バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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イベント終了(早過ぎた)

 

 

「城の防壁は一応これでいいと思うけれど、私達はこれからどうする?」

 

「俺達がいる場所は中心部だ。迂闊に動けないから防御に徹する。が、イカルとメイプル! 教えた方法でそれぞれ分かれて敵を倒せ! 攻撃したらすぐに戻って来い!」

 

「「はい!」」

 

溶岩のベヒモスに変身した二人が全身が赫赫と赤熱しているからよく光って見える。山を駆け下りて北側の子と卯の眷属プレイヤー達がいる山へと向かっていく姿がな。

 

「白銀さん、あいつらだけで大丈夫かよ? 下手すりゃあっという間にやられるぜ?」

 

「まぁ、見ていろ。すぐにわかる」

 

仲間の心配をよそに身体が赤熱しているベヒモス達が、敵と接触して水魔法攻撃を受けるとそこで停止した次の瞬間。ここからでも聞こえる巨獣の大咆哮が轟いた。すると、敵プレイヤーが一斉に連鎖反応を起こしたように爆発して一気に数百人が死に戻った。第一陣と第二陣はともかく、第三陣プレイヤーは堪ったもんじゃないだろう。

 

「な?」

 

「えええ・・・・・強すぎるだろ」

 

「まさに初見殺しだろ。だけど、ちゃんと対応できる術が用意されているからチートではない」

 

「そうなのか。じゃあ、その術がないとどうしようもないってことか。あ、戻って来た」

 

まだ生き残っていたプレイヤーは左右にいた敵眷属プレイヤーに押し寄せられるのも時間の問題だ。仮に城を壊して来いと言ったら、あの二人は多勢に無勢で取り囲まれていたはずだからな。

 

「おし、次は―――」

 

「報告ー! 南から敵が押し寄せてきた!」

 

「西からもだ!」

 

「凄い数が東からも来て居る!」

 

もう来るか。さすがに一度の戦闘で二つの眷属がほぼ壊滅を見て黙ってるはずもないか。

 

「テイマーとサモナー! 西方面の敵プレイヤーに牽制! ピクシードラゴン部隊は直接西に向かって敵の城を落とせ!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

「戦闘職の皆は近距離・中距離・遠距離に分かれて北方面で敵を食い止めろ! イッチョウとサリー、ペインとドレッド、ドラグ、フレデリカは戻ってくるイカルとメイプルと一緒に南方面の敵を! 俺は東の城を壊す!」

 

「「「「「「「「「「おおおー!!!」」」」」」」」」」

 

「【ガブリエル】! 【身捧ぐ信仰】! 全員、私に信仰を!」

 

「「「「「「「「「「あなたに勝利を捧げます!」」」」」」」」」」

 

女天使に変身した俺に祈る姿勢になったプレイヤーの全身が淡い金色の光に包まれた証として俺の防御力分の【カバー】が付与された。第三陣のプレイヤーも先輩達の見様見真似をすると【カバー】の力を得た。

 

「無所属の力を見せつけなさい! 全員、出陣!」

 

オォーオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!

 

全員が俺の指示通りに動き出し、四方の出入り口から飛び出し、隙間を開けた門という壁とモンスターという森から潜り抜け、迫って来る敵を迎撃する。【巨大化】したピクシードラゴンの背に乗るノーフ達も防御が手薄になっている敵の城へと空から向かい強襲を仕掛ける。対して俺はサイナと殆どの従魔を召喚してペイン達を向かわせた南方面へ迎撃に行かせた。

 

「イズとセレーネはミーニィとフェルの背中に乗って遊撃してくれ」

 

「「任せて」」

 

「頼んだ。行くぞサイナ」

 

「はい」

 

二人だけで移動を始め城を抜けた先に、迫り込もうとしている東のプレイヤーと相対し―――。

 

「え、天使・・・・・?」

 

「違う! PNを見ろ!?」

 

「は、白銀さんだぁあああああああああ!」

 

「正解! 【相乗効果】【海神の海】! 【再誕の闇】! 【悪食】!」

 

召喚された海、それも黒い海に呑み込まれ、黒い沼のような闇に悲鳴すら呑み込むプレイヤーと入れ替わるように異形のモンスターが出現した。

 

「みんな逃げろ! あの黒い水に触れたら死ぬぞ!」

 

「逃げろぉぉぉおおおおおおー!!!」

 

逃げ惑う敵プレイヤー達。しかし、黒い海に呑まれて異形のモンスターになるかの選択しかない彼等彼女等。攻撃して抗うも異形のモンスターの数に圧倒され、黒い海と化したモンスターに呑み込まれる結果はすぐに知れ渡る。

 

「お、押すなよ!」

 

「邪魔だぞ! もっと早く動けよ!」

 

「た、助け―――きゃあああー!?」

 

「オマエ、いま同じ仲間を!?」

 

「ふざけんな! いまそれどころじゃないだろ!?」

 

「た、助けてくれー!」

 

逃げるプレイヤーを一網打尽にする黒い高波の影に覆われ、命乞いの言葉なぞ自然相手に通用するはずがない。襲撃して来たプレイヤーを全て倒せばそのまま辰の眷属の城へと押し寄せ・・・・・。【炎帝ノ国】と相対する。

 

「来たか、ハーデス。ここから先は行かせない」

 

「数の暴力の力を味わいなさい【闇影の兵士】!」

 

「ここでさらに増やすか・・・! 【原初の―――】!」

 

「【白銀の世界】」

 

MPを消費するスキル。一瞬にして地面が凍り付き、氷の世界となったミィの周囲から氷の槍が生成して華奢な身体を深々と突き刺した。今の俺の『堕天の王衣』には『薄氷の貴婦人』のドレスをセットしてある。性別変更した今、ドレスの効果が発動できる。あの氷の仮面の装備の効果もな。

 

「ぐっ・・・!?」

 

「「「「「ミィ!!」」」」」

 

「火炎系のスキルを重ね掛けしてからではないと発動的ないなら、そうさせる前に攻撃すればキャンセルできる」

 

ミィ等【炎帝ノ国】が守る城とミィを数の暴力で諸共襲い、抵抗は虚しくも黒い波に飲み込まれ辰の眷属の全プレイヤーが退場した。そうして同じ手段で寅と巳の眷属の方もたった一人で多分だが数百~千人以上のプレイヤーを倒しきったのである称号を獲得した。

 

 

称号:【天下無双】

 

取得条件:プレイヤーをソロで千人倒す

 

効果:プレイヤーとの戦闘限定でHPとMPを含む全ステータスが3倍

 

 

・・・・・ほう?

 

 

佐々木痔郎side

 

 

任された西側の城の破壊、上からピクシードラゴンの魔法攻撃の雨を降り注いで敵プレイヤーを相手にしている間、城への攻撃も忘れずダメージを与え続けた。やっとのことで城を破壊できたから一つの眷属のプレイヤーが全員、敗北者専用の待機室へ転送された。

 

「おっし!」

 

「やったー! 倒したぞー!」

 

「次はどうする? もっかい行くか?」

 

「俺達の方は・・・・・あ、ちょっと厳しそうだわ」

 

実際にそうだった。多勢に無勢なのは変わらないし、目に見えるほどテイマーの仲間達が押し込まれている。白銀さんの防御力で死に戻っていなくても、やっぱり数の暴力には厳しいか。

 

「ここは引き返そう! 味方を助けないとさすがにヤバい!」

 

「そうしよう。みんな、味方の援護に向かうぞ!」

 

相棒のピクシードラゴンに指示を出して引き返す。そう言えば白銀さんの方はどうなってるかなーと東の方へ見れば、東から南に向かって蛇行しながら蠢く黒い何か・・・モンスターがプレイヤーを蹂躙していく。あんな大量のモンスターを使役することができるスキル、巻き込まれたらどうやって対抗していいかわからないし生き残れるのか? 白銀さんが味方で心底よかったと思ったこの日・・・・・絶対に裏切らないと誓った。

 

 

運営side

 

「「「「「・・・・・」」」」」

 

「い、一日どころか、数時間でイベントを終わらせやがった・・・・・」

 

「やっぱり、フィールドの地形がいけなかったですかね・・・・・」

 

「それよりも神獣達が白銀さん達を侮辱や見下したのがいけなかったっすよ。ランキング上位のプレイヤーばかりなのに普段は穏やかで緩いギルドが・・・」

 

「それが怒らせたらどうなるか俺達は気付かなかったんだ・・・・・数の暴力にも屈しないギルド、主に白銀さんのスキルが強くさせ過ぎたか。これ、修正の案件だよな?」

 

「どうっすかね。召喚されたモンスターは本来のステータスより弱体化してますし、それに一度召喚すると解放したダムの水のように倒したモンスター全て召喚されるっす。それに再度モンスターを倒して確保しないと使えません。白銀さんの場合は旧大陸では上から数えた方が早い強いモンスターを積極的に倒して召喚用に確保しているのでこうなることも必然っすよ」

 

「【再誕の闇】も範囲外に居れば影響はないですし生贄にするプレイヤーやモンスターがいなければ、効果が発揮しない設定です。白銀さんはこれらを最大限どころかそれ以上スキルを使いこなしてあの強さです。【相乗効果】も今更修正したら白銀さんから直々にクレームが来ると思いますよ」

 

「むぅぅぅ・・・・・」

 

「というか、このイベントが問題っすよやっぱり。戦争といえど個人と個人の影響を強く受けているプレイヤーに元から勝ち目なんてなかったようなものっす」

 

「これ、失敗ですよねー」

 

「だ、だが代理戦争はまだ一回目! これからも―――」

 

「主任君、ちょっと来なさい。社長がお呼びよ」

 

「ぬあああああああー!?」

 

「ご愁傷様・・・・・さて仕事の続きを・・・・・あ」

 

「どうした?」

 

「・・・・・増えてたっす。しかも二人」

 

「何が増えた?」

 

「ま、魔王っす・・・・・」

 

「あっ」

 

 

・・・・・気のせいか。なんかどこかの誰かの悲鳴が聞こえたんだが・・・・・まぁいい、今はこっちだこっち。

 

「こいつ等で最後だぁー! 全員、俺達を侮った神獣共に意趣返しするぞぉおおおおおおお!!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおー!!!」」」」」」」」」」

 

最初の頃より第三陣のプレイヤーが倒れ、仲間達も多く倒されたものの・・・そんなもの些細だとばかりに最後の眷属相手に奮迅する俺達の士気は非常に高い。対して敵の方は本来なら多勢に無勢で倒される筈の俺達の勢いにすっかり萎縮や及び腰でも、戦う意思は残っているようで真正面から応戦してくれる。

 

「オラオラー!」

 

「白銀さんの【カバー】で今の俺達は白銀さん並みの防御力の恩恵を受けているんだ!」

 

「負けられるかぁー!」

 

「うおおおおりゃあああああ!!」

 

それでも、レベルという強みが味方を勝たせてくれている。もう俺の防御力がなくたってこいつらは強いだろ。現に、【蒼龍の聖剣】のプレイヤーとそれ以外のプレイヤーのレベルの差が大きい。闇神からの報酬で格もかなり上がっただろう。だから―――。

 

「無所属の、勝利ぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

 

最後の眷属の代表を倒した俺達は、言葉通り一日で勝つどころか数時間で今回のイベントを俺達の勝利で終わらせてしまった。ま、元々は生産職用のアイテムを手に入れるために勝たないといけなかったのもあるけど、こんなに早く終わってしまうとは肩透かしだったな。

 

『―――見事であった』

 

その声が聞こえた時。天から四神が舞い降りた。圧倒的な大きさに第三陣のプレイヤーは絶句して、開いた口が塞がらないでいる。

 

『多勢に無勢ながらもよくぞ神獣の恩恵を承った眷属たちの猛攻を退いた』

 

『勇猛であったぞぃ。お主らを愚者と認識しておった愚かな神獣達もこれに懲りて認識を改めるじゃろう』

 

『そして同じ神を司る者としてこの場で謝罪を申し上げる』

 

『悪かったな! あとで俺達の方できつーく言っておくからよ! 詫びと言っちゃあ何だが、今回の戦争に勝ち残ったお前達に俺達四神が願い事を一つだけ叶えるぜ!』

 

ざわっ! と無所属のプレイヤー達の間で騒がしくなった。

 

『ですが、叶えられぬ願いもあります。その場合はこちらで判断させていただきますのでご了承ください』

 

俺達プレイヤーの前に青いパネルが浮かび上がる。闇神の時と同じように四神達からこのパネルで願い事を書き込めと説明するので俺は―――。

 

―――十二の神獣達の爪と牙、毛皮に鱗×100

 

を―――求めたら、四神達にドン引きされた。

 

『お、お前・・・なんて願い事をするんだ。さすがにヒくわ!』

 

『すまないが別の願い事を頼む。さすがにそれは我々でも叶えられない・・・・・』

 

『お主、もしかしてまだ怒っておるのか・・・・・?』

 

『英雄よ、あなたの怒りは分からなくはありませんが・・・・・』

 

連打する。連打する。連打する。連打連打連打連打連打連打ァッッッ!!!

 

『待て待て待てェー!!? そこまで強請るってコエーぞおい!?』

 

『英雄よ、怒りを鎮めるのだ!!』

 

『ほ、他にないのか? 他ならば・・・・・わ、我々の身体以外でも願いを叶えようではないか』

 

『いったん落ち着けぃ!』

 

「(o^―^o)ニコ」

 

『『『『(ダメだこいつ、なんとかしないと)』』』』

 

「いま・・・ダメだこいつ、なんとかしないとって思ったよな?」

 

『『『『ッッッ!?』』』』

 

その後、すごーく渋々だがマイホームの全ての工房を神レベルに求めたら『それならば』と願いを受け入れてくれた。叶える側の四神もどこか安堵の溜息を吐かれる。

 

そして、本命のイベント報酬である。特に生産職のプレイヤーは欲しかった道具を選んで手に入ったようで凄く喜んでいた。俺も『ラッキーセブンピッケル』を確保と称号【神獣の脱却】と【プレイヤーの独立】を手に入った。

 

【神獣の脱却】

 

神獣の眷属に不可能となる代わりにHPとMPを含めた全ステータスが常時2倍になる

 

【プレイヤーの独立】

 

神獣の眷属に不可能となる代わりに経験値取得量、スキルポイント取得量、ステータスポイントの増加量が常時2倍となる

 

おいおい・・・・・随分とぜいたくな称号だな・・・・・これが眷属だった場合はどうなったんだ?

 

「いやっっっったぁああああああああああああああああああ!!!」

 

「何だこの称号の効果は!? 強すぎるだろっ!!?」

 

「え、あの・・・! こんなすごい称号を貰っちゃっても大丈夫なんですか!?」

 

「大丈夫大丈夫! これもさすが白銀さん、略してサスシロ案件だから!」

 

「寧ろ第三陣のプレイヤーのみんなは凄く幸運だぞ! 第三陣のプレイヤーの中で一番早く強くなれるんだからな! 何か月間も出遅れても白銀さんのように通常より二倍も三倍も強くなれること間違いなしだ!」

 

「よかった・・・ギルドから抜けて【蒼龍の聖剣】に入るまで無所属でいてよかった・・・・・!!」

 

「無所属最高フォー!!」

 

狂喜乱舞なプレイヤー達を見守る中、二人の少女が近づいてきた。

 

「「ハーデスさん、私も魔王なれました!」」

 

「―――」

 

二人も新たな魔王の誕生に俺は親指を立ててナイスと笑顔を浮かべた。

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