バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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鶏? いいえ神獣です

眠る美女達が目を覚まし、長老からいやらしい言葉を頂戴して羞恥と怒りで実の父親を魔法でぶっ飛ばしたエルフを見ることになった朝を迎えた。気分的に久し振りな畑に戻って作業を終わらせるとお馴染みの鍛冶屋に訪れた。ドワーフの国に行く以来だったからこっちも久し振りだな、と思っていたら。

 

「おい、ここに名匠の上位職、古匠のNPCがいるって本当か?」

 

「本当だって。始まりの町なのに上位の鍛冶職のNPCが作る装備はマジで凄いんだって。お前も作ってもらえよ。最前線にいる攻略組がほとんどここに戻ってきて、古匠が作る装備を求めるほどなんだからさ」

 

「すみませーん。この防具と武器はいくらですかー?」

 

「おい押すなよ!」

 

「周りが押し寄せてくるんだよっ!」

 

すんごい人混みだ。燃やしたらよく燃えそうだな。

 

「ハーデス、鍛冶屋に用があるの?」

 

「花見の時に来てくれた筋骨隆々のNPCがいただろう? ヘパーイストスって鍛冶の男がこの店の主なんだ」

 

「もしかしなくても常連さん?」

 

「何度も専用クエストをするぐらいにな」

 

「・・・ハーデスが中々前に進まない理由が分かってきたかも」

 

そうだなぁ・・・・・何で前に進めないんだかな。

 

「あっ、鍛冶師から借りてるって言ってた指輪の持ち主ってあの人なんだ?」

 

店から出てきたヘパーイストスに指すフレデリカ。そうだと頷きかけた瞬間。

 

「朝からうるせぇぞクソガキどもが!!! 作業の邪魔をするんじゃねえっ!!! 集中できねぇだろうがぁっ!!!」

 

二つの大きな鉄槌を同時に振り上げて、プレイヤーに振り下ろし、凪払い出すバーサーカーと化した!? 彼の一撃はプレイヤー達を軒並みに倒していくが、ここにいるプレイヤーは俺より強くはないが弱くはないはずなのに一撃で倒していく様に俺とフレデリカはがく然とした。

 

「えっ!? NPCがプレイヤーを倒すの!?」

 

「俺も初めて見たぞ。ヘパーイストスが、の話で」

 

敵わない相手と認識した一堂にいたプレイヤーが蜘蛛の子が散るように逃げていく。殴られたことがある俺ですら痛いと感じさせられたから、すぐ目の前で襲われる怖さは他人事ではない。フレデリカを抱き寄せ、プレイヤーがいなくなるのをじっと待ってれば騒がしかった真逆の閑古鳥が鳴く光景になった。

 

「あー、ヘパーイストス」

 

「あん? 坊主か。今丁度休憩するところだから入れ。用があるんだろ」

 

汗すら流さす事をしてないと風に普通に誘ってくるヘパーイストス。断る理由もないからお邪魔させてもらい店内に入ると。

 

「うわ、様変わりしたな」

 

いかにも始まりの町として初心者の装備が飾られて販売されていたのに、見ない間に上級者の装備やリフォームした店内が俺達を出迎えてくれた。古い木造の家が一から形を変えないまま、新しい木造の家に立て替えた感じだ。

 

「古匠に至れた俺だけじゃなく店ン中ぐらい見映えよくしとかないとなって思ってよ」

 

「そうなんだ。うん、見映えよくしたとはいえ鍛冶師の店にぴったりだと思うよ。高級な建物のような立派なよりも、素朴で質素な感じの方が鍛冶屋だ」

 

「そこまで誉めるなっ! 背中が痒くなるっ!」

 

「おっ、ハーデス。久し振りだな」

 

ヴェルフが朗らかに話しかけてきた。こいつも久し振り・・・・・。

 

「ヴェルフ、なんか変わったか?」

 

言葉に表すことはできないが、強いて言えば風格? 見に纏うオーラが変わってる気がする。

 

「あー・・・・・分かってしまうか? 先日、師匠から匠の鍛冶師に昇格してくれたんだ」

 

「おおー! 見習い鍛冶師からついにか! おめでとう!」

 

「ありがとう。これからは名匠の鍛冶師になれるよう頑張るぜ」

 

「応援するぞ。手伝ってほしいことがあるなら協力もする」

 

さてそろそろ本題だ。

 

「ヘパーイストス。長々と借りてた指輪を返す時が近づいてきた。古匠になったなら問題なく作れるはずだろ?」

 

「だが、お前の要望に応えるような素材は中々手に入らないぞ」

 

「これならどうだ」

 

それをヘパーイストスに手渡す。職人の手に収まってるのは市場には絶対流出しない幻の鉱石と過言ではないオリハルコンだ。

 

「ッ!!!」

 

ヘパーイストスは一目見て、触れて感じた鉱石が普通ではないことぐらいは気づいただろう。震える声音で訊いてくる。

 

「坊主。こ、こりゃぁ・・・・・」

 

「オリハルコンだ。素材として相応しいだろ」

 

「「オリハルコンっ!!?」」

 

ヴェルフまでもおっかなびっくりな反応で師匠の横からオリハルコンを凝視する。その目付き、師匠譲りだな。

 

「お、おおお・・・・・っ。こ、これが生涯触ることもないまま死ぬだろうと思っていた夢見まで見た幻の鉱石っ!!」

 

「とても綺麗だ。これを新しい形に代えるなんて烏滸がましいって思えるぐらい、鍛冶師を魅了してくれる輝きを放っていやがる」

 

・・・・・なんか、ヒヒイロノカネで造られた刀に魅了されたヘパーイストスの時よりも危なっかしい気配が。

 

「それで同じ指輪に・・・・・」

 

「何て事を言うんだ!? オリハルコンだぞ? あのオリハルコンが現ナマでここにあるってのにすぐに壊せって俺達を泣かせる気か!!」

 

「頼むっ、しばらくの間だけでいいからこのままにさせてくれぇ!!」

 

やばい、ストッパーのヴェルフまでおかしくなった。

 

「ユーミルにやらせ・・・・・」

 

「待て止めろ! 頑固ジジイにこれを渡したら死んで骨になっても手放さねぇぞ!! それでいいのか!?」

 

「今のお前らとたいして変わらねぇよアホンダラ!!」

 

ダメだこいつら、何とかしないと!

 

「今すぐにしてくれって話じゃないから慌てるな。素材を揃えてからだ」

 

「な、なんだ・・・・・それなら早く言いやがれ」

 

安堵するヘパーイストスの肩にごめんごめんと込めて叩きながらオリハルコンを触れてアイテムボックスに仕舞う。

 

「あっ!? 何で仕舞うっ!」

 

「俺のだから仕舞って当然だろ。預けに来たんじゃないんだ」

 

「・・・・・もっと見てみたかった」

 

ヴェルフお前までもか・・・・・。嘆息させてくれる青年に溜息を吐いていたらフレデリカから質問を受けた。

 

「ユーミルって誰? 女のNPC?」

 

あの時一緒にいたんだがな。まぁ、NPCじゃなくてペイン達と話してばかりだから知らないのも当然か。

 

「ヘパーイストスの鍛冶師の師匠でドワーフだ。花見の時にも来ていたぞ。鍛冶師の上位職、古匠より更に上位の神匠に至った唯一の存在だ。俺のこの鎧、ユニーク装備を作れる伝説の職人だと認識しても問題ない」

 

詳しく知らなかったフレデリカは神匠の凄さ、それをいまいちよく分からずな様子で、ふーんと言うだけで終わった。

 

「ハーデス、なんなら私のあげようか? オリハルコン」

 

フレデリカからの突然の申し出に首を横に振って拒絶した。

 

「それはフレデリカの分だ。自分のために使え」

 

「でも、ハーデスのようにしたら同じことになりそうだし」

 

できない。・・・・・鍛冶師全般的がヘパーイストスみたいだったら、否定できない。

 

「それに魔法使いのオリハルコン製の装備って思い付かないんだよね」

 

そう言えばそうだな?

 

「ヘパーイストス。実際にどんな感じになる? 魔法使い専用のオリハルコンの装備って」

 

「専門分野が違うから俺も分からない。魔法使いなら錬金術で何らかの形にするべきだと思うが、現代の魔法使い、錬金術師がオリハルコンを扱えるとは思えないな。なんせ伝説と語られてきた幻の鉱石だ。扱ったことがある人間なんてとうにいないだろう」

 

「そう? ならいいんだけどこれからどうするの?」

 

「ドワルティアに行くつもりだ。【マグマ無効化】がないと行けれない場所に気になるのがあったから」

 

「うわー・・・・・絶対普通じゃないルートで行くつもりだよ」

 

「寧ろ普通じゃないところに様々な発見が多いぞ。そのおかげで現在進行形、強くなってるんだからな」

 

何となく俺の強さの秘訣を知っただろう彼女にも、これからどうすると尋ねた。

 

「ついて行きたい気持ちもあるんだけど、そのスキルを持ってないから別行動かな」

 

「んー・・・・・ちょっとサイナに訊いてみようか」

 

もしかしたら可能性があるかもしれない。俺のスキルを共有して使える彼女ならもしかしたらだ。畑に足を運んで、後から来ていたリヴェリアがオルト達と戯れていた姿を横目にサイナに問うた。

 

「サイナ、今のお前ならマグマの中に入れるか?」

 

「肯定。マスターの【マグマ無効化】は当機の私にも共有されております」

 

「んじゃ、マグマの中でも溶けない機械って作れたり出来ないか? もしくはロボットだったら?」

 

「問題ございません」

 

よし、決まりだな。フレデリカ、一緒に行けるぞ。え、本当に大丈夫? 安心しろ不安と不可能を乗り越えることが出来れば誰よりも楽しめるさ。

 

 

「ということでやってまいりましたドワルティアの始原の火山の火口へ! ただし、意外とちらほらとプレイヤーがいるな」

 

「ハーデス達がラヴァ・ゴーレムの攻略法を動画配信したからね」

 

それを見て自分たちも攻略してみようってプレイヤーか。パーティ、2パーティ以下かそれ以上の数で挑んでいるプレイヤーの戦闘が終わるまで待っている俺達であった。

 

「おっと、ラヴァ・ゴーレムの大噴火が地中からプレイヤー達を襲いかかった。掠っただけでも装備の耐久値とHPがゴリゴリと減らしそうな危険な攻撃にプレイヤー達は初の戦闘なのか慌てているな」

 

「なに突然、実況みたいな言い方?」

 

「実際そうだからな。と言うか今更なんだが、ボスって何種類いる?」

 

なにそれ? と風にフレデリカは不思議そうに見つめて来る。

 

「フィールドにいるボスとダンジョンにいるボスにレジェンドレイドのボスと3種類以外にもいるのかなと」

 

「ああそういうこと。多分それしかいないと思うよ」

 

「じゃあ最大ボス相手に何人プレイヤーが同時で戦える?」

 

「β版時にレッサーベヒモスと戦った人数は最大50人だって聞いたよ」

 

「ダンジョンボスはレイド用のボスだと思う?」

 

「うーん、誰もそのぐらいの人数で挑んでいないと思うからわからないな」

 

ボスについて語り合っていると、程なくしてラヴァ・ゴーレムと戦っていたパーティの方は辛勝の結果で終えた。そして次は俺達の番だ。

 

「来るよハーデス」

 

火口のマグマがゆっくりと盛り上がり溶岩の身体で迫って来るラヴァ・ゴーレムにラヴァピッケルと不壊のツルハシを構えた。

 

「・・・・・ハーデス? どうやってそれで戦うの?」

 

「ちょっと検証したいことがあって。まぁ、見ててくれ」

 

足を前に運びラヴァ・ゴーレムの拳が迫ってこようと不壊のツルハシで弾き返し、がら空きになった懐に文字通りラヴァ・ゴーレムの溶岩の中に飛び込んだ。お邪魔しまーす。お、魔高炉あった。そーれ!!

 

 

フレデリカside

 

 

何を考えてラヴァ・ゴーレムの中に入っていたハーデスが、何かしているとしか考えられない。身をよじってうめき声をあけ、放っておけば自然回復するはずがダメージ量が一気に二割減って回復量より多いから・・・・・あっ、ラヴァ・ゴーレムが崩れた。

 

「はっはっー!! 予想通りぃー!」

 

溶岩から出てきて二つのツルハシを掲げ、完全勝利を果たした歓喜の雄叫びをあげた。誰もが考えもせず、考えても実行しないことをやってのけるハーデスは誰よりも早く強くなったのだと、直接戦う彼を見て私は悟った。ペインより楽しんで強くなっているんだと。

 

「凄い、レベルも上がってる」

 

そした殆んどハーデス一人で勝ち続けてきたんだろう。これからもハーデスと一緒にいたら強くなれるのかな?

 

「フレデリカー、行くぞー」

 

「うん!」

 

ロボットを召喚したハーデスから呼ばれ、足を動かす。操縦席が二つあるから・・・・・あれ、私はどこで?

 

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

ラヴァ・ゴーレムを倒してすぐに火口の中にロボットで潜った。本当に装甲が溶けず、コックピットにいる俺達にもダメージが一切ない。凄いロボットだなー棒読み。

 

「・・・・・」

 

画面いっぱいに映るマグマを見てるフレデリカは、俺の膝の上に乗って借りてきた猫のように大人しくしてる。

 

「どうしたフレデリカ」

 

「こんな、密室で膝の上に乗せられるのが恥ずかしいんだけど」

 

「今だけは我慢してくれ」

 

彼女の前に腕を回して抱き締める。肩を震わすが何も言わず俺に抱き締められながら手も握られて無言を貫く。

 

ズシンッ。

 

「マスター、着地しました」

 

「さーて、あの場所の方へ向かおう。えーとあっちだ」

 

操縦士サイナが俺の記憶に残ってるあの不思議な場所へとロボットを動かし続けた。何度か採取ポイントが目につくけど目的地へ優先だ。そして端っこにまで進んだ先にある壁を登り、マグマから空気ある空間に、中心に鎮座する黒い塊がある場所へたどり着いたのだった。

 

「ここだ」

 

「空気がある。モンスターもいない場所? どの辺りに私達はいるの?」

 

「地上から約1000メートル下に潜りました」

 

通りで長く潜っているわけだ。そして気になっていたあれはなんだろうな。改めて調べよう。

 

「ベヒモスと戦う前はコロシアムのような建造物があった。その中でベヒモスと戦ったんだが、この静寂さはその時に似ている」

 

「じゃあ、凄く強いモンスターが出てくるかもしれないってこと?」

 

可能性の話だがな。黒い大きな塊を触れる。こんな場所の中にあるってのに冷たい。肌触りはゴツゴツとざらつきがある。

 

「サイナ、これ調べられる?」

 

「肯定。調べますか」

 

お願い。サイナに頼み黒い塊を機械で調べて貰う間に動画配信しながら周辺の調査でもしようか。赤熱した岩石で囲まれた空間。採取ポイントのマークはなく、一見なにもないただの空間のフィールドとも思われる。だから逆に不思議なんだよな。

 

「告。微弱な生命体の反応が確認されました。どうなされますか?」

 

「藪をつついて蛇を出すか出さないかだな」

 

「どんなモンスターが出てくるのかもわからないしねぇ。これって掘れる?」

 

コンコンと黒い塊を杖で叩くフレデリカの疑問を解消しよう。ラヴァピッケルを勢い良く振り下ろしてぶつけると、ガッ! と突き刺さるだけの硬さを感じさせられた。

 

「無理だな。鉄を叩いてる硬さだ。そもそもこれは殻なのかも怪しい」

 

「卵の殻だったら簡単に割れるもんね」

 

「ダチョウの卵の殻はとても堅いらしいぞ。と言うかこれは卵なのか?」

 

「ラヴァ・ゴーレムの溶鉱炉と同じ物質です」

 

掘れねぇわけだよ。うーん・・・・・。それなら溶岩魔人(ラヴァ・ゴーレム)になって温めてみるか? それともマグマを掛けてみるべきか?

 

「気になるならやってみれば?」

 

フレデリカから考えている俺の気持ちを酌んでくれたのでそうする。ここに来る直前に採取した黄金のマグマこと『大地の生命の源』を取り出して黒い塊に掛けた。

 

「「「・・・・・」」」

 

変化は・・・・・なかなか起きない。足りないのかそれとも温めないといけないか、それともクエストを発生させてからなのかもしれない。

 

「あっ、表面が赤く光り出したよ」

 

「微弱な生命体の反応も少し活発的になっております」

 

・・・・・決まりだな。

 

それから俺は溶岩魔人(ラヴァ・ゴーレム)に変身して親鳥のように黒い塊を温めることにした。塊の表面に浮かぶ光も時間が経過するとともに徐々に強さを増していっているのが判り、それが最高潮に達した瞬間。黒い塊が迸り出す閃光と共に真上へ弾け飛びだし、空中で何かが見えて来た。長い鳥の尾、燃える鶏冠、短い嘴に知性が孕んだ瞳を持つ鳥・・・・・。

 

「・・・・・鶏?」

 

「いやいや、赤い身体から金色の炎のようなオーラを放っている鳥が鶏の筈がないだろ。まだ幼体の雛鳥・・・・・。」

 

黒い塊から出てきた鳥は大きく(短い)翼を広げ高らかに鳴いた。

 

 

コケコッコォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

「やっぱり鶏じゃん!!!」

 

「酷い残念感が半端ないよ!! 人がそれとなく否定したのにこの鳥がぁああああああああああああああああああ!!!」

 

 

カラーン、カラーンと荘厳な鐘の音が鳴り響く。ログインしている全プレイヤーの殆んどが何事かとアナウンスに思わず動きを停めて耳を傾けた。

 

 

『ニューワールド・オンラインをプレイされている全てのプレイヤーの皆様にお知らせ致します』

 

 

あ、この展開はまた白銀さんか。と思わずにはいられないプレイヤーが続出する最中、報告が続けられる。

 

 

『現時刻を持ちまして、通常モンスター以外にテイム可能の新たなレジェンドモンスターが出現しましたことをお伝えします。四方の至る地でプレイヤー達を待ち構えます。どうぞニューワールド・オンラインを楽しんでください』

 

 

「テイム可能なレジェンドモンスター!?」

 

「おいモンスター図鑑を見てみろよ。100ぐらい未確認のモンスターが更新されて増えてるぞ」

 

「あっ、白銀さんの銀色の狼が表示されてる!! レジェンドモンスターって幻獣種のことか!!」

 

「新しいモフモフをテイムできるわ!! どこ、どこにいるの!?」

 

 

外でそんな騒ぎになっていることを知らないでいる俺達は、目の前に降りて来る鶏もどきに視線を落としていた。さっきのアナウンスからしてこの鳥もレジェンドモンスターなんだろうな。

 

『私を目覚めさせたのはお前達だな』

 

「あ、はい」

 

『この場にまで来られる生物どころか、最初に私を目覚めさせた者は一人もいなかった。深く長い眠りついている間に資格を持つ者が我等に接触する時は世界に大いなる危機が迫っている兆候である』

 

魔王ちゃん達がいるからかな。大いなる危機という実感はまだないんだが。

 

『ふむ。お前達は資格を得ているようだな。勇気ある者達が同時に二人もとは』

 

「・・・・・勇者のこと?」

 

「恐らくな」

 

『問おう。汝らはこの鳳凰に何を求む』

 

鳳凰って・・・・・中国の霊鳥じゃん・・・・・・。

 

「いや、何も求めない」

 

『なに?』

 

「うん、私は付き添いできただけで別に何か欲しいわけじゃないし」

 

こっちの返答に対して、凄く信じられないと嘴が開いた状態で驚いている鳳凰を置いてロボットへ踵を返して乗り込む。

 

「それじゃ、元気でな」

 

「バイバーイ」

 

『―――いや!? 待て待てお前達!! 帰られてはこちらが困るぅー!?』

 

コックピットのハッチが閉じる隙間に飛び込んできやがった鳳凰。

 

「おいコラっ!?」

 

「いったー!?」

 

『何も求めないとは何という無欲な!! 普通、私を欲するか私の恩恵を求めるかであろうに!!』

 

「どっちも欲しくないから帰るんだよ!」

 

翼で必死に抱き着いて俺達から離れんとしながら鳳凰の癖に涙目で訴えて来た。

 

『後生のお願いだ頼むっ、私に課せられた使命を果たさせてくれっ!! このままでは「お前、またスルーされたのかw」と他の者達に小ばかにされるのが目に見えるのだ!!』

 

そんな事こっちが知るかぁー!!

 

「だぁー!! 離れろ、何でかお前がひっつくとダメージが入るんだよ!!」

 

『ふふん、それはそうだろう。私の身体に纏う金炎は―――』

 

「自慢話はどうでもいい!! サイナ、さっさと火口のところへ戻るぞ!!」

 

「告。内部から膨大な熱量によって当機がオーバーヒートの状態です。冷却システムが作動しません。操縦不能」

 

お前が原因かこの焼き鳥ぃいいいいいいっ!! あ、HPが一度だけ1に留まったけど0になった瞬間目の前が真っ暗に・・・・・!!

 

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