『さてどうする?死神だったか?そいつを、この人質を盾にして呼びだすか?』
『とは言っても、またあの学園に行って呼び出すのも面倒だよなぁー』
『別に呼ばなくてもいいと思うぜ?明日まで俺達と一緒にいてもらえりゃ
大会に参加できなくなるし』
『意外と簡単な依頼だったな。それなのに報酬が良いって俺達運が良いんじゃね?』
土屋が持っていた盗聴器の受信機から、音楽に混じってそんな会話が聞こえてきた。
依頼?ってことは、この実行犯とは別に誰かが絡んでいるってことか?
俺と旅人さん、明久に坂本は土屋に案内されたのは、川神駅の裏にある街道、親不孝通りだ。
ここの街の治安は悪く、非法な取引の売買もよく行われている話だ。
不良達の溜まり場でもあるため、何かをするならもってこいの場所だ。
『アンタ達!いい加減にアタシ達を解放しなさいよ!』
『そうはいかねぇんだよ。おとなしくここに居れば、命までは取らないぜ』
『あ、あのっ!どうしてこんなことをするのですか?』
『それは言えねーよ。依頼だからな』
なにもされていないことに取り敢えず安堵で息を漏らす。
「旅人さん、どう助けますか?」
「決まってるだろ。誘拐犯達を拳で倒すだけだ。百代もそうするだろうが証拠が必要だ。ムッツリーニ君、カメラは?」
「・・・・・ある」
「入った瞬間に中の現状を撮れ。大和達はここで待機。ああ、これから人を呼ぶから来たら道を何も言わず開けておけ」
そう言って土屋を引きつれる旅人さんは「失礼しまーす」と言いながら堂々と扉を開け放って中に侵入し手は直ぐに閉めた。
『あ?誰だ?てか、おいお前写真を撮るな!』
『おいおい、俺の顔を知らないなんて世も末だな。俺は蒼天っていう国の王だぞ?』
『はぁ?蒼天の王様だぁ?』
『ことを起こす前に取引をしよう。彼女達を全員解放してくれたなら報酬の三倍を渡すし見逃してやる』
『はっ?何言ってるんだ?そんな話をいきなりされて信用できるかってんだ。お断りだ』
『ここで交渉に応じて逃げれるのに、捕まるよりもお前達のこれからの人生が守られるんだがな』
『へ、警察を頼っても無駄だ。ここがどこだか分ってるのか?』
『ああ、知ってるとも。親不幸通りだろ?しかも一番奥にはヤクザやマフィアがいるかもしれないって噂の』
『そうそう、実際いるのかすらも怪しいデマな話だぜ』
『ま、いるわけないだろ。いたとしても下っ端か、ヤクザの真似事をしているチンピラだ』
ボックスの中からそんな会話のやり取りがされていると、後ろから人の気配が感じて何となく振り返ると俺はびっくりしてしまった。ガタイのいい体で黒いスーツを着込んだ強面の男達が目の前まで集団で駆けて来たのだ。
「おいガキ、ちょっくらそこをどいてくれねぇか?」
「あ、はいっ。すみませんでした!」
あの人が言う人を呼ぶって言ってたのはこの人達のことだったのか!間違いなくこの男達は極道、ヤクザの人達だ!明久達も思わず壁際によって道を開け放つと、声を掛けた男が乱暴に扉を開けることもせずノックをした。
「お取込み中失礼します。極道の者です」
『来たか―――残念だな。タイムリミットだ』
中から扉が開け放たれると男達が前進してボックスへ侵入する。
『オラッ!こっちへこいよガキどもがっ!』
『は?誰―――がっはぁっ!』
『てめぇら誰が下っ端でチンピラだ?ああ?覚悟はできてんだろうな?これからコンクリに詰めて海に沈めてやるからよ!』
『ひっ!?ま、まさか存在してたのかよ!?』
『待って!待ってくれ!』
『い、いやだ!死にたくない!助けて、助けてくれぇえええええっ!』
幸い、ここの部屋は他の部屋より奥だったため店員や客達に気付かれずに済んでいる。というか聞こえていて気付いているとしても誰も関わりたくないから無関心を貫くに決まっている。ボックスから出てきた誘拐犯達は口に無理やりガムテープみたいなもので張られて喋られなくされては、涙目で極道達に強制的に連れ出されていった。
「「「「・・・・・」」」」
明久達と顔を合わせ、静かになった部屋の扉をゆっくりと開けた。人質されていた島田と姫路、木下の姉に工藤の無事も確認。
「旅人さん。あの極道達は・・・・・」
「個人的に昔から懇意の関係だ。マフィアもな。たまーにだが汚れ役を買ってもらっててな。後でお礼をしに行かなくちゃ」
連行された人達のその後の末路は怖くて聞けない。いや、絶対に訊いてはならないの本能的に分かっているからだ。
「・・・・・カヲルめ、俺は言ったよな。失敗はするなと」
この人が真剣な顔で呟くところを見たら尚更だ。こんな旅人さんを見たことが無い俺は絶対に逆らってはいけない人だと子供の頃以来、改めて実感した。
―――☆☆☆―――
誘拐騒ぎも解決して、喫茶店の一日目も終了した。
教室の扉を少し開けて中を覗くと、何か話している坂本と明久の貸し切り状態となっていた。助け出された四人は何とも言えない表情で先に帰宅し、旅人さんは「済まさなければならない用事が出来た。蒼天に戻る」と言うだけで本国に戻った。
「さて坂本と明久。俺達に何か隠しているだろう」
扉を開けてまだ教室に残っていた二人に寄りながら問い詰める。逃げられないよう念には念を、風間ファミリーも一緒だ。
「いきなりの物言いだ。隠し事とは人聞きの悪いことを言うな」
「だが、お前が言った『仕掛けてきたか』という言葉は、予想していた意味を捉える。
明久は知らなかったようだが、噛んでいることは間違いない」
テーブルを挟んで二人に問い詰める。そもそもおかしいと思ってはいた。
「急にやる気だしたかと思えば、大会に出場するなんて坂本らしくはない」
「俺の気まぐれだと思わないのか?」
「短くない付き合いをしているんだ。それなりにお前の性格ぐらいわかってくる。坂本、清涼祭とか大会とか興味ないだろ。グラウンドで野球をするほどだからな」
「それだけじゃ確証がないな」
「じゃあ―――どうしてお前達二人はまだ帰らないんだ?」
それを指摘すれば坂本は口を噤んだ。
「まるで、これから誰かと会うために居残っているような感じだ。
俺はお前達に訊きたいことがあるから敢えて残っている」
「・・・・・雄二」
明久が当惑した面持ちで坂本に視線を送る。坂本から視線を変えて明久に。
「明久。お前は大会を何の理由で参加したんだ?」
「え?僕も腕輪を―――」
「嘘だな」
「最後まで言わせてよ!?」
「お前とも付き合いは短くないと思っている。
だからこそ、お前が自分から大会に参加する理由が無いとも分かっているんだ」
「違うよ大和。本当に僕は腕輪が欲しいんだ」
「最初から思ったのか?」
「う、うん・・・・・そうだよ」
どもった。・・・・・こいつら、何か隠しているな本当に。なら奥の手を使わせてもらおう。
「・・・・・隠し事を話したくないならそれでいい」
「大和?」
「土屋から貰った・・・・・お前らのチャイナドレスの姿をネットに流出すればいいだけだから」
「「ちょっと待て!
手にしている数枚の写真を扇子状に広げて脅迫した。効果は覿面だな。ま、俺もこうされたら同じ反応をしてしまうが。
「なら、答えてくれるな?」
追及する。苦虫を嚙み潰したかのような苦い顔を浮かべる坂本に写真をチラつかせ、吐かせてやろうとした時。
「やれやれ・・・・・アタシを呼んでいおいて随分と賑やかじゃないかガキ共」
声と同時に教室の扉が音を立てて開いた。
「来たかババァ」
「・・・・・学園長?」
どうしてここに学園長が現れるんだ?この二人と深く何か関係がありそうだな。
「今回は事が事だから、きっちりとババァから説明してもらいたいことがあるんでよ」
「なんだい、アタシが何か隠し事をしているようなものいいじゃないかい」
「隠し事はなくても俺達に話すべきことを話していないことがあるんじゃねぇのか?」
学園長は肩を竦め上げる。
「ふむ・・・・・。やれやれ。賢いヤツだとは思っていたけど、
まさかアタシの考えに気がついたとは思わなかったよ」
「最初に取引を持ちかけられた時からおかしいとは思っていたんだ。あの話だったら、
何も俺達に頼む必要はない。もっと高得点を叩きだすことのできる優勝候補を使えばいいからな」
「あ、そういえばそうだよね。優勝者に後から事情を話して
譲ってもらうとかの手段も取れたはずだし」
「そうだ。わざわざ俺達を擁立するなんて、効率が悪過ぎる」
・・・・・この二人に学園長は支持をしていたというのか?
「お前ら、学園長と何か裏で取引でもしていたのか?」
「ああ、色々と話し合った結果でな。大会の優勝賞品のチケットを手に入れてくれたら
俺達の要求を飲んでくれると言う話になったんだ。―――が」
坂本は学園長にハッキリと言った。
「たかがプレミアムペアチケットを手に入れるだけで、どうして俺達は営業妨害、
誘拐騒ぎにまで起きてしまうのか疑問でいっぱいだ。まさかとは思うが、
企業の企みなんかよりもっと重要なこと、それもこの学校の存続が左右されるような状況に
なっているんじゃないよな?チケットの件については後で優勝者から説明して、
譲ってもらう手もあるからよ。さて、ご説明を願いましょうか―――クソ学園長?」
言い訳は許さないと学園長を睨む。そんな坂本に対して学園長は深く溜息を吐いた。
「そうかい。向こうはそこまで手段を選ばなかったか・・・・・すまなかったね」
突然学園長が俺達に頭を下げてきた。
「アンタらの点数だったら集中力を乱す程度で勝手に潰れるだろうと
最初は考えていたのだろうけど・・・・・そいつが決勝まで進まれて焦ったんだろうね」
「じゃあ、坂本達に重大なことを話していないことを認めるんですね?」
「はぁ・・・・・。アタシの無能を晒すような話だから、
できれば伏せておきたかったんだけどね。特に・・・・・死神にこの事は公言にしないでほしい」
どうしてハーデスに対してそんな事を言う?蒼天の出身者でしかないあいつに?
「・・・・・事情による。話せよババア長」
「分かった、話そう。アタシの目的は如月ハイランドのペアチケットなんかじゃないのさ」
「ペアチケットじゃない!?どういうことですか!?」
「アタシとっちゃあ企業の企みなんてどうでもいいんだよ。アタシの目的はもう一つの賞品の方なのさ」
「腕輪の方ですか?なにか問題があるので?」
調べたが。腕輪は三つあるらしい。
一つはテストの点数を二分して二体の召喚獣を同時に喚び出すことができる腕輪。
もう一つは召喚獣同士の融合ができる腕輪。
さらにもう一つは教師の代わりに立会人になって召喚用のフィールドが作ることのできる腕輪。
こっちは使用者の点数に応じて召喚可能範囲が変わるらしい。
召喚の科目はランダムで選択されるとか。
「そうさ。その腕輪は問題があってね、アンタらに勝ち取って貰いたかったのさ」
「僕らが勝ち取る?回収して欲しいわけじゃなくて?」
「あのな・・・・・。回収が目的だったら俺達に依頼する必要はないだろう?そもそも、回収なんていう真似は極力避けたいだろうし、な」
「坂本のいう回収ができない状況だから正式な方法で手に入れてほしかったわけですか?
だから坂本と明久に要求を飲む代わりに条件を突きだして頼んだと」
坂本の揶揄するような言葉に俺も推測を立てて話を振る。
「本当にアンタはよく頭が回るねぇ・・・・・。その通り。できれば回収なんて真似はしたくない。
新技術は使って見せてナンボのものだからね。
デモンストレーションもなしに回収なんてしたら、新技術の存在自体を疑われることになる」
できればということは、最悪の場合はそれも考えていたのだろう。
「それで、腕輪の問題点とは?」
苦々しく顔を顰めだす学園長。
「成績優秀、高得点の奴らが使用すると暴走してしまうのが問題点さね」
「あー、つまりFクラス並みの点数なら暴走は起きないわけですか。優勝の可能性を持つ低得点者なら腕輪の暴走もない。デモンストレーションをするにも俺達はアンタの理想な人材だったとそういうことか』
「そうさね。アンタらみたいなのが一番都合が良かったってわけさ。
召喚フィールド作成用の腕輪はある程度まで耐えられるんだが、もう片方の同時召喚用の腕輪は、
現状のままだと平均点程度で暴走する可能性がある。融合用の腕輪は特に問題ないさね」
「デモンストレーションで問題発生が生じると、この学校の評判はガタ落ちで、
学園長の失脚は免れない。だとすれば、そういう奴らがいて
その立場の人間―――他校の経営者とその内通者といったところですかね?」
色々と仮説を述べる。この学園は多くの生徒を抱え込んでいて、他校に行く生徒は減り、
当然のことながら他校を経営する者はこの学校の存在を許し難いはずだ。
ならば、手を組んで学園長を失脚させて、学園を潰そうと考える経営者もいなくない。
「ご名答。身内の恥を晒すみたいだけど、隠しておくわけにもいかないからね。
おそらく一連の手引は教頭の竹原によるものだね。
近隣の私立校に出入りしていたなんて話も聞くし、まず間違いないさね」
「それじゃ、俺達のクラスの営業妨害をしてきた先輩達とチンピラも」
「教頭の差し金だろうな。協力している理由は分からんが」
金一封、もしくは進学に関することかもしれないけどな。そこで今まで黙っていたガクトが話の輪に加わった。
「何かよくわからねぇけどよ。学校の一大事ってなら何とか解決できないのか?ハーデスと松永さんなら優勝できるだろ」
「どっちも高得点を叩き出せる二人だぞ。だけどハーデスに至っては基本的に1点で戦う。松永さんはSクラス並みの点数を。誘拐された島田たちはハーデスを呼び出すための盾だったんだ。一人だけ戦ってもよくて仮に勝った松永さんが不良品の腕輪を使うことが起きたら敵の思う壺になる」
「あ、でも。いざとなったら優勝者に事情を話して回収したら―――」
甘いぞワン子。
「残念ながらそうもいかない。決勝戦の対戦相手を知っているか?」
坂本がズボンのポケットから小さな冊子を取り出す。書き込まれているトーナメント表を追っていくと、対戦相手は、
「あ、オレ様達の営業を妨害した先輩かよ!」
「そうだ。やつらは教頭側の人間だ。喜々として観客の前で暴走を起こすだろう」
松永さんも高得点の保持者だ。不味いな・・・・・。
「学園長、ハーデスに言えないなら松永さんには?」
「・・・・・松永にも言えないさね。あの二人は蒼天側の人間だ。アタシの失敗を知られたら即座に王に報告されるようになってるんだよ」
・・・・・もしかして、旅人さんが学園に来ているのって学園長の。
「あの、学園長。学園にいるんですけど旅人さん・・・蒼天の王様が」
「な、何だってっ・・・・・!?」
「島田たちが誘拐された時も手助けしてくれて・・・・・学園長、顔色が凄く悪くなってますよ!?」
真っ青を通り越して紫になっている!一体どうしたってんだって焦燥に駆られていた時だった。
「あ、いたいた学園長先生。こんなところにいたんですか」
松永さんが朗らかにそう言ってこっちに来ると学園長が小刻みに震えだす。
「な、なんだい松永?アタシに用があるのかい?」
「ええ、とっても重要な要件です。学園長達が話していた学園長の失脚と学園の転覆される寸前の会話は王様に筒抜けですので」
「―――――」
「自分の身が可愛くて王様に隠し事をするのは蒼天の王に対する裏切り行為に等しいですよ。素直に伝えておけば、罰は軽減されていたかもしれないというのに生徒を巻き込んだ失敗をした学園長は―――懲戒処分が下されます」
懲戒、処分・・・・・!?
「と、まぁされるはずですけど、私が総合点数をFクラス並みに下げて優勝すればいいだけの話ですので。王様からは私から解決できる問題の範囲内故に懲戒処分は先送りにしてほしいと頼んでみますよ」
「ほ、本当かい!?」
「ええ、ただし条件付きが課せられるでしょうけどね。それでもいいなら」
「構わないよ!アンタから説得してくれ!」
わかりました、と言って教室を後にする松永さん。残された俺達はただ見ていることしかできなくて、地獄で仏にあったような学園長は安堵で胸を撫で下ろす気分に浸って、ため息を吐いた。
「蒼天って、実は怖いところなんですか?」
「そうじゃないさね。ようやく出世したのに転落して落ちぶれてしまうのが嫌ってことだよ。懲戒処分を食らったらクビにされてしまう恐れもあるんだからね」
大人社会の話か。学園長のあの反応を見て納得したな。
「・・・・・本気で言ってるのか燕」
「簡単な話ですよ。私がそうすればすべてが丸く収まるんですからね。やっぱり余計なことですか?」
王様のところに戻り、学園長に言った通り説得を試んでみたら怪訝な目で見られた。
「ああ、王としては余計なことをしてくれたなと思ってる。燕、どうしてカヲルを庇う?理由は何だ」
「えと、仏の顔は三度まで・・・・・的な?」
「・・・・・」
今度は何言っているんだこいつは、と凄く呆れた目と無言で見られてしまう私だった。
「・・・・・すみませんでした。少し同情してしまいました」
「・・・・・」
「・・・・・うう」
この無言の時間は凄く耐えきれない。まだ怖くないけれど肩身が狭くて居た堪れないよぉ・・・・・。
王様、深いため息を吐くいてもっと居心地が悪くなった。
「・・・・・王としては余計なことをしてくれたと言ったな」
「はい・・・・・」
「いつ懲戒処分にするまでは言っていなかったのに、お前が勝手な判断でそうすることができなくなった」
「王様・・・・・?え、どういうことですか?」
「最後の情けとして、カヲル自身が何か挽回させるチャンスの猶予を与えるつもりだったんだよ。あの時もカヲル自身がそう言ってたよな?」
「え、じゃあ・・・・・」
最初から問答無用にじゃなかったってこと・・・・・?と王様を見てそう思っていたら人差し指を私の額に何度も強く小突いてきた。
「お前が、あいつに、俺を説得して懲戒処分をなくす、なんて、勝手なことを言わなければ自分の失敗を自分で挽回させてたんだよ、この馬鹿!俺は冷酷で冷徹な王だと思ってたのか燕さんよ!」
「いた、いた、いたっ!?」
「しかも条件付きだと?じゃあその条件はあいつの代わりにお前が罰を受けることで許してやる。おら、尻を出せ。今回の独断での判断をしたお前に思いっきり十回は叩いてやる!」
「ご、ごめんなさぁーい!あっ!ひゃあっ!?(バシーンッ!)いったああああああっ!?」
「・・・・・あれは、痛いわね」
「「・・・・・ッ!・・・・・ッ!(ガクガクブルブル))」」
「桃花さんと雪蓮、大丈夫ですから気をしっかりしてください」
「無理よ。昔から今でも常連ですもの。私だって一度だけされてもう二度はごめんで気を付けてるぐらいよ。懲りないこの二人が悪いのよ月(ユエ)」
「ええ、自業自得です。それより我が王よ。日本に留まるおつもりならどこか宿を」
「ああ、手筈は済んでいる。川神院だ。顔馴染みの者に頼んで泊まらせてくれる」
「武の総本山・・・・・面白いわね。川神百代の家でもあるんでしょう?」
「その通りだ。というわけで行くぞ。立て燕」
「う、うう・・・・・お尻が痛い」
「「分かる、その痛みは分かる・・・・・」」
「後で薬を塗ってあげますから辛抱ですよ」
「どうか堪えて」
「塗り薬はもっと染みて痛いから嫌だよぉ・・・・・」