バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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再びの南極大陸

タゴサックを振り切ってまで逃げ込んだ南極大陸。せっかくだからここで過ごそうと決めてNPCに話しかけようとしたが・・・・・。

 

「あ、あぅ・・・・・」

 

「あはは・・・・・本当にNPCが私達を避けちゃうんだねぇ・・・・・」

 

「これぞ魔王になった者の宿命よ」

 

すんごく怖いものを見る目で二人を見て避ける、逃げる、悲鳴を上げるNPC達にイカルは悲し気でメイプルは苦笑いを浮かべる。

 

「四神を倒せばNPCに怖がられない程度になるからそれまで頑張ろう」

 

「頑張りますっ」

 

「私も怖がられるのは困るから頑張るよー。ハーデスさん、これからどうしよっか?」

 

「話ができるNPC、この町の長と話がしたいかな」

 

ザクザクと積もった雪を踏みしめ、久しぶりに訪れる家の前に立ち止まり。町長に挨拶する前に・・・・・【幼齢期】を使った。

 

「久し振りの小さいお姉ちゃんだぁー!」

 

「わっ、可愛いー! 小っちゃい女の子のハーデスさん!」

 

イカルに抱きしめられ、メイプルに頭を撫でられる。周りからの視線も集まり、男性プレイヤーから無言でスクショをされる始末だ。

 

「でもなんでその姿になったの?」

 

「この姿でこの町のクエストをしたからだよ。すっかりこの姿じゃないと対応してくれなくなっちゃって」

 

「そうなんだ。えっと、大変だね?」

 

大した慰めにも労いにもならん言葉を素直に受け、改めて町長の家に振り返りノックをした。程なくして温かい恰好をした初老の男性が出てきた。

 

「おや、お嬢さんたちじゃないか。久しぶりだね」

 

「お久し振りです!」

 

「久し振り町長さん。今日もお友達を連れてきたよー」

 

「メイプルでーす!」

 

「元気がいいお友達だね。それで、今日は何か聞きたいことがあるかな?」

 

そうそう、この反応を待っていたのだよ俺は。

 

「えっと、凄く広く氷が張ってる場所って知ってる?」

 

「氷が張っている場所か・・・・・おお、そう言えば昔、もう使われなくなったログハウスの湖なら張っておるはずだ」

 

「使われなくなったログハウス?」

 

「あの魔女の手先になってしまった守り神が原因でもあるが、壊されての。直すにも凶暴なモンスターも出るから誰も直したくも直しにいけん。・・・・・嬢ちゃん達、もしよければログハウスを直す頼みをしてもよいかの。他に頼れる多くの人がいるのであれば一緒に協力して直してほしい。直してくれたなら報酬は協力した人と同じログハウスだよ」

 

俺達は顔を見合わせて頷く。了承するとクエストが発生した。『壊れたログハウスを直せ』というものだ。報酬は直したログハウスを特殊プライベートハウスとして手に入ることだった。

 

「直すにはどうすればいい?」

 

「『スノウ・トレント』というモンスターを倒せば木材が手に入る。が、凶暴ゆえ怪我をせぬように気を付けてくれ。・・・・・お嬢ちゃん達に危険なことをさせる儂にそんな事を言う権利はないのじゃが、どうかログハウスを直してほしい。あそこは別の町の中継所でもある大切な場所なんじゃ」

 

「わかりました!」

 

「頑張るよー!」

 

「直したら教えに来るねー。あと、どこに行けばいい?」

 

南だと教えてもらった後は、きっと詳細を知っているだろう猟師に訪ねる。またハスキーのソリに乗せてくれるかな。扉を叩いて待つと、これまた久しぶりのおっちゃんNPCが顔を出した。

 

「誰だと思えば、あん時の嬢ちゃん達か。なんだ、またなんか首を突っ込みに行くつもりなのか」

 

「壊れたログハウスの事を知りたい」

 

「・・・・・はぁ、町長。さすがにそれはキツネの件より大変なことを頼みやがってまったく」

 

あ、大変なんだ。頭を掻いて溜息を吐くおっちゃんは俺達を中に招き、本棚から巻物を取り出すと俺達が見えやすいように床で広げてくれた。

 

「ログハウスがある場所は徒歩で行けば三日で着く、南のこの辺りだ」

 

「そうなんだ。木材ってどの辺りに行けば集められる?」

 

「町長から聞いているなら、スノウ・トレントは北の山の奥に居座っている。そいつから木材が大量に手に入るがとてつもなく強い。その分、ログハウスだけでなく様々な家の強度が高くなることから、この雪国に住む木こりの人間の間じゃあ手に入るなら手に入れておきたい高級木材だ。寒さを遮断するからなおさらだが鉄のように硬いと聞く。・・・・・こいつみたいにな」

 

おっちゃんから銀色の斧を見せてくれた。でも誰もが知っているあの銀の斧ではなくて・・・鉄が一切使われていない素材一つで完成された一本の銀色の斧―――。

 

「銀の伐採斧・・・・・?」

 

「珍しいだろ、この銀色っぽい斧は。こいつは特別な鉱石のインゴットから作ったんじゃないんだ。これから倒しに行くモンスターの親分の木材で作ったって昔、木こりだった俺の爺ちゃんが言っていたんだ。一般的な斧よりはすげー硬ぇーぞって」

 

金属を負かす木材って何? スノウ・トレントの親分ってそんな硬いの?

 

「じゃあ、これからその斧が作れるモンスターをたくさん倒して木材を集めてくるね。色々教えてくれてありがとう」

 

失礼しまーす、と三人揃って挨拶を言ってからこの場を後しようとしたが、猟師のおっさんから待ったを掛けられた。なに? と風に振り返る俺達に歯切れ悪そうなNPC。

 

「・・・あー、その、だな」

 

「「「?」」」

 

「山奥に行くってんなら、ちょっとだけ相談に乗ってくれるか・・・・・?」

 

それを聞いて、あー・・・俺達しか解決できねぇなーそれって思わされた。軽く了承すればクエストが発生して受理する。

 

「よぅし、行こー!」

 

「「おー!」」

 

こうしてスノウ・トレント討伐に乗り出す俺達。フェルの背中に乗ってひたすら北へ走ってもらい、目的のモンスターを探した。

 

 

「はやっ!?」

 

「くそ、フェンリルに乗り遅れた!」

 

「幼女と美少女の間に挟まれたかったよー!」

 

「絶対に何かのクエストを発掘したよな幼女白銀さん」

 

「掲示板でもみんなに伝えておこう、白銀さんが何かを発見をしたって」

 

「確実じゃないからそういうところを見掛けたことも忘れるなよ」

 

さてさて、ここで山奥に向かって走るフェルの背中に乗りながら頭の中で相談された内容を思い出すか・・・。

 

『ログハウスを修繕するついでに薪用の材木を集めてほしいんだ。普段なら俺達が木を切って集めるんだが、他の奴らはまだ療養中でな・・・・・悪いが俺達の代わりに薪を集めてくれるか? 三人だけじゃ大変だったら他の仲間にも協力していいから。いや、出来ればそうしてくれ頼む。この斧を貸すから・・・・・』

 

これチェーンクエストですよねー?

 

【念動力】で宙を駆けるフェルの鼻を頼りに北の山へ。あの白鯨と遭遇しないことを強く願っている俺を他所に降下をするフェル。

 

幾つもの山を越え、遭遇するモンスターが皆無となってきて静かな雪の草原を走るフェルの足が遅く最後に止まり、何かを見つめている先に俺達も視線を向けた。極寒の冷気の中で逞しく生えている木々。だがしかし、いざ鑑定をすれば『スノウ・トレント』と表記された。

 

「ここのようだ。目の前の木々が目的のモンスターだ」

 

「見た目がまったく木なのにモンスターなんだ」

 

「モンスターじゃなくて木しか見えませんよ?」

 

二人の意見には全く同意する。フェルから降りて近くの木に寄りつつ銀の伐採斧をインベントリから出す。

 

「それじゃ、いくぞー」

 

「「はい!」」

 

せーの!

 

ガンッ! と斧で硬い木を叩くと、木の表面に顔が浮かび上がって俺達に向かって吠えた。

 

「攻撃!」

 

「【毒竜】!」

 

「【ファイアボルト】!」

 

高く飛んだ俺の背後から二人の攻撃が正体を表したスノウ・トレントに直撃。トドメの【悪食】であっという間に倒したところ。

 

「ドロップの木材・・・・・なし?」

 

「低いのかな。もっと倒そうか」

 

「頑張りましょう!」

 

最初はこんなものかと思っていたが、十度も戦闘を繰り返しても目的の材木が手に入らないことに首をかしげる。ならば、戦い方を変えて斧を装備して斧だけで戦ってみようか。

 

「二人とも、トレントを【手加減】してHPをギリギリ減らしてから斧で倒してみよう」

 

「わかりました!」

 

「わかった!」

 

まずは【手加減】で【悪食】。それから斧でトドメを差すようにしてから、さっきまでドロップしなかった木材が複数も手に入るようになった。なるほどなるほど・・・・・じゃあ試しにこの『白熱』と『白波ノ怒濤』を合体させて、大剣から斧モードに変えて・・・・・と。

 

「【相乗効果】【溶断】【悪食】」

 

数本の幹を鞭のように振るって攻撃してくるトレントであるが、物理攻撃なら余裕で耐える俺達は鞭の攻撃をかわすことなく真正面から寄り、攻撃を受けながら斧を振るって倒し続けれる。もしも拘束されたら味方が助けに入ってくれる。

 

「わわわっー!」

 

「メイプルさーん!」

 

足を縛られて乱暴に振るわれるメイプルを助けに行くイカルのようにな。俺も助けに向かい、メイプルを縛る弦を切り捨てる。

 

「ぶはっ!」

 

「メイプルさん、大丈夫?」

 

雪に顔から落ちたメイプルを気にするイカル。

 

「うん、大丈夫だよー。ハーデスさんもありがとう」

 

「お礼はあと! また弦が来る!」

 

「はいっー!」

 

と、弦を伸ばすトレントに何度も振り回らされ苦労されながらクエストに必要な木材を集めて一時間以上・・・・・。

 

「あ、集めたよ・・・・・」

 

「「ううう・・・・・」」

 

「お、お嬢ちゃん達・・・・・三人だけで集めたのか。すまない、恩に着るっ!」

 

猟師のおっちゃんが土下座しそうな勢いで感謝してくる。いや、本当に大変だった。100体ぐらい倒したらなんか話に聞いたトレントの親分が現れて、俺達がダメージを受けないことをいいことにオモチャのように弄んでくれやがった。なんとか倒せたがその時は既に二人が今の状態だ。そして、クエスト達成した報告におっちゃんのところへ戻ると町長までいるのは?

 

「こ、これはトレントの親分まで倒してきたのか! ありがてぇ、これでこの町の防壁の修繕にも使える!」

 

「感謝するお嬢ちゃん達。これは町のみんなからのお礼だよ」

 

 

称号『木こりの達人』、称号『樹木系モンスターの天敵』を取得しました。

 

アイテム『銀の伐採斧』、アイテム『町からの感謝の印袋』

 

南極大陸の始まりの町の一部のシステムが解放されました。

 

「壊れたログハウスのことは何時でもよいから、急がなくていいぞ」

 

「俺は今から町のみんなに薪を渡してくる。お嬢ちゃん達はしばらくここで休んでいてくれ」

 

「「「はーい」」」

 

二人のNPCがこの家(意外なことにここは猟師ギルド)から出て居なくなった。

 

「さて、袋の中身は何なのかな?」

 

「開けてみましょう!」

 

「楽しみだねぇ。何が入っているのかな」

 

燃える暖炉の前で三人で顔を突き合わせる俺達は揃って袋の中身を広げた。

 

『氷結結晶』『南極ガニ×10』『スノウ・トレントの苗』『犬笛』『防寒着』『スノーマン』

 

「「「・・・・・」」」

 

以上のアイテムを手に入ったが、一つは自前で手に入るし、なんだこれは? と思わされるアイテムの数々・・・・・。二人と照らし合わせると同じアイテムだった。

 

「『犬笛』って・・・これ使ったら犬系のペットがマイホームに住み着くらしいよ?」

 

「『防寒着』はアザラシの赤ちゃんです! 可愛い!」

 

『スノーマン』って、畑に使うアイテムみたいだ。・・・・・なるほど、これは便利だな。

 

「二人共休んだら行く? それとも明日にする?」

 

「ログハウスの修繕だよね。私達じゃ無理だと思うよ?」

 

「どうやって直すのか分かりませんですしね」

 

うん、二人の言い分は御尤もだ。俺も生産系を齧っている程度だから一人で直せるなどと思ってもない。

 

「じゃあ、壊れたログハウスの様子を見に行くだけにして、協力者に頼むとしようか」

 

 

 

 

 

 

 

【目指せ大棟梁】クラフター同士が語るスレPART41【木材の売買は同じスレで受け答えします】

 

 

221:アメリア

 

いやー、イベントに勝ったり願い事を叶えたおかげで、すんばらしいアイテムを手に入ってからの作業速度が凄いよ

 

222:ミヤビ

 

念願の金のオノと銀のオノだけじゃなくて大きさを変えることができる打ち出の小槌、未知の木材を手にした俺に死角は無いぞ!

 

223:クーラフタ

 

伐採できる回数をさらに増やすアイテム、完成した際に品質を上げる手袋、その他諸々が手に入った。【蒼龍の聖剣】に入ってからありがたい事ばかりだ

 

224:大エー

 

なに作ろうかなー。それとも白銀さんの木像でも作ろうかなー

 

225:森羅樹林

 

いっそのこと誰かの依頼を受けたいな。最近、アメリア以外なんの依頼が来ないんだよね

 

226:アメリア

 

私は私で忙しいよ! 白銀さんの従魔や女堕天使の白銀さんのフィギュアの依頼が殺到してて!

 

227:神樹

 

片手間に仕事をしつつ掲示板に顔を出している時点で余裕の証拠だ。件の白銀さんはタゴサックさんから逃げれたかな?

 

228:松本樹櫲枝

 

何で逃げてるの?

 

229:アメリア

 

なんか、タゴサックさんの寝顔のスクショが一部【蒼龍の聖剣】に広まってて、それを知らなかったっぽい白銀さんのところにもスクショが届いた原因で追いかけられる羽目になったの。受け取ったイカルちゃんが可愛いというほどだから可愛いんだろうねー

 

230:親方

 

ちょっと気になるなそれ

 

231:タゴサック

 

見たらぶっ殺す

 

232:木林樹林

 

ひぇっ!?

 

233:ミヤビ

 

幅広く監視してるのかよ! 怖いわ!

 

234:クーラフタ

 

話題を変えよう話題を! 誰かなんか話をしてくれ!

 

235:死神・ハーデス

 

では俺の話を聞いてくれるか!

 

236:神樹

 

他力本願かよ。急にフラれても話題は思いつかないぞ

 

237:アメリア

 

あら、白銀さんじゃない! ここの掲示板に顔を出すの初めてね!

 

238:大エー

 

おお、なんかプレミアム感! いらっしゃい白銀さん!

 

239:松本樹櫲枝

 

どんな話を持って来たんだ?

 

240:ミヤビ

 

依頼なら喜んで引き受けるぞ! アメリアは仕事で忙しいから俺達が!

 

241:森羅樹林

 

今暇してたから丁度いい。アメリアを除いて何でも協力する姿勢だ

 

242:木林樹林

 

【蒼龍の聖剣】の俺達木工職人が全身全霊で請け負うよ! アメリアを除いて!

 

243:親方

 

何でも言ってくれ! アメリアを除いてな!

 

244:アメリア

 

≫240はまだ許せる。 ≫241~243は絶対に許さないよ!

 

245:死神・ハーデス

 

第二のタゴサックが誕生しそうだなここも。えーと、南極大陸でスケートしたいがために氷が張った場所を知らないか町長に聞いたところ。壊れたログハウスの修復のクエストが発生したんだ。

 

246:大エー

 

是非とも協力をします!!!

 

247:ミヤビ

 

ログハウス! その設計に関われるなら夢のログハウス作りが叶う!

 

248:クーラフタ

 

喜んで協力させていただく! やっぱり白銀さんはサスシロだねー!

 

249:アメリア

 

私もやらせてー!!! いえ、やらせてくださいお願いします!!!

 

250:森羅樹林

 

え、依頼の方はどうするの。ほっぽっちゃだめでしょ

 

251:アメリア

 

そのログハウスの中でも出来るわ!! 文句ある!?

 

252:木林樹林

 

もち着け! じゃなくて落ち着け!

 

253:親方

 

白銀さん、ログハウスの場所はどこだ? いや、集合場所が先だな

 

254:死神・ハーデス

 

人数が多い方がいいから助かる。もう現地に移動できるようにしておくから気兼ねなく来てくれ

 

255:松本樹櫲枝

 

わかった。ログハウスの修繕に必要な物は? 木材は?

 

256:死神・ハーデス

 

別のクエストをしている間に集め終えたから問題ないぞ

 

257:神樹

 

わかった。じゃあ、30分以内に合流しよう

 

258:死神・ハーデス

 

ありがとう。その間に現地で遊んでたり温かいおしるこでも食べて待っているよ

 

259:アメリア

 

ところでそのログハウスの修繕、クエストでしょ? 一緒にしていないのに私達が直せるの? していいの?

 

260:死神・ハーデス

 

協力者を集めていいって言われている。だからアメリア達の報酬のログハウスも手に入るから大丈夫だ

 

261:大エー

 

あ、私達もログハウスが貰えるんだ!?

 

262:森羅樹林

 

おおー!

 

263:木林樹林

 

これは万全を期しておかないと

 

264:親方

 

壊れる前のログハウスより立派なログハウスにするぜ!

 

265:死神・ハーデス

 

ありがとう、すごーく助かるよー

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