バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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最後の神獣

 

 

火曜日―――寅と午と戌の神獣を討伐する日でもあり魔王討伐イベントの最後の日でもある。

 

「今日でようやく最後だ。夕食を食べたら神獣の討伐をしに行くけど、もう倒し終えてるか璃香?」

 

「ペイン達と戌と午を倒し終えて残りは寅だけだよ」

 

「何で倒してないんだ?」

 

「未みたく倒せないんだよ。なんかギミックがあるらしくて攻撃が当たってもダメージが受けなくてさ。勇者の奥義も状態異常もスリップダメージも全然ダメ。しかも別のトラ三匹が襲ってくる。戦う場所はジャングル」

 

夕餉の時間中に璃香から教えてもらう寅との戦闘の経緯。・・・・・ジャングルに四匹のトラ、ねぇ。

 

「王様、またよからぬことを考えているんですか」

 

「・・・・・そうだな、そう言う事を言う燕の尻の叩き方を考えているところだ。唐辛子の粉末をつけた手で叩くか、雷を帯びた手で稲妻の如く叩くか、燃える手で叩いてもしばらく燕の尻を掴んで火傷を負わせるか・・・」

 

「すみませんでしたぁー!!!」

 

椅子の上で器用に俺の方に向かって土下座をする燕。うわぁとドン引きする瑠海と璃香の二人。

 

「じょ、冗談はさておき・・・何か思い当たることでもあるの?」

 

「みんなは知らないと思うけれど○○○○サンボって童話知ってるか?」

 

「「「?」」」

 

知らないようだな。実際、神獣〈寅〉が着ている服って赤色だったそれに加えて三匹のトラまでいるなら、確実にあれだよなぁ・・・・・。

 

「四匹のトラとジャングル、そして三人家族が出て来るある夫婦の手作りの童話なんだが・・・・・」

 

知っている情報を打ち明けて耳を傾けて聞く姿勢に入った三人に伝える。数分ぐらいでこの話を終えると璃香は疑問をぶつけてきた。

 

「そんな方法で倒せるの?」

 

「実際にやってみないことには、な。だから瑠海、今言った三つの物を作ってくれるか。なるべく高品質のを」

 

「あなたがそう言うのであれば作ってみせるわ」

 

「それと、本命の方はどうだった?」

 

「・・・・・」

 

瑠海は無言でいい笑顔と親指を立てた。二人ともようやくあと一歩まで進んだか。

 

「だから、ね? ハーデスの持っている神工房を貸してほしいなぁーって」

 

「いくらでも貸してやるよ」

 

「ありがとう!」

 

とは言えど、必要な攻防で作る装備の素材が無いとダメだろうから、イズとセレーネは素材集めをするはずだ。協力は惜しまないが自力で頑張れるならそうして欲しい。

 

NWO―――ログイン。

 

自分が使うアバターに意識が入り覚醒して目を覚ますと、見慣れた二人の少女が人の寝顔を覗き込んでいた。

 

「もうゲームをするのか二人共。怖い思いをしたばかりなのに」

 

「だって、ハーデスに会いたかったから」

 

「私もです! ハーデスさん、昨日はありがとうございました!」

 

「気にするなって言っても聞かんか。どういたしましてだ。身体の方はどうだ」

 

「病院に連れて行かれて検査を受けたら身体に副作用の影響は無いって言われたよ」

 

そいつはよかったと身体を起こしてメイプルとサリーと向き合う。

 

「でも、凄く驚いたよ。ハーデスさんが蒼天―――んっ?」

 

「それ以上は絶対に言わないでくれよ。誰かに聞かれているかもしれないし、俺のことを知っている友人がゲームしていると思われていないんだからな」

 

「というか、どうしてしているのって話なんだけど。暇なの?」

 

「定時に帰ったらやることは決まっているだろ? それが終わったらあとは俺の自由時間だ。ゲームをするのも俺の自由だぞ」

 

蒼天の王だと言いかけたメイプルの口を人差し指で止めながらサリーと会話する。

 

「だからなメイプル絶対に言うなよ俺の正体のことを。周りに誰もいなくてもだ。死ぬまで黙って隠してくれいいな」

 

「んん!」

 

コクリと頷くメイプルを信じて彼女から指を話す。

 

「じゃあ、一つ訊いてもいい? ・・・・・未成年とか、身体を重ねて、ハーデスは問題ないわけ?」

 

凄く恥ずかしそうに淡く赤らめた顔で声を殺して言うサリーの言葉ははっきりと聞こえたので。

 

「問題はない、とは断言できないが責任は必ず取るつもりだ。ゲームの中とは言えどリアルと変わらぬ体験をしているようなもんだしな」

 

「・・・・・男の人って、そういうことを毎日したい物なの?」

 

「性欲が強い男はそうじゃないかな。俺もリアルじゃあ長年誰ともそういうことしてないし、誰でもいいわけじゃないから女と身体を重ねたことはない。・・・・・蒼天にいた頃は裸にならないと眠れないって家族と添い寝したことはあるがな」

 

褐色肌の女とか、褐色肌のロリとか美熟女とか他なら下着姿で添い寝してくる女性は結構多い。だからその気もそういう気もならないんだよな。元々そういう耐性は得てしまっているから。

 

「ハーデスさんって、もしかしてたくさんの女の人に人気者?」

 

「そんなつもりは一切ないんだが、他者から見るとハーレム状態だな。俺は昔から女に好かれやすい、慕われやすい体質でさ、今のメイプルとサリーのように自然と女が集まってくるんだ」

 

腰を上げて片付ける布団は押し入れに押し込んで襖を閉じる。

 

「で、どうして唐突にそんなこと訊くんだ?」

 

「・・・・・ハーデスもえっちなことが好きなのかなって」

 

「昨日の一件でそう思ったか?」

 

サリーは小さく頷く。あんな目に遭ったら男性恐怖症になっても不思議ではないから当たり前か。

 

「否定はしないよ。それでも俺は見知らぬ女より俺が好きで俺を好きになってくれている女としかそういうことをしたいね。ただし、俺から離れなくなる心と体になってしまうほど夢中にしてしまうだろうが」

 

「イッチョウ達も、そうなってるの?」

 

「それは本人達に訊け。女同士が一番わかる話だ」

 

てか、何でこんな話をしてくるんだサリーは。・・・・・もしかして。

 

「サリー。俺のこと、好きになった?」

 

「―――――」

 

おおう・・・・・林檎のように耳まで真っ赤になって俯いた分かりやすい反応。それにそれから小さく頷いたから本当に俺を好きになったと認めた。

 

「メイプルも、か?」

 

「はい・・・・・ハーデスさんのことが好きになりました。サリーもハーデスさんのことが好きですよ?」

 

そうなのか。まぁ、サリーの反応を見れば言われずともわかってしまうが・・・・・さて。

 

「メイプル、サリー。二人に対しての返答だが・・・・・」

 

「ま、待って・・・・・!」

 

真っ赤な顔のまま両手を突き出して言いかけた俺の言葉を遮った。

 

「返事は、まだ、いい・・・・・イッチョウ達もきっとそうなんでしょう?」

 

「・・・そうだな。三人共、俺に好意を抱いていることを知ってほしいだけで返事はまだしていない」

 

「なら、私とメイプルもまだハーデスからの返事を受けない。私達が学校を卒業するまで返事を言わないで、お願い」

 

本当にメイプルもかと彼女に目を向ければサリーと同じ気持ちだと俺に頷く仕草をした。

 

「わかったよ・・・・・二人が卒業するまでこの先の言葉は言わないでいる。それでいいな」

 

「うん、ごめんわがまま言っちゃって、ありがとう・・・・・」

 

「ありがとうございます」

 

申し訳なさと感謝の気持ちを混濁している二人に揃って頭を下げられる。が、ここでメイプルが爆弾発言を投下した。

 

「でもねハーデスさん」

 

「うん」

 

「・・・・・私、ハーデスさんがいいならキスも、え、えっちなこともゲームの中でもリアルでもしたいなって思ってるよ?」

 

「「メイプルッ!?」」

 

「というか・・・ハーデスさんを見ていると、凄くキスをしたいなって気持ちが抑えきれないんです。ダメ、ですか?」

 

薬か? まだ薬の効果が残ってメイプルに大胆さを!?

 

「・・・・・キスして満足するのか?」

 

「えーと・・・・・もっと、ほしくなっちゃうかも?」

 

「・・・・・サリー、どうするべきだこれはよ」

 

「・・・・・(汗)」

 

あ、こいつ。俺から顔ごと明後日の方へ首を反らしやがった!!? よーしわかった。お前がそういう反応するなら俺の隙にするぞこんちくしょう! メイプルと半ば強引にサリーを二階へ連れて行って、そこで三人で濃密な時間を過ごした。抵抗の意思はあったが直ぐサリーは俺に身を預けて告白を済ませていないのに愛の言葉を囁き合った。

 

三時間後―――。

 

『ハーデス。お待たせ、完成したわよ』

 

「わかった。寅の館の前で集まろう。集まれる仲間もな」

 

『ペイン達はすぐに来てくれるわね』

 

イズからの通信を切りギルドメンバーに向けて通信を入れて内容を伝えた後、情事後の小休止していた二人にも誘い掛けて神獣〈寅〉の館の前に転移して到着した。イズ達、神獣と戦いたい身内が全員揃うまで待つ間は、メイプルとサリーはぴったりと俺の横にくっついて片時から離れようとはしないので。

 

「「「・・・・・」」」

 

イッチョウ、イズ、フレデリカがこんな俺達を意味深に凝視して、俺に対して後で話があるという視線を向けてくる始末だ。ふっ・・・・・モテる男はつらいよ。

 

「・・・・・イッチョウ、一言だけ話があるんだけど」

 

「うん、何かな?」

 

「・・・・・負けない、ただそれだけだよ」

 

「ふーん、そう、本気になったんだ? じゃあ、ライバルだねサリーちゃん」

 

バチバチと二人の間に火花が散ったので、見てみぬフリしてイズに話しかける

 

「イズ、例の物は?」

 

「これよ」

 

 

レア度7 品質7

 

名称:高級な青いズボン

 

【VIT+59】

 

 

レア度7 品質7

 

名称:高級な紫色の靴

 

【AGI+51】

 

 

レア度7 品質7

 

名称:高級な緑色の日傘

 

【STR+57】

 

 

よし、要望通り。これで上手くいくといいんだがな。イズから三つの装備を受け取り、時間になったら集まった全員と館の中に入り、神獣〈寅〉がいる奥へと案内されて・・・・・初めて訪れた戦いの場に俺達は足を踏み込んだ。

 

「フレデリカの言う通り、ジャングルがステージとは面倒だな。あいつ等の狩場だぞここ」

 

「俺達ではダメだったよ。ハーデスならどうやって倒す?」

 

「まずは四匹同時にダメージを与えてみたいが、まずは一匹ずつ襲ってくるんだろう?」

 

と、言った傍からジャングルの奥から一匹のトラが爪と牙を剥き出しに襲い掛かってきた。そのトラの狙う先にイカルがいてメイプルがすぐに【カバームーヴ】で駆けつけ大盾を構えたので様子を見守って見たら。

 

「【悪食】!」

 

「がおおおおおおおおおおおお!!」

 

寅の爪が大盾に付与された【悪食】に接触して―――ダメージ0という結果が出た。【悪食】でダメージが負わない、倒せないモンスターは初めてだとメイプルだけでなくイカルと俺も目を丸くした。

 

「がおーっ! うまそうなちびだ。おまえをくってやる」

 

「むぅっ! 私はちびじゃないです! イカルです!」

 

「がははは、ちびが怒ってもこわくねぇぞー?」

 

「むぅぅぅー!」

 

話しの食い違いでも、微妙に話が通じ合っている一人と一匹の間に割り込み俺は最初に青いズボンを取り出しながらトラに話しかけた。

 

「おいそこのトラ。神獣〈寅〉の部下か下っ端なのか知らないが、親分が服を着ているのにお前は何も着ていないなんて子分として恥ずかしくないか?」

 

「っ!?」

 

「俺達は親分の寅に用がある。お前と戦いに来たわけじゃないんだ。もしもこの場から引いてくれるならジャングルの中で立派なモノに相応しいこのおしゃれなあおいズボンをあげるぞ」

 

「あおいズボンか。よーし、こんかいだけはかんべんしてやろう」

 

めっちゃ反応してるなおい。ジーと俺の手の中にあるズボンを見てるトラから申請された。

 

『神獣〈寅〉の子分Aが青いズボンを気に入り欲してます。あげますか? YES NO』

 

YESの方を躊躇なく押すと俺の手の中から消失し、子分Aの下半身に青いズボンが装着した。

 

「これでおれさまはジャングルのなかでいちばんりっぱだ!」

 

ととくいになって、どこかへいってしまった。

 

「よーし、予想通りだった! 運営、手の込んだ真似をしてくれる!」

 

「・・・・・ハーデス、説明してくれるか?」

 

「何でズボンを渡しただけでトラがいなくなるんだよ意味が分からねぇ」

 

「一言で言うと○○くろサンボって童話の知識だよ。後二回も同じ繰り返しをしてトラ同士を仲間割れさせるつもりだ」

 

「―――え、その童話。俺知ってるんだけど? すげー懐かしいなオイ」

 

ノーフが思わずといった風に話に入ってきた。

 

「でもさ白銀さん。最初は赤い上着だったろ。何でズボンから渡しだんだ?」

 

「神獣〈寅〉はもう赤い漢服を着ているから」

 

「ああ、なるほど!」

 

もう納得したノーフ以外、何でなんだ? と殆どの仲間が不思議そうに、怪訝に理解に苦しんでいた。だから俺はこれしか言えなかった。

 

「ログアウトしたらちび○○サンボってネットで調べてみろ。日本にも伝わっている有名な童話だ。それじゃあ適当に進むぞ。念のために誰か空から偵察をしてくれ」

 

「分った! ピクシードラゴン隊行くぞー!」

 

「PD隊で略さないか?」

 

「パッド隊?」

 

「何か嫌すぎる! 一部の女性がスゲー反応してるし!」

 

「喋ってないで空に行くぞ!! 配信動画をしながら探せ!」

 

「アイアイサー!」

 

すぐさま行動に出たファーマープレイヤー達。俺が覚えている人数より更に何倍か増えて、同時にテイムしたピクシードラゴンの背中に乗って空へ向かうプレイヤー達。

 

「随分とファーマープレイヤーが多くなったもんだな」

 

「生産職の中で一番簡単な職業だからな。それを一週間も遊べば【蒼龍の聖剣】に入れることにいつの間にかなってるぞ?」

 

「そんな決まりをした覚えはないんだがなー・・・・・ま、別にいいけど」

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