バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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進出するニューライブ

 

 

1週間後―――無事に『出遅れた者』の称号を手にしたときのそら達はフィールドモンスターとの戦闘が解禁され、意気揚々と始まりの町を後にしていた。

 

南方面の『南の森』の中を歩くダークブラウンの長髪、瑠璃色の瞳のときのそら。サイドテールと背中まで伸ばす桃色の髪に鳶色の瞳のさくらみこ。黒と桃色のツートンカラーの長髪に紫色の瞳のAZKi。水色の長い後ろ髪とサイドテールが特徴の黒瞳の星街すいせい。長い黒寄りの茶髪の先が赤紫色で琥珀の瞳のロボ子さん。

 

ときのそらは剣士と魔法使い、ロボ子は重戦士(大盾)、さくらみこは戦士(棍棒)、星街すいせいは重戦士とヒーラー、AZKiは傭兵と魔法使いの職業を選び『南の森』のモンスターと初めての戦闘を経てから数度も経験して自信を持った。

 

「この森のモンスターと何とか戦えるから大丈夫みたいだね」

 

「レベル的には私達と同じかちょっと高いけど、防御力が高いから負けることはないよ」

 

「みこの棍棒スキルがまた光るぜぇ~」

 

「原始人みたいな戦うみこの姿を配信してあげるよ」

 

「念のためにHPとMPの回復ポーションアイテムも買ったから気軽に行こうか」

 

数人の少女達が姦しく話し合いながら第1エリア『南の森』を突破しようと意気揚々とボスに挑戦する直前。

 

「ギァー!! 何あの虫ィー!!」

 

「うわぁあああ!!?」

 

「気持ち悪いっ!?」

 

「・・・・・」

 

「ロボ子ちゃん、気をしっかりして!?」

 

二体の人型である虫の身体の各所がキメラのように、違うモンスターの身体の一部がくっついているモンスター・・・・・プレイヤーと遭遇したときのそら達が阿鼻叫喚。Uターンして来た道に戻って行った。取り残されたプレイヤー『エリンギ』『トンボ』が顔を見合わせる。

 

「やっぱり虫が好きな女性は現れないな」

 

「ですが何を見てあんなに怯えていたのでしょうかね。僕達のことを見ていたような・・・・・」

 

「そんなまさか。こんな格好いい姿の虫を見て悲鳴を上げる女性はいないだろう」

 

「ですねエリンギさん! さぁ、僕達の楽園のために新種の昆虫探しを続けましょう!」

 

「ああ!」

 

後日、蠱毒の森に新種のボスモンスターらしき虫が徘徊していた情報がプレイヤー達の耳に入り、特徴を知ったら何とも言えない神妙な表情を浮かべた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・! あ、あんなモンスターがいるなんて聞いてないよっ」

 

「ど、どうする!? このエリアのボスモンスターを倒さないと先に進めないって話じゃん!」

 

「誰か手伝ってくれる人いないかなぁ・・・・・」

 

「・・・知らない人より知っている人に頼るのはダメ?」

 

「それだと・・・・・」

 

五人の脳裏に浮かぶギルマスの顔。あんな途轍もなく強そうなモンスターは初心者の自分達には到底敵わないことよりも、G並みに嫌悪感を抱かせる虫と戦いたくないのが本音であった。

 

「一先ず、聞いてみよう」

 

「「「「うん」」」」

 

ときのそらの意見に他四名は異論無いと頷き・・・・・。

 

数分後・・・・・。

 

「あー・・・・・ごめん。その特徴の虫のモンスターもどき、プレイヤーなんだ。しかも【蒼龍の聖剣】の、虫のモンスターが好きなテイマーのプレイヤーで、テイムしたモンスターの姿になっているだけなんだ」

 

「「「「「えええええええええ!!?」」」」」

 

ときのそら達の切な懇願に応じたハーデスが合流して、説明を聞いたら申し訳なさそうに事情を語った。ちっとも知らなかった彼女達は大声を張り上げるほど驚愕するのも仕方なしである。

 

「頭の上に浮かんでる名前は見なかったのか?」

 

「見た目が気持ち悪すぎて見る暇もなかった・・・・・」

 

「それ、本人達の前で言うなよ。あいつらなりにこのゲームを楽しんでいるだけだ。男も女も、二人のあの姿を始めてみて忌避してしまうのは仕方ないけどさ」

 

「はい、気を付けます・・・・・でも、モンスターの姿になれるなんて凄いですねこのゲーム」

 

「俺も初めて知った時も自由すぎるだろって思ったよ。でも、案外テイマーにとっては新しい戦い方だからテイマーを楽しく遊べる要因のひとつでもある。テイムしたモンスターの一定の好感度が上がって達したら友情の証がもらえて、それをアクセサリーにするとプレイヤーがモンスターの姿になり、モンスターの力も使えるようになる」

 

そうなんだー、とハーデスの説明に五人は納得の面持ちで耳を傾けていた。

 

「とにかく、さっき出会った二人はこの森のボスモンスターでも何でもない。本当に紛らわしい思いをさせて悪かった。あいつらも悪気はないから気を悪くしないでくれ」

 

「あの、はい・・・人の姿の時に会えたら謝ろうと思います」

 

「・・・・・ゲーム中ずっとあの姿のままだからその機会は難しいかな」

 

「うげッ!!」

 

「本当に虫が好きなんだね・・・・・」

 

面と向かって話し合える機会は訪れなさそうだと察したところで、ハーデスがときのそら達を誘導する。

 

「ボスモンスターのところに案内してやるよ。ただ、このエリアのボスは女王バチだが大丈夫か?」

 

「む、虫なのは変わらないんだ・・・攻略方法は?」

 

「火属性の攻撃に滅法弱い。巣があるから戦闘開始直後に巣を破壊すれば配下のハチは戦闘中増えなくなる」

 

「火属性・・・・・魔法でも通用するよね?」

 

「思いっきりぶっぱなせ。何なら一度負けても道具屋か自分で火炎瓶か爆弾を作って再度戦うのもアリだぞ。あいつらはそれも効果抜群だ」

 

「爆弾かー。手榴弾なんて物があるんだ」

 

「それを作っているプレイヤーが同じギルドにいるぞ。極度の人見知りで表に出てこないが、有名なプレイヤーだよ。それか機械の町に行けば飛行能力がある道具や銃火器類の武器、爆弾も買える。その町でガンナーの職業になれるしな」

 

「ぼたん達がすぐに行きたがりそう。私達もそこに案内してくれますか?」

 

「まず『ニューライブ』全員が第三エリアへ進んでからな。ほら、着いたぞ」

 

一本の巨木しかない場所に着いた一行。巨木を見上げれば大きな蜂の巣が作られており、周辺には大きな女王ハチと小さい無数のハチが飛び交っていた。

 

「エリアボスのモンスターは一度を倒したら、再挑戦できるけど戦わなくていいようになっている。それからハチ特有の毒を持っているから、いくら防御力が高くてダメージが0だからといって油断したら毒の状態異常を受けるぞ」

 

「毒状態になったらさすがに放置したらダメですよね。解毒薬、買ってないので今から買いに戻った方がいいですか?」

 

「そうでもない。毒状態になったらしばらくして【毒耐性】のスキルが手に入る。取得でたら毒によるダメージが軽減されるし、【毒無効】まで高めたら即死以外の毒のダメージは無効化する。毒状態になったら敢えてそのままにして減るHPを回復していけば耐性が身に着くぞ。他の状態異常も同様に敢えて受け続ければ耐性が着く。俺のVITだけが全てじゃないし、状態異常への耐性を取得するのも大切だから他のみんなにも教えてやれ」

 

「わかりました」

 

そう言ってハーデスが彼女達を置いて目の前で姿を眩ました。取り残されたときのそら達は、第三エリアへ向かうために必要な戦闘に臨み教えてもらった方法を実践した。

 

「私とみこちゃんとすいちゃんが小さいハチの方を倒しまくるから、タンクのロボ子ちゃんが女王バチの意識を奪って、AZKiちゃんが巣を壊して!」

 

「「「「わかった!」」」」

 

ときのそらの疾呼に四人は反論せずすぐに行動した。五人のプレイヤーを感知した女王バチは兵であるハチ達をけしかけて襲わせる。

 

「でぇあ! でぇあ! でぇあ!」

 

乱暴に棍棒を振るってハチにダメージを与えるが、倒しきれなかったハチ達がさくらみこの身体の至るところに針を突き刺す攻撃を繰り返した・・・・・しかし。

 

「わははは! 全然効かないよー!! 一方的な蹂躙の攻撃って自分でやるとこうなんだぁー!!」

 

「防御力の大切さが身に染みるなぁ・・・・・」

 

「倒しきれないハチからの攻撃を受けてもダメージが0だもんね・・・あ、毒状態になった」

 

「ううう、怖くない顔のハチだけど盾越しに伝わる衝撃が慣れないっ。AZKiちゃんまだー!?」

 

「巣を守るハチ達が邪魔で届かないよっ」

 

ハルバードを振るい無数のハチに攻撃する星街すいせいと【挑発】で女王蜂のヘイトを稼いだロボ子。AZKiの初級のファイアボールが確実に働きバチに直撃して倒しているが、巣には届かずそれどころか倒した分のハチが巣から湧いてくる始末。平行線の戦いが続く予想がされたもの。

 

「一人じゃダメなら二人で! そらちゃんも魔法で巣に攻撃してよ! すいちゃんとみこは親玉を狙って倒しちゃお! どーせ毒以外のダメージ0なんだから雑魚バチは無視! いいでしょそれで!」

 

「・・・・・確かにみこの言うこと一理あるね」

 

「うん、そうしよう!」

 

火力を集中して戦う方針に切り替えた。ロボ子が構えてる盾に執拗に大きなお尻の毒針で突く女王ハチの横からさくらみこと星街すいせいが攻撃に加わり、火力が足りなかった巣へもう一人分の火力が足されたことで届かなかった一歩がようやく手応えを感じさせた。度胸があるさくらみこが女王バチを全身で捕まえ、地面に押さえつけると星街すいせいとロボ子と一緒にボコボコとタコ殴りし、ときのそらとAZKiがMPを回復してから同時に【ファイアエッジ】【ファイアーボール】を放った。

 

「あ、やった! 巣が燃えた!」

 

「ボスバチも倒したよー! わっ、レベルアップしたぁ!!」

 

「コントローラを持ってテレビの前で居座ってゲームキャラクターのレベルを上げる日常が、まさか自分自身でするなんてNWOは楽しませてくれるね」

 

「それにリアルじゃあ身体が横たわっているのに、ゲームの中でこんなに身体を動かしているなんて不思議な体験だよ」

 

「楽しいねNWO。それじゃあ先に進もっか」

 

初のボス戦勝利を経て意気揚々と第2エリアに足を踏み入れた。

 

 

東の第2エリア『蟲毒の森』のフィールドボスの岩石巨人と戦っている『ニューライブ』。しかしながら強化されているボスモンスターは見た目どおり防御力が硬く、決定打が足りず倒しきれなく一度撤退するしかなかった。

 

「勝てねぇー!!」

 

「身体が大きい分迫力あって怖いよー」

 

「ヤバい、武器の耐久値がもう5しかなくてボロボロだ余!」

 

「動きは分かってきたまではあるんだけど」

 

「攻撃力が足りないのかな。シオンの場合は魔力かも」

 

大空スバルと百鬼あやめを始め、長い金髪とプロポーション抜群で蠱惑的な女性「癒月ちょこ」と紫の長髪をツインテールにしてる「湊あくあ」に魔法使いの杖を握る小柄で白髪の金眼の少女「紫咲シオン」は携帯やテレビゲームとは異なるゴーレムの強さと頑丈さを体感し、どうやって倒そうか苦悩する。

 

「スバル達のリーダーに訊いてみっか」

 

「そうだね。スバルお願い」

 

「あいよー」

 

フレンドコールをしてすぐスバルと通信が繋がった。

 

「ハーデス先輩、ゴーレムの倒し方オナシャス!」

 

『ゴーレム? 東のフィールドボスか。スバル達の武器は・・・・・』

 

「スバルは大盾、あやめちゃんは刀、ちょこセンとあくあ先輩とシオン先輩は魔法の杖っス。でもあやめちゃんの刀がもう壊れそうっス」

 

『ゴーレム相手に刀は相性最悪なんだがな。それと大盾ならスバルがゴーレムを足止めしている間に魔法の火力で集中砲火を食わらせばいいと思うんだが、それでもか?』

 

「うっす! スバルがしょっちゅう吹っ飛ばされて後ろにいる三人を巻き込んだり、ゴーレムに突進されると躱すので精一杯なんすよー。あ、ちょこセンとあくあ先輩は回復担当です。魔法攻撃も出来るっス」

 

『回復が充実で単に火力不足なだけか。ちょっと待ってろそっちに行く』

 

「アザッス!」

 

通信が切れてから3分ぐらい経ってからハーデスがスバル達一行と合流した。

 

「ゴーレム系のモンスター相手には鈍器系の武器の方が有効なんだ。それ以外の武器と言えばこれだ」

 

「ツルハシ? これも武器なんですか?」

 

「このゲームには部位破壊ってのがあってな。モンスターの身体の一部が破壊できるようになっていて、ゴーレムなら足を砕けばただの岩の塊に成り下がる。それとちょこ、あくあは防御力があっても攻撃手段が乏しい職業のヒーラーだから回復ばかり・・・・・というか前衛のスバルとあやめが一度もダメージを受けていないから回復する機会なかっただろ」

 

「はい、そうです。本当にダメージが0で凄いですけどゴーレムも硬くて」

 

「お互い硬くて攻め手が足りないなら他で補うしかない。デバフ、状態異常で攻撃するとかな。魔法使い以外にも魔術師って職業あるだろ。それをメインかサブにセットして魔術師のスキルを買ってから再戦してみろ。それからスバル。プレイヤー自身がオリハルコン並みに硬いからさ、大盾の装備は個人的にぶっちゃけ必要ないと思う。お前もあやめと一緒にツルハシを持って攻撃に加われ」

 

「マジっすか!?」

 

と―――ハーデスからの助言を得たスバル達はその通りに実行してみると。

 

「ちょっとだけの間ゴーレムは動けなくなったから今の内に!」

 

「防御力も下げたよ!」

 

「おお!? 刀で斬るよりダメージが高い余!」

 

「ほんとだゴーレムの足が壊れたスゲー! しかもマジで盾いらずだしスバルの身体が皆の盾だったなんて!」

 

「動きを止めてくれるなら魔法も当てやすい!」

 

新たな戦法を見出したスバル達は初戦の苦戦は何だったのかと疑うほど難なく岩石巨人を倒して第三エリアの町へ進出できた。

 

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