バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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氷晶ダンジョン

 

ウェディングドレスを着たメスゴリラとの戦闘開始―――刹那、メスゴリラが咆哮を上げながら振り上げた拳を地面に打ち下ろした。地面が蜘蛛の巣状に罅割れ、盛り上がった地面の塊で一度は敵を見失ったが氷塊を殴って大砲の如く飛ばしてくるとは思いもしなかった。

 

「【一方通行】!」

 

両腕を広げたイカルが発動したスキルが氷塊をいとも簡単に跳ね返す。使ったところは見たことはないが効果は絶大だな。だが、戻ってきた氷塊を拳で豪快に粉砕、猪突猛進に突っ込んでくるメスゴリラの勢いは、暴走したダンプカーでさえ止められないだろう。

 

「【毒竜】!」

 

メイプルが毒の塊を撒き散らす。危険な色の大量の液体を浴びたくないのは誰だも同じであり、メスゴリラも【毒竜】の毒液を鋭く移動しながら最後に避けると力強く宙へ跳躍した。

 

「ミーニィ、【巨大化】! 【シャイニングブレス】で地上に叩きつけろ!」

 

「グルッ!」

 

メスゴリラよりさらに高く飛び出すミーニィが宙にいる敵に向かって白い閃光を放った。避けようがない攻撃に受けるも、元からある防御力で魔法攻撃に耐えるメスゴリラは俺達の前に墜落した。

 

「悪いけど、長々と戦うつもりはないんだ。【魔王の権威】!」

 

格下のモンスター、プレイヤーに対して即死のスキル。初めて使ったが、俺の場合はアカーシャの様に爆発で攻撃するのではなく、禍々しくて赤と黒と紫か入り混じったオーラと共に、異形の頭蓋が浮かび上がった。ソレから黒い霧が噴いてあっという間に包まれたメスゴリラは、酷く苦しむ形相を浮かべつつ一際の絶叫を上げた直後にHPバーが砕け、俺達と目と鼻の先でポリゴンと化した。

 

「すごい、一撃で倒しちゃった!」

 

「初めて使ったけどな。俺の場合はあんな感じか」

 

「ハーデスさんの場合? 他の人と違うのですか?」

 

そうらしい、とイカルに教えた後は報酬の確認をした。

 

「・・・・・鍵?」

 

「私も鍵だよ」

 

「私もです」

 

青い結晶の用途不明の鍵。しかし、目の前に扉がある。鍵のみの報酬に不思議な気持ちのまま俺達は扉の前に立ち、ちゃんとあって安心した鍵穴に手に入れた鍵を差し込んだ。

 

ガチャン

 

「開いた。さて、次の冒険といこうか」

 

「「はい!」」

 

三人と一匹と一緒に扉を潜り出た先は・・・・・氷窟だった。それだけではなく、エメラルドグリーンの滝が、まるで世界を覆い尽かさんばかりにさらに下へと流れ落ちて貫いていく。尽きることのない水飛沫は水晶に乱反射し、神話の中に存在する大洋の風景を生み出しているかのようだった。大瀑布の上空には広大なオーロラが浮かんでいて、それがこのエリアの唯一の光源であるかのように輝きを放っている。ここで生配信をしないのはおかしいだろう。

 

「綺麗です!!」

 

「うわー、オーロラだぁ!!」

 

「凄いな。ゲームとはいえ俺も初めて見るぞ。ミーニィ、あのオーロラまで俺達を乗せてくれ」

 

「キュイッ!!」

 

巨大化したミーニィの背中に跨がりオーロラへ近付く。雲のように触れても感触はないがそれでも間近でオーロラを眺めたりスクショをしたりして心の思い出になった。そのまま滝と一緒に降下して調べてみると、どうやら道があるようでモンスターが数多く歩いていた。さらに下へと目指したら滝壺を囲む足場があって、見渡す限り採取ができるアイテムがたくさんあった。

 

「見たことないアイテムばかりだ! あ、あれなんてサリーにプレゼントに良さそう!」

 

メイプルは陸地に生えてる蒼い珊瑚を見つけて手に入れようと手を伸ばした。

 

ザバッ!

 

水中から何かが飛び出してきた影が、メイプルの横から襲い掛かった。

 

「ミーニィ!」

 

疾呼した俺の命令を察知したミーニィが白いブレスを放ち、影を吹っ飛ばしたことでメイプルを守ったが、謎の影はまだピンピンしておりすぐに体勢を直して俺達に身構えた。

 

「・・・・・貝?」

 

「二枚貝っぽいが、黒い犯人みたいな顔がある貝は見たことないな」

 

「まだたくさん来るよ!」

 

メイプルの声に呼応して貝のモンスターが陸に次々と上がってくる。どんなモンスターなのか調べてみたら、あら不思議だった。

 

「シン、種族は竜か。見た目はムール貝なんだが」

 

「「りゅう?」」

 

「ドラゴンだ。現実世界にも味噌汁の具材に使われるシンって貝がいるからな。だとしたら・・・・・」

 

ある予想をしていた俺の目の前で、大量のシンがスライムみたいに一塊に集まっていく。どんどん大きくなって十五Mぐらいで東洋系の竜に変身して貝のモンスターとは思えない格好良さが窺える。

 

「ははは、あんな感じになるのか」

 

「貝がドラゴンになった!?」

 

「おっきいです!」

 

 

『え、なに? 白銀さんの生配信が始まっていると聞いて見に来たらどういう状況?』

 

『たくさんの貝が一塊になって御覧の通り竜に変身したんだ』

 

『めっちゃ強そう。これ、レイドボス?』

 

『場所はどこだよ!?』

 

 

口を開けるからブレスでもくるかと思ったら、ガトリングガンのように貝を飛ばして来た。大盾で防ぐ俺達だったが貫通攻撃みたいでしっかりとダメージを与えられる。

 

「攻撃したら分裂すると思うか?」

 

「た、多分?」

 

「どうする?」

 

どうするって、そりゃあ決まっているだろう?

 

「殲滅するしかないだろ。【相乗効果】! 【溶岩魔人】【海竜神】【ファイアボルト】! 追加で【巨大化】!」

 

「分りました! 【相乗効果】! 【溶岩魔人】【海竜神】【悪食】! 【巨大化】!」

 

「頑張るよー! 【相乗効果】! 【溶岩魔人】【炎の巨神兵】【巨大化】!」

 

 

『俺達は何を見せられているのだか』

 

『怪獣映画以外何が見えるというのだ』

 

『ヘヘヘ、俺達はイベントの度にあんな化け物プレイヤーと戦わなくちゃならないんだぜ?』

 

『心が折れる・・・・・!』

 

 

俺はメイプルの腕に巻き付くと、察した彼女が俺を鞭のように扱ってシンに打撃を与える。イカルはシンの胴体に噛みついてHPを減らす。

 

「ハーデスさん、イカルちゃん! 捕まえて!」

 

「「わかった!」」

 

溶岩の牙で貝の身体に食い込ませて足場へ強引に引きずり落とした。その隙にメイプルがシンの頭に目掛けて巨大な足で踏みつけた。

 

 

『もはやリンチだよー!』

 

『もうやめてあげて! モンスターのHPが0なのよ!』

 

『? それでいいのでは?』

 

『・・・・・確かに?』

 

 

シンが悪足掻きをする。全身の貝を逆立てたと思ったら、ポップコーンのように弾いて竜の身体を解除して俺達の目の前でまた分裂した貝が集まり出すと今度は三体に増えた。

 

「三体になった!?」

 

「その分、体積とHPも変動するらしいな」

 

「あ、確かに小さくなってますね?」

 

最初は十五Mもあった全長が今では分裂して5メートルぐらいにまで縮んだ。だが、そっちがそう来るならこっちも考えがある。【海竜神】を解除し、【クイックチェンジ】で『堕天の王』シリーズの装備一式に変更して宙に浮きながら【至高の堕天使】を発動した。

 

「【至高の玉座】」

 

スキルの名を呟く俺の足元に七色の台座と俺が腰かける玉座が具現化した。

 

「【挑発】―――【相乗効果】【ハイエナジーサークル】【エクスプロージョン】」

 

シンの意識を俺に集めた後は手を伸ばし、指を弾いて小気味よく鳴らした直後だった。俺を中心に二つの広大な七色のエネルギーのサークルが重なって交差し、∞状に広がって三体のシンがそのスキルを食らって爆発した。

 

 

『ええええええ・・・・・・』

 

『ナニ、アレ』

 

『広範囲攻撃にしちゃあ広すぎでしょ』

 

『・・・・・格好いい!』

 

 

「お姉ちゃん、格好いいですー!」

 

「すごーい!」

 

全HPを削ったようで三体ともポリゴンと化して消失した。宝箱が出るわけでもなく戦闘はこれで終わりを迎えたが、報酬はなくはない。

 

「大量の真珠が手に入ったな。使い道が宝飾しかないのが残念だ」

 

「でも誰かにプレゼントするといいみたいですよ?」

 

「それにこれ、一個で15万Gで売れるからお金にもなるよ?」

 

 

『え、そんなに? ちょっと金欠気味の俺も倒しに行きたいところなんだが』

 

『俺も貝竜と戦ってみたいなー』

 

『オラ、ワックワクしてきたぞ! だから場所を教えてくれー!』

 

 

「それで、これからどうする? 町に戻る魔方陣と恐らくダンジョンの入り口に戻る魔方陣の二つが浮かんだが」

 

「お姉ちゃんにお任せします!」

 

「私もー!」

 

「そうか。それなら周回するぞ。色々と倒し方を検証してみたい」

 

「「はーい!」」

 

そういうことにした俺達は、ダンジョンの入り口前に戻ると鍵を必要とする筈の扉が消失していた。スタートダッシュを兼ねて【スケータームーブ】でダンジョンの中を滑り込み、滝と共に大きな縦穴へと躊躇なく飛び降りた。

 

 

『ひゃあああああああああああああああああああああああああああああ!?』

 

『怖い怖い怖い怖い怖いー!!??!?!!?』

 

『もっと安全な行き方があるだろ絶対ぃー!?』

 

『魔王だから安全なんて必要ないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・!』

 

 

滝壺にある陸地には【飛翔】で着地を整えてからゆっくり降りるがな。落下ダメージがどうなるか検証してみたいがまた今度だ。俺達が降り立った陸地に再びシンの群れが飛び上がって来た。

 

「やっぱり、このダンジョンのボスみたいだな」

 

「よーし、さっきより早く倒すよ!」

 

「頑張ります!」

 

 

『特定班、何してんの! 早くこのダンジョンの場所を見つけ出せ!』

 

『白銀さん達は南極にいることだけは判明しているけど、それ以降のことはまだわかっていないんだ!』

 

『新大陸のダンジョンを独占しなくちゃ! 金稼ぎにもってこいのダンジョンだぞ!』

 

 

それから何度も倒しては再度挑戦をする繰り返しを十回もしたら。あるスキルが手に入ったことが確認できた。

 

 

【オールレンジ】

 

スキルを遠隔・誘導・操作することが可能にする

 

 

「「「おおお・・・・・!」」」

 

 

『あ、三人の反応からしてスキルを手に入れたっぽい』

 

『どんなスキルか気になるんですけどー?』

 

『ハヨハヨ情報共有ハヨハヨ』

 

 

「よし、目的の結果が達成できたから・・・・・次は水中に行ってみようか。もしかしたら隠された何かがあるかもしれない」

 

「「はい!」」

 

 

『元気だね!?』

 

『若い子はこのぐらい元気でええじゃろ』

 

『イカルちゃんとメイプルちゃんはともかく、魔王様のご年齢は?』

 

『NWOにログインした瞬間から俺達の年齢だと思え若人君』

 

『ば、ばぶー!!!』

 

 

揃って水中へ潜り込み、採取と採掘できるポイントを確認しては意味深な洞穴を見つけた先にいた巨大なシャコガイの硬すぎる防御力に悪戦苦闘しつつも何とか倒すことができて、中に入っていた宝箱を開けてみたら地図の破片だった。

 

「こんなところにあったのか。意外と簡単に揃ったものだな」

 

「そうですね。これで行けるんですよね?」

 

「どんな場所なんだろうね―――水の都アトランティスって」

 

 

『え?』

 

『なに?』

 

『ちょっと?』

 

『マ?』

 

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