「残念だったね。大和と翔一」
「流石に点数だけの勝負じゃ負けるな」
「後はハーデスと松永さん、明久と坂本ペア、島田と姫路ペアだけだ。しっかり頑張れよ」
「うん、頑張るよ」
『・・・・・』
あれ、ハーデス?ホールに出てきちゃダメじゃないか。
「ん?ハーデス、どうしたんだ?」
「・・・・・あ。俺、用事が思い出した。ちょっと―――」
ガシッ!
ハーデスがどこかへ行こうとする大和の首根っこを掴んで、引っ張りながら奥へと連れて行った。
『お、おい!本気で俺を―――!?なぁ待ってくれ?他のことならするが
これだけは―――いやあああああ!?』
「・・・・・」
えっと・・・・・ハーデスが大和に何かしたのは分かった。
でも、一体なにをしたのだろうか?しばらく固唾を呑んで待っていると・・・。
背中まで伸びたロングヘアにチャイナドレスを身に包んだボンッキュッボンッの女の人がハーデスと共に現れた。
「えっと・・・・・誰?」
「・・・・・俺だよ」
「え・・・・・・えええええええ!?」
『・・・・・結構いい仕上がり。土台が良かったから可愛いさを得た』
た、確かに・・・・・男とは思えないほど大和は女の子っぽくなった。
「・・・・・ハーデス」
あっ、ムッツリーニ。何時の間に・・・・・。
『・・・・・なんだ?』
「・・・・・新しい商品の発掘、感謝する」
「ちょっと待てムッツリーニ!まさか、この姿の俺を販売する気か!?」
「・・・・・(カシャ!カシャ!カシャ!)」
「無言で勝手に撮影するな!俺の黒歴史の一ページが増えるぅっ!」
大和がちょっと壊れていく。でも、可愛いからいいじゃないか。
『・・・・・土屋』
「・・・・・なんだ?」
『・・・・・直江は学園祭中この姿だ。存分に撮れ。限定商品として悪くない』
「・・・・・!」
ムッツリーニのカメラのフラッシュが止まらない。
『・・・・・それに直江。人生は死ぬまでの暇つぶしなんだろう?なら、全てに対して楽しんだもの勝ちだとは思わない?』
「待て!どうして前半の文字を書くお前が知って―――はっ!旅人さん、あんたかぁあああっ!!!」
『・・・・・とっととホールに行ってこい』
そう言って大和をホールに蹴り飛ばした。
『・・・・・大和?お前、ついにそっちの趣味に走ったのか?』
『ち、違う!これはハーデスと交わした罰ゲームをしているだけだ!』
『か、可愛いです・・・・・』
『はは、大和も僕と同じ目に遭ったんだね。―――良い気味だよ?』
『モロが黒くなっただと・・・・・!?』
『お姉様に写メールをするわ!』
『止めろワン子!そんなことされたら俺は姉さんの中で女装好きの舎弟と認識されちゃうから!』
『・・・・・(パシャ!パシャ!パシャ!)』
『土屋もいい加減に撮るなぁっ!』
『大和お前(笑)』
『旅人さん、あんたって人はーっ!』
大和・・・・・強く生きるんだよ。
『・・・・・他人事でいられない』
「え?」
『・・・・・大会で負けたらお前達もああなるからな?』
ちょっ―――!?
何で僕達まで罰ゲームのようなことをされなくちゃいけないの!?
「おい、ハーデス」
あ、王様だ。
「ナイスだ。面白い物を見せてくれたよ。ムッツリーニだっけ?あの子から写真をもらったから他のところに行ってくるわ」
「あの女性達は?」
「こっから自由に行動をする。ああ、もし妙なことが起きたら教えてくれ」
王様から番号を書いた紙を渡された僕は頷く。これ、大和達に教えなくてもいいのかな?なんて思ってたら王様が僕の気持ちを呼んだ風に「大和達には内緒だからな?」と悪戯っ子が浮かべる笑みを浮かべて言い残して教室からいなくなった。彼がどこに行ったのか、それは―――旧校舎の方だったことは知ることはなかった。
2-S
「いらっしゃいませ、ようこそ『豪華な雅の館』へ!」
王が廃屋だったはずの元2-Fの教室に入ると、全て入れ替えられて清潔な状態に様変わりしていた。床の畳や窓ガラス等が新品になっており、できるだけFクラスらしい設備にして自分達が快適に過ごせるようにしたのだろう。雅の名がある出し物をするこのクラスは黒い机と椅子を幾つも設け、客が食べる料理を一瞥すると豪華な和風の料理が安く提供されている。
「申し訳ございません。ただいま満席でございましてお時間をいただければ直ぐにお呼び出しします」
「ああ、構わない」
「ありがとうございます」
対応する生徒が持ち場に戻る姿を眺めて席が空くまで、教室の中の椅子に座って待っていると白髪の紅い瞳の少女と目が合う。
「あー!旅人のお兄ちゃん!」
指さして言うんじゃありません、と言うまでもなく少女が王へ向かって駆け寄って来ては座っている王に抱き着いてきた。
「旅人のお兄ちゃん、久しぶり!」
「久しぶりだな。小雪。だけど、今は仕事中だろ。ちゃんと仕事をしないと」
「えー!」
「うおっ、マジでいる!」
「お久しぶりです。旅人さん」
「え、旅人さん!?」
「おー、本当だね。久しぶりー」
「「旅人さん、お久しぶりです!!」」
「ふははは!ようこそだ旅人、否、蒼天の王よ!我の店に!」
その昔、王と交流をしていた少年と少女達が仕事の手を止めて王のもとに集ってきた。結局こうなるかと苦笑いする王は、メイド服を着た女性が席が空いた報を伝えると白髪の少女が率先して王の手を取り、席に案内する。六人は四人ぐらい座れる奥の席に誘導されて座ると、何故か一緒に座る少女達。
「おーい仕事は?」
「えへへー」
「私は休憩だよ?はぁ~・・・・・ここ、落ち着く」
「「・・・・・」」
前後左右、美少女達に囲まれてゆっくりできなくなった。胡坐を掻く足の上には小雪が座り、英雄のクローンである弁慶、伊達政宗、織田信長が背中と両隣を占拠する。
「奇麗な花に囲まれてよかったですね」
「って、若。あんたもサボるんじゃないよ。あ~お前達もだ!」
王の目の前に座る褐色肌の眼鏡をかけた甘いマスクの少年と少女達の行動にスキンヘッドの少年が苦労をしているのを見兼ねて、流石の王も助け舟を出した。
「ほら、準の言う通り働け。明日も学園祭に来るんだから俺と居たいのは我慢だ」
「う~・・・・・!」
「「ダメ、ですか?」」
「私は本当に休憩だから問題ないよ」
まだごねる少女達に対して魔法の言葉を放つ。
「そうか、仕事を放棄するならしょうがない。頑張ったご褒美が欲しくないなら大和達にあげるとするか」
「「仕事に戻ります!」」
「淳~仕事なにすればいいの?」
「さて、仕事に戻りましょうか」
現金な少女達の姿に苦笑するしかなかった。心なしか気合が入っているようにも見えて、王はようやく注文をすることができる。
「よいしょっと」
胡坐を掻いた足の上に弁慶が占領する。何か言いたげな目の王に対して、弁慶は身体を王に預けて温もりを堪能できると至極幸せそうにそのまま居座った。まったくとしょうがなく好きにさせつつも、ウェーブが掛かった髪に手を置いて撫でると。
「ん・・・・・すぅ・・・・・」
寝息を立てて、何と寝始めたのだ。
「え、マジ寝?おい弁慶。弁慶?」
それから王は小一時間も弁慶によって動けず少女達から羨望と嫉妬の眼差しを向けられ、頑張ったご褒美として王の抱擁やナデナデを求められることになるのだった。
「旅人よ。学園祭が終わった後は国に帰るのか?」
「明日も来るのにわざわざ遠い海のど真ん中の本国に帰るのが面倒だろ。川神市内で宿泊する予定だ」
予定を教え頭の中で三部屋は借りるかと考えていた王に同席する九鬼英雄が提案を申し出た。
「我が九鬼財閥に泊まってはどうだ?」
「なんだ、打算的か?蒼天と繋がりを得られる機会を逃さないって?」
「そう捉えられても仕方がないが、今宵姉上が帰ってくる日でな」
「・・・・・揚羽か、お前と同じで豪快な性格だったな」
今もそうだろ?と訊く王に両腕を組んで当然のように頷いた。
「未だ旅人を必ず婿にすると燃えているぞ。我も賛成だ」
「まだ諦めていないのか・・・・・既成事実されそうだから遠慮させてもらうわ」
「むぅ、残念である。せっかく姉上に旅人が学園祭に来ていると教えたのだが」
嫌な予感を覚えた王が顔を顰めた時だった。開け放たれている窓の外からプロペラの駆動音を鳴らすヘリが突然現れて教室内は騒然と化した。そしてヘリの扉が開かれると、王の横の窓に向かって跳躍する影が外から教室の中に乗り込んできた。長い銀髪をなびかせ、ヘアバンドでオールバックにしてることで窺える額に×印の傷跡を付けた女性が獲物を狙う猛禽類のような目つきと深い笑みを浮かべ、王を見つめる。
「久しぶりだな、旅人。我の夫となる者よ!九鬼揚羽、推参である!」
「あ、揚羽・・・・・」
九鬼揚羽、九鬼英雄の姉であり九鬼家の長女。
「ふははは!弟から写真付きのメールを受け取って仕事を手早く終わらせて駆け付けてやったわ!」
「・・・・・それで、この後どうするつもりか聞かせて貰っても?」
「無論、我の夫となる者の傍にいるつもりだ。そして我が九鬼財閥に泊まってもらい、十年振りにたくさん話し合おうじゃないか。―――私達の結婚についてもな」
彼女の中で描く未来の地図とこの状況の収拾をどうしようかと頭を悩まされていた時に、仕事をしていた弁慶が据わった目で揚羽に睨みつけた。
「揚羽さん、宿泊については賛成だけど旅人さんを独占するのは反対かな」
「ほう弁慶。その心は何なのか聞かせてもらおうか」
「旅人さんとは、将来主とのんびり過ごす生活をしたいから揚羽さんには渡さないよ」
「・・・・・ほう、面白いことを言うな」
それを言ったのは揚羽ではなく、2-Sクラスに入ってきた黒い長髪に赤い瞳の上級生の女子だった。
「揚羽さんの気配を感じて来てみれば、あはっ、旅人がいるじゃないか♪」
「百代・・・・・」
「久しぶり旅人~♪―――私と勝負をしよう!」
「だが断る!俺は学園祭に遊びで来たんだ。勝負はしないぞ!」
「じゃあ放課後、放課後だ!」
「・・・・・鉄心から川神院で数人分の宿泊の了承を取ってこい。ああ、夕飯だけはいらないと伝えてくれ」
条件を言われるや否や百代が携帯を取り出してどこかに連絡を繋げた。それから何度か話をした後に王へ親指を立てた深意を読み、その結果に王は溜息を吐いた。
「はぁ・・・・・昔以上にのんびりできそうにないな」
「川神院か・・・・・我も泊まりに行くぞ」
「私達もだからね旅人さん」
「ふははは!盛大な土産を用意せねばな!」
―――☆☆☆―――
『それでは、四回戦を始めたいと思います。出場者は前へどうぞ』
マイクを持った審判の先生に呼ばれ、三回戦を勝ち抜いた私達はステージへと上がる。
外部からの来場客のために作られた見学者用の席。それらはほぼ満席といった状態で
私達の四回戦は始まろうとしていた。
「凄い数の観客だね~」
『・・・・・この学校がそれほどまで注目されている証拠だ』
うん。確かにね。さて四回戦の相手は―――吉井君に坂本君だね
「ハーデス!同じ仲間とはいえ手加減はしないからな!」
「そうだね!絶対に僕達が勝たせてもらうよ!」
意気揚々の彼等。なんか異様に気合が入っているみたいだけどどうしたんだろう?ハーデス君が私の隣で
スケッチブックにペンを走らせ、書き終わると上に掲げる。それはモニターの画面に大きく映る。
『・・・・・俺が勝ったらお前ら二人、清涼祭期間中に女装してもらう』
「「絶対に負けられねェッ!!!!!」」
ああ、そういう。何気に考え方がFクラスっぽくなってきてるのは気のせいかな・・・・・?
『それでは四人とも、召喚獣を召喚してください』
審判の促しに私達はその通りに召喚獣を喚び出す。
「「「『試験召喚獣召喚・
私達四人(三人)の声が綺麗に揃い、それぞれの足元に魔方陣が現れた。
この様子だけで観客席から小さな歓声が上がる。この試合から見始めた人にしてみれば、
これだけでも十分に物珍しい光景だろうね。
そして、本命の召喚獣が姿を現す。相変わらずのデフォルメサイズで、
見た目は愛嬌たっぷり。ハーデス君の召喚獣を除いてだけど。
因みに毎度おなじみの点数は未だ表示されていない。特別に設置されている
大型ディスプレイに表示する為、若干情報処理に時間がかかっておるのかもしれない。
『では、四回戦を開始してください!』
ディスプレイに私達の点数が表示された。
古典
Fクラス 松永燕 310点 211点 坂本雄二 Fクラス
& VS &
Fクラス 死神・ハーデス 1点 9点 吉井明久 Fクラス
「よし明久、直接ハーデスに攻撃しろ!」
「ええっ!?そんなことしたら反則負けになるってば!」
「仕方ねぇな。じゃあ、こうしよう。ハーデスの召喚獣をお前が相手にする」
「うん」
「ハーデスの本体はお前自身が攻撃しろ」
「無理だって!というより全部僕任せじゃないかぁっ!そんな器用じゃないよ僕は!」
あの二人・・・・・何がしたいんだろう?ほら、ハーデスが・・・・・坂本君の召喚獣の首をあっさり刎ねた。
「あ・・・・・」
『・・・・・坂本、女装決定』
「んなバカなァァァアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
天に向かって叫ぶ。・・・・・同情はしないよ。
さて、残るのは吉井君だけ。彼はどう戦う?
「僕一人でハーデス達に勝てるわけ無いじゃないか!」
『・・・・・俺に一撃を与えたら賞金10万プレゼント』
「俄然やる気出たよぉっ!」
欲望丸出しだよ。やる気を出させるハーデス君もハーデス君だけど。
二人の召喚獣は物凄い速さでフィールド内を駆け回り、攻防を繰り広げる。
『これは凄い!吉井選手とハーデス選手の召喚獣が凄い速度で走り回り、凄まじい攻防を繰り広げております!』
審判の実況に観客も湧く。私はもう既に脇役みたいな存在になってる感じで、観客の視線と意識は戦う二人に集まっていて、腕を組んで精神を集中しているハーデスは真っ直ぐ吉井君と吉井君の召喚獣を見てる。
「この・・・・・!」
『・・・・・』
吉井君の召喚獣の木刀はハーデス君の召喚獣の横っ腹、肩、頭、色んな身体の部位へ叩きつけたり、
突いたりするもハーデス君の召喚獣が持つトンファーで全て弾かれ、決定的な一撃が与えられない。そんな戦いが観客達にとって盛り上がる光景で会場が熱狂で湧く。
ゴンッ!!!!!
「いっだぁあああああああああっ!?」
そしてついにハーデス君の武器が吉井君の頭部に炸裂して一気に点数を消して彼の召喚獣がフィールドから消失した。この試合、私達の勝利!
―――☆☆☆―――
四回戦を終えてから喫茶店の中で動き回ること一時間。いよいよ準決勝の時間となり、
私はハーデス君と会場へと向かう。決勝戦は二日目の午後に予定されているから、
今日の試合はこれでラスト。準決勝の相手は霧島ちゃんと木下君の姉。
『お待たせいたしました!これより準決勝を開始したいと思います!』
まるで格闘技の入場・・・と思いながらお客さん達の前に立つ。
私達の向かいからは対戦相手の霧島ちゃんと木下君のお姉さんがやってくる。
「・・・・・死神。邪魔しないで」
『・・・・・邪魔?なんのことだ?』
霧島の発言に怪訝な言葉を記されたスケッチブックを見せるハーデス君。
身に覚えがないと風に。ずっと近くにいた私もハーデス君が彼女に何の邪魔をしていたのかもわからない。
「・・・・・死神、そんなに私と行くのが嫌?」
霧島ちゃんが上目遣いでハーデス君に問う。
『・・・・・悪い。さっぱり意味が分からない。俺が欲しいのは腕輪だ』
「・・・・・じゃあ、私と遊園地に行く約束をしてくれる?」
その言葉に合点したのか、ハーデス君はポンと手を叩いてスケッチブックで伝えようとする。
『・・・・・それか。別にいいぞ』
「・・・・・嬉しい」
本当に嬉しそうに微笑む霧島ちゃん。審判は私達の様子とタイミングを見張らかって
試合開始宣言を告げた。
「「「『試験召喚獣召喚・
ワシら四人の姿をデフォルメした召喚獣が姿を現す。
『保健体育』
Fクラス 木下秀吉 441点 351点 木下優子 Fクラス
& VS &
Fクラス 死神・ハーデス 1点 425点 霧島翔子 Fクラス
『・・・・・あの時より、上がっている』
「当然よ。準決勝が保健体育だって分かった時から必死に勉強したもの。
あの時のリベンジをさせてもらうわ」
『・・・・・来い』
「言われなくても!」
「・・・・・倒す」
「霧島ちゃん、顔が怖いよ?」
「・・・・・死神の隣に我が物顔でいるあなたのことが、気に入らないっ」
「本当にハーデス君のことが好きなんだね・・・でも、このポジションは簡単に譲らないよ」
それぞれ因縁がある相手と私達は対決を始めた。
二人が準決勝戦に出てから程なくして事件が起きた。
「・・・・・姫路と島田が見掛けなくなったな・・・・・?」
「あれ、何時の間に?」
「ガクト。あの二人はどこに行ったかしらない?」
「悪い、こっちも忙しくて目を離していた」
「大和、あの二人ならアタシは見たよ?」
「ワン子、本当か?」
「うん、二人とも別々に教頭先生から何か言われた後で
アタシに用事があるって言っていなくなったわ」
どうしてそこで竹中教頭が出てくるんだ・・・・・?
「厨房に顔を出してくる」
そう言い残し、厨房に足を運んだ。
「土屋」
呼びかけると土屋はコクリと頷いた。
「・・・・・分かっている。ウェイトレスが連れて行かれている」
「流石だな。で、どこにいる?」
「・・・・・親不孝通りのカラオケ」
よりによってその場所か。だとすれば少数精鋭を引き連れていかないとダメだ。
「救いに行こう。土屋、タイミングを見て裏から姫路達を助けてやってくれ」
「・・・・・わかった」
だが、なんでこうもまたこのFクラス限定に何度も事が起こる・・・・・?
「あれ、大和とムッツリーニ。どこに行くの?」
「明久か。島田と姫路が見掛けなくなったから探しに行こうとな」
「・・・・・仕掛けてきたな」
坂本が不穏な言葉を口にした。俺は構わず土屋と一緒に二人を助けに行こうとした矢先。
「失礼」
「ん?お前はAクラスの次席だったな。名前は・・・・・」
今は期間限定で同じFクラスだが、呼び方がこっちの方が言いやすい。眼鏡を掛けた男子が俺達に声を掛けてくるが一体何の用だ?
「僕の名前は久保利光だ。ちょっとクラスメートを探しているのだが」
「クラスメート?」
「ああ、木下優子さんと工藤愛子さんだ。彼女らがしばらく経っても帰ってこないのでね、
同じFクラス同士なら知っているかなと思って尋ねたんだ」
「・・・・・悪い。こっちも丁度人探しをしようとしていたところだ。
二人を見つけたら連れてくるよ」
「協力に感謝するよ」
久保は踵返して自分のクラスへ戻った。あいつの話を聞くと巻き込まれた可能性は高いな。
「待って大和とムッツリーニ!強力な助っ人を呼ぶから!」
「強力な助っ人?」
一体誰のことだ?姉さんか?具体的に教えてくれず携帯を取り出してどこかに連絡をし始めた明久が、誰かにここへ来るようお願いしてから数分後、教室に現れた男。
「緊急事態のようだな。訳を聞こうか」
「た、旅人さん!」
確かに、これは強力すぎる助っ人だ!そして明久、旅人さんと連絡を取り合うことができるようにしていたとはな。後で教えてもらうぞ何がなんでもな。