バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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スキルの発掘4

 

小休止後―――イズとセレーネに協力を要請したところ快く引き受けてくれて日本家屋に足を運んでくれた。

 

「ハーデス。私達に何をしてもらいたいの?」

 

「実はスキルの取得の為に作りたい物があるんだ。二人はその部品を作ってほしい」

 

「どんな部品?」

 

「銅の円盤型二枚と100mほどの銅線」

 

何でそんなものを? といった具合に怪訝な面持ちとなった二人から当然のように追求された。

 

「一体何をやろうとしているの?」

 

「発電機を作ろうと思って」

 

俺の口から発電機何て言葉が出るとは思わなかった二人は面白い、分かりやすいぐらい表情が固まった。思考も停止しかけたかもしれないな。

 

「は・・・発電機・・・・・? 銅の円盤二枚と銅線だけで発電機なんて作れないよ?」

 

「電気を生み出す鍵はもう手に入れてあるぞ」

 

インゴットにした電磁鉱石をインベントリから出した。二人の目の前で音を立たせながらくっつく二つのインゴットにイズとセレーネは目を丸くした。

 

「そのインゴット、もしかして教えてくれた新しい鉱石・・・・?」

 

「そうだ。電磁鉱石はインゴットにしても磁石の力が宿っている。この二つがあれば電気を生成できるだろう?」

 

「確かに、それなら可能性があるかも・・・・・でも電球はどうするの?」

 

「一応用意するが今回は電気を生成、つまり電気を作ったって事実が欲しいんだ。ということで頼まれてくれない?」

 

「うーん、ゲームの中で発電機を作ることになるなんて想像すらしなかったわね」

 

「でも作れたら称号かスキルが手に入るかも? どちらにしろ発電機なんてリアルじゃあ作れないいい機会だと思って手伝うよ」

 

協力してくれる二人に感謝を込めてお辞儀した。銅の円盤と銅線の設計図を渡して俺は俺で発電機の土台やある物の製作に入って数時間後―――。

 

「銅の円盤、出来たわよハーデス」

 

「銅線の方も。うるしで銅線のカバーしたから放電することはないと思うよ」

 

「おお、二人共ありがとう! こっちも形だけは天空の城で整えたから行こう」

 

戻ってきた二人を出迎え、一緒に天空の城へ向かった。俺が向かう先には鉄製の土台が既に組み立てていて、イズから二枚の銅板とセレーネから銅線を受け取り最後の作業に取り掛かった。

 

「ねぇ、あの瓶はなに?」

 

「自家製のバッテリーだ。中身を零すなよ硫酸だから」

 

「りゅうさん? ・・・科学で使われる硫酸?」

 

「そうだ。電気を溜めることができるんだ・・・・・よし、完成だ」

 

対極になるよう銅板に電磁石と銅線を設置した。そこから伸びる銅線は豆電球と繋がっている。

 

「それじゃ、さっそく回してみるとしようか」

 

「成功するといいわね」

 

「でも、回すための取っ手が二つあるよ。もう一人は?」

 

「ゴールデンにしてもらう」

 

召喚した金色のスライムのスキルで俺の姿になってもらい配置についた。息を合わせて円盤を勢いよく回しバッテリーや電球に電気が送った明かしに光が点いた。

 

「点いた!」

 

「凄い、こんな風に自分で1から電気を作れるんだ」

 

「そしてその結果、称号とスキルが手に入ったぞー!」

 

 

称号『科学を見出だした者』

 

効果:隠し職業『科学者』の解放。生産系の品質と成功率の高補正。

 

 

称号『発明家』

 

効果:職業『科学者』・『エンジニア』の製作時間が20%短縮

 

 

称号『電気を学ぶ者』

 

効果:系統:雷のスキルの与ダメージ20%

 

 

【電気ショック】

 

このスキルの保有者を中心に半径20m内にいる全てに攻撃と一定の確率で麻痺を付与する

 

取得条件:電気の生成

 

 

―――よし! 【電荷Ⅹ】になった状態で系統:雷のスキルが五つになったことで【帯電体】が進化して【雷のオーブ】を取得できた!

 

「ははは! 念願のスキルを手に入れた! 2人ともありがとうな!」

 

「スキルを見つけるの得意だねハーデス。私達もそんな風にだったらいいのに」

 

「何か見つけたいものでもあるのか? 神匠関係で」

 

「うん、後は何でもいいからユニーク装備を作るだけなんだけど、工房だけじゃ駄目だったの」

 

話を聞けば普段使っている鎚ではユニーク装備は作れないらしく、専用の鎚が必要らしい。ならば候補は限りなく絞られる。

 

「オリハルコンの鎚だったら?」

 

「それなのよね。身体がオリハルコンのモンスターを倒した実積が必要なの。それとそのモンスターから手に入るドロップアイテム『最硬金属の核』がね」

 

「―――現状、私達はそのアイテムを手に入れる以前にオリハルコンのモンスターを見つけていない状態なんです」

 

それはまぁ難関で大変そうだ。と他人事のように思いながら二人にも銅の円盤を回すよう促したら、電球に電気を送るだけでどうやら俺と同じ【電気を学ぶ者】と【電気ショック】だけ手に入るらしい。だとすれば他のみんなにもやらせれば同じ結果になるか。でも、他の二つの称号が手に入らなかったのは中途半端に関わったからか?

 

「火・土・雷のオーブが手に入った。残りは水・光・闇・風に氷か? 可能性として毒もありそうだが」

 

「他にもスキルが手に入りそう?」

 

「光と闇は心当たりがある。水はなくはないが根気がいるし、風は試行錯誤するしかない。氷もそうだし毒は毒を生成すれば多分イケる」

 

「凄いね。鍛冶師も手に入るスキルって中々見つからないのに」

 

「そうか? 鍛冶なら思いつけるのって今のところリサイクルなんだが」

 

リサイクル? と鸚鵡返しをする二人に首肯する。

 

「このゲームは耐久値が無くなると消失してしまうけど、元々壊れている物が残ってあるなら二人も手を加えることができる筈だ」

 

「「・・・!!」」

 

「見掛けたら試してみたら? 何事も試行錯誤が大事だ。この発電機を作るようにな」

 

「―――あれ、なんかあると来てみたら白銀さん達がいるじゃん。これなに?」

 

身内のプレイヤー達がひょこっと発電機の陰から出てきた。発電機だと教えると信じられない物を見る目になっても、試しに回し始めて電気を送った証として電球が光った。

 

「・・・え? なんか称号とスキルが取得したんだが」

 

「俺もだ。【電気ショック】? 白銀さん達も取得してますか?」

 

「これを作ったのは俺達だから当然だ」

 

「発案はハーデスだけどね。最初に発電機を作るって聞いた時は耳を疑ったほどよ」

 

「私達は銅の円盤と銅線を作っただけだけど、本当にゲームの中でも発電機が作れるなんて信じられなかった」

 

「動力を作れば電気は簡単に作れるがな」

 

・・・・・さて、電気が溜まっているこれを飲んだらどうなるかな? さすがにイズ達の目の前で実行したらドン引きされるのは目に見えているからしないが、後の楽しみだな。

 

「動力ってそんな簡単に作れるの?」

 

「要は半永久的に動く歯車を作ればいい単純なことだぞ」

 

「そんな簡単な話じゃあ・・・・・」

 

「自然の力を借りればできる。じゃなきゃ風力発電、水力発電、火力発電なんて物が人の手で生み出されなかった。このゲームでもそれができる可能性を示唆しているのさ。多分やろうと思えばやれるんじゃないか?」

 

おいそこ、マジで言っているのかこの人って顔をするんじゃないよ。発電機をインベントリに仕舞ってイズとセレーネにまたよろしく頼むと言い残して天空の城を後にした。ちょうどその時になってHPが持続ダメージを受け始めた。スタミナ、満腹度が0になった証だ。

 

「満腹度が0になったままプレイしたことあるプレイヤーは、状況次第でそうせざるをなかった考慮をすれば、片手で数えるぐらいしかいないだろうってヘルメスが言ってたが、逆に餓死する形で死に戻ったプレイヤーはいないってことになるよな」

 

実際、そうなったプレイヤーの情報はなかった。敢えて秘匿にされているか、誰も試したプレイヤーがいないかの二つだろうが。

 

「あ」

 

廊下を歩いていたら、白髪に青いメッシュを入れた青い瞳の少女が部屋から顔を出して俺と目が合った。

 

「こんにちは、先輩」

 

「こんにちは、がうる・ぐら。遊びに来ていたのか」

 

「うん、友達と一緒に。・・・・・あの、質問いいですかー?」

 

質問? 初心者ならありきたりな質問かなと、がうる・ぐらと視線に合わせて跪いた。

 

「何を聞きたい?」

 

「このゲームに、サメっていますかー?」

 

「サメ? モンスターとNPCのことならいるぞ。恐竜の時代に生きていた大きいサメもだ」

 

「おお・・・! サメは捕まえることができますか?」

 

「できるが地上だと一緒に戦えないぞ。一緒に泳ぎたいだけなら話は別だが」

 

「一緒に戦える方法ってありますかー?」

 

純粋無垢な瞳を向けられて可愛いと内心思いながら、がうる・ぐらの願望に対して俺は当然のように答えた。

 

「このゲームの海の神に会うしかないな」

 

「海の神様? 会えたら私の願いを叶えてくれる?」

 

「いや、海の神と会うには30人以上のプレイヤーが戦う必要がある水属性の伝説的なモンスターを倒さないとダメだ。それから海の神であるから毎日お供え物か祈りを捧げないといけないんだ」

 

「―――ぐらー、誰と話して・・・あ、ハーデス先輩」

 

背中まで伸ばすオレンジ色の髪の毛先は極彩色。『小鳥遊キアラ』の紫色の瞳から向けられる視線と絡み合い、あいさつ代わりに挙手した。

 

「いらっしゃい。寛いでいるようだな」

 

「お邪魔しています。いま帰ってきたところですか?」

 

「スキルを手に入れたところだ」

 

「それって私達も手に入れます?」

 

「手に入る。それに暇ならビーチのホームに行って泳いでくるといいぞ。一週間も泳ぎ続ければ【潜水】と【水泳】のスキルレベルが上がるし水中での動きがよくなるからな」

 

「ほんと!? 泳いでくる!」

 

タタタッと走って行ってしまったがうる・ぐらの後ろ姿を見送る。

 

「一週間も泳がないとスキルのレベルが上がらないのは大変ですね」

 

「簡単に手に入るよりはやり甲斐があるものさ。それに水中にいるモンスターとの戦いには必要不可欠だ」

 

小鳥遊キアラとがうる・ぐらの二人がいた居間には他にも三人がいた。森カリオペと長い黒髪の少女『一伊那尓栖』と肩に掛かるぐらいの金髪に透き通ったアクアブルーの瞳の『ワトソン・アメリア』。

 

「先輩はこれから予定でもありますか?」

 

「一応これでも実験をしているところだ。特に忙しいわけでもないがな」

 

「じゃあ、良かったら一緒に雑談でもしません? このゲームの事とか先輩の事とか知りたいから」

 

「そっちがいいなら別に構わないぞ。途中で驚かせてしまう事が起きてしまうと思うが」

 

実際、雑談していると持続ダメージで小鳥遊キアラ達の目の前で満腹度を満タンにしてもなお、インベントリに入れていた料理や食材を100種類の料理や食材を100回以上食べ続けてみた。その過程で複数の称号が手に入ったことをまだ教えない。

 

「あの、そんなに食べて大丈夫ですか?」

 

「これも実験だからな。あんなことしたら、こんなことしたらどうなるのか試してみたくなるのが人の性で・・・・・スキルが取得できたぞ」

 

「食べるだけでスキルが手に入るの!?」

 

驚くのも無理はない。実際に手に入ったんだからな。

 

 

『スキル【食没】を取得しました』

 

【食没】

 

過剰に料理を食べた容量オーバーの満腹度の数値は結晶となって体内に蓄えられ、その結晶を消費すれば任意で満腹度かHPに変換して回復することができる

 

取得条件:1日の間に100種類の料理か食材を100回食べ続けること

 

 

大盾使いには手に入れておきたいスキルだな。だけど俺の防御力の影響を受けているプレイヤーはそこまで需要がないかもしれない。

 

「とまぁ、こんな感じでスキルが手に入る。口で言えば簡単、訊けば簡単そうに思えるも全て肉体的にも精神的にもそうじゃない方法でスキルを取得できるようになっている」

 

「スキルを取得するのに奥深いんだねハーデス。あ、タメ語ごめんなさい」

 

「別にフレンドリーでいいぞ」

 

「そう? それならそうさせてもらうわ、ありがとう」

 

「私も言わせてもらうね。改めてよろしくハーデス」

 

「私も!」

 

フレンドリーに話すようになった小鳥遊キアラ達との距離が縮んだように感じる。その後『ニューライブ』の他の外国勢のプレイヤー達からもフレンドリーに接せられるようになった。

 

さらに【食没】のスキルを手にした今、今度は餓死する形で死に戻りを繰り返してみた。マイホームの別室に転移させられた形で復活した俺のHPは全回復するも、満腹度が0なままで・・・・・長時間かけて50回ほど餓死すると。

 

 

『スキル【飢餓地獄】を取得しました』

 

【飢餓地獄】

 

あらゆるものを呑み込み糧に変える。このスキルの保有者の満腹度の減少が通常より2倍増加する代わり、対象のプレイヤー・モンスターがプレイヤーの与ダメージを受けた分、その与ダメージ分のHPとMPと満腹度を奪い全て自分に変換することができる。

 

 

・・・・・どうしよう。腹ペコ大魔王の二つ名がついてしまう・・・・・!

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