バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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クリムとサリーとハーデスの仲

死に戻った100代とクリムの固定パーティのプレイヤーが走って来ようが歩いてこようが待たされることは明白なので、先に必要な数の鋼を手に入れておく上に少しでも友達の分の鋼を確保した方が怖い思い短くなるんじゃないかと提案した。その方がいいかも、という反応をした二人がそれぞれ友人にどんな内容で送ったか分からないがメッセージを送った。

 

「イズとセレーネ、坑道の中も採掘できるよな?」

 

「トロッコに乗って採掘ポイントまで進まないといけないけれどね。鉱石を掘るならここの方が集めやすいわよ」

 

「三人はお社バフを貰ったよな?」

 

当然のことを聞いたつもりだが、二人だけ俺の予想を裏切ってくれた。

 

「・・・・・なにそれ」

 

「採石場にモンスターは湧かないって直江が言ってたからしてない・・・・・」

 

「私はした」

 

知らなかったサリーと友人の言葉に敢えてしなかった100代にまた呆れる。

 

「サリー、冥霊山を避けていたから知らなかったか? お社に決まった作法の祈りをすれば悪霊が襲ってこなくなるんだよ。【蒼龍の聖剣】のみんなはもう知ってるぞ。なんなら他のプレイヤーもだ」

 

「え”」

 

「100代は詰めが甘すぎる。今はイベントなんだから備えれるものは備えておかないと大変だぞ。私達とクリム以外、二人だけが悪霊に追いかけられる羽目になるってのに」

 

「そ、そんな・・・・・!」

 

絶望で顔を青褪める二人。今更あーだこーだ言ってもしょうがないが、イカルが確認してもらってまだいる悪霊達の中で採掘するのは面倒だろう。仕舞にはこの二人は幽霊が怖い。

 

「イカル【天王の玉座】と【範囲拡大】で二人から悪霊を守ってやってくれ。その間私は悪霊のモンスターを倒しまくってくる」

 

「頑張ってくださいお姉ちゃん!」

 

「できたらハーデスの分も集めておくわ」

 

「ありがとう。とーっても助かる」

 

そんなこんなで採取クエストで必要な鋼の採掘がようやく始めた。壁に向かってピッケルを打ち落とすサリーと100代に襲わせないよう悪霊のモンスターを尽く駆逐していく。100体ほど倒すと『ゴーストバスター』って称号が手に入り、ゴースト系のモンスターに対する与ダメージが高補正される効果を得た。餓鬼は妖怪の類だから称号は貰えなかったんだろうなー。いや『妖怪退治』なんて称号はとっくの昔に手に入れているから問題ないけど?

 

「戻ったぞ。大丈夫だったか?」

 

粗方倒したのでみんなのところに戻ってみれば、モンスターの一匹もおらず採掘に専念できている様子だった。

 

「うん、一度も襲われず発掘に集中できてたわ」

 

「お疲れ様。あともうちょっとで自分達の分の鋼が集め終わるよ」

 

「また取れました!」

 

「あいつらー! さっさと来いぃっー! 何時まで私を待たせるんだぁー!」

 

「・・・・・。・・・・・。・・・・・」

 

「よっ! はっ! ふんっ! おりゃっ!」

 

みたいだな。んじゃ、俺も掘るとしましょうかねー。インベントリから取り出した『ラッキーセブンピッケル』を装備して壁に向かって上段の構えを取った。ア=トゥから頼まれた必要な分の鋼は全員集めるまでそれなりに時間は掛かり、三人の方も悪霊退治して回った俺より自分達の分は確保でき、100代とクリムはのんびりと戻ってきている友人達の分も集めるので俺達も協力して採掘してしばらく経った頃。

 

「おーいお姉様! おまたせー!」

 

「姉さん、大丈夫だったか?」

 

「お前ら遅いッ!!!!!」

 

「うげ、なんか理不尽に100代先輩がマジギレしてるぜ・・・・・」

 

「こいつは、ちょっとやそっとじゃあ機嫌を直しちゃくれなさそうだな」

 

「クリム、悪かったな」

 

「ごめんねー」

 

「いいよ。ハーデス達に助けられたし、目的の物も回収できたから。二人の分も集める協力をしてくれたから感謝しろよ」

 

迎え&戻ってきた100代とクリムのパーティメンバーと合流を果たして、あっという間に賑やかな雰囲気に包まれた。

 

「えっ、俺様達のクエストアイテムは? 女子だけ!?」

 

「お前ら男は自分で集めろ。私を残して負けていなくなったのと、私を怖がらせた罰だ。それと大和! やっぱり私は餓鬼の妖怪を殴る方がよかったんだ! ハーデス達に助けてもらえず負けたらしばらくは許さなかったぞ!」

 

「珍しく軍師の失敗だな」

 

「すまん姉さん」

 

「リアルの名前で呼ぶほど怖い思いをしたのだな100先輩は。負けてしまって申し訳ない・・・・・」

 

スキル封印、物理無効、逃走阻止の呪い。ほぼ物理攻撃がメインの風間ファミリーじゃあ太刀打ちできないモンスターだったから仕方ない反面はあるわな。

 

「逃走阻止の呪いか・・・・・欲しいかも」

 

「なんで?」

 

「捕まえたいモンスターを逃げれなくさせられるからだクリム。プレイヤーにも通用するなら時間稼ぎもできるし」

 

「自分も逃げれなくなっちゃうんじゃないか?」

 

「それはそれでいいさ。格下相手には絶望ものだろう? 格上だったらさっきも言ったように時間稼ぎができる」

 

「強制的に一対一に引き込む必要な時がある、か」

 

「捕まえて放置にできるなら、やって損はないね。ハーデス相手には効果抜群だよ」

 

サリーが話に加わりに来た。

 

「でも実際、ハーデスって弱点ってあるの?」

 

「一応はあるぞ。身をもって味わったし」

 

「え、あるの? ちょっと詳しく教えて。大会での敗戦記録の雪辱を晴らしたいから」

 

「私もかなー」

 

教えるかバーカバーカ!

 

「黙っとけニイサンちゃん」

 

「お前もその渾名を言う口を黙らせようか!」

 

「出来るものならやってみせろ」

 

額を押し付けて互いに武器を見せびらかして睨み合う俺達。そんな時にイカルが純粋無垢に質問を投げた。

 

「にいさんちゃんってなんですかお姉ちゃん」

 

「私がゲームの大会に参加している時としていない時だけ、このクリムはサリーに勝ったり負けたり、私と勝負するときは絶対に負けて二番目、三番目で終わる成績が多い理由でにいさんちゃんって呼ばれてるんだ。ちゃんづけなのも、リアルのクリムの顔は女の子よりで可愛いからな。この見た目で中身は男だがな」

 

「可愛い言うな!」

 

「サリーちゃん、そうなの?」

 

「本当だよ。クリムはスキル無しの武器だけの勝負だったら私と互角だから。今は私の方が勝ち越してるけどね」

 

「たったの一回だけだ。すぐに追い越すよ」

 

「その挑戦、この中でも受けてあげるよ?」

 

二人の間に火花が散る幻を見た気がした。セレーネが俺を呼んで疑問をぶつけてきた。

 

「三人が競いあってる大会のゲームでなにやってるの?」

 

「格闘や射撃、色んな物を武器にできて何でも使える自由度が高いサバイバル、大人数で乱戦もののゲームだ」

 

「乱戦といえば、ハーデス打倒目的でサリーと自然と共闘したのが楽しくて一番惜しかった大会だった」

 

クリムの思い出してる大会の記憶は、俺とサリーの口から「あー」と漏らさせた。

 

「最後はいつも通り私達が勝ち残って、一番の障害たるノーフェイスを倒さないと勝てないって気持ちが繋がったからかもね」

 

ほんとやってくれたなって思ったよ。そして偶然にもほどがある。かわした筈の弾と手榴弾が跳弾で当たって至近距離でモロに爆発を食らったからな。流石に私も負けたと思ってたが、体力がギリギリ1残ってた上に近くにあった消火器が爆発の衝撃でクリムの顔面にぶっ飛んで当たって、クリムがその拍子で撃った銃弾が跳弾でサリーの頭を貫いたんだよなー。

 

「だけど完全に油断してたよ。まさかの消火器がぶっ飛んでくるなんて誰も思わなかったんだから」

 

「私もノーフェイスに意識しすぎたから反応に遅れた。狭い空間に追い込んで私とクリムが前と後ろにノーフェイスを挟んだのはいいんだけど、白煙を噴出しながらクリムにぶつかったからさ、それが煙幕になってて、ノーフェイスが隠れてしまう前にと飛び出したら、意識の外側から飛んできた銃弾に当たるなんて・・・・・不覚だよ」

 

「その間、私はなにもしてなくて、二人が勝手に戦闘不能になった稀な出来事だった。まだその時の映像があるかもしれないからネットで探してみるといい。ノーフェイス、一輪の桜花、クリムって検索してな」

 

すごく興味があるイカルは力強く頷いた。イズ達も見てみようかなって感じな反応をする。いったん話は終わりにし、クエスト達成の報告をしに彼岸の鬼鳴峠へ直江兼続達を置いて戻る道中、クリムに指摘された。

 

「そういえば、このゲームではノーフェイスじゃないんだな」

 

「そういうお前は吸血鬼っ娘で遊んでるなんてな」

 

「はーい、私がそうさせたエルフのフレイヤでーす」

 

「よくやったフレイヤ。当分からかって弄ぶ楽しみが増えた」

 

挙手しながら言う腰まで伸びた長い金髪のエルフの少女に褒めるとクリムから猛抗議を受けた。無視したがな。

 

「クリムとは本当に仲がいいみたいだな。僕はフレイ、よろしくハーデス」

 

「因みにフレイと私は姉弟だよ。改めてよろしくねー」

 

「・・・・・なんか、姉がやらかしたのを弟が苦労しながらフォローしていそうな何かを感じるのは私だけ?」

 

「苦労はしていないが、キュアとヒールを間違えるだけで済んでいる」

 

「も、もう覚えたよっ!?」

 

事実なのか。あまりゲームが得意じゃないと見える。

 

「フレイヤはヒーラーなの?」

 

「あとタンク、重戦士だよ」

 

「珍しい組み合わせね」

 

「でも、理に適っているのは事実だ。倒れない回復薬がいれば安心して戦いに専念できるからな。クリムお前は?」

 

話の流れ的に訊くのが自然となり、クリムは質問に応じて教えてくれた。

 

「剣士と魔法使いの職業を魔剣使いに進化させておいたのと、重戦士だよ」

 

「ついでに僕は魔法使いと黒魔術師だ」

 

なるほどなるほど・・・・・( ..)φメモメモ。

 

「三人は第二陣のプレイヤーで合ってるか?」

 

「違うよ第三陣で最近始めたばかりだ。でも、ハーデスが開示してくれた称号とスキルのおかげで早く強くなれてるよ」

 

「でもでも、神獣の眷属に占領されちゃってるダンジョンは、無所属のプレイヤーじゃないと簡単に入れなくて大変だよねー」

 

「気軽にダンジョンを攻略するなら無所属でいるべきだからな」

 

フレイには同感だ。何事も簡単も楽にできないものだからなぁ・・・・・。

 

「ハーデスは重戦士とテイマーだよね。何でテイマーをしようと思ったの?」

 

「違うことをしたかっただけだ。特に意識も理由もない。だから重戦士の方ばかり遊んでいたら、テイマーのレベルは1なのに最上位職業の神獣使いになってしまったんだ」

 

「まだレベル1なの!?」

 

「ある意味凄いな・・・・・後学のために訊くけど神獣使いって職業になるにはどうやってすればいい?」

 

それはなー、とクリム達と歩きながら会話の花を咲かせ、まだギルドを結成していない理由で勧誘してみたら。

 

「クリム、入った方がいいよ。今のハーデスの素の防御力は8000以上だし、今更防御力極振りをするプレイヤーでも足元にも及ばない数値を得たら、防御力だけは全プレイヤーの中で最強になるんだから、そう簡単に負けることはないよ」

 

サリーも勧誘に乗ってきた。珍しいと思ったが相手はクリムなら当然なのかもな。

 

「8000!? ・・・・・どうしよう、凄い魅力的な数字だ」

 

「フレイヤや僕もそれならクリムの隣で戦い続けられるだろうね」

 

「8000ってどれくらい凄いのか実感ないけど、そのぐらい高めておかないとダメなの?」

 

「少なくともフィールドのモンスターの攻撃は余裕で耐えられる。身体を動かして戦うのが苦手なプレイヤーにとって安心できるんじゃないか?」

 

な、なるほど・・・・・と漏らすフレイヤ。

 

「うーん、ハーデスのギルドの方針って?」

 

「自由奔放だな。8割生産職ばかりだから戦闘ガチ勢ってわけじゃないし、みんな自分の意思で決めて動いてもらっている。こういったゲームのイベントだって自由参加だしな。でもギルド内の催しとかは参加してもらってる」

 

「催しって?」

 

「祭りだな。ギルドの身内のみの祭りをたまにするつもりなんだ。前は第二陣の歓迎のつもりで祭りをしたぞ」

 

「じゃあ次は第三陣のプレイヤーの歓迎会の祭りをするのかい」

 

「いつかするつもりだ。その前に新大陸にいくつもりだがな。だからギルドの加入の件、いつでもいいから返事を待ってる」

 

急かさない俺にクリム達は頷いた。ちょうど鬼の集落の裏門が見えて、中に入ると俺達は解散した。サリーとはまた後で合流することにした。

 

「ア=トゥ。集めたぞ」

 

「・・・・・誰だい、アンタ」

 

「お姉ちゃんです!」

 

ん? ・・・・・あ、堕天使になったままだった!

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