バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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鍛冶師の神髄

 

 

久々にやってきましたドワルティア! そしてそのお城に魔王様が堂々と入ってもドワーフの衛兵達は顔パスでスルーさせてくれるし、我が物顔で王座の間へ直行! その扉を守る二人の近衛兵に近づきアポを取る。

 

「王様、会える?」

 

「少々お待ちを」

 

一人だけ中に入り俺達は待つと一分ぐらいで戻ってきた近衛兵から許可を得て中に入る。

 

「久しいな英雄殿! 新しい鉱物を見つけてくれたのか?」

 

「見つけたよ。新大陸の鉱物がな」

 

「・・・・・見せてほしい」

 

呼んでもいないのにアポイタカラの時はいつの間にかいたからもしかしたらと思ったけど、未知の鉱石には凄く敏感のようだなこの神匠ドワーフは。

 

「おうおう、久し振りだぁなユーミル」

 

「・・・・・ヴァッシュ? なぜドワーフの心の友と一緒にいる」

 

「あの頑固で同胞と酒と弟子以外興味を示さねぇおめぇさんにそこまで言わせるとはぁ、相当魔王に世話されたようだな。なぁーに、これからラヴィッツに招待するためおいらが直接来た、そんだけよ」

 

「・・・・・ラヴィッツに招待するとは、お前を動かすの事をしたのか」

 

「ヴォパール魂を見せられちゃあ、おいらも動かずにはいられねぇよ」

 

さっきからヴォパール魂って何なんだろうねー。旧友同士の話に割り込まずエレンに新大陸で得た鉱石とメタル系スライムのドロップアイテムを見せていた。

 

「どれもこれも、代々受け継がれているドワーフの鉱物の知識にない物ばかり・・・・・感動的だ」

 

「あ、図書館みたいなのがあるんだ?」

 

「む? もちろんあるぞ。興味あるなら好きなだけ読んでも構わないし、後で返してくれるなら貸すぞ」

 

おお、それはありがたい。でもそれは後日だな。この後、ラヴィッツに行くから。

 

「それで、これらを譲ってくれないか? 弾むぞ」

 

「いいけど、違和感なくユーミルが持ち帰ろうとしているぞ」

 

「ぬおっ!? ダメだ、これは俺のだ兄者!」

 

「・・・・・未知の鉱石を前にして何もしないのはドワーフの性に反する」

 

「記録に残さねばならないのだぞ!? まだ手を付けるではないわ!」

 

目の前で兄弟喧嘩が始まった。呆れた目で見ている俺の横から、白い手が伸びてきて金属のジェルを手に取った。

 

「メタルキングスライムのジェルか。懐かしいモンを持っているなぁ」

 

「それで勇者の武器が創れるみたいだけど、神匠なら作れるよな?」

 

「ああ、作れはするぞ。こんだけじゃあ足りねぇがぁ、おめぇさん欲しいのか?」

 

「もう勇者じゃないからなー。魔王に相応しい装備品があるなら手に入れてみたいかな。ま、今の装備が大変お気に入りだから満足しているけど」

 

ヴァッシュと初めて聞いたそんな名前の大兎の目が俺の溶岩の装備を凝視した。

 

「ふぅむ・・・・・数は足りねぇが、『真化』ならできる。どうでぇ、おめぇさんの時間をちょっとばかしおいらに預けてくれるってんなら、その装備一式、新しい姿に変えてやっていいぞ」

 

ピタッ、と。

 

喧嘩していた兄弟が動きを止まった。はて、しんかって生物的な意味じゃなさそうなのは確かだ。

 

「・・・・・ドワーフの心の友、受け入れろ」

 

「ユーミル?」

 

「・・・・・とても、興味がある」

 

「同じく! 聞いたことも見たこともない技術がこの目で焼き付けれるなら頼む!」

 

二人がそこまで言わせる技術か・・・・・本人達が言うならお願いしてみるかな。

 

「ちょっと、鍛冶師のツレを呼んでもいい?」

 

「できるだけ早くな」

 

だったら俺が直接、連れて来た方がいいかもな! ということでギルドに所属する鍛冶師のプレイヤー全員を呼び集め、ヘパーイストスとヴェルフも有無を言わさず道連れにして急いでドワルティアの城へとんぼ返りぃー!

 

「お友達を呼んできました!」

 

「おう、やぁっと来たな。まぁ、古い友と話しができたからそう暇ではなかったがな」

 

「・・・・・懐かしい話」

 

その話、俺も聞かせて欲しいですなぁー。

 

「・・・・・今回だけ特別だ、ヴァッシュ、案内する」

 

「ドワーフの神匠とその血族の身しか許さねぇ工房、楽しみだなぁ」

 

ユーミルとエレン、ヴァッシュが先に歩き出すので俺達も後を追いかける。

 

「おい坊主、一体何なんだよ俺達を無理矢理ここに連れてきやがって」

 

「悪いと思っているよ。が、鍛冶師なら一度見ておいた方がいい気がしてさ。見れなかったら多分後悔するぐらいには」

 

「鍛冶師に関係する・・・・・?」

 

城に地下に続く階段へ赴き、下って進みまっくらすぎる空間に着くとエレンとユーミルが灯火で明るくしたり、炉に火を熾したりする。

 

鍛冶を始めるための下準備作業を始めた二人をよそに、ヴァッシュは俺へと向き直る。

 

「おう、装備一式全部出しな」

 

「へい」

 

言われた通りにをインベントリから『黒陽ノ鎧Ⅹ』『暁の境界Ⅹ』『日食Ⅹ』『天外突破』を出すと、ヴァッシュはそれを受け取るとなにやら調べるかのようにじっと見つめる。

 

「おう、おう・・・・・おめぇさんのヴォパール魂がしっかり感じられるじゃねぇか。これならイケるだぁな。おう、おめぇさん手持ちに何か素材を・・・・・おめぇさんが苦労して倒した奴の素材はねぇかい?」

 

「苦労した奴・・・・・」

 

ベヒモスとジズの素材はあるけどなんか違うし、メタルスライムはそうでもなかったし、恐竜系は殆どテイムばっかしたから素材はない。ヤマタノオロチの素材はヘパーイストスとユーミルに渡してしまったからなぁ・・・・・。

 

「手元にあるのこれぐらいしかないんだけど」

 

「ふぅむ・・・・・メタルキングスライムの王冠とジェルか」

 

「メタルナイフを作って貰ったって聞いたぞ」

 

「そうかぃ。おいらが旅の途中で寄った港町でしばらく休ませてもらったのさ。その礼にメタルでも切れるナイフをちぃっとばかり見繕ってやったんだ」

 

本当にどんだけ長生きしているんだって話だ。

 

「炉はどうでぇ?」

 

「・・・・・熾した、が、もう少しかかる」

 

「じゃあよう、先に準備だけしちまおうかい」

 

ノソノソと壁に吊り下げられた様々な道具を選んでいるヴァッシュをよそに、トントンと肩を叩かれる感触に振り向けば、スケガワが俺に話しかけてきた。

 

「あのでっかい兎、ヴォパールだよな? でもどんなNPCなのかわかっている?」

 

「鍛冶師なのは今わかったし、その前は野菜を切る感じで百メートル先までいる水晶蠍を軽くぶった斬った強いヴォパールぐらいしか」

 

「え、なにそれ、強すぎ・・・・・マジ話?」

 

「白銀さんは嘘を言わないよ?」

 

そう、それと話し合っている俺とスケガワが見る先、火が炎となった炉の前にいるヴァッシュが、金槌の音を響かせた。それを聞いてこっそりサブ職を鍛冶師にして個人用に動画を取り始める。

 

カァン・・・! カァン・・・! カァン・・・!

 

ヴァッシュが金槌を『日食』に叩きつけるたびに、火花と同時に魔法陣が浮かび上がる。それは吸い寄せられるように短刀へと吸い込まれていき、そしてまた新たな魔法陣が火花と共に生じる。

 

「―――い夜空に―――の炎・・・・」

 

「ん・・・・・?」

 

なんか、歌い始めているな。ドワーフ達も鍛冶をしながら歌ってたし、ヴァッシュもそうなのか。チラッとエレンとユーミルに視線を送る俺に気付き口の前で人差し指を立てた。静かにしろってことかあいよ。みんなにも絶対に静かにしろと言わずとも、他人の作業を邪魔するマナーの無いプレイヤーはこの場にいないことに安心した。あ、撮影だけは許してくれよ?

 

そういうわけで金槌を振るい叩きつければ『日食』から火花と同時に魔方陣が浮かび上がり、短刀へ吸い寄せられて消え、また浮かび上がる繰り返しを何度も何十回も、ヴァッシュの歌を聞き続ける。そして彼の鍛冶師としての姿を目に焼き付ける。

 

―――数時間後。

 

「完成したぜぇ。おめぇさんの新たな力をよぉ」

 

「おおお・・・・・!」

 

全身が赫赫としていたマグマ装備が逆に全ての装備に青い宝石がアクセントとして全身が白銀色の装備になった! あのメタルキングスライムの素材はどこへいったのやら!

 

 

頭装備『白極ノ光』

 

【破壊不可】【融解】【終焉】【暗視】【妖眼】【メタル化】

 

【VIT+150】

 

白螢は横並びの青い三つ目のフルフェイスマスクで青白い燐光を放つ長い白髪が伸びている。顔の部分はどうやら収納性があって素顔が晒せることができる。

 

 

胴体/足装備『白鯨ノ鎧:【覇獣】/【滲み出る混沌】』

 

【破壊成長】【紫外線】【踏ん張り】【メタルボディ】

 

【VIT+159】

 

白銀の鎧に青と金と赤に黒のラインが走っている鎧と足。

 

 

左手装備『白波ノ怒濤Ⅹ』

 

【破壊成長】【マグマオーシャン】【溶結】【溶熱】【ブラックホール】【メタルガード】

 

【HP+200】【VIT+160】

 

残念ながら刃がなくなってしまったかと思えば、何時ものように連結すると刃が飛び出した白銀色の大盾。

 

 

右手装備『白熱:【毒竜】』

 

【破壊成長】【溶断】【溶結】【トリアイナ】【灼熱地獄の誘い】【メタル斬り】

 

【HP+200】

 

【MP+200】

 

【VIT+175】

 

白銀の短刀であるが、名前の由来が『日食』の名残であることが判明した。素振りしてると刀身が高温に熱せられた物体が白色光に近い光り出すようにマグマの如く真っ赤に赤熱するからだ。

 

そして新しくスキルが付与されていた。全部メタル系だな。

 

 

【メタル化】

 

3分間全身が金属となり物理攻撃による被ダメージはプレイヤーのVITが相手のSTRを200以上も上回っている場合のみ0となるが、AGIの数値が30分の間は200下がる

 

 

【メタルボディ】

 

ノックバック効果を受けなくなる且つ相手のSTRよりプレイヤーのVITが上回っている場合50%カットする

 

 

【メタルガード】

 

物理と貫通攻撃で受けるダメージを85%カットする。

 

 

【メタル斬り】

 

メタル系のモンスターに対するダメージ補正が入る

 

 

「ヴァッシュありがとう! でも何でこうも変われるんだ? さっき言ってた『しんか』ってやつ?」

 

「真なる変化、真化ってなぁ、おめぇさんと共に戦い潜った装備に宿る経験と記憶を読み取り、より相応しい形へと・・・・・即ち『真なる姿』へと変える技術だ。そんな装備に強者の素材と混ぜて鍛えその形に変えたってわけだぁ」

 

「その技術、ユーミル達にもできるか?」

 

「同じ神匠と言えどよぉ、相手の技術を見様見真似したって完全にてめぇのものにゃならねぇよ」

 

そうなの? と意味で視線を送るとメラメラと瞳の奥で「絶対に自分のモノにする」って熱意の炎を燃やす神匠のお二方がいた。でも完全でなくとも、似て異なるぐらいはモノにできるってことか。それで満足するかどうかは鍛冶師次第かな?

 

「そんじゃあ、やることはやった。本題に戻すぜ。おめぇさんをラヴィッツに招待する」

 

「そう言えばそうだった。と言うことでみんな、お先に失礼するぜ」

 

「え、もう!?」

 

「さっすが白銀さん・・・できれば手伝ってほしかったなぁ」

 

「でもありがとう! 忘れられない光景を見せてくれて!」

 

「俺もあんな鍛冶ができるよう頑張る!」

 

おう、頑張ってくれと言い返す俺は白いモフ毛の大きな手に力強く抱き寄せられ・・・・・。

 

「そんじゃあ、しっかり捕まってろよ」

 

「へ―――?」

 

ヴァッシュと一緒にいつの間にか工房から離れていたと気付く間もなく、一瞬で別の世界にいた。

 

「着いたぜ」

 

「はやっ!?」

 

「わははは、そんな反応をされるのは初めてだ。ま、おいらが直接国に連れて行ったのも今回が初めてだから当然だわ」

 

・・・・・国? そう言えば・・・・・周囲を見渡せば背後・・・視点を上にずらせば見た目は和風の御殿が鎮座していた。ていうか、ここって木の上にいるのか? リアルの方でも木の上でハウスを作る技術はあるけどこの世界にもそんな家があるとは思わなかったな。それから一番の目玉と言えば木の上から見下ろせば猫妖精みたいなNPC達が日常生活を過ごしている。まんまウサギがいればウサギの要素がある人型のNPC、逆に人型のウサギのNPC達までいるから・・・・・ウサギが好きなテイマー(人間)が見たら大騒ぎするだろうなー。

 

「気が済んだか?」

 

「圧巻された。ここは旧大陸のどこかに?」

 

「ああ、そうだぜぇい。とは言っても大陸から少し離れた場所だがな」

 

ギリ新大陸に近い場所にあるのかーい! 新大陸を網羅した地図を広げて探しても・・・・・どの辺りだ? 見当たらずヴァッシュに向かって突きだして乞うた。

 

「どの辺り?」

 

「ほう、地図もあるのか。だが・・・ああ、載ってねぇなこりゃあ」

 

「世界から認知されていない国の大陸?」

 

「まさに未知、ってだろうよぅ。まぁ、後でこの世界の地図を持ってるやつを紹介してやる。来な魔王」

 

「あ、死神・ハーデスだ」

 

おう、と短く返事をするヴァッシュの背を追いかける。お邪魔する御殿の中はやはり和風っぽい造りで木造の床を歩き、これもまた着物を着た雌兎がある襖の前に待機していて、ヴァッシュが近づくとその襖を開けた。当然のようにそこへ入る彼に続いて足を踏み入ると、居間のような畳の部屋だった。

 

「まぁ、座れ」

 

「お言葉に甘えて」

 

ヴァッシュは台座の上に腰を下ろし、数匹の雌兎が酒瓶とリアルでもある漆が施された黒い容器に中が赤く塗装された皿を持って来た。おや、俺にも? ありがとう。

 

「まずはおいら達の出会いに乾杯だ。飲めるよなぁ?」

 

「ドワーフにしこたま飲まされたことがあるから」

 

「わははは! そうかそうか! だったら安心して飲め、ドワーフの酒より弱ぇからよ」

 

突き出し合うように皿を伸ばして、同時に注がれた酒を飲み干す。

 

「さぁーて、何から話をしようか。勇者とも魔王とも、こうして話し合うのは初めてだからよぉ」

 

「どっちも存在は知っていても交流はしなかったのか?」

 

「ああ、しないな。天災の獣と四神と戦う気概と見所はあるが、さっきも言った通り魔王になっちまって冥界に引き籠って二度と地上に出て来ねぇからよ」

 

「その前に接触すれば? 勇者に力を貸すこともできただろうに」

 

「できたな。だがよぉ。そうすっと魔王の軍勢がラヴィッツまで来ると分ればおいそれと手ぇ貸すことは安易にできねぇのさ」

 

ああ、そういう事情があるのか。大陸から離れているとしてもリヴァイアサンの存在もあったし、安全とは言い切れないか。

 

「だが、今となってはどうだ? まーた勇者が魔王になったと思えば冥界に行かず地上で過ごし続けた上に三匹の天災を打破して本気の四神を全員ぶっ倒しちまった。その上、魔王が地上に進出したことで今の大陸はヴォパール魂を漲らせる環境になっているじゃねぇか」

 

なんか、嬉しそうに言うな。俺の原因とは言え、モンスターが朝も夜も強化されて初めてゲームした頃より簡単じゃなくなっているんだが・・・・・。

 

「そのヴォパール魂ってなに?」

 

「あん? ヴォパール魂はヴォパール魂だろう」

 

「さいですか・・・・・それでヴァッシュはこの国の王、って認識しても?」

 

具体的に教えてくれなかった。感覚的に格上との戦意欲的なもんだろうか?

 

「ああ、おいらは王じゃねぇ。頭をしている。ラヴィッツの王はおいらの息子がしている」

 

「カシラ? ああ、多種族の大連盟主の」

 

「それもちと違うが、まぁ似たようなもんだな。さて、こんどはおいらの番だ。おめぇさんのことを詳しく聞かせてくれや」

 

「何を聞きたい?」

 

「そうさなぁ・・・んじゃあ、まずはベヒモスとどう戦ったか教えてくれや」

 

ヴァッシュが満足するまでこれまでの強敵と戦った話を事細かく感嘆させたり笑わしたりしつつ話した。終始、楽しそうにヴァッシュは最後まで耳を傾け、俺の話を酒の肴にしてた。

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