バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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ルナマリアでのEXクエスト 四大砂漠の攻略 11

 

ピラミッドの攻略を終えた俺達は数時間ぶりに砂漠葬送の向こう側にあるオアシスの町に戻った。初めて訪れた頃よりも大勢のプレイヤーが集まっていてクエストを探していたりアイテムを買っていたり、四つの競技に挑戦している姿が見受けた。これからあの大変な四大クエストを臨むプレイヤー達に心中で合掌しながら高級宿泊施設に戻って小休止を済ませると、俺とタゴサックの四大クエストの最後1つに手を出した。

 

「で、やっとコイツの出番と言うわけか。けどよ、ハーデスのスキルで空を飛べるんだから必要ないんじゃないか?」

 

「そうかもな。だが、これでなければいけないことがあるなら使う必要があるというものだ」

 

目的地の南の砂漠に着くなり、熱気球の籠に俺とタゴサックが搭乗。ミィ、カスミ、ミザリーも気球に乗ってクロム達は敢えて空を飛んで探す方針にした。

 

「念のために言うが、お前らは本当に乗らないのか? クエスト用限定アイテムなのだから気球に乗っていないとダメかもしれないぞ」

 

「気球について行けばいつか最後の絵のピースがある場所に着くだろ」

 

「それなら気球に乗ろうが飛んでいようが変わらないし、仮にハーデスの言う通りだったとしても後からペイン達と一緒にいくさ」

 

「僕達の事は気にしなくていいよ」

 

ミィ達はクロム達の言葉に尊重するようで催促も促しの言葉も掛けなかった。それならこれ以上何を言っても無粋だろうと出発をすることにした。この気球は操作不可能で海の海月のようにただただ空を漂うだけらしい。俺達が乗る時球は静かに浮き始めてどこかへと移動する。砂色の世界を一望できる気球から見下ろしつつ、最後のピースはどこか探すことしかできない。

 

その後もプカプカと浮く気球に乗って一時間ぐらい経ったか、ボーと眺めていて見飽きた砂色の海を二分にしたような底が見えないほど一K先まで続く深い断崖絶壁と高い崖の壁を見下ろしていた時だった。何の前触れもなく突如目の前に超巨大な砂嵐が発生した。気球はあっさり砂嵐に巻き込まれて、乗っている俺達は寄り添ってジェットコースターのように激しい震動と揺れに、タゴサックも気球から振り落とされまいと俺にしがみ付いて耐えるしかなかった。上下左右に前後と方向感覚を狂わせる俺達が乗っていた気球が、砂嵐の中にも外にも放り出されてしまった。いや、打ち上げられたと言うべきか。

 

「―――お」

 

乗っていた気球よりも高く打ち上げられた俺達の視界に、この光景を目に焼き付けろと言わんばかりに砂漠の世界から切り離された深い溝と高い崖に囲まれた南の砂漠の世界の四方に巨大で広大な四角い枠が三つと何かの絵が一つあった。咄嗟にスクショして記録に残すと俺達はそのまま重力に従って下に落ちたのだった。そこでようやくタゴサックが口を開いた。

 

「ミィ達はどこだ?」

 

「見回しているが見当たらないな」

 

一緒に砂嵐に巻き込まれたはずなんだがはて・・・・・あ、ミィからコールだ。

 

「ミィどこにいる?」

 

『クロム達と一緒にだ。お前達はどうやら無事のようだが状況は?』

 

「砂嵐に高く打ち上げられて大気圏から落ちているところだ。そっちは?」

 

『地上だ。砂嵐に一度は巻き込まれたが弾かれるように落ちて、崖の下から吹き荒れる砂嵐の壁に阻まれて治まるまで進めそうにない』

 

なるほど、あの深い底はそういうギミックがあったのか。確かにここから見れば、王宮で見た地図のように砂漠の世界から切り離されたような砂漠の大地を囲むように砂色の風が渦巻いている景色が出来上がっていた。気球が必要なのもこれが理由か納得したよ。でも、ミィ達を弾いたのはなんでだ?

 

「もう一度気球に乗って砂嵐を越えれないか?」

 

『やってみる』

 

俺達も今では砂嵐に囲まれた砂漠の世界に落ちて、俺が見た景色がある場所へミィ達を置いて長い移動時間の最中にミィから連絡が入った。

 

『ハーデス、残念だが気球でそちらに向かうことができない。砂嵐に突入することはできるが最後は追い出されるように弾かれてしまう。気球無しで飛び越えようとすると見えない壁があって進めない。超えられたお前達と越えられなかった私達の違いは何だと思う」

 

「三つのピースを持っていないからか、もしくは最初に飛び込む砂嵐が違うか。他にもあるかもしれないが現時点でそれしか浮かばない」

 

『わかった。もう一度砂嵐を越える試みをするが、それでもダメであればイフリート・ノヴァを倒しに戻るがいいか』

 

「わかった。気を付けろよ」

 

ミィとの通話を止めてからも飛んでいると、しばらく四角い枠と人工的に造られた石造りの畳の広場が見えてきた。そこへ辿り着くとタゴサックが告げた。

 

「砂漠の絵のパネルをセットしますか? ってメッセージが浮かんだんだが」

 

「タゴサックの持っているパネルだけか。私のパネルには反応しないならば、パネルの絵を嵌める順番があるようだな。当然YESだ」

 

俺の指示通りにYESを押したタゴサックの胸から光が飛び出して天に向かって伸びていった。おい視聴者共、◯。◯◯ビームってなんだ。と突っ込んでいたら、光が空へと消えると次に空から大量のパズルのピースが音を立てながら目の前に落ちてきた。山積みになったピースに俺達は達観せざるを得なかった。

 

「・・・・・そーいうことか」

 

「まさか、この数のパネルを絵に組み合わせて完成させなければならないのか?」

 

手短なところにあるピースを掴むとひょいっと持ち上げられた。表面には何かの絵と色、輪郭の一部が描かれていて四方の凸凹の部分と他のピースの凸凹とピッタリ嵌めなければならないのはリアルと同じか。

 

「ハーデス、どうやってする?」

 

「まずは定石通り、四方の隅と角があるピースを探そう。外堀から埋めて同じ絵の形と繋がってるピースを探しなからな。ミィ達はおそらくイフリート・ノヴァを倒すまでこの場に来れないだろうから長期戦になるぞ」

 

『リセットの指輪』を使っては【巨人化】と【大型化】に【爆発的成長】を使ってピースより大きい身体になった。タゴサックも巨人より大きくなってピースを触り始める。

 

「俺達がこんな方法でパズルをするなんて運営も創造しなかっただろ絶対に」

 

「さてどうであろうな。プレイヤーの身長を変化させるスキルを開発するからには、運営が設計したクエストに推奨するスキルがあってもおかしくないだろ」

 

「仮にそうかもしれないにしても、お前ほどのスキルを集めないとダメなEXクエストはやはり難しいぞ」

 

「それはしょうがない。こればかりはPSと実力と時の運に行動力がモノを言わせるからな」

 

四方の角の隅を全て揃えることができた。次は同じ色を集めてからピースを嵌めること十数分。ようやく最初のパネルが完成できた。絵はイフリート・ノヴァの姿が描かれていたが、それを感慨深く見ているつもりはない。

 

「―――お、この状態でも飛べるようだ」

 

「本当にお前のスキルは脱帽するぜ」

 

「運営が作ったスキルなんだがな」

 

歩くより飛んで行った方が早いから身体を大きくしたまま別の石畳の広場・・・・・ボードと呼ぶか、そこへ飛んで向かった。

 

そんなことをもう2回も繰り返してピースを嵌めてパズルを完成させたら、最後のボードの前に立った。これだけは既に完成しているパズルの絵で、太陽を背にした何かの神殿が描かれていて光っていた。それに触れると、光が閃光となって迸ったら、砂漠の絵が一人で浮き始め俺達の目の前でゆっくりとどこかへ飛んで行くので追いかけた。

 

「おいハーデス、あれ」

 

「この後どうなる事やら」

 

タゴサックと完成させた三つの絵画まで浮いていて、俺達が追いかけていたパズルに呼応したのか四方からここまで来たらしい。そして四つの絵画が揃うとそれぞれ一つに重なるや光りに包まれた後、巨大な白亜の神殿が姿を見せた。

 

「これだけ苦労の連続の末に達成したらどうなるのかと思えば、樹母神に続いて新しい創世神話の一柱の神殿の発掘をするとはな」

 

「本当にお前はすげーよハーデス」

 

数時間ぶりに硬い感触を踏みながら前進した先には、壁から滝のように流れ出ているマグマの海、俺達が踏み入れる大地は炎の柱が間隔等並んでいる一本道しかなかった。奥に進むと崖でこれ以上進めない代わりにこっちと対を成すように崖がある向こうにマグマの海の上に見慣れた男神が溶岩の玉座に座っていて俺を見て深い笑みを浮かべた。

 

≪よくぞ数々の試練を乗り越えここまで来たな闇神の眷属よ!≫

 

「戦神、まさかお前と出会えるとは思いもしなかった。ずっとここにいたのか」

 

≪うむ、その昔では我を求めて数多くの人間達が数々の試練に挑み散っていたが、いつしか誰も挑まなくなりついには我の存在を忘れ去られてしまったがな。だがしかし、今ではお前が切っ掛けであの時のように我が課した試練を挑戦する者達が昔のように現れるようになった。我はとても嬉しい思いを久しく抱いたぞ闇神の眷属よ≫

 

徐に立ち上がった戦神がマグマの橋のような足場を作ると自らその橋の上を歩いてこっちに来てくれた。

 

≪最初に我のもとに来た褒美に眷属として迎えたいところであるが、闇神の眷属である故そうすることができないのが非常に残念であるな。我の力を濃く秘めているのも含めてだ。が、それ以外ならば遠慮なく褒美を授けようではないか≫

 

青いパネルが目の前に表示された。内容は何でも願い事を叶えるものであって、樹母神の時はできなかったものだったから素直に嬉しかった。

 

「この願い事、他の創世神話の神の居場所を知りたいと願っても?」

 

≪それはできないな≫

 

ダメか・・・・・。天神と光神はどうしても最後になってしまいそうだから知りたいんだけど・・・・・。今は叶えてもらいたい願い事はない―――いや、あったな願い。戦神に俺の願いを乞うと簡単に承諾してくれた。

 

≪お前の願い事は闇神の協力も必要だ。もしも断られたら代わりに我の力を宿した物にするが構わないな≫

 

「ダメ元で頼んでいるから構わない」

 

≪よかろう。ではお前の願いを叶えよう。そして我の元に初めて来たお前達に褒美としてこれも授けよう≫

 

『スキル【マグマ溜まり】、【熱流砂地獄】を取得しました』

 

『アイテム【太陽の王冠】を獲得しました』

 

 

【マグマ溜まり】

 

このスキルの保有者を中心に半径五メートルのマグマを生成し、プレイヤーのMPを100消費するとマグマ溜まりが五メートル、MPを250消費すると十メートル、MPを350消費すると十五メートル拡大する。マグマの中にいる間は系統:火に属するスキルのダメージと攻撃範囲が10%増加し、スキルを解除するまではプレイヤー以外このスキルの範囲内にいる全ての対象はマグマの耐性を無効、AGIの数値が半減と地形ダメージを受ける。

 

 

【熱流砂地獄】

 

十秒のみ半径十五メートルの流砂にいる対象の行動を制限し、持続ダメージを与える。

 

 

『太陽の王冠』

 

【日焼け】

 

この装備をしている間、系統:火属性のスキル・武器に防御力貫通の効果が付与される。

 

 

これはミィの手に渡ったら危なかったな。確実に俺の防御力が貫通する。タゴサックの方はどうだろうか?

 

「そっちはどうだタゴサック」

 

「ああ、俺も叶えた。何を願ったかは教えないがな」

 

秘匿は自由だ。そしてこの四大砂漠の攻略のクエストも終わったようなもの・・・・・やり遂げたぞ俺はぁー!!

 

≪闇神、樹母神に続いて我の本来の神殿を見つけるとは中々やるな闇神の眷属よ≫

 

「付け加えるなら海神の神殿も見つかっているらしいぞ。近々私達もそこへ向かうつもりだ」

 

≪ほう、海の底にあるというのにか。・・・・・ふむ、海神の力を継いでいるお前ならば海神がいる本来の神殿に足を踏み入ることはできそうだな≫

 

「他の創世神話の神々がどこにいるのか見当も付かないんだが」

 

≪当然だ。易々と神の下に訪れることはできないのだからな≫

 

だろうなー。それはそれで拍子抜けでつまらないけど、もう少しわかりやすいヒントぐらい教えてほしい。

 

「そう言えば気になっていることが一つある。砂漠の民達が太陽神と言う神に信仰を捧げている様だが、それってお前のことか?」

 

≪太陽神? ふむ・・・・・我は戦神と名乗っているのだから、恐らく我等の従属神の誰かがこの地に己の存在を示したのではないか。もしくは後々に我の事をそう呼称する者がいて誤ったまま広がり根付いてしまったのかもしれん≫

 

あり得なくはないことか。当の本人が否定するなら太陽神は別の神だと認知するか。

 

≪さて、これからどうするお前達。帰るならば送ってやるぞ≫

 

「どうやってだ?」

 

興味本位で聞いたら、戦神が指を鳴らすとマグマの海から飛び出すマグマの身体に四対の翼を持つ巨鳥が現れた。俺とイカル、メイプルがよく変身している溶岩の巨鳥とは違う姿の鳥が俺とタゴサックを纏めて鷲掴みにして出入り口の方へと飛んで行く。今日ずっと視聴してくれたプレイヤーのみんなも歓声と拍手を送ってくれて、一部以外のクエストの攻略は丸裸にされた今では多くのプレイヤー達が盛んに挑戦しているそうだ。

 

後は女王に報告をするだけで本当の意味でクエストは達成するが、寧ろこっちの方が緊張するんだよな相手があの奔放な女王が何をしてくるのか分からない。私と違って町で受けたタゴサックの報酬は何なのか訊いてみれば、経験値と称号に金と王宮の出入りが可能になる権利らしい。

 

「今日はありがとうなハーデス。濃い数時間を過ごしたぜ。ただお前に併せて戦うのがこんなに大変だったとは思いもしなかったぞ」

 

「ははは、悪いな。私は思うがままに楽しみたいから私以外のプレイヤーと併せるつもりはないから苦労を掛けさせたな。次は深海だから今回より疲れるだろうさ」

 

「心構えをしなくちゃならないな・・・・・まだ配信はしているのか?」

 

「そうだが? 停めてほしいか?」

 

肯定するタゴサックの要望で視聴者太刀と別れの挨拶をしてから閉じると、彼女から変な事を聞かれた。

 

「お前ってこのゲームで結婚しているのか?」

 

「ああ、NPCも含めて複数人な。結婚すればお互い得られる経験値が二倍になるし」

 

「二倍だと? 魔王だからか?」

 

「いや・・・・・とある称号を手に入れてからそうなるんだ。で、何故そんなことを聞く」

 

バツ悪そうにタゴサックは心情を打ち明けた。

 

「お前とこんなに二人きりで遊ぶ事なんて今日が初めてだからよ。お前のことが好きなプレイヤーがいるなら後で嫉妬されると思うと申し訳なくてな」

 

「ああ、そんなことか。そのぐらいであいつらは嫉妬はしないぞ」

 

「あいつらって・・・・・俺が知っているプレイヤー、だよな?」

 

「とてもな。誰かなのかは教えないがな」

 

「・・・・・まさかだが、イカルとではないよな」

 

オイコラ、人をロリコン扱いにするんじゃねぇって込めて冷たい眼差しと共にゴツッと頭突きをかませば、己の失言に気付きすぐ謝罪の言葉を口にした。

 

「大体、イカルのような年下のプレイヤーと結婚が出来るわけないだろうが。システム的にも引っ掛かるし運営が許すか」

 

「そ、そうだよな。変なこと言って悪かった・・・・・だから離れてくれないか顔が近い」

 

「この鳥に鷲掴みにされているから離れたくても離れられないのだが?」

 

真正面から抱き合う形で掴まれているから、俺達の胸も窮屈そうに押し合って潰れている。だからこそタゴサックに頭突きが出来る上に彼女の言う通り鼻先がくっつくほど顔が近い。仮に激しい揺れなど起きたらお互いの唇がぶつかることは必至―――おっと鳥さん、急に急降下しないでほしいな・・・・・。

 

「おわ、んっ―――!?」

 

「・・・・・」

 

ほら、こうなってしまうんだから・・・・・!!

 

 

 

「―――本当に四大砂漠を攻略するとは、見事ではないか。では聞かせてもらおうかお前の冒険譚を私の部屋で。全て聞かせるまで放しはしないぞ」

 

「マジか・・・・・」

 

耳まで真っ赤にしたタゴサックが俺から逃げるように離れて解散した後、元の性別に戻して女王に報告した以降は、本当に招かれた部屋から出してくれず、久し振りに会った王女と食事や入浴までするとベッドの中でも語らされた。質問責めが多く朝まで寝かせてくれなかった。

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