リヴェリア達を日本家屋に戻ってもらい、イカルと北へと目指して神獣〈子〉がいる第三の町に行く前からあるスキルを覚えてから着いた。久方に見る中華風の大きな屋敷に近づいても子の眷属プレイヤーの姿はなく肩透かしながら中に入れば、日本風に言えば服を着た人間サイズのネズミの番頭に出迎えられた。
「ようこそおいで下さいました。本日の用件は何でしょうか」
「戦いに来た」
「かしこまりました。子の主神は奥におられますのでご案内致します」
俺達に怖がらず礼儀正しく屋敷の中を案内してくれる。それなりに深奥へ歩かされると二匹のネズミの番人が薙刀を持って守っている門のところに着いた。
「この奥に主神がおります」
「そうか。なら開けろ」
そう言う俺に従い門番が同時に門の扉を開けて作ってくれた道にイカルと突き進み―――穴だらけの岩肌が剥き出しな洞窟の中に歩き続けると背後から門が閉ざされた音が聞こえた。
「キキキッ! まーた愚かな無法者共が来たなぁっ!」
嘲笑の声が洞窟内に響き渡る。どこにいるのかと思えば、天井近くの壁面から伸びてる足場で設けた神棚に漢服を着た5メートルほどの大きいネズミが腰を落としていた。
「神獣〈子〉か」
「愚者な人間に名乗る名はねぇ! お前らが来るまで挑んて来た馬鹿どものように私に触れることもできず無様にやられるんだからな!」
それが戦闘の合図として洞窟中の壁の穴から大量のネズミが湧いて出てきて、濁流のように押し寄せてきた。
「【相乗効果】【海神の海】【ラグナロク】【マグマオーシャン】」
俺の足元から平等に死を齎すマグマも濁流の如く湧いて、それを操って大量のネズミを呑み込ませながら洞窟中にマグマで満たしていく。
「ッッッ!!?」
熱と光が洞窟中に占めて赤々と天井まで照らす光景に神獣〈子〉が盛大に口元を引き攣らせた。
「自慢の数の暴力は、自然の力の前では無に帰す」
「【相乗効果】! 【溶岩魔人】! 【海竜神】!」
溶岩のリヴァイアサンに変身したイカルを見てもはや逃げ場は無い神獣〈子〉はどうする?
「ば、馬鹿め! 私は神の獣だぞ!? こんなことでこの私が無能共に後れを取るはずがない!」
「イカル、落とせ。何を言ってこようが私のところに落とせ」
「はーい!」
「あ、待って! 待ってください! やっぱ負けです! 降参します! 熱っ! 近づな、近づくんじゃ―――あぢぃぃいいいいいああああああああああ!?」
器用に顔でイカルが神棚から落とした神獣〈子〉に向かって操作したマグマで飲みこむように閉じ込めてしばらく沈めた結果。
「―――――」
黒焦げても身体の一部が失くなっているわけでもなく、限りなく瀕死に近くてピクピクと震えてる神獣〈子〉が俺達の目の前に平伏してた。おお、コイツの素材が手に入った! 経験値もたんまりー!! スキルも手に入った!
『プレイヤーが神獣〈子〉の討伐に成功しました』
『これにより神獣の神格が失われ、新たに好きな生き物を選択することが可能になりました』
うん? 変わってるな。それなら・・・・・お、あったあった。こいつにしよう。ポチッとな。
『プレイヤーが新たな神獣を選択しました。神獣〈子〉の眷属プレイヤーは神獣〈猫〉の眷属に変更されます』
ニャアアアアン!!!
シュタッ! と上から落ちてきながら華麗に着地をしてみせた漢服を着た人型の猫にイカルと見守った。
「お初にお目にかかる! そしてボクを選んでくれてありがとう! 特にこいつを神獣の神格を奪ってくれてとっても心がスッとしたにゃ!」
「やはり、そうだったのか」
「?」
何のことだかわからない風にこの猫の事情を知る俺を見ながら小首を傾げるイカル。目の前の猫は顎に手をやって俺達を見つめてくる。
「ふむ、ボクの事情を知っているらしいけど、ボクに神格を与えてくれたご褒美をあげるにゃ。眷属にできないのはひじょーに悔やむけどにゃ」
『神獣〈猫〉からアイテム〈綺麗な猫じゃらし〉〈猫耳〉〈おまもりこばん〉〈幸運を招く猫〉、スキル【猫の手】を獲得しました』
なんか気になるアイテムが手に入ったな。
「さーて、二人には悪いけどお暇してもらってくれるかにゃ。ボクはコイツと大事なお話をしたいからねー」
「わかった。また今度会いに来よう。行こうイカル」
「はい、お姉ちゃん!」
「ま、待ってっ。私を猫と二人きりにしないでっ・・・・!」
何か聞こえてきたけど気のせいだろう。表に出るといなくなってたネズミの門番の代わりに扉を閉めた直後に怒った猫の声と〈子〉の悲鳴が聞こえ出した。
「お姉ちゃん、見てください。綺麗な猫じゃらしですよー」
イカルが見せびらかす黄金色に発光する猫じゃらし。俺も猫じゃらしの他にも手に入れたアイテムを出して確認する。
名称:綺麗な猫じゃらし(マタタビ入り)
効果:このアイテムで猫系のNPCやテイムモンスターに使うと好感度が上昇する
名称:猫耳
【AGI+200】【DET+200】
【盗聴】
頭装備で装着すると一時的に種族が猫の獣人になり、100メートル内の音と声を聴くことができる
名称:おまもりこばん
効果:〈所持してるとGや経験値の取得量、所持量が二倍に増える〉
名称:幸福を招く猫
効果:〈ギルドホームに設置するとプレイヤーの戦闘以外の成功の補正が高まる〉
「イカル、これをつけると猫の獣人になれるらしい」
「お姉ちゃん、付けてみてください!」
おおぅ、期待の眼差しが凄いな・・・・・。まぁ、俺も気になっていたから装備を代えて猫耳を装備すると―――。
【神獣の眷属】交流の場で色々と語ろうPART11【十二の獣】
・様々な情報を共有してもいいと思うプレイヤーは語ろう
・相手を悪く言う発言は許すまじ
・眷属の垣根を終えて協力し合おう
431:猫の眷属
は、白銀さーん!?!?!?!
432:猫の眷属
ちょっと待て! 主神を倒されるとこうなるのか!?
433:猫の眷属
なんじゃこりゃあああああああああああああ!?
434:亥の眷属
あれ、十二支に猫なんていたっけ?
435:申の眷属
いや、絶対にいないから
436:辰の眷属
マジでどうなってる
437:未の眷属
えええ(困惑)?
438:卯の眷属
子から猫ってどういうこと?
439:猫の眷属
俺達が知るかぁー!!!
440:猫の眷属
だから確かめに子の主神とこに直行したら、口元が妙に赤い大きい猫と出会ったんだが!? これ、完全に喰われた後だよな!?
441:猫の眷属
俺も遅れて到着! 初めまして猫さーん!
442:丑の眷属
なぁ・・・まさかだとは思うけど、白銀さん達が俺達の主神を倒すたびに違う主神にすることができる設定になっていないよな?
443:巳の眷属
今日は子と申と辰の眷属になれる日だから・・・・・
444:辰の眷属
ふ、不吉な事を言わないでくれよ!? 今んとこ無所属のプレイヤーが挑んて来ても負けていないのに!
445:午の眷属
不吉な数字で投稿してしまった時点で運命は決まったようなものよ
446:寅の眷属
元(子)の眷属さーん、どう変わったか教えてくれますー?
447:猫の眷属
にゃん! AGIとDEXが高くなって手が二本も増える【猫の手】、見えない物を見れるようになる【猫の目】、回避補正が高まる【猫背】のスキルが手に入るようになったにゃん! あと何故か猫耳のカチューシャをプレゼントされてつけてみたら猫の獣人になってしまったにゃん
448:酉の眷属
・・・・・前より良くなってる方か?
449:猫の眷属
上位互換って感じがするのは確かね
450:戌の眷属
いやいや! 問題はそこじゃないだろ! このまま白銀さん達に主神が倒されて他の動物にされたらどうなるか分からないんだぞ!? 今日は申と辰だから、別の動物に変えられたくなかったら阻止しなくちゃいけないんだって!
451:申の眷属
・・・・・・もう既に遅しなんですけど?
452:申の眷属
さっき、白銀さんとイカルちゃんが屋敷に入っていくのを見かけてしまったんだ
453:辰の眷属
それ言ったらこっちはペイン達が主神と戦い始めてまだ終わっていないんだが・・・・・
454:酉の眷属
・・・・・あ、ワールドアナウンスだ。・・・・・ちょい待って?
456:猫の眷属
プレイヤーが神獣〈申〉の討伐に成功しましたー!
457:戌の眷属
プレイヤーが神獣〈辰〉の討伐に成功しましたー!
458:申の眷属
いぎゃああああああああああああああああああああああ!?
459:辰の眷属
のぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
460:寅の眷属
他人事ではないけど他人事のように敢えて聞かせてもらおうか。別の神獣の眷属になったか?
461:申の眷属
せめて、せめて無難な動物を神獣にしてくれぇえええええええええええ!!!
462:辰の眷属
止めてくれ! 変な動物の神獣の眷属にはなりたくないよおおおおおおん!
463:卯の眷属
でも実際にどんな動物を選べられるのか気になるところ
464:未の眷属
ワクワク、ドキドキ・・・・・
465:午の眷属
巳がいるんだから爬虫類の生物も選べられるんなら、蜥蜴も選べそうな予感
467:猫の眷属
おーい、どうなったー?
468:狼の眷属
・・・・・初めまして、元〈申〉の眷属の者です。これからは神獣〈狼〉の眷属として頑張るぜアオオオオオオオオオオォォォォォォォォォン!!!
469:狼の眷属
信じてたよ白銀さん、狼は無難だ!
470:狼の眷属
ステータス的にAGI寄りだけど、モンスターの臭いを嗅いで探す【嗅覚】、モンスターを追い払うか硬直させる【咆哮】、モンスターを倒すたびに一定時間STRの数値が上昇する【狩狼】のスキルが使えるようになった!
471:鹿の眷属
しかぁあああああああああああああああああああああああ!!!
472:鹿の眷属
ペイン達の誰だよ!!! よりにもよってにっくき鹿を選ぶなんてさぁああああああああ!!!
473:鹿の眷属
元神獣〈辰〉の眷属プレイヤーです。鹿を選ばれた模様。選べるスキルは空を駆けることができる【疾駆】、たくさんの鹿を召喚して攻撃させたり乗り物代わりにする事も出来る【鹿召喚】、攻撃の際に常時敵をノックバックする【衝突】のスキルを手に入った。
474:戌の眷属
・・・・・もしかして、別の神獣に変えてもらった方がお得なスキルが手に入る感じ?
475:巳の眷属
ぬ、ぬぅ・・・・・どれもこれも強力っぽいスキルが手に入るなら討伐させるのも吝かではないが、選ばれる神獣次第なんだよな・・・・・・
476:未の眷属
だったら、白銀さんを捕まえて選べる神獣の情報を公開してもらうべきでは?
477:猫の眷属
バッカッ! 捕まえるんじゃなくて教えてほしいとお願いするんだよ! お前、魔王のマイホームに連れて行かれたいのか!?
478:寅の眷属
ん? なんかあったっけ?
479:狼の眷属
白銀さんの畑に大きすぎるオオスズメバチが住み着いた模様。それを知らず魔王の城の畑を荒らした50人以上のプレイヤーがオオスズメバチや世紀末の暴走族達に襲われてほぼ全滅に遭ったのさ
480:午の眷属
中にはゲームの中だというのに肉団子にされて巣にお持ち帰りされたプレイヤー、世紀末の暴走族プレイヤーに薪代わりにされて燃やされた配信動画もあるんだぜぇい
481:鹿の眷属
コワッ!?