五日目最終日―――!
早めに起きて旅館から離れて正門に向かった。今日が最終日だから俺達と同じかそれ以上早く起きていたか、昨日から寝ていなかったかもしれないプレイヤー達が集落の路上に溢れ返っていようが門へと向かう。
「プレイヤーがいっぱいなのです」
「本当ね。外に行かないのかしら」
「もしくは、行けなくて立ち往生しているのかもな」
「ということは・・・・・」
人垣で出来た路上から先には裏門から出ようとするプレイヤーで缶詰め状態ぽくなっている。ここがダメなら正門へと向かったプレイヤーも多い筈だ。屋根の上に登って俯瞰しているプレイヤーまでいるほどだからな。
「ねぇ、どうして裏門じゃなくて正門に来たの?」
「桃太郎の話では最初に雉が砦の中を調べてから、正門を開ける猿が忍び込むからだ。実際どうなるかわからないけど念のためな」
あ、門が開かないか開けてくれないからか門を越えようとするプレイヤーがいるな。でも、見えない壁があるのか何度叩いても先に行けずにいる。さてどうなるか・・・・・と思っていた矢先だった。
カンカンカンカンッ!!!
響き渡る鐘の音。警鐘が誰かの手によって鳴らされている。次に聞こえてくるのは―――。
「正門に巨大な犬と猿と雉! それから黒い人型の異形が接近している! 里に近づけさせるな冒険者達よ! まだ眠っている冒険者がいるなら叩き起こせー!」
そんな声が聞こえた時、正門が一人で開いて俺達を外に解放させた。急いで外に出ると俺達が知っている正門の外じゃないことが最初に突きつけられた。両側は断崖絶壁が聳え立ってて・・・・・正面と左右から大量の犬、猿、雉が迫って来ている光景を目の当たりにした。
「【蒼龍の聖剣】は宙に立って大量の雉をボスも含めて駆逐してくれ! それ以外のプレイヤーは犬と猿を倒せ! 同士討ちを避けるべく魔法職、弓兵。ガンナーのプレイヤーは正門の前で待機! プレイヤーが倒し損ねて零れたモンスターの掃討を主に担当してくれ! 後から来るプレイヤーにももう一度言うぞ! 【蒼龍の聖剣】は宙に立って大量の雉をボスも含めて駆逐してくれ―――」
エンドラス討伐イベントに似た戦いをさせられるとは考えてはいたが、三方向同時にからとは思わなかった。それでも対応しないといけないのは当然なんだが。
二方向からやってくる猿と犬へ向かうプレイヤーの数が圧倒的に多いに反して【蒼龍の聖剣】は宙を立ちながら走って相手と同じ土俵で戦いに挑む。月に行ったことがない身内は地上から攻撃する他ないのだが、雉は地上にいるプレイヤーにも襲うらしいな。さて俺は最後の砦として門の前に待っているとしよう。俺のスキルを付与されたプレイヤーが5人以上いるんだ。負けることはない筈だ。
「少し掲示板に潜る。何か遭ったら声をかけてくれるか?」
「了解です白銀さん!」
俺と後方にいるプレイヤー達の一人が応じてくれたので、気兼ねなく掲示板のサイトを開いた。
【も~もたろうさん♪】彼岸の鬼鳴峠防衛戦を語るスレPART4【ももたろうさん♪】
・情報を共有する語り掲示板です
・掲示板の荒らし、プレイヤーへの悪口を言うプレイヤーは征伐しに行きましょう
・分かった情報は積極的にかつ任意で公表しましょう
222:桃太郎
ぎゃあああー!! ムリムリムリィー!
223:桃太郎
いきなり巨大な黒い鳥が黒い竜巻を起こして集落を滅茶苦茶にされちゃったよー!?
224:桃太郎
初っ端からボスが防衛する集落のど真ん中に現れるんじゃねぇー!!
225:桃太郎
こちら鹿サーバー! ミィが炎のスキルで攻撃したら竜巻に吸収されて炎の竜巻となって里の建物が大火災になってしまったぁー!!
226:桃太郎
午サーバーも黒い巨鳥と戦ってるけどこれ、ムリゲーじゃない? ムリゲーですよね?
227:桃太郎
未サーバーだけど、誰か攻略法方を教えてくれ(泣)
228桃太郎
こっちだって攻略法を教えてもらいてぇわバカヤロー!!
229:桃太郎
無所属サーバーはどうなってる!? 返事をしてくれー!
阿鼻叫喚・・・・・。マジか、いきなりボスが襲ってるのか? あれか、山頂に置かせて、置かせなかったのが俺達とあいつ等の分岐点だった? とにかく情報収集を続けよう。今のところ、倒し損ねたモンスターを零していないし。
241:桃太郎
無所属サーバーのプレイヤーです。今こっちは正門に向かって三方向からやってきた三匹の動物の群れと交戦中
242:桃太郎
あー! 女鬼人がやられたー!!
243:桃太郎
どうやってあんな鬼畜鳥を倒せってんだ運営ぃー!
244:桃太郎
ええっ!? ボスじゃなくて群れ!?
245:桃太郎
そう。朝起きたら鬼人が鐘を鳴らしながら正門から三体のボスと桃太郎がくるぞー! って注意喚起して、俺達は正門から出てボスと戦う前哨戦の雑魚狩りをしてる最中だ
246:桃太郎
なんで無所属サーバーだけそうなん!? こっちは絶賛黒い鳥に集落が滅茶苦茶にされてるってのに!
247桃太郎
白銀さんだからだよきっと・・・・・
248:桃太郎
それしかないほどとてつもなく納得する理由だよこんちくしょう!
249:桃太郎
オイコラ、それはどういう理由なのか説明してもらおうか。
250:桃太郎
ファッ!?Σ( ̄□ ̄|||) は、白銀様ー!!?
251:桃太郎
アンタいたんかい!?
252:桃太郎
白銀さん! 俺達のサーバーにどうかお救い下さいませんかね!? 何か助言をプリーズ!
おっと、つい本音を投稿しちまった。うわー、俺に助けを乞う声がたくさんだー・・・・・。
289:桃太郎
こっちもあまり時間かけられないが黒い鳥の詳細を求ム
290:桃太郎
えーと! 風属性の攻撃、竜巻とか突風とか、風の刃とかとにかく撃ってくる!
291:桃太郎
黒い巨鳥の姿は、そのまま黒い巨大な鳥なんだけど、なんか触手っぽいのが生えてる・・・・・多分鎖か?
292:桃太郎
鎖? 解放されても完全に解かれていないのか。・・・・・だとすると、もう一度その鎖でどうにか縛り上げれば大人しくなるかもしれないな
293:桃太郎
縛り上げるって空の上にいるモンスターにどうやって近づけと・・・・・
294:桃太郎
飛行能力がある道具とか、戦闘系の征服人形とか、ヘルキャットとか。もしくは現地にいる鬼人の力を借りるとか
295:桃太郎
へ? ・・・・・アーッ!?
296:桃太郎
そ、それは盲点過ぎたぜ・・・・・!
297:桃太郎
確かに俺のドールちゃん、飛行能力を備えてやった!
298:桃太郎
俺も持ってた飛行能力ある道具ー!
299:桃太郎
希望が見えた気がする! ありがとう白銀さん! 頑張ってみるー!
300:桃太郎
それはいいんだけど、あまり時間を掛けると雉の次は猿が入ってくるぞ。その次は犬で最後は桃太郎・・・・・大量の餓鬼かもしれない
301:桃太郎
げぇーっ!? それは心底勘弁してくれ!!
302:桃太郎
餓鬼まで来られたらもうお終いじゃん! 急いで他の連中にこのことを教えないと!
303:桃太郎
鬼人達と力合わせて黒い巨鳥のモンスターをどうにか縛り上げてみる! 因みに白銀さんとこのサーバーはどう?
304:桃太郎
んーと・・・・・【蒼龍の聖剣】は丁度いまその巨大な雉が現れて交戦している。犬と猿の方は・・・・・まだ時間が掛かるか。完全に食い止め切っているから正門まで来る気配はない。
305:桃太郎
無所属、強すぎね!?
306:桃太郎
ほんと裏山
307:桃太郎
・・・・・いや、悪い訂正だ。雉がペイン達を強引に振り切って突破してきた。これから迎撃するのでお暇する
308:桃太郎
ガンバレー! 助言ありがとう! おかげで何人かが鎖を掴めたから、そのプレイヤーを掴んで綱引きみたく地上に引きずり落としてみる!
309:桃太郎
なるほど、それもアリだな
310:桃太郎
おっしゃー! 寅のサーバーのプレイヤーも鎖を掴んだぁー!
進展が増えてきた他サーバーを無視して突っ込んでくる雉を見据えた。
「【八門遁甲】」
八つの巨大な門が集落の正門を守るように展開しながら、一体だけ召喚した。
「―――ラージャング、【サイズ変更 超大】」
「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
黒い体毛で覆われた竜のような顔の黒いゴリラの身体が黒い雉より上回る巨大化をした。
「でっっっっっ!?」
「ゴリラ!? でも顔が何かドラゴンっぽい・・・・・」
「ゴリラとドラゴン、ドラゴリ?」
「ドラゴリ・・・・・なるほど?」
なるほどじゃねーよ。シバくぞ、と心中で思いながら俺もラージャングに黒い雉を左右から捕まえに飛び掛からせた。黒い雉はそんなラージャングから舞うように避けて翼を大きく広げたところで、俺は【次元跳躍】で雉の真後ろに転移した。
「【鼠算式Ⅱ】! 【アサルトチェーン】! 【天の鎖】!」
雉が回りの空間から飛び出したした複数の鎖に避ける間もなく雁字搦めで縛られて地上に落ちた。雉の上に腰を落として座るラージャングが取り押さえての捕獲完了したところで、ペイン達の方に視線を送ると。どうやらボスと一緒に現れた一体の巨大で人型の餓鬼が現れてペイン達は食い止める対応せざるを得なかったようだ。
「白銀さん! 犬と猿のボスも出現したけど、あっちもデカイ餓鬼がワンセットで出てきた!」
身動きが取れない雉をボコってたプレイヤーの報告通り、犬と猿のボスのそばに餓鬼の巨人が現れるや否やプレイヤーに攻撃している。なるほどな・・・三体の動物のボスまで引っ張ると、同時に三体の巨人まで迷惑なことに出てくるのか。藪をつついたら蛇でも鬼でもなく餓鬼だったとはな。
「こっからが正念場だ。今この時をもってこのスキルを使うとしよう。―――【統率者】!」
同じ場にいる味方全員に俺の全ステータスとスキルが付与する! そんなことされて気付かない仲間達にメガホン越しで伝える。
「戦いながら聞けー! 今お前達全員に俺のステータスとスキルを付与しておいた!! 手が空いたプレイヤーは攻撃が食らわないように気を付けながら確認しろー!」
大声で叫んだ俺の声が届いたと思われるプレイヤーはすぐに反応を示した。
「え、今の話なに? 本当・・・・・だったぁー!?」
「うおおおおおおー!? マジで白銀さんのステータスとスキルが俺達のステータスに付与されてるぞおおおおおおー!!!」
「な、なんじゃこりゃあ―――!?」
「あべしっ!? ・・・・・あれ、ダメージが0? なんで?」
「おおおっ!! 憧れの【エクスプロージョン】があるぅー!! 今使わずしていつ使うんじゃぁー!!!」
「おーっほっほっほっ!! 我が華麗なる一撃を食らいなさいお猿さん!!」
「ヒャッハー!! いっくぜぇえええええ、エンジンフルスロットル! 全力全開だぁああああ!!!」
おー・・・・・三方向から絶叫と激しい轟音、というか爆発が花火のように炸裂してる・・・・・おいおい、味方まで巻き込んでるよなお前ら。っていや待て待て誰だ【アルマゲドン】を使ったやつ!? 空を埋め尽くすほどの隕石の数、絶対に一人や二人だけ使った規模じゃない! しかも犬と猿の方向に同時に落ちてる! お前らアホかぁー!!?
ドドドドドドドドドドドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!