れたプレイヤーがいればそうでもないプレイヤーもいるだろうし」
「うん、そうだね」
【南極】エルフイベントのリベンジを語るスレ15【防衛隊】
59:防衛隊員
いやほんと、語彙力が無くなるぐらいヤバかった。
60:防衛隊員
数十万の【STR】が付与された時は本当にビックリした。その状態でマンモスのHPを面白いぐらい早く減ったしな
61:防衛隊員
いやいや、流石に嘘だろ? どうやったら【STR】が数十万も、しかも全員に付与されるんだよ
62:防衛隊員
白銀さんだから、って理由でもちょっとなー?
63:防衛隊員
マジなんだって! 嘘じゃないんだよ!
64:防衛隊員
一時的でもどうやってかスキルも白銀さんが付与してくれたからオオサンショウウオにも勝てたんだ!
65:防衛隊員
どうやってスキルまで?
66:防衛隊員
俺達が知るわけないだろー! こっちが訊きたいわー!
67:防衛隊員
嘘なんですね。わかりました
68:防衛隊員
他のサーバーより速くレイドボスを残り一体まで倒した余裕と優越感での自慢話か
69:防衛隊員
第6サーバーは防衛に失敗して大変な目に遭っているのになー
70:防衛隊員
≫69 kwsk
71:防衛隊員
≫69 どんな感じに?
72:防衛隊員
防衛拠点が四体のボスに木っ端みじんに破壊され尽くして居場所を失った俺達は現在、別の防衛拠点に移動を強いられているんだ。そこは海上にあって全員が橋を渡り切ると、海から魚介類のモンスターが襲ってくる。おまけに拠点の中にはどうやら避難してるNPCが大勢いるようで、俺達を中に入れさせてくれない。しかも野宿を強いられて、イベントが終わるまでずっとこの調子だと思う
73:防衛隊員
それは・・・ドンマイ!
74:防衛隊員
凍え死ぬなよ? と応援だけはしておこう。
75:防衛隊員
しかし、三つ目の拠点の防衛が失敗するとそうなるのかー。情報提供感謝だ
76:防衛隊員
成功したらどうなるか気になるところ。第11サーバーは成功例として最後のボスモンスターを倒してくれ
77:防衛隊員
ほぼ白銀さんが一人勝ちみたく活躍しているんだから余裕だろ
78:防衛隊員
俺達もちゃんと活躍してますー!!!
79:防衛隊員
【蒼龍の聖剣】のメンバーがいるサーバーの進境はどうなんだよ?
80:防衛隊員
確かにそうだな。その話題が浮上していないや
81:防衛隊員
あー、主にペイン達が善戦している。でも、結構崖っぷちだ。あと一回で≫72 のようになってしまう。第11サーバーのように一体ずつレイドボスに挑むよこれから
82:防衛隊員
こちら【炎帝ノ国】のミィがいるサーバーだけど今―――奮戦しているとだけ言っておこう
83:防衛隊員
死を振りまく双子がいるサーバーだが、≫81 と同様だ。でも2体倒せてはいるから何とか頑張っている
84:防衛隊員
どこも初戦はばらけて一体のみ倒しているか負けている感じだな
85:防衛隊員
そんなもんだろ
86:防衛隊員
初戦で全レイドボスを倒した方が異常過ぎるわ
87:防衛隊員
一体だけ倒せても御の字だなぞ
88:防衛隊員
それで、第11サーバーはこれからどうするんだ? すぐに最後のモンスターを倒すのか?
89:防衛隊員
雰囲気的にそうなんだけど最後は空飛んでいるクジラだ。ちょっと初戦にクジラと戦ったプレイヤーから聞き込みして情報を集めたいと個人的に思っている
90:防衛隊員
えー? このままイケイケしようぜー?
91:防衛隊員
俺は初戦でクジラと戦っていないから情報を集めるのは賛成だな。少しでも分かれば対処ができる。知らないで死に戻りして戦力外になりたかねぇよ
92:防衛隊員
俺的には白銀さんの従魔からの応援があれば神風特攻してもいい!
93:防衛隊員
寧ろ、白銀さんin女堕天使のライブを見てから戦いに臨みたい!
94:防衛隊員
ライブって・・・・・楽器もマイクもないのにどうやってすんだよ
95:防衛隊員
第11サーバーはお祭り気分になれるのか? 羨ましぃ・・・・・
96:防衛隊員
おっと、ここに普通のギターとエレキギターが・・・・・
97:防衛隊員
おっと何故か趣味で購入したドラムをイベントに持ち込んでいた俺の件について
98:防衛隊員
自分、歌手の職業を選んだ者なのでマイクはありますよ?
99:防衛隊員
おっと? イベントに必要ない筈の俺のインベントリにピアノがあるぞー?
100:防衛隊員
奇遇だなー。俺もイベントには使えないと思っていた攻撃用のエレキギターを持っているんだー
101:防衛隊員
偶然か? 偶然なのか? 違うサーバー同士のプレイヤーだよな? そうなんだよな!?
102:防衛隊員
あるはずのない物をその場のノリで持っていると言っているだけだよな!?
103:防衛隊員
ほう、そう言うのだな? では証明してやろう。ちょっと例のあの人にお願いしに行ってくる
104:防衛隊員
待てぃ同志よ! 俺も行くぞ!
105:防衛隊員
見つけたら中央広場で公演の準備だ!
106:防衛隊員
明日に備えて士気を高める! もしくは明日歌ってもらおう!
107:防衛隊員
え・・・・・マジで?
108:防衛隊員
待って、待って? マジでするなら本当に羨ましすぎるんだけど!? 配信はしてくれるよなおい!
109:防衛隊員
頼む! 配信してくれよ頼むから!
「・・・・・俺、歌わされるハメになりそうなんだが」
「「・・・頑張って」」
「聞きたいです!」
「マスター、こちらに向かってくる者が現れました」
・・・・・マジだ。凄く顔を輝かせて走っていらっしゃるー。
「白銀さん、是非ともお願いがある! ライブをしようぜ!」
と、懇願されてから翌日―――六日目。
セッティングした即席の会場で運命の悪戯か・・・リアルでバンド仲間だというプレイヤー達とライブをすることになってしまい、何時ぞやにプレイヤーから貰った数多のコスプレ衣装の中の一つ、黒いメイド服姿で歌う事となった。
「え・・・白銀さんも弾けるんですか!?」
「楽器類は網羅していると過言ではないぞ。好きな音楽だったらやり込んでいる。専用職業ではなくとも道具が扱えるのがこのゲームのいいところだよなー」
「すげぇ・・・」
「だから頼むからクジラとの戦いは頑張ってくれよな」
「うっす! 全力で戦います!」
そして公演時間となり、性転換&【届かぬ渇愛】で堕天使の姿になった俺をセンターにして400人以上の観衆の目の前で2、3曲も演奏をした。プレイヤー達から熱狂と歓声が絶え間なく挙がり、目の前にいるイカルは終始はしゃいでいた。
運営side
「ノリノリで歌っていますねー」
「歌っているなー」
「以前言っていた白銀さんのCMを計画しませんか? バズるっすよこれ」
「堕天使としての白銀さんを出演させるなら天使の白銀さんも必要になるぞ」
「そういえば、天使の白銀さんは見たことありませんね。どうなるんでしょうか?」
「あの姿の真逆を想像すればわかりやすいだろ。よし、このイベントが終わったら白銀さんにコンタクトを取るぞ。上にちょっと打診をして来る」
「いい返事を期待してるっす」
「ハーデスがライブしてるぞフレデリカ」
「何でイベント中にしているんだか・・・・・」
「最後の一体を倒す前に盛り上げているんだろうよ」
「俺達も負けていられないな」
「ハーデス君、相変わらずだねぇー」
「ハーデスさん、素敵です!」
「歌声も素敵ですね!」
「サリー、私達もあんな風に歌えたら楽しそうだねー。いつかやろうよ!」
「うぇっ!?」
「お姉ちゃん、素敵でした!!!」
「大成功だったわハーデス。プレイヤーの皆も楽しんでいたもの」
「うん、凄く上手だったよハーデス」
「お疲れ様ですマスター」
「ハハハ・・・ありがとう。まーたこれで黒歴史が増えた。新しいグッズが販売されそうだわ」
複雑極まりない俺を出迎えてくれた皆と合流して、イカルに「絶対に買います!」と断言されてさらに複雑になる。他のプレイヤーと最後のレイドボスであるクジラと戦える門へ移動中、セレーネに問われた。
「クジラとはどう戦うか決めた?」
「イカルにはいつも通りするけど。また天秤の力でイカルの防御力を俺並みに高めてから、全プレイヤーに防御力極振りと攻撃力極振りの二極のステータスにするつもりだ。まぁ、そうすると【絶対防御】【破壊者】の効果が無くなってしまうがどっちも五桁もあれば十分だろ」
「十分どころじゃなくてとんでもないと思うわよ」
「クジラも早く倒しちゃう・・・・・?」
いや・・・どうだろうなー?
「クジラの攻撃パターンは即死攻撃の捕食、巨体を生かした突進と叩きつけ、角ドリルみたいだけど。角ドリルも一撃必殺だから真正面に相手をしたらダメだ。だとしたら上下と横から攻撃を加えないと」
「でも、空を飛んでいるんですよね?」
「地面に叩き落すしかないな。もしくは引きずり落とす。最後の手段として、アレをやるがな」
「「「アレ?」」」