バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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新メンバー

ちょっとした一騒動を抑え件の小学生達を茶屋に招いて腰を落ち着かせた。改めて少女達を見た。ロリっ狐と騒がれた少女は水色の袴に肩を晒す白い半着の装束で華奢な身体に纏い、大きな狐耳に長い銀髪をポニーテールに結い上げ、俺を見て喜色の光を鳶色の瞳に孕んで、尻尾までぶんぶんと揺らしている。

 

もう一人はおどおどした様子で俺を見て、気弱そうな印象を抱かせるボブカットの黒髪の少女。全身が機械的な装備に一人だけSFの異世界から迷い込んだような出で立ちをしている。

 

「俺のことは知っているだろうが、初めましてと言わせてもらうよ。【蒼龍の聖剣】ギルドマスターの死神・ハーデスだ。よろしくな」

 

「よろしくなのです! 雛菊は雛菊なのです! 職業は侍なのです!」

 

「わ、私はリコリス・・・・・職業はガ、ガンナーなの・・・・・」

 

二人の性格が反対であることも窺えたところで最初はリコリスから訊ねた。

 

「リコリスは俺のギルドに加入希望なんだな。同じガンナーがたくさんいるからか?」

 

「は、はいなの。それに無所属で私と同じぐらいの年の近い子がいるギルドに入りたくて・・・・・楽しそうだなぁって思って」

 

遠慮気味にちらっとイカルとマイとユイを見るリコリス。確かにイカル達もリコリスぐらいの年代だな。それを理由に入りたいのも自然か。わかった、と言って次は雛菊に問うた。

 

「雛菊は俺に師匠と呼んでいるようだけどなんでだ?」

 

「刀で戦って鬼人族に勝った姿がとってもカッコよかったからなのですよ! 雛菊もそんなお師匠様みたくなりたくて弟子入りしたいのです!」

 

「・・・・・」

 

デ、デジャブ・・・・・。強いて言うなら俺とオルトを見て強い憧れを抱いた妹分のプレイヤーと似ている。ドラグとドレッドがこの場にいたら「またか」「魔王の影響を受けたプレイヤーが・・・・・」って微妙な顔で言いそうだわ。

 

「確かに俺は刀を使って戦ったが、基本俺が遊んでいる職業は重戦士とテイマーだ。侍の職業で遊んでないぞ」

 

「そうなのです!?」

 

「寧ろ刀を使っているのは刀に備わっているスキルを使いたいからだ。侍専用のスキルじゃないから重戦士でもテイマーでも使える理由でな」

 

破邪の大太刀をテーブルに置いて全員に【輪廻転環】のスキルの詳細を見せた。

 

「HPとMP以外の一番高いステータスを除いて0にする代わり、一つだけ選択したステータスに元々高いステータスの数値同等にするって・・・・・」

 

「なるほど、この刀を装備していると極振りのプレイヤーならもう一つのステータスも極振り状態にできるのか」

 

「そういうことだ。まぁ、実際そうすると相手よりHPとMP以外のステータスが4つ以上下回っているのみ五つのどれかのステータスが二倍になるって効果が消失してまう難点があるがな。それでも二倍分の数値が減るだけでだから全然戦えるがな」

 

「お前って本当に強いよなー。スキル、どのぐらいあるんだ?」

 

俺はクリムの質問の答えをイカルに代弁してもらった。

 

「イカルちゃん、俺達のスキルは何個ぐらいあるか教えてあげなさい」

 

「はい! えーと・・・・・100個はありますよ?」

 

「「「「「100!?」」」」」

 

「ついでに俺の称号の数もそれぐらいあるぞ」

 

「「「「「はいっ!?」」」」」

 

ふははは! これが証拠だ! と言わんばかりに俺の称号とスキルをフルオープンしてやった! 当然ながらこれを見てみんなは脱帽ものだ!

 

「多い、多すぎるって・・・・・!」

 

「ハーデス、どうやったらこんなに称号を集めることができるのさ・・・・・」

 

「でも、懐かしい称号もあるね」

 

「このゲームを始めてからもう随分と経っているんだなって思うわねー」

 

「おいクリムこれを見ろ」

 

「【至高の堕天使】・・・・・『堕天の王衣』・・・・・格好いい名前のスキルと装備の名前があるのか。待て、このスキルはなんだ。装備スロット・・・・・?」

 

「すごいのです・・・・・」

 

「こ、こんなにスキルが取れるものなの・・・・・?」

 

凝視するみんなの前でステータスを閉じ、雛菊に告げる。

 

「こんな感じで刀を使って戦うことはあっても侍で遊ぶことは滅多にないんだ。侍専用のスキルが使えずとも刀で敵を倒すことができるからな」

 

「そう、なのですか・・・・・」

 

分りやすく耳を垂らして残念そうに顔をしょぼんとする雛菊。侍の師弟をするつもりはないとハッキリと言わせてもらった俺なのに、雛菊は―――まだ食いつく。

 

「で、でも、雛菊は同じ侍のお師匠様になってもらえなくても雛菊のお師匠様になってほしいのですっ。それでもダメなのですか?」

 

「ん? んーじゃあ、師匠になるかどうかの話から変わるけど、まず最初に言わせてもらう。二人のギルド加入は歓迎するよ。これからよろしく頼む。一緒にこのゲームの全てを楽しもうな」

 

雛菊とリコリスは顔を輝かせた。有言実行と俺からの加入申請の誘いにYESのパネルを押して晴れて二人も【蒼龍の聖剣】のメンバーになった。

 

「さて、メイプルとユイにマイ。来てもらったのは頼みたい事が一つある。さっきからここにいる三人の固定パーティに入って欲しい。俺の友達でな、見ての通り三人しかいないからパーティとしての戦力が足りていないんだ。ユイとマイより年上だけど学生だ。今回のイベントの間だけでも力を貸してやってくれないか?」

 

「うん、いいよー。マイちゃんとユイちゃんもいいかな?」

 

「「もちろんです。寧ろ私達が揃って戦える方が安心できます」」

 

やっぱり別々に戦わされて慣れない戦いに困り苦労を強いられたか。

 

「なぁ、ハーデス。この三人は極振りなのか? 戦闘の際は大丈夫なのか?」

 

「問題ないぞ。三人は第二陣で当然ながらクリム達よりレベルとステータスが高いのも含めて、このメイプルは俺のスキルを殆んど反映されている状態だから俺みたいなものだし、マイとユイも激しい動きは出来ないものの、それをカバーできるだけの攻撃力極振りに相応しい破壊力がある。マイとユイ、俺の防御力を攻撃力に常時変えるスキルを願ったよな?」

 

【ワン・フォーオール】【オール・フォーワン】のスキルを獲得した以降から攻撃力極振りじゃなくなってしまった二人には申し訳なかったが、防御力が高くなったことで簡単に倒されることはないから大丈夫と言われてから、闇神のように何でも願い事を叶えられるチャンスが来た場合、もしよかったら常時防御力を攻撃力になるスキルが欲しいとお願いするようにと事前に言っておいたので・・・・・。

 

「はい、ハーデスさんの言う通りにお願いしました」

 

「ハーデスさんの防御力がずっと私達の攻撃力になりますよ」

 

笑顔でそういう二人に心の底から安堵した。同時にクリムがある予想を口に出して吐露した。

 

「・・・・・ってことは、この二人の攻撃力って8000以上ってこと?」

 

「そんでもってスキルと称号の効果で数倍アップしてるから少なくとも15000以上は確実にあるぞ。さてクリム君? 数万以上の数値の極振りの矛と盾がいるのにこれ以上の不安要素と頼もしいプレイヤーは他にいると思うのかね? それでも別のプレイヤーがいいと言うならこの話はなかったことにするが」

 

腕を組んで上から目線で問えば、静かに俺に向かって土下座をしてみせる吸血鬼っ娘。

 

「滅相もございません! 是非とも三人の力を貸していただきます!」

 

「うむ、よろしい。メイプル達に深ーい感謝をするんだな。実質第三陣のクリム達は後輩なんだから先輩の言うことをちゃんと聞けよ」

 

「ははー!」

 

それから残り二人だな。

 

「雛菊とリコリス、丁度俺とクリムのパーティにまだ入れる枠が空いてる。リコリスはクリム達のパーティに、雛菊は俺達のパーティに入ってイベントが終わるまで力を貸してくれるか?」

 

「終わったら雛菊のお師匠様になってくれるのです?」

 

「いや俺一人で動くことが多いのと、まだNWOを始めたばかりの雛菊がいけない場所に行くことも多い。だからまずは仲間の協力を求めていいから雛菊自身が旧大陸の東西南北、四方の12エリア全て攻略してくれ。出来ればリコリスもな。俺達は新大陸に行くこともあるからさ。そこに二人を置いてけぼりにするのは申し訳ないんだよ」

 

「わ、わかったなの」

 

「わかったのです!」

 

それから全エリアの踏破ができたら師匠になる口約束をしたことで、雛菊がやる気の炎を燃え盛らせた。

 

「あ、リコリスは誰かとパーティに入ってたか?」

 

「う、ううん・・・・・いつもお世話になってる先輩は他の人ともう組んじゃってて、昨日までソロをしてたの。だからハーデスさんに呼ばれるまでは今日もソロでするつもりだったの」

 

「そうか。勝手に決めておいてすまなかったな。先に聞いておくべきだった」

 

「大丈夫、なの。寧ろ、私を指名してくれてありがとうございますなの」

 

「それはクリム達に言ってくれ。元々学生のガンナーが欲しいって要望だったからな」

 

な? と同意を求めるとクリム達は揃って首肯した。

 

「ハーデス、話が付いたならそろそろ動きましょう?」

 

「そうだな。新しい仲間とパーティが出来たことだし、遅れてしまった分は働くよ。クリム達、健闘を祈るぞ」

 

「そっちもね」

 

握った拳を軽く小突き合う俺とクリムは互いのパーティと一緒に分かれて行動を開始した。

 

「あのリコリスはセレーネと話が合いそうな感じがするな。あれだけの機械と銃を装備してるから、ロボ関係の話も好きそうだ」

 

「うん、イベントが終わったら話してみるよ。私みたいに内気なところがあるみたいだし、話せばきっとすぐに打ち解けそうだから」

 

・・・・・セレーネって内気だっけ? 思ったことを口にして訊ねるとイズが微苦笑を漏らした。

 

「ハーデス、『ゴーストバスター』の称号ってイカル達にも手に入れた方がいいんじゃない?」

 

「サリーの場合は『デザートバスター』じゃないか。だが、そうだな。ゴースト系のモンスターも出ると分っているんだし、備える意味も兼ねて手に入れてもらうべきか。雛菊、幽霊のモンスターとか大丈夫か?」

 

「大丈夫なのですお師匠様!」

 

「師匠になることを認めてないぞー」

 

「そんな! じゃあ、呼ぶだけでも!」

 

それは紛らわしいわな。

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