「えーそれじゃあ第二次恐竜捕獲大会を開催するぞー。前回と同じ場所でするから、前回手に入れられなかった恐竜をテイムしたいプレイヤーを最優先にするから、既にカスタムした自分の恐竜を持っているプレイヤーは順番的に最後なー!」
『『『おおおおおおー!!!』』』
SCAR-RED・T-REXの頭部の上から宣言する。また森中に火を放って恐竜を集めて誘う役割を担ったプレイヤー達を見送り、再び大量の恐竜を事前に設置した巨大な落とし穴に嵌めてからHPを一割にして氷結と麻痺の状態異常を付与する。そしてその間にテイムを試みる仲間達はやっと手に入った恐竜に歓喜した。
「白銀さん、モササウルスが欲しいんだけど・・・ダメか?」
「あれかー。手伝うけど、大変だぞ? 大丈夫?」
「や、やってやらぁー!?」
十数人ほど海竜をテイムするべくイカルとメイプルに協力を仰ぎリヴァイアサンの姿で大海原へと旅立つ二人の背中に乗っている仲間達に告げる。
「さて諸君。まずはモササウルスの大好物であるアンモナイトを大量に倒せ」
「その後は?」
「アンモナイトのドロップアイテムが手に入るから、それを集めてると向こうからやって来るんだ。でも、アンモナイトは広く散らばっているから探すのは大変だぞ。ドロップアイテムも必ず落とすとは限らないし」
「それが大変な意味かー!」
「頑張れー。取り敢えず【水泳】【潜水】【海王】のスキルを付与したから泳げるだろ」
「あのーどのくらい集めれば?」
「10個だ。というわけで、ここからは皆が自力で探すようにな。ただし、全員9個までだ。先に10個も集めてしまうと一人でモササウルスと戦うことになるから。イカルとメイプルもアンモナイトを見つけたらドロップアイテムを確保して欲しい。9個ほどでいいから」
「わかった!」
「わかりました! ハーデスさんはどうするんですか?」
「再集結する場所の目印として残っている」
んー、大陸も見えなくなったからこの辺りでいいか。イカルとメイプルを止め、海の上に立つハーデスは【海竜人】で性転換してナイトドレスを着ると、海上が氷の大地と化しながら天に向かって伸びる氷柱を作った。
「それじゃあ、海の中にもモンスターはいるから一時間まで死に戻りしないように気を付けながら頑張ってね?」
「「「「「うおおおおおー!」」」」」
可愛くウィンクすると仲間達が興奮した声を上げながら海へ飛び込んだ。
「お姉ちゃん! 私も頑張ってきまーす!」
イカルまでやる気を出してしまい、激しく水飛沫をあげながら行ってしまった。メイプルも明後日の方向に向かってアンモナイトを探しに向かう。俺は氷の椅子とテーブルを創造してのんびりと寛ぎだす。
【炎帝ノ国】にして神獣ギルド辰に所属のミィ達も鉱石や木材を集めて完成したオリジナルの大型船『煉獄丸』。甲板から辿り着いた新大陸『樹羅四苦八苦』に停泊する船の数々を確認していると、ミザリーが近寄ってきた。
「この辺りは先についた他のギルドの方達がたくさんいます。偵察に向かった仲間からの報告では、内陸で多くのプレイヤーの争いが激化しているようです」
「そうか。では別の場所で我々も上陸しよう」
偵察に向かったプレイヤーが戻ったら安全な場所での停泊を求め出航する煉獄丸。真っ赤に燃えているような大型船は大陸の脇を半分も進んだ先に不思議なオブジェクトを発見した。
「柱・・・・・?」
「はい、それにプレイヤーが一人いるそうです」
「【蒼龍の聖剣】か?」
「まだわかりません。接触しますか?」
「ああ、そうしよう」
もしも件のギルドであるなら、プレイヤーがいない場所に船を止めているに違いないので、自分達も他のプレイヤーに邪魔されない活動をしたいがために同じ停泊場所に船を止めさせて欲しい思いで海上の柱に船を進ませた。
柱と思われたものは、冷気を発する氷のものであって、海上に浮いている足場も凍りついた海水であることがわかった。
「すまない。少しいいか」
話しかけた時。女プレイヤーの頭上に浮かぶ『死神・ハーデス』と名前にミィとミザリーは驚きの色を浮かべた。
「ハーデス、なのか?」
「あら、久々ねミィ」
「・・・・・性転換しているのはなぜだ?」
「この氷の足場を作るため。解除すると無くなるからこの姿でないといけないからね」
また新しいスキルを手に入れたのかと予想させるハーデスは大陸の方へ腕を伸ばした。
「あっちに私達の船が停泊してるけど、ミィ達も船を停泊させたいなら【蒼龍の聖剣】に攻撃しないでね」
「勿論だ。他の者達にも言っておく」
「【炎帝ノ国】のギルドメンバー限定で、ね」
何か含みある言い方をするハーデスに問おうとしたミィ達の船の横からリヴァイアサンが同時に二匹も海から顔を出した。
「お姉ちゃん、ただいまー!」
「あれ、ミィさんだ!」
巨大なモンスターの出現にミィ達は言葉を失うも、リヴァイアサンに変身したプレイヤーであること気付く。さらに氷の大地に海から這い上がる少なくない数のプレイヤー達。
「白銀さん、何とか集めて来たぞ」
「ごめん、俺、3匹しか見つからなかった」
「本当に見つけるのが大変だったし、そこら中にモンスターいたのがヒヤヒヤしたわ」
「次はいよいよテイムだ!」
ハーデス達が何かしようとしている、それだけは分かるミィは具体的に何をするつもりか訊ねたくなったので口を開いた。
「何をするつもりだ?」
「仲間がテイムしたいモンスターを、これから呼んでテイムしようとしている」
「そうなのか。私達は邪魔か?」
「攻撃をしないでくれるなら見てて構わないわ。それじゃあ、最初にジャンケンして勝った人からいつも通り順番でテイムするわよ。足りない分は皆からアイテムを貰ってね。それでも足りなくなったらまた集めましょう」
「「「「「おう!」」」」」
ハーデスの指示に従い、ジャンケンに勝ったプレイヤーが不足分のアンモナイトのドロップアイテムを受け取ると全員が海に潜り込み数分待つと、巨影が姿を現す。
「本当にキター!!!」
「うお、デケーしカッケー!」
「皆は待機ね。私が弱らすから」
「「はい!」」
MPを消費して氷の魔法を行使するハーデス。モササウルスを閉じ込める氷の檻が海中で出来上がり、海上にその姿をミィ達に晒されながら檻を破らんと暴れるモササウルスの身体に『宇宙の星塊』でさらに封じ込め。
「【手加減】【悪食】【パラライズシャウト】」
HPを一割にしていくハーデスはトドメと装備した『日食・Ⅹ』を鞘に納める時にキンッと音を発生させた同時に発生する雷をモササウルスに浴びせ麻痺状態を付与した。
「テイムできる状態にしたわ。今の内よ」
「さすが白銀さん! よーし、【テイム】! 失敗ー!?」
「次は俺だ! 【テイム】! ノォー!?」
「今度は俺な。【テイム】! ・・・無念」
「大トリは俺だぁー! 【テイム】―――ゲットォー!!!」
モササウルスを手に入ったプレイヤーは歓喜で拳を天に向かって突きだした。それでもまだテイムできなかったプレイヤーは挑戦を諦めない。
「次オレだ! 5個集めたから5個分を頼む!」
トレードしてもらったプレイヤーは早速海に飛び込む。またモンスターを捕まえるつもりでいるのが明白なのがミィもわかったところでハーデスに仰いだ。
「ハーデス、私達も船を停めたいのだがいい場所はあるか」
「さっきも言ったけど私達に攻撃をしないなら、【蒼龍の聖剣】の船が停めているビーチがいいわよ」
「お前たちと戦うつもりはないのだが」
「神獣の眷属だとそうは限らないでしょう。【炎帝ノ国】が所属している神獣『辰』と同じ眷属のプレイヤー達に攻撃を受けたのだからこっちは」
【蒼龍の聖剣】にそんなことが遭ったのかと、だから攻撃をしてくるなと忠告を繰り返したのかと理解できたミィは身の潔白を訴える。
「私達がそちらに攻撃を嗾けたと思われているのか?」
「というより、警戒している。新大陸では野良でPVPが可能だから身内以外のプレイヤーに襲われる可能性が非常に高い。警戒して当然でしょう?」
「・・・・・確かに。ハーデスは魔王でもあるから狙われて当然か」
「ハッハッハッ、痛い所を突いてくれるわね」
スッとどこかへ腕を伸ばし指を差すハーデスの意図にミィは短く感謝の言葉を送り、船をハーデスが指す方角へと進めた。
「白銀さん! モササウルスが来たー!」
「わかったわ」
仲間の声に再びモササウルスのテイムの準備に入るハーデス。だがそのモササウルスは通常個体ではなかったことに気付く。
「あ。ユニークのモササウルスだ」
「「「「なにぃー!?」」」」
「戦闘準備! ユニークのティラノサウルスと同等かそれ以上のモンスターだと思って! テイムを諦めて死に戻りしたくなかったら早く海から上がって!」
全身が青白く陽炎のようなオーラを放つ巨大なモササウルス。ここにきてユニークモンスターと遭遇することになろうとは、誰も思いもしなかった出来事であった。
「白銀さん、あれを捕まえられる自信は?」
「モササウルスを陸に上がらせることができる前提なら」
陸地から随分と遠い。そこまで逃げても追いかけてくるのかも分からない。確実にここで戦ってテイムする方が厳しい戦いになるも堅実である。
「欲しいならそうするわよ。どうする?」
ハーデスの提案にプレイヤー達は顔を見合わせる。
「お前ら、どうする?」
「俺は個人的に欲しい。ユニークな恐竜を手に入る機会はこうでもしないと巡ってこねぇし」
「んだな。いま白銀さんが協力してくれているのに、みすみすユニークモンスターを見逃すなんて惜しいだろ」
「でも、テイムできずとも2パーティーで倒したら凄いものがドロップすると思うのは俺だけか?」
「あー、そういうのもアリかー。くっ! 悩ましい!?」
あーだこーだと相談しあっている間にモササウルスが高く飛び上がってハーデス達に向かって咆哮を上げた。
「どっちにするの!?」
「えーと、全員がテイム失敗したら倒す方向で! もうこれでいいよなお前ら!」
「異論なし!」
「考えてる場合じゃないしな!」
「やっちゃってください白銀さん!」
焦りながら決めた提案により、ハーデスは迫ってくるモササウルスの目の前で【海竜人】のスキルを行使した。
「【海割り】」
―――海が意思を持っているかのようにハーデスの思いのまま海底が浮き彫りする形で晒され、ハーデス達とモササウルスが左右に真っ二つに別れた海の底へと落ちた。
「うわ、海が割れた!?」
「どうなってるんだこれ!」
「驚いている暇はないわよ! 【天の鎖】!」
モササウルスの全身に棘がある鎖が浮かび上がって雁字搦めで縛り上げスキルを封じた。その後に『宇宙の星塊』を使い、立体的な八角形の球状の中に閉じ込めると指示を出した。
「他の皆は先に【テレポート】でビーチに戻って!」
「わかりました!」
「待っていますよ白銀さん!」
「先に行ってます!」
スキルを使ってビーチへ転移するイカルとメイプル以外の仲間達を他所にハーデスは攻撃力を極振りにしながらモササウルスに近づく。
「お姉ちゃんは、どうするんですか?」
「モササウルスを大陸まで吹っ飛ばしながら戻るわ。イカルとメイプルも先に戻っててね」
「わかった!」
「お姉ちゃん、頑張ってね!」
二人も【テレポート】してハーデスからいなくなり、代わりにセキトを召喚した。
「移動は頼むわよ」
「ブルルルッ」
天秤にGを払って100万までSTRをあげたハーデスが装備した大鎚が豪快に振るわれて、宇宙の星塊の中で暴れるモササウルスに当たると凄まじい衝撃音と一緒に空高く打ち上がった。
「全力で追いかけて! 【赤き閃光】!」
「ブルルヒヒーン!!」
吹っ飛ばしてすぐにハーデスが跨がったセキトが光となってモササウルスを追いかけた。
イッチョウside
まさか、空から金属の塊の中に閉じ込められた巨大なモンスターが落ちてくるなんて想像もせず驚いた私は、ビーチに戻ってきたイカルちゃん達の話を聞いて呆れた。ハーデス君がまたなんかしたんだって納得したからだ。その赤いペガサスな乗ったハーデス君も少しして遅れて戻ってきては、さらに森の奥へとモンスターを運んで行くハーデス君についていくイカルちゃん達。テイムするためだからって、もっとまともな方法をしないのかなー。
ユニークのモササウルスは全員テイムが失敗したから無事に倒した。仲間達の話では報酬は『古代の覇者(海)を討伐せし者』という称号だった。海にいるモンスターに対するダメージが超高補正が入るのだとか。それにやはりドロップアイテムが手に入ったようで、皆は喜んだ。その後もモササウルスのテイムに費やす時間は続いたが、よもや最後の一人の時にユニークのスピノサウルスが来るとは思わなかった。
「目的の恐竜じゃないけど、欲しい?」
「めっちゃほしいー!!」
という要望通りにテイムを手伝ったが、背中のヒレみたいな構造物を赤熱させながら体を回転して迫ってくるとは誰も予想しなかった! 仕舞には―――。
「うん・・・? ・・・・・。―――!!? 白銀さん! モササウルスまで来ている! しかもユニークなやつぅー!」
「はぁあああああああああ!?」
そんなことあるの!? っていうぐらいユニークモンスターが同じ場に二体もやってくる事態にさすがの俺も度肝を抜かされた。
「皆は一撃離脱の気を配って立ちまわって! 私はモササウルスを陸に打ち上げるから!」
「「「「「わかった!」」」」」
作戦を伝えながら【色彩化粧】で姿を消した。【飛翔】でビーチに現れたモササウルスの真後ろに飛び回り、何度目かの打ち上げを大鎚で吹っ飛ばした。残すは皆が悪戦苦闘しているモササウルスだけだ。空に飛んでスピノサウルスの頭を真上から【手加減】付きの超火力の一撃を叩き込んだ。
「あ、気絶した!」
「なら今の内にテイム!」
「わかった! 【テイム】! おっしゃ、一発で成功ー!」
これで全員分がテイムできた。さて次はユニークのモササウルスだけど・・・・・。
「さっきのモササウルス、どうする? 誰かテイムしたい?」
「いや、最後は白銀さんがよければテイムしても倒してもいいですよ」
「白銀さんが手伝ってくれたおかげでモササウルス手に入ったしなー」
「俺はスピノサウルスが手に入って大満足! しかも初のユニーク!」
「これ以上は甘えちゃいけないと思っているんで。次は俺達がいつか強くなったら白銀さんの手伝いをしますよ」
「ということで、どうぞどうぞ白銀さん! モササウルスをテイムしちゃってください! 他のプレイヤーに横取りされるなんてことあっちゃいけませんよ!」
ふむ、皆がそういうならお言葉に甘えさせてもらおう。森の中に吹っ飛んだモササウルスを探しに仲間達と別れる俺についてくるイカルとメイプルと歩き、それなりに歩いた先に放置されていたユニークのモササウルスを見つけた。まだHPを削れ切っていないから一方的にダメージを与えてから【テイム】した。
「おし、テイム成功だ」
「おめでとう!」
「お姉ちゃんおめでとう!」
ありがとう二人共。ドロップアイテムは手に入らなかったが、俺自身も称号が手に入っている。でも『ホームラン王』ってなんだよ。全ての攻撃と防御時にノックバック(超)の効果が付与されるのは強いけどさー。そりゃあ、モササウルスを何匹も陸地にまで吹っ飛ばしたけどさー?
しかり陸と海の王を揃えるとなると次は空の王を手に入れたくなるな。確かケツァルコアトルスだったか? さーて・・・・・どこにいることやら。