バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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クラーケンと対ギルド戦イベント

 

 

問題は起きたものメイプルとも結婚してから、レベルとVITを今月の日曜に行われるイベントまで増やし続ける専念ができた。

 

当日イベントの告知は温泉旅館でギルドの皆と確認した。

 

内容は漁業組合の船乗り達が沖に出て漁をしていると、魚を狙うクラーケンに船乗り達は船もろとも海に沈められてしまうので、クラーケンの危険を取り除いてほしいと冒険者に依頼をしたのであった。

 

「今回は同じサーバーで、全プレイヤーがイベントをするんだね」

 

「場所は大海原だから、船に乗って戦うイベントなのかな」

 

「また陸に誘き寄せて戦うことができるか?」

 

なお、このイベントはギルド対抗戦―――神獣の眷属同士で討伐数を競い合うらしい。眷属になっていないギルドは通称【無所属】と言われるようだ。軽く調べたら前回のギルド対抗戦イベントで10位まで勝ち残ったギルドは、【蒼龍の聖剣】を除いて全て神獣の眷属になっていて、【炎帝ノ国】は辰を選んでいた。

 

「広い海の中でクラーケンを探さないといけないのか?」

 

「大変なイベントになるのは間違いない。それより船の上でどう戦うか・・・・・」

 

「蛸足が船に絡み付いてくるならさ、その足の上に走ってクラーケンに攻撃できるんじゃね?」

 

「ヌメるぞ」

 

クラーケンと戦う際に必要な船は自前で用意するように? そんないまさら・・・・・あーはいはい、リヴァイアサンレイドの時のように自費で買えるシステムが復帰しておりましたな。水瓏がある俺達は買わずに済んでいるがな。

 

「あれ、ねぇー同じ神獣の眷属になった他のギルドって複数いるよね?」

 

「確かにいるけど、どうかしたの?」

 

「私たち、人数的に負けてない?」

 

「・・・・・気付いてしまわれたか」

 

「誰も言わないようにしていたことを言ってしまったか」

 

「『蒼龍の聖剣』は神獣の眷属になれなかった無所属のギルドであることが、唯一の弱みであることも」

 

それに関しては本当にごめんなー?

 

「で、でも! 無所属の強味はあるよ!?」

 

「確かに数の差で負けてはいようと、俺達には頼もしいプレイヤーたちがいるじゃないか」

 

「その通りだな!」

 

「いやー、何故か不思議と悔しくならないよなー」

 

「寧ろ、優越感しかないのだが?」

 

うん、その通りだな。

 

「たくさんの生産系プレイヤーが頼もしくて、俺の自慢でありながら誇りだよ。いつもありがとうなー」

 

「白銀さんに褒められたわー」

 

「あのー女堕天使の姿で改めてお褒めの言葉を・・・・・」

 

「俺は幼女で!」

 

「私は白銀さんのモンス!」

 

そういうと思ったよ! だから・・・・・。

 

―――MVPなるものがあったら、この中で一番活躍したプレイヤーの願いを叶えてやるよ。

 

と、言ったら案の定お祭り騒ぎになった。絶対に他のプレイヤーに妬みや羨望しない理由はこれだろ。他人事のように考えていると長い金髪の少女が近づいて来て、何故か顔を輝かしておられる。

 

「一番になったら、NWOのCMの歌を歌ったハーデスさんのお姉ちゃんをみたいです!」

 

「―――――!?!?!?」

 

この世界に住んでからこれほど俺が驚いたことはなかった。どうして、俺がNWOのCMの曲を歌ったことに気付くんだよこの子!? 恐ろしすぎるわ! だからこそ、いつの間にか俺を取り囲むプレイヤーがいてだな。

 

「やっぱり関係があったんだね。女堕天使の姿をしたハーデスくんがCMに出ていたんだし」

 

「リアル側じゃなくてゲームをしている間にしていたってことよね」

 

「私たちに内緒で運営とCM作りをしていたなんて気付かなかったよー」

 

「あの歌声、お前だったのかよ」

 

「本当にお前は俺達の想像を超えてくれるぜ」

 

「CDは何時ごろ販売するのかな?」

 

あっという間に尋問しながら詰めてくる。ええい、それに輪をかけて気になって仕方がない仲間達もこっちに来るな! 

 

「なぁ、ギルドの中で誰かがMVPになれたらさ白銀さんにあのCMの曲、生で歌ってもらうってのは俺の個人の我儘か?」

 

「うーん、すごく悩むなー」

 

「頼んだら歌ってくれそうな感はあるけど、そもそもあのCMの演奏を完コピできるプレイヤーいる?」

 

「・・・・・時間をくれるなら数日、できなくはない」

 

「あまりにもお尊CMなので、いま猛勉強中です」

 

「ここにいるぞー!」

 

「任せた! 頑張ってくれ!」

 

しかも側の外では歌わせようと目論んでいる奴もいるし!?

 

『イベント、開始5分前となりました。これから特設フィールドに転送します』

 

アナウンスの直後、目の前に参加するかどうかの問いが表示される。俺は迷わずYESを選択した。すると、目の前の景色が歪み始め眼前の景色が変化する。舞台はどうやら無人島のようだ。場所は・・・・・漁港か。もっと周囲を見渡せば背後には緑で覆い茂っている山があり、海岸沿いで少し離れた位置にプレイヤーがギルド、神獣の眷属ごとに分けられているようで見える

 

『それではルールをご説明いたします』

 

目の前にパネルが浮かび上がる。

 

『今回のイベント期間は三時間となっております。その間に各ギルド、神獣の眷属のプレイヤーは討伐対象であるモンスターをより多く撃破、また各ギルドや神獣の眷属の船を撃破することが勝利となります。なお船が撃破されるとプレイヤーは最初に配置された漁港に戻され、三十分後に再スタートとなります。また倒されたプレイヤーに関してはイベントが終わるまで復帰はできません』

 

中々にシビアなルールとなったな。プレイヤーの復帰は無しとは。船もろともなら六回まで戦えるが、三十分は長い。どれだけ前線にいられるかが鍵となるかもしれないな。

 

『イベント内容のご説明は以上でございます。それではイベント開始です』

 

「はい、ということで一時間だけ無人島を調べたいと思います」

 

開始早々に仲間達にそう告げる。案の定、何がと言うわけなんだと反応をされた。

 

「どうして調べるんだよ?」

 

「クラーケンが狙う魚の出現ポイントを知っているNPC、もしくは情報のヒントが無人島に存在しているかもしれないだろ? ここからこれ以上他の所に行けれないなら今すぐ海へ出るけど」

 

「うーん、理解できるけど他のギルドはもう海に行っちゃっているよ? 出遅れても大丈夫?」

 

見える範囲にいるプレイヤーが自前、購入した船に乗り込んでいたり出港している様子に指摘を受ける。

 

「地上と違って海上の戦いは行動と戦闘が制限される。俺が原因でどの神獣の眷属にもなれなかった【蒼龍の聖剣】を狙う他のギルドから数の暴力、リンチされかねないからまずは出遅れた方がいい」

 

「個人的な力だったら圧倒的なのにねー。取り敢えずクラーケンをすぐ見つける方法を探ればいいんだね」

 

首肯する。

 

「その通りだ。もしかしたらこの無人島でしか手に入らない採取アイテムとか生物がいるかもだし、最初の一時間はのんびりやろう。もしも見つけることができたら、クラーケン討伐数で俺達が勝つかもしれないしさ。魚が釣れるポイントの情報は俺達が独占する形だからな」

 

「なるほど。他のギルドは目に見えないクラーケンを倒すよりプレイヤーを倒す方が早いから、必然的にプレイヤー同士の戦いをしてしまうわけか」

 

「よーし、俺が最初に見つけてやる!」

 

「最初からドンパチするよりたまにはのんびりイベントするのも悪くないな」

 

「見つけたらギルド内の掲示板で報告するようになー」

 

「わかっているわー」

 

踵を返して山の方へ歩き出すギルドメンバー達。遠足気分でわいわいと賑やかに談笑しながら森や山へと向かう途中で俺達の足は止まった。―――なぜなら、あからさまにこれを見ろと言わんばかりな巨大な船の残骸の前にボロボロな一冊の本が無造作に砂の上に放置されているからだ。

 

「え、こんなあっさり?」

 

「いやいや・・・そんなわけが・・・・・」

 

「取り敢えず調べるぞ」

 

タゴサックが本を手に取って開いて・・・・・読み上げた。

 

「これを読んでいるということは我々は海の藻屑となっている頃だろう。身勝手だかどうか我々の無念を晴らしてほしい。あのバケモノは一定時間ごとに現れる海鳥の下に集まる魚群を狙う。俺達も漁業を生業にするため必然的にあのバケモノとどうしても鉢合わせしてしまう。死ぬとわかっていても海の男として行かなければ家族を養っていけないが、時期に死ぬ俺の帰りを待つ家族に申し訳ない。ああ、船はもう沈む・・・頼む、化け物を倒して以前の平和な海に戻してくれ」

 

・・・・・あっさりと見つかってしまった上に内容が重くありませんか? でも結果的に無念を晴らすから安心して成仏してくれ名も知らない海の男の人。

 

「出港するぞ!」

 

『おおお~!!!』

 

漁港に【蒼龍の聖剣】の超大型水晶船『水瓏』を出して海に出た俺達は航行を開始した。

 

「【水中探査Ⅰ】」

 

念には念をと使うスキル。コーン、コーンというソナーの様な甲高い音と共に、水中の3Dマップが浮かび上がる。久方ぶりに使うスキルだからレベルはいまいちで低い。でもまぁ、しないよりはマシってなわけで魚群を探し回って10分ほど・・・・・。

 

「お、レベル上がった」

 

同時にもっと広範囲に調べれるようになったところで魚群を発見できた。傍に設置された通信型の水晶から報告が挙がる。

 

『白銀さん、空飛んでいる海鳥を見つけた!』

 

「わかった。全員、魚群を発見したぞー。釣りの準備をしておけー」

 

3Dマップにも魚群を探知できた。そして水瓏を創造したイズとセレーネの設計に不備はない。

 

なにせ釣りをするスペースもちゃんと用意してあって、普段は蓋するように閉ざされている壁が開き、足場が更に船全体から伸びた。落下防止の水晶の柵が起き上がり、耐久力が高い釣竿や未使用の高級な餌を船内に収納していた棚から取り出せるようになっているのだ。釣竿に関しては種類が豊富で、釣りのプレイヤーがこれを見たら垂涎ものだった。

 

操舵室からその様子をモニターで見れて、釣りをしに来たプレイヤー達が続々と海に向かって餌付きの釣り針を遠くに飛ばして落とした。板前のプレイヤー石田がさっそく魚を釣り上げて喜々とテンション―――マグロを一本釣りして凄く嬉しそうだ。

 

『マグロキター!!!』

 

『きゃあああああ! タ、タコの足があるサメが連れちゃいましたー!?』

 

『補助:攻撃開始します』

 

・・・・・うん、サイナにイカルの助力を頼んで正解だった。隣にいた石田なんて絶句していたし。なるほど、クラーケンだけじゃないのかモンスターは。いても不思議ではないけど、実際に海で釣りをしたことが無いから知らなかった情報だ。というかあんなモンスターを吊り上げる『太公望の釣竿』すごいな? 他のプレイヤーは・・・・・俺が見つけた魚群はマグロだったらしく、次々と順調にマグロを釣り上げて釣果を更新していくが三分で魚群が消失した。

 

そのことを皆に伝えようとした時、海面から巨大なタコ足が勢いよく突き出てきて俺や甲板にいるギルドの皆、釣りをしていたプレイヤー達も目を張った。

 

しかも大きな何かがそこに居ることを示すように、静かだった海面が一気に盛り上がった。波が荒れ、船が煽られるように大きく揺れた直後――青みがかった触手が船に掴みかかる。

 

「クラーケンが出てきた! 全員迎撃しろ!」

 

吸盤が甲板にしっかりと張り付き、そしてやや離れた位置では遂に大蛸『クラーケン』がその姿を現した。

そして次々と足を船に絡ませるようにしながら、本体の方も徐々に接近してきた。

水瓏よりもかなり大きい。近付くと分かるのだが、とてつもない威圧感を放つクラーケンが触手を船に向かって大きく振り上げる。

 

イッチョウside

 

『前衛のプレイヤーは後衛のプレイヤーのダメージを最小限にするため身体を張れ! 後衛は周りの味方とぶつからないよう自分と味方の位置を把握しながら遊撃! 自分が出来ることをひたすらにやれ! 皆のVITを上げておくが、MP回復と自身の疲労で動けないなら味方に報告しろ! 【身捧ぐ慈愛】!』

 

「聞いたな皆! 前衛と後衛に分かれるぞ!」

 

「巨大なタコ足に攻撃するんだ!」

 

「ヤマタノオロチを思い出させるなこのやろうー!!」

 

「うわっ! あ、ほとんどダメージが入ってない!?」

 

「凄すぎだろ白銀さんのVIT! おかげでダメージを気にせず攻撃できる!」

 

触手に突き飛ばされた味方がダメージを受けなかった事実に皆の戦意が上がった。生産系のプレイヤーが大半なこのギルドなんだけれど、ハーデス君並みの防御力があればペインぐらいでないと一切ダメージは受けない安心感があるよね。となるとこのクラーケンはペイン以下の攻撃力しかないのかな? でも何かありそうなのは確かだよね。

 

「うわー! タコ足攻撃してもビクともしねー!」

 

「本体だ! 本体を狙えー!」

 

「無理だ! 届かねぇぞ!?」

 

HPがないタコの足・・・・・フフフ、ヤマタノオロチみたいになモンスターとまた戦うことになるなんてねぇ。誰かが言った通り、クラーケンの足が船に巻き付いていても弓と魔法でないと届かない離れた位置にいる巨大モンスターに、近接戦闘しかできないプレイヤーは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた時。

 

「それなら俺達に任せろ!」

 

勇ましい声がどこからか聞こえてきた。誰かなと思えば、ハーデス君と同じ巨大化したピクシードラゴンの背に跨ってクラーケンに向かうファーマーの皆だった。

 

「魔法攻撃、撃てぇー!」

 

赤色、青色、緑色、水色、白色、黒色、他にも多彩な色の魔法攻撃がクラーケンに直撃した。

 

「だったらこっちは征服人形たちだ!」

 

プレイヤーが契約した、銃器を装備したたくさんの征服人形がけたたましい音を鳴らし、立てながら銃弾と光線の雨を放つ。見る見るうちにHPが減っていくから意外と苦労しないイベントかもと思っていたら。

 

『全員に次ぐ、東側から他のギルドがこっちに来るぞ。クラーケンか俺達、はたまた両方を獲る漁夫の利を狙っているかもしれない。警戒しろ』

 

東・・・・・どこからだろうと見回すと仲間の一人が大声を上げた。

 

「本当だ、こっちに向かって来ようとしている!」

 

「あの船、大型の蒸気船じゃなくないか?」

 

「自分たちで作ったオリジナルの船だろ」

 

「壊したら、恨まれそう・・・・・」

 

「お前ら、今はクラーケンに集中してくれ!」

 

私も確認できた。オリジナルの船らしく帆がある大型の船だ。水瓏より一回り小さいけど立派だね。大砲とか積んでいるのかわからないけれど、ハーデス君が操舵を握っている限り水瓏を撃沈させることはまず不可能だと思うし、クラーケン狙いなのかな?

 

「【【破壊の聖剣】!」

 

いつの間にかクラーケンに接近して強力なスキルを当てたペイン。味方の攻撃を掻い潜りながらモンスターに攻撃するなんてさすがだよん。クラーケンと一緒に船に巻き付いていたタコ足もポリゴンと化したから仲間達は歓喜の声を上げた。

 

『船を発進させる、被害報告をしてくれ。死に戻りした仲間はいるか?』

 

水晶から告げられる催促に私たちは確認し合って、数分経ってから確認ができた。

 

「誰一人死に戻りしたプレイヤーはいないです白銀さん。装備の耐久値が減ったぐらいだ」

 

『わかった。さて、残すは他ギルドの船だな。まだ追いかけてきている』

 

好戦的、もしくは別の思惑があるのかな? わからないけれど私たちの船を追いかけているということは接触したいのだろうね。

 

『次の魚群か? まだ見つかって・・・・・いや待て、見つけたが移動している。追いかけるぞ』

 

誰かが質問をしてハーデス君は【水中探査】で魚群を見つけた。水瓏を反転させて追いかけてくる船に横っ腹を見せる形で魚群を追いかける。それでも他ギルドの船は追いかけてくるしつこさを窺わせてくる。

 

『全員、別のギルドが見える場所に魚群が止まるぞ。釣りをしたいプレイヤーはしていいが、無防備になるから気を付けるようにな』

 

本当にそうだね。ぽつぽつとだけど片手で数えるのに済む船が見える。他ギルド同士が戦っているのか隣接していて飛び交う魔法が見えるし、離れたところで停止している船もある。私たちもこれからどちらかになるだろうね。追いかけてきた船も水瓏の真横に止まったからね。

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