天界で得たアイテムを整理し終えた後はのんびりと寛ぐゆとりの時間を堪能せず木像を彫っていたところ。
「あ、先輩じゃないですかー」
「火威青か」
黒髪の女性だけでなく小柄で金の長髪の女性「音乃瀬奏」と茶髪のセミロングの女性「一条莉々華」、体つきが華奢な白髪の女性「轟はじめ」に黒と白の髪を伸ばす女性「儒烏風亭らでん」―――ReGLOSSメンバーが俺がいる居間を通り過ぎようとしたが、火威青が足を運ぶ先を変えて居間に入ったので他の4人も続いて追従した。
「久し振り、ゲーム楽しんでいるか?」
「はい! 順調にエリアを進んでいますよ。もうすぐ7エリアに辿り着きそうです」
「ん、そこまで進んでいるとはさすがだな。ここに来たということは今から休憩か?」
「ううん、ログアウトするんだー」
「リアルの方でお仕事があるので」
「らでんはしばしここで休憩をしにきました。もしお暇であればわっちとお話をしませんか?」
火威青もログアウトすると儒烏風亭らでんを残す4人は俺に一言を残して居間を後にした。
「さて、何を話そうか儒烏風亭らでん」
「では訊きたいことが一つ。先輩は文化と芸術はお好きですか?」
ただ話すだけではなく用意した俺と彼女の分の茶菓子をつまみながら会話の花を咲かせることにした。
「好きだぞ。現地の聖地へ旅行して回ったほどだ。特に好きなのは歴史と神話だな」
「おお、そうなんですか! 神話の方は全然疎くてわかないのですが同好の者がいて嬉しいです! ではでは芸術について語り合ってくれませんか?」
「構わないぞ。和と洋、どっちがいい?」
「最初は和の方で!」
嬉しそうに声を弾ませる儒烏風亭らでんとしばしば問題を出し合って答え合わせする。彼女が子供みたいに無邪気にはしゃぐ一面を窺わせて、文化と芸術の話題の花を咲かせる日が来るとは思わなかった俺は自身の知識と情報の棚を存分に引き出して儒烏風亭らでんを圧倒させた。
「先輩って、自分で芸術を生み出すこともできるんですか?」
「木像や人形、色んな物を作ることはできるが。大空スバルの木像を作ったばかりだし」
「人形・・・・・では、○○○○プ〇〇の人形を作ることが?」
「悪い、見たことも聞いたこともない。リアルで調べたら作れるはずだ。欲しいのかこのゲームの中でも」
「欲しいです!」
力強く肯定した儒烏風亭らでん。その後、夕餉の時間が差し掛かったことも含め後日完成したら連絡すると伝え有言実行とログアウトした。
「オリハルコンゴーレムの居場所を教えてからどうだ?」
「それがね・・・・・」
夕餉中に瑠海が語る。真実の鏡で得た情報通りの第10エリアのある場所に辿り着いたまではよかったのだが、色んな鉱物系のモンスターと遭遇するも目的のゴーレムが現れず神匠への道は苦難中であると。
「ドワルティアの書庫を調べ尽くしてもオリハルコンゴーレムの情報は無かったし、あの神匠ドワーフにヒントを教えてもらおうとしても取り合ってくれなくて、寧ろドワーフの心の友を見倣えって言われたの」
「・・・・・」
俺を見倣え、その単語から得られるユーミルの言葉の意味を考える俺は、酷ではないか? いや、これが当然なのか? と自問自答するその様子に瑠海が察した。
「何か気付けた?」
「多分、単独で長時間もしないとオリハルコンゴーレムは現れないんじゃないかな~って」
「一人で何時間も?」
「俺は大体そうやっているから多分な。それかユーミルに新種の鉱物をプレゼントするかだ。いや、これはないか。ただの好感度を上げるだけだし」
瑠海は俺の意見に耳を傾け、何時もしてる俺のソロプレイこそが神匠の鍵かもしれないと確信に近い信用をしてくれる。が、全部が全部正しいわけでないから依存しないでもらいたい。
「あなただったらどうする? オリハルコンゴーレムを探す時」
「俺だったら? オルトとヒムカ、ドリモを連れてオリハルコンゴーレムが出るエリアに向かうとして、そのエリアを調べても何もなかった、分からなかったら遭遇するゴーレムを長時間も片っ端に倒すかだな」
「片っ端に倒すって、どのぐらい?」
「100は当たり前。しかも出現するゴーレム全種」
璃花から問われた質問にそう答えた。あくまで予想だから違う可能性は大いにある。が、仮にそうだった場合は確かに全種類のゴーレムを100ずつ倒さないと現れないならばかなり苦労する。その苦労の度合いは俺が何時もしている。ユーミルが言っていた俺を見倣えとはそれを指してるのかもしれない。
「因みにだけれど、王様なら何時間でそこまで倒せそう?」
「何種類いるかによるなー。ユニークゴーレムから手に入る電磁鉱石を20個も集めるまで2時間以上掛かった上に、そのユニークゴーレムが現れるまで10分以上待ったほどだぞ。あと南極でログハウスの修繕に使うクエストアイテムは特定の武器やアイテムじゃないとスキルや他の武器で倒しても絶対に手に入らなかった。これらを考慮したら1日じゃ足りない時間になるかもな。『石の上にも3年』って諺があるぐらいだし、3年じゃなくて3日必要だと心掛けておいた方がいいかもしれないぞ」
3日・・・・・。瑠海とセレーネは神匠に至る手段、方法は簡単ではないと思っていても難しさと苦労、労力を計りきれていなかっただろうな。
「俺からも聞いていいか? 現れるゴーレムは二人でも倒せるレベルか?」
「弱点は同じだから問題なく倒せるよ。防御力に助けられてダメージは0だし」
「なるほど。そういうことなら肉体的でなくて精神的にキツそうだな」
「予想が正しかったらね。アドバイスありがとう。さっそく試してみるわ」
瑠海がリベンジを試みるならば予想の3日後までゴーレムと戦い明け暮れるだろう。瞳にチャレンジ精神に燃える火が孕んでいるからな。その間、俺は件の人形の諸々も含めて調べ把握しなくてはな。
翌日・・・・・。
リアルで一度自身の手で作成したら、次はゲームの中で手頃な大きさの人形を作り始め―――。
「完成したぞー。これで合ってるか?」
「合っております! うわー! ありがとうございますー!」
可愛い人形を掲げてその場でくるくると狂喜のあまり小躍りし出す儒烏風亭らでんだった。それから常に人形を抱き締めて嬉しいそうに笑むので作った甲斐はあったと胸がほっこりした。
「コラー! 摘まみ食いしちゃダメだって、返すんだー!!」
何やら畑の方で騒がしい。儒烏風亭らでんも不思議そうに声が聞こえた方へ向けていた顔を、俺に切り替えて振り向いた。
「どちら様ですか?」
「テイムしたモンスターだ。一緒に来るか?」
誘うと頷いたので共に赴いた。畑の方へ足を運ぶと着くなり二つの影が俺の目の前に飛び出してきたのだから反射的に両手で鷲掴みして捕まえたのと同時にオルトーズが走ってきた。
「あ、ご主人! ありがとう捕まえてくれたんだ!」
「なんの騒ぎ何だ?」
「「キュッキュ!!」」
俺の手から逃れようと激しくジタバタ動くリックとラック。こいつらの顔を見たら頬が団子みたいに大きく膨らんで口の中に何か詰め込んでいるのが明白だ。
「リック達が精霊の種を盗んだんだ。ご主人の言いつけ通り毎日にちゃんとあげてるのにさ」
「じゃあこれは?」
「保管用の精霊の種を集めていたらオイラ達の目を盗んで食べていたんだよ」
「・・・・・ほう?」
「「ギュッ!?」」
二匹のリスを握る握力がちょーと強めた。ぐにょっとした感触とリス達の顔がみるみる内に土気色になったが気にせず問いかけた。
「お前ら、今回が初めてじゃないな? 他の種もどこに隠した? もしくはもう食べてしまってないのか?」
「「・・・・・」」
沈黙を貫くリック達。そーかそーか、この俺にだんまりを決め込むとはぁ・・・・・。
「サラー!」
大声で呼ぶと俺のもとに来てくれた人狼の少女。
「ちょっとこいつらを逃がさないように握ってくれるか。逃げ出そうとしたら握り潰していいから」
「ガウ? ガウ!」
「「ギュー!?」」
俺から渡されたリック達をしっかり握ってくれるサラ。俺はその間に真実の鏡を出してリック達が隠してる種もとい保存食の場所を問うと、鏡面に映り出すのは大トトロが樹木の洞の中で寝ている姿だった。
「そうか。トトロの寝床によくも隠してくれたな」
「ありがとうご主人、取ってくる!!」
え、入れんの? ちょっと俺も入らせてくれるか? あ、ダメなのか・・・・・。
「さて、お前ら・・・今まで盗んで隠した精霊の種を回収するが、その口の中の種も返してもらおうか」
「「キューッ!!」」
おいおい、反抗したってもう遅いぞ。
「拒絶するなら二度と精霊の種どころか、お前らの好物を一生与えないぞ、お前らはそれでいいんだな」
主として舐められたら従魔は言うことを聞いてくれないだろう。心底から冷たい視線と威圧を向ければギクリと全身を膠着させるリス達は、観念したようで口の中から精霊の種がたくさん出してくれた。どんだけオルト達の目を盗んで取っていたのかよ。それぐらい他の物より好物なのか精霊の種が。ちょっと気になるな?
―――数十分後。
新たにユニーク個体のリスを捕まえ、精霊の種を与えると好感度が一気に上がって『従魔の心・ロック』のアイテムをもらえた状態で進化も果たすと不思議な事が起きた。
「精霊リス、だと?」
俺が知っている進化ルートは純白リス、漆黒リス、木目リスと樹霊リスだけだ。木目リスと樹霊リスはユニーク個体のリスのみの進化ルートだが精霊リスなんてなかったぞ。
「もしかして初進化まで好感度がMAXにする食べ物の種類によって隠された進化を選べれる?」
リックとラックは樹霊リスだ。精霊リスとどう違うんだか・・・・・。
名前:ロック 種族:精霊リス レベル20
契約者:死神・ハーデス
HP:61/61 MP:65/65
【STR21】
【VIT10】
【AGI27】
【DEX24】
【INT31】
スキル:警戒・上級、採集・上級、剪定、跳躍、登攀、逃げ足、頬袋、前歯撃、
隠れ身、木実弾、精霊の祝福(小)、樹木召喚、大草原
【テイマー】ここはNWOのテイマーたちが集うスレです【集まれPART69】
新たなテイムモンスの情報から、自分のモンス自慢まで、みんな集まれ!
・他のテイマーさんの子たちを貶める様な発言は禁止です。
・スクショ歓迎。
・でも連続投下は控えめにね。
・常識をもって書き込みましょう
111:死神・ハーデス
やぁ諸君に報告したいことができた
112:オイレンシュピーゲル
白銀さん!? 初顔出しじゃないか!
113:赤星ニャー
どうぞどうぞ、座布団に座ってくださいニャー。美味しい茶菓子を用意してるのでゆっくりお話を聞かせてくださいニャー
114:エリンギ
この掲示板に顔を出すほどの重要な報告か・・・・・?
115:ウルスラ
白銀さんのテイマーに関する報告って一体何かしら・・・・・!
116:アメリア
でもでも、星域で一緒に活動した以外なにも音沙汰無しだからサスシロではないかも?
117:死神・ハーデス
単刀直入に言う。新しくテイムしたユニークのリスが精霊に進化したんだ。どうやら初進化までに食べさせる好物によって隠された進化があるようだ。これが精霊リスな⊃□□
118:ウルスラ
なん、ですって・・・・・?
119:アメリア
うきゃー!!? 超可愛いんですけどー!!! 身体は金色でくりくりお目めが碧眼ー!!!
120:オイレンシュピーゲル
スキルにも見慣れないのがあるな。精霊の祝福(小)、樹木召喚、大草原?
121:死神・ハーデス
精霊の祝福(小)は運をちょっとだけ上げてくれる効果。樹木召喚は試しに使ったら大きな蔓みたいな樹木の幹を操って攻撃するスキル。大草原は1日に10回ほど戦闘フィールドに草を生やして地面に立っている味方プレイヤー、樹木と草花に関するモンスターの全ステータスやスキルの与ダメージを1.5倍増やしてくれる他、3分間最大HPの十六分の一を回復してくれる
122:赤星ニャー
強ッ!?
123:エリンギ
3分間も自動回復の効果を受けながら強化された状態で戦えるって? 有能では?
124:ウルスラ
私も精霊リスが欲しい! 何を食べさせたら精霊に進化できるの!
125:アメリア
私も! でも待って? その精霊リスちゃんがそうなら、他のモンスターも同じことしたら隠された進化ルートを見つけられるんじゃないかな?
126:死神・ハーデス
やっぱりそう思うかアメリアも。従魔の心をくれるモンスターの判明後、他に好物があることが発覚してるから試したくなる。精霊リスが欲しいなら一度マイホーム(日本家屋)に来てくれ。ある物を渡すから
127:オイレンシュピゲール
ありがとう白銀さん! そのまま白銀さんのホームで遊んでいい?
128:エリンギ
種を食べる虫のモンスターがいれば精霊に進化する虫が手に入る可能性があるな
129:アメリア
私のウサぴょんとは違う進化ルートがあるのかなー? でも精霊の種は食べないから他の好物の食べ物だよねー
130:ウルスラ
確かにそうね
131:死神・ハーデス
ウサぴょんは普段何を食べてる?
132:アメリア
野菜が中心だよ?
133:死神・ハーデス
なるほど。それならうちの畑には品質もレア度がどちらも高い上に希少な野菜がございますよ? なんなら天界から持ち帰った天地参という人参も・・・・・
134:アメリア
は、白銀さん! 新しいウサぴょんをテイムしてくるから白銀産の野菜をくれないかな!
135:エリンギ
白銀産って・・・・・まぁ、白銀さんとノームが作物を育てているから的を得ているか
136:オイレンシュピゲール
ていうか、白銀さんの神畑は新たな進化ルートを発掘する秘境の地だった・・・・・?
137:赤星ニャー
秘境の割にはご近所なんだよニャー
138:ウルスラ
だけどある意味違っていないのよね。そういえばエリンギの虫も白銀さんのハチミツだったり果物だったりあげたら違う進化ルートにならない?
139:エリンギ
っ!!?
140:死神・ハーデス
天恵を得たって感じかこれ。取りあえず、確かめてみたいなら受け取りに来てくれ。待ってるぞ
141:ウルスラ
今すぐいくわ! ちなみにノームちゃんも違う進化ルートあると思う白銀さん?
142:死神・ハーデス
わからないな。仮にあったとしてももうテイムする必要ないからいらないし
143:アメリア
神様に進化したオルトちゃん達が五人もいるもんねー
144:オイレンシュピゲール
羨ましい!! 俺もウンディーネちゃんを神化したい!!
145:エリンギ
俺も神化させたいものだ
146:赤星ニャー
虫のモンスターを神化できるかニャー?