その日の内に、本当に俺が案内する形でイズとセレーネ、仲間同士が連絡し合って水瓏に集まったギルドメンバーを乗せて件のたくさん採掘できる場所へ【大地の揺籠】で移動する。三度目のサイナの機械型の光虫で暗闇を消して明るくして貰えば、皆は至る所に採掘できるポイントの数に圧倒される。
「着いたぞー!! 喧嘩せず好きなだけ採掘していいからな!」
『『『『『おおおおおおー!!!』』』』』
我先と降り立ってピッケルやツルハシを採掘ポイントに向かって移動し打ち下ろす。
「おおお! 見たことのない鉱石だ!」
「見ろ、宝石も採れるぞここ!! ダイヤモンドだ!!」
「金だ、金が採れたぁー!!!」
「オリハルコンまであんのかよ! なんだここ!?」
「ヒヒイロカネきたー!!!」
「マンガン? マンガンってなに!?」
「タングステン!? なんでタングステン!?」
ハハハ、皆はしゃいでますなー。でも彼等彼女等よりも凄いのがイズとセレーネであって。
「すごいすごい! 見たことも聞いたこともない、レア度も品質も高いものばかりだよイズ!!」
「そうねすごいわ! 手が止められない、止められないわ! 止めたくもないわ!」
本職故、他の連中よりも早く採掘して採掘した物の量が多い。俺も交じって採掘しているが二人には負ける。まぁー?
「オルトーズ諸君、頑張って採掘してくれ!」
「任せろご主人!」
「「「「「ムー!!!」」」」」
俺にはオルト達がいるから白兵戦には負けない自信はある。・・・・・お、古代の結晶だ! こっちは宇宙の星塊(小)!? まだあったのか!
そんな驚きの物も発掘して以降も掘り続ければ採掘ポイントもあっというまに目減りしていき、十数分後には完全に無くなった。満足気な仲間達と艦に戻って地上へ帰還した。うん、やっぱり近寄り太陽が拝める外が・・・・・。
「おーこれはこれは」
ビーチに向かってくる今この大陸にたどり着いたと言わんばかりな大型船を発見した。船内にいる仲間達にそう告げれば、他の船を見ようと甲板に出てくる姿が多い。
『ハーデス君、どうしよっか?』
「どうするも何も、俺達は何もしないつもりだ。でも、いったん全員はアイテム等を奪われないようにしまっておいた方がいいだろう」
『わかった、そうするよ』
もしものこともあるからな。そのことが伝わった様子で甲板にいる皆が船内へ戻って行く。船内にあるギルド専用のアイテムボックス、もしくは旧大陸に戻ってアイテムを預けに行っただろう。ビーチに停泊する水瓏の横までわざわざ近づけてくるギルドは一体・・・・・? 船の帆に描かれた絵を確認した。
「龍、辰・・・・・の神獣ギルドか」
ということは・・・・・俺の脳裏に浮かんだある赤髪のプレイヤーの顔。
ドドドドドドドドドゴーンッ!!!
「・・・・・・」
だが、こうして来るとは俺も予想外であった。よもや至近距離から『砲撃』をしてこようとは。ダメージが皆無でも衝撃は無効化されず、酷い揺れに襲われる。
『白銀さん、今の音は何だ!?』
「辰の神獣ギルドからの砲撃だ! 攻撃、襲撃を受けている!」
『は!? 襲撃だって!?』
「ダメージは皆無だから問題ない! 全員はすぐにアイテムをしまってこい! ここは新大陸、死に戻りしたら相手に全てを奪われるぞ!」
『わ、わかった!』
【機械神】! やってくれるな、辰ギルド! 甲板に三門の三連装の砲身や対空砲など水瓏が戦艦と化して全て今でも砲撃をしてくる大型船に向け―――。
ドォン! ドドォン! ドドドーン!
向こうからの砲撃が一瞬だけ止んだ隙にサイナからメガホンを受け取って艦橋から叫んだ。
「俺達【蒼龍の聖剣】ギルドの船に対する攻撃の意思はしっかりと伝わった! 攻撃してきたからにはこの大陸で死に戻りする覚悟があっての行動だと認識させてもらう! 全滅は覚悟しておけよ辰の神獣ギルドのプレイヤー達。その船に俺の知り合いや友人が乗っていようと手加減はしないからな!」
そう言った直後に砲撃を開始した。
ペインside
味方とも敵とも言えない神獣ギルドからの一方的な攻撃に対してハーデスも応戦開始した。船内に備わっているアイテムボックスに装備以外失いたくない物を預けて甲板へ戻れば、水瓏から砲撃を受けている相手ギルドの船はすでにいくつものの風穴が空いていたり巨大な水晶が突き刺さっていたりしていて、もうこの大陸から出航することも難しいだろう。あの船に乗っていたプレイヤー達はビーチで仲間達と戦っている。俺も行かなければ。
「この野郎ども! いきなり攻撃してきやがってふざけんな!」
「私達が何をしたっていうのよ最低!」
「ぶっ倒してやる!」
「うぉらー!!!」
仲間達の怒号と気合の入った声に交じり、辰ギルドのプレイヤー達も俺達に対して似たような叫び声を上げているが、この大陸で俺達がどれだけレベルを上げて来たか、強くなっているのか知らないだろう。
「何だこいつ等、生産職のプレイヤーとは思えない強いじゃねぇかよ!」
「くそが! お前らが集めたこの大陸のアイテムを寄こせよ!」
「船も寄こせ!」
俺達から新大陸で手に入れたアイテムを略奪するのが目的か。船も手に入れようとするのも、乗ってきた船が本当に使え物にならなくなったからか。
「身勝手だねー。自分たちから先に攻撃して来たくせに船を奪おうとするなんて」
「そんなことはさせないがな」
「へっ、久しぶりに対人戦が出来るな。大暴れしてやるぜ」
「ハーデスは水瓏を守護するだろう。彼の分まで倒すよ」
口に出さなくとも態度で俺の言葉に同意する三人と前線に加わり、敵対してくるプレイヤーを纏めて倒す。でも水瓏からの砲撃と銃撃も敵船から、砂浜にいる敵プレイヤーに向けられるようになるのも時間の問題だろうさ。
「【支配の聖剣!】」
多く固まっているプレイヤーの間に移動して発動したのは、発動者を中心に10Mの範囲内にいるプレイヤーの武器装備の所有権を一時的に奪うスキル。手元から離れる自分の武器に動揺する敵に向かって剣を振り下ろす俺に呼応して支配した武器が流星のごとく砂浜に落ちる。武器を操作することができるスキルを手に入ることができそう、と言ったハーデスの予想は的中したね。
「ペイーン! そこ、邪魔だよ!」
宙に浮くフレデリカにそう言われ、【八艘飛び】で空へと離脱した同時に彼女の魔法がビーチにいる敵に直撃した。
「吹っ飛びやがれ!」
「【神速】」
攻撃、スキルの発動と同時に【爆炎】が付与されてドラグの強力な一撃を貰ったプレイヤーが吹っ飛ぶ。いつの間にか攻撃を受けて死に戻りするプレイヤーは、目にも留まらない速さで動くドレッドに分けも分からず倒されていく。戦いは俺達以外のプレイヤーも何人か死に戻りするも、優勢で戦えているそんな時だった。
ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!
―――飛び出して来た大型の肉食恐竜にも敵が蹂躙される。水瓏から渡橋が伸びて来たのを見て、ハーデスが戻って来いと言外している気がして皆に撤退の声を伝える。
「うわぁあああああ!?」
「きょ、恐竜! ティラノサウルスだぁー!!」
「ビビるな! レベルが高くてもこっちは数で押せば勝てる―――は?」
「うおおおお!? なんで恐竜が炎を吐くんだぁー!」
「ざけんなー!!!」
その間にビーチでは阿鼻叫喚。敵プレイヤーが一方的に倒されていく様を俺達は見届ける。この大陸のモンスターとそれなりに戦った経験のあるプレイヤーしか分からないパターンがあるから、何も知らないプレイヤーには驚くことばかりだろう。
「ははは、初めて戦った俺達みたいだ」
「他人の不幸は蜜の味とか言うけど、俺的には目の前の思い上がった連中が無様にやられるところをポップコーンを食べながら眺めたいな」
「映画を見る気分かよ。B級映画にも劣る演出だぞあれ」
「いい気味よ。私達に攻撃した罰だわ!」
「でもさ、あれ、回収していいのか? 見渡す限り相手の落し物がたくさんある」
「止めておこうぜ。後で自分たちの装備やアイテムを返せ! って言ってくるぞあいつ等。そういうことしてもいい新大陸にいるからって、このゲームをしている間に粘着されたくねぇし」
「俺も賛成だ。【蒼龍の聖剣】はそういうことをしないように他の皆にも伝えようぜ。強制的じゃないことも含めて。自己責任としてな」
ハーデスが集めたプレイヤー達はモラルを尊び、尊重する。物欲しそうなプレイヤーもいなくはないが周りの空気を読んで実行しない。
『落ち着いたら死に戻りしたプレイヤーは自分の装備を取りに行ってこいよー。敵の装備が欲しいなら自己責任で取って良し。ただし死に戻りしたプレイヤーからしつこく言い寄ってくる覚悟の上でな。俺は助けないから』
ギルドマスターの許可が下りても自己責任であり助けてくれない公言をされては、水瓏の砲撃でティラノサウルスが倒れて無人のビーチになり、死に戻りしたプレイヤーが自分の装備を取りに回収しても他のプレイヤーの装備に手を出そうとはしなかった。
フレデリカside
神獣辰ギルドと戦闘が終わってすぐにハーデスの所に向かった。というか、ハーデスが皆を集めて話し合いを始め出した。
「えー突然の他ギルドと戦闘になってしまったが、新大陸にいる間はこういうことも珍しくないかもしれない。そこのところ皆も気を付けてほしい。こっちがその気無くても向こうが、な」
挑んでくるなら相手になるだけだよ、って言いたいけど頻繁に攻めて来られるのは困るな~。
「注意事項はこれでお終いだ。本題は洞窟の中で何が採掘して手に入ったか情報を集めたい。口頭で伝えずギルドの掲示板で投稿してほしい。出来れば全員な。今すぐじゃなくていいからよろしく。以上、解散」
特に大したことが無かった話だったから、皆はすぐに集会部屋を後にしていった。私はハーデスに近づく。
「ハーデス、どうしてこんなことを?」
「純粋に情報として集めたいからだ。なんせ古代の島でもあるからな。どんなアイテムが眠っていたのか、知りたい性分なんさ」
「ふーん、じゃあこれからどうするの?」
「ちょっと検証。ほら、プレイヤーの落し物って時間経過でどうなるか。それに船がロストしたことで死に戻りしたプレイヤーはどうなったのか、俺達はまだ知らないし」
完全に破壊したのはハーデスだよね? と喉の奥から出掛けた言葉を呑み込んで納得した風に相槌を打った。