バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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氷の心晶を求めて

【次元転移】でフレデリカからの要請を受け、温泉スポットがあるダンジョン前に跳躍した俺達を外で待っていた【蒼龍の聖剣】のギルドメンバーがほどほどに集まっていた。

 

「これで全員か?」

 

「他にも声を掛けたが、待ってくれるならこっちに来るってよ」

 

「そういうことなら待とう。何人来る?」

 

「第三陣以外の殆ど戦闘系=ほぼ全員だ」

 

「・・・・・水瓏を設置しておくからトランスポーター経由してくるようにメールを頼む」

 

水晶の艦をフィールドに出してイカルとメイプルとゴリラ対策の話をしながら30分以上待つと、雪の草原の向こうから、水瓏から生産と戦闘を両立させているギルメンが降りてきた。まぁ、戦闘の方が傾いているプレイヤーは多いがな。

 

「ゴリラと戦う前に周知してもらいたい。私とイカルとメイプルはすでにレイドボスを攻略した証の鍵を持っている。その所有者が戦わずしてダンジョンの中に入れるか、それともレイドボスと戦うことになるのかまだ判っていない。仮に私達三人が戦えないようなことになれば、お前達だけ倒してもらうことになる。その前提でこれから中に入るがいいな?」

 

「「「「「「「「「「おう!(わかった!)(了解!)」」」」」」」」」」

 

事前に説明を終え、【蒼龍の聖剣】のメンバーだけのメスゴリラの討伐に山の中へ侵入する。そんな俺達を見てまだ温泉スポットにいるプレイヤー達がざわめき色めき立つ。既にレイドボスに挑戦しているプレイヤー達以降の、次に挑戦しようとするプレイヤー達の姿は少なかった。諦めたかメスゴリラの戦闘パターンを見て次に活かそうと模索しているかのどちらかか、それ以外かだろう。

 

「うおっ、【蒼龍の聖剣】!?」

 

「さっき負けたペイン達もいるってことは、白銀さんもいるわけだから本格的にギルドで倒しにかかるってことか」

 

「【蒼龍の聖剣】の戦いぶりが見られる絶好の機会じゃないか! 他の連中にも知らせようぜ!」

 

等々の声が聞こえてくる。二度目の挑戦をシステムで出入りが禁じられてるレイドボスがいる部屋の前で待つ。システムに隔てられても中の様子が見れて、巨大なメスゴリラに蹂躙を受けて阿鼻叫喚なプレイヤーの死に戻る光景を見守るしかなかった。

 

「おし、次は俺達の番だ!」

 

「最強の矛と盾がいるんだ。負けるわけないって」

 

「いっくぞー!!」

 

出入りが可能になったルームに入る。俺達を待ち構えるメスゴリラのレイド戦に参加できる最大人数に達すると、雄叫びを上げながら自分の胸を強くドラミングしだした。

 

「ウオッホホホホッー!!!」

 

一通り鳴くと両手を背後に回して、ブーケから生やした大きい刀身を装備してこれで攻撃するぞと意思表示してきた。

 

「私達よりおっかないことになっているが?」

 

「きっと攻略したプレイヤーが一緒だと、さらに強化される仕様だったかもしれないね」

 

「冷静に話をしてる場合じゃないよ! くるよ!」

 

天井スレスレまで跳んだメスゴリラが二刀流で持つ大剣を上段ん構えから、俺達のところに落ちながら打ち下ろした。

 

「イカル、メイプル! 作戦通りにいく! 武器が一本増えただけで問題ない! 【挑発】!」

 

「うん! 【挑発】!」

 

大盾を前に突きだす構えをとるメイプルと俺に【挑発】を受けたメスゴリラが剣の矛先を俺達二人に向け、そのまま俺達を両断せんと振り落とした。が、メイプルの盾は破壊できず、翳した俺の手に触れた二振りの大剣が【悪食】を受けて真っ二つに壊れた。

 

「【アサルト・チェーン】!」

 

メスゴリラの真下に具現化する魔方陣から飛び出す鎖が雁字搦めで巨大な身体を縛り上げた。

 

「【勇者の一閃・光爆】!」

 

「【クインタプルスラッシュ】!」

 

イカルの機転にすかさずペインが攻撃を加えた後、ドレッドが連続攻撃でダメージを与えた機に、一緒に戦うプレイヤー達も攻勢に出た。

 

「フレデリカー! 勇者奥義ー!」

 

「もう打ち止めー!」

 

どこからか近くにいながら見えないもの返事をしたフレデリカの声が聞こえた。なら、スキルの封印と拘束が出来るのは残り二回か。

 

「気を付けろみんな! 拘束が解かれるぞ!」

 

怒りの雄叫びを上げながら【アサルト・チェーン】を力尽くで引きちぎって自由になったメスゴリラが大きな口を開けるモーションをした。ブレス攻撃なら防がないといけないな!

 

「【次元跳躍】! こいつでも食らえ!」

 

「ゴガッ!?」

 

イズ特製の大ダル爆弾! メスゴリラの口に無理矢理突っ込んで衝撃を与えると、俺も巻き込む大爆発が発生して黒煙を立ち昇らせるメスゴリラが硬直状態に入った。俺は爆発のダメージは無効にするから無傷で着地した。

 

「メイプル【アサルト・チェーン】! 【悪食】が使えるプレイヤーは積極的にゴリラの手足を狙え!」

 

「わかった!」

 

「「「「「「「「「「おう! 【悪食】!!!」」」」」」」」」」

 

二回目の総攻撃。俺達も加わり【悪食】でメスゴリラの腕を奪わんと集中的にダメージを与えた。今の内に奪っておかないと先の配信動画のような動きをされかねないからな。そういう理由で【悪食】を使えるプレイヤーが少なくてもいてそいつらと脳筋な力押し、ゴリ押しして拘束が解かれる瞬間、片腕と片足を欠損させることができた。相応にHPバーも減って・・・・・咆哮を上げるゴリラを見て警戒度を高める。

 

ゴガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

次は何をしてくると窺っていると、ウェディングドレスを掴み―――ビリビリと自ら引きちぎったと思えば白い毛を膨張させた。防御力を上げた? と俺の予想を嘲笑うかのように裏切ってくれたメスゴリラの毛が一人で抜け落ちて・・・・・西遊記の孫悟空のように毛から自身の分身を作るのと同じことをしてくれた。

 

「うわああああああああああああああああああ!!?」

 

「ちょ、待てそれは止めてくれよっ!?」

 

「一匹だけだったしデカかったからトラウマが起きなかったのにそれはないだろー!?」

 

「よーし、これは夢だ夢。もう一度目が開けた時には白いゴリラなんている筈が―――」

 

それだけでこっちの士気があっさりと折れてしまい、周囲が阿鼻叫喚に陥ってしまった。全員は助けてやれないが、さっさと本体を倒すしかこの戦いを終わらない。その本体は天井の岩盤に腕を突っ込んで高みの見物を決め込んでいるのが気に食わないがな。だから―――。

 

「【八艘飛び】【至高の玉座】【攻撃範囲】【オールレンジ】【相乗効果】【プリズマディック・スコール】【灼熱地獄の誘い】【呪いの王】」

 

宙に高く跳び、七つの玉座と俺が座る台座を出現させて座り、下にいる分身ゴリラ達と本体に向かって一斉射撃をはなった。ダメージは少なかろうとスリップダメージと呪いを解除しない限りダメージは継続、最後はポリゴンと化となって消失する運命だ。

 

「すげぇ・・・・・」

 

「あっという間にゴリラ共を殲滅しやがった」

 

「お姉ちゃん凄いです!」

 

「ハーデスさんの戦いは勉強になるなー」

 

「いや、ハーデスのようにできる筈が・・・・・あったねそういえば」

 

近寄る俺に残っている足で迎撃するメスゴリラ。【月歩】と【超加速】で宙を走り軽く避け、ゴリラの腕を掴んだ状態で【エクスプロージョン】を放った。天井から手が抜けて下へと落ちるメスゴリラと一緒に落ちながら、メスゴリラの顔を掴み、頭を下に向けてそのまま地面へ叩きつけてやった。

 

「グ、ガ・・・・・!?」

 

スタン状態を引き起こしたメスゴリラが横たわる。しばらくは起き上がれないと察したプレイヤー達は怒りの形相で無言で近づき、それぞれの得物を掲げ・・・・・。

 

「「「「「「「「「「よくもトラウマを思い出させてくれやがったなああああああ!!!」」」」」」」」」」

 

動けないレイドボス相手にリンチ行為を繰り返すプレイヤー達の姿が配信されているとは露知らず。ほぼ全員の暴力に寄りようやくダンジョンへ入る証の鍵を手に入れることができた一行は、休みもせずウキウキの気分でダンジョンへ足を運んだのであった。

 

「ありがとうハーデス。やっと俺達も挑戦することができるよ」

 

「あとは頑張れよ。あれは、一気に倒さないと勝てない類のモンスターだと思う」

 

「ハーデス達はどうするんだこれから?」

 

「えっと、氷の精霊を復活させるためにダンジョンのモンスターから氷結晶と氷の心晶をたくさん集めます」

 

「その為に戻ってきた感じだけどね」

 

まさしくその通りだ。ペイン達と別れてドロップアイテム狙いで見つけたモンスターを手早く倒す行動を繰り返す。他の場所でモンスターと戦っている戦闘音が聞こえ、他のプレイヤー達も張り切っている様子だ。手に入れった結晶を持って第三の町に行かないといけないが、頑張って欲しいところだ。

 

「あ、手に入ったよ氷の心晶!」

 

「残り99個ですね」

 

「最初に手に入れた時間は10分か。ここからはバラバラでモンスターから集めよう。疲れたら途中で休憩することも大切だぞ」

 

二人は異論無いと頷き、俺は一番下の階層、イカルは中層、メイプルは上層辺りでモンスターを倒しまくることに決めた。おまけだが、少し身を乗り出せば貝竜と戦っているプレイヤーの様子を見ることができると知った。あ、負けた。どんまい! さて、氷の心晶集め再開しないと・・・・・。

 

5時間後・・・・・。

 

「「「長かった・・・・・」」」

 

めっちゃ苦労した。凄く苦労した。『氷の心晶』ドロップ率低すぎるだろ! 5時間も掛かるとは思わなかったわ! だけどようやくこれでクエスト達成だ! 氷霊門の前まで【次元跳躍】で再び戻り長に報告すると花が咲いたような笑顔で喜んでくれた。

 

「ありがとうございます! これで皆を復活させることができます。さぁ目覚めなさい!」

 

納品した二つのアイテムが一つになり、大きな氷の結晶になると迸る閃光に包まれ長と似ている少女達が光の中から出てきた。

 

「「「「「ミュウー!」」」」」

 

復活で来たフラウ達が喜び、抱きしめ合う。ん、よかったよかった。これで元通りになっただろうな。

 

『氷精霊を復活させた死神・ハーデスさんに称号【氷精霊の解放者】が送られます』

 

 

称号:氷精霊の解放者

 

効果:賞金100000G獲得。ステータスポイント10の巻物獲得。精霊系ユニークモンスターとの遭遇率上昇。特殊ランダムスクロール一つ授与。

 

 

ん? これは見聞したことがないスクロールが手に入ったな。二人も同じ物を手に入れたらしく、後で使ってみようと決めた。

 

「解放者よありがとうございます。これで再び以前のような生活が送られます」

 

「後からくる解放者達にも精霊たちの復活を頼むことになるのか?」

 

「いえ、もう解放者に叶えてもらったので頼みませんが、未だにモンスターにされた同胞を仲間にしたいというなら、氷結晶と氷の心晶を集めてもらうことになります。しかし、あなた方がいま同胞を仲間にしたいならば、この場にいる同胞から見繕って差し上げます。それ以降は氷結晶と氷の心晶を持ってきていただきます」

 

そういうことなら是非とも見繕ってもらおうと、辞退するメイプルを残してイカルと一緒にお願いした。程なくして俺達から離れた長が二人のフラウの少女を連れてきてくれた。簡単にテイムを受け入れて新たな仲間のステータスを見て語り合うその後、アシハナ達に協力してもらって復興したログハウスの中で最初は通常のスクロールを開く時間にした。

 

「「「せーの!」」」

 

【微塵嵐】【傲慢の王】【核爆発】

 

「「「・・・・・」」」

 

なんだ、なんだコレェ・・・・・!

 

「【傲慢の王】と【核爆発】なんてスキルがあったのか」

 

「核爆発ってなんですか?」

 

「爆弾のことだよ。えーと、防御不可と即死無効の爆発が半径300mまで・・・・・これ、自分も巻き込む前提のスキルだよね」

 

発動したプレイヤーも生き残らせない悪意あるスキルなのは間違いないな。【傲慢】はプレイヤーやモンスターに勝利する度HPとMP以外の高いステータスが永続的に+1増える代わりに、敗北すると逆に高いステータスが永続的に-1000・・・・・エグいわこのスキル!? 【微塵嵐】はMPが無くなるまで発動者を中心に半径十メートルのスリップダメージを生じる嵐を展開するだけの効果だからまだマシだけど、【核爆発】はお蔵入りで【傲慢】は一度でも死に戻りできない状況に追い込まれる形になった。まぁでも、勝てば官軍って言葉があるように負けなければレベルアップ以外でステータスポイントを上げる以外にもステータスを上げれるようになったと思えば、棚からぼた餅か? それに抜け道はあるかもしれない。ぶっつけ本番でしか試せないけどな。

 

「二人とも、負けないように頑張ろう」

 

「はい!」

 

「負けちゃったら永続的にVITが1000も下がっちゃうのは困るからね」

 

【傲慢】がこれなら、他の七つの大罪のスキルの効果も似てるのか? 知りたいような知りたくないような・・・・・。

 

「次はこれですね? 特殊スクロール」

 

「何が特殊なのかこれから使えばわかるということだ」

 

「それじゃあ使ってみよう! せーの!」

 

また同時にスクロールを開いた。すると金色の光が迸って演出が普段と違うことに驚きと期待させてくれるスクロールで得たのは・・・・・。

 

俺→鬼殺しの酒

 

イカル→レジェンドアイテムボックス

 

メイプル→精霊の卵

 

「・・・・・酒は微妙すぎるだろー」

 

「精霊の卵かぁー。どんな子が生まれるんだろう?」

 

「中身は何だろ? 開けてみますねー。わ、一つだけ装備が貰えるボックスみたいですよ」

 

くっ、二人が羨ましい! 鬼殺しの酒ってなんだよ!? テキストはなんだ!

 

《酔っ払うことはない鬼を酔い潰す鬼専用の特効薬にして秘薬の酒。特定の鬼に渡せば好感度が一気に上がる》

 

・・・・・鬼、鬼ねぇ・・・・・?

 

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