バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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エルフイベント二日目

イベント二日目~朝。

 

今日も防衛線をがんばろーと新記録に挑戦する意気込みの俺達は前触れもなく突然のクエストを受けることになった。

 

『アールヴの森に彷徨う家畜の保護』

 

クエストの名前通りに帝国の襲撃で家畜が脱走してしまい、防衛で他に手を回せないエルフ達の代わりに冒険者が家畜を連れ戻してほしい内容だ。見つけ次第触れるだけで保護扱いになる簡単な作業だが、簡単な話ではないだろう。なにせ―――。

 

「保護した家畜の累計ポイントが高ければ高い程にもらえる報酬の数とグレートが上がる、か」

 

家畜にもレア度があり、一番高いのは12ポイントだ。小型の家畜のは1~3ポイント、中型は5~7、大型は9~12と振り分けられている。大型が一番レア度が高いのはそれだけ需要があるのだろう。更にもらえる報酬は個人のポイント制で随時更新して、定められた報酬に必要なポイントになるともらえるわけで、もらえる報酬は・・・・・。

 

「トラバサミ、落とし穴と痺れ罠、閃光玉と手投げ爆弾に大型囲い罠まであるのかい」

 

最初の10ポイントでも集めればイベント用の移動阻害のアイテムが貰えるシステムだ。最初はトラバサミが×2も手に入り、それから50ポイントまで毎10ポイントずつ報酬が貰うと、50ポイントからは一気に報酬ポイントを30も集めないと落とし穴と痺れ罠が貰えず、200ポイント以降は50ポイント集めないと閃光玉と手投げ爆弾が手に入らないようになってる。囲いわなは、30ポイントずつ集めると必ず1は貰える達成報酬用に用意されている。

 

なお、パーティでこのクエストをするともらえる報酬が2倍になるとかで里外に赴くプレイヤーは続出するだろうなーと閃光手榴弾を【機械創造神】で量産しながら察した。

 

「はいよ、閃光手榴弾×100個ずつな」

 

「すまない。助かるよ」

 

「ハーデス君ありがとうねー」

 

複数パーティから報酬として10万Gずつ支払ってもらった。これで記録を塗り替えることが出来るって自信に満ち溢れているんだから凄いよな。

 

「クエストは参加するか?」

 

「手段が増やせるなら越したことじゃないからね。今日は防衛線をせずに参加してみる」

 

「ゴーレムとか出てくるならさ、落とし穴もあった方がいいと思うしね。ものすんごい競争率が高いだろうけどさ」

 

今こうしている間にプレイヤー達は報酬欲しさに頑張っているだろうな。

 

「あ、多分だけどウッドドラゴンが森のどこかにいると思うから攻撃しないでくれよ」

 

「当たり前な風に何も知らない私達に言わないでくれるかな?」

 

「前回のイベント村の熊と猪のポジションだからしょうがないだろ?」

 

「戦ったことがあるのかよ?」

 

「防衛戦でな。悪魔に使役されていたから解放したんだ」

 

「またさらっと重要情報を・・・・・」

 

「だって、皆まだそこまで進んでいないんだろ?」

 

60台のウェーブまで進んでいるなら先の言葉を取り消すぞ?どうだ?

 

「よーし、その挑発は私達に対する挑戦状だと受けてやる。お前、何レベルのモンスターまで進んだか言ってみろ」

 

「65レベル」

 

愕然で目を丸くして固まる川神-100代。イッチョウは苦笑い。

 

「レベルがレベルだから、私達はまだ50台のレベルのモンスターで手一杯だよん」

 

「そうか。だったら今日は励め。閃光手榴弾を使いまくって現在の記録+10ぐらいは更新して見せろ。俺は更にその上を行くがな」

 

「もしも俺達の所に防衛戦でウッドドラゴンが現れたらどうすればいい?」

 

「首の所に黒い靄を発する棘があるからそれを抜けば悪魔と戦う展開になる。ただ、ウッドドラゴンが支配された状態のままだから、ウッドドラゴンを開放するには悪魔に一定のダメージを与えないとダメかな」

 

「他は?」

 

「防御式の結界を張るから出現した瞬間、事前に設置した落とし穴に落とすか閃光手榴弾で次の行動を阻害するかのどっちかだな。それで結界を展開できない状態になるからその隙にウッドドラゴンの身体に飛びつけれる」

 

首を縦に振るペインがドレッド達を連れて外へ出た。イッチョウ達もそれに続き、イズとセレーネが残った。

 

「ハーデス、パーティに入れてくれない?」

 

「突然だな。どうしてだ?」

 

「個人討伐数じゃあ碌な記録を出せないだろうから、せめてパーティ撃破数でもいいから報酬が欲しいのよ」

 

パーティ撃破数の報酬・・・・・ああ、これか『不壊のツルハシ』。って、マグマの中でも壊れないツルハシは鍛冶師にとっても絶対に手に入れたいアイテムだな。

 

「君を利用するような感じで申し訳ないんだけど、不壊のツルハシは絶対に欲しいの」

 

それが出来そうなのが俺であると。んー・・・・・。

 

「となると、連れて行く従魔を考えなきゃな。サイナとフェルは必須で残り枠1に・・・・・」

 

あのゴーレムと再戦するためには・・・・・。

 

「・・・・・試してみるか。ミーニィ、初めにお前だ。力を貸してくれ」

 

「キュイ!」

 

「オルト達は畑作業が終わったらリヴェリアと待っててくれ。よろしくな」

 

「ムム!」

 

というメンバーで行ってみることにしたのだが。

 

「クエストの方ももしかすると里の貢献度に繋がってる可能性が捨てきれない件について」

 

「あ、うーん・・・・・セレーネ。どうしよっか?」

 

「うんと、じゃあ二時間ごとにクエストと防衛戦をしてみるのはどうかな?それなら少なくともクエストの方も出来るよね?」

 

相談し合って三人文殊、セレーネの提案でそうすることにする。

 

「効率よくバラバラで動くべきかな?」

 

「パーティ状態ならそれもいいでしょうね」

 

「他のプレイヤーもパーティ規模でクエストをしているなら負けない速さが大事だな」

 

となるとそれをどうするかの問題なんだが・・・・・。この中で一番速いフェルを見ながら考えた時、頭の中で豆電球が光った。

 

「あっ、じゃあこういうのはどうだ?」

 

「「?」」

 

小首を傾げ疑問符を浮かべたかもしれない二人に俺の提案を教えた。

 

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

フェルの背中にイズが跨り騎乗、巨大化したミーニィの背中にセレーネが騎乗する俺の提案は取り敢えず成功したようだった。森の中で素早く駆け家畜を探すフェル、上空から家畜を見つけることができるミーニィの活躍でサイナと別行動する俺に保護した報告が届いてくる。現在ポイントは50も増えて報酬を獲得できている。俺も少し前に数羽固まっていた鶏を保護したので順調にポイントを集めている。ただ、里からかなり離れてしまっている。出現するモンスターも通常と交じって黒い靄を発するモンスターも現れるので家畜を探すのに手間がかかる。

 

「うーん、さっき見つけたのにモンスターのせいで逃げられた」

 

逃げ足が速くてモンスターに狩られてはいないみたいだが、辺りを探しても既に遠くに行ってしまったようで見つからず断念してしまう。

 

どこかにいないかと茂みをかき分け、森の中を探していた時に声を掛けられた。

 

「・・・・・こんなところで何をしている」

 

「え?」

 

振り返ったら、背後にいた者はエルフだった。しかも魔茶葉をくれた昨日のエルフ。何故か背中に籠を背負っているがモンスターが出現するこの森の中でたった一人行動しているのが気になった。

 

「それはこっちも同じ疑問でと訊きたいけど、俺はアールヴの里の家畜を探しにここまで」

 

「・・・・・ご苦労な事だな」

 

「で、あなたは?」

 

「・・・・・店が使い物にならずとも育てている物を疎かにできない」

 

それだけ言って俺の横を通り過ぎる。魔茶葉のことか?

 

「念のために護衛の真似事はさせてもらうから。一人でも大丈夫だろうと放っておけないからさ」

 

「・・・・・好きにしろ」

 

そうさせてもらう。エルフの斜め後ろの位置でキープしてついていき、時折現れるモンスターから守りながら彼の足が停まるまで同行したら、もっと里からかなり離れた場所でそれはあった。

 

流動的で滑らかな表面を描いている緑色の波もとい大量の植物の葉の光景を目の当たりにした。

 

「あれは・・・・・まさか全部ひとりで?」

 

彼は何も言わず手身近の緑色の葉を触れて黙々と葉を積み始め出した。俺は何も手を出さず護衛に徹することにするしかなかった。というか、勝手に触れていい物じゃないだろうから手伝いすることも出来ない。今度オルト達をここへ連れて行くか。

 

しばらく待つと緑の葉っぱが沢山詰めた籠を背負ったまま離れて待っていた俺の横をまた通り過ぎて森の奥へ、里へ帰ろうとする彼の斜め後ろで護衛をする。たまに現れるモンスターやばったり出会った保護対象の家畜を見つける以外の道中は無言で貫き歩く。

 

「・・・・・森が騒がしい」

 

「森に家畜が逃げてしまってるからな。どれだけいるのか分からないけど家畜の保護が終わるまでは騒がしいだろう」

 

「・・・・・さっさと終わらせて欲しいものだ」

 

物静かさが好むようだ。それ以降は一切何も喋らず里に戻ってこれた。

 

「それじゃ、またな飲み屋のエルフの方」

 

「・・・・・エルクだ」

 

「死神ハーデスだ。初めてお互い名乗りあったな」

 

「・・・・・ふん」

 

里の中へ入る所まで見送った後は保護活動の再開したその二時間後。北門の前に防衛戦を挑もうとするイズ達と作戦を話し合っていた。

 

「基本的に俺はフレンドリーファイア受ける前提で前に出るから二人は後ろから援護を頼む」

 

「ええ・・・・・あなたはそれでいいの?」

 

「【VIT】は5桁もあるから貫通攻撃じゃなきゃ問題はない。それとイズ。ユニーク装備を手に入れてから何か変わった?」

 

「生産の幅が広まったわ。お金があれば色んな物を作れるようになったし、今じゃあ手投げ爆弾を使って攻撃できるようになってるの」

 

「よし、それを投げて俺ごとモンスターを倒せ」

 

そんな提案をしたら、えっ!? と短い驚愕の声を上げた二人。

 

「いくら【VIT】が高くても爆発耐性がないとフレンドリーファイアになるわよ」

 

「それこそ問題ない。爆発無効化のスキルを取得してるから爆発物を投げられてもダメージは0なのさ」

 

「・・・・・それ、どうやって取得したのか参考に訊いても?」

 

「【毒無効化】がないとできないぞ?」

 

「あ、聞かない方がいいかもしれない。真似できそうにないから」

 

根気が必要なのは必然的だな。

 

「ということで俺に構わずモンスターのHPを1にするからトドメは二人にさせる」

 

「それこそどうやってするの?」

 

「どんな攻撃でも必ずHPを1に残す【手加減】というスキルを取得してる」

 

 

というわけで二日目の防衛線を始めることにしたのだった。レベル20までは俺が囮となってモンスター達の牽制をしつつ背後から投げられる爆弾をわざと当たって二人の撃破数を稼がせる。レベル30からは罠を設置しないといけない数になった。

 

「急いで設置をするぞ!」

 

「わかった!」

 

「うん!」

 

インターバルが終わる前に痺れ罠をジグザグに設置し、迎撃の準備を整える。

 

「【機械神】!【全武装展開】【手加減】【攻撃開始】!」

 

「【機械創造神】【手加減】」

 

森の奥から出現するシャープディアの先頭集団が痺れ罠に自ら飛び込んで軒並みに麻痺状態に陥った。痺れ罠の持続効果は10秒だけだが、麻痺になった先頭のシャープディアを避け横から前へ出るシャープディアも10秒間効果が続いている罠に入り、自ら後続の移動を阻害する肉壁となった。その瞬間をHPを1に残すスキルを発動してサイナと集中砲火を食らわす。

 

「イズ、セレーネ!」

 

「「はい!」」

 

背後から放り投げられる爆弾が前方のシャープディア達の中に消え、轟音と共に大輪の炎の華が咲いた。爆炎に包まれ一瞬でポリゴンと化するモンスター達と同時に俺達のポイント数になった。

 

「今ので数十体は倒せたわね」

 

「効率のいい方法ですると凄く簡単に倒せちゃうね」

 

どんどん爆弾を投げて爆破する二人に巻き込まれる俺はダメージ0なのでフレンドリーファイアを気にせず、前線で立ち続けられる。

 

―――まぁ、そんな上手いことが長くは続かないものである。端から端まで守って全力で突っ込んでくるモンスターの進撃は完全に止められるものではない。何より二人は生粋の生産職プレイヤーだ。イズは近接戦闘が得意ではないし、爆弾以外の攻撃スキルは殆どない。セレーネのクロスボウは弓と違い威力は高いものの再装填に時間が掛かる。なので前回と同様にサイナ、フェル、ミーニィと忙しなく動くしかなかった。

 

そして昨日のリベンジを果たすためになんとか65レベルまでクリアすれば、横並びに肩を組むゴーレム達の出現の直前にイズとセレーネと落とし穴を幾つも設置した。

 

「来たか、来い!」

 

全てのスキルを無効化にする状態で凄い勢いで突進してくるゴーレム達と対峙して、横並びに設置した落とし穴を踏み抜いて地面の穴に落ちたゴーレムを見てガッツポーズをしたが、すぐに穴から出てこようとする様子に黙って見ているわけでもなく。

 

「【悪食】!」

 

落とし穴に入ってすぐ、右手で触れたゴーレムが光となってそのまま消えていった。それを他のゴーレムの足でも繰り返すことで、MPに変換され容量オーバーの魔力は魔力結晶として体内に蓄えられていく。

 

「倒したー!」

 

厄介なスキル持ちのゴーレムを全て撃破することに成功した喜びを嚙みしめるも、次のウェーブが待ってもらえない。穴から出た直後にまた大量の鹿が―――。

 

「あれ、モンスターじゃなくない?」

 

「今度は人間相手みたいね」

 

「気を引き締めていくぞ」

 

ではなく、全身型鎧で身に包む刀剣類を武装したNPCの軍勢が押し寄せて来た。その背後から飛来してくる魔法攻撃が、守るべき防壁に直撃してみるみるうちにダメージが蓄積してHPが減って―――。

 

「撤退だ!!」

 

 

 

 

「あ、お帰りー」

 

夜まで防衛と家畜の回収クエストを繰り返し、リヴェリアの家に戻った俺達にイッチョウが食卓の間で出迎えてくれた。一人のんびりとエルフの給仕が淹れてくれたお茶を飲んでいた様子のところを話しかけた。

 

「先に戻っていたのか」

 

「うん、モモちゃんがお友達からの救援要請に応じたからね。こうして私は一足早くのんびりしていたんだよん。掲示板の情報収集を兼ねてね」

 

情報か。あんまり興味が引けるような話題がなさそうなんだが。そういえば、ランキングの方はどうなんだろうか。

 

 

一戦内・個人撃破数ランキング

 

 

1位 死神ハーデス 1098体

 

2位 ペイン     841体

 

3位 ミイ      586体

 

4位 カスミ     417体

 

5位 イズ      401体

 

以下省略・・・・・

 

 

おおう・・・・・圧倒的に勝ってる。そして以外にもだ。

 

「イズ、個人撃破数ランキング5位だぞ。セレーネも10位以内に入ってる」

 

「え、嘘っ!? あ、本当になってる!!」

 

「うわぁ・・・・・ハーデス君と戦っただけでもう? これ、クセになったらこれからも頼っちゃいそう」

 

「頼れ頼れ、異性から頼られるのは男冥利に尽きるってもんだ。こっちも遠慮なく頼るだろうからお互い様だ。で、個人のランキングがこれならペイン達とのパーティの勝負の方は・・・・・」

 

 

討伐数ランキング(一戦)・パーティ部門 ※リアルタイム更新

 

 

死神ハーデス(盾)・イズ(鍛)・セレーネ(鍛)1757体

 

 

ペイン(剣)・ドレッド(軽)・ドラグ(斧)・フレデリカ(魔)1557体

 

 

あっぶねぇー。まだ追い越せる範囲だったか。

 

「すごい! このままいけば不壊のツルハシが手に入る!」

 

「でもこの結果って罠のアイテムを使っていなかった時のでしょう? 落とし穴とか痺れ罠を使って戦ったら・・・・・」

 

今より更に数を増やしていくだろうな。あっちは前線組だし負けず嫌いそうだ。

 

「破壊不能のツルハシなら、マグマの中でも壊れる心配もなく使えるな」

 

「実際、マグマの中ってどんな感じ? 透き通ってる?」

 

「黄色なんだけど真っ白だな。黄色が明るいと白く光って見えるから」

 

「でも赤いよね?」

 

「表面だけな。不壊のツルハシを手に入れたらまた火山に向かうつもりだ。気になる物もあったし」

 

それが何なのか俺でも詳しく調べてないから分からないので何とも言えない。

 

「うーん、三人だけでそれも戦闘が不向きな鍛冶メインのプレイヤーが二人もいるにも拘らず、この結果ってあり得ないねぇ」

 

「後ろからその二人が爆弾を投げつけて来るから数を稼いでいるんだけどな」

 

「フレンドリーファイア上等で? どれだけ硬いのハーデス君」

 

硬いというか・・・・・爆発無効化を経て入手した爆裂魔法があるからなぁ。

 

「今回のイベントが終わったら次はどんなイベントをするのかな」

 

「バトルロワイヤル的なやつじゃないか? それか撮影会」

 

「どうして撮影会?」

 

「自分しか知らない光景、凄い光景、微笑ましい光景がこのゲームの中にたくさん詰まっているからだ。あーアイテムを審査するコンテストもアリか?」

 

「それって生産職のプレイヤーにとっても腕が鳴るイベントね」

 

「アイテムコンテスト・・・・・実現してほしいなぁ」

 

切に願うセレーネはきっと製作した武具のアイテムで優勝を目指すかもしれないな。

 

「ただいま~」

 

「お帰りペイン一行。記録は更新したか?」

 

「ああ、限界寸前まで粘って54レベルまで行ったよ」

 

残念。65まで行ったら何が出たのか知りたかったな。同じ勇者の称号を持っている四人のところにも悪魔が現れて戦うかもしれないからな。案外毒無効化を持っていそうだけど、今度はどんなモンスターを仕掛けてくるんだろうか?

 

「こっちは66レベルまで進んだけど、NPCの帝国の軍人がわんさかと出て来たぞ」

 

「NPCが出てくるの? うわー、凄く大変そうじゃん」

 

「前衛が重装歩兵、大盾と全身型鎧でがっちり守りを固めた陣形で後方から魔法が飛んできて直接壁に攻撃してくるもんだから即撤退したわ」

 

「遠距離から攻撃かよ。厄介じゃないか」

 

そう厄介なんだ。レベルもレベルだしスキルだけで何とかやっていけてきたが、60レベルにもなって無い俺ですら限界を感じる。壁に減少値というプレイヤーを縛る枷がなければ楽なのに。どうしてくれようか。

 

「ペイン達なら攻略できそうか?」

 

「何とも言えないね。まずは71まで攻略しないといけないから、ハーデスが協力してくれるなら心強いよ」

 

「不壊のツルハシが欲しいから無理かな」

 

「あれが欲しいのか? ってそういやそっちは鍛冶メインのプレイヤーがいるんだったな。もしも交換が出来んなら譲ってやってもいいぜ?」

 

「え? いいの?」

 

「攻略組の俺達が生産なんてしないからな。合っても使わないだろうし」

 

「料理だけは私に作らされるんだけどねー!」

 

フレデリカの不満が零れる。

 

「ギルド、クランとか結成してないのか?」

 

「そういう対抗戦イベントがあるなら結成するつもりだよ。ハーデスはするのかい?」

 

「んー考えたことが無いな。・・・・・結成したらテイマーやサモナーだらけのギルドになりそうだし」

 

あー・・・・・と全員がなんか察した風に吐露した。うちのオルト達を目的に加入したがるプレイヤーも確実にいるだろうから穏やかにプレイするなら結成しない方がいいんじゃないかと今思う俺だった。

 

「そういや、今有名なギルドってあるのか?」

 

「炎帝ノ国が盛り上がりを見せているよ。イベントのランキングに『ミィ』というプレイヤーがそのギルドのリーダーだ」

 

ミィか、覚えておこう。

 

「ま、俺達は強い奴を勧誘するだろうがな。ハーデス、お前もギルドを結成する時は誘うからそのつもりで居ろよ」

 

「おっと、ヘッドハンティングされたか? 逆に俺もペイン達を誘うかもよ」

 

「他のプレイヤーとは異なるプレイをして、誰もが思いもしない発見を繰り返すハーデスと一緒にプレイできたら楽しいかもね」

 

「なら、リヴァイアサンのレイドの時は一緒にどうだ? 2パーティ以下なら凄いスキルが手に入るぞ」

 

レジェンドモンスター討伐時に得た称号勇者。二回目に俺は勇者スキルを獲得したからな。

 

「凄いスキルってなんだ?」

 

「名前は【勇者】。使用制限は一日一回。使用すると全ステータスが三倍に倍増。魔王・悪魔に対する与ダメージ大幅上昇。被ダメージ大幅減少。各武器の勇者の奥義が使用できるようになる。以上」

 

「強い!? 凄い!?」

 

「マジか。じゃあそのスキルを持っているお前なら俺達の使う武器、勇者の奥義ってのがわかるんだな?」

 

分からなくはないけど分からないんだよなー。

 

「ああ一応はな。メインとジョブにしてる大盾の場合、相手からの物理と魔法攻撃の吸収安堵解放の効果が発動。テイマーの勇者の奥義はテイムしたモンスターのステータスを飛躍的に上昇するってさ」

 

「普通に強いな。じゃあ斧は?」

 

「ちょっと待って。えーと・・・・・ぶっちゃけ言うと脳筋だな。武器そのものが巨大化、斧使いのスキルが強化、【大地の怒り】ってスキルで相手を行動に不能にする全ステータス分のダメージを与える攻撃が出来る。ただし使用後は【AGI】が一定時間0に減少するってよ」

 

「ドラグのためにあるような奥義だよね。ハーデス、魔法使いの杖はー?」

 

「んと・・・・・【星の魔法】とやらが勇者の奥義らしい。効果もなかなか面白いぞ。相手のスキルを一定時間すべて封印、自身や他のプレイヤーにかかったデバフも消す魔方陣を展開する代わり、使用者は一切の行動が出来なくなるけどな」

 

魔法使いの勇者の奥義の効果に「デメリットはあるけど面白い」とフレデリカはそう感想を述べた。

 

「剣は?」

 

「剣は魔王・悪魔に対して有効的な光と聖属性を兼ねた一撃、VITを無視する【エクスカリバー】を放つことが出来る。ただし、レベル10の経験値を消費しなくちゃならないかなりのデメリットがあるぞ。その分、攻撃力は全職業の中で最強だ。ついでに大剣の場合は剣の奥義と同じだけどレベル20分の経験値を消費しなきゃならない」

 

「なるほど、興味深い奥義だね」

 

「因みに俺は?」

 

「短剣だっけ? 短剣の奥義の発動中はランダムでデバフ効果を与える【暗技】ってさ」

 

「相手が回避特化と弓使い相手だったら、お前が一方的に負けそうだなドレッドの奥義は」

 

「当たらなきゃノロマに下がるポンコツ奥義よりはマシだろうさ」

 

なら、実際に斧使いの奥義の威力を経験してみるか。俺の動きについてこられるのか。と言い合いを始め出す二人を他所にイズとセレーネから質問を受けた。

 

「鍛冶師の武器の勇者奥義ってある?」

 

「鍛冶師の武器は・・・・・【壊造】。形ある物を破壊して新しく造り替えるって」

 

「形ある物を壊して新しく造り替える・・・・・戦闘向けではないんだね」

 

それ以前に勇者の称号がない鍛冶師には無縁なスキルだろこれ。それを可能なのはこの場にいる俺とペイン一行だけだぞ。うーん、2パーティ以下。12人か。もしかして職業関係なく12人の勇者が(勇者スキル込み)揃わないと魔王ちゃんを倒せないのか? それはそれで厄介だな。レジェンダリーの装備についてはユーミルに訊いてみよう。

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