バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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ルナマリアのクエスト

 

 

久し振りに砂漠へ訪れた。ノロワレの一件以来だから随分と久し振りな感覚で砂を踏み進める。その上、砂漠の国『ルナマリア』に来るとなるとな。この国のNPCからの依頼を受注できる専用施設に訪れると、プレイヤーは全くおらず閑古鳥が鳴いていた。掲示板に張り出されているクエスト用の紙を眺めてみたら・・・・・。

 

『レイドボス デスワーム1/0 デザートワーム15/0の撃破』

 

『スナネコの捕獲1/0』

 

『新たなオアシスの開拓』

 

『誰か女王を働かせる気にさせてほしい』

 

この4つしかなかった。過疎すぎでは? と思われるがどれも難易度が高く、初めて砂の国に来たプレイヤー達は一度は挑戦したのだろうが失敗に終わったり諦めたのかもしれないな。ていうか、女王を働かせる気にしてほしいってなんだよ。王座の間にいる大臣達の誰が依頼に出したのかよ? そこまでか、そこまでなのか女王?

 

「まぁそれはさておき、最初はネコの捕獲といこうかな。リアルじゃ砂漠の天使って二つ名があるネコだが、見つけるのは大変かもな」

 

ならば知っていそうなNPCがいる王宮へ足を運ぶ俺は、顔パスであっさりと中に入れて、王座の間へ案内してくれた。

 

「ほう、客人とはどれかと思えばいまではすっかり有名になっている英雄にして魔王ではないか元勇者よ。久方振りに会いに来たということは、妾と娘を両方とも夜のベッドの中で食らいに来たのだな?」

 

「スナネコの事を知りたくて」

 

「スナネコ・・・ああ、あの小動物か。ふむ・・・・・よもや、捕まえたいと思っておるのか?」

 

最初つまらなさそうな顔をしたが女王は話に乗ってくれた。

 

「そういう依頼を引き受けたからな。それからデスワームの討伐と新しいオアシスの開拓もな」

 

「ほう、砂漠に住む人間にとって天敵に等しいあの怪物もか。―――おい、地図を持って参れ」

 

女王が付近に突っ立っていた女従者に命令した。彼女が王座の間から出た後、間も置かずに戻ってきて俺の足元に大きな巻物を広げた。それはルナマリアを中心としてかなり広大な砂漠の地理と地形を具現化させた地図だった。転々と名前が刻まれている場所があって、『サンラク』と書かれた名前には黒くバツ印が捺されていた。

 

「ルナマリアから徒歩で向かえば一週間も掛かる行商人が集まるオアシスを中継地点の町として築き上げたその中間に砂漠の虫共の縄張り、砂漠葬送がある。そこに行けば虫共を見つけられるはずだ」

 

「スナネコは?」

 

「ウジ虫共を駆逐してくれるならば教えてやろう」

 

「わかった。教えてくれてありがとう。直ぐに討伐してくる」

 

「期待しているぞ」

 

やっぱりコミュニケーションは大事ですなぁー。他の奴らも見倣って遊んでいるだろうかね。

 

「まぁ、俺は俺で楽しむだけだ」

 

空を飛び、マグマの身体に巨翼を生やしたリヴァイアサンに変身して砂漠葬送という場所へ直行した。

 

「・・・・・今の見たか」

 

「空飛ぶ巨大なマグマの蛇つったらあのプレイヤーしかいねぇって」

 

「あんな姿で大々的に動いたってことは・・・・・」

 

「何か新発見、それに関する何かがこれから発掘するかされるかの瞬間だよなぁ・・・!」

 

「飛行アイテムで追いかけるぞ! あわよくば新発見した物をしばらく独占したい!」

 

十数分後―――。

 

代わり映えの無い砂色の世界から隆起している岩石、枯れ木や生物の白骨体しか見れない地上を上空から通り過ぎていたら、空気が変わった気がした。世界から音がなくなったように不自然な静けさだ。

 

「・・・・・」

 

その中で一匹、牛並みの大きさを誇って尻尾の先が燃え盛っている赤いオオトカゲ、鑑定したら『デザートリザード』が闊歩していた。進化できるならドラゴンになれるかな? とテイムしようか考えた矢先に俺の眼下に広がる砂漠から無数の巨大ミミズの化け物が顔を出して、デザートリザードに群がる形で押し寄せ一瞬で砂煙が巻き上がった。程なくして砂煙が収まると巨大ミミズの化け物とデザートリザードの姿がどちらも消失していた。

 

いやいや、おっかねぇな・・・まるで砂漠の掃除屋みたいじゃないかよ。だけどあのモンスター達を倒さないとダメなんだよな。

 

「ま、戦わないとクエストは失敗に終わるだけだ。やろうか! 【咆哮】!」

 

空気を震わせる雄叫びを上げた。するとどうだ、砂中に潜んでいたさっきの巨大ミミズの化け物『デザートワーム』が、討伐しなくてはいけない数の倍以上が半径400メートル以上も離れた位置から顔を出してきて、近くにいたデザートワームがすぐに槍のように尖った突起物が五つに分かれて開き、凶悪な牙が生え揃った口を剥き出しにして襲い掛かってきた! デザートワームの全長は25メートルってところか。中々の大きさだな。

 

「いいだろう。俺のスキルの使い捨ての兵士にするモンスターには丁度いい。来い! 俺の従魔達よ―――!」

 

地上に降り立った俺の周囲にオルト達が全員召喚されて、俺と一緒にデザートワームに突っ込んでいった。

 

 

「・・・・・やっと追いついたと思ったら、大怪獣同士の戦闘がおっぱじめていた」

 

「とんでもねぇ戦いをしていやがる。フェンリルがいるってことは白銀さんの従魔かあれ全部」

 

「あ、なんか一際デカい蛇みたいなモンスターが出て来たぞ」

 

「そのモンスターの身体に巻き付いて噛みつき出す白銀さんだな」

 

「なぁ、今からあそこに飛び込むことしねぇよな?」

 

「・・・・・か、帰ろうっか」

 

 

≪プレイヤーがレイドボス『葬送のデスワーム』を撃破しました。これによりシステムの一部が解放されます≫

 

 

ふぃー倒した倒した! 俺の敵ではないけど中々楽しかったな! しかも俺ごと潜ってどこに行くのかと思えばこんな場所だったし・・・・・ついでに新しい何かまで解放してしまうとはな。

 

「ま、それよりもこっちが大事だ。どんなユニーク装備、アイテムが入っているのやら」

 

久し振りに見る豪華な宝箱が俺の目の前に現れた。毒竜の時のように一人で倒したもんだからデスワームを倒した暁として複数のスキルも手に入った後でもこれだ。うきうきと宝箱に手を掛けていざオープンをしてみると、一つのスクロールのみで直ぐに使用してみれば・・・・・。

 

『スキル【サイレント】を取得しました』

 

 

【サイレント】

 

行動の全てが無音となり聴覚、気配に敏感な相手に気付かれなくなる

 

 

「・・・・・ほう? うん?」

 

フレンドコールが来た。誰かと相手の名前を見ればイッチョウだった。

 

「どーした?」

 

『どーしたじゃないんだけどハーデス君。またなんかやらかしたの?』

 

「失敬な。正規のクエストをしていただけだ。砂漠の国ルナマリアで受注できたクエストだぞ。俺が本当にしたい本命の方じゃないがな」

 

『砂漠の国で? 実際に何をしたかったんですか?』

 

「スナネコって猫を捕まえるだけのクエスト。これからそれをするから説明はまたな」

 

通信を切って一先ず人の姿になってからルナマリアの王宮に転移して戻った。

 

「―――見事、としか言えんな。さすがは妾達が認めし者だ。たった一人であの砂の世界の害虫共を本来の数より多く駆逐してくれるとは。そのおかげで過疎化、断絶していた商人の流通が復活できると言っても過言ではない」

 

「お褒めの言葉、光栄極まりないってだけ言っておこう」

 

「当然だ。女王の称賛の言葉を聞けて喜ばぬ者はこの世にいないのだからな。であるならばそなたには約束の報酬を授けよう」

 

女従者が砂漠の世界の地図をまた広げた。今度は女王が俺と地図を挟む位置で立ち、ある場所を指した。

 

「スナネコは警戒心が強い故に日が出ている時よりも月が隠れて時の方が活発的に動くそうだ。それはちょうど今夜であるから探してみるがいい」

 

と、そう言われたその通り月が出ない夜間の中に女王が差した場所でスナネコを探し出す。砂丘に寝そべってスナイパーの如く【サイレント】と【色彩化粧】を使って待っていると、小柄な動物が砂丘の下で小走りで動いているのが視界に入った。鑑定せずとも目標のスナネコだと分った瞬間に【テレポート】でスナネコの真上から現れ―――。

 

「おし、クエスト達成!」

 

納品するスナネコを確保できた。すぐに達成報告をしにルナマリアに戻った俺は依頼を受けた施設に訪れてスナネコを手放した。ついでに新たなオアシスの開拓も済ませてあるからこれで全てのクエストは達成した。あの女王を働かせる気にさせるクエストは引き受けないがな。

 

「さて、デスワーム達がいた場所の奥に改めて行く―――」

 

「白銀さん」

 

誰もいない筈の背後から女の声が聞こえた。聞き覚えある静かな声の方へ振り返ると髪をお団子のようにまとめてアップした女性プレイヤー―――KTKが背後に突っ立っていた。

 

「白銀さん」

 

KTKがずいっと顔を詰めてきた。

 

「いま・・・猫を捕まえていた?」

 

「それがクエストだからな」

 

「・・・・・猫を捕まえるクエスト、スナネコ?」

 

おいどうなっている。喋るたびにコイツから感じる圧が増しているような気がしてならないぞ・・・!

 

「そうだが、ここで会うのは奇遇だなKTK。お前もクエストをしに来たのか」

 

「・・・・・白銀さんが砂漠の国にいると知ったから。もしかしたら、あのクエストをしているかもしれないと思って来たら・・・・・白銀さん」

 

KTKが頭を勢いよく下げだした。

 

「お願いします。スナネコの現れる場所、ヒントでもいいから教えてください」

 

「ヒント、というかもう月が出ていない今夜中じゃないと見つけにくいらしいぞ」

 

「そう、なの?」

 

俺のみしか知らない情報だから訊き返すのは至極当然だ。KTKにパーティーの誘いをしたら、すぐに俺のパーティーに加入してきた。

 

「例え今夜中じゃなくても今の俺ならばスナネコを鑑定さえできれば100%居場所を特定できる」

 

「っ!」

 

「ということで行こうかスナネコをテイムしに」

 

「・・・よろしくお願いしますっ」

 

 

 

 

 

【にゃにゃにゃーん!】ネコ好きよ、ネコの魅力を語るにゃ! スレPART17【ラブリー!】

 

 

 

555:KTK

 

白銀さんのおかげで念願のスナネコがテイムで来た⊃□

 

 

556:早耳猫

 

ウソ本当に!? 存在だけは知らされてるけど実際に見たこともない見つけたこともなかったから一部のプレイヤーの間じゃ幻のネコって言われてるあのスナネコを!?

 

 

557:ニャラライズ

 

砂漠の天使、可愛いー!! いいなー!!

 

 

558:イケメンネコ

 

大将! どうやって見つけたのか教えてくれ!

 

 

559:ねうねう

 

きゃわいいー! 超きゃわいいー!

 

 

560:ニャムン

 

羨ましいー!!

 

 

561:メス豹

 

砂漠にネコが生きてるなんて自体信じられないのよね

 

 

562:母ネコ強し

 

朝と夜の温度差が激しいし、ネコが好きなエサが殆んどない環境だもんね。水だってどうやって確保してるんだって不思議に思うほどだよ

 

 

563:猫神様

 

大将、ヒントを!

 

 

564:KTK

 

白銀さんの情報だと、月が出ていない夜の時の方が活発的にスナネコが活動するみたい。それからスナネコは警戒心が強くて私一人でテイムしようとしたら、即座に逃げられちゃった。結構逃げ足が速いから白銀さんじゃないと絶対に見失う

 

 

565:早耳猫

 

白銀さんはどうやって捕まえたの?

 

 

567:KTK

 

スナネコの真上から奇襲した。白銀さんは無音のまま行動できる【サイレント】ってスキルと透明人間になれるスキル【色彩化粧】でスナネコを捕まえた。スキル抜きでも自力で捕まえられた

 

 

568:イケメンネコ

 

やっぱ凄いなあの人は。でもさぁ・・・・・

 

 

569:ニャラライズ

 

さ、参考にならない・・・・・!

 

 

570:ねうねう

 

うん、KTKでも捕まえられなかったなら私達も捕まえられないってことなのよね

 

 

571:メス豹

 

諦めるしかないのね。

 

 

572:猫神様

 

なんて残酷な・・・・・! 世の中は不公平で溢れてる!

 

 

573:死神・ハーデス

 

果たしてそうかな?

 

 

574:早耳猫

 

えっ!?

 

 

575:死神・ハーデス

 

KTKから更なる頼みを聞きし俺は彼女が親しいプレイヤーの分のスナネコを確保してやった! この魔物捕獲玉に閉じ込めたスナネコを欲しくば今からルナマリアに来るがいい!

 

 

576:イケメンネコ

 

う、嘘だろー!!?

 

 

577:ニャムン

 

今すぐ行きます!! 秒で行きますからぁー!!

 

 

578:ニャラライズ

 

いよっしゃー!! 幻の猫ゲットだぜぇー!

 

 

579:ねうねう

 

ありがとうございまーす!!

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