バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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氷霊

 

 

小一時間掛けてやっと着いた第三の町! 配信状態にして視聴者にもこの光景と風景である天然の山の麓や山の斜面、崖の上に街を築いた珍しい場所を見せた。宣戦布告をされたことを知らないのか、山道を闊歩しているNPCが多い。同時に俺達に恐れをなして逃げ惑われるNPCに対して密かに傷つく。二人もしょんぼり顔だ。探索を兼ねて歩き続けていると、好奇心で惹かれるアイテムの数々が販売している店があった。衝動買い&大人買いをしてNPCと交流し情報を集めると分ったこともある。

 

「この国から進む二つのルートが存在するらしいな」

 

「次の町とー」

 

「雪山です!」

 

次の町は第四、雪山の方は登山家が頂上まで目指して登りそうなエーレベーストって山。何でもその山からしか手に入らない希少な素材があるらしく、町の人達はよく採りに行くそうだ。

 

「おお、こんなに鉄鉱石を持ってきてくれたのか。ありがとう、最近は鉱山に行けなくて困ってたんだ」

 

「その理由を聞いても?」

 

「大したことじゃないさ。鉱石が出て来なくなったんだよ。もう掘り尽くしてしまったかもしれないと工夫の皆が揃って嘆いたものだ。もしよければまた鉄鉱石を持ってきてくれないかい? 職を失った皆の為に助けると思って」

 

「わかりました、集めてまた持ってきますね」

 

「ありがとう、感謝するよ」

 

中にはクエストとは無関係なNPCからの頼み事も発見して、報酬をもらえない完全な慈善活動をする。時には貧困で明日に食べる物が無いと言う乞食のNPCに100万Gと温かいスープを提供すると喜ばれ―――。

 

「感謝します・・・・・返しきれない恩を報いえない年寄りの些細な話を聞いて下され」

 

耳寄りな情報、興味深い情報も得ることもある。だから他にもそんなNPCを探すそうこうしているうちに他のプレイヤーの姿がちらほらと見掛けるようになった。

 

 

『俺達も第三の町に到着したぜー!』

 

『ふふん、俺は南極大陸に足を踏み入れてからずっと旧大陸に戻らず探索しているベテランだぜ? とっくにこの町の事を知り尽くしている! 誰にも色々な情報を教えないがな!』

 

『はいはい。そーいうのは我等が白銀の魔王様経由で知るから教えてもらわずとも結構だ』

 

『というか、白銀さん達が色々と発掘している様子の生配信を一緒に見ている時点でなぁー?』

 

『だから人気がないんだよお前』

 

 

視聴者達もこの町に辿り着いたか。これからも増え続ける一方、他の新大陸で頑張っているプレイヤーもいるだろうな。

 

「一つ聞く。最近の前線組、攻略組の状況は?」

 

 

『レベル上げに勤しんでいるか、神獣のクエストをやっているか、旧大陸と新大陸の未発見を開拓しようと頑張っているのどちらかでーす』

 

『攻略組の俺、恐竜が出る大陸でレベル上げをしてるところ。テイム難しすぎるだろっ!?』

 

『前線組の俺、ギルドのみんなと大海原を航海していたら海賊に襲われて船が大破されてしまった』

 

『はいはーい! 俺、旧大陸で星座に関するクエストを進めてる!』

 

『それなら私もやっている』

 

『おいどんもでごわす』

 

『星座のクエストって何ですか? 他の皆さんも知っています?』

 

『タラリアには報告済み。特定のNPCのクエストを何回かクリアしてから受注できるからやってみ』

 

『わかりました!』

 

 

「私も機会があればやってみよう。さて、二人ともこれからどうするか」

 

「えーと、雪山に行ってみない? 頂上にあるって言ってた社を見てみたい」

 

「お姉ちゃんと一緒ならどこでも行きます!」

 

イカルは俺の判断に任せる姿勢なら、メイプルの提案に乗ってみるとしようか。

 

「メイプルの提案で行こう。社次第ではお供えをしてみて確認する」

 

「「はーい」」

 

ということで、召喚したミーニィの背中に乗ってから雪山へ目指した。険しい山道雪道を通らないといけないルートの上空を飛び、エリアボスと遭遇してもワンパンで破り、都度五回ほどボスモンスターを倒した先には雪山の頂上に着いて、俺達を出迎えた大きな社があった。それは氷で造形化された空色のオブジェクトでもあった。旧大陸にも存在する精霊の隠れ里に繋がる門に彷彿させる不思議なオブジェクトを見て俺や視聴者達は揃って「あ」と漏らした。

 

 

『もしやこれは?』

 

『いやいや、さすがに氷の精霊なんていないだろ?』

 

『最初にいるはずかないと思ってた光と闇の精霊がいたんだから、他の属性の精霊も・・・・・ねぇ?』

 

『そんなことはどうでもいい! 仮にも氷の精霊が存在するならば、性別がどっちなのか、重要だろう!』

 

『異議あり!! 性別が曖昧なモンスもいるのです! それよりも重要なのは俺達も氷の精霊の街に行くことではないのか!』

 

『静粛に! ここは最高裁判長である白銀さんに情報を提供してもらうことで、我々に勝訴してもらう方が大事である!』

 

 

なんの茶番だこれは・・・・・と思いつつ氷の結晶をインベントリから出して氷の社に置いた。

その直後、ワールドアナウンスが鳴り響く。

 

 

《精霊門の1つが解放されました》

 

『氷霊門を開放した死神・ハーデスさんにはボーナスとして、スキルスクロールをランダムで贈呈いたします』

 

 

「まぁ、こういうことだ」

 

 

『おおおーい!? あんた、いつの間に結晶を手に入れていたんだよ!!』

 

『うーん、この安定感は久し振りだねー!』

 

『そ、それであの・・・・・何時ものように迷える子羊の僕達にその結晶を無償で提供してくれるのはいつですかね?』

 

『そのまま待っていてください白銀さん! 俺達もそっちに向かいますからまだ中に入らないでぇー!?』

 

『うあああー!! なんで温泉で寛いでしまっているんだよ俺のバカー!!』

 

 

うん、この阿鼻叫喚は聞いていて愉快に思えるのは魔王故だからだろうか。

 

「悪いが今回は無償の提供はなしだ。これはあのメスゴリラを倒した先にあるダンジョンの採掘ポイントやモンスターから得られるものだ。自力で手に入れてみろ温泉スポットにいるプレイヤー達よ」

 

 

『えっ!? マジで!?』

 

『貝竜と戦いたくて挑戦しに来たのに氷の結晶まであるのか? よし、ちょっとめげずに頑張るわ』

 

『白銀さんは嘘をつかない信用がある。掲示板でゴリラ討伐の呼び掛けをしてこよっと』

 

『白銀さん。早く中に入って町の風景を見せてくれー』

 

 

そうだなそうしよう。二人も待っていることだしそれじゃあ・・・・・いざ突入!

 

開かれた扉から猛吹雪が俺達を包み、目の前の視界が一瞬にして真っ白になった。でも、それも一瞬で・・・・・氷で創られた部屋の広間の場所に出る。無数の氷の花の結晶が天井から降り注いで大きな氷の結晶の床に落ちてフッと消失する。花の結晶を掌で受け取ると一瞬だけ淡い光を放つと溶けるように消えてしまう。

 

「ようこそお出でくださいました解放者よ。心から歓迎いたします」

 

俺達の来訪から一拍遅れて、螺旋を描くように吹いた雪と氷の中から出てきた白銀の長髪に白い瞳、病的に白い肌を包む透け透けのドレスのスカートを摘まんで恭しく挨拶をしてくれた胸部が大きい小柄な少女に出迎えてくれた。

 

 

『女の子だぁー!!!』

 

『スケスケだぁー!!』

 

『トゥンク』 

 

『メスゴリラを倒さなければいけない理由ができちまったじゃねぇーかっっっ!』

 

『ロリ巨乳、だと!?』

 

 

「こんにちは! ここはどこですか?」

 

「ここはフラウの隠れ里。選ばれし者が訪れる聖なる地です」

 

「そうなんだー」

 

「こちらへどうぞ、ご案内させていただきます」

 

フラウが踵を返して歩き出した。広間から続く狭い通路を進む彼女と歩いて抜けた先には、洋風の氷の建物がある雪と氷の世界だった。白や空色のように透き通った氷ばかりではなく、無色透明の氷に色素を加えたようなものもある。お、水溜りがあると思えば魚が跳ねた。釣りができそうだな。それにしても閉ざされた氷の街なのに外にいるかのように降っているこの雪、よく見ると発光している珍しい雪だ。こういうオブジェクトで購入できるなら日本家屋にも降らしてみたいものだな。にしても・・・・・。

 

「質問をするが、長の同胞の姿が見当たらないな」

 

フラウの長の足が街の真ん中で止まり俺達に振り返る。

 

「同胞は私を残して氷の魔女によりモンスターにされました。今この里には私しかおりません」

 

「「え?」」

 

 

『マジで?』

 

『精霊がモンスターに変えられる展開は読めなかったな』

 

『じゃあ、いま精霊の里に行っても意味がないのか?』

 

 

「それならば、元に戻す方法はないということか」

 

「モンスターとなってしまった同胞は、『氷の心晶』という物でモンスターの心臓にされております。モンスターからそれを集めてもらえば同胞を解放できると思います。解放者よ、どうか私の願いを聞き受け入れてくれませんか?」

 

EXクエスト『氷精霊の解放』

 

そんなクエストが発現して俺達は当然のように受注した。

 

「ありがとうございます。『氷の心晶』はモンスターにされた同胞から『氷結晶』と一緒に落とします。同胞を元に戻すにはその二つが必要なので、片方だけ手に入れても意味がありません。二つを揃えてください」

 

「わかりました! あの、私達のように他の人達も精霊さんの解放をする事は出来ますか?」

 

「していただきたいのは山々なのですが、精霊門を解放できない者には頼めません。どこかの山奥に現れるという強大な漆黒のモンスターを倒すほどの解放者ではないと・・・・・」

 

 

『ですよねー!!?』

 

『うわ・・・・・結局あのメスゴリラを倒さんことには始まらないってことかよー』

 

『白銀さん白銀さん、漆黒のモンスターを倒さず結晶だけを持たせて門を解放させたプレイヤーのことを聞いてくれませんか?』

 

 

なるほど、それも聞いておく必要が一応あるのか。

 

「長よ。漆黒のモンスターを倒さず結晶だけを手に入れた者が門を解放し、長の頼みを受け入れるのは可能か」

 

「その場合は漆黒のモンスターを倒した証を持ってくだされば頼みます。『氷の心晶』は私から頼まれてからではないと手に入らない代物ですから」

 

 

『楽は許さないってことかよコンチクショウ!』

 

『温泉スポットに戻らないといけないじゃんか!』

 

『畜生め! あのメスゴリラはレイドボスだから最大チーム数で挑んでも勝てねぇー!!』

 

『強すぎんだろ!?』

 

 

え、レイドボスだったのか? 単なるエリアボスかと思うほどあっさり倒してしまったんだがな・・・・・。

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