バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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初オークション

「どうも」

 

「いらっしゃいませ」

 

 

課金でマスコット枠を増やして再ログインした後、本日2度目の不動産屋に足を踏み入れていた。

相変わらずの対応で出迎えていただきました。多分、プレイヤーの中では利用してる方だと思うんだが、「また来ましたね?」的反応がない。まあ、大人数を一度に相手にしているのだろうし、きっと処理速度優先なのだろう。さっそくマスコット一覧の中から、コガッパ、モフフ、テフテフを選んだ。さらに、ホームに設置できる施設、オブジェクト一覧を確認すると、案の定項目が増えている。

 

オバケの時と同じだ。

 

「追加されているのは、河童石、ツユ草、獣道? どれも訳が分からんな・・・・・。まあいいや、とりあえず全部タダだし、設置しちゃおう」

 

どこが河童なのか分からない、冷蔵庫サイズの黒っぽい岩の河童石。見た目がほぼ雑草の群生地であるツユ草。この2つは、とりあえず柳の古木の周囲に設置しておいた。

 

獣道だけは特殊なようで、ホームの周囲を囲む生垣に設置するようだった。見た目は生垣の下に空いた狭い穴でしかない。

 

ピッポーン!

 

『妖怪マスコット、及びその関連施設をコンプリートしました。『妖怪マスコットの保護者』の称号が授与されます』

 

おお、こんなことで称号が?

 

 

称号:妖怪マスコットの保護者

 

効果:マスコット所持枠+1。妖怪マスコット及び関連施設の情報を一部開示。

 

 

マスコット枠が+1という最高の効果だった。お金とかボーナスポイントよりも断然嬉しい。さらに、妖怪マスコットと、その関連施設の情報が一部開示、となっている。

 

「これは――」

 

ステータスウィンドウからホームの情報を確認してみると、柳の古木を含む無料オブジェクトの効果などを知ることができた。

 

まず一番最初に確認した柳の古木だが、柳のオブジェクトと、日本在来昆虫、魚類の生息する池が設置され、さらに庭のランダム自然設定に微風(涼)という項目が追加されているらしい。微風(涼)が吹くと、冷気を好むモンスターと、アンデッドタイプのモンスターの好感度が上昇するという面白い効果だ。

 

河童石は、庭の自然設定に雨(河童)、という設定が追加される効果があった。これの効果は凄まじい。何せ、この雨が降ると、庭の畑に植えている野菜の品質が僅かに上昇する効果があると言うのだ。さらに、キュウリであれば確実に1段上昇するそうだ。柳の古木と比べて「単なる庭石かよ。微妙だなー」なんて思ってごめんなさい。

 

獣道も中々面白い。効果は、庭の自然効果に獣来訪という設定が追加される。時おり狐や狸が出没するそうだ。触れ合えるかどうかは分からんが。そして、この施設の効果で獣が出現すると、獣タイプのモンスターの好感度が上昇するらしい。うちだと、リック、ドリモ、クママである。フェルとフレイヤも一応獣だが幻獣と魔獣だから好感度上昇するのかね。

 

「これは最後の1つも期待できそうだ」

 

そう思ったんだが、その効果は微妙だった。いや、人によっては凄まじいのだろうが、俺には効果がなかったのだ。ただ、構わない。それ以上にロマンがあるからな。

 

ツユ草は、庭の自然設定に蛍が追加されるという効果がある。効果としては昆虫系モンスターの好感度上昇なのだが、うちにはいないのだ。しかし蛍が見れるだけでも十分だ。このツユ草が開花して蛍が舞うらしい。メッチャ綺麗だろうな。

 

「よし、ホームに戻――る前にマメ柴ゲットだ」

 

いやー、ヤバいな。初日でうちのホームがマスコット天国になってしまった。まあ、本望ですけど!

 

早くホームの様子が見たくて、思わずダッシュしてしまった。ホームに戻ると、新しくゲットしたマスコットたちが庭の中央で大人しく待っていた。その眼差しが「早く名前をつけろ」と訴えかけている。

 

「コガッパはタロウ。モフフがホワン。テフテフがオチヨ。マメ柴がナッツだ」

 

道中考えてきたから、スラスラと名付けは終了した。すると、喜ぶマスコットたちが、俺の周辺で踊り出す。なんか盆踊りっぽいな。遊んでいると思ったのだろう。他の子たちも集まってきた。いつの間にか皆が俺の周りで踊り始めたではないか。まるで盆踊りのようである。全員勢ぞろいだ。ファウだけは踊らずに、俺の肩の上でリュートを弾いているけどね。

 

「うーん、壮観壮観」

 

ただ、どうやってここから出ようかな?

 

「あ、配信でもしようかな」

 

その時、フレンドコールが来た。

 

『もしもーしハーデス君。そろそろホームの準備を終えたかなって思って連絡したけど。捗ってるぅ?』

 

「捗り過ぎて家族団欒な状況になったよ」

 

『わーお、賑やかさだけは伝わってくるよ。なら、オークションがリアルタイムでこれから始まるってこと知ってます?』

 

オークション? そんなこともするのかこのゲームは。

 

『参加するならした方がいいですよ? 案外欲しいアイテムが手に入るかも』

 

「そうする。ああ、俺のホームに来るなら豪邸の日本家屋だから」

 

『日本家屋を買ったんだ? 掲示板じゃまだ誰もそのホームを買うどころか、どうやったら買えるのかも判明されてないようだよ』

 

簡単に買えるような方法ではないと思うな。マヨヒガを知らないプレイヤーは後で凄く残念がるだろう。

 

「その内増えるだろうさ。ああ、イッチョウ。ギルドを作るって言ったらお前どうする」

 

『勿論ハーデス君がリーダーなら入らせてもらいまーす』

 

「なら、ログアウトしたらギルドの名前を考えようぜ」

 

『いいともー!』

 

もう少しで昼食を食べるためにログアウトしなくちゃならないし丁度いいだろう。それまでは―――ラヴァ・ゴーレムから素材をたんまりと頂こうじゃないか。

 

 

―――3時間後。

 

 

「よし、行くか」

 

時間は13時直前。オークション開始時刻まであとちょっとだ。

ログアウトした際にネットで調べてみた。オークションには2つ種類があり、1つがリアルタイムで入札を行う競売タイプのオークション。これはその都度落札者が決定していく。

もう1つが決められた時間の中でプレイヤーが最高入札額を更新していき、終了時に最も高額で入札をしていたプレイヤーが購入資格を得るネットオークションタイプ。

 

プレイヤー間ではすでに競売とネトオクという名前で呼ばれている。因みに、オークションでは手持ちの金額以上の入札は出来ない。だが、色々な理由で所持金が減ってしまうこともあるだろう。そのせいで落札金額を下回ってしまった場合、購入資格が消滅してしまうらしい。

 

しかも、それを何度も繰り返した場合は重いペナルティがあるそうだ。ペナルティの内容が明かされていないのが恐ろしいね。俺も気を付けねば。

ネトオクの方ではいくつか面白いものを見つけたので、すでに入札済みである。まあネトオクの方は17時が最終入札期限なので、その直前の勝負になるだろうが。

 

「お、時間だな。会場に転移しますっと」

 

転移するかどうかの問いに、YESと答える。すると、目の前の景色が一瞬で切り替わり、俺はオークション会場の椅子に腰かけていた。モンス達はいないな。どうやらパーティは解除され、個人での参加扱いになるらしい。

 

「にしても・・・・・人が多い・・・・・いや、少ないか?」

 

この会場だけで5000人はいるはずだ。だが、全体から見たらかなり少ない。同じオークションに数万人のプレイヤーが同時に参加というのは無理がある。なので、第一会場、第二会場、といった具合に会場ごとにサーバーが用意されて、プレイヤーは自動で振り分けられるらしかった。

 

今回は出品されてるものが全て同じなのでどのサーバーでもあまり変わらない。だが、今後プレイヤーの出品が増えると、目当ての品が出品されている会場を選んで入場する形になる。目当ての品が複数ある場合は、片方を諦めなくてはいけない場合もあるだろう。会場をはしごするにしても、かなり急ぐ必要が出てくるだろうな。

 

「まあ、今日は関係ないか」

 

今一番気になるのは、この会場に狙いが被っているプレイヤーがどれだけいるかってことなのだ。

うーん、でも周りに知り合いはいないな・・・・・。

そうやって周囲をキョロキョロ見回している内に、オークションが開始された。

 

「では、ただいまより第一回オークションを開催いたします! 最初の出品はこちら!」

 

ステータスウィンドウに商品や現在の落札額が表示される。オークショニアが商品を紹介する声が気分を盛り上げてくれる。しかもオークショニアはモノクルを嵌めた、ロマンスグレーの初老の男なのだ。運営、分かってるな。

 

1つの商品に対しての入札時間は、商品紹介終了から20秒。入札者が居ればそこから10秒延長されていくようだ。ただ、入札を被せる場合、現在の入札額の1割以上の額を上乗せしなくてはならないので、あまり細かく刻むことは出来ない仕様になっている。嫌がらせや荒らしを防ぐ目的だろうな。

 

「では、こちらの品は14200Gで落札されました!」

 

目当ての物が出品されるのを待ちながら、進むオークションを見守る。思ったよりも高額が付く気がするな。多分、初めてのオークションということで、みんな気が大きくなっているんだろう。これは俺も気合を入れ直さねばならないな。

 

そして、目玉商品だと思っている最初の商品が壇上に運ばれてくる。

 

「では次の品はこちら! その名も風狼の卵です!」

 

そう、イベント報酬である従魔の卵が出品されていたのだ。土竜の卵も当然出品されるが、そっちはもう持ってるからいらん。さて、高みの見物をさせてもらうけどどのぐらいまで跳ね上がるのかな?

 

「では、10万Gからのスタートです!」

 

高いのか安いのか分からないが、リトル・エア・ウルフが手に入るのであれば欲しがるプレイヤーにとって安いものじゃないかな? 

 

誰かが12万で入札した直後、即座に15万で返された。だが、ここで引くことは出来ないだろう。 相手は――1人なのか複数なのかは分からないが、気力を折るために、誰かが20万で入札し返してやった。

 

一気に5万アップかぁ。次ももっと上がるのかな? でもここで引き下がって終わりか? だが、相手も意地になっているらしい。25万で入札し返してきたのだというのに、負ける訳には行かない。そんな気持ちを訴える30万で入札し返したプレイヤーがいた。

 

相手はどうしてもリトル・エア・ウルフが欲しいらしい。なんと40万で入札したのだ。はぁ~10万アップもするとは。これは退く気がないという意思表示だろう。落札したプレイヤーも後悔していないだろうな。

 

「45万とか凄いな」

 

お次に出品された赤虎の卵は誰かが45万で落札していった。まあ、リトル・バーン・タイガーの動画を見たけど確かに可愛かった。競合するだろうとは思っていたけども、まさかこれほどとは・・・・・。

だが、これでもまだ可愛い方だったとは思いもしなかった。次に出品された土竜の卵。なんと73万で買われていったのだ。俺を除いてみんな意外とお金持ちか。そしてその値段は絶対にうちのドリモさんを見てほしいと思っての高額落札だろう。

 

「まだ欲しいと思うものは何もないな」

 

あったら買おうと決意を新たにした俺は次の出品を待っていた。この辺りはイベント報酬のゾーンであるらしく、その後もイベント関連のアイテムが続々と出品されている。

 

イベント時に俺はテイマーの秘伝書をゲットしたが、当然他の職業にも秘伝書がある。そういった秘伝書が20程出品され、落札されていった。俺? 一応重戦士の秘伝書を買った。これを使えば特殊職業クルセイダーになるからだ。

 

そして秘伝書ゾーンが終了し、いよいよ俺が狙っていたアイテムが出品される。

 

「次はこちら! 神聖樹の苗木です!」

 

おお、よしきた! 出品されるアイテムの中でも特にこれを狙っていたのだ。イベント報酬ではドリモの卵と秘伝書をゲットしたので、ポイントが不足してしまって手が届かなかった。カタログにこの名前を発見した時、絶対にゲットすると決めていたのだ。

 

「最初は2万Gから!」

 

これは何があっても絶対に手に入れて見せよう。俺は5万Gで入札する。他に値上げしても手に入れようとするプレイヤーは・・・・・あれ?

 

「では、神聖樹の苗木は5万Gで落札です!」

 

「・・・・・安く買えた? そこまで人気じゃないのかあの苗木」

 

その割にはオークショニアの宣言にあわせて大きな拍手が起きる。まあ、他人の落札に対して拍手をするのはマナーみたいなものだが、妙に拍手が大きくない? でも何でだ?

 

「まさか白銀さんがあれを――」

 

「集計掲示板でダントツ不人気だったアイテムだろ?」

 

「さすが白銀さん」

 

え、すんごく不人気だったのか苗木・・・・・いや、多くのファーマーでも樹を育てる意味が無いという認識でいるかもしれないか。そうじゃない職業のプレイヤーも、神聖樹を手に入れる理由がないから手出しするどころか、見向きもされなかったのが目に浮かぶほど不人気なのが納得だ。

 

まあ、欲しいものが落とせたんだし気にしないでおこう。

 

これでオークションにつぎ込もうと思っていた資金は残り数百万。まだまだ戦えるぞ。神聖樹が想定を大きく下回る安さで落札できたから余裕もできた。

 

「次の商品は武器だな」

 

オークションはさらに進む。お次は武器と防具ゾーンだ。強力かつエピックで、強力な装備が続々と落札されていく。イズとセレーネの作品もあるのかな。訊いとけばよかった。そう思いながらある装備品に目が留まった。

 

「次の商品はこちら! 精霊使いのピアス!」

 

使役系職業用の頭防具なのだが、その効果が面白かった。それは、配下の精霊の能力が僅かに上昇すると言うものだったのだ。以前、転職欄にエレメンタルテイマーの名前が出たことがある。これは精霊系の従魔が三体以上いた場合につける職業だ。その情報を元に考えると、オルト、ゆぐゆぐ、ファウは精霊扱いなのだろう。―――精霊繋がりなので購入してみた。

 

そう思ってオークションを見守っていると、時おり良いアイテムが出てくる。空きスロットが3つも有るブーツとか、かなり有用そうだったのに。だが、そういったアイテムはたいてい激しい競合となり、落札することはできた。テイマーの装備にと思ってな。

 

その後もオークションは進み、アイテム部門にさしかかる。ポーションや酒なども出品されているが、俺は自作できるからなー。他にも4種の属性結晶詰め合わせや、ボスのレア素材が人気を集めていたようだな。

 

商品は残りわずかだ。最後は雑貨や小物部門である。会場のプレイヤーたちにはゆるい雰囲気が漂い始めているな。ここからは、完全な嗜好品のコーナーだ。大勢のプレイヤーにとってはおまけのゾーン。彼らのオークションはすでに終わっているのだろう。

 

かくいう俺も、体の力を抜いている。もうなにがなんでも落札したい物はないからね。

今は和風の小物やインテリアのゾーンであるようだ。和柄の壁掛けや、和傘、提灯型ランプなどが次々と出品されていく。―――日本家屋の飾りとして丁度いいので全部買い占めた。

 

「お次はこちら!」

 

次に出品されたものも見て、目を引かれた。

 

インテリア扱いのホームオブジェクトなのだが、なかなかに渋い茶釜であった。黒い金属製の、小振りな茶釜だ。表面がはげてボロくも見えるが、俺は嫌いではない。それにあれだけボロボロだったら、うちのボロ納屋に置いても違和感無さそうだ。

 

特殊な効果はなにもないが、これも落とそう。2000Gからとなっていたので、とりあえず入札してみる。3000と抑えめだ。その後俺以外にも入札者はいたが、誰もあまり本気ではないらしい。たぶん、俺と同じ衝動入札か、せっかくオークションに来たのだからという記念入札なのだろう。結局、12000Gで落札することができたのだった。

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・。

 

・・・・・。

 

 

もうオークションもほぼ終わりだな。

 

「軍資金が余ったな。これはこれで今後のためにとっておこう。」

 

カタログの商品がすべて消化された時、そう呟かずにはいられなかった。いやー、オークション、なかなかに面白味があった。

 

グーっと背中を伸ばす。多分、転送されてきたときとは逆に、元いた場所に送還されるはずだ。

そう思っていたのだが、いくら待っていてもオークションの終了は宣言されない。

 

「どうしたんだ?」

 

「サーバー順で転送されるんじゃない?」

 

「こ、これはまさか――ログアウト不可になってないよな?」

 

「ラノベの読み過ぎだ」

 

他のプレイヤーもそれに気づいてざわつき始める。すると、未だに壇上にいたオークショニアがおもむろに口を開いた。

 

「皆様、これからカタログには未記載のシークレットアイテムが登場いたします! どれも大変にユニークな商品となっておりますので、ふるってご入札ください」

 

なんと、カタログ未掲載の特別な商品があったらしい。おー、さすが運営、わかってる。これでこそオークションだよな。ただ、ユニークな商品とはいただけないな。

ざわめつく会場が落ち着くのを待っていたかのようなタイミングで、商品が運ばれてきた。

 

「まずはこちら!」

 

台の上に置かれているのは、一本の剣であった。磨き抜かれたステンレスのように、ピカピカと銀色に光る、美しい剣だ。も、もしかしてあれか? ファンタジー作品においてオリハルコンと並ぶ希少金属の代名詞。ミスリルなのだろうか?

 

「こちらはマジックシルバー製のショートソードとなります!」

 

どうやらミスリルではなかったらしい。ただ、会場はかなり騒めいている、周囲の言葉に耳を澄ませてみる。おあつらえ向きにちょうど目の前に剣士風のプレイヤーがいるのだ。

 

「まじか・・・・・あれって、銀の先にあるって言う金属だろ?」

 

「おう。第8エリアから来たっていう設定の冒険者NPCが所持してたらしい」

 

「おい、性能が表示されるぞ」

 

なるほど、先のエリアでしか手に入らない武器ってことか。かなり強いのか? だが、ウィンドウに表示された武器の性能は大したことが無かった。

 

いや、強いことは強い。だが、ここまでで出品されていた武具とそこまで変わらない。レアリティは5と高いが、それだけに思える。しかし、そう思ったのは俺だけだったらしい。

 

「軽いな・・・・・。それに属性が付いてる」

 

「耐久値も高いぞ」

 

「空きスロットも2つ。かなり強力だ」

 

「それに、受け強化が付いてる。地味だが有り難い効果だ」

 

「しかも魔法攻撃力が杖並みに高い」

 

これまで出品されていたのは、尖った能力が付加された武器が大半だった。だが、あのショートソードは素の状態でそれらに並ぶほど強く、さらに空きスロットがあるので好みの強化も可能ということらしかった。ああいうのがユニークなのかは俺にはわからない。

 

火属性付きな上、敵の攻撃を受けた際のダメージを軽減する受け強化効果もある。魔法攻撃力が高いので魔法も強化される。

 

守り重視の前衛であれば、喉から手が出るほど欲しい装備であるらしい。

シークレットというには地味だと思ったが、剣士たちはかなりテンションが高かった。だが、すぐにその熱気が静まってしまう。

 

「最初は40万Gからです!」

 

高すぎる。いや、でも2エリア先の装備となれば、それくらいはするのか? それにオークションに出品されているとなれば、もしかしたらその中でも高性能な品である可能性もある。

 

ほとんどのプレイヤーは競りに参加することさえ出来そうもなかった。でも、逆に言えば買えるのはお金持ちの前線プレイヤーばかりという訳で、ある意味相応しい相手の手に渡りそうな気はするね。

 

すぐにマジックシルバーの剣の競り合いが始まった。ガンガン値段が上昇していくな。最終的には110万で落札された。剣一本が110万か。まだ何品か出て来るみたいだけど、落札は難しいかもしれん。まあ、期待せずに見ておこう。

 

その後は、マジックシルバー製の盾、神聖樹と邪悪樹の枝で作った弓、属性結晶を複数使って作られた杖など、豪華な装備たちがいずれも100万前後で落札されていく。

 

「次は・・・・・なんだあれ。画材?」

 

運ばれてきたのは、どう見てもペンキや刷毛、筆と言った、画材一式だった。ペインターという職業もあるから、そっち用の道具だろうか?

 

「お次はインテリア、ホームホブジェクト用の、ペイントツールです! 特にこちらは汚しに特化した顔料をご用意しております! この顔料でホームオブジェクトを塗装すれば、あっと言う間に100年の時を経たかのような、味のある色合いを出せることでしょう!」

 

へー、そんなアイテムもあるのか。インテリアやホームオブジェクトをあえて古めかしいレトロ感のある色にできるってことか。

 

「ちょっと面白そうだな」

 

ゆぐゆぐに頼めば作ってくれる家具類をレトロ家具風に見せたり、納屋をもっと味のある風合いにイメチェンできるかもしれない。うん、それはすごくいいぞ。

 

「最初は20万Gから!」

 

よし、買おう。シークレットアイテムに入札もしてみたい。

 

「25万と」

 

とりあえず慎重に25万で入札してみる。すると即座に30万で返された。うむ、他にも俺と同じ考えの人間がいるのかもしれん。だが、諦めないぞ。

 

30万で返されるなら。40万で返してみた。なんの、45万だ! と即座に上書きされてしまう。

 

「じゃあ、70万だな」

 

20メートルほど離れた場所にいたプレイヤーが、真剣な眼差しでこちらを見ているのが分かった。

どうやらあの男が競りの相手であるらしい。なんで俺だって分かったのかと思ったが、ちょっと声を出してたし、それで気付かれたのだろう。

 

しかし相手はまだ諦めないようだ。75万の反撃を受ける。なら、80万はどうだ?もう5万追加すると、こっちをチラ見していたプレイヤーが、ガクリと肩を落としたのが見えた。

 

「ではこちら! 80万Gで落札されました!」

 

よし、手に入った。これでホームの雰囲気をさらに深めよう。

 

 

あとはもう完全なギャラリーモードである。様々なシークレットアイテムが落札されていく様をみているしかない。

 

「へー楽器か。好きな楽器に変形するって、面白いな」

 

次に出てきたのは、落札者が最初に願った姿に変形するという不思議な楽器だった。変形するのは1回だけらしいが、どの姿になっても高性能になるらしい。

 

まあ、楽器は何十種類もあるそうだからな。ヴァイオリンとか、トランペットとか、限定してしまうと演奏系の職業でも買えない人が出てきてしまうんだろう。

 

うちの場合、ファウの楽器は固定装備だから、買う必要はないので欲しくはならないけどね。

他には、耕した畑から一定期間雑草が生えなくなるクワとかも出品されていたが、これもそこまでは俺の興味は引かなかった。

だってハーブまで育たなくなるってことだし、いちいち畑によって使い分けるのも面倒だ。しかもクワとしての性能自体はそこまでよくなかった。シークレットアイテムの中では安めの、25万Gで落札されていく。最近のファーマーは皆ハーブを作ってるらしいからな。仕方ないだろう。

 

「この辺は職業用のアイテムか?」

 

ペインター、ミンストレル、ファーマーと続いてきている。その次は、レア度の低い魚だけを引き寄せるというルアーである。どうやら非戦闘職の中でも、マイナー系の職業用のアイテムが続いているようだな。その後数品が落札され、次に出品されたのが、死霊使い用の封印石だ。

 

「こちら、怨霊の封印石となっております! 最初は15万Gから!」

 

封印石はその名の通り、中に死霊系モンスターが封印されている。使用すると、中に封じされているモンスターと契約を交わせるというアイテムなんだが・・・・・。

 

「あれ? ネクロマンサー用のモンス?」

 

この流れはもしかして・・・・・。俺がある予感を抱えたまま見守っていると、怨霊の封印石はかなり安めの48万で落札された。まあ、ネクロマンサーはテイマー以上の不人気職らしいからか。人数も少ないんだろう。

 

その次はサモナー用の契約石が壇上に運ばれてくる。封印石と同じで、使用すればサモニングモンスターが手に入る道具だった。出品されたのは、骨戦士の契約石というアイテムだ。骨か、最近知り合ったばかりなんだよな。

 

にしてもやっぱり、魔獣使役系職業のゾーンに突入したらしい。同じ魔獣でも格の違いがハッキリと物語っているぜフレイヤ。

 

骨戦士の契約石は96万で落札されていった。サモナーは数も多いし、競合する人数も多いんだろう。さて、ネクロマンサー、サモナーと来て、次は――。

 

「あ、やっぱり」

 

そして、次に出品された品物を見て、俺は思わず口から呟いた。

 

「お次はこちら!」

 

「卵来たな」

 

そう。次に運ばれて来たシークレットアイテムは、従魔の卵だったのだ。

 

「毒腐人の卵! 最初は20万Gからです!」

 

毒腐人? 名前からしてゾンビを彷彿させる名前だな。しかもいきなり20万から? おお、値段が上昇していく。すでに40万だ。

 

「70万! 77万!」

 

ガンガン値段が上昇していく。そして、最終的には106万で落札されたのだった。

 

「わからない卵を買う度胸は俺にはないな。貰う側なら貰うけど」

 

落札された毒腐人の卵が運ばれて行くのを見送り、オークションを見守っていると、ようやく終わりの時間がやってきた。最後の方は何が出品されていたか全然覚えてないな。

 

このオークション、イベントの時のように時間の経過を操作しているようで、きっちり16時に転移場所に戻れるようだった。その時間調整のために、送還されるまでに数分の待ち時間がある。俺は会場の椅子に座って送還されるのをまっていたんだが・・・・・。

 

突如アナウンスが聞こえてきた。

 

『初回オークションにおいて、オークション会場で総計100万G以上の支払いをしたプレイヤーに「宵越しの金は持たない」の称号が与えられます』

 

え? なんか称号もらっちゃったんだけど。しかも宵越しの金は持たないって・・・・・。まーた良い称号ではなさそうだよな。いったいどんな称号だ?

 

確認してみたら、本当に名誉というか、遊び称号だった。効果は特になし。一応ボーナスポイント1、賞金11000Gは貰えたが雀の涙に等しい。まあ、こういう称号もありなのだろう。

 

しかし、昨日の今日でまたか・・・・・。好き勝手やっているだけなのに、何故か増えていくんだよな。謎だわ~。

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