バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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いろいろと模索

 

 

 

有言実行しようとを旧大陸に戻った。氷のような仮面をつけた白銀の女性プレイヤーが情報屋と待ち合わせした場所に向かえば、既にいた相手は俺を見て面を食らった。

 

「なあ!? あ、あなたハーデスなの? なんて格好をして歩いているの!」

 

「ええ、その通りよ。装備の効果のお陰でリアルの時間で一日この格好のままだから困ったわ」

 

「本当に困っているようには見えないわよ。というか、周りの視線を気にしないの?」

 

周り、と言われて見渡せば男性プレイヤーが人の身体をガン見していたり、スクショをしていたり、フレンドを呼んでいる言動が窺える。

 

「データの身体だから特には気にしないかしらね。この格好も、付与してるスキルが強いから着てるわけだし」

 

垂れ下がってる布を摘まんで持ち上げようとしたら、男性陣が興奮した声を漏らし、さらにスクショに熱が入った様子にヘルメスが俺の手を掴んで持ち上げさせないように力を込める。浮かべる笑みから圧が感じる。

 

「本題に入りましょうか、ねっ?」

 

「いいけれど、覚悟しなさいよ?」

 

「うっ、も、問題ないわ! さぁ、かかってらっしゃい!」

 

「ふふ、可愛い反応ね。じゃあ、遠慮なく」

 

へ? と間抜けな声を漏らしキョトンとしたヘルメスと距離を無くして真正面から抱き締めた。俺の偽乳に顔がすっぽり埋まる形の彼女は目を白黒させた後に招かれたタラリアのホームで、海図を見せた。

 

「知ってる限りでいいのだけれど、新大陸に着けたギルドは他には?」

 

「まだ判らないわ。報告する義務なんてないし。寧ろ航行中に船がどの辺りでどう沈んだか、どう大破したのか、どんなモンスターに阻まれたのかの情報が増えてきてるわ。あなた達はどうやって行けたのよ?」

 

「この海図を見ながら航行したぐらいしか言えないわ。モンスターにも襲われなかったし、妨害のギミックにも掠りもせず新大陸に着いたもの」

 

「それもそうよね。これからこれを便りに私たちも他のプレイヤーも海を渡って新大陸に行くから、この情報は凄くありがたいわ」

 

その思いは情報の買い取り額が億を越えるほどであった。

 

「あと、やっぱり新大陸で倒れるとプレイヤーの持ち物が全部その場で落としてしまうの?」

 

「本当にね。でも、救済措置として一定時間所有権は持ち主のままになるアイテムが存在するらしいわ。どこにあるのかまだわからないけど」

 

「それなら調べがついてるわ。公式サイトの有料アイテムで販売してるわよ」

 

運営め、狙ってるなこれ。

 

「そうなると、死に戻りするのに備えてセーブポイントが必要になるわね」

 

「ええ、同感だわ。だから拠点を作ろうかと思ってるけどそういうシステムってあった?」

 

「今のところそういうことできる情報はないわね。フィールドエリアがホームって話なら聞いたことあるわ」

 

おや、俺以外にもそういうエリアを見つけたプレイヤーがいたのか。しかも他にもまだあったとは。

 

「拠点、村作り、職業で村長や町長、領主なんて聞いたことは?」

 

「ありそうなんだけれど、聞いたことはないわね」

 

ないか・・・・・あれ、領主? ・・・・・あっ!

 

「ヘルメス、領主クエストって知ってる?」

 

「え? 領主クエスト? 聞いたことがないわ。もしかして、何かの条件で発生するクエスト?」

 

彼女すら知らないのか。となると、大勢のメンバーを囲ってるフレンドなら知ってるか? ヘルメスに待ってもらい、炎使いのプレイヤーに「領主クエストを知ってるか?」とメールで送ったところ、直ぐに返答が来た。

 

『済まないがこちらは全く知らない』

 

「うーん、知らなかったかー」

 

「あてが外れたみたいわね。ねぇ条件とか知ってるの?」

 

「ギルドメンバーを100人以上集めること。それだけ」

 

「あー、そういうこと! どのギルドもメンバーは数十人はいるでしょうけど、今となっては神獣の眷属になる方がメリットあるから100人も集める、集まったギルドは殆んどないと思うわ」

 

確かにモンスターが強くなったし、第2陣以降のプレイヤーは神獣の眷属になって恩恵を得たいだろう。眷属=ギルドと解釈してもおかしくないし。

 

「【タラリア】はどの眷属に?」

 

「卯にしたわ。AGIとSTRが増えて兎らしく相手の気配を探るスキルが与えられたの。神獣の眷属になると、貢献度次第でアイテムやスキルが与えられるのよね」

 

なん・・・・・だと?

 

「それ、教えても大丈夫なの? 眷属にしか教えられないことになっていなかった?」

 

「大丈夫よ? それは神獣の眷属にならないプレイヤー限定で、眷属になったプレイヤーから教えても問題ないみたいなの。後からこのゲームをするプレイヤーにも、どこの眷属が自分に合ってるのか入りやすいよう私達が情報として扱ってるし」

 

ふむふむ・・・・・それなら今度その情報を買うとして、一つ気になることができた。

 

「神獣の眷属はギルドみたいなもんだと認識してるけれど、なにか特別なクエストがあるわよね? 領主クエストみたいな集団でするものとか」

 

「答えはイエス、だよ。でも詳細までは教えられないなー」

 

「そう、それならいいわ。こっちはこっちで新大陸を満喫するだけだし、さっそく壮観なものを見つけたし、これからももっと見つけてみるわ。新大陸を網羅した地図もあるしね」

 

おっと、どうしたヘルメスさん。そんな物欲しそうな顔をしちゃって。まぁー? 乞うても見せてあげないからねー?

 

 

 

 

旧大陸の用事を済ませてすぐに新大陸に置いてきたマイホームの艦に戻ると、なにやら騒がしい。外に出れば仲間達が何かをしようとしているので、降りてみれば木材を加工したり組み立てようとしている。

 

「どういうこと?」

 

「あ、お帰り白銀さん! いま俺達はここでしかできない挑戦をしてるんだよ」

 

「挑戦?」

 

「ここって安全地帯みたいじゃないですか。なら、【蒼龍の聖剣】用の拠点を作ったらホームみたいなことにならないか試そうとしてるんですよ。材料はモンスターのドロップアイテムと周辺の木々の木材で」

 

そのため攻略兼前線組とアイテム集めの班、そしてここで拠点となる建物を作る班に別れている最中だと教えてもらった。

 

「なるほど。今のところ本格的な拠点はまだ始めたばかりみたいね」

 

「さっき決めたばかりだから。ところで旧大陸の方は? 他に新大陸に着いたギルドはいました?」

 

「まだいないみたいと思う。そういう報告も義務付けされてないし」

 

「そりゃそうか。んじゃ、他のギルドが来ない間に完成を目指しましょう!」

 

そういうことになっていたギルドの皆とスローライフの真似事をする。真似事と称したのも畑作ろうと地面を掘って畝を作ってるファーマーの姿が見掛けたからだ。

 

「タゴサック」

 

「ハーデスか。丁度いい畑作りに手を貸してくれ」

 

「それは構わないけど、畑として機能性がある?」

 

「まだ何も植えていないから何とも言えない。だからこれから試してみるところなんだ」

 

「そう。なら聞いてみるとしましょうか」

 

神獣使いとしてオルトを召喚した。

 

「オルト、この辺りの地面を畑にして作物が育つことは?」

 

「植物が育っているから問題ないぞご主人! それに地面からとても強い力が溢れているから凄く育つかもしれないぞ!」

 

神として進化したオルト神がそこまで言うならお墨付きなのだろう。オルトの話を聞いたタゴサックは笑みを浮かべて他のファーマー達にも伝えていく。

 

「オルト、強い力が溢れているってどういうこと?」

 

「きっと、あの大きい木が原因だと思うんだ」

 

巨大な樹木を見上げるオルト。ユグドラシルのようの特別な木なのか質問してみた俺に向かって首肯した。なら、この地で育てる作物も特別なものにしてみるとしようかな。

 

―――数時間後。

 

すっかり夜の帳の幕が新大陸のジャングルを覆うように降ろした。安全地帯で【蒼龍の聖剣】の拠点づくりは何とか形になった。贅沢な上に潤沢に使ったオリハルコンの宿泊施設を作りたかったが、そこまで扱える鍛冶師は未だおらず、擬態の効果がある全てのアイテムを使って完成したのだった。それに合わせて最後に安全地帯の中心には俺達のギルドの旗を掲げたステージが設けられるとシステムが認めたのか―――。

 

『ギルド【蒼龍の聖剣】が新大陸で初めて安全地帯で拠点を完成しました。称号【建築者】を取得しました』

 

その日の内に二つ目の称号を手にした上に効果は、拠点づくりに関わる作業の速度がそれなりに上がって完成しやすくなるものであった。取得する条件は安全地帯で一定以上の人数の手を加えた人工物を設置する事だった。皆は喜びを隠さず初の拠点づくりの完成を祝って立食パーティーを楽しむ。主役は恐竜肉である。STRが一時的だったり永久的に上がったりする料理を作れたふーかを始めとする料理職人のプレイヤーは、物凄くはしゃいでいた。その後に重大発表をする。サイナに協力してもらいあるモノを皆の前に映してもらった

 

「皆、今日はご苦労様。新大陸に来た日に称号を二つも手に入るなんて思いもしなかったけれど、新大陸ではギルドの皆と協力して得られる称号もあるという判明は凄い情報だと思う。これからも自由にゲームを楽しみながら新大陸で称号をたくさん見つけて獲ろうね」

 

『『『おおおー!!!』』』

 

ステージの上に立つ俺の声に反応する仲間達。

 

「早速これからのことだけど、まずはこれを見て」

 

新大陸を網羅した地図を公開する。これを持っていない皆がざわめき立つ中、これは何なのか説明する。

 

「これはリアルの方で手に入れた新大陸を網羅した地図。新大陸の全体図といってもいいものよ」

 

「新大陸の地図!? なんか、妙にリアルの世界地図みたいなんだが・・・・・」

 

「そう、まさしくその通り。あの蒼天の王が言ってた通り、新大陸は他にも無数存在している。私達はNPCの海賊達から得た海図を頼りにその一つに着いたに過ぎない。それがここよ」

 

細い棒で現在位置を指す。地図を映し出す立体的映像の画面がゆっくりとズームする『樹羅四苦八苦』がある大陸。形は二匹のティラノサウルスのが向き合ってるような形をしている。

 

「私達は『樹羅四苦八苦』と運営の悪戯で創った大陸にいる。その大きさはリアルで言うと北海道並みだと思う。広い・・・NPCや国とかあるのかも未だ分からない大陸にね。モンスターのレベルは皆も知っての通り100以上だった。死に戻りすればどうなることも体験したプレイヤーもいるわね」

 

「さすがにヤバかったわー」

 

「だな。こっから連携が大切だって思うぐらいにな」

 

「生産職ばかりなギルドでー?」

 

「ははは、手厳しいですねー」

 

故に本番なんだろうな。NPCがいる新大陸に行きたいところだが、早々にここから離れたくはない思いもある。

 

「で、ここの周辺にはいくつか他にも大陸が存在する」

 

映像が遠く全体的に映し出される。樹羅四苦八苦の周辺の大陸が。

 

「新大陸は複数ある。旧大陸から北方に向かえばここ『樹羅四苦八苦』。で、他の方面で近い新大陸は」

 

南はコウモリの様な翼の形をした大陸『龍谷』、東はリアルのC国の本土のような広い大陸『華中娑』、西三日月型の大陸『日和』。なんなら俺が最初に到達した南極大陸もしっかりある。リヴァイアサンレイドのステージとなった島もな。ただしその二つは南の方なので、樹羅四苦八苦がある新大陸とは全く正反対、南側だ。さらに四つ挙げた新大陸の奥にはまた別の新大陸が存在している。

 

「この龍谷と華中娑に日和。名前からして龍、ドラゴンが住まう新大陸とリアル側でいうC国と日本っぽい新大陸なんじゃないかと個人的にそう解釈しているわ」

 

「へー、名前までわかるなら着いた時が楽しみだな」

 

「でもさ、いつ行くんだって話になるだろ。まだ恐竜がいる新大陸に来たばかりなんだぞ?」

 

「絶対にレベルも高いよなー。新大陸のモンスターを倒すぐらい強くならないと楽しめないぞ」

 

「何言っているの! 強さばかり求めてたら楽しめないでしょ! 白銀さんは防御力極振りのプレイヤーよ? 普通に判断したら強いと思う? ただの防御力が高いだけで攻撃力は無い上に移動も亀より遅いプレイヤーになるのによ?」

 

「いやまぁ、それはそうなんだが。白銀さんはその成功例と言える生きた伝説だから、他のプレイヤーと一緒にするのは可哀想では?」

 

うん、俺を例えるのは止めて差し上げて。切っ掛けは教えてあげるけどそれ以降は自分でどうか頑張ってほしい。本気で防御力極振りのプレイヤーを目指すならな。

 

「白銀さーん。何時までここに滞在するか決まってますかー?」

 

「取り敢えず、一週間はいるつもり。ログインしていない仲間もいるわけだしね。その間にたくさんの未発見を見つけてその後に『世界の社』を設置するわ」

 

「あの社って新大陸でも・・・使えたな!?」

 

「社があれば時間はかかるけど、確実に他の新大陸に行けるから安心だな」

 

「結局、レベルの問題があるけどな」

 

「レベル上げなら旧大陸でやればいいだけだろ。戦い慣れたモンスターだけでなく、クエストでも経験値が上がるし」

 

「でも、一体だけなら戦えなくはないよな。しかも倒したら凄く経験値が美味い」

 

「だったらどんなパーティでも恐竜を倒せるように頑張ろう。今日も入れてまだ一週間はあるんだ。この機に他のプレイヤーやギルドに負けないぐらい強くなるべきだ。特に強くなりたいプレイヤーはな」

 

「生産職としては、未知の新アイテムが欲しいです。材料を提供してくれるなら適正価格で創って用意しますよー」

 

生産職の誰かが言った。その台詞の後に格好良さと強さを求めるプレイヤーが熱を持った。

 

「恐竜の素材で作ったフル装備・・・・・悪くないな!」

 

「いいね、格好いいじゃんソレ! 俺、ティラノサウルスの装備を集めるまで頑張る!」

 

「重戦士のプレイヤーだから、耐久力と攻撃力が高い恐竜を狙いたいな・・・・・」

 

「それっぽい恐竜っていたっけ?」

 

「名前は知らないけど重い一撃を放てそうな恐竜はいるぞ」

 

和気藹々と皆が話し合っている光景を見守っているとメールが届いた。送り主からのメールを見て深い笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――それで、笑ってた理由は何ですかね王様?」

 

ログアウト後、夕食中に話しかけてきたイッチョウこと燕。瑠海と璃香も俺が笑っていたところを見ていたのか気になっていたらしく燕に同意するかのように視線を送って来る。出来栄えがいいパエリアを食べてから教えてやった。

 

「随分と前に、ギルドを結成する際に『領主クエスト』ってのが発生したじゃん」

 

「確かにそうね。それがどうかしたの?」

 

「頼んではいなかったけど、自主的に調べてくれたタラリアから送られたメールで知ったんだ。領主クエスト、俺達なら達成できそうだなって」

 

「その理由は?」

 

知りたがってる三人に告げた。

 

「まず領主クエストをするプレイヤー、ギルドのリーダーやマスターが主にクエストをこなさないといけないんだ。最初にする事が領主になるに必要なNPCから知名度と名声を高める事、それからホームだ」

 

「それだけならNWOで有名なプレイヤーならできそうなことね」

 

「まぁーそれが100人以上必要ってのが大変なんだがな」

 

「あ、訂正するわ難しそう」

 

「ん、そうだな。それでその2つを達成出来たらホームを売買しているNPCが現れてな。どこぞの王様と謁見が出来る手紙を受け取ったんだ」

 

「どこぞの王様って、どこの?」

 

「人間至上主義者の国の王と帝国の王のどちらかだ。選択できたらしくて帝国の方を選んだプレイヤーは帝国の王と謁見を叶った。領主ってのは大体貴族だから、貴族になる条件のクエストが発生する。それが今日まで戦った戦果とレア度と品質が王が指名した高い献上品」

 

「最終的に領主クエストをしたプレイヤーはそれも達成できたんだよね?」

 

その通りと頷く。でなければ事細かくメールで送ることはできない、

 

「そのプレイヤーは見事にクエストをクリアして貴族となって領主となった。するとどんな事が起こると思う?」

 

どんな? 3人の頭上に疑問符が浮かび上がる。分からないと顔に出るのも仕方がない。

 

「領主専用の、大勢のNPCも住みつける領土が与えられる。ギルドホーム以外最初はプレイヤー達が1から作っていく必要あるけど、領地に招いて住み着くようになったNPCが多ければ多いほどステータスが上がっていくらしい」

 

「へぇ、最後は城壁と城があるホームに成長したりして?」

 

「ギルドホームが城みたいなもんだから、それは出来ないかもな。うーん、こうなるならあの時クエストを受ければよかったな」

 

「そう言うけれど、あなたは魔王だからクエスト受けられないでしょ?」

 

「いや、領主クエストは個人でなくてギルドのクエストだぞ。だから魔王でも問題なく受けれる」

 

「でも恐怖の大魔王じゃん。NPCの間で好感度最悪なまで低いし逃げられるんじゃあ集まらないよ」

 

はいそこー、失礼なこと言うな。胸を張ってドヤ顔をする。

 

「残念だな。今の俺はプラスにもマイナスでもない0の状態だ! 称号【英雄】のおかげでな!」

 

「・・・・・英雄なのに好感度0って悲しすぎません?」

 

「お黙り! NPCが逃げないでくれるだけ大きな進歩なんだぞ! 顔を見ただけで泣かれる俺の気持ちにもなれ!」

 

「ア、ハイ・・・・・でも、王様の声に応じてくれるNPCっていますかね」

 

そりゃあ、お前・・・・・。

 

「一括りにNPC=人間だけじゃないから、魔王でも仲がいいNPCもいるから誘えると思うぞ・・・多分」

 

「自信のない王様は地味に初めて見た」

 

「そうなの?」

 

「不確定要素だからな。当然だろ」

 

「だよねー。というか質問いい?」

 

なんだ、と璃香に視線を送る。

 

「蒼天の王様なのに自分の国から離れて仕事しないで大丈夫なの? ずっと気になっていたんだけど」

 

「俺がする仕事ってのは大体、4人の王が持ちかけてくる案件の相談と確認に承認、それと世界各国の大統領と会って適当に話をする程度だ。それ以外は基本的に自由なんだよ蒼天という国の象徴でもあるからな」

 

璃香にはすでに俺の正体を暴露した。最初こそおっかなびっくりをして、萎縮していたが今ではすっかり遠慮なくフレンドリーな言動をしてくる。

 

「んで、国から離れても問題ない。さっきも言ったように4人の王がいるからな。他国から戦争を仕掛けて来ない限りぐらいは」

 

「蒼天に喧嘩を吹っ掛ける国なんていないでしょ」

 

「敵視されている国はいるぞ。大体日本のお隣さんとまたそのお隣さんとか。しょっちゅう蒼天に国民を観光させろって面倒くさいのが」

 

「国なのに観光を拒絶しているの?」

 

瑠海の指摘に燕が説明を買って出た。

 

「問題を起こす外国人を入れたくないだけだよ。全員が全員そうじゃなくても」

 

「昔の日本のように鎖国政策や体制をしているのはそういう理由なんだ?」

 

「それを撤廃してから日本は国内で外国人による問題を抱えてしまうようになったんで、蒼天は二の舞を踏みたくないんだよ」

 

まったくもってその通りである。だから一部の外国人による不法占拠兼入居されてしまって、銃を持ち込む外国人達に不法侵入されるし、規律を守らない外国人の問題が起きるんだよ。

 

「一応、形だけの交流はしているがな。まー、蒼天の人間というだけで誘拐・拉致・監禁・強襲・奇襲なんてことがよくあるわけで」

 

「待って、待って? そんなことがよくあるってどういうことなのよ?」

 

「そりゃあ、蒼天の人間を一人でも確保できれば、色々と搾り取れるし弱みを握れると思っているバカはいるからな。蒼天の生徒のみ長期間も外国に旅行させたらそういうこと最低でも一度は遭うぞ」

 

「はーい、私もその一度に遭った学生でーす」

 

えええ・・・と二人は燕を見てドン引きした。生徒だけで修学旅行をさせているのは学園の中で腕も立つ一部のクラスだけだし、それ以外は教師と同伴だ。燕の場合は前者の方だ。

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