牧場を買ったことでやることが増えた。家畜の動物を飼育する時間も増えたがそれ以上に家畜から得られる資源が大量だ。
『英雄よ。コケッコー達の新たな住処の提供をしてくれたおかげでさらに数が増えた』
『餌となる物も高品質であるからか鶏共の卵の質も良い上に見よ。金の卵を産んでくれたぞ』
野生のコケッコー達を鳳凰が使役・世話をしてくれているおかげで、畜舎の中で本来NPCの鶏が担うはずの役割をコケッコー達が据替する形になって発揮している。が、モンスターなので精肉にすることができないのは残念なので、50羽ほど鶏を買ったら鳳凰達が自主的に飼育の協力を買って出てくれた。
「なぁ、神獣なのに家畜の世話をするって問題ないのか? 」
『我々は他の神獣・四神を呼び起こす役割を果たせば、再び彼等が眠りにつき次の勇者が我々の前に現れるまで基本的に自由なのだ』
『そういうことだ。まぁ今回のような鳳と共に我が育てた子供達をこうして育てることは初めてではあるが』
存外悪くはない、とコケッコー達と一緒に鶏達の餌を翼で器用に配る鳳凰の感想を知る。
「神獣を使役するって家畜の世話をさせる事じゃないだろう・・・・・神獣使いの先輩達も絶対に絶句するって」
『こういう生活も我は悪くないがな』
『ほらそこ! ケンカをするではないわ!』
賑やかな鶏舎を後にして次は馬の厩舎に足を運ぶと、広い厩舎の中に敷かれた大量の藁と土の上でセキトとフェル、クズハが寛いでいる他に星域でテイムした宇宙龍こと『ベイダー』。この厩舎の事を知ったその日の内にリヴェリアがエルフの里から連れてきた数頭のグリフォンがいる。大型専用のモンスターばかりが多いから柵は撤去した分、広くなった厩舎は彼等の専用の住処になった。
次に羊と牛舎へ顔を出すとがらんとして一頭も羊と牛はいないが、既に牧草地に放牧している。草を食べていたり寝転がっている羊と牛の数は15頭ずつ。その中にはメリープと星雲羊・・・モフワが交ざっているがな。
ついでに牧場と合併したマイホームは当然ながら日本家屋にした。畑とは反対側の位置に牧場が設置され、外から見ても更に広さが拡張されているようには見えないだろう。
「ハーデス様」
牧草地を眺めていたらサイナに呼ばれた。
「『ニューライブ』の宝鍾マリン様とそのパーティがご相談があるとおいでです」
「じゃあ、ここに呼んでくれるか」
「かしこまりました」
せっせと牛と羊の飼料を餌場に配っているから手が離せない状態。サイナは俺の指示通りに動いてくれたので牧草地に五人の女性達が来た。
「こんぺこ~ハーデスさん。相談に乗ってほしいですけど~」
「いいぞ。何か分らないことか?」
「分からないというか、出来ないことがあって出来るようにしたいんですけどー」
青みが帯びた銀髪と白い髪を二編みして伸ばす兎の獣人『兎田ぺこら』がジト目で小豆色のツインテールに右目が金色、左が赤色のオッドアイな『宝鍾マリン』と肩に掛かるぐらいの銀髪に童顔で緑色の瞳の女性『白銀ノエル』を見た。
「西の町で隠しダンジョンがあるじゃないですか」
「そうだな。挑戦したのか?」
「する前にマリンとノエルの巨乳っぷりが邪魔で隠しダンジョンの入り口すら行けれないぺこ」
「・・・・・ああ」
名指ししながら指を差す兎田ぺこら。俺でも狭かった隙間だ。それ以上に身体や胸が大きいプレイヤーは入ることはできない筈。
「つまりこの二人でも隠しダンジョンに入れる方法を教えてほしいと」
「そうなんですよ~。いや~大きいと色々と不便で大変ですよね~」
二つの豊かな双丘を強調する風に両腕で挟むように抱える宝鍾マリンは、髪の色が緑のボブで上におたんご、横髪(おくれ毛)が伸びたスタイル、赤い瞳の『潤羽るしあ』がイラっとした顔になったのを気付いていない・・・・・!
「オイコラ、それが無い者達を敵に回す発言は止めろ。・・・・・それなら体を小さくするスキルを取得してもらうか、別の方法で隠しダンジョンに入れる手伝いをするか、どっちがいい?」
「身体を小さくするスキルなんてあるんですか? それって時間が掛かりますか?」
「たった五分程度、少しの辛抱をすればいいだけだ」
「手伝いってどんな方法?」
「俺のスキルを使わせる程度だ。・・・そう言えばお前らは日本家屋のホームが欲しいのか?」
「ぺこらは欲しいかなー。でも何で?」
不思議そうに小首を傾げる兎田ぺこらに言い返す。
「第三の各町のダンジョンには日本家屋を手に入れる切っ掛けがあると前にも俺は言ったぞ。詳細は言わなかったが欲しいならある物を渡しておく」
「それが無いと手に入らない?」
「絶対にな」
「じゃあ、欲しいぺこよ。マリン達はどうするー?」
訊かれた四人は誰かが一人でもマイホームを手に入れられるなら、そのホームに住む体で答えた。なので兎田ぺこらに四つの食材アイテムをそれぞれどの町のダンジョンの奥で使うよう教える。
「それから西の町のダンジョンならボスモンスターは巨大なアメンボだ。弱点は火属性だから準備してから挑んどけ」
「え、アメンボ!? ぺこーら虫苦手なんだぺこ!!」
「えーとそのアメンボは強い?」
「広範囲攻撃してくるが、俺の防御力が圧倒的に高いからノーダメージである以上、宝鐘マリン達が負けることはない。あるとすればモンスターに怖がってろくに攻撃できない心と精神的の弱さだろう」
至極当然に断言する。
「因みに全員の職業は?」
「マリンは海賊を目指してるんで剣士とガンナーでーす」
「ぺこーらはテイマーと魔法使い!」
「ノエルは重戦士と格闘家だよ」
「私はエルフらしく弓と魔法使い」
「私も格闘家でネクロマンサーを目指してテイマーで遊んでるよ」
ダークカラーが強い黄色に白いメッシュが入った長髪をポニーテールにした肌が褐色、赤い瞳のエルフ『不知火フレア』。本人が言うにはハーフエルフらしい。潤羽るしあは不人気なネクロマンサーで遊ぶとは中々挑戦者だな。
「ネクロマンサーか。アンデッドやゴースト系のモンスターしかテイム、使役できない職業を目指すとはな。根気がいるぞ」
「そうだね。ネクロマンサーの従魔って、夜じゃないと捕まえられないかな?」
「この辺りはそうだな。それと人喰いの森ってエリアにいけばゴースト系のモンスターがいるからそこでテイムしてみるといい。五つ目の町より先まで進まないといけないがな」
「結構遠いんだ。しかも物騒な名前のエリア・・・・・」
「そうだな。だから幽霊屋敷みたいな建物があって、その中には入ればおばけ屋敷の感覚で驚いたり恐怖を感じさせられるぞ」
「そんな場所まであるの? 実際怖い?」
実際に体験しないと本当の怖さを身に染みないだろうが、怖い奴は怖いだろうな。
「人によっちゃあトラウマになる。なんせパーティで入った瞬間に全員が別の場所へバラバラにされて仲間と合流して脱出するまで、ゴースト系のモンスターに追いかけ回されながら屋敷内を移動しなくちゃならないからな」
「こわっ!?」
「でもホラー体験の企画をする場所としては丁度いいんじゃない? ハーデス先輩、他にも怖い場所ってあるー?」
「怖い場所・・・・・ひたすら闇の中を歩き続ける試練ならあるがどうだ? 一定以上の心音か声量を測る道具を身につけてゴールすればいいだけなんだが、成功率3%以外の試練は大体それだ」
「成功率3%の試練ってなに?」
「歌舞伎町みたいな街に異形系のNPCがたくさんいてな。五つの鍵を手に入れてクリアする条件なんだが、そのカギを手に入れるまでの過程が極めて難しいんだ。主に100回もホームランを打たないといけないバッティングセンターで挫折しているプレイヤーが後を絶たない。しかも機械が投げるボールはバットのような装備を一撃で破壊するとんでもない設定にされているから、ボールを打つには絶対に壊れない物でないといけない」
うわぁ・・・・・と漏れた声音にはドン引きが籠っていた。
「そんな試練、誰がクリアできたんですか?」
「俺だけ」
「先輩かい!」
「因みにその試練は闇の精霊がいる隠れ里の一つだ。月曜日の夜にしか行けないからな」
「闇の精霊・・・ハーデス先輩がテイムした綺麗な紫色の髪の女性の?」
不知火フレアに首肯する。
「勘違いさせないために訂正するが、俺がテイムした精霊達は神化した姿だ。きっとこれから会うだろう精霊達は進化前の姿は子供で、通常個体やユニーク個体関係なく進化を繰り返せば生産系に特化や攻撃スキルの両方が備わってくる。生産職の相棒に丁度いいからオススメだ」
「ネクロマンサーは・・・・・」
「残念ながら状態異常攻撃の攻撃しかできないかもしれない。スケルトンを進化させたらどんな固体になるか誰も知らない現状だ。テイマーでも捕まえられないからなー。それにネクロマンサーはテイマーとサモナーより不人気だし」
「ふぐっ」
あ、見えないダメージを与えてしまったようだ。
「それでもネクロマンサーを遊ぶなら、スケルトンかゴーストをテイムしたらレベル上げを手伝う。どんな風になるのか少し気になるし」
「うん・・・お願いします。あとそれからハーデス先輩はこれからどうする予定ですか?」
「思うが儘に遊ぼうと思っている。特に決まってはいない。他の開拓していない新大陸はしばらくいけないしな」
「じゃあ、るしあ達と一緒に隠しダンジョンに来てくれませんか?」
「西のだな? ダンジョンに限らず一度フィールドのボスモンスターを攻略したプレイヤーが攻略していないプレイヤー達のパーティーに交って戦えば、普段のボスモンスターより強くなってしまうし、助言しかしないぞ?」
それでもいいなら参加すると言葉を送ると、潤羽るしあを始め4人が構わないと肯定の言葉で返した。