バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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クラーケンと対ギルド戦イベント3

クラーケン討伐のイベントはほぼPVP戦と化している模様。他のギルド同士が戦っている光景ばかり

見られる。釣りをしようにも魚が釣れないならばプレイヤーと戦った方がいいと判断したのだろう。あれから海鳥を探している俺達も見つけられずにいる。

 

「見つかりませんねー」

 

「そうねー」

 

いっそのこと、プレイヤー全員に泳いで見つけてもらった方が早いか? と思うこともあるが海ばかり見ているとやはり飽きが来る。現に操舵室にイカルがやってきた後に何時ものメンバーが呼んでもないのにやって来たのだ。

 

「暇ー」

 

「娯楽施設があるのに?」

 

「他の皆も暇すぎて遊んでいるんだよハーデスくん。寧ろ娯楽施設があったから皆はストレスも退屈もせずに済んでるかな」

 

「賭け事して盛り上がっているよ」

 

賭け事って・・・・・不協和音にならないといいんだがな。

 

「もうイベントが始まって一時間ぐらい?」

 

「ああ、もうそんな時間だ」

 

「そうか。それならイベント進行の変化があってもいい時かな」

 

だといいがな。・・・・・お。

 

「無人島がある。しばらくあそこで過ごさない?」

 

「いいわね。私は賛成よ。無人島しかない採取できるアイテムがあるかもしれないし」

 

「私も賛成かな」

 

率先して鍛冶職人の女性プレイヤー達が上陸を賛成した。他にも上陸に反対する仲間はいないので水瓏を無人島に向けて近づけた。

 

「地面だぁー!!!」

 

「いやっほぉーぅ!」

 

「海が気持ちィー!」

 

水を得た魚のように無人島の地を踏んで喜ぶ仲間達。彼等彼女等は思い思いに無人島で楽しみだす。クラーケン討伐やPVP、魚釣りよりもこっちの方が楽しいようだ。だからイカルに誘われ俺も無人島で羽を伸ばす。

 

三十分後―――。

 

 

無人島で残り時間一時間も過ごしていたら、どこからか湧いて出てきたNPCが武器を片手に襲い掛かって来た。

 

 

「てめぇらー!! いつまで遊んでいやがるっ! ここが俺達海王海賊団のアジトだと知って―――」

 

「・・・・・【手加減】【エクスプロージョン】」

 

 

ドカァアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

「さて、海王海賊団だったかしら? 色々と聞かせてもらいましょうか」

 

HPを1の状態にした後、仲間達に拘束してもらい武器を突き付けてもらった状態で尋問をする。

 

「へ、へいそうです姐御! なんでも答えますぜ!」

 

「いい返事ね。それじゃあ、この島で他に仲間はいるのかしら?」

 

捕まえた海賊の数は9人ほど。青いバンダナを巻いて髭を生やした強面の男のNPCは俺の質問に何度も縦に振った。

 

「その通りです。とは言っても他の仲間は食料の買い出しで海に出ていていないです。今は俺達しかおりやせん」

 

「クラーケンが出てくるのに?」

 

「あのタコ共は時間ごとに現れる魚を狙って現れるんで、俺達はそれを熟知して襲われない時間帯で航海しているんでさ」

 

ほう、これは有力な情報を持っていそうなNPCと出会えたかも? さらに聞き込みをしてみようか。

 

「あなた達ならクラーケンが狙う魚群の場所を見つけることができるかしら? ポイントという場所に行くことも」

 

「と、当然でさぁ姐御。なんたって丘で暮らすより海で暮らした時間が長いし、商船を襲ってお宝を奪うのが俺達の生業ですぜ。海は俺達海賊の庭のようなもんでさぁ」

 

「なら、海王海賊団以外の海賊団はいたりするのかしら」

 

「いますぜ。なんせ近海に海賊の楽園の島がありますんで。俺達もその島の出身で世界中の宝を求めているところなんでさ」

 

世界中の宝か。それは俺も興味あるかな。

 

「聞くけれど。海賊になるには何が必要かしら」

 

「そりゃあ、船乗りであるのが最低限の条件ですぜ。それから海賊らしく海や丘で悪さを、金品や食料や女を強奪して海賊の島に献上すりゃあ誰でも海賊になりますぜ」

 

「因みに私はその海賊になれる素質はある?」

 

「も、勿論でさぁ! 姐御からヤベェ気配を感じるんで誰でも姐御のことただもんじゃないってわかります! だ、だから縄を解いてくれますかね・・・・・?」

 

船長の乞いをとりあえず無視して、何時ものメンバーで相談する。

 

「海を熟知しているNPC。無視すべきではないでしょ。海鳥も見かけなくなったしもしかしたら次のヒントなんじゃない?」

 

「そうだね。クラーケンが狙う魚を見つけれるなら協力してもらうほうがいいよ」

 

「他にもあんなNPCがいるって言うんだ。他のギルドの連中も俺達と同じ考えをしているはず」

 

「俺も彼等の協力は必要だと思うよハーデス」

 

「闇雲に探すより、確実に見つける手段があるなら使わない手はないわ」

 

結果、賛成の意見が多いので海王海賊団の協力を求むことにした。

 

「海王海賊団、しばらく私達の協力をしてくれない? クラーケン討伐の為のね」

 

「クラーケンを倒す協力だと? バ、バカ言っちゃいけねぇ! わざわざ死に行くような協力はできねぇ!」

 

「勿論ただとは言わない。協力してくれるなら一億Gと大量の食糧を報酬に出すわ」

 

「い、一億G・・・・・!?」

 

現物として大量のGと宝石肉を出す。海賊達は圧倒されながらも目に欲望の色が宿ったのを見逃さなかった。

 

「前金として五千Gを出すわ。もちろん、あなたの命は保証する。しっかり仕事をしてくれるならね」

 

手を差し伸ばす俺を見て、船長は改まった姿勢になって頭を垂らした。

 

「報酬分の働きをします姐御さん!」

 

「少しでも裏切ったら海に放り込むから忘れないでね」

 

「へい!」

 

交渉成立、仲間に拘束を解いてもらい船に乗ってもらおうとすると見知らぬ船が水瓏の横から現れた。

 

「お、船が戻って来やした。俺達はあの船で案内しますぜ姐御」

 

「クラーケンが出現したら一緒に戦うなり離れるなり好きにしていいわ。でも、逃げることだけは許さないわよ」

 

「わかりやした。おーいお前ら、今から出航だ!」

 

船長達も船に乗り込み共に島から出航。それから程なくして海王海賊団の案内で魚群が集まるポイントに着くと釣り糸を垂らせば魚が釣れるフィーバー状態となった。

 

『すげー! 久しぶりに釣れるぞー!』

 

『わぁー、綺麗な金色の魚が釣れましたー!』

 

『なん、だと?』

 

『あ、それ、キング・ツナーモン。魚の王様だよイカルちゃん。凄いねー魚の王と女王を釣り上げるなんて。しかも海にたった三匹しかいないって超レアな魚だってテキストに書かれてるよ』

 

『そうなんですねー。あ、称号手に入りました! 【釣り名人】です!』

 

『称号も取れちゃったかぁー。きっとレアな魚を釣り上げるのが条件なんだろうね』

 

『ほのぼの言ってないで戦ってー! また食用のモンスターなんだから攻撃してくる!』

 

『ヤバい、こっちはクラーケンが出て来たぞー!』

 

『ギャー!!! スミを吐かれたー!!! 前が見えないぃー!?』

 

うーん、阿鼻叫喚。

 

「サイナ、代わりに握ってて」

 

「了解」

 

操舵室を後にして外へ出る。【飛翔】で宙に浮かび空からクラーケンへ魔法を放った。

 

「【ファイアボルト】」

 

雷を纏った炎がビームのように走りクラーケンの胴体を貫いた。INT極振りの状態だから魔法のダメージが思った以上高かったのはいい誤算であった。それからもリアルの知識を活かして目と目の間に魔法を当てれば面白い具合にダメージが減る。

 

 

「か・・・頭・・・・・あの海のバケモンが一方的に・・・・・」

 

「お、俺等は悪夢でも見ているんですか・・・・・?」

 

「なんなんスかあの丘の連中は・・・・・!?」

 

「ビ、ビビるんじゃねぇっ! 俺達は魚の群れが集まる場所を教えれば大金が手に入るんだ! 一つでも間違った場所に案内したら俺達も海に沈められると思えよ!」

 

「「「イ、イエッサー!!」」」

 

「船長、次のポイントに案内してくれるかしら?」

 

「へい喜んで姐御ぉっー!!!」

 

 

残り時間、NPCの協力もあってクラーケンとの戦闘は順調にできた。途中他のギルドとも交戦することもしばしばあったが、勝ち続けたおかげで上位にランクインしたと思う。残りの報酬を海賊船に置いて、あるアイテムを貰い受けると海賊達と別れたその直後、イベントが終了した。結果的に俺達はクラーケン討伐が多かったために上位10位内の成績を残した。他ギルドを倒した数は低かったからだろうが悪くない。

 

「さーて、報酬は何かなー?」

 

「あ、ハーデス君。銀メダルが5枚だよん」

 

「ま、三時間しかなかったイベントだから参加賞的な奴だろうよ」

 

なんなら上位のギルドも銀メダル、一位のギルドは金メダルらしい。ふむ・・・・・。

 

「次のメダル争奪戦は、このギルドのプレイヤーを中心に狙えば・・・・・」

 

「魔王に狙われるプレイヤーが可哀想だな」

 

「同情するぜ」

 

失礼なこと言わないで下しますー? と思いながらある地図を広げた。

 

「まぁいいわよ。これも手に入ったし」

 

「? 何の地図なの?」

 

「海賊の島の地図。しかも新大陸の航海図でもある」

 

「ハーデス、いつの間に手に入れたんだ?」

 

「あの海賊達から貰った。やっぱりNPCとの交流は大切だってことよ」

 

イベント用のフィールドから元のフィールドに転送される。旅館に戻った俺達は互いにねぎらいの言葉を掛けて、本題に入る。

 

「はいみんな、まだ元気だって言うプレイヤーはこれから新大陸に行こうと思うのだけれど、行きたい人は第11エリアに行くわよ。他のプレイヤーより先に新大陸の地を踏みしめる機会を得たいならね」

 

「え、もう新大陸の情報を掴んだのか白銀さん。というか早くね?」

 

「あの海賊の船長から航海図を貰ったからね。今すぐ行けるわよ。まだ行かないプレイヤーは船から経由して後から来てね」

 

「そういうことなら、私は後から行こうかなー」

 

「俺は行くぜ! 称号が手に入るかもだしよ!」

 

「新大陸に最初に着いてしばらくは素材を独占的に集められるなら、行くわ!」

 

二手に分かれて各々行動を開始する。先に新大陸へ向かう俺達の先行組は第11エリアの港町へ『世界の社』を経由してテレポート。港でまた水瓏を出して全員乗り込んだら、他のプレイヤー達の視線を受けながら海へ出た。

 

「この航海図、リヴァイアサンみたいな絵とか渦巻やクラーケン以外にも髑髏の絵とか、色々と書かれてあるね」

 

「それに海賊なんて職業もあることを知ったし、他にもどんな職業があるのか楽しみだわ」

 

「話している内にもう見えたきたわよ?」

 

向こうの大陸が姿を見せる。何せ、俺が操縦しているんじゃなくてドレッドにしてもらっているから当然だな。しかも『黄金の天対』のバフ込みで。【超加速】と【神速】は本当に速い速い。席に座ってシートベルトしなくちゃ後ろに吹っ飛んでいるぞ。ジェットコースターに乗っている気分だった。

 

「今のステータスで俺がどれだけ速く動けるか試したい気持ちがある」

 

「また今度ねー」

 

 

さぁー、着いたぞ新大陸!!! 水瓏を港がない陸に寄せて停泊させた次の瞬間、大鐘楼の音がゲーム内に轟いた。

 

 

≪全ギルドの中で最初にギルド【蒼龍の聖剣】が新大陸にたどり着きました。現時点での【蒼龍の聖剣】のプレイヤー全員に称号【最初の冒険者】が与えられます≫

 

『初めて【新大陸】に辿り着いた死神・ハーデス様には、初回ボーナスとして「落とし物防止箱」を贈呈いたします』

 

『スキル【テレポート】を取得しました』

 

≪全プレイヤーに新大陸の位置を公開しますか? YES NO ≫

 

もちろん許可した。すると目の前の景色が一変して、宇宙の中に立たされている錯覚をさせる空間に俺達はいて、眼前に光ながら蒼天の王が現れた。

 

『プレイヤーの諸君! おめでとう! そしてようこそ、本番の冒険の地、新大陸へ! ずっと君達を待っていた!』

 

『まだまだ歓迎の言葉を言いたいが時間も無いので、この先の冒険について三つ語る』

 

『一つは、一度でも死に戻りした場合は、所持していたGやアイテム、装備品は全てフィールドにドロップしてしまうことだ。ただし救済措置として十分間消えずに残り所有権は死に戻ってしまったプレイヤーの物のままにするアイテムがあるので、それを必ず手に入れることをお勧めする。でなければ、所有権が消えてドロップしてしまったユニークアイテムですら誰かの手に渡ってしまうからな』

 

『二つ、新大陸にいる間、モンスターが出るフィールドでも安全エリアでもプレイヤーを攻撃することができるようになる。例え味方同士でもな。背後のプレイヤーに気を付けろよ』

 

『最後に三つ、この世界はリアルの地球並みに広く作られている。新大陸以外の大陸や島などたくさん点在して、航海して行けばいつかきっと世界一周できるはずだ。興味があったらチャレンジしてみてくれ』

 

『おっと、ついでに言わせてもらうが悪い事をしたプレイヤーに対して特殊な設定が施されている。悪魔に種族転生して魔王になってもそれだけなら問題ないが、新大陸で問題を起こしたプレイヤーには大変な不便を被るし差別扱いをされるから気を付けるように。もちろん救済措置もあるから以前のようなプレイをしたかったらそれをするように』

 

『それじゃあ、俺からの説明は以上だ。この先のことは自分たちで解決してくれ! それも冒険の醍醐味だからな!』

 

蒼天の王が消えて風景も元に戻った。

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