ログアウトして就寝・・・・・朝を迎えると何も変わらない日常をイベント当日まで過ごした。
その前日には【蒼龍の聖剣】の国の件で話し合いに応じるため―――集まる場所を新しく手に入れたライブ会場の施設へ急遽変えてもらった。
「ハーデス君、ここで私達に歌と踊りを披露してくれるの?」
「楽しみです!」
「いや、ギルドメンバーが300人も超えたから温泉旅館内で集会するのはもう手狭だろ。こういう場所ならどこでも座れるし俺だけでなく他のみんなの話を聞けるじゃんか」
「そういう理由でこんな会場を手に入れたのね」
「うん、確かにこれだけの座席があるならみんなも窮屈な思いをせずに座れるね」
「そんじゃあ、俺達も座るとするかね」
ステージに立つのは俺だけで、みんなは開いている席に座って約束の時間になるとマイクを持って口を開いた。
「あーあーあー、みんな聞こえてるな? それじゃあ【蒼龍の聖剣】が国を持つかどうか、持つならどこにするかなどの話し合いの会談を始めるぞー。まぁ、俺が一方的に質問する形になるがみんなには自分の意思で決めてほしい。いいな?」
「「「「「はーい!」」」」」
「元気のいい返事をありがとう。じゃあ、まず最初に最近【蒼龍の聖剣】に入ったプレイヤー達の為におさらいから始めさせてもらうぞ」
国を持つようになった経緯を話始め、終えると「そうだったのか」「そうなんだー」的な感想の声がちらほらと上がった。
「とまぁ、こんなことをして俺が一国の主になることになったんだが、俺だけの問題ではないからここにいる全員の意見と考えを参考に選びたいと思っている。というわけで、全員に質問の賛否を決める時は立ってもらったり座ってもらったりした数で決めるぞ。準備はいいなー?」
ギルドメンバーを見渡しながら問いを投げる。誰もが俺の言葉を待つ姿勢でいることを確認してから訊いた。
「【蒼龍の聖剣】に国はいるか? 賛成なら立ってくれ、いらないなら座ったままで決めてくれ」
俺の質問を受けてすぐにプレイヤー達がそれぞれの気持ちを代弁する姿勢で構えた。んー、圧倒的に国がいるってプレイヤー達が多いな・・・・・。
「賛成派が多数ってことで【蒼龍の聖剣】は国を持つことに決定した。だからといって国を得てもそこに移住しなくても構わないからな。もう自分のホームや仕事場を持っているみんなはわざわざ国に移転する必要は感じないだろうしよ」
そうなのか? そうなんだよ。と隣にいるプレイヤーに訊いて相槌を打つ姿が見受けれる。
「ぶっちゃけ、俺も国を手に入れたからと言って日本家屋のマイホームから移り住むつもりはないしな。【蒼龍の聖剣】の国は一種のトロフィー扱いだ。それでもNPCが住み着くなら国を豊かにする気はあるし、国を乗っ取ろうと侵略して来るなら迎撃する対応もする。みんなにもそういう協力を頼むからよろしくなー」
はーい、と返事の声が聞こえたところで肝心の話に移る。
「二つ目の質問だ。国に指定するならどこにしたい? 【蒼龍の聖剣】のホーム? それともNPCの国? 他には自分達の手で国を作るという選択肢もあるぞ。一人一つだけ決めてほしい。じゃあ最初に自分達の手で国を作ってみたいプレイヤーは立ってくれ」
言った傍から少数だが立ったプレイヤーはいた。だが、圧倒的に賛同しないプレイヤーの方が多い。
「NPCの国を【蒼龍の聖剣】の国にする。この場合、王がいる国を乗っ取ることや王がいない国を俺達の国にする事が出来る。例えるなら、猫の国のケットシー王国のような国を【蒼龍の聖剣】の国に決めれるぞ。じゃ、そうしたいプレイヤーは立ってくれ」
・・・・・割と多いな。だが、まだ賛同しないプレイヤー達の方が多いわけで・・・・・。
「最後だ。既に所有している【蒼龍の聖剣】のギルドホームから一つだけ国にする。それがいいプレイヤーは立ってくれ」
最後まで座っていたプレイヤー達が一斉に立ち上がったことで、多数決での結果は明らかになった。
「【蒼龍の聖剣】はギルドホームから国を選ぶことに決めた。協力ありがとう。座ってくれ。さて次は、その中で国にしたいならどれがいいか決めてもらいたい。勝手ながら俺がこのホームを国に―――というホームを選ばせてもらった」
天空の城、鬼ヶ島、魔王城、古代の島、アレクサンドレア――。
「それじゃあ【蒼龍の聖剣】のみんな。この5つの中から決めてもらおうか。俺達の国にするギルドホームを」
最後の最後に質問した俺に対して俺以外の全員は自分達の意見を立ったり座ったりして決めてくれたのだった。結果は・・・・・。
〈ギルド【蒼龍の聖剣】が―――魔王城を国として建国しました!〉
〈【蒼龍の聖剣】のプレイヤー全員にスキル【帰国本能】を譲渡します〉
〈国を持ったことで【蒼龍の聖剣】の全プレイヤーのHPとMP以外のステータスが常時1.5倍となります〉
〈多額のGを支払えば他にも所有しているギルドホームも国にするだけでなく、NPCの町や国を買収して【蒼龍の聖剣】の属国エリアとして拡大可能です〉
〈死神・ハーデス様に称号『国王』が送られます〉
「いや運営! それができるなら最初から説明してくれよ!!?」
と一人で突っ込んでいたらワールドアナウンスの後に出た青いパネルに記載された文字を見たか。
「(シュバ)白銀さん、ケットシー王国を【蒼龍の聖剣】の国に・・・・・!」
「女ヶ島を買ってくれ白銀さぁぁあああああああああああああん!!!」
「アレクサンドレア王国を是非に頼む!」
泣く泣く諦めるしかなかった結果だったのに、舞い降りてきたこの事態に再度懇願するように頼み込んできた身内のプレイヤーに断れるはずもなく・・・・・。みんなが【蒼龍の聖剣】の国にしたい国まで買う羽目になった。吸血鬼の国まで欲しいという奴までいるもんだから・・・・・。
「初めましてエルフの王妃。これからは同じ立場になった者同士、仲良くしましょう」
「・・・・・あなた、どういうことか説明してください」
「かくかくしかじかで、なってしまった」
「・・・・・はぁ、仕方がありません。ちゃんと愛してくれるなら何も言いません。彼女よりたくさん、が条件ですがね」
「あら、私も吸血鬼の王妃になったのだから愛してもらわないと闇神に怒られるわよ?」
「神は関係ないでしょう。それよりも私は王妃ではなくハーデス様の妻として寄り添っているのです。家事が出来ない女性は邪魔ですので棺の中に引きこもってください」
「ねぇ、何か言っているのだけれど働かないと住めないのかしら?」
「働かざる者食うべからず、だ。妻の手料理を作ってくれるなら俺は嬉しいぞ?」
「そうですお姉様。今までの生活ではなくなるのですから出来ることをしませんと。見てください、もうヴァンピィが畑にいらして・・・・・」
「この果物、超美味しいー!!」
「って、勝手に摘まみ食いしては駄目でしょー!!!」
「料理が出来ないならば、出来るよう丁寧に教育を施します。ありがたく思いなさい」
「楽しみにしてるぞ!」
「・・・・・しょうがないわね」
「なんか、増えたし・・・・・私の存在感が危うい・・・・・?」
「やるではないか後輩め。吸血鬼の女王をオトすとは」
「よろしくお願いしますねー」
「よろしく」
新たな同居、同棲のNPCが増えてしまったことにまだ気付かないこの頃の俺は、解散するプレイヤー達から一部だけ呼び止めてステージに来てもらった。
「約束のアイテムを公開するぞー。ほらこれだよ」
「デッッッッカ!? なんだこの貝! それに魚介類も2倍ぐらい大きいな!!」
「うわー! これが新しいハチミツ、赤身が帯びてる! 赤味噌みたい!」
「白銀さんが言ってた興味深い物ってキノコと・・・・・怪力の花の種? 種の方はいまいち分からないがキノコも特に変わった・・・・・んんん? 食べると活力がみなぎる?」
「それも見せて! ・・・・・なるほど、多分スタミナ回復の料理が作れるかもこのキノコを使ったら」
「このオニトロダケ、なんか私達向けじゃないセレーネ?」
「研究のしようがあるかも。何の強化や素材とかに使えると思う」
見せびらかしたアイテムの数々に夢中な彼等彼女等にそれらをお裾分けした。後に渡したアイテムの使い道と料理のレパートリーが増えたと感謝され、石田に至っては鬼人の板前職人に弟子入りを果たしていた。
「白銀さん、どうぞ召し上がってくれ! このオニツヨマグロの刺身は絶品だぜ!」
彼の店で語呂が悪い名前のマグロを目の前で見事な捌きで、真っ赤な刺身を用意してくれた石田の腕前は素晴らしい。醤油とワサビを付けても美味しさがひとしおだ。
「大将、いい腕だね。美味しいよ」
「てやんでぃ! 喜んでくれて何よりだよ! まだあるから食べてくれや!」
心底から嬉しそうな石田。彼に笑みを浮かべながら刺身と後から出される懐石料理に舌鼓みした。次、機会があればクジラの肉を手に入れて石谷に捌いてもらおうかな。
と―――そんな先の未来のことなんてわからない俺は、久し振りに砂漠の地に訪れては、この場所に来た。
「今なら捕まえられるだろう」
四つの台座に四つの光の柱が天へ衝くように伸びてるこの場所。神獣使いのみしか解放できなかったオブジェクトの一つの光の柱に進み、異界へと飛び込んだ。
「久し振りだなお前ら! 再び戻った来たぞぉー!!」
カロロロロロロッ!!
ギィァァァアアアアアアア!!
ブフゥー!
オオオオオオオオオオオオオー!!
キュキュキィーン!!
ベヒモス、ジズ、リヴァイアサン並の巨体と強さのモンスターが跋扈してる異界の中へ転移した俺に牙を剥くモンスター達と真正面からぶつかった。前回は何でも捕まえることが出来るボールを使ってみたかったが、捕まえこそできるもレベルの差がありすぎて使役できないって理由を知らされて捕まえなかったが、今ならイケイケだろう!
「フハハハ! 倒せる、倒せるぞ!」
【闇影の兵士】で召喚したモンスター達を【再誕の闇】で別の異形モンスターに変えながら迎撃する。加えて【相乗効果】で【樹海降臨】と【悪食】も付与したから触れたら必死の軍団が出来上がった。異形に触れたモンスター達はダメージエフェクトを漏出して、ぶつかり合っている内に一方的に消えていき、俺のインベントリにユニーク装備、モンスターの素材、他に様々なドロップアイテムが入ってくる。うーん、楽でイイネ!
運営side
「白銀さんがついにこのエリアで大暴れしにきたな」
「前回のリベンジの目的みたいっす」
「今の彼なら余裕でこのエリアのモンスター相手に後れは取りませんね。ユニーク装備狙いで来たか、モンスターをテイムしに来たか・・・・・」
「絶対両方と、倒したモンスターを兵士にするためだろうよ」
「・・・・・プレイヤー達が泣くっす」
「いつものことじゃないか」
「同感ですね。それより、異界のエリアのボスってなんでしたっけ?」
「四体は作った筈だ。『四王』って総称の獣と虫と怪獣とドラゴンのな」
「・・・・・ドラゴン、やっぱり魚でしょ。まだ納得してませんからね」
「同じく。見た目もまんま魚っすよアレ」
「しょうがないだろ! ファンタジーゲームじゃドラゴンとして使われてるのに実態は魚なんだから! だからHPの減少に合わせて・・・・・あっ」
「主任、白銀さんの何を見て・・・・・あ」
「いつの間に、もうそこまで進んだっすか白銀さん・・・・・」
「おおー・・・・・」
異形のモンスターにこの世界のモンスター達を蹂躙させながら奥に進むと―――ソレと出会った。異界の真っ暗の空で優雅に泳ぐ持つ巨大な魚。全身に覆われた黒い鱗が時折紫色の発光現象を起こし、赤、銀、紫の三つの瞳を俺に向けているその魚の名前は『バハムート』。種族は不明、ステータスは数十万と表示されてる。というか、見た目クジラですよねー? 鰭以外の二対四枚の外套のような翼膜を広げてる(手あり)龍翼を生やしてるし、リヴァイアサンより大きさが凌駕してる。圧倒的風格と巨大さ故にか今まで襲ってきたモンスター達がクジラの登場に四方八方に逃げてしまった。
≪神獣使いの者か≫
頭の中に声が響いた。こんな事できそうなのは目の前のクジラしかいないだろうと頷いた。
≪汝で四人目となる神獣使いの者よ。汝、何を求む≫
「世界の全ての冒険、そして未知を既知に変える事」
≪その為に何が必要だ≫
「行動力」
≪力は欲するか≫
「冒険するためには必要だろう」
≪我を欲する理由は何か≫
「いや、別にいらないぞ?」
≪・・・・・なに?≫
この問答、俺を試しているっぽいけどそれとこれは別なんだよなー。
「世界の全ての冒険をしたいと言った筈だ。俺以外の神獣使いが生まれた世界と隔離されたこの世界でも冒険をしたいんだ。お前が仲間になってくれるなら嬉しいけど、そうじゃないならこの異界を冒険したいのさ。俺に挑んでくるなら戦いに応じるけどな」
≪・・・・・≫
「今度は俺から問おうバハムート。俺に何を望んでいるんだ?」
俺の問いからバハムートはしばらく沈黙を保った。答えられないならどうでもいいと、踵を返してこの場から去ろうとした時だった。見晴らしがいいこの場所には遮蔽物はないから、遠近感の違いで蛇行しながらこっちに来る長くとも確実にバハムート並みに大きいかもしれない何かがやってくるのを気付いた。
≪蟲め・・・・・我が領域に無作法で侵入してくるとは≫
むし? 後ろから忌々し気に発するバハムートの声の後、蟲とやらの全容が明らかになった。赤い鱗に覆われた長すぎる体躯に二対四枚のトンボの翅、ムカデのように細長く短い鉤爪のような足が左右から何十と生えており、虫嫌いな人間にとって生理的嫌悪感とともにギチギチと蠢く様、頭部は竜なんだが目は五つで口から大きく生え伸びてるクワガタのようなハサミ型の大顎はまさに蟲の如くだ。おおー、エリンギとトンボが興奮する蟲の中でトップスリーに入りそうだな。
≪痴れ者よ、我の領域に侵入を犯してまで何しに来た。滅びたくなければ即刻去れ≫
≪私の領域内の食糧が底を尽いた。私の子供達の栄養の為に貴様の領域の食糧が必要になった。故に貴様の存在が邪魔だ雑魚よ。今ここで私の子供達の食糧となるがいい≫
≪かつての制約を自ら破るか。いいだろう、元々貴様等翅虫の羽音が忌々しいほど五月蠅くて静寂が得れなかったところだ。蟲如きに後れを取る我ではないぞ≫
≪ふ・・・・・私だけだと思うたか?≫
その意味深な言葉に呼応するかのように、突然地響きが生じた。立ってもいられないほどの震動に宙に浮いて非難した俺の視界に、金色に輝く体毛を持ち頭に二本の角を生やした四本腕の竜の顔をしたゴリラ、背中に隆起した突起物を背負うように生やし二本の極太の巨体を支える足で走ってくる蜥蜴みたいな生物。
≪貴様等・・・・・≫
≪ゴガアアアアアアアアアアアアアアアア!!≫
≪オオオオオオオオオオオオオー!!≫
≪さすがの貴様も数の差では勝てまい≫
何故か大怪獣対決に発展したために蚊帳の外に置かれたな。お、百足竜がこっちを見た。
≪さっきから視界に入る小粒だと思えば人間・・・・・神獣使いか。先代のようにまた愚かにも私達に挑もうと思っているのか?≫
「だとしたら?」
≪気に掛けるまでもないノミだが、目障りなのは変わりない。ラージャング、一思いに潰せ≫
≪・・・・・≫
≪ふ、我に挑むことは承諾したが貴様に命令されたくはないようだな≫
ああ、そういう関係か。ラージャングってゴリラの顔がイラっとした表情を隠さず百足竜を睨んでるからな。それか、こんな矮小な生物なんて潰すまでもないだろって感じか。
「バハムート、勝手に巻き込まれたからには勝手に戦わせてもらう。俺の攻撃に巻き込まれるなよ」
≪こちらの台詞だ。我が真の姿を見た時は貴様の死は確定だ≫
「それは死ぬ前に見てみたいもんだな―――」
不意に暗闇に覆われた矢先、全身に凄まじい衝撃が走って身動きが取れなくなった。【影の世界】で脱出してラージャングの真後ろに出た。ゼ=ノン戦の時のように【反骨精神】で防御力を攻撃力に変換、【血纏い】HPを一割まで消費した数値分の【STR】が上昇し、【背水の陣】でHPが一割の状態なら【STR】が三倍の上、【輪廻転混】で今の【STR】の同等の数値を【AGI】にする。
「―――仕返しだ!」
【次元跳躍】でラージャングの頭上に瞬間移動した。拳骨を食らわせる前に【手加減】を加えて全力で拳を叩き落としたら。
ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!
ラージャングが立っていた地面がでっかいクレーターが出来上がるほど凹んだ。当のゴリラはクレーターの中心に沈み、スタン状態に陥ったかピクリとも動かなくなった。
≪≪≪・・・・・≫≫≫
おや、バハムート達どうしたんだ? そんな信じられない物を見る目をしちゃって・・・・・ま、どうでもいいんだけど?
「次、お前だ蜥蜴」
≪ッ!≫
そう宣言したら蜥蜴―――著作権侵害を守って許可を得てから製作しただろう怪獣の王が太長な尻尾を振るってくるも、空を飛んで真っ直ぐ怪獣の王の懐に飛び込み横っ腹に【手加減】しながら拳を叩き込んだ。
≪ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?≫
≪こやつまでダメージを!? 今までの神獣使いの戦いではない! 何なのだお前!≫
「俺に驚いている暇はないと思うぞ」
バハムートがたくさんの魔方陣を展開して波状攻撃を仕掛けた。それに一瞬遅れて百足竜は何発か食らうも避けながら極太のビームを口から放った。バハムートも軽々と躱し、迎撃の魔法を撃ち続け、百足竜は身体を回転させて意志を持った竜巻を巻き起こしながらバハムートの魔法を防ぎ、弾きながら接近した。回避は間に合わないと、二対四枚の龍翼を動かして鉤爪を百足竜に伸ばして大顎を掴んだ! おお、すげー! 中々みられる光景じゃないぞこれ!
≪ゴッッッッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!≫
≪ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!≫
おっと、もう復活した顔二人さん。どっちもHPが1なのに元気だね。そしてどっちも全身を赤く、雷を迸らせ身体を金色に輝かせながら口にエネルギーを溜めるそのチャージの姿勢は、嫌いじゃないぜ?
「【鼠算式Ⅰ】! 【悪食】!」
二つのスキルを使った直後に二体から放たれるレーザーと鍔迫り合いをするまでもなくMPとして吸収した。
「さぁ、お前らはどんな味なのか試しに食らってやる!」
【天の鎖】【アサルト・チェーン】で二体を縛った間にラージャングの身体を食らってHPドレインをして倒した後。怪獣の方も硬かろうが噛みちぎって最後のHPを減らして倒したことで―――二体の大量の素材と二体の力を得るスキルが手に入った。
≪バカな・・・狂っているっ・・・・・! 神獣使いが魔物を喰らうだと・・・っ≫
「次はお前を喰らうぞオオムカデ! どんな味なのか楽しみだ!」
≪ふ、ふざけるなぁああああー!!!≫
始めて覚えただろう嫌悪感、恐怖に焦燥感。目の前の相手より完全に意識が俺の方に向いてしまったがために隙をバハムートの前で作ってしまった。
≪我を忘れてしまうほど恐れたな神獣使いの者に≫
≪―――――ッッッ≫
極太の光の柱が百足竜を呑み込み、地上に叩きつけられようともすぐにバハムートへと向かう長い胴体を晒すモンスターに【次元跳躍】で移動して・・・・・。
「【キングコング】!」
俺自身がラージャングの姿に変身して百足竜の身体を掴み思いっきり噛みついた。
≪ぐぁっ!? ―――貴様、食らった魔物の力を我が物にしたのかっ!!?≫
「お前の力もそうするつもりだ!」
≪ぬかせぇええええええええええええええええ!!!≫
喰わられてたまるかと全身を使って俺の身体に巻き付いて拘束する百足竜。うーん、確かに動けないなこれ。
≪貴様が死ぬまでこのまま締め上げてやる・・・・・!≫
「おい、忘れてないか。お前の相手は俺だけじゃないぞ」
≪―――――≫
顔は見えないが、相当焦っていると思う。全身がビクッて震えたから結構焦ったな?
≪軟弱者、未熟者の蟲め。また我から気を反らしたな。それが貴様の弱さだ≫
≪お、おのれぇ・・・・・おのれぇええええええええええええええええ!!!≫
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!
うおっ!? スゲー衝撃と重圧だ! 百足竜の身体が俺の鎧のように巻き付いてくれなかったら俺も食らって・・・・・やっぱり地味に食らってる!
バハムートの一撃を全身に浴びる百足竜から伝わる圧力にしばらく耐える羽目になりながらもムシャムシャと百足の身体を頬張る。うーん、肉厚で濃厚な味ですなー。
≪ガァアアア・・・・・! わ、私がお前如きに・・・・・!≫
お、倒したっぽいな? お疲れさーん!