バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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虹彩鳥

 

 

「色々と教えちゃってよかったの?」

 

「ああ、別に構わない。第三陣のプレイヤーが直ぐに俺達を追い越すわけでもないし、第一陣のプレイヤーにも俺の情報通りにするならさらに強くなるだろうよ。ちゃんとデメリットがあることも教えたから気を付けることもできるし、文句も言わせん」

 

「ていうか、モンスターを食べるプレイヤーが溢れるんじゃない? 私、そんなプレイヤー集団を見たくないんだけど」

 

「そんなことできる設定をした運営が悪いんじゃないですかねー」

 

「HPドレインで強いスキルが手に入るならって思うプレイヤーもいるよねー」

 

「そうそう、強くなりたいなら行動しないとな。そんじゃ、そろそろ時間だ」

 

家の番に分身体を残して俺達はそれぞれの寝室に足を運び、時間になったらログインをした。種族変更の際は、既に悪魔族になっている俺に関係ない事だから一週間ぶりのNWOの世界へ飛び込んだ。久しぶりの日本家屋の見覚えある天井を見上げる形で目覚め、傍にはサイナとリヴェリアとアカーシャの顔が。

 

「おはようございますあなた」

 

「マスターおはようございます」

 

「おはよう、寝坊助さん」

 

目覚めのキスを三人にした。アカーシャとは初めてだったけど受け入れてくれたので安心した。

 

「ご主人だー!」

 

「クママー!」

 

「マスター!」

 

「うん、最初はこうなるよなー!!!」

 

最後にオルト達から再会の抱擁&のしかかりから俺のゲームが始まった!

 

―――天空の城

 

しばらくしてログインできる【蒼龍の聖剣】のメンバーのみ集結し、一週間前に各々が下準備をしていたパーティーを始めた。ギルドメンバーとの種族変更をした各々が顔合わせを済ませたけど・・・獣人族、海人族、悪魔悪、天使、エルフ、ドワーフ、アンデッド、蟲人族、吸血鬼・・・・・多いな!?

 

「ハーデスさん、お久し振りです!」

 

「おーイカル。久しぶりだな、種族は・・・・・」

 

「悪魔にしてみました!」

 

そういうイカルの顔にはほとんど変化がない。というか、悪魔だからか悪魔らしい特徴ってないんだよな。翼とか尻尾とかないし。天使を選んだプレイヤーも純白の翼がないしな。逆に獣人族と海人族は身体に特徴的なのがしっかりあるし、エルフとドワーフは分かりやすい感じになっている。そしてアンデッドと蟲人族、その他の種族を選んだプレイヤーはもはや人間と呼べない出で立ちの仮装している気分で選んだっぽいな。異種族に変更したとしてもステータスに変動はない。種族特有のスキルもないしメリットもデメリットもない。こうして見ていると完全なる仮装パーティーの気分だわ。

 

「なぁなぁ白銀さん。アレって本当なのか?」

 

「アレ?」

 

「掲示板のことだよ。モンスター食ってスキルが覚えるやつ」

 

「本当だぞ。白銀さんはウソを言わない」

 

それからモンスターに味があるのか気になったらしく、今まで食べたモンスターの味を教えることになった。

 

「ああ、最後にしたのは闇霊の里の試練にいるサキュバスだったな。食べるんじゃなくて血を吸う感じのHPドレインをした。それでスキルも手に入ったぞ」

 

「な、なんだと・・・・・!?」

 

「サ、サキュバスにそんなことできるのか?」

 

「ど、どの辺りで吸ったのか詳しく・・・・・!」

 

思いっきり変態丸出しの顔で訊いてくるプレイヤー達にイカルの目がちょっぴり厳しくなったような・・・。

 

不意にマイホームにいる俺達のところにカラーン、カラーンと荘厳な鐘の音が鳴り響く。

 

『ニューワールド・オンラインをログインしているプレイヤーの皆様にお告げします。第三陣歓迎イベントを開催する報告を致します。イベント内容は【経験値&ゴールドラッシュ】。対象の場所は旧大陸のみとし、高レートで換金可能な金塊が、一定期間採掘ポイントから出現します。戦闘・生産を介さずに、手軽にゴールドを稼ぐチャンスです。合わせて期間中は、初心者用装備・アイテムセットにツルハシ30個・金塊10個をプレゼント!旧大陸の採掘ポイントで採掘すると十万Gの価格の金塊が入手できます。またイベントの間のみモンスターからも大量の経験値とGを獲得できるようになっております。この機に第三陣のプレイヤーは上級プレイヤーと一気に差を追い付きましょう』

 

 

「え、待って。そんなことしたら鉱石が手に入らなくなるじゃない!?」

 

「止めて止めて、私達の存在意義が・・・・・!」

 

「二人共落ち着け。対象が第三陣のプレイヤーだから俺達がいつも通り採掘しても変わらず鉱石が手に入るに違いない。それに新大陸に行けば鉱石が大量に手に入るって」

 

 

『同時に第一陣、第二陣のプレイヤーには【神獣の代理戦争】が開催されます』

 

 

「神獣の代理戦争?」

 

「私達のギルドって神獣の眷属じゃないから参加できないんじゃない?」

 

「できないならできないでいいんじゃないか?」

 

 

『なお、神獣の眷属に所属していないギルドやプレイヤーがイベントに参加する場合、無名の他勢力として配置されます』

 

 

「他勢力、悪くない響きだな」

 

「今までずっと謎に包まれた第三の勢力、もしくは組織的が今明かされる感じで格好よくね?」

 

「それだと陰に潜み陰で暗躍していた組織?」

 

「そもそも魔王のギルドであるから悪の組織では?」

 

「「「それだ!!!」」」

 

イズとセレーネを落ち着かせている俺の耳に仲間達の唖然とする声が聞こえてくる。

 

「おお、見ろよコレ。戦争に勝ち残ったら報酬の中に生産専用の道具も手に入るぞ」

 

「この黄金のピッケル『ラッキーセブンピッケル』って採掘できる回数が七回、ドロップする鉱石が七個追加って凄くね?」

 

お、そいつはつまり、数回で採掘が終わってしまうところ+七回も追加でまだ採掘できるようになるのか。ドロップする鉱石系のアイテムも七個も増えるのか。次も特殊なピッケルがあるなら~って話し合ったのにこれか。目から鱗だぜ。是非とも狙いたいな。

 

ガシッ―――!!!

 

「「勝とうハーデス!!」」

 

「勝ちましょう白銀さん! 生産職にとって無視できない、絶対に使いたい道具がこんなに!」

 

「俺も是非、欲しい生産系の道具があってだな・・・・・」

 

「お願いします白銀さん! 代理戦争、絶対に勝って手に入れたいんです!」

 

肩を掴んでくるイズとセレーネだけじゃなくて、他の生産職プレイヤーが俺に群がる! 

 

「わかった、わかった! 俺も欲しいもんがあるから出るつもりだ! 戦争に出たいプレイヤーは他にいるかー!? 出たい奴は挙手!」

 

と大声を叫んで催促すると・・・・・挙がる生産職プレイヤー以外の手がほぼ全員だった。

 

「―――それなら、これから戦う相手に勝てないようじゃあ手に入らないぞ! 全員、準備はいいか!」

 

インベントリから出した虹色の羽。料理のバフを得た全員は俺の発言に各々と武器を手に取り構える。

 

「白銀さんと居ると退屈ない日はありませんなー」

 

「本当ね」

 

「こう何度もレイドボスと戦えるギルドって【蒼龍の聖剣】以外ないって」

 

「今回も勝つぞ!」

 

「おおおー!」

 

血が滾っているようでやる気満々。その意気やよし!

 

「それじゃ、行くぞ! ―――来い、オウホウ!」

 

天に掲げた虹色の羽から七色の閃光が迸り、俺達を包み込んだ光によって専用フィールドに転送された。最初に視界に入ったのは草木が一本もない剥き出しの岩肌と地面。俺達を囲うように聳え立つ壁・・・・・。空は晴天で虹の橋が架かっていた。

 

「ここって、火口?」

 

「かこう?」

 

「火山の穴のこと。自然にできた山の穴かもしれないけど」

 

「もしかして、レイドボスがマグマを噴火させたりしてー」

 

「ははは、まさかー」

 

・・・・・突拍子もなく地面を奈落の底に沈めて海に変えてしまう白虎を除く四神との戦闘の記憶がフラッシュバックしたところで反対側に伸びていた虹に導かれる風に七色の羽を持つ巨大な鳥が現れた。そして俺達の目の前に舞い降りて頭を垂らす。

 

 

≪勇敢なる者達よ、汝らの心を証明せよ≫

 

 

「心を証明する・・・?」

 

「心の強さ、つまりは負けないって気持ちの強さかもな」

 

「おお、そういうことか」

 

疑問を口にする仲間に教えながら拳を突き出す。

 

「思う存分、俺達の全力を示そうオウホウ」

 

 

≪よかろう。我は七聖獣の一角『虹彩鳥オウホウ』。これより交わすは言葉ではなく力と力のみ。証明せよ、汝らの心を―――!≫

 

 

大きく翼を広げるオウホウ。レイド戦の開始と同時に俺は【統率者】を発動した。対してオウホウは翼を力強く羽ばたくと七色の火炎弾を七つ放って来た。くるくると円に回りならが俺達が立つ火口に落ちると、燃え盛りだす七色の炎から火の鳥が飛び出して来た。

 

「全員、色の炎を攻撃しろ! 破壊不能オブジェクトじゃなかったら破壊できるかもしれないし、無限に増える火の鳥も倒し切れるはずだ! あと属性攻撃でな!」

 

「その理由は!?」

 

「それぞれの色で燃えているってことは、炎自体も何らかの属性かもしれない!」

 

「了解! じゃあ、見た目で判断するとなると赤い炎は水属性の攻撃が有効か?」

 

「じゃあ、私が試すねー。【多重水弾】!」

 

フレデリカが赤い炎に向かってたくさんの水の塊を連続で撃つと、橙色の鳥が赤い炎を守るように集まって身体で【多重水弾】を受け止めて防いだ。

 

「なーるほど、ハーデスの推測通りってことね。しかも防いだ黄色い鳥が無傷ってなんかあるんじゃない?」

 

「だな。全員、魔法攻撃で炎の塊に攻撃! 同時に逐一報告してほしい! 攻略法を考える!」

 

俺の指示に従う仲間達がそれぞれ色炎に向かって攻撃するし、そうはさせまいと色鳥達がプレイヤーに攻撃する。何時でも空から攻撃が出来る筈のオウホウはただただ眺めているのは妙に気になるが・・・・。

 

「緑の炎に炎属性で攻撃してもダメージが入らない! でも物理攻撃すると赤い鳥が邪魔する!」

 

「黄色の炎は炎属性にだけ青色の鳥が敏感に反応するよ!」

 

「青い炎に土属性の攻撃だと緑色の鳥が邪魔する!」

 

「橙色は何故か風属性の攻撃だけ黄色の鳥が邪魔するんだけど!」

 

「紫色は光属性が弱点っぽい! 藍色の鳥が邪魔してくる!」

 

「この色なんて言えばわからない・・・えーと、濁った青っぽい炎はまだわからない!」

 

虹色に濁った青ってのはないから藍色だろうな。にしても集まった情報を整理すると・・・・・。

 

 

赤色の炎に水属性が有効、しかし橙色の鳥に邪魔される

 

橙色の炎に風属性が有効、しかし黄色の鳥に邪魔される

 

黄色の炎に炎属性が有効、しかし青色の鳥に邪魔される

 

緑色の炎に物理が有効、しかし赤色の鳥に邪魔される

 

青色の炎に土属性が有効、しかし緑色の鳥に邪魔される

 

紫色の炎に光属性が有効、しかし藍色の鳥に邪魔される

 

藍色の炎に有効な属性はまだ不明

 

 

「・・・・・ああ、そういう。くそ運営め、頭を使わせてくれるな!」

 

「なんだ、何が判った白銀さん!」

 

「紫色と藍色を除く色の炎の仕組みが分かった。五行法則だ」

 

近くにいた仲間が「五行法則?」とチンプンカンプンな反応を示す。

 

「全員! 色の炎への攻撃から色の鳥を優先的に攻撃しろ! 炎から湧き出るより早く鳥を倒してダメージを与えるしかない! 赤い鳥は火属性! 橙色の鳥は土属性として認識して風属性の攻撃を! 黄色の鳥は火属性の攻撃だ! 緑色の鳥は物理攻撃だけで倒せ! 青い鳥は土属性の攻撃だ!」

 

「え、なんで緑色の鳥が物理攻撃なんだよ? 火属性じゃないのか?」

 

「この色の炎の攻略は五行法則が鍵だからだ!」

 

「五行・・・・・ああ! そういうことかよ!」

 

「うんえーい! ややこしい設定をするんじゃねーよ!!!」

 

「ちょっと、どういうことなのか説明してくれ!」

 

「俺達にもわかりやすく教えてくれよ」

 

「この状況で説明なんてできるか! 今は白銀さんの指示通りに動くことを専念するんだ!」

 

「このレイド戦が終わったら説明するから! 鳥をさっさと倒すぞ! どんどん増えているから!」

 

ほう、俺以外にも知っている奴がいるとは嬉しい限りだ。それなら話も早い。

 

「ということで、全員カバーし合って鳥を倒せ! これは時間との勝負だ! 【相乗効果】! 【金炎】! 【太陽神鳥】! 【ゴッドバード・ストライク】!」

 

金色の炎を纏う金色の鳥で黄色の炎に突っ込む俺に青い鳥が集中的に集まりだした。黄色い炎を守らんと巨大な鳥と化して迎撃せんとしてくるが、無敵状態の俺に蹴散らされて守りが薄くなった黄色い炎へ肉薄し、捨て身タックルでダメージをすることに成功した。黄色の炎のHPが全損し、消失すると黄色い鳥まで消失した。

 

「おお! 黄色い鳥が消えたぞ! これで倒しやすくなった! 次は橙色の炎に風属性の攻撃だ!」

 

「だから何でー?」

 

「説明はあとあと! 黄色い鳥が守っていた橙色の炎が攻撃しやすくなったんだよ!」

 

「【ウィンドエッジ】! あ、本当だ! 他の色鳥が守ろうともしないぞ! 橙色の炎にダメージが簡単に通った!」

 

「ってことは・・・・・?」

 

ここからが作業的な戦いになるのさ。色炎に対する弱点攻撃を使用ならばその攻撃に強い色鳥が阻むも、その鳥がいなければ色炎を守ろうとしない色鳥達の中で紫色と藍色を除く色炎は全て消した。が、ここからが大変だ。

 

「光と闇は交互に守るから他の炎より厄介だ!」

 

「というわけで【ブラックホール・クラスター】!」

 

「「「「【ブラックホール・クラスター】!!!」」」」

 

ブラックホールの絨毯爆撃が藍色の炎ごと藍色の鳥を吸い込み消失させたことでのこりは紫の炎。

 

「【反転再誕】【暴虐】―――【天上の守護獣】!」

 

手足に硬質の甲殻に覆われた聖なる獣の姿を取る。

 

この効果はSTRが伸びないため攻撃性能は皆無であり変身直後はただの置物だが、ダメージを受けるたびに被ダメージ減少、味方のステータス上昇、そして光る剣により敵にダメージを与えるフィールドを生成させる。紫色の炎を守ろうとしても紫の鳥までダメージを食らい倒れるのであれば無意味だ。

 

「今ならいけるか。【相乗効果】【勇者の七閃・光爆】! 【聖竜の光剣】!」

 

ペインが二つのスキルを合わさった一撃(七回連続攻撃)を発動して紫の鳥の数が少なくなったタイミングで紫色の炎を斬って爆散させた。これで全ての炎が消え去ったわけだが・・・・・。

 

《ッ―――!!!》

 

オウホウが咆哮を上げた。ようやく本丸と勝負だと誰もが思い、彼の鳥が大きく口を開けて火炎球を生み出して放った。俺は変身したまま迫りくる炎の盾となり皆を守ってから元の姿に戻った。

 

「【アサルト・チェーン】!」

 

《ッ!?》

 

そして【太陽神の神罰】を発動した。金色の光の幕に閉じ込められ、俺達が立つ火口に降ろされている間でも鳥の籠から出ようと暴れるオウホウを視界に入れながら言う。

 

「総攻撃!」

 

「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオー!!!」」」」」」」

 

武器を片手に、従魔に変身してオウホウに群がるプレイヤー達。中には【相乗効果】で溶岩のベヒモスになって噛みつく攻撃をする見慣れた少女達が頑張っている最中、俺はのんびりとMPが切れないようポーションで補給する。

 

―――数十分後。

 

 

《見事・・・・・よくぞ我を倒した勇敢なる者達よ》

 

なんとか倒せた【蒼龍の聖剣】にオウホウが敬意を払う。いやぁ、何かすまんな。一方的にフルボッコしちゃって。他のみんなも【アサルト・チェーン】をして動きとスキルを封じながらフルボッコしたんだもんよ。第三者から見れば竜宮城の亀をイジメる大人の構図だったし。

 

《我に打ち勝ちし勇敢なる者達の成長の糧となる一端を授けよう。しかし世界は広い。我以外の聖獣はまだ六体もいる。彼等に挑むのであればこれからも切磋琢磨する必要がある。努々自分の力を過信せず怠ってはならない》

 

報酬のメッセージが届いた。

 

「うおおおおー! 勇者の称号が手に入ったー!!」

 

「【勇者】のスキルがゲットー!!!」

 

「やったぁー!!! レベルも爆上がりー!」

 

仲間達の間で勇者の言葉が出てくる出てくる。おおう・・・俺の敵が身内にたくさんできたことになるじゃないか? そしてとっくの昔に勇者になって今は英雄になった俺には・・・・・。

 

【虹彩鳥の翼】

 

【天聖の裁き】

 

というスキルを手にした―――。

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