バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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ルナマリアでのEXクエスト 四大砂漠の攻略 3

 

炎のモンスターがいる砂漠は真西だ。砂漠の絵がある場所は南で、黄金の金字塔は北、赤い砂漠は東で時計回りができそうなのだが、砂漠の世界を巨大で長大な岩壁が万里の長城のごとく二分にしていてその方法を潰している。どこまで巨壁が伸びているか気にならないのは嘘であるが、それよりもクエストをクリアするのが先決だ。

 

―――だからまずは炎のモンスターになり果てたNPCの無念を晴らすクエストを達成するべく西へ目指す。全員空を飛んでな。しかし広大な砂漠の海ゆえ目的地まで随分と遠く、炎の海砂が見えた時は一時間以上は掛かった。

 

「本当に砂漠が燃えている・・・・・」

 

「現実じゃあ絶対にありえないことだがな」

 

まさしく灼熱地獄とはこのことだろうな。次のエリアの境界線だと言わんばかりに炎の壁が通常の砂漠のエリアと隔離する炎が俺達の膝の高さまで燃えている。絶対にスリップダメージが入る他に装備の耐久値を削るだろこれ。

 

「ハーデス、これが防御力や防御系のスキルを無効にしてスリップダメージが発生する特殊フィールドだよな」

 

「きっとそうだろうな。のんびり歩いていたらHPが少ないプレイヤーは死に戻る。そうならないためにスーパーカルガモに乗って進むしかないんだろう。この光景を見たら納得させられる」

 

離れているのに肌が焦げるような熱気が伝わってくる。完全にプレイヤーを美味しく焼く気満々のフィールドですよねぇー?

 

「あのカルガモに乗らなくても空に飛んで移動したら特殊フィールドのスリップダメージの影響は受けないんじゃないか?」

 

「空中にいようとフィールド内にいるなら関係ないんじゃないか? だが、確かめておくべきことだなそれ。スーパーカルガモと一緒に移動するのは俺ともう一人、残りは空からレイドボスまで移動してみるか?」

 

「さ、賛成!」

 

「じゃあ、俺がハーデスと一緒でいいか? それとも誰か選ぶつもりだったか?」

 

「いや? 誰でもいいぞ。だけど、しっかり手綱を掴んでいないと振り落とされるぞ」

 

「ハーデスにしがみついてでも掴まっているさ」

 

スーパーカルガモを呼ぶ笛を使い、砂の大海原の彼方から砂煙を置いて近づいてくる影が視界に入った。

 

「お、お前だったのか。結構キツイ砂漠の中を走ってもらうけど頼む」

 

「クェー!」

 

顎下を撫でながら話しかけ、スーパーカルガモと繋がっている手綱を宙に浮きながら両手で掴むタゴサックの隣で一緒に掴む俺。ミィ達は何時でもついて行く姿勢で宙に浮いた。

 

「レイドボスまでノンストップで向かうぞ。絶対に止まることもしないし止まれないから、遅れてでも死に戻らず追いかけてこい」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「おし、それじゃあ―――出発だ。走れ!」

 

「クワァー!!!」

 

俺の指示にスーパーカルガモが最初からトップスピードで炎の砂海へ飛び込んで駆け出した。瞬時に炎のモンスター達が俺達に気付くも、新幹線並みの速度で走るから俺とタゴサックが手綱を放さないよう掴みながら同じ速度で飛ぶので、炎のモンスターと会敵する間もなく通り過ぎ置き去りにしてしまう。

 

「うおぉぉぉぉっ!? これ、俺達が飛ぶより速すぎるだろ!!」

 

「だから何度も手綱を掴むことを言っていただろ。こればかりは口で語るより実際に体感してもらった方が早い」

 

「・・・・・あいつらの姿がもう見えなくなったんだが」

 

「信じて待つだけだ」

 

炎のモンスターは全身が燃えている人型のモンスター。動きそのものは緩慢的で一体だけなら走らずとも回避できる。が、炎の砂海中に何千、何万の規模でいるから悠長に歩いていたらいつかは取り囲まれる。そしてこんな数を相手にしながら突き進むのは愚の骨頂だと、スーパーカルガモが回避しながら炎のモンスターの横をスルスルと燃える砂漠の中を走る姿を見ながらそう思わずにはいられない。

 

「とんでもない数だな。ハーデスが召喚するモンスター並じゃないか」

 

「後で倒しまくって確保しておくか」

 

「お前と戦うプレイヤーが可哀想だから止めておけ」

 

解せん・・・・・。そういえば再配信して今の状況を見ている視聴者の反応は・・・・・?

 

『は、はえぇぇぇぇぇ・・・・・』

 

『配信映像越しで良かった反面、電車や新幹線の窓を覗いている気分だ』

 

『・・・・・二人の間に挟まりたい(ボソッ)』

 

『オイw(だが気持ちは同じだ)』

 

『柔らかい二人に挟まれる筋肉質で長くて硬い俺が二人に包まれながら逆に支えて差し上げたいてすなー』

 

『オイ!! (ちょっとその話をもう少し詳しく!)』

 

『ナニがとは聞かないがそれができた男はギルティ待った無しだがな』

 

『なるほど、つまり女性と合法的に抱擁ができるクエストであることだけ理解したよ俺は』

 

『おお、天才かお前!! と言いたいところだがキミ、自分の周りに女性プレイヤーはあるかね?』

 

『・・・・・男・男・男・子供(女の娘)・男・漢女・男・腰をフルバーストしてる女用のブラを付けた上半身裸の変質者・・・・・見回したらこれしかいないが?』

 

『交じってる交じってる、変なのが交じってることに気付け』

 

『女の娘はワンチャンありでは?』

 

『そう思ってアタックしたら「ワシは男じゃ」と下半身を確かめない限りは信じられない発言をされてしまった。いやいやあんな可愛い顔の男の娘が女の子のはずがないじゃーん、ってフレーズが頭に過ったこれはなんだろうか・・・・・?』

 

『なん、だ、と・・・・・?』

 

意外にあいつらも同じ砂漠に来ていたとはな。お、あの石造りの建造物は・・・・・外側から見れば円形闘技場っぽいが・・・・・。

 

「見えて来たな目的の場所」

 

「日誌の情報と一致してる。見ろ、炎のモンスターがあの場所周辺にだけいないぞ」

 

スーパーカルガモもそこへ目指していたかのように走っていた。程なくしてモンスターが近付かない闘技場に停止し、俺達も砂漠に降り立った。

 

「やっぱりスーパーカルガモの方が速かったか。あいつら大丈夫だろうな」

 

「対空攻撃を食らっていなければな。そんな目に遭っていないことを願うしかないところでタゴサック、HPの減り具合はどうだ」

 

「減ってはいるが思っていたよりではないぞ。あのポーションを使ったからか」

 

タゴサックの言う通りだろう。しかしそうじゃない、空を飛んでいたにもかかわらずHPが減っていたということはだ。

 

「空を飛んでいた私達のHPが減っているなら、ミイ達はどうなっているのやらな」

 

「・・・・・あいつら、あとどのぐらいで着くと思う?」

 

「私達の半分以上も離されていただろうから、20分以上か?」

 

「仮にそうだとして1秒ごとに1ダメージを受けるなら、1分で60ダメージ、その2倍で20倍だから1200のダメージを受ける計算になるぞ。さすがに死に戻ったんじゃないか」

 

「私の防御力でダメージは減るからその数以下になるはず。が、実際はどうなるか分からないから待とう」

 

腰を落として座る俺に異論無しとタゴサックも俺の横に座って足を伸ばして待つこと5分が経過した。フレンドコールが届き繋げるとミィだった。

 

「ミィ、まだ着かないか?」

 

『・・・・・すまない。途中で力尽きてしまった。炎のモンスター達からの集中砲火を受けて、避けながら進んだが道半ばでやられてしまった』

 

「そうか。やはり無理でもスーパーカルガモに引っ張ってもらうべきだったか。先に2人だけでレイドボスを倒してみるがいいな?」

 

『構わない。配信するなら学ばせてもらう』

 

学ばせられるか怪しいがな。ミィとの通信を切り、改めてタゴサックに伝えると「やっぱりか」と悟った顔で相槌を打った。

 

「空を飛んでると下から集中砲火を受けるってとんでもないな。俺達の場合は下にいたから攻撃をされなかったわけか」

 

「スーパーカルガモと一緒だったからって可能性もある。どちらにしろ低空飛行で飛ぶにせよ、一筋縄ではいかないってことだな」

 

待ち人は来ずことがわかった。立ち上がる俺に釣られるように立つタゴサック。スーパーカルガモには感謝の言葉を送ってから送還し、闘技場を沿って歩き出入り口を見つけたら入る前に準備を整える。

 

「お、久し振りに大盾と短刀を装備するんだな」

 

「スライム製の武具だ。装備スロットにセットした装備に付与されてる破壊成長のスキルが反映されてるから便利だぞ」

 

「羨ましいな。俺も欲しいぞ」

 

「ノーマルとメタルスライムのジェルを集めたら繊維にしてやる」

 

「・・・・・言い値でいいから作ってくれないか?」

 

「ジェンティルドンナに依頼しろ。用意はいいなタゴサック」

 

「いつでもいいぜ」

 

蛇矛を肩に乗せながら断言する彼女と拳を合わせていざ・・・・・。

 

闘技場内に続く出入り口へ入る俺達を出迎えたのは、鋼の全身型鎧を着たモンスターだった。肩幅が広くて威圧的な鎧は赤銅色と砂色なのはともかく、防御力が高そうに見受けられる。兜の奥で俺達を見る目に眼光が走ったが、姿が日誌と情報が異なっているのは・・・・・?

 

ゴガアアアアアアアッ!

 

咆哮を上げるモンスター、イフリート・ノヴァ。幅が広い肩に首を限界まで押し込んで両腕を前方に出して✕字の構えで固め、そのままこっちに向かって跳躍した。文字通り、ミサイルの如く地面から浮いてだ。

 

「まずは色々と把握してからでも遅くはないな。タゴサック、うつ伏せになれ」

 

返事をするよりも行動で返したタゴサックの隣で、膝を折って上半身を逆海老反りの姿勢になった同時にイフリート・ノヴァが俺達の上を通り過ぎ、闘技場の壁に向かって直撃した。立ち上がったタゴサックと土煙から出てくるレイドボスを見つめる。

 

「ハーデス、日誌の情報とあいつの姿がえらい違いなんだが?」

 

「HPの減り具合で変形していくパターンじゃないか? もしくはあの鎧はレイドボスの力を封じ込める物だったりするかだ。戦い方によって倒し方は色々とあるからな」

 

「それだったら俺達がその封印を解いて倒さないといけないことになるんじゃ? 大丈夫なのか?」

 

「いや、もう封印の方もガタが来ているっぽいぞ」

 

―――ビシッ!

 

何かが罅割れる音が耳朶に刺激するほどハッキリ聞こえた。それはイフリート・ノヴァが着込んでいる鎧にはなかった亀裂が走ったものだった。同時にあのモンスターのHPが減ったことから察するに。

 

「最初は貝殻を割らないと本当の戦いすら始まらないみたいだ」

 

「あの速度で突っ込んでくるモンスターの鎧を剥がしてからじゃないと、だと?」

 

 

『俺だったらそうすることができる自信がない、それどころか攻撃中にぶつかったら即死しないか?』

 

『タゴサックみたいにうつ伏せになって捨て身タックルから躱せばワンチャンありでしょ』

 

『そもそも白銀さんなら一発で裸にする事できるんじゃ・・・・・えー?』

 

『白銀さんの【悪食】を食らっても鎧の耐久値に対するダメージが0? は・・・・・?』

 

『なんで? ねぇなんでぇ?』

 

『タゴサックの槍でもダメージが入らないってことは、仮に俺達も攻撃してもダメージ0ってことだよな』

 

『で、鎧を壊すには捨て身タックルを誘って自滅させるしかないと・・・・・』

 

『このレイドボス、フルメンバーで戦おうとしたらダメなんじゃ・・・・・白銀さんだからって理由じゃなくて、自滅によるダメージを蓄積させるためにはプレイヤーが当たっちゃあいけないんじゃないかこれ』

 

『だからさっきから白銀さん達は壁にぶつけているのか。自分達が当たったらダメージが入らないと察して』

 

『ゲーマーなら効率がいい方法を取るのは当たり前のように、白銀さん達も攻撃が通らないなら壁にぶつけるしかないもんな』

 

『ありがとう白銀さん、タゴサック。あんた達のおかげで攻略がわかるよ』

 

『攻略方法が分かったところで、俺達が実行できるかどうか全く別の話なんだがな!』

 

『お前、夢を壊すような言い方をするんじゃないよ!』

 

『でも事実なのであるからして間違ってはござらんよ』

 

『お! ようやく鎧が壊れたぞ!』

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