大和side
「では、両名共準備は良いですか?」
Aクラス担任かつ学年主任の高橋先生が立会人を務める。
今日も知的な眼鏡とタイトスカートから伸びる脚にガクトが欲情した眼つきに見られている。
「ああ」
「・・・・・問題ない」
一騎討ちの会場はAクラス。ここは広いし最終決戦の場所としては良い感じだ。
「それでは一人目の方、どうぞ」
「アタシから行くわ」
向こうは木下―――秀吉の姉、木下優子。対するこちらは、
『・・・・・俺が行こう』
序盤からハーデスか。早速その実力を見せてもらおうか。
「この学校にそんなふざけた恰好で登校するなんて、よく学園は許してくれるわよね」
『・・・・・』
「そっちから科目を選択してもいいわよ。
どんな科目だろうがアタシの勝利に揺るぎないもの」
『・・・・・分かったわ』
ハーデスはスケッチブックに何かを書き始め、高橋先生に突き付ける。
高橋先生は頷き、召喚獣を召喚する専用のフィールドを展開した。―――保健体育か。
同じ教科を選んではいけないなんてルールは決められていないし、
土屋が保健体育を選んでもだ―――。
「試験召喚獣召喚―――
『・・・・・
ハーデスが初めて声を出した。とても低くい声音だったけど喚び声に呼応してハーデスの足元に
幾何学的な魔方陣が現れる。教師の立ち会いの下にシステムが起動した証だ。
そして、姿を見せる召喚獣。現れたソイツは、ハーデスと同じ骸骨の仮面に全身を覆う
黒いマントを着ていた。武器は・・・・・ない!?武器がない点以外はハーデスにそっくりだ。
身長は80センチ程度だ。その姿を一言で表現するなら、
『デフォルトされたハーデス』てっところだ。あっちは巨大なランスの重戦士か。
保健体育
Aクラス 木下優子 259点 VS ???点 死神・ハーデス Fクラス
「蒼天から来たとしてもあなたの点数を見なくてもアタシが勝つわ!」
召喚獣を召喚した木下がハーデスを肉薄する!対してハーデスは。
『・・・・・相手を外見で判断するお前の敗北だ。』
―――ザンッ!!!!!
召喚したハーデスの召喚獣が黒い光を残して木下の召喚獣の背後に移動した刹那。
木下の召喚獣の首が身体から離れてハーデスの召喚獣の手に握られていた。もう片方の手には刃が備わっているトンファーだ。
『・・・・・どれだけ高い点数だろうと・・・・・』
保健体育
Aクラス 木下優子 259点 VS 1000点 死神・ハーデス Fクラス
『・・・・・お前の命を狩る死神に負けはない』
せ、1000点・・・・・っておい!?そんな点数を取れるのかよあいつは!
「せ、1000・・・・・っ!?先生、あの点数は本当なのですか!?カンニング、不正でもしない限りこれは!」
「回復試験の立ち合いの元、西村先生が対応してくれました。彼の点数は紛れもなく自身の力でテストの問題を解き一切の不正はしなかったそうです」
あの人の前でカンニングもできない。鋭い監視の眼差しを受ける中であれだけの点数を・・・・・。あっさりと驚異の点数で木下優子を倒したハーデスは驚きのあまり愕然と静寂な雰囲気に包まれた俺達のところに戻ってきた。
「お前・・・・・そんだけ点数を取れるならどうして言わないんだよ」
『・・・・・言う必要があるのか』
「いや別に・・・・・でもお前、保健体育で1000点って凄いな。意外とムッツリーニだとは」
『・・・・・あ?』
そんな事を言ったら、俺はハーデスに大鎌を振り回されながら追いかけられた。それはもう耳の傍で風を切る音が聞こえて本能的に危機感を覚え、松永さんがハーデスを止めるまで続いた!
「自業自得だよん直江君?」
「すみませんでした!」
マジで俺は魂を狩られるかと思った・・・・・!マジで怖かった・・・・・!絶対ハーデスを怒らしてはならないと心から誓っていたところで。
「・・・・・」
土屋がハーデスを睨んだ。
『・・・・・なんだ?』
「・・・・・俺のライバル」
ああ、お株を取られたことでライバル心が燃えたのか。
あいつらしいな。と、二人を見ていると二回戦は松永さんが打って出て―――。
「ハーデス君ほどじゃないけど、私もそれなりに強いんだよねー」
物理
Aクラス 佐藤美穂 389点 VS 521点 松永燕 Fクラス
蒼天は、化け物か?軽々とAクラスの平均点を凌駕する点数を叩き出すなんて・・・・・!
『うおおおおおおお!圧倒的過ぎる!』
『あと1勝で俺達の勝ちだっ!』
勝利を目前に教室を揺るがしかねない声量で盛り上がるFクラス。Aクラスからは動揺の色が隠しきれず、焦りが顔に出ていた。
「では、三人目の方どうぞ」
「こちらからはムッツリーニだ」
「・・・・・(スクッ)」
当然のように土屋か。この勝負も勝てるな。なぜなら土屋は総合科目の点数のうち、
実に80%を保健体育で獲得する猛者だと聞いた。その単発勝負ならAクラスだって負けはしないAクラスから出たのは黒髪に黒目の大和撫子風な女子・・・・・って
「姉さん・・・・・私が出る」
「・・・・・お願い」
Aクラスの代表と瓜二つの女子同士の会話で察し、この勝負は勝利の確信から敗北濃厚になった。何故なら科目を選択できる権利をまだ2つ残しているからだ。
「教科は何にしますか?」
高橋先生がムッツリーニに尋ねる。
「・・・・・・保健体育」
やはり。土屋の唯一にして最強の武器が選択したか。
「試験召喚獣召喚―――
「・・・・・
二人に似た召喚獣が、それぞれ武器を手に持って出現する。土屋は忍者の服装で小太刀の二刀流。一方Aクラスの相手の彼女は武者鎧に日本刀の出で立ち。しかもどの教科も400点越えでなければ装着できない特殊な
攻撃を発動する事ができる腕輪を装着している。
「・・・・・」
土屋の次の動きを対応しようと日本刀を構える相手に対して土屋は、自分の召喚獣の腕に身につけてる腕輪を輝かせた。
「・・・・・加速」
土屋の腕輪が輝き、あいつの召喚獣の姿がブレた。そして次の瞬間。
「ふっ・・・・・!」
「・・・・・ッ!?」
戸惑う―――土屋の顔。俺もハッキリとは分からない。何時の間にか土屋の召喚獣は木下優子のように身体が首を切り離されてやられていたからだ。
「これ以上は負けられない・・・・・」
ボソリと、彼女が呟く。一呼吸置いて、土屋の召喚獣の首から血を噴き出して倒れた。
保健体育
Aクラス 霧島翔花 588点 VS 576点 土屋康太 Fクラス
―――ムッツリーニを越えた、だと!?
「・・・・・こ、この、俺が・・・・・!」
あいつが床に膝をつく。相当ショックみたいだ。
「・・・・・これで、二対一ですね。次の方は?」
高橋先生は淡々と作業を進める。声も少なからず震えていた。
まだあと一勝で俺達の勝ちという状況に信じられないのだろう。この順で行くと―――。
「あ、は、はいっ。私ですっ」
『いよっしゃぁぁぁああああああああああっ!』
最後はやはり姫路だ。唯一Fクラスにいながら、Aクラスとまともに戦える人材の一人だ。
彼女が勝利を収めれば、俺達Fクラスの勝ちだ。さて、相手は誰だ・・・・・?
「・・・・・」
Aクラスから歩み出たのは―――霧島翔子だと!?
「なっ、翔子だと!?おい、俺と勝負するんじゃなかったのか!」
「・・・・・ハッキリ言って、久保だと負けてしまうかもしれない。だから、ここで食い止める。
Aクラスのためにも」
なるほどな。流石にAクラス代表も表は冷静そうな顔だが、
内心は焦心に駆られているようだ。
誰がどの順番に出ていいのか自由だし、こう言う戦い方もある。
「ちっ・・・・・!姫路、翔子が出るなら俺が―――!」
「いえ、私にやらせてください」
「朝の作戦にも言ったはずだぞ!翔子に勝てるのは俺しかいないんだ!」
「・・・・・雄二が出るなら、私は久保に変わってもらう」
「んだと・・・・・っ!?」
・・・・こりゃ、詰んだな。霧島の奴、完全にクラスの勝利を狙っている。代表が負けたら勝敗の数は関係なくこっちの負けになってしまうんだからな。それはこれから姫路と戦うAクラスの代表も同じだ。
「では、Fクラス姫路瑞希さんとAクラス霧島翔子さんの一騎討ち勝負を始めます」
高橋先生も頃合いを見て試合を進めた。
「科目は何にしますか?」
「・・・・総合科目」
「分かりました。それでは・・・・・」
高橋先生が前と同じように操作を行う。
それぞれの召喚獣が喚び出されて―――激闘が繰り広げた。
総合科目
Aクラス 霧島翔子 4419点 VS 4409点 姫路瑞希 Fクラス
・・・・・10点差か・・・・・厳しい状況だな。
Aクラス代表は伊達じゃない・・・・・っ!
「・・・・・勝負」
「負けません!点数だけが勝ち負けじゃないんです。
揺るがない想いも籠めて私は勝ちます!」
「・・・・・それは私も同じ・・・・・」
二人の召喚獣の武器は大剣と刀。激しく刀剣を振るい、激しい攻防を俺達に見せてくれる。
両クラスから二人の声援でいっぱいだ。Aクラスの室内中に声で轟く。
「はぁああああああっ!
「・・・・・っ」
熱い情熱と静かな情熱は何時までも続くかと思った直後、
一方の召喚獣が隙を作ってしまい、もう一方の召喚獣はその隙を突いた。その結果―――。
総合科目
Aクラス 霧島翔子 1点 VS 0点 姫路瑞希 Fクラス
Aクラス側の勝利。
「・・・・・ごめんなさい」
「いや、Aクラス代表にあそこまで追い込んだ。よく頑張った」
「だな、あの代表が1点まで追い込んだのは姫路が初めてだ。
胸を張って誇ってもいいぐらいだぞ」
ふと、ハーデスが音もなく現れた。スケッチブックに文字を書き、姫路に突き付ける。
『・・・・・あとは操作が慣れれば問題ない』
「ハーデス君・・・・・はい、次は負けません!」
「これで二対二です」
高橋先生の表情に安堵の色が浮かんでいる。
Aクラスが負けてしまうなんて思いもしないだろうしな。
首の皮一枚繋がった程度だが・・・・・。
「おい、坂本。次は誰を出すんだ?流石にお前を出す訳にはいかないぞ」
「・・・・・」
次の相手は学年次席だ。それを凌駕できる奴は今の俺達にはいない。
「Fクラス、誰が出ますか?」
あの先生も催促してくる。坂本・・・・・お前はどうするつもりだ?そんな思いで坂本を見ていると―――。
「フハハハハッ!九鬼英雄、降臨なり!」
「おじゃましまーす!」
『・・・・・はっ?』
この場に、戦争中にSクラスの奴らが乱入してきた。流石にこれは予想できないって!
「あなた達はSクラスの生徒達ですね?今はAクラスとFクラスの戦争中です。
干渉しないでください」
「問題ない。我らは余興を観に来ただけなのだからな。・・・・・ほう、二対二か?
あのAクラスがFクラスに敗北に追い詰められているなど前代未聞であるな」
「所詮はAですからね。Sクラス代表の英雄様のクラスには遠く及びません!
ましてや、Fクラスに追い詰められているクラスなら尚更高が知れているです!」
『・・・・・っ!』
Aクラス生徒達から怒気が孕んだ。SとAの両クラスの中は犬猿の仲、最悪と言ってもいいぐらいだ。
「で、死神の戦いは終わったか?終わっていなければ我らの前で戦って見せろ。
実を言うと我は死神の戦いぶりを見たくてやってきたのだらな」
「・・・・・死神・ハーデスの戦いは一回戦で終わりました」
「なに?そうなのか」
これで納得できる―――英雄じゃない。
「では、もう一度死神を戦わせろ。二度同じ者が戦ってはならないルールではないのであろう?」
『はぁっ!?』
この疑問と驚愕が混じった声はAクラスとFクラス全員の声だ。
「待ちなさい。Sクラスが勝手に試召戦争のルールを変えないでください。
これは事前に決まったことです」
「だが、そのルールは決められていないのだろう?」
「・・・・・それは・・・・・」
「ならば問題あるまい。さあ、我の前で戦って見せろ」
英雄の横暴な決め事に場が静まり返る。
「・・・・・しょうがないな。ハーデス、行けれるか?相手は次席だろうが」
『・・・・・問題ない』
正直・・・・・あいつに助けられたって感じだ。ハーデスが中央に立ち、
学年次席の久保利光と対峙する。
「正直・・・・・この勝負は既に意味のないものとなっている。キミはどう思うかね?」
『・・・・・』
久保の言うことにもっともだと、首を縦に振った。
『・・・・・勝負ではFクラスが勝ち。だけど、総合的な実力はAクラスが勝ちだ』
「そう言ってもらえると、ありがたいね。またFクラスと再戦をしたい。今度は真っ向勝負でね」
『・・・・・望むところだ。俺も楽しみにしている』
科目は数学。
数学
Aクラス 久保利光 389点 VS 1点 死神・ハーデス Fクラス
ちょ、1点だと!?あからさますぎる極端じゃないか!?全てのやる気は保健体育に注ぎ込んだってことかよ!
「お前は正真正銘のムッツリーニか!」
『・・・・・待っていろ。後で命を狩る』
そう宣言と共に久保に飛び掛かった。鎧と袴に二振りの大鎌を装備した久保は腕輪を輝かせて風の刃を繰り出す。遠距離攻撃をされても紙一重でかわすハーデスは、距離を縮めて懐に飛び込んだところで振り下ろされる大鎌。トンファーで大鎌の軌道を反らし久保の首筋に死神の鎌もとい交差したトンファーブレードを挟み込んだ。
『・・・・・
最後に技名を発して両腕を振るって久保の首を切り落とした。
―――☆☆☆―――
明久side
九鬼君とSクラスはハーデスの戦いを見たらさっさと自分のクラスへ戻って行った。
「んじゃ、勝者は敗者に命令権を下す時間に入ろうか?こっちは三勝、そっちは二勝だが翔子、Aクラスは何を願う?」
「・・・・・」
霧島さんは一度顎に手をやって悩み、雄二に真っ直ぐ言う。
「・・・・・死神をAクラスに入れる」
「ダメだ。それだけは絶対に権利を使ってでも拒否るぞ」
「・・・・・ダメ?」
「ダメだ」
断わるの早いよ雄二。
「・・・・・じゃあ、死神をSクラス戦の時にだけ貸して?」
「お前、Sクラスに挑むのか?」
「・・・・・何時かしようと思っていた。それに、あそこまで言われて何も思わない私じゃない」
霧島さん・・・・・。
「・・・・・まあ、それだったら問題ないな。んじゃ、今度はこっちの願いを言うぜ。
―――Aクラス全員、Sクラスとの試召戦争の時に全力で俺達に力を貸せ」
「え?」
『ええええええっ!?』
え、Sクラスとの戦争って・・・・・本気で言っているの!?雄二!
「・・・・・雄二もSクラスに?」
「お前と同じ気持ちだったわけだ。最低ランクのFが最高ランクのSに勝ったら
これほど愉快な気分は味わえない。最高だろう?」
「・・・・・雄二らしい」
「褒め言葉として受け取らせてもらうぜ」
肩を竦め、気にしない態度をする雄二だった。本当に、Sクラスと試召戦争をするんだね。
「あのクラスに勝つためには俺達だけじゃダメだ。協力が必要だ。それで翔子、残りの権利はなんだ?」
「・・・・・」
霧島さんは自分と同じ顔の女子生徒に目を向ける。
「・・・・・翔花、あなたの願いはなに?」
「姉さん・・・・・いいの?」
ね、姉さん・・・・・?信じられない言葉を発した彼女に霧島さんは頷いた。
「雄二、まさか・・・・・」
「ああ、あの二人は姉妹だぞ。霧島翔花、翔子の実の妹だ」
「まあ、そうじゃろうの」
「・・・・・纏う雰囲気も同じ」
秀吉とムッツリーニは分かっていたみたいだ。
「じゃあ・・・・・雄二。私と付き合って」
「・・・・・え?」
「お前、まだ諦めていなかったのか」
「諦めない・・・・・ずっと私は雄二が好き」
ど、どういうこと・・・・・?
「拒否権は?」
「ない・・・・今からデートに行く」
「え、あ、や、待て―――っ!」
問答無用とばかり霧島さんの妹は素早い動きでスタンガンを雄二に押し付け、
意識を狩ると雄二をどこかへと連れて行った。
「あー、代表がいなくなったから代理として俺が話を進める。ハーデスと松永さん。Aクラスに何を求める?」
Aクラスの設備とFクラスの設備の交換は約束されたのも当然だ。今回はこの二人、特にハーデスが二度も白星を勝ち取ったんだから多少の我儘は雄二も許すだろう。
「うーん、どうしようかハーデス君?」
『・・・・・Aクラスに求めるものは個人的に何もない』
「私もそうだよねー。でも、クラス全体の事を考えると」
考え込む二人に処刑待ちのAクラスは息を呑む。どんな要求をされても従わなきゃいけない決まりだからね。勿論人権侵害と非人道的な命令以外でだ。
『・・・・・直江大和、お前なら何を望む』
話を振られて面を食らうが、相談をされるなら応えるまでだ。
「坂本の考えではSクラスとも戦う気でいるのは知ってるだろ?」
『・・・・・代表がそれを望んでいるなら、AクラスはこれからSクラスとの戦争が終わるまでFクラスにする。これならFクラスの生徒をAクラスの生徒と一定の期間の間、入れ替えでもすれば成績も少なからず伸びるかもしれない。設備を交換したところでAクラス以外のクラスが戦争を吹っ掛けてくるのが目に見えてるからな』
「あー、Fクラスの成績でAクラスにいたら他のクラスにとって格好の相手だからね。Aクラスの設備を奪った私達は奪いやすい相手になっちゃうから。となると、Fクラスの教室の設備の改善+ランクアップと指定するAクラスの設備をいくつか貰う程度が妥当かな」
おー、それだったら僕も賛成だよ!あんな廃屋の設備が改善されるなら他の皆も文句は言わないと思うし。
「・・・・・いいの?」
「うん、身に余る環境は人をダメにしちゃうからね」
『・・・・・代表が文句言うなら命を狩るまでだ』
いや、狩ってはダメだよ。駄目だからねハーデス。とこれから追い掛け回される大和の身の心配をしてると、代表の霧島さんがハーデスにもっと近づいて、黒いマントを掴んで上目遣いをした。
「・・・・・死神、私と付き合って」
「・・・へ?」
「え?」
『え、えええええええええっ!?』
Aクラスの教室が揺らいだ。
「ちょっ、代表!?どうしてこんな見た目が怪しい奴と付き合うのよ!?」
「・・・・・私は死神の正体を知っているから」
ハーデスがビクッ!と身体を震わせた。何故か松永さんも目を丸くしてる。何でだ?
「えっと、霧島ちゃん?嘘を言わない方がいいよ?」
「・・・・・知ってる。だって、どんな変装をしても好きな人だからわかる」
「・・・・・ちょっとこっちに来て」
松永さんが霧島さんを連れて誰でも聞こえない教室の隅で何やら話し合いをしだしたが直ぐに戻ってきた。
「ハーデス君、この子に教えた?」
『・・・・・(ブンブン)!』
「そっかー、愛って凄いなー」
全力で否定するハーデス。遠い目をする松永さん以外ハーデスの素顔を見たことが無い筈なのに分かるって、愛で片づけていいの?
『・・・・・どうして分かったんだ・・・・・』
「・・・・・分かる。あの日から私はあなたのことを忘れたことが一度もない。
どんな変装をしても、一目で分かる」
『・・・・・そうか』
「・・・・・だから、お礼を前提に私と付き合って」
『・・・・・それは無理だ』
話が平行線だね・・・・・。
「・・・・・今から私とデートする」
『・・・・・今からか!?ちょ、待―――!』
霧島さんの行動は早かった。ハーデスのマントを掴んで廊下にまで引き摺っていく。
「さて、Fクラスの皆。お遊びの時間は終わりだ」
唖然としている僕らの耳に野太い声がかかる。音のした方を見やると、
そこには生活指導の西村先生(鉄人)が立っていた。
「あれ?西村先生。僕らに何か用ですか?」
「ああ、今から我がFクラスに補習についての説明をしようと思ってな」
鉄人。我がFクラスって?
「おめでとう。お前らは戦争に勝ったおかげで、
福原先生から俺と―――副担任の小島先生に担任が変わるそうだ。
これから一年、死に物狂いで勉強できるぞ」
『なにぃっ!?』
クラス男子生徒が全員が悲鳴を上げる!
ちょ、待って!鉄人は分かるけど小島先生って―――。
「あわわわわ・・・・・・!」
「あ、あの先生かよ・・・・・!?」
「うわー、監視が強化されたね」
「俺には関係ないけどな!」
「うーん、僕もかな?」
「大人しくしていればな」
風間ファミリーが誰よりも早く反応していた。小島先生―――正式名は小島梅子。
生徒指導の鬼の西村先生並みに、鬼のように指導が厳しい先生は小島先生で
『鬼小島』という別名がある。
そんな鬼のツートップが僕達の担任の教師になるなんて・・・・・!
『『『『『Aクラスに勝ったのにあんまりだぁあああああああっ!』』』』』
Fクラス男子生徒全員の叫びは、きっと全学年生徒の男子の気持ちも一緒だと僕は思いたい!
―――Aクラス―――
「最後はあんな結果だったけど、ランクダウンはするしいくつか奪われるだけでクラスの入れ替えはせずによかったわ」
「でも、代表には驚いたよ。Sクラスと戦争をする気でいたなんて」
「これから僕達はこの変わらない設備でFクラスになるなんて不思議な気持ちだ」
「・・・・・でも、Sクラスが横やり入れるなんて」
「何か企んでいる・・・・・?」
「にょっほっほっ!失礼するのじゃ」
「っ・・・・・あなたは」
「此方はSクラスの大使じゃ。丁重に扱うようにのう?」
「・・・・・Sクラスが何をしに来たの?」
「このクラスに大使としてやってきた時点で分かっているようなことすら分からぬのであれば、
お主らの頭は空っぽのようじゃな。まあいい、特別に教えてやろう。下々の輩に栄光あるSクラスが手ほどきをしようと思っておる。高があのどん底の知能のない山猿共に苦戦を強いた
下等なクラスに此方らSクラスがAクラスに宣戦布告をしに来たのじゃ」
「なんですって・・・・・!?」
「もしもAクラスが負けた場合、のクラスは此方らSクラスがもらい受ける。
貴様らは最低最悪のFクラスがいるカビ臭い旧校舎に荷物を纏めて引っ越すのじゃ」
「待ちなさい!私達はFクラスに負けて三ヶ月間の試召戦争を禁止されてるのよ。
それを学園が認めるわけがないし、Sクラスの横暴を黙認するわけないじゃない!」
「こちらには世界最大財閥の一つの九鬼財閥に三大名家の一つ不死川家。
他にも此方のクラスに国家や財政に勤めておる両親の者共もおるのじゃ。
学園長は此方らの提案を無化にはできんのじゃ」
「(それは脅迫というものでしょうが・・・・・っ!)」
「よって、学園長も快く此方らの提案を受け入れ、明日の朝九時からお主らと試召戦争をする。
精々頑張るのじゃ。にょほほほ♪」
「・・・・・明日の九時・・・・・今日消費した科目を補給する暇が・・・・・」
「まさか、僕達の戦いを見に来た理由はこの為だったのか・・・・・っ!」
「なんていやらしい奴らなのよ・・・・・!」
「それでも・・・・・私達は戦わないといけない。幸い、私達はFクラス」
「あ、そっか!Sクラスは二クラス分の相手と総力戦をしなくちゃいけないから」
「簡単には勝てない相手だけれど私達も簡単には負けない状況になっていたのが救いね。直ぐに旧校舎のFクラスにも教えましょう」
―――Sクラス―――
「な、何じゃと!?戦うまでもなくAクラスがFクラスになることは既に決められていた!?」
「ええ、情報の食い違いが起きてしまいましたね。質で優ってる私達は量の彼等と戦わないとなることになりました。簡単に倒せる相手ではなくなってしまったわけですが英雄、作戦はこのままで?」
「うむ、作戦に変更は無しだ。我らはAクラスと戦うつもりでいが、そうでなくなってしまったのならば、このまま我らはFクラスに仕掛けるとするぞ」
「元Aクラスに対する宣戦布告の件は?撤回はできませんよ」
「宣戦布告してしまった以上は仕方がない。Aクラスを旧校舎へ追い込むことができなくとも操作を向上することはできよう。だが、死神ハーデスと松永燕は警戒するべきである。よいな」
―――☆☆☆―――
翌日
「英雄の奴・・・・・一体何を考えているんだ?」
「あいつの頭の中は分かりたくも無い」
「なんでまた俺達と模擬試召戦争をするんだろう?」
翌日、朝から試召戦争が始まろうとしていた。SクラスとFクラス、エリートと凡人の戦いだ。
昨日の続き今日も試召戦争をすることになるなんて、思っていなかった俺達にとっては寝に耳に水な話だ。FクラスになったAクラスもSクラス教室に近い為、拮抗の戦いになるに違いない。
英雄は何の目的で試召戦争をするのか?なんか、あいつらしい目的があるような気がするが・・・・・。
それを今の俺達は知る由も無いか・・・・・。
「で、ハーデスはどこに行ってんだ?」
「何も言わずに教室から出て行ったきり戻って来てないね」
そろそろFクラスとSクラスの試召戦争が始まる時間だ。元Aクラスが倒されれば今度はこっちに襲ってくるから坂本と対策を・・・・・。
「あ、始まったわ」
始まりのチャイムが鳴り出すと、殆どの男子達が突然、黒い覆面と黒いマントを装着しては大鎌を持って教室から飛び出していった。な、何ごとだっ!?あ、明久と土屋にガクトまで行った!
―――Aクラス―――
燕side
「西村先生、Fクラス松永燕がSクラスに総合科目で挑みます♪」
「承認する!」
「
試召戦争の開始の合図とともに、Sクラスの教室の黒い樫木で加工された扉の前に陣取って総合科目のフィールドを展開させた。同時に開かれる扉の奥からSクラスの生徒達が飛び出して戦場に足を踏み入れてくた。
「な、もういるだと!?」
「構うな!相手はたった一人。しかも総合科目だ!」
「へ、Sクラスの総合科目の点数は4500点以上だ。蒼天の人間だからって俺達選ばれたエリートに―――」
総合科目
Sクラス 佐藤幸助 4701点
Sクラス 藤堂大毅 4691点 VS 7021点 松永燕 Fクラス
Sクラス 鏡智明 4687点
「蒼天の学校の総合科目の平均点は7000点ぐらいだけど何か言ったかな?」
「「「なっ!?」」」
私の召喚獣の両手に持つ二刀流の刀で先陣切って出てきたSクラスの生徒を瞬殺。まずは牽制ってね。
「そっちがただのエリートなら、蒼天の学校の生徒は世界から選りすぐられた一流のエリートだよん。私は普通枠の人間のつもりでいるけれどね」
ドドドドッ!と地鳴りが響いてきた。ハーデス君の作戦が始まったようだね。振り返れば―――謎の黒い覆面の集団が雄叫びを上げながら大鎌を掲げて駆けて来てる。
『死を恐れるな!我らには死神の加護が授けられている!』
『死後の世界に待っているのは―――!』
『『『『『聖書!聖書!聖書!』』』』』『『『『『金一封!金一封!金一封!』』』』』
『『『『『エイチ・ジィー・エー・エム・イィーッ!エイチ・ジィー・エー・エム・イィーッ!』』』』』
『見よ!松永様が敵の突破口を開いてくれている、突撃じゃあああああ!』
『『『『『くたばれクソエリートの男共ぉおおおおおおおっっっ!!!』』』』』
自分達の少ない
「うわっ!な、何だこいつらぁっ!?自爆しやがったぞ!」
「巻き込まれたら戦死だぞ!逃げろ!」
「馬鹿、後ろに来ないでよ!」
「お前ら邪魔だよ!どきやがれ!」
「戦えよお前!それでもSクラスの生徒かよ!?」
「うるせぇ!だったらお前が戦えよ!」
Sクラスの教室の中で仲間割れの声と阿鼻叫喚が聞こえる。うーん、ハーデス君の作戦通りになってるね。
「・・・・・何これ」
「あ、木下ちゃん。教室の中から出ちゃだめだよ」
気になって出て来ちゃった木下ちゃんと他の元Aクラスの皆。今もクラスメートの自爆攻撃の音が聞こえてくる中で質問をされた。
「Sクラスに何をしてるの?」
「自爆攻撃をしてるところ。Sクラスにこれ以上強くさせないためにね」
「それ、どういうことなの?」
「Sクラスはエリート集団でしょ?Aクラスの総合点数より高いのに召喚獣の操作まで慣れてしまったら手が付けれなくなるんだよん。ハーデス君の作戦で、相手に何もさせないまま戦力をできるだけ削っているんだ」
この作戦を考えたハーデス君はまだいないけどね。
「・・・・・死神、凄い」
「そこまで先を見据えていたってことは坂本君より頭が回っていることよね。だけど死神は?」
「万全に整えている真っ最中。それまで私がここで食い止めなきゃならないの」
自爆攻撃の音が静まり、少ししてボロボロな点数のSクラスの生徒達が出てきた。クラスの皆が打ち漏らした相手を私が綺麗さっぱりに後始末をしていく。だけど、最後まで簡単にはできないんだよね。
「おっと!」
鋭い斬撃が放たれて回避しながら最後の名も知らない相手を戦死させた。さて、こっからはSクラスの主力が相手だよね。
総合科目
Sクラス 源義経 5041点
Sクラス 武蔵坊弁慶 6091点 VS 7021点 松永燕 Fクラス
Sクラス 伊達政宗 4917点
「蒼天の松永燕。報告通り凄い点数だね」
「さっきの自爆攻撃で味方もほぼ壊滅された。見事だ」
「でも、これ以上はこちらも黙ってやられない」
今日転入してきた人達が無傷っぽくて高得点だ。うーん、ちょっと厳しいかも!
「覚悟を―――!」
伊逹ちゃんが日本刀で斬りかかってこようとしたけど、不自然に動きを停めた。
『・・・・・
総合科目
Sクラス 伊達政宗 4917点 VS 13000点 死神ハーデス Fクラス
静かな声と共にフィールドに現れた死神と彼女の総合点数の二倍以上を叩き出した驚異的な点数。後ろから私と肩を並ぶ死神の格好をした人が不敵な物言いの文字を見せつけた。
『・・・・・死ぬ覚悟はできてるな』
「1万3千・・・!?」
13教科ある一教科につき1000点になるまで問題を解いたってことになる。ほんと、うちの王様は凄いよねー。純粋なチートだよん。
で―――結果は言うまでもなくハーデス君の圧勝で義経ちゃん達を倒して、破竹の勢いを止めず代表の九鬼君も歯牙にもかけられず倒されSクラスは敗北。仲間達の特攻が功を制した上に殆んど私とハーデス君の二人勝ちで蒼天の名を落とさず完全勝利。ふふ、Fクラスの皆も私達がここまでできるなんて寝に耳に水の話だよね。
―――大和side
「あー英雄、俺達が知らぬ間に見事にやられたようだな」
「何とでも言え直江大和。相手の行動を見抜けず、情報を集めきれなかった我らの敗北は確定されていた」
「こっちも似たようなもんだぞ。まさかクラスメートを特攻させた後で二人だけで倒しきるなんて想像すらしていなかったんだからな。蒼天の学校の生徒、もしも戦うことになったらお前が見た二人の総合点数が当たり前のように俺達の前に現れるかもしれないぞ」
「・・・・・死神のような点数を持つ者が当たり前のようにいてほしくない話だ」
松永さんより死神の方を警戒してるのか。となるとAクラスの時の一騎打ちを思い出して考えるべきは、総合科目以外の全教科1000点も問題を解いて叩き出した点数、13000点の相手と戦うことか。・・・・・考えたくないがあり得る話だな。
「坂本、Sクラスの制裁はどうする。お前が描いていたシナリオ通りじゃないのは分かっているつもりだぞ」
「否定はしない。さて、Sクラス。たった二人相手に負けたお前達は俺達も含めて蒼天の実力を把握しきれていなかったわけだ。というわけで三ヵ月間お前らFクラスの教室で過ごせ」
「・・・・・このあばら家のような教室でか」
そう、英雄はFクラスに連行されて現状の教室を目の当たりにした際は酷く絶句していた。人生の中で一番ひどい設備を見たに違いない。だが安心しろ英雄。
「これでもAクラス戦と勝利した際には学園長に改善の申請を出している。しばらく我慢すれば住めれる環境に改修されているはずだ」
「そうであることを祈るぞ直江大和」
「因みに三ヶ月後まで汚したり設備を負けた腹いせや鬱憤で一つでも壊したらもう三ヵ月延期だからな」
プライドが高くて短気な奴がいることを想定して英雄に釘を刺す。
『・・・・・』
これで話が纏まり解散の雰囲気のところでハーデスが英雄の前に寄って来た。そして黒いマントから包帯だらけの手の中に何やらごつい物を取り出した。スピーカーが内蔵されているのか声が聞こえた。
『よぉ、久しぶりだな英雄。ハーデスと燕にこっ酷くやられたって?』
「っ!?た、旅人か!?」
『おうそうだ。今のんびりと蒼天の中でバカンス気分で過ごしているぜ』
まさか、旅人さんと繋がっていたなんて!だからキャップ達も無反応でいるわけもなく、
ハーデスは俺に黒くてごつい物を手渡すと直ぐに逃げる形で離れて皆が俺に集まってきた!
あいつ、これを想定していたなむぎゅっ!?
「旅人さん、俺俺俺!風間翔一だぜ!元気だった!?」
『おー元気だぜ翔一。全校集会の時見たが、格好良くなって。ガクト立派な筋骨隆々になってたな女にモテてるか?』
「聞いてくれよ旅人さん!それが全然モテやしないんだぜ!?俺にモテる為に何が足りないのか教えてくれ!」
『筋肉だけが持てる秘訣じゃないんだぜ。お前の周りにいるモテる男を観察して、自分でもできる要素があったら身につけてみる努力をしてみろ。京はいるか』
「うん、いるよ旅人さん」
『綺麗になっていたな。昔のお前を知る一人として健やかに成長してくれて安心したよ。友達も増えたか?翔一達以外でだ』
「・・・・・頑張って増やす」
『はは、仲良しグループが心地いいか。また次に会う時まで頑張ってそうしてくれよ』
「また会いに来てくれるんですか?旅人さん」
『会えることは確定だ。卓也、俺と会いたいか?』
「アタシはもちろん会いたいわ旅人さん!お姉さまもね!」
『楽しみにしているぞ一子。今度は蒼天の王ではなくお前らの友達として接してあげるからな。ああ、大和はいるよな』
「はい、いますよ」
『くくく、昔の中二病は卒業したか?』
「なっ!?そ、そんな昔のこと掘り返さないで下さいよ!」
『いやー与一がひねくれて成長したみたいで昔のお前のようになってないか気になったんだ。お前と与一なら仲良くやっていけそうだからそれとなく交流をしてくれ』
「・・・・・わかりました。あ、旅人さん。タイムカプセルはどうしましょう?」
『ああ懐かしいな。俺も参加したいが多分できそうにない。あの中に入れたのは当時あの場に居た全員に向けての手紙だ。皆で読んでくれよ。さて英雄』
「うむ」
『世界を統べる夢をまだ抱いているなら遠くから応援している。だが、上ばかり見ているなよ。平等にしたも見て幅広い視野で頑張れ。俺から言える事はそれだけだ』
「助言を感謝するぞ旅人。いずれ九鬼財閥は蒼天とも交渉したい」
『ふふ、世界中を探しても俺の国にしかないものが溢れているぞ。どれか欲しいなら全力で相応の物を用意しておけ』
「ふはははは!うむ、必ずや旅人を唸らせるものを用意する!」
『言い切ったな?つまらない物だったら―――お前らの頭を鶏の冠のようにしてやろう』
「「「「それは止めて!?」」」」
『ははははっ!楽しみにしているぞ。また会えるその日まで元気でな!』
久しぶりに旅人さんと会話が出来て嬉しくてたまらなかった。皆もそうみたいで顔に笑みを浮かべていた。
―――明久side
大和達が旅人―――蒼天の王様と話で夢中になっている頃。蚊帳の外の僕らは僕等である話題で盛り上がった。
「明日いよいよ正式サービスの開始だね」
「楽しみじゃの」
「・・・・・俺は忍びになる」
「ブレないところは相変わらずだが、お前ら名前は決まったのか?」
雄二がそう聞いてくる。僕らは誰もまだ何も決めてないと首を横に振るけど、一人だけは決まっているのも当然だった。
「ムッツリーニはムッツリーニで決まりだね」
『・・・・・見ただけでどんな性格なのかわかる名前は止めた方がいい。嫌われる』
ハーデスがスケッチブックでアドバイスをしてきた。うーん、そうかもしれないね。
「・・・・・わかった」
「ムッツリーニではないが、ワシはヒデヨシと名前にしようと思ってる。戦国の武将で同じ名前の者もおるし」
『・・・・・渾名的にサルと呼ばれている。・・・・・サルヨシ?』
「そんな名前は嫌じゃぞ」
「他の言い方で言うとヒデヨルかヒデルだな。ヒデルの方は優秀の秀と英語の英の名前に検索で出てくるぞ」
「あ、木下君の名前と同じですね」
「いいんじゃない?漢字的にもいい感じだし」
『・・・・・ダジャレか』
「違うわよっ!」
「ヒデルか。ふむ、男らしい呼び方でもあるし同じ名前でしっくりくるの。では、ワシはヒデルにするのじゃ」
「・・・・・雄二は?」
『・・・・・ユージオ』
「悪くねぇな。候補の一つにさせてもらうぜ。ムッツリーニはどうすっか?」
「うーん、忍者になりたがってるから忍者に関する名前でいいんじゃない?」
『・・・・・風魔小太郎、服部半蔵、加藤段蔵・・・・・土屋昌続?』
「誰なのじゃ?」
「えっと確か・・・・・日本史で戦国時代にいた武将だった人だよね?」
『・・・・・曖昧な答えだけどその通り。武田信玄の傍に居続けた侍大将。加藤段蔵という忍者の首を打ち取った説もある』
「なるほど、同じ土屋の姓だし忍者を倒した人だったら?」
それで決定的な雰囲気になったんだけどムッツリーニはそうじゃないらしく顔を顰めた。
「・・・・・複雑極まりない」
「だろうな。忍者になろうとしている奴が忍者を倒した人間の名を名乗れなんて滑稽だ」
『・・・・・加藤段蔵は幻術使いの飛加藤って呼ばれていた。トビはダメか』
「可愛いですね。トビ君って言いやすいですし」
「ウチもそう思うわ」
「・・・・・候補の一つにする。ハーデス、感謝」
「じゃあ今度は僕―――」
「バカでいいだろ」
「むきー!バカは悪口だよそれ!おいバカなぁバカって呼ばれるのは嫌だよ!
ハーデス、僕にもいい名前の妙案をプリーズ!」
『・・・・・。・・・・・。・・・・・。』
「あれ、ハーデス?何か悩んでる?」
「お前にこれといった特徴がないからじゃないか?」
「・・・・・バカしか取り柄がない」
「否定できんのぅ」
「そんなバカなっ!?ハーデス、何かないのぉっ!?」
『・・・・・ヨッシー?』
「吉井の吉の間に小っちゃいっを入れて伸ばした程度か。まぁ、呼ばれそうな渾名でもあるな」
「・・・・・ハーデス、他のない?(涙)」
バカと呼ばれるよりはいいんだけど、もう少し別の名前で呼ばれた僕の気持ちにハーデスはまた悩んでくれて
考えてくれて・・・・・思いついた僕のキャラクターの名前を書いてくれた。
『・・・・・ラック』
「ラック?何それ?」
「日本語で言うと運、特に幸運を表す英語の名詞ですね。でも、どうしてですか?」
『・・・・・吉井の吉はおみくじで大吉・中吉・小吉と運試しに扱われる。だからラック』
「ほー、そこまで考えれるとは。流石保健体育で1000点の―――(ジャキッ)『・・・・・霧島翔花に突き出してやろうか』すまん。俺の命を大鎌で狩り取ろうとしないでくれあいつにも突き出さないでくれ悪かったから」
「吉井君。どうですか?」
「ヨッシーよりはいい!縁起のいいそれで決まり!」
「ていうか、あんたらハーデスに名前を付けてもらってばかりよね。逆にハーデスの名前を考えたらどうなのよ?」
「「「「・・・・・決めにくい」」」」
「あはは・・・・・」
『・・・・・無能共に期待していない。ハーデスでいい』
「変わらないじゃない。まぁ、それがいいならいいでしょうけど」
「あのーハーデス君。私にも何か名前をお願いできませんか?」
『・・・・・剣を使って戦う?魔法で戦う?』
「えっと、身体を動かすのはちょっと得意じゃないので魔法かもしれません」
『・・・・・。・・・・・。・・・・・キューレ』
「キューレ、ですか?意味はあります?」
『・・・・・剣で戦うんだったら戦乙女のヴァルキューレの誰かの名前にしてた。そうじゃないならキューレ』
「姫路の召喚獣が西洋鎧の騎士みたいだからか」
『・・・・・(コクリ)。姫島瑞希には神官をお勧めする』
「どうしてですか?」
『・・・・・吉井明久が守ってくれる』
「吉井君が守ってくれる・・・・・頑張ります!」
さらっと
「し、死神?そのウチも何か考えてくれるかなーなんて」
『・・・・・ヒルデガルド。ドイツの帰国子女だからドイツに関係する名前で思いついた』
「ヒルデガルド・・・・・何か凄い名前ね。でも、確かに共通点のある名前だからヒルデガルドにするわ。ありがとう、ハーデス」
『・・・・・帰る』
「おう、ありがとうな」
「僕達も帰ろっか」
「うむ、帰って明日に備えてやってみたいのじゃ」
「なら早く帰りましょうよ」
「はい、皆さん。今度はゲームの中で会いましょうね」
『・・・・・バイバイ』