バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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ヴォパール

 

 

クエストクリアの表示が出たため、スライムの駆除の達成を報告しにクエストを発注させた猫妖精の所に戻ると大いに驚かれた。

 

「にゃにゃ! もうですか!? 恩人さん達すごいにゃ! ありがとうございます、これで当分の間は漁業に困らなくなりますにゃー!」

 

 

称号【猫妖精の恩人】を獲得しました。

 

NPC猫妖精との会話に補正が入る。好感度が20%上昇

 

 

「これからもスライムを駆除してくれるなら、僕たちも大助かりしますにゃ! これは僕たちからのお礼にゃ!」

 

『海の幸の詰め合わせセット×10』『メタルナイフ』

 

メタルナイフ? 確かめるとメタル系のモンスターにダメージの補正がそれなりに上がる効果があった。

 

「あ、これは嬉しいかも。ダメージが1じゃなくなるってことだろ?」

 

「それよりもメタルナイフってことは、他にもメタルの武器が創れることだよな!」

 

「武器だけじゃなくて防具も作れるぞ!」

 

「ネコちゃん、この武器を作る方法を教えてくれない?」

 

メタルナイフの存在で気付いたプレイヤーがこぞって猫妖精に訊き出すが、対照的に困った顔の猫妖精は聞き耳を立てる俺達にも教えてくれた。

 

「それは僕達が作ったナイフじゃないにゃ。その昔、旅のウサギの方を港町で休ませてくれた礼だと作って貰ったのですにゃ」

 

「旅のウサギ? どんなウサギ?」

 

「ヴォパール族のウサギの方にゃ。今じゃあ僕達ケットシー王国とクーシー王国、その他色んな種族の王国の大連盟主の偉い方なんだにゃ」

 

おっと? なんかまだ他にもいるって情報を知ってしまったぞ。待って待って、まだ他にもギミックがあるのは可能性として考慮していたが、まだ旧大陸で遊び尽くしていないってどれだけ広いんだよ本当にここは。

 

「連盟主ってことは今回の戦争のことも耳に入っているんじゃないのか?」

 

「確かにそうかもにゃ。でも、もうこの国に王様がいないから連盟から外されるかもしれないにゃー」

 

不安そうに落ち込む猫妖精に俺達は―――。

 

「おう、失礼するぜ」

 

「ん?」

 

なんか、どっしりとした声が聞こえたと思えば背丈が大きく、着物を着た人間―――違う、頭から長い耳を生やして一部分が毛むくじゃらな何かが俺の横を通り過ぎて猫妖精の前に立った。え、NPC? どちら様?

 

「よう、久し振りだなぁネコの」

 

「あ、あなたは! どうしてここに!?」

 

「なぁに、ちょっくら散歩のついでに懐かしい顔を見に来ただけだ。この国のことクーシー王国のことは聞いてたが、お前さん等を心配するこたぁねぇみたいだな。いい縁と結び恵まれたようだからよぅ」

 

そう言って振り返るNPCは・・・一言で言えば極道の大ウサギだった。片眼は痕がある切傷で失明したかもう片方の目と違って光が失っている他、円らな瞳や全身を覆う白い毛並みはドスの効いたバリトンボイスと激しく噛み合わない・・・・・かと思いきや、手触りが悪そうなゴワゴワとした毛という要素で不思議と違和感なく威圧感と愛嬌を両立させている。しかしキセルのように細い人参を齧らせている(実際キセルだったことが後に判明)辺りにこのキャラを作った人の情熱を感じた。それに数多の修羅場を潜ったと窺わせる雰囲気を纏っているこの大ウサギがあの―――。

 

「大連盟主?」

 

「おいらのことを教えられていたか。が、まだ産毛程度ってところか。なら、もののついでに自己紹介しておこうか」

 

そう言って大ウサギは名乗り上げた。

 

「おいらはラヴィッツつぅー国に住んでいるヴァッシュってんだ。大連盟主ってカテェー肩書きがあるがおめぇさん等異邦人が気にする必要のねぇことだ。頭の隅にでも覚えておけばいい」

 

ヴァッシュと名乗った大ウサギは固まる俺達を見回し、俺と目が合うと近寄って来た。

 

「おめぇさんが人間界の魔王だな?」

 

「なるつもりはなかったが、今はそんな肩書を背負っている」

 

「ウハハハ、いつの時代の勇者は必ずといって魔王になるが、地上に残って魔王を名乗る元勇者はお前さんが初めてだぜ。だからこそこういう日が来るのを待っていた、会いたかったぜ!」

 

結構強めに肩を叩かれる。というか、いつの時代の勇者って、どれぐらい長生きしているんだこの極道みたいなウサギさんは?

 

「ネコが世話になったな。おいらからも礼を言わせてもらう。他国に干渉することは年に一度の会合でしかできねぇからよぉ。しかも、ボイコットされちゃあさらにどうしようもねぇ」

 

「ケットシー王国はどうなる?」

 

「クーシー王国も被害を受けたようなもんだからなぁ。追い出されたとはいえ、ちょいっとこれからケジメを付けに行くつもりだ」

 

どこまで情報が筒抜けなんだ!?

 

「さて、人間界の魔王を含め見所ある奴ぁいるようだな丁度いい。どうでぃ、力試しをしてみねぇか?」

 

「力試し? いいけど誰と、何と?」

 

「なぁに、ただ招待するだけじゃあ味気がないからよぉ。こうすんのさ」

 

指を弾いて鳴らす大兎の後に・・・・・。

 

『兎の国【ラヴィッツ】からプレイヤーに挑戦状を送りました。イベント【ヴォパールと力試し】が開催されます』

 

『モンスターが出現するエリア全てに【挑戦者ヴォパール】が出現します。期間は一週間。イベント終了までに挑戦者ヴォパールを100回倒したプレイヤーのみ兎の国【ラヴィッツ】へ招待されます』

 

・・・・・おっと? まーたイベントですの?

 

「ってことで、待っているぜ魔王死神・ハーデス」

 

ヒュンッ! と姿を掻き消した謎の大兎に対して説明をしてもらえず置いてけぼりにされた俺達はポカーンと呆けてしまった。てか、俺のこと知っていたのね。

 

「えっと、これからどうしよっか? ハーデス君」

 

「新しいエリアに行きたいなら、のんびりとイベント参加しないとな。一日ニ十匹も倒しておけばいつかで兎の国に行けるし焦らず倒そう」

 

「と言うハーデスは今日中に倒しそうなんだけどねー」

 

「出来ればゲーム内の夜までにはしておきたい気持ちはある」

 

「え? なんで?」

 

「・・・・・夜の間、半分の確率でモンスターとの遭遇が減ってしまうからなんだよ」

 

あー・・・・・と聞き覚えがあるプレイヤーは納得した面持ちで視線を送ってくる。チクショウ、良くも悪くもなる称号だよこれ!

 

「ということで、このイベント中は全員ライバル同士だ。負けないからな、それじゃ!」

 

「またねー」

 

「次会うときは兎の国だ」

 

まずはサイナとリリムを回収してホームに戻って小休止だ。それから邪魔されず挑戦者ヴォパールと戦う場所は・・・・・。

 

「お前ら、マジで場所を問わないのな!」

 

宝饗水晶巣クリスタルモンスターズに交じって殺意力が高い武器を持った無数のヴォパールにツッコミを入れた! 全てのエリアに現れると言っても、三つ巴戦争が絶えないこのエリアにまで来るんかい! レベルはそのエリアに出現するモンスターと合わせてか、宝饗水晶巣エリアに出現するクリスタルモンスターズのレベルと同じだ。しかも、プレイヤーにだけ狙ってくるし水晶モンスターに巻き添え食らいそうになっても、逆に倒しに掛かるってすごっ!

 

「俺も負けていられないな。【再誕の闇】【闇影の兵士】!」

 

大地に広がる黒い沼に一度沈めば死亡扱いとなって俺に従う異形のモンスターと化するし、俺の影から倒したモンスターが黒い影として召喚される物量で押し潰すスキルのコンボが完成だ。フハハ! ヴォパールどもも我が闇に沈め!

 

 

とあるパーティー・・・・・。

 

「うげぇ・・・・・黒いモンスターが増えていやがる」

 

「わかってたけど、魔王の兵はここで補助しているんだな」

 

「次のイベントで白銀さんの敵にならないことを祈るしかないな」

 

「わかる。是非とも味方で楽しくゲームしたいところだよ」

 

「お前らっ! こっちの戦闘に集中しろー! めっちゃウサギにぐうわあああー!!!」

 

「「「「あ、死んだ」」」」

 

 

ソード・ヴォパール、シールド・ヴォパール、アーチャー・ヴォパール、マジック・ヴォパール、アサシン・ヴォパール、ランサー・ヴォパールetc・・・・・。

 

ふむ・・・・・にしても妙に数が多いし絶え間なく息も入れさせてくれないような連戦をされる。俺ほどの防御力がなければの話だ。ヴォパールは俺の懐に飛び込んでも、反射的に兎の身体か武器を掴んで沼に押し付けることや、遠距離から缶詰め状態のモンスターの隙間から矢を打ち込んでダメージを、放った魔法で与えてこようと【大嵐】、【大竜巻】、【エクスプロージョン】などの広範囲攻撃の魔法でやり返す。さて他のところでもこうなのか? 情報収集でもするか。

 

 

【100匹抜き!】ヴォパールVSプレイヤー!【目指せ兎の国】

 

 

56:魚臣ヌ土

 

意外と倒せなくはない【挑戦者ヴォパール】だ。本当レベルが低いぞ

 

57:木公草冠耳

 

人喰いの森にいるけど、ここにも兎がいるし倒せる

 

58:旬香宗蕩

 

プレイヤーが倒せるレベルの程度で100匹倒せってのはヌルゲーでは?

 

59:イ木木木

 

でもさ、遭遇率がクソなほど少なすぎなーい?

 

60:水林平

 

あー言われてみればそう。獣牙の森で遭遇したから今も探してるんだけどさ、他のプレイヤーも血眼になって一緒に探すもんだから30分で五回ぐらい倒せたら良い方

 

61:安楽死匠

 

何千万のプレイヤーがいるしね。何なら一億いってるんじゃん?

 

62:枯れ葉隊員

 

あ、プレイヤー同士がかち合った。こうも兎が少ないと喧嘩してしまうよなぁ

 

63:レジとスとタンス

 

どっかたくさん沸くエリアってない?

 

64:金鷲

 

そんなあなたには水晶モンスターがいるエリアがおすすめです!

 

65:メタメタなリンゴ

 

地獄のミキサーに誘うなボケ

 

66:相撲ズーモ

 

レベルはたけぇーわ、暴走トラックに轢かれる気分をさせられるわ、攻略が難しいわの三拍子があるエリアに誰がいくかよ

 

67:金時さん

 

白銀さんなら喜んでいってるよ

 

68:蠍の男

 

あの人はほら、ね?

 

69:金鷲

 

いや、あながち来た方がいいぞ。誰も辛い目や怖い目に遭ったからか、嬉々として荒波を大津波で押し返す勢いのことをしている白銀意外ほとんど誰もいないからか、向こうから兎が10羽以上どころか倒した端から襲ってくるんだわ

 

70:ラビットラブリート

 

レベルは?

 

71:金鷲

 

90台。もしかすっと高レベルなほど遭遇率が高いんじゃね? 白銀さんの方、遠目からだけど水晶モンスターに交じって兎が・・・・・30羽ぐらい現地のモンスターを返り討ちにしながら白銀さんを攻撃してるけど倒されてるぞ

 

72:金山蔵

 

はっ? 兎があのモンスターを? 強すぎない?

 

73:ロポンギー

 

待って、誰もいないから手をつけられていない兎がたくさんいるわけじゃなくて、元々そう言う感じなの?

 

74:五時等

 

俺も固定パーティーと水晶エリアにいるけど、めっちゃ俺達を殺しに掛かってくる兎の集団と戦ってるぜ! 数は十!

 

75:テンコロ

 

もしかしなくても、低レベルのモンスターがいるエリアより高レベルのモンスターがいるエリアの方だと遭遇率が高くて沸きやすい?

 

76:五時等

 

だな! サソリより優しいから何とか倒せたんだがまーた襲ってきたわぁー!? あ、死んだ

 

77:ゲーソン

 

耐久プレイは得意だ。ちょっと逝ってくる

 

78:応仁臣

 

良い狩り場が見つかったのでギルドの仲間に報告してくる

 

79:美筋肉美尻の漢女

 

いらっしゃーい! 全員まとめて相手してあ・げ・る! 来た人からあたしからのあつーいベーゼをしちゃうわ!

 

80:爆轟

 

邪魔だどけ! 魔王様のお出迎えを邪魔するか!

 

 

 

「・・・・・なるほど」

 

高レベルのモンスターがいるエリアほど、ヴォパールとの連戦は長いのか。このこと俺のギルドのみんなにも教えておこーと。

 

『【挑戦者ヴォパール】を100人倒しました。ラヴィッツから招待を受けます。受けますか? YES/NO』

 

そして、いつか指定された数まで倒しきった俺はギルドのみんなに一足早く兎の国へ失礼するとメッセージを送ってYESを押した。

 

 

『プレイヤーが初めて兎の国へ到達しました。称号【兎の国から招かれた招待者】が贈られます』

 

いよっし、一番乗りー!

 

「おう、随分早ぇ再会だなぁ魔王」

 

「・・・・・ゑ?」

 

人が喜んでいる背後に、どうやってここに? と疑いたくもなる大兎が宝饗水晶巣にいた。当の大兎は軽く水晶蠍がいる周囲を見回し・・・・・。

 

「おいらですら見た事ねぇ地下世界がまだあったとはぁ」

 

ドス・・・・・いや、刀か? それを鞘から抜きヒュンッと軽く薙いだだけで数多のプレイヤーを屠った水晶蠍が無数の斬撃を受けたようなダメージを食らって(俺の闇兵士も含め)遥か彼方までいたやつらも一気に消え去った・・・・・???

 

「これで静かに語らぁな」

 

・・・・・この大兎、下手したら三大天災より強いんじゃ?

 

「えーと、迎えに来たってことで?」

 

「おう。だがまさか、こんな地下世界でヴォパール魂を高めていたぁとはおいらも耳を疑ったもんだぜ」

 

「そう? 結構快適だぞ。それにここの真上、地上にはドワーフが住んでいるドワルティアって国があるし」

 

「それは知っている。遠い昔のダチがいるんでなぁ」

 

ドワーフのダチって・・・・・。

 

「そのダチはどんな奴?」

 

「ドワーフの王の弟だ」

 

あ、とっても知っていますねー!

 

「せっかくだし会いに行く?」

 

「いんや、積もる話があるわけでもねぇ」

 

こういう手合いは何となくわかる。ずっと後にして最後まで会わないパターンだ。お前らの反応が見たいから絶対に会わせてやる気持ちで大兎の背後に回ると背中を押した。

 

「悪いが俺にはあるんだよ。ラヴィッツに行く前寄り道させてもらう。ほら、一緒に行こう!」

 

「おいおい、随分と強引だなぁ」

 

なんか楽し気な声色で俺に押されることを拒まない大兎といざドワルティアへ向かった。

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