バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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新エリア

 

「あ~疲れた・・・・・しばらくTCGはやらん」

 

「お疲れ様ですハーデスさん」

 

日本家屋の畳部屋でリヴェリアの膝の上に頭を乗せてもらいだらける。運営から警告を受けても俺と勝負したい、トレードしたいというプレイヤーが多いため『デュエリスト』の職業を解放するまでならいい条件と10億Gも使い込んで大量購入したカードの中でダブったモンスター、魔法と罠、Uカード限定と適正価格で売買できる販売所に出品してようやく落ち着けた。

 

ーーーURとULを手に入った時点で、特定のプレイヤーしか勝てなくなる。稼いだ大金でカードを買えば簡単に手に入るから自分の金で買え。一千万でURとULが手に入るのに、それ以上の額で買わされるバカになりたいか?

 

そう言われたプレイヤーの中にはそれがカードゲーマだから、と強く乞われ、売ってくれないのなら勝負して勝ったら買わせて欲しいとも言われてしまったら、俺も応じるしかなかった。あの場にいた全員と勝負してあの手この手を尽くして全戦全勝をもぎ取ったお陰か、称号【デュエリスト】と【デュエルマスター】が手に入って【デュエルマスター】しか手に入らないアイテムとカードの存在を教え、知ったカードゲーマ達はこぞって他のプレイヤーとカードバトルを始めた。その隙にイカルと離れて今に至る。

 

「にゃん?」

 

ラミアースが寝転んでいる俺を覗き込んできた。両手で騎士猫の顔を掴みもにゅもにゅと揉むとまぁ柔らかい。そんな俺と同じ部屋にいるアカーシャがTCGに興味あるのか、組み終えたデッキを一枚ずつ手にとって見ていた。

 

「アカーシャ、珍しいか?」

 

「人間はこんな遊具を作るほど暇なの? ってぐらいには」

 

「それで人生の大半を注ぐ人間はいるからな」

 

「・・・・・控えめに言って、バカじゃないの?」

 

ハハハ・・・・・。

 

「でも、暇潰しに私もやってみようかしら」

 

「そうか。じゃあ、リヴェリアもやってみたらどうだ?」

 

「そうですか? あなたが言うなら試しにやってみましょう」

 

そんな流れでホームでもTCGのバトルが始まった。ルールと戦い方を教えていくうちに、二人だけで勝負できるようになり、最初はアカーシャが勝った。

 

「なるほど。色々な駆け引きをするのはチェスやトランプだけじゃないのね。人間も面白いなら玩具を作る」

 

「思わず夢中になってしまいますね。アカーシャ、今度は最初から二人だけでしませんか」

 

「いいわよ。次からはいいバトルをしましょう」

 

俺を抜きで再び始めるバトル。ラミアースを抱えながら隣の部屋へ移動、締め切った状態で膨大な数の宝石を放出した。

 

「ほーら、ラミアース。お前にプレゼントだ。宝石の海だぞー!」

 

「にゃおーん!!!」

 

部屋いっぱいに溢れる宝石の数々。ラミアースは目を宝石にして宝石の海に飛び込んで水を得た魚のように泳ぎまくる。騎士道精神はどこへ捨てたのやら・・・・・。

 

「にゃんにゃん!」

 

「うん? なんだ」

 

宝石を搔き集める動きをして俺に持ってくるラミアース。

 

「仕舞ってくれって?」

 

「にゃん!」

 

片づけるのか。もう満足したのかと思い宝石をすべて回収するとラミアースが俺の手を引っ張ってどこかへ連れて行こうとする。

 

「にゃーん!」

 

『ニャン?』

 

おっと、虹の実を食べているネコバスさんじゃないですか。・・・・・なんか、急にデジャブが。

 

「にゃんにゃん!」

 

『ニャオーン・・・・・ニャ』

 

何を言っているのかわからん! 通訳、通訳の人はおりませんかー!? と心中で叫んでいるとネコバスの方向幕が『ケットシー王国』になった。え、王国? どこにあんの?

 

「にゃんにゃ!」

 

「乗れって? ちょっと待って、イカルー! ルルカー! ネコの国、ケットシー王国に行くことになったぞぉー!」

 

「「今すぐ行きまーす!!!」」

 

久々の小さきガイドの登場。多分、未開拓の地だろうな。その他にもオルト達とリヴェリア達も誘ってネコバスに乗ってケットシー王国へ。

 

「ルルカ、ケットシー王国って知っているか?」

 

「場所は不明ですが、ネコ系の種族が住んでいると噂で聞いたことあります。ルルカ達ナヴィゲーターですら把握できていない一つの場所なんですよ。また一つ、その場所を解明できるなんて・・・・・!」

 

感無量とばかり感動するルルカ。ナヴィゲーターとして、未開拓の場所を既知にしたいのか?

 

「実際、旧大陸で未開拓の場所って具体的にどれだけあるんだ?」

 

「古い場所からまったく新しい場所も含め、ナヴィゲーターが認知だけしているのはハヵ所あります。その一つだったアレクサンドレアは発見なされ、存在だけ把握していても場所を突き止めれなかったケットシー王国を含め他は―――」

 

 

噂しか知られていない未開拓の場所

 

広大な砂漠のどこかに存在する海の都アトランティスと呼ばれる場所

 

太古の昔に一夜で沈んだ海の都アトランティス

 

地下深く地底人が築き上げた都市

 

 

存在だけ知られていても危険な場所だったりルートが判らない場所

 

ヴォパールというウサギの種族が築き上げた国

 

かつては海人族と言う種族が暮らしていた島

 

アマゾネスが暮らす島国

 

 

「と―――以上です」

 

「海人族の島なら行ったことあるぞ」

 

「はい、私もです」

 

「さ、さすがですね・・・・・。あの島の海域は船を腐らせるほど危険な海になっていたので誰も上陸することができなかったのですが」

 

木造だったからじゃないかなー、と他人事のように思いながらしばしの空の旅をしつつ、もふもふに包まれた空間の中で身を委ねる。眼下は緑の森しか見当たらず、ネコバスはまだ宙を駆ける。王国までの距離は結構遠いのか。

 

「にゃん!」

 

どうやら近づいたみたいだ。ラミアースが手を外に指して俺になにか訴える眼差しで見つめてくる。外に顔を出すと、大きな山に囲まれた山を背にする巨大な城と城下町が見えた。城壁を超える城に一番目立つ金の肉球のシンボルがあり、山から流れる大きくて長い川が王国を囲む湖を作り、海まで続いて流れている。王国は湖の中心にある唯一の陸地で造られていて、漁業が盛んに行われているようだ。

 

海方面にも港街らしき場所があり、三隻の大型の船も確認できる。

 

「どこから入ろうか?」

 

「にゃん!」

 

ラミアースが手で差した先は港町だった。ネコバスにそこへ降りて行ってもらい、俺達は初めてのエリアに足を踏んだ。

 

「おおー、見事にネコ系の種族ばかりのNPCがたくさんだ」

 

「可愛いネコちゃんです!」

 

「本当ですね」

 

獣と獣要素たる耳と尻尾を生やした獣人が港町を闊歩している。突然空から降りて来たネコバスに目を丸くして―――その場で全員がネコバスに拝み平伏す。・・・・・猫の神獣だからか?

 

「突然の来訪で悪いが、ここはケットシー王国で間違いないか?」

 

「はい、そうですニャ! あなた様からも口では例えれない神々しさを感じますニャ! ・・・かなり怖いですけど」

 

グフッ・・・・・! NPCに50%の恐怖を与える効果はまだ健在だったことを忘れていたぁ・・・・・!

 

「いきなり来て早々だが、俺達もこの街に歩いてもいいか? 不法入国した形だと思うが」

 

「王国の方に行かなければ多分大丈夫だと思うニャー。元々ケットシー王国は自然の要塞と化している山々に囲まれていて、外界との交流は今までなかったんですニャ。唯一繋がっていた洞穴は土砂崩れ埋まってしまったし、その前までは怖いモンスターに住みつかれちゃっていて通れなかったニャ」

 

「その洞窟を経由すれば、外界と行き来できるんだな? その先はどこと繋がっているのか、知っている?」

 

訊ねたネコは首を横に振った。

 

「わかりませんニャー。地割れで洞窟がある場所に行けなくなっても誰も困らなかったけど、好奇心で行く者しか行かない場所ですニャ。あーでも、知っているネコが王国にいるかもニャ」

 

「正面から入れるか?」

 

「外界から来た者は厳しい審査があると思うニャ。でも、僕たちと同じネコになれるなら簡単に通れるかもニャ」

 

「そうかありがとう。最後に洞窟の場所を教えてくれるか?」

 

親切なネコに港町から離れた東の山の麓にあると教えてくれた。ネコバスを小猫サイズになってもらい、肩の上に載せてから早速俺達はそこへ向かうと、獣道すらない森の中を歩き東の山のどこらへんだろうと今更担って思い出した。が、何とかなるか?

 

「ミーニィー、フェル、ファウ、フレイヤ、アイネ、サラ。ネコの匂いや空から土砂崩れが起きたっぽい場所を見つけてくれるか」

 

「グル」

 

「キュイ!」

 

『わかったニャー』

 

「ヤー!」

 

「フマー!」

 

「ガウー!」

 

嗅覚持ちと空を飛べる従魔に頼んでも俺を見てイカルも真似するように。

 

「おいでガルダー! ピッピ!」

 

グリフォンと桃色のピクシードラゴンを召喚した。おお、イカルがエスクやテトラ以外の従魔を使役する所初めて見たな。

 

「私も空から見つけに行きますね!」

 

「気を付けろよー」

 

「はーい!」

 

グリフォンの背に跨って空へ飛んで行ったイカル。残った俺達は足で探す。ひたすら森の中を歩き、時には採取アイテム、新規の木材を見つけ歩くだけの退屈はしなかった。

 

ガサッ!

 

森の中を散策して30分ぐらい経った時、揺れる藪からモンスターが出てくるのかと思えば金色の豹だった。それもモンスターではなくNPCだ。ケットシー王国の住人だろうし、ここに居ても不思議じゃない。こんにちは、と会釈して通り過ぎる。・・・・・なのだが。

 

「どうしてだかついてくるんだけど?」

 

「本当ですね」

 

「お腹空いているんじゃないですか?」

 

「もしかしたら監視かもね」

 

俺達から五メートルの距離を置いてついてくる金豹。俺達が止まればあっちも止まるし、動けばストーカーのようについてくる。アカーシャの言い分が正解か。

 

『見つけたニャー!』

 

空からフレイヤが飛んで来る。一番乗りがフレイヤの案内で向かえば、本当に地割れでも起きたのか真っ二つに割れた崖の向こうに洞窟があった。その場にフェル達も集まっていて、イカル達もいた。さて渡橋でも作らない限り、向こうに行けないんだが・・・・・。

 

「リヴェリア、頼めれるか?」

 

「いいですよ」

 

エルフの魔方陣から樹木の幹が出てきて崖を越えて洞窟の前に樹木の渡道ができた。足場もしっかり固定していて下に落ちることはない頑丈さが見受けられる。リヴェリアに感謝の言葉を述べて樹木の橋の上を移動して目的の洞窟の前に着いた。

 

「んよし、ここで小休止だ。ご飯にしよう」

 

おー! と声を上げるオルト達にそれぞれの好物を三つも渡して食事を始める。あの金豹は俺達から離れた場所で居座りこっちをジッと見つめてくる。豹って肉食だけどネコ科だから、魚も食う・・・よな? 魚を焼く道具を出してじっくりこんがりと焼き終えると金豹に持っていく。

 

「腹減っているなら、これ食べていいぞ。焼いただけの魚だけど」

 

カジノで手に入った場違いな魚のアイテム。だがしかし、高品質な魚なので馬鹿には出来ない。そしてハーブを数種類もふりかけ香りづけも抜群だ。金豹の前に葉っぱに乗せた焼き魚を置いて、皆の所へと戻る。

 

小休止―――30分後。

 

探検再開! 洞窟の中へ初めて侵入する俺達に金豹はどうするのか、後ろに振り返ると・・・・・おっと? なんかいつもより距離が近くないですか? ペロリと焼き魚を食った以降、距離が三メートルまで近づいてきたんだが? もしかして餌付けすれば好感度が上がっちゃうチョロヒョウだったりする?

 

「イカル、クラーケンのイベントで釣ったレアな魚ってまだある?」

 

「え? ありますよ。欲しいんですか?」

 

「いや、ここはネコだらけの王国だから、とてもレアな魚のアイテムをあげると凄く喜ぶかもしれないって思ってる」

 

「あ、そうですね! ネコちゃんはお魚が大好きですね!」

 

「その通りだ。だから、いつかで会うネコの王様にあげたらきっと喜ぶと思うからまだ使わないでほしい。頼めれるか?」

 

「はい! わかりました!」

 

エエ子や。さてさて、思ったより広い洞窟の中を長く進んで歩く俺達は途中で分かれ道とぶつかった。

 

「フェル、フレイヤ。風が通っている方ってどっちだ?」

 

『ニャー・・・・・こっちニャ主人』

 

「グル」

 

同じ意見の二匹の返答に左の方へと進む。今度は三又で同じ質問をすれば右へ。今度はドーム型の空間に入ると次に進む洞穴は崖の上を登らないといけないと来た。高さは十メートルぐらいか。

 

「お?」

 

ここでここまでついてきた金豹が動いた。俺達が崖の上の穴を行きたい意思が伝わっていたのか、壁面にネコなら跳び移りながら行けれる足場があることを教えてくれた。俺達もその通りに移動するが、一人では行けない距離の足場の時は代わりに誰かが運ぶ繰り返しをして、全員が崖の上の洞穴の前に集まれた。

 

「はぁはぁ、ふふふ・・・・・冒険ってこんなに大変で、楽しいものなんですねハーデス様」

 

「白雪にとってはかなり大変だろうけど、楽しいと感じてくれているなら何よりだ」

 

「はい。これからもハーデス様や皆さんと一緒に冒険がしたいです。足手纏いにならないよう、私も何かできないようにしなくては・・・・・」

 

「自衛が出来るぐらいは、な」

 

額に汗を浮かべる白雪をフェルの背中に乗せる。体力はそこまでない彼女をここまで歩かせたのも初めてだし、今後もゆっくりと体力を付けさせよう。さて、この洞窟はどこまで続いているのやら・・・・・と思いながら歩を再開する。だが、その途中で俺達は行き止まりとぶつかった。

 

「・・・・・行き止まりなんだが?」

 

「・・・・・」

 

フェルは、そんなこと知らんとばかりそっぽ向く。でもここから風が通っているんだよなと質問をすれば頷くので、ここで間違ってはいないようだ。フレイヤにも質問をすればフェルと同じ意見なのだが・・・・・。

 

『確かに風の匂いがするニャ。というか、不思議ニャことに故郷の匂いが微かに混じってるニャ』

 

フレイヤの故郷って冥界だろ。ここは地中だが地上だぞ? まさか、冥界と繋がる洞窟にいるのか俺達は?

 

『それに獣の匂いも感じる・・・・・今のオイラじゃ近づきたくニャい強い気配の獣がいるかも・・・・・』

 

「冥界の匂いに混じった強い獣の匂い・・・・・。・・・・・ええ・・・・・?」

 

「ハーデスさん、何か分ったんですか?」

 

分ったも何も・・・・・そんなの発する獣は一体しか心当たりが無いぞ。アカーシャに話しかける。

 

「アカーシャ、お前もフレイヤの意見を聞いて察したか?」

 

「ええ、そんな獣が冥界にいるならアレしかいないわ。だけど、アレは・・・・・」

 

意味深に俺を見つめるアカーシャの視線の意図を酌み俺は頷く。

 

「念のためにリヴェリアと白雪とアカーシャは一番後ろに下がってくれ。この壁を破壊する。ここから風が流れているなら隙間から通っているだろうし、多分そこまでぶ厚くはないだろう」

 

―――【悪食】×連続八回!

 

ガガガガガガガガッ!!!

 

目の前の壁面を削りに削れた。破壊可能なオブジェクトだったことを削れてから気付き、【悪食】を五回ほど繰り返し壁を削ったら途中で俺の手が空ぶった。それからオルトとクワとピッケルで穴の広さを調整しつつ作ってから空洞に出ら。そしてそこは・・・・・。

 

「おいおい、ここと繋がっていたのかよケットシー王国と・・・!」

 

「凄い偶然だなご主人!」

 

かつて・・・・・俺は【毒竜のダンジョン】からここにいた巨獣と長らく死闘(途中で一方的)を繰り広げ、ここで初めて【勇者】になった場所だ。忘れるものか・・・・・ここは、ベヒモスがいた洞穴だぞ!? オルトだって覚えている場所だ!

 

ピンポーン!

 

このタイミングで運営からの通知が来た。

 

『プレイヤーが新エリア、ネコの国「ケットシー王国」を解放しました』

 

ああ、そうですか。ルートを開拓しないと何時までも解放されないのかケットシー王国って。ルルカ達ナヴィゲーターも存在だけは知っていてもルートを把握できないわけだわ。

 

「ありがとうございますハーデス様! またリリは未開拓の場所を開拓して発見出来ました!」

 

おおう、ルルカが尊敬する眼差しで俺を見上げてくる。この子の好感度もどんどん上がるなー。

 

「さて、ここから出てまたネコバスでケットシー王国に向かおう」

 

「「「「「おおー!」」」」」

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