鯉の王に与える餌を選別・模索しつつ俺はリベンジを果たすべく麒麟と黄龍に頼み天界へ連れていってもらった。天界の国を観光するよりも歯牙にも掛けれなかった巨人族へのお礼参りをする熱意を燃やしつつ、巨人族がいるエリアに降ろしてもらった。
『着いたぞ。ここでいいのか?』
「ありがとう。巻き込んでしまうから離れて見ていてくれ」
20mは優にある武装した巨人族のモンスターの足元(爪先)の前に立った瞬間、即戦闘と言わんばかりにあげた片足で真っ暗な影に覆われた俺に小さな虫を踏み潰さんと足を下ろした。
「―――あの時は、俺の防御力が500レベルの相手にどこまで通じるのか試したくて敢えて攻撃を受けたが、今回は前回のようにすることができなくなってしまったからな―――だからすぐに終わらせる」
踏み潰される前に地上から跳躍して懐に飛び込み、巨人の目と鼻の先まで飛び上がって力強くそして硬く握って構えた拳を巨人の死角である顎下から打ち上げた。
ゴンッ!!!
巨人の身に起きた鈍重な轟音と共に200万以上のSTRの威力は巨人の巨体を数秒の間だけ地面から浮かせ、また数秒後には仰向けに倒した。
「よし次! どんどん倒しまくってやる!」
たったの一撃でパリンとポリゴンの光となって消える巨人を背に意気込む。そうする為だけにテイマーではなく格闘家の職業にチェンジしてセットしたからな。って、おお・・・・・1体倒しただけでレベルが一気に上がった! 100体まで倒したらどれだけレベルが上がってるんだろう?
『とはいえ、かなり奥まで来てしまったな。もはや神の領域より越えたこの場は我々も知らぬ未知の領域』
『気を付けてくださいね。天界に住まう彼等の強さは巨人並みかそれ以上です』
待って? 巨人だけでもレベル500なのにまだそれ以上強い奴がいるの? それに今更そんなこと言わないでくれるか?
「そもそも天界に巨人族がいるのは?」
『我々も分かりません。神が生み出したのか、それとも下界から登って移住した人間の祖なのではないかと憶測しておりますが』
「下界から登ってきた? どうやって?」
『今でも名残として残っているが、天界まで伸びていたかもしれない巨大な植物の木が下界にあり、途中で折れてるのだ』
そうなん・・・・・あれ、その話は前にも聞いたことあるような。
「仮に地上から人間が天界に移り住んでも巨人になるほどのことはならないよな?」
『ないと思いたいのですが、天界には神しか食べられない様々な食材があります。その中で食べ続けることで身体が巨大化してしまう食材がある可能性も否定できません』
「神から食材を奪えるのか?」
『それは難しいと思うが天界は広い、いや広すぎると言ってもいい。天界の最果てまで神が足を運んだとも思えない。ならば、神が知らぬ場所に食材がありそこに巨人になるまで地上から登ってきた人間達が居座れば奪わずにいられるはず』
そういうもんかね。ま、巨人の歴史はどうでもいいとして続けよう。巨人族に対する死闘を。
運営side
「ちょ―――白銀さーん!?」
「ああ、いつかこうなる日が来ると思っていたっす」
「全プレイヤーが最後に訪れさせるはずだった天界のモンスターをワンパンで倒されまくってますね」
「NWO最高にして最強レベル500に設定したモンスターが赤子の手をひねるようにぃぃぃぃぃぃ!!!」
「・・・・・これ、もっとレベルの上限を上げた方がいいっすよね」
「天界で終わりだなんて思われてはいけませんからね」
「でも、宇宙まで行き来できるプレイヤーっすよ。そこの隠しエリアまで見つけてしまったっすし」
「他の新世界、新大陸はまだ未攻略だから時間は稼げるが・・・・・白銀さんを弱体化するギミックとモンスター・NPCの強さをもっと上げないといけないでしょうね」
「他のプレイヤーからクレームが来ないようやりすぎないようにっすね」
「そんなっ、巨人族の王城のところまで、待って待って! もうタイラントキング君のHPはゼロよー!」
「「うわ、なんとかしないと・・・・・」」
―――3時間後
広大なエリアから巨人を見つけるや否や、口にした言葉通り殴り倒しまくるとユグドラシルより何百倍も大きい樹木に石造りの巨城を見つけ、侵入者として巨人族達に襲われようと全て返り討ちにし、城の中にいたレイドボスの巨人とも戦いを繰り広げた。さすがにワンパンで勝てる相手ではない上に、一定時間の無敵+超強化する巨人の王に苦戦を強いられたもの辛勝の結果で果たした。
「やっと倒したー! あー、疲れたぁー!」
打破された巨人の王が遺したデカすぎる玉座に寝転がり、これまで手に入れた物を改めて確認した。
称号:『巨人族の天敵』
効果:巨人族に対して戦闘中のみ全ステータスが十倍になる。
取得条件:単独でレベルが500以下のまま巨人族を100体倒す。
称号:逆襲者
効果:プレイヤーを一度倒した戦闘相手のみHP、MP以外のステータスが戦闘時1.5倍になる。
取得条件:プレイヤーを一度倒した戦闘相手を100体倒す。
【ワンパン】
効果:プレイヤーのSTRが戦闘相手のレベル、HP、MPを含めた全ステータスの総合数値より上回っている場合、1日10回だけ相手を即死させることができる。
取得条件:スキル【破壊王】称号『破壊神』を所持したままレベル500以上のモンスターを100体一撃で倒す
『タイラントの王冠』
HP1500 MP1100
【STR1500】
【VIT1300】
【AGI1200】
【DEX1150】
【INT1000】
【侵撃の巨人】
効果:プレイヤーが倒した巨人族を召喚して意のままに操ることができる
『豆の種』
効果:天界の豆の種。植えると天界まで伸びる巨大な木にへと成長する
「ははは・・・・・これまた普通のプレイじゃあ絶対に手に入らん称号とスキルだ」
でもまぁ、これ等は限定的な強さだ。一度敗北した相手でないと、俺よりレベルが高くないとどれもこれも発揮しない地味に使い難い称号だ。【ワンパン】は規制された【悪食】版で、もう一つ最強で最凶のスキルが増えた感じだな。
『見事だな』
『もはやあなたに敵わない存在は創造神以外いないでしょう』
「闇神の眷属としてこれぐらいはできないとな」
≪死神・ハーデスの活躍ぶりに絶賛と称賛の言葉を送り、闇神が最上級の褒美としてスキル【領域展開・闇神の神殿】を授与しました≫
【領域展開・闇神の神殿】
効果:MPを消費することで一日に一度のみ解除するまで宇宙を展開する。また同エリアにいる闇神の眷属以外のプレイヤーは一定時間行動不能となる
闇神からご褒美をもらえたー。しかも【無重力】の上位互換かもしれないスキルだ。ベイダー達の真価が発揮できそうだ。
『英雄よ。これからどうする』
「当然、まだまだ探索を続けるぞ」
『まだまだ元気ですね。』
数時間後・・・・・。
「ん? 誰だ?」
天界しか手に入らないアイテムを集めつつ巨人族以外のモンスターを探し回って、いま巨人より大きい八本足の馬モンスターを倒し終えたところでコールが入った。通信を繋げれば開口一番に女性の声が聞こえ出した。
「白銀さん。今大丈夫ですか? お願いがあるんですが」
「ん、いま一狩り終えたところだ、願いってなんだふーか」
料理人のふーかからであった。彼女の頼みとは食材関連かな。
「ある食材が必要になって、白銀さんならあるかなーって。ファーマーのみんなに聞いても持っていなくて」
「どんな食材なんだ」
「金の卵です」
ああ、それか。
「あるぞ数は少ないけど」
「本当に!? 参考に教えてほしいんですけどどうやって手にいれたんですか?」
「教えてもいいけど途中から参考にはならんぞ」
「つまり途中までなら私でもできるんですね? 大丈夫です!」
それなら直接見聞させてやると俺の日本家屋のマイホームに来てもらうよう指示をした。天界の観光はこれで打ち切りだな。麒麟と黄龍に頼んで下界に戻らせてもらった。マイホームに戻り玄関から出ると、待ち人が来るまで待つつもりだった件のプレイヤーが【次元跳躍】で転移していたのか既にいて、軽く挨拶を済ませ金の卵を産む秘訣の場所へ案内した。
「ここがそうだ」
「広っ! まさか牧場!?」
「そうだ。牧場を購入すると畜産業が可能になるんだ」
「へぇー・・・・・私は料理人だから牧場を買うことも牛や豚なんて育てることはしないから、こんなこともできるなんて知らなかった。牧場を買う時ってマイホームと同じ感じで?」
「グレードが高いほど購入できる家畜の数と容量が多くなるし、マイホームと一体化にすることもできるんだ」
「家畜の餌は?」
「自分で賄えるかNPCから買うことで食べさせる。で、どーやら家畜の動物NPCにも好感度があるようでな。それが高いほど良質の乳や毛皮、卵が手に入るようになってる」
コケッコーが暮らしている納屋に案内すると、大量にいるはずの白い鶏のモンスターがおらず、代わりに藁の上に白い卵に交じって金色の卵がちらほらと放置されている。それをせっせと集めているのが鳳凰・・・・・なんか、前より卵の数が多くね?
「・・・・・鶏?」
「そう思えても仕方ない風貌だが、神獣の鳳凰だぞ」
「神獣、鳳凰?」
『む? もう帰ってきたのか英雄よ。成果はどうであった』
鶏みたく歩み寄ってくる鳳に集めたひとつの藁の材料をインベントリから出した。
「リベンジも果たしてこの通りだ。採取できるものは集めたぞ」
『おお、意図せず手に入れてくれたか。さすがではないか。天界の藁で敷けばあの子供もさらに住み心地がよくなるだろう』
『うむ、確かにな』
凰も話に交ざって俺からも藁の材料を抱え持つ鳳が指摘する。
「ところで質問なんだが、いま見えてる卵の数が前より多くなってないか?」
『我が子供達が食してる餌の栄養が豊富すぎるからな』
『卵を産む身体にもその影響が出ているらしく、以前より身体が逞しくなっているぞ』
マジか。俺達の畑の作物にはそこまでの影響力があるのか。
『だからか、たまに金の卵から孵化した子供が金色の姿で産まれているぞ』
『しかも雌雄揃ってだ。その者等が産んだ卵も確実に金の卵となるし、極稀としてたった一つ虹色の卵も産んだ』
虹色の卵? ふーかと揃って聞き返してしまい、今もあるのかと聞けば鳳凰が視線を奥の隅っこの方に向け、二羽の黄金鶏もといコケッコーが座っていた。
『英雄に虹色の卵を渡すべきなのだが、許してくれるか?』
「ん、孵化したら教えてくれよ」
『感謝する。代わりといってなんだが金の卵を受け取ってほしい』
ふーかが求めていたアイテムを受け取り、鳳凰の目の前で譲渡した。
「数は足りるか?」
「ばっちり! ありがとう白銀さん。おかげで助かったよ、これで新しい料理が作れますよ」
「それでどんな料理を作るんだ?」
「クエストでね。最高の玉子料理を作ることになってるの。でもそれには金の卵が必要でさー、どうやって手に入るんだー! って無茶苦茶過ぎるクエストを受けて後悔真っ只中だったんだよ」
このゲームの中では見聞したことがないアイテムなのは間違いないな。
「しかし玉子料理か。作るにしても玉子料理の種類は多いから悩むな」
「そうなんですよねー。白銀さんなら何にしますか?」
「シンプルに卵焼きだろうな。他の味付けを一切入れず玉子の味のみ味わってもらいたいから」
「なるほど・・・・・玉子の味のみをですね、参考にしてみます!」
いや、しなくていいから。それで失敗したらすごく申し訳ない、っておおーい、もういなくなりやがった! たくっ、失敗して後悔しても知らないぞ俺は。