しかし―――釣りあげて倒すのはいいんだが1000匹も倒さないといけなくなるとこの方法は効率が悪いな。ビッグスライムも倒さないとダメだし、陸地にいるフェル達も倒しているようで数が勝手に増えるが焼け石に水。一気に集めた状態で倒す方法はないかな・・・・・。
「釣り以外で集める・・・・・エサ、罠・・・・籠・・・網・・・・・あ、これなら。それに鉱物といえばオリハルコンだけじゃない」
多分イケるんじゃないか、この方法なら? 超大の方をインベントリから出して形状を細長く、珊瑚のように枝状の突起物と返しがある棘をイメージ通りに形作った状態で海に沈めたら・・・・・。
「・・・・・うわぉ」
タコの足の吸盤みたくスライムがご丁寧に針に引っ掛かった状態で釣れてしまった。となると、もっと工夫次第で・・・・・?
「・・・・・よし、みんな、こっからが頑張り時だ。準備はいいな」
「「「「「はい!」」」」」
「ペーン!」
その前に食いついている状態のスライムに向かって【連結】【咆哮】【エクスプロージョン】!
ドドドドドドドン!
スライムのジェルが爆発で飛び散り、その中からペルカがアイテムを採集してくれた。これで2つめか。
「さーて、全員ついて来い」
オウスイから降りて海中へ潜る。そして、海底の楽園が見れるかと思えばそうでもなかった。魚一匹どころか、珊瑚も海藻すらもない海底の荒野が広がっていた。これじゃあ漁業もままならないのも当然だ。【海竜人】!
「じゃあ全員、じっとしていて」
宇宙の星塊(超大)で創意工夫の時間だ。モウルとオウスイが泳げるほど広範囲の半球状のドームに形成、逃げられないよう網目は素麺ぐらいに細く、天井に筒状の出入り口を作って完成!
最後に二つ目の籠を作って大量に置いたオリハルコンを入れて閉じればスライム捕獲罠籠の準備が整った。
こんもりと海底に山盛りのオリハルコン。知らないで見つけたプレイヤーは吃驚する光景だろうな。さて、スライムはこの罠の中に誘い込まれるかな?
「ご主人様、たくさん来たよ!」
「ペーン!」
杞憂になったか。見渡せば至る所から現れたスライムの大群がオリハルコンを食らいに来たもの、宇宙の星塊の柵に阻まれて中に入れない。いやいや、どんだけオリハルコンに夢中なのスライムたちよ。もうあっという間に籠がスライムに囲まれたぞ。一体どれだけ集まっているんだ?
「あははは! 大量大量♪ 見ていて気持ちいい~!」
「でも、ご主人様・・・あんなにたくさんは倒せないよ?」
「大丈夫、元々一人で倒すわけじゃないから。寧ろ倒す方はあぶれた方だ」
柵を触り宇宙の星塊を操作して唯一の出入り口を塞いだ。それでも中に入ろうとするスライムが多くいるし、何ならまだ籠に纏わりついている。そういうスライムを限定に攻撃するため俺達は動き出す。
「それじゃあ、籠に入れなかったスライムを倒す! 全員、魔法攻撃!」
「「「「「わかった!」」」」」
「ペーン!」
「「オオオー!!」」
はっはー! 入れ食いだー!!
イズside
「セレーネ・・・・・」
「言いたいこと判るよイズ・・・・・このクエスト、思った以上に」
「「EXってこんなに難しいなんて・・・・・」」
あの珍しい鉱石があると聞いた瞬間に身体が勝手に動いてしまった自分が恨めしい。もうすぐ3時間が経つというのにスライムがなかなか見つからないし、見つけて倒せたとしてもまだ30匹すら倒せていない数に、私達は精神的に気が滅入った。港町に戻って小休止している私たち以外にも同じクエストを参加しただろうプレイヤー達が。
「すまねぇメタスラ! 俺達が不甲斐ないばかりにお前の無念を晴らせてやれねぇ!」
「ごめんなメタルスライム、無力な俺達を許しておくれ!」
「第二、第三のメタスラを出さないよう、子々孫々まで語ってやるからな!」
「いい加減にそのネタで俺を弄るのやめろよぉおおおおお!!!」
私達と同じくスライムを倒し切れていないプレイヤー達が一人のプレイヤーを囲って弄っていた。まだあのノリを続けていたのかと苦笑いして【蒼龍の聖剣】は愉快な仲間達ばかりだと思った。
「イズ~」
「フレデリカ、ペイン達も参加してたの?」
ダルそうに肩を落とすフレデリカを始め、ペイン一行が寄って来た。
「ハーデスが見つけたEXクエストだからね。やらないのはもったいないだろう?」
「その勿体なさが現状の私達を生んでいるのだけれどね」
「スライムを探すだけでもこんなに苦労するとは思わなかったぞ。海に浮かんでいるスライムはペインぐらいしか倒せねぇし、たまに陸で見つけるすらスライムは他のプレイヤーと争奪戦になっちまうし」
「たかがスライムされどスライム、なんて思いをさせられる日が来るとはな」
簡単だけれど難しい、こういうクエストもあって体験させられるのは何度もしたけど、今回それが極まっている。
「で、俺達のギルマスは?」
「わからない。どこに行ったのかすらも見てないもの」
「どうせ余裕でスライムを集めて倒しまくっているに違いない」
「ハーデスだからできる方法なんて、私達が出来る筈がないもん!」
それは・・・言えてるわ。後でその方法を教えてもらわないと。ずっとこのクエストが終わらない―――。
「あ! 海の方を見ろ!」
誰かがそう叫んだ。何だろうとその声に釣られて海へ見ると綺麗な巨大生物リヴァイアサンが港に向かって来ている姿に私達は期待と希望を抱かずにはいられない。だってあれは、ハーデスだもの! ハーデスは港町の手前で元の姿―――じゃない、性転換した姿で私達の前に立った。
「みんなも戻ってきていたの? 時間的に例の洞窟を探しに」
「一応そうなんだけれどね。それも兼ねて休憩中。スライム、中々見つからないし倒せないばかりで」
「そんな私達と違ってハーデスは当然のごとくスライムを倒して戻って来たんだよねー?」
「そうね、500匹も超えたわ」
「「「「「はやっ!? どうやって!?」」」」」
他のプレイヤーの皆が叫んだ。本当にどうやって! って言いたいぐらいあと半分でスライムの方だけ倒しちゃうハーデスに秘訣を教えてもらいたい!
「スライムの好物は鉱石ってことが判って、それを餌にして誘き寄せたの。それがまぁ、見ていて笑えるほど上手くいったのよ」
「その情報を俺達にも教えてほしかったんだけど白銀さん!!!」
逆ギレ・・・・・ううん、心からの懇願を言うプレイヤーに彼は呆れ交じりの溜息を吐いた。
「同じ仲間とは言えども、教えてもらって当然の精神の奴らに教えると、これからも自分で何も努力しない無能になるじゃない」
「ぐふっ・・・!」
「がはぁっ・・・・・!」
「な、何も言い返せれない・・・・・」
「お世話になりっぱなしの俺なんて、ミジンコ以下の役立たずだよぉ・・・・・」
多くのプレイヤーがその場で崩れ落ちてネガティブに・・・・・私も他人事じゃないのでハーデスに対して何も言えないから黙るしかない。
「まぁ、そんなお前達にお土産を持って来たわよ」
「お土産って・・・・・?」
何故かあのドレスを身に纏い、海に入ったハーデスが海面を広く氷の大地と化せた。そこに凍っていない海から二匹のモササウルスが勢いよく飛び出して、銜えいた巨大な何かの籠を氷の大地に落としながら海に戻った。
「喜びなさい。海で捕獲したスライムの大群よ」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」
あの籠の色と艶は・・・宇宙の星塊? それを使ってスライムを罠に嵌めて捕まえただなんて、ハーデスだけしかできない芸当だわ・・・・・。私達を手招くハーデスのところへ全員が向かい、氷の大地に立つ私達に向かって彼は言う。
「スライムをこれから解放してあげるけど、ちゃんと全部倒し尽くしてよ?」
「マジか! 白銀さん、マジでありがとう!」
「あれだけで何匹・・・数千匹はいそうだぞ!」
「スキルのクールタイムは全部終わっている! 今なら勝てるぞ!」
「なんか、大きなの交っているけどビッグスライム?」
「ビッグなスライムがいようが構わねぇ! 全員、戦闘準備に入れ!」
この機は絶対に逃がしちゃダメだとやる気の炎を燃やすプレイヤー達。私もセレーネも小型の爆弾を持って、ペイン達も得物を構えて―――。
「それじゃあ、解放する前に―――【相乗効果】【手加減】【エクスプロージョン】【パラライズシャウト】!」
私達まで閉じ込める氷の壁が形成した後、ハーデスが宇宙の星塊の柵の間に手を入れて籠の中にいるスライムを攻撃した。全部ではないけど見える範囲でスライムのHPが1になった瞬間。一部が開きだしてぎゅうぎゅうに詰められていたスライム達が自由を得て解放された喜びを露にするかのように私達の方へ雪崩れ込んできた!
「うっひゃー! スライムの雪崩ー!」
「討伐数がぐんぐん増えるー!」
「入れ食いジャー! 踊り食いジャー!」
遠慮していたら何時まで経ってもクエストが終わらない! だから味方に被爆してしまってもさっさとこのクエストを終わらせたい! 体力が減らされている今、誰でも簡単に倒せるスライムのバーゲンセールと化したこの状況で遅れるわけにはいかない!
「セレーネ! 今の内よ!」
「うん!」
あ、爆弾を投げた後にセレーネが機械の乗り物に搭乗して暴れ回った。他にペイン達の方もスライムを一度にたくさん倒していく順調さを見て私も負けてはいられないと、特大の爆弾を使ってスライムを纏めてぶっ飛ばす!
ドッガアアアアアアアアアアアアアンッ!
わ、今ので数十匹以上も一気に倒せた! ふふふ、これは楽でいいわね!
「でえええええ!? なんか、予想以上の大きさにスライムが一つになっていくぞー!?」
「ビッグスライム・・・いや、それ以上大きくなってる?」
「超ビックスライムになるの?」
「え、通知が来たんだけど・・・レイドボスが発生~!? 名前はキングスライムだって!!!」
「そんなスライムもいるの!?」
「あ、でも、あのスライム王冠が被ってる!」
こ、こんな現象も出来てしまうんだプレイヤーの手で・・・・・。氷のドームの天辺まで届きそうな大きさになったスライムを見て、ハーデスがポツリと言った。
「あの王冠、手に入るのかな。手に入るなら猫妖精、進化できるかもだし」
「「「「「・・・・・」」」」」
私以外にも聞こえたプレイヤー達が動きを止めて、キングスライムを熱い視線を込めて見上げた。まるで乾いた土に栄養たっぷりの甘い汁を吸わせるような誘惑の言葉に等しかった。みんなの目線は輝く王冠―――。
「恨みっこなしだ」
「わかってる」
「白銀さんのお猫様のように進化させられる唯一のキーアイテム・・・!」
「うひ、うひひひひ・・・・・!」
「絶対に、獲る!」
そして誰が合図を出すまでもなく、殆どのプレイヤーが他のスライムそっちのけでキングスライムに固執して攻撃を仕掛けた。ペイン達も強いモンスターと戦えるこの状況に黙ってみているはずがなく交って戦っていく。
「あら、ビッグスライム。えい!」
それからキングスライムに夢中になってくれているおかげで、私はメタルスライム以外の討伐対象のスライムの指定された数を満たすことができた。セレーネも同じで二人でハイタッチした。一方のキングスライムはKTKがとどめを刺して本当に王冠が手に入ったかは、生き残れたもの阿鼻叫喚とガッツポーズをしたプレイヤーの反応でわかりやすかった。けれど、キングスライムはどうやら指定されたスライムの討伐数を満たすほどの数だったらしく、残すのはメタルスライムだけになったみたい。キングスライムに押し潰されて死に戻ったプレイヤーは残念ね。
「あ、私も。ラッキー」
ハーデスもスライムを倒したことになったらしい。レイドボスに参加していたからかしら?