すぐ近くの町、ドワルティアに死に戻ったフレデリカと深い溜息を吐く。あの迷惑千万な焼き鳥に悪意のない事故で初めて死に戻らされるとは・・・・・。
「何という、死にパターンだ・・・・・。初めて死に戻りしたのが鶏もどきのせいだなんて」
「もう絶対、2度とあの場所には行かないよ・・・・・」
「気になっていたことが解消したからな。行く理由もなくなった以上、会うつもりもない」
サイナと離れ離れになってしまったけど、マグマの中でも活動できるから戻って来られるだろう。戻ってくるまで待つとしようか。
「ああ、そうだ。神匠のドワーフに会いに行くか? オリハルコン製の魔法使いの装備を作ってくれるかもしれないぞ」
「始まりの町にいた鍛冶師みたいにならないかな」
「・・・そうではないことを祈りた―――」
「マスター。ただいま戻りました」
早っ!? もう、戻ってきたのか。・・・・・んんー?
「サイナ、ソレはどうしたのかな」
「遺憾。勝手についてきました」
『勝手にどこかに行くではないぞお前達!!』
あの場から離れられないという認識はしていないと言えば嘘になるが、少し自由過ぎじゃありませんかねぇ~? サイナの頭の上に我が物顔で鎮座する俺達を死に戻りにした元凶がいた。
「おいコラ焼き鳥。お前のせいで俺達は無駄に死んだぞ。どう責任取ってくれる」
『うっ、それについてはどうしようもないことである。私の纏う金炎は他者の接触を拒むかつ、存在そのものが消えてなくならない限りは燃えてしまうのだ。い、今はその力を抑えておるから平気であろう?』
「「最初からやれっ!!」」
フレデリカも思うところがあったようで一緒に怒りながらツッコミをいれた。
「それで、火山の中から離れてまでどうして私達のところにくるのさ」
『私の話を最後まで聞いてくれぬからだ!!』
「どうせ何かを欲するなら更なる資格を得る為に戦えって感じだろ」
『それは戦いを好む連中が勝手にしている決まりだ。私達のような存在は資格ある人間達には力を認め、無償で力を貸すことにしている』
でも、そうじゃない奴も必ずいるという事か。
『私は真の意味で数多に存在する同胞達より、何かの為に命を投げ出してまでやって来られない場所で待っていたのだ。お前達はそれを乗り越えて私を目覚めさせたのだ。力を欲するならば快く私の恩恵を授けよう、そう思っていたのにお前達は・・・・・!!』
何で俺達が悪いみたいに言われているんだろうか・・・・・。ちゃんと最後まで話を聞かなかったことに関しては悪かったけどさぁ。
『これで理解したか!!』
「あー、うん。まぁ、したけど釈然としないこの気持ちはどうすればいいだろうか」
「一先ず横に置いて恩恵の話でも聞かない?」
・・・・・そうするか。悪い話でもなさそうだし。
「で、恩恵と言うのは?」
『私の金炎の衣だ。纏えば外敵との接触の際にダメージを与え、炎の威力が更に上がる。そして私と契約すれば金炎の衣はバージョンアップし、攻撃に炎のエンチャントが付加され不死鳥フェニックスのごとく燃え盛る炎から甦ることが可能だ』
「契約したらお前の他の同胞とも契約は出来なくなるのか?」
『資格がない者であれば過ぎたる力は身を滅ぼすことになる。資格ある者は正しい力の使い方をすればいずれ出会うだろう神獣にも認められよう』
たった三人しかいない神獣使い達も鳳凰達と契約をして使役することが出来たのか?
「契約とテイムの違いはあるか?」
「当然違う。私達は直接資格ある者に協力することは一切ない。基本的に認めた資格ある者に私達の力を与えるだけだが、共に戦う物好きな同胞もいる。既にお前のところにもおるような物好きがな」
フェルのことか。
『聞きたい話は以上か? ならば私と契約をしよう』
「力を欲する理由は聞かなくていいのか」
『同胞を抱え込んでおる者に興味を持ったから聞いただけのこと』
鳳凰の話を聞き改めてフレデリカと相談するまでもなく、契約することにした。俺達の身体に熱くない金色の炎が燃え盛ると胸の中心に吸い込まれる。
『幻獣「鳳凰」との契約が成功しました。鳳凰の恩恵を得たことでスキル【金炎の衣】を習得しました』
【金炎の衣】の効果は鳳凰が言っていたのと同じ情報が記されている。他のスキルとは格が違うな。これからも幻獣と出会えたら積極的に恩恵を得よう。
「ありがとうな。ついでに訊くがお前はこれからどうするんだ」
『資格ある者の傍にいさせてもらおう。初めての外界であるからな。お前達が見ている物と同じ物を見てみたい。だが、先ほども言ったが力を与えるだけで協力することはない。努々忘れるではないぞ』
ペット扱い的な感じになったのか鳳凰が。
『しかしだ、どうしてもというならお前達に一つ頼みがある』
「頼みって?」
『私の番を探してきてほしい。私の考えに沿えず別の場所で資格ある者を待ち続けている。彼は今どこにいるのか分からないのだ』
ん? 彼・・・・・?
「お前、雌の方だったのか?」
『どこからどう見ても美しい凰ではないか』
いや器用に腰に翼を追ってふんぞり返ながらドヤ顔されても判らんがな。
「取り敢えず、王様のところに行くか」
「友達感覚に言うけど簡単に会えるわけ?」
「友達になったから会えるんだよ。立場の偉い人から報酬は何がいいのかと言われたら、友達になりたいと言うのが正解だ。その後王様から頼み事と言うクエストを受けられるようになるんだからな」
「意外と世渡り上手だ」
「一番強くなるために戦うだけがゲームの楽しみじゃないぜ攻略組さんよ」
「前線まで進んでいないプレイヤーの言葉の重みは違うねぇ~」
こうして鳳凰を仲間? に加えた俺達はドワーフの城へと飛んで向かった。門番しているドワーフ達には顔パスで通してもらい、城の中にいる衛兵に俺が来た事、会えないかと伝えてもらい少しして謁見を許されたので開かれる王座の間の扉を潜って久しぶりに王様と会うことが出来た。
「久しぶり王様」
「久しいな勇者殿。今日は何用で来たのだ? 兄者なら工房に籠ってばかりでこちらの仕事を手伝いもせんのだよ」
「神匠に至ったドワーフは忙しいんじゃないのか? まぁ、今日は王様に教えてほしいことがあるんだ」
オリハルコンをアイテムボックスから取り出して見せる。
「このオリハルコンで魔法使いの装備は創れるのか?」
「んなっ、オ、オリハルコンだとぉおおおおおおおおおおお!?」
王座から勢いよく飛び出してくるドワーフ王の速度に負けない別の方から小さな影が迫って来た。二人同時に怖い目でオリハルコンを凝視する。フレデリカはドン引きだ。
「おお・・・・・っ。これが伝説の鉱石っ。融通の利かんエルフ達の秘宝が目の前にっ!!」
「・・・・・素晴らしい。これなら生涯最高の作品が出来上がる」
ヘパーイストスの言う通りになり兼ねんな。オリハルコンの魅力凄すぎる。
「俺の質問の答えは?」
「むっ、ドワーフは木材も扱うが武器とは金属と鉱物が主流だ。魔法使いの武器とは杖と魔法石。魔法に必要な魔力を効率よく循環させて暴発せんように作られているのだ。魔力との相性が抜群の鉱物、ミスリルのような物であれば話は変わるがな」
「魔法の書的な物は?」
「ああいうのは、俺達ドワーフからすれば見よう見まねで子供でも使えるよう本に記録された知識だ」
大体あっているな。そしてだからこそ本当に希少価値がある魔導書は高いと聞く。
「魔法使いがオリハルコンどころか鉱物の装備を欲しがる、なんて話は聞いたこともない。杖と魔法石が欲するなら同じ魔法使いと錬金術師の者に尋ねるべきだ。火と鉄を司るドワーフができる領分の話ではない」
と語るドワーフ王は毛むくじゃらな顎髭を擦る仕草をした。
「確か、錬金術しか作られぬ賢者の石というものはオリハルコンを素材に使うとか聞かぬかったか兄者」
「・・・・・ああ、どこかで聞いた。その昔に始原の火山からオリハルコンやヒヒイロカネのような鉱物が多く発掘された黄金時代の話を信じ、この国に訪れる人間は数世紀も後を絶たなかったな」
「親父殿の親父殿、そのまた親父殿もオリハルコンを欲しがるあまりに、火山のありとあらゆる場所を掘り起こしたとも酒の肴に話しておったの。その中にはエルフも交じっていたとか」
中々興味がある話をするドワーフ達の話を成長し続ける。クエストでも発生するかな?
「地龍もやっぱりオリハルコンを食べるのか?」
「好物を喰らう龍だからな。掘り起こしていない所まで地龍が探し喰らい尽くされたのやもしれん。おのれ、モグラもどきめっ・・・・・!!」
「・・・・・許すまじ」
ドワーフと地龍の犬猿の仲を見せられた気がする。
「地龍か・・・テイムしたら鉱石発見にかなり役立ちそうだ」
「むっ、その発想はなかったな。だが、先の件で地龍を討伐できる武器の製作をドワーフ達が夢中になっておるからできん話だな。骨となってもその硬さは生前のままだからな。今では誰が地龍の骨を壊せるか切磋琢磨してるほど燃え上がっておるわい」
骨でも生前の硬さって・・・・・。
「地龍は数多の鉱石を喰って成長してんなら、骨そのものが鉱石の類なんじゃ???」
と素朴な疑問を口にしたら、ドワーフ王とユーミルがあらん限りに目を見開いて「その考えはなかった!!」と驚いた。
「・・・・・新種の鉱物の発見の可能性がある」
「灯台下暗しとはまさにこれだ。行くぞ兄者!!」
あっ、凄い勢いで出て行った。王が王城から離れてもいいのかねぇ。
『ふむ、地龍か。同じく鉱物を喰らう巨大なミミズとよく捕食し合っていたな』
不意にサイナの頭が気に入っているのか、微動だにしないで居座っている鳳凰が昔を思い出した風に吐露した。
「何そのモンスター」
『お互い鉱物を喰らって成長する者同士故、永く生きて成長したその身は鉱物を喰らう側として豪華な餌だ。その身体から発する鉱物の匂いに引き寄せら鉢合うことになればどちらかが喰らわれるまで戦いは止めん。死後、骨となっても喰らいに来るほどだ』
骨になっても喰らいに来る? おいそれって・・・・・。
「・・・・・嫌な予感してきた」
「うん、訊いてて私もそう思った」
ちょっとイズとセレーネも伝えておこうかなと思っていた時に―――城の中まで伝わる大きな地震が感じた。
『むっ、この揺れは・・・・・件のミミズが来たようだな。それも相当大きいぞ』
「「えっ!?」」
『もしくは、お前が持っているオリハルコンの匂いでも嗅ぎ付けて来たのかもな』
・・・・・やばい、それって俺のせいじゃん!?
「私もかもよハーデス。オリハルコン、持ってるから」
「だとしたら、ここにいちゃダメだな。火山ダンジョンに行くぞフレデリカ」
地龍の件に関わってる俺だから分かる。どこにでも地中から現れるなら城の真下から絶対に来る!!
フレデリカを抱えて【飛翔】で城から飛び出し、急いで火山へ向かう途中に知り合いの鍛冶師達に連絡する。
「イズ、セレーネ!!」
『え、どうしたのハーデス。そんなに慌てて』
「今すぐドワルティアに来てくれ!! 地龍の問題に続く問題が発生した!!」
『ど、どうしてっ!?』
「鉱物を喰らうモンスターがもう一種いたんだ。地龍の骨を喰らいにそのモンスターが現れる予兆が今起きてる!! あと、オリハルコンを持ってる俺達のせいかも」
『オリハルコンっ!?』
『待って、本当に持っているなら一目見させて!! 今すぐセレーネと一緒に行くから!!』
鍛冶師はどこまで行っても鍛冶師のようだ。珍しい鉱石に凄く食いついてきたぞ。
「何か、オリハルコンと訊いたら凄く気合入ってたね」
「鍛冶師だから」
「納得」
鉄火の鍛冶場を通り過ぎ、地龍の骨が視界に入った途端に地面から巨大な何かが大穴を開けて飛び出して来た。それは地龍の骨をも呑み込み、空中にいる俺達にまで迫って来る前に回避した。
「これが、鉱物を喰らうミミズってか」
「お、大きい・・・・・」
全長数十メートル。寸胴という言葉の概念を超えた横幅も数十メートルはある。体の表面は長年鉱物を喰らってきた証としてか光沢を発している。目と耳が見当たらない代わりに、ぐぱぁと開く凶悪な無数の牙を生え揃った口がこっちに向けて来る。
「本当にオリハルコンの匂いに嗅ぎ付けて来たのかよ」
「アイテムボックスの中にあるのにどうやってだろうね。それにあれ見てよ。所々採掘できるマークがあるよ」
地龍より多いな。さて、こいつを火山の方へ誘導しなくちゃな。オリハルコンを出してっと。
「ほらミミズ野郎。これが食べたいならこっちにこい」
シャァアアアアアアアアアアアアアッ!!
俺達=オリハルコンを狙いに襲い掛かる鉱物喰らいのミミズ。鉄火の鍛冶場と隣接してる火山ダンジョンに繋がる小さな洞窟へ飛び込んで出た瞬間に、潜った洞窟を更に大きく拡張してくるミミズ。
「フレデリカ、念のためにお前のオリハルコンを預からせてくれないか。意外と敏捷がある相手だ」
「私じゃあ簡単に追いつかれそうだね。そうしてもらうよ」
もう一つのオリハルコンをフレデリカから預かり、サイナに彼女を預けて離れてもらってもミミズは俺にだけ意識を向けているようで二人の存在を完全に無視している。
「サイナ! フレデリカのサポートをしながら攻撃してくれ!」
「了解しました」
「鳳凰の恩恵の力をこんなに早く使う時が来るなんてねー」
まったくだ。そんじゃあ、戦闘開始だ。
「「【金炎の衣】!」」
金色の炎のオーラが全身を包み込み、不壊のツルハシにも金炎が纏う。
「せっかくだ。前回できなかった採掘をお前でしてやるよ!!」
イズside
地龍に続く問題が発生したとハーデスから聞いた途端にセレーネと合流して急いでドワルティアへ転移門で向かった。鍛冶師の足じゃあ走っても遅いから機械の町で購入した浮遊機能のがある道具で空から速く、可能性として火山ダンジョンにいるかもしれないと思って飛んでいたら、鉄火の鍛冶場に大きな穴が開いていたことに気付いた。確かあそこって地龍の骨が置かれていたんじゃあ・・・・・? 地龍が掘って開けた穴より数倍大きい。そんな相手とハーデスが? ちょっとだけ心配して、火山ダンジョンに繋がる何故か大きくなってる洞窟へ向かい潜った先に―――。
「【咆哮】!! よしよしまだ動くなよ掘りたいところがまだたくさんあるから~の【咆哮】!!」
「・・・・・中々質のいい鉱石。もっと掘る」
「おうお前達っ!! お前達の鍛冶場を滅茶苦茶にしたこいつから代償として掘れるところからどんどん掘ってやれっ!! ドワーフの鍛冶場のクソ力を思い知らせてやるのだ!!」
『うおぉおおおおおおおおおおおおっ!!』
巨大で身体が細長いモンスターの動きを止めるハーデスとそれに群がってツルハシを片手に攻撃? をしているドワーフの人達。王様とユーミルさんまで交じってるこの光景は一体・・・・・。
「あ、来た来た」
「フレデリカちゃん?」
「2人も早く参加した方がいいよー。そろそろモンスターのHPが無くなりかけてるから」
何もせず腰を下ろしていた彼女が話しかけて来た。そうみたいだけど先に現状を教えてほしいかな。
「どうしてドワーフ達までいるの?」
「最初は私達だけ戦っていたんだけどさ、鍛冶場がめちゃくちゃにされたことに激怒したドワーフ達がやってきて、今ああしてハーデスが動きを止めて採掘させてるの」
採掘? あのモンスターの身体から採掘できるの? 地龍みたいに。
「掘って来る!!」
「あ、セレーネ待って!!」
不壊のツルハシを片手にドワーフ達と交じり掘ろうとする友人を追いかける。私も掘りたい!!
「あの、すみません。私達も参加していいですか?」
「おういいところに来たな嬢ちゃん達!! だがこの辺りは駄目だ。ミミズ野郎の身体の上に行ってこい!! そこは手付かずのままのところがまだあるはずだからなっ!!」
教えてくれたドワーフに感謝しながらまた道具で空飛び、ドワーフの人達がいるけどまだ誰も採掘されていないポイントに駆け付けて一心不乱に採掘を始めた。あれ・・・・・何しに来たんだっけ?
・・・・・。・・・・・。・・・・・。
・・・・・。・・・・・。
・・・・・。
「ふははは!! いやー久々に採掘を楽しめたぞ!! 感謝するぞ勇者よ」
「・・・・・質のいい鉱石の数々が手に入った」
城に持ち込まれた数々のカーゴの中に光沢を発する大量の鉱石が山積みにされていた。あのミミズから採掘できたのはこれだけの量ではなく、鉄火の鍛冶場で働くドワーフ達の懐にも両手では抱えきれない鉱石が確保され、鉱物喰らいのミミズを討伐した報酬として鍛冶師のドワーフ全員がほくほくと笑っていた。たまたま来ていたプレイヤーもほくほくだ。運がいい奴らだな。
「火山を掘るよりも実りがある鉱物系のモンスターを討伐した方が鉱物が手に入りやすいとは。今まで知りもしなかったわ。もしや地龍もあの方法でならば俺達だけで何とかなったかもしれんな兄者よ」
「・・・・・この者がいなければ倒しにくい」
「うむ、そうだな。いっそのこと、地龍と鉱物喰らいを敢えて誘い出して掘り倒す方法を前向きに考えてみるか。俺が兄者の代わりに王としているようになってから今まで一番の採掘量の記録だからな。それに見よこれを!!」
満面な笑みを浮かべる王様の手にはそこそこ大きいオリハルコンが握られていた。
「あのミミズめ。やはりどこかの地で眠るオリハルコンを喰らっていたわ。道理で硬すぎて掘りづらいと思えばこれを喰らっていたならば納得できる」
「まさか本当に食べていたのは驚きだったよ」
「ああ、これを手に入れる機会を巡らせてくれたお前たちには感謝しかない。ありがとう!!」
『ドワーフ王エレンとの友好度がMAXになりました。ドワルティアの全NPCとの友好度にボーナスが付きます。称号【ドワーフの心の友】を授与されました』
称号:ドワーフの心の友
効果:ドワルティアのドワーフ限定で友好度が最大になる。
「・・・・・」
次にユーミルが動き出す。
「・・・・・感謝する」
「・・・・・えっ」
『神匠の鉄の手袋』
【DEX+10】
【技術の結晶】
【破壊不能】
『神匠の黒い衣』
【DEX+10】
【STR+20】
【工房召喚】
【破壊不能】
『神匠の帯』
【DEX+10】
【STR+10】
【鍛冶神の恩恵】
【破壊不能】
【技術の継承】
スキルの付加を可能になる。
【工房召喚】
所有してる工房をあらゆる場所で使用可能になる
【鍛冶神の恩恵】
全ての生産の成功率が『大』になる
「ユーミル、これって」
「・・・・・期待している。常識を覆す鍛冶師としてな」
―――ちょっと待ってくれませんかね。どうして常識を覆す前提なのか詳しく。
その後、早速鍛冶に取り掛かるユーミルと今回の騒動の後始末に追われるドワーフ王エレンと別れた。城を後にするとイズから問われた。
「さっきから気になってたけど、その鶏は?」
『私は鶏ではない。鳳凰であるぞ』
「え、喋った。鳳凰・・・・・?」
「火山の奥底の空間で眠っていたところを起こしたんだ」
へぇ、と感嘆の息を吐く二人。
「あ、オリハルコン見せて?」
「はいよ。フレデリカのも返すわ」
「うん」
「わぁ、綺麗な鉱石だね。・・・・・でも、私達じゃ扱えないよね」
伝説、幻の鉱石みたいだから古匠以上の鍛冶師じゃないと駄目だろうか?
「イズのユニーク装備のスキルならできないか?」
「どうなんだろ? オリハルコンほどのレアな鉱石を使ったことないからわからないわ。そういえば、採掘できたあのモンスターを倒したから何か手に入った?」
「採掘した鉱石ぐらいだ。オリハルコンが手にはいるみたいだが、俺は採れなかったな」
ちょっと残念。手に入ったらヘパーイストスに渡そうかと思ったがな。
「イズとセレーネ。呼びつけて悪かったな」
「ううん。こっちもなんだか採掘しに来ただけみたいで役に立ったのかわからないから」
「本当ね。またラヴァ・ゴーレムみたいな戦いをするのかと思ったのに採掘イベントに参加しに来たような感じだったわ」
本当それな。まぁ、たまにはこういうこともあるんだろうな。
「そう言えばさ、結婚システムを解放したのってやっぱりハーデスだったり?」
その不意打ちはやめて欲しい。フレデリカと一緒に不自然に動きをしてしまったじゃないか。
「あ、そうなのね。誰と結婚したの?」
「リヴェリアだ。勇者限定の報酬を貰うことになったけど、同じアイテムを持ってる俺には長老がリヴェリアと結婚をする報酬に変えたんだ。こっちの意思関係なくな」
「ははは・・・・・。結婚して何か得なことあるのかな?」
「称号を得た俺だけかもしれないが、結婚したプレイヤーとNPCに2倍の経験値を共有することだ。後、一夫多妻制と同姓結婚が可能な」
「ちなみにその称号の名前は【英雄色を好む】だってさ」
「「・・・・・」」
おいこら、微妙な雰囲気が場になってしまったじゃないか!!
「ねぇ、勇者じゃないそっちだと結婚システムってどんな感じ?」
「えっと、特になんてことはないわ。結婚を同意した相手の名前を記入するだけで出来るみたいよ」
「ハーデスと違って私達はステータスが1.5倍に増えるだけなんだよ」
これで結婚システムの違いが把握できたな。残るはアレなんだが・・・・・二人に試させたくないから言わないでおこう。
「なるほどねぇ。ハーデス、結婚するのに指輪って必要?」
「いや必要ないだろ」
「なら、どうしてハーデスと同じ指輪をフレデリカちゃんも嵌めてるの? それに左手の薬指に」
うっ・・・・・やっぱり訊いてくるか。フレデリカも顔を赤くなっちゃったから察しついただろうな。
「まさか・・・・・二人とも結婚したの?」
「「・・・・・検証目的でつい」」
「それで、何もなかったのよね?」
そこまで食いつかないでくれないかなっ!? フレデリカが余計に耳まで顔を真っ赤にして、横に反らすから何かあったと思われるぅっ!!
「ハーデス、言いなさい」
ドスの利いた声で有無も言わさないイズ。イッチョウのことで言ったばかりにこれだもんなぁ・・・・・。
「・・・・・フレデリカ、教えていいのかこれ」
「絶対にダメ。恥ずかしすぎて死んじゃう。でも、万が一ってこともあるから・・・・・ううう」
結局、俺が話すことになった。
「俺もフレデリカも、ろくに説明も読まず24時間も性行為しないとログアウトも出来ない絶対に出られない場所に飛ばされました。後は察してくれ」
「「・・・・・」」
フレデリカを後ろから抱き締めながらそう言うと、付け加える風にフレデリカも言い出す。
「い、言っておくけどゲームに戻るために仕方なく同意の上でシたんだからねっ。リアルでしたわけじゃないし、私もハーデスもこんなことになるなら結婚してなかったよ」
「軽率が仇になったがな。回りの奴らの言葉のままにやっちゃったし」
「ペインさん達が?」
「ドラグとドレッドだ。ペインは説明文を確認していたけど、気付かず性行為の同意を認証する行動をしていた俺達に教えてくれたんだが」
「もうその時は別の場所に移動されかけていた瞬間だったから、どうしようもなかったね」
以上の話しに二人は納得した様子でひとつ溜め息をこぼした。
「それって、二人が勇者だからなの? NPCとはその・・・・・シなかったの?」
「形は違うけど、フレデリカと・・・・・な」
「じゃ、じゃあ・・・・・普通のプレイヤー同士ならどうなるの?」
それこそこっちが知りたいと言い返す。
「蒼天が開発したゲームだ。同性愛ができるようにしてあると思うから二人で結婚してみたら?」
「それで、その、出来ちゃったならどうするのよっ」
「ううん、いきなりは出来ないよ」
フレデリカがYESとNOの文字が掛かれた羽が生えたハートの枕を出した。
「ハーデスもこれを持ってて、YES同士をくっつけたら別の場所に移動させられちゃうの。だがら片方が相手にNOを向けていれば大丈夫」
「この枕の意味が何なのか理解できなかったけど、二人はこれの意味がわかるか? リアルにもあるのか?」
俺も出して見せ付けると、どうやら二人は知っているご様子で朱に染まった。
「・・・・・それ、相手にエッチなことをしませんかってコミュニケーションみたいなのをする道具なのよ」
「「・・・・・」」
マジかぁ・・・・・。
「ということで、お願いできない? お二人で結婚システムを使ってみて」
「「イヤです」」
「だよねー」
ま、掲示板でも見ればわかるか? 後で見よう。