バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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ニューライブとスライム(1)

ログインする度に闇神の木像を彫っていた時間はようやく終わり、完成したその日の内に闇神がいる神殿へ訪問した。供え物として用意した木像を見せると。

 

≪我が眷属は主神想いのようだな。我を模した物を献上してくれるとは。が、いらん≫

 

「気に入らなかったか」

 

≪違う。この木は樹母神に属する精霊神の一部。それが様々な姿形、作り手の想い次第で恩恵が決まるものだ。故に我の姿を神木で創ったならば我の眷属として傍らに置くのだ。そうすればその場は我の領域の一部となる≫

 

「そうか。それなら他の創世神達の木像もそうれば主神の言葉通りになるのだな」

 

≪敏いな。だが、そのようなことをしたらどうなるかわかっておるな?≫

 

「同じ場に他の創世神達の像があれば領域の干渉が起こる、私は闇神の眷属として他の像は創ろうとしても同じ場に置くことはしないさ」

 

≪わかっているならよい。しかしその像の代わりに神のスープとやらを用意してもらおうか≫

 

「お安いご用だ。それとこの闇神の像の事で頼みたいことがある主神」

 

打ち明けた俺の頼みを心優しく受け入れて、木肌色の闇神の像が本人と同じ色に染めてくれた。それをマイホームの広間の台に設置したら。

 

「「・・・・・」」

 

あのラプラスとアカーシャ、吸血鬼三姉妹、ベンニーアが闇神の像の前で祈りを捧げる時間が多くなった。訊けば曰く―――。

 

「魔王は一部でも闇神の力の恩恵を得る。が、本来は信仰を捧げることはせずともよいのだが」

 

「こんな立派な闇神の像があるなら捧げない方が罰当りだわ」

 

「まるでそこに闇神がいるかのようなオーラを放っているし、何より私達にも影響を与えているのよね」

 

「その通りだよ」

 

その影響とは普段より力が漲ってくるらしい。闇に属する彼女達以外の従魔達は影響は受けなくとも闇神のオーラは感じるようだ。それでも臆さずいつも通り生活できる辺り問題はないみたいで安心した。

 

「そうだラプラス。教えて欲しいことがあるんたが」

 

「なんだね」

 

「巨人の国ってどこなんだ? 世界地図にも記されてないから」

 

「ああ、それはそうだろ。元々存在している大陸に住んでいるのだからな。巨人の国は北極に存在するぞ」

 

北極かい! いや待てよ、北極は新大陸だろうからいま向かっても入れないよな。その辺りどうなんだろうか運営? 祈りを捧げる事を止めて解散した彼女達を見送り、新たな木像を彫る俺のところに・・・・・。

 

「ハーデスさん」

 

「ん?」

 

ときのそらの俺を呼びぶ声が聞こえた。振り返ると一人だけでなくさくらみこ達もいて、手の中に長方形の土塊を持っていた。それはつまりだ。

 

「レベルⅩになったか」

 

「やっとだよー。泥団子を1000個作る耐久配信をしながら雑談してても苦労したよ」

 

「それでも何か苦労しないと取得できないスキルは、当然のように設定されてるからしょうがない」

 

「じゃあ、ハーデスさんが一番苦労した事って?」

 

「決められたダンスを24時間経つまでずっと繰り返して踊り続けないといけなかったことだな」

 

「「うわぁ・・・・・」」

 

「「キツッ・・・・・」」

 

「それは控えめに言ってもヤバいですね・・・・・」

 

今となっては懐かしい思い出でもある。二度とやる気は起きもしないがな!!!

 

「それと比べたら他は苦労のうちには入らないもんさ」

 

「ほかに苦労した事ってあります?」

 

「色々あるな。モンスターとの戦いとかスキルの取得とか」

 

「じゃあ逆に楽しかった事ってあります?」

 

俺から根掘り葉掘り聞こうとしてか、俺の横で腰を落とすときのそら達。

 

「楽しかった事は、やっぱりイベントとかギルドメンバーと冒険、モンスターとの戦闘だろうな。たまに【蒼龍の聖剣】独自の祭りをすることもな」

 

「独自の祭り?」

 

「基本的に俺が祭りを行うための下準備をするが、ギルドメンバーにも手伝ってもらってやるんだギルドホームでな」

 

「そんなこともできるんだこのゲームって!?」

 

鳶色の目を丸くして驚嘆の声をあげるさくらみこに向かって首肯する。

 

「前回は俺が独自で色々集めたアイテムや装備を探す宝探しをしたから、次は何しようか考えてるところだ」

 

「それっていつ始めるとか決まってる?」

 

「俺がするぞーってギルドメンバーに伝えてから準備を始める。まぁ、大体は新大陸に向かう直前が多い。他は祭りじゃなくてもパーティーをしたいって希望があるならやるぞ。ただしギルドメンバー全員で何かした後でな。強いレイドボスとか新大陸の攻略を終えた時とか」

 

「なるほどねー。因みに新大陸ってどこにあるの?」

 

「俺達がいる大陸は旧大陸で新大陸は海の向こう側だ。つまり第12エリアの港町まで進み、船を確保しない限りは新大陸の挑戦なんてできない話だ。ま、船で行かずとも新大陸へ向かう方法はあるがな」

 

どうやって? と案の定訊いてきた。

 

「俺が設置した世界の神社ってのが天空の城にある。金を払えば全プレイヤーが1度でも足を運んだことあるエリアならまだ行ったことがない町のエリアを跨いで行くことができる。ただし、そのエリアから他のエリアへ行くことはできないから帰る時も神社に金を払って戻らないとダメだ。転移陣でも戻ることはできるぞ。でも結局は自分の足で地道に進んで到達しないといけないがな」

 

「それって便利そうだけど、その神社を利用してるプレイヤーってもしかしなくてもたくさんいるよね」

 

「ほぼ全プレイヤーが新大陸に向かうために利用してるな。だから自分達が帰る時に神社を利用するなら軽く30分以上は掛かる時もある。仕舞いには1時間は当たり前の時もな」

 

そんなに、と、脱帽する声が漏れたのを聞こえた。。でも分からなくはない心理的な感想だ。誰でも利用できるなら誰だって使いたいし、早く行ってみたいもんな。

 

「じゃあ私達も新大陸ってエリアに行く時はその神社を利用しないとダメですか?」

 

「【蒼龍の聖剣】はちょっと違う。正確に言えば第1陣と2陣のプレイヤーの俺達が、だ。第3陣のプレイヤーのときのそら達も別の手段の一つなら神社を利用せずとも新大陸へ向かうことができるし旧大陸に戻ることもできる。でも、それ以外の手段は持ってないからできないがな」

 

「それってなんですか?」

 

スキル【次元跳躍】を彼女達に教える。それは現実でも使えたらとても便利な物だという感想と感嘆の声を頂戴した。

 

「そのスキルの取得方法は?」

 

「月に向かうだけだ」

 

「月って・・・・・いや無理でしょ。このゲームに宇宙船おろか宇宙ロケットなんて規模の乗り物がないでしょ?」

 

星街すいせいの否定的な言葉に同感とさくらみこが頷き、他の三人は微妙な顔で俺を見てくるが・・・・・そんな彼女達に俺は見返しながら言いきった。

 

「あるぞ。なんならある鍛治師のプレイヤーUFOを創っては月まで向かえたらしいぞ」

 

「「「「「あるの!? 創れるの!?」」」」」

 

「あ、先輩達。なんの話をしてるの?」

 

「何に驚いてるんですかねー?」

 

新たに顔を出してきた常闇トワ、魔乃アロエの二人がときのそら達の反応の理由を知らないので不思議そうに見回した後、俺に視線を向けてきた。

 

「先輩、それ木像を創ってるんですか?」

 

「白銀ノエルの要望で大空スバルの木像をな。大空スバルからは許可をもらってるぞ」

 

「それって生産職のスキルで?」

 

「リアルの技術だ。物を創るのは好きでな。ある程度の作業は経験している。で、二人は休憩か?」

 

常闇トワと魔乃アロエに質問した答えがこうだった。

 

「レベルを上げたいんですけど。どこか効率よくレベル上げができる場所ってありますか?」

 

「我輩も冥界の猫ちゃんを孵化させるためにたくさんの経験値がほしくて」

 

どっちも経験値欲しさで俺に助言を求めに来たものだった。

 

「あるぞ。ただそれはエキストラクエスト通称EXクエストって通常のクエストより難しいクエストをしなくちゃならないがどうする」

 

「どんな風に難しいの?」

 

「指定された数と種類のモンスターを倒すだけだ」

 

「どのぐらい?」

 

「種類は三つ。数は1000匹以上だ。始めて見つけた時、このクエストを挑んだプレイヤー達が屍と化するほど面倒だったぞ。今は効率のいい手段を見つけたからそこまで面倒ではなくなったらしいが」

 

どうする? と、俺の提案に2人は顔を見合わせた時、ときのそら達も便乗したいと言い出してきた。

 

「倒すモンスターってどんなの?」

 

「物理無効の特性があるスライムだ。中にはメタルスライム、そのビッグとキングもいるから1000匹を倒すよりも難しいぞ」

 

「ビッグとキングのメタルスライム!? ちょっとゲマズに教えないと!」

 

「そんなモンスターがこのゲームに実在していたなんてね。そのスライムはどこにいるの?」

 

「ケットシー王国。猫科の動物NPCばかりいる猫が好きな人間にとって猫の楽園的な場所にだ」

 

「「「「行きたい!」」」」

 

と、言い出すときのそら達が他のニューライブメンバーも声を掛けたからほぼ全員を案内したことで彼女達はケットシー王国に入国したのだった。その際・・・・・。

 

「すごい、本当に猫ばかりで可愛い!」

 

「なんか死んでるプレイヤーがたくさんいるんだけどナニアレ」

 

色々と目撃してしまった彼女達を率いて、件のクエストを受けられるNPC猫を紹介してEXクエストをさせた。

 

「先輩、メタルスライムはどこにいるんですか?」

 

「海中に沈んでいる洞窟の中だ。順番は関係ないがまずはスライムとビッグスライムを倒そう」

 

「この辺りにいるんですか?」

 

「それがそうだったら、あそこで死屍累々の如く倒れているプレイヤー達がいなかっただろうな。今回受けた討伐対象のスライムは陸より海にいる方が遥かに多い。よって海でスライムを集めないとならない。その為にケットシー王国の船で置きに行く必要があるんだが・・・・・」

 

その船もとい漁船は一隻しかなく、すでにその船は出航していて俺達は乗り遅れたことを伝える。

 

「よって俺達はギルドの船で海に行くぞ」

 

水瓏を桟橋の横に出して船に乗り込むことはせず、召喚したバハムートの背中に乗ってもらい沖へと目指した。

 

「空を飛ぶクジラって凄いねー!」

 

「私が知っているクジラより綺麗だわ」

 

「あの神々しい輪っかは何かしら?」

 

バハムートの背の上ではしゃいでいる彼女達の声を聞きながら【統率者】を使ってニューライブにスキルを一時的に付与していく。ある程度ケットシー王国から離れた沖まで進むとバハムートに停まって着水してもらう。

 

「それじゃ、これからスライムを大量に捕獲する前に確認してもらいたいことがある。まずは全員ステータスでスキルを確認してほしい」

 

「スキル? ・・・・・え、なにこれ、いつの間に見覚えのないスキルが大量にあるんだけど」

 

「ステータスの方もヤバイけど!?」

 

「これ、先輩がなにかしたの?」

 

驚く彼女達を気にせず要点だけを言う。

 

「スキル【統率者】でニューライブに俺のステータスとスキルを一部を除いて付与しておいた。特に【海神の加護】で長時間も海の中を活動できるようにしたが、お互い意思疎通がチャットしかできなくなる。呼吸に関しては慣れてもらうしかないけど海の中に居続ければ自然と気にしなくなるはずだ」

 

「本当に大丈夫? 溺れたりしない? 苦しくない?」

 

「生身の身体ではない以上、苦しく感じるのは精神的な方だ。取り敢えず海の中を活動できる練習をしようか。がうる・ぐらは既に経験しているからみんなに教える側で」

 

「わかった! じゃあみんな、海の中に入ろう! ついて来て!」

 

勇ましく頭から海へ飛び込むがうる・ぐらの言動に他のニューライブのメンバーはバハムートの背中、鰭から海の中に飛び込み不慣れな水中の活動を俺とがうる・ぐらから学んで練習する。

 

―――10分後。

 

水中で鼻や口からの呼吸する抵抗を無くし、むしろ天然の水族館の光景を楽しめるようになったニューライブ。それができた頃合いを見て、大量のオリハルコンで『宇宙の星塊』の檻の中にスライムを誘き寄せる準備に入った。程なくしてどこからともなくスライムの大群が『宇宙の星塊』の檻の中のオリハルコンを求めて自ら出入り口に入ってきた。それがぎゅうぎゅうに詰まるまで見守り、出入り口を封鎖すればチャットで全員にバハムートの背中に戻るよう促した。ニューライブがその指示に従って海中からいなくなったのを見計らい、檻に入れなかったスライムごと【海竜神】でリヴァイアサンの姿に変身した俺が檻を咥えて海面に出てケットシー王国へ戻る。

 

「ほわぁあああああああああ!?」

 

「で、でかいモンスター!?」

 

「でも、先輩の名前が浮かんでるよ?」

 

「ま、まさか・・・先輩なの?」

 

「クジラも大きなモンスターに着いて行っちゃうしそうかも・・・・・」

 

ニューライブが驚く姿になっている俺が指示を出さなくともバハムートが踵を返して追従してくる。ケットシー王国に戻った俺が檻を置く姿にバハムートから降りたニューライブから問われた。

 

「あの先輩だよね? モンスターになれるんですか?」

 

「一日に一回のみモンスターに変身が出来るスキルだ。装備を一度破壊しないといけないリスクはあるがな」

 

「そんなスキルがあるゲームだったんだ。モンスターに変身できると強い?」

 

「弱くはないよ。それにこのスキルではなくともテイマーならあるアイテムを手に入れたら、捕まえた自分のモンスターの姿になれるぞ」

 

元の姿に戻ると信じられないような目で見て来るニューライブの目の前で【至高の堕天使】の姿となり、海を氷の大地とドームに作り変えたところ。

 

「あ、あのぉ白銀さん・・・・・」

 

ギルドメンバーではない神獣の眷属のプレイヤーが話しかけてきた。そのプレイヤーの周りには数多くのプレイヤー、死屍累々の光景を作っていた主なプレイヤー達もいた。

 

「俺達にもスライムのお裾分け、お願いできませんかね・・・・・」

 

「頼みます! スライムのジェルはもちろんあげますので・・・・・!」

 

「おなしゃす白銀様!」

 

あのEXクエストをしているプレイヤー達であろうが、心が折れかけている手前であるのがもはや見慣れているから察してしまう。拒絶すれば絶望必須で心が折れるだろう・・・見てみたくはあるが恨まれたくない。

 

「いいぞ」

 

「「「「「ありがとうございます!!!」」」」」

 

俺に向かって頭を下げて感謝の意を示したプレイヤー達を見て、心配そうな顔でときのそらから言われた。

 

「あの、他のプレイヤーの人達もスライムを倒させて大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だ。これから始まる戦いはレイド戦に発展して、プレイヤーが何人いようとレイドボスを倒せばスライムとビッグスライムの討伐が達成できるになる。それに私のメンバーに迷惑を掛ける真似はしないよな?」

 

他のプレイヤーに問えば何度も頷き返してきた。

 

「もちろんです!」

 

「絶対に迷惑掛けません!」

 

「俺達もEXクエストを達成したいだけなんで!」

 

「白銀さんの恩情を無下にする事は絶対にしません!」

 

と、その上でこう言うのだから信用する。檻を氷のドームへ蹴り飛ばし、全員を引き連れて皆の目の前で捕まえたスライム達をHP1まで減らしてみせた。

 

「それじゃあスライムを解放するから味方同士の攻撃には気を付けろ。一気に溢れ出るからそれも含めてな」

 

一言告げてから『宇宙の星塊』の檻の扉を解き放ち、大量のスライムがときのそら達に向かってポップコーンみたく飛び出た。

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