バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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光霊の里 解放

これまで精霊の里へ辿り着くための知識から考慮すれば日曜日に結晶を捧げればいい筈なんだが、行けばわかるか。

 

「ということで愉快な仲間達と一緒に朽ち果てた教会の前に来たんだが・・・・・」

 

「ムー?」

 

「ヒムヒム?」

 

「フマー?」

 

「フム?」

 

動画配信も忘れずしているんだが、何も起きないな。なら中に入ろう。中はクエスト中だったから見る暇もなかった。

 

長椅子の並ぶ部屋の中央を歩いていく。正面の壁には傾いた大きな十字架があり、古びてもなおあるその背後には白い何かを天に掲げてる女天使のステンドグラスがある。前来たときにはなかったような・・・・・? その途中に通る【大天使の欠片】が落ちていた地点だ。

 

そこには小瓶の代わりに赤い小さな文字が床に書かれていた。

俺は立ったままではその文字を読めなかったため、寝そべるようにしてさらに指でなぞりつつ文字を読む。

 

「えっと・・・・・【召喚】?」

 

そう呟いた瞬間。教会の床が赤く輝き始める。

輝きはどんどんと強くなり壁や天井をも赤く染め上げる。

 

「んっ?」

 

反射的にその場から逃げようとしたが、それより先に視界が光輝く赤に染まった。

しばらくして光は収まり、眩しくて閉じた目を開ける。

目の前に広がっていたのは教会と同じ内装でありつつ、全てが灰色に塗り替えられた光景だった。

不気味な場所である。

 

「・・・・・どこだ? オルト達もいないってことはソロで何かしないといけない?」

 

取り敢えず教会の外へと出た。

 

「うわぁ・・・・・凄い荒れてる」

 

灰色の世界は外も同じだった。青々とした森はなくなり、遠くまで見渡せる灰色の大地に変わった。

まるで時間が止まっているかのように、あちこちで宙に瓦礫が浮かんだまま止まっている。

 

「ホラー系が苦手な人間だったらここ嫌がりそうだなぁ・・・・・」

 

呟きつつ荒地を歩いていく。目的地がないわけではない。この灰色の世界の中で一つだけ灰色でないものを遠くに見つけていたからだ。俺はその近くへと向かって空を飛んですぐに灰色でない物体のもとにたどり着く。

 

それは真っ黒な球だった。

 

 

真っ黒な球は俺が近づいたことで反応したのか、ボコボコと表面が隆起し始める。

そして遂に球体が弾けて中から炭のような黒い液体と共に何かが落ちてきた。

 

ボロボロのローブの下から伸びる尻尾。

 

頭には羊のような巻角がある。

 

それは俯いたまま話し始める。

 

「食事が来たか・・・・・」

 

その発言に警戒し大盾を構える。

それは俯いていた顔を上げ、俺の方を見て何かに気づいた。

 

「あ? お前あの時の? 天使の力が混ざって・・・・・こいつは運がいい・・・・・!お前を食って悪魔としての格上げだ。神殿ではやられたが、ここなら全力でいける!」

 

そう言うと悪魔は吼えた。間違いなく和解の道などない。戦わなければならないだろう。

恐れるよりも、戦おうとするよりも先に悪魔の発言についてあることを思った。

 

「食べる? ・・・・・へぇ、食物連鎖のトップは誰なのか教えてやるよ」

 

俺は不敵な笑みと共に不穏な言葉を口にして戦闘態勢に入る。

 

「速攻だ【覇獣】!」

 

ベヒモスに変化した俺を見上げる悪魔に【咆哮】してから飛び掛かり、捕食する。口の中で硬い異物を噛んでる感触はするが気にせず咀嚼を続ける。それと同時に悪魔のHPバーが遂に半分を下回った。

 

「ぐっ・・・・・ウゼェ! 潰す! 潰すッ!」

 

悪魔の体を黒い光が包み込み、体が膨張し姿が変わっていく。

手足は巨大化し筋肉が隆起しており、本数が増えている。

首が伸び、顔がなくなり頭部にはダラダラと涎を垂らす大きな口だけが存在していた。

醜悪な姿に変わった黒い悪魔が叫ぶ。

 

「グルル・・・・・グゲァァア!」

 

「姿変わっても意味ないからー」

 

「グギャアアアアアアアアア!」

 

結局ベヒモスの口の中から脱することは叶わず、遂に悪魔の命を喰らい尽くした。それと共に悪魔の体が光に変わり爆散し、俺も【覇獣】を解いたところで通知が届いた。

 

「【悪魔喰(デビルイーター)らい】とかだと思ったけど・・・【身捧ぐ慈愛】があったからかぁ」

 

このスキルは取得条件に【身捧ぐ慈愛】が関わってくるスキルだった。

とにもかくにも俺は新たなスキルを手に入れたのだ。

それも、新たな攻撃手段になるようなものを。

 

「【滲にじみ出る混沌】・・・・・これは・・・・・ははーん、なるほどなるほどこれも【毒竜】と同じ感じのスキルか」

 

このスキルには三つのスキルが内包されていた。

俺はスキルを確認すると迷うことなくそれを鎧にセットした。

 

「さてと・・・・・戻ったら今度こそ光の精霊だ」

 

そう呟いた俺の視界は赤い輝きに覆われていき、光が消えた時には既に元の教会の中だった。オルト達も全員いて合流も果たせた矢先に―――。

 

『光霊の祭壇に白結晶を捧げますか?』

 

「キター! はい、捧げます!!」

 

アナウンスが流れた。ステンドグラスの女天使のように光結晶を掲げると、そのステンドグラスが虹色に輝きながら両開き扉だったようで、扉に続く光の階段が出来上がっていった。

 

《精霊門の1つが解放されました》

 

『光霊門を開放した死神ハーデスさんにはボーナスとして、スキルスクロールをランダムで贈呈いたします』

 

「よし、行くぞ!」

 

気合の声を上げるオルト達と光の階段を駆け上がって扉の向こうへと突入した。そして・・・・・!

 

「初めてこの地を解放した者がついに現れたか。ようこそ解放者よ」

 

出迎えてくれたのは純白の布一枚で身体に包む、月桂冠を頭に着けた金髪の異国の王子風の青年。

 

「質問をしても?」

 

「なんなりと」

 

「ここは何て言う場所、そしてあなたは何て言う精霊だ?」

 

「光霊が住まう街にしてエーテルの隠れ里。選ばれし者だけが訪れることが出来る、聖なる地にして私達はエーテルと言う種族だ。人間達に私達の存在を知らないのも無理はない。この世界に人間が神々の手によって創造されても私達は干渉しなかった。いや、出来なかったと正しいか」

 

その理由は? と訊くとエーテルの長? が「ふっ」笑みを浮かべた。

 

「―――空気過ぎて、誰からにも気づいてもらえなかったのだよ」

 

「・・・・・は?」

 

空気過ぎる・・・・・? なんだ、その理由は?

 

「私達も最初は地上に住んでいたのだが、エーテル族の者以外は存在すら認知もしてくれず凄く浮いてしまってね。それ故、何しても私達に気付いてもらえないならもういっそのこと干渉しないことに決めたのだ。だが、それでも誰かに気付いてもらいたい思いが捨てきれず結晶を地上にばら撒いたのだ」

 

「その一つが俺の手に収まったってことか」

 

「そう言うことだ。だからこそこの場所を解放した君を私達は心から歓迎する」

 

次の瞬間。至る所から宙に浮いて近づく少年と少女のエーテルが笑顔で抱き着いてきた。オルト達にも抱き着いて話している様子だった。

 

「長の人。ここにも狂った精霊がいるのか?」

 

「いない。誰一人エーテル族の者は狂ってしまったことは一度もないぞ」

 

じゃあ、テイムする事はできないのか?

 

「仲間にするのは駄目かな」

 

「いや構わない。ただし無条件と言うわけにはいかない。試練をクリアしてからにしてもらおうか」

 

狂った精霊はいないけど試練自体はあるのか。今までの精霊の試練とは逆だな。

 

「聞きたいことは終わりかな? 案内するよ」

 

任せる! にしてもここは天国か? まるで天空の城にいる気分だ。高所恐怖症のプレイヤーは下を視ない方がいいだろう。扉を潜った先から手すり無しの階段が迷路のようにあちこち伸びていてその先はエーテルの店があり長を幼くした童顔エーテルと少女のエーテルがたくさんいる。建物はパルテノン神殿みたいな白い石造りだ。ここではどんなものが売られているのか気になるな。

 

「ここに来るときはまた結晶を捧げないといけないのか?」

 

「日と結晶を一致させなくてはいけないのは最初だけだ。一度入った者であれば、いつでも門をくぐることができる」

 

「他の人間だったら捧げないといけないってことだろう? あの光結晶はここで手に入るのか?」

 

「勿論」

 

エーテルが案内する街中の露天を通り過ぎる一つの店を紹介する。

 

「今なら安いからお買い得だ」

 

「販売しているのかい!!」

 

狂った光の精霊がいないからどうやって手に入れるのかと思ったら! しかもグレードが高くなるたびに+10000Gだ。品質とレア度が5以上になると、50000+10000で60000Gになるようだ。たっか・・・・・。

 

「・・・・・生産に関する物を販売している店は?」

 

「それならこちらだ」

 

お目当ての店へと案内してくれたそこは、ホームオブジェクトを取り扱っていた。ほうほうこれは・・・・・。

 

「観葉植物用のライトに室内や屋内でも栽培できる道具一式に昆虫を引き寄せるライトもあるのか。他にも・・・・・」

 

孵卵器もあるのか! それに凄い、プラネタリウムの機械までもあるぞ!? 一室丸ごと使うことになるが使用しない時は普通の部屋として使えるから問題ないようだなこれは。値段は・・・・・100万Gか。

 

赤外線センサー? フレンド登録していないプレイヤーが三分以上ホームの前にいた時に警報が鳴る? 意味あるのかこれ入れない仕様になってるのに。逆に言えば登録していたら一時間も居られるんだから無意味では。

 

「最後はここ、試練の間だ」

 

取り敢えず全部購入した後、長に連れられた場所は白くて大きな翼を生やした人物が掘られた扉だ。この先にどんな試練があるんだろう?

 

「この先がダンジョンでも?」

 

「その通りだ。エーテルを仲間にしたいならある物をモンスターから集めてほしい」

 

何でもそれはエーテル達にとって大切な物であり、たくさんモンスターに奪われたのだとか。それを100個も取り戻してほしいとか・・・・・ゴミ集めの再来ですか?

 

「途中で止めて出たとしたら?」

 

「100個集めてくれるなら問題ない。試練を受ける覚悟はあるか?」

 

だったら時間は問題ないか。

 

「じゃあ挑戦します」

 

「武運を祈る」

 

試練の扉が開き、オルト達と一緒に潜った先は・・・・・。今までの精霊の里の迷宮ダンジョンと違い宙に浮く逆様にした円錐状の足場が点々と幾つも浮いていて、そこにはモンスター達が既に待ち構えている状態だ。次の場へ行くための広い階段があみだくじのように設けられていて移動できる。まるでアスレチックだ。

 

「ステージごといるモンスターを全部倒せばすぐに集まりそうなもんだが、そう簡単にはいかないよなオルト」

 

「ムー」

 

「ま、時間はあるんだ。のんびりと戦うぞ。準備はいいか?」

 

「ヒム!」

 

「フマー!」

 

「フム!」

 

やる気満々な精霊達を従え、いざ出陣! ってな。出来れば今日中に集めておきたいもんだなぁと思いながら階段を上がってすぐ鳥型のモンスター、シチメンチョウとかいう―――おい運営!!

 

「【咆哮】」

 

「ガッ!?」

 

「攻撃!」

 

10秒間停止させられたシチメンチョウは、俺達に袋叩きされて倒された。神獣使いの効果でステータスが強化されてるからオルト達も強くなっているはずだ。

 

「お、これか。『エーテルの宝』。宝の内容は調べられないか」

 

これを100個も集めるのか、頑張るしかないが早く終わらしたいな。

 

「この調子でガンガン集めるぞ皆」

 

「ムム!」

 

次の階段へ昇りながら意気込む。次は羽が生えた虎だ。トラニツバサ・・・・・運営ェ。

 

「ガァー!」

 

「オルト、ガードだ!」

 

「ムー!」

 

鋭利な爪を振り下ろすトラニツバサの手をクワの柄で受け止める好きに、横から失礼させて短刀を突き刺し【パラライズシャウト】! 麻痺状態になったモンスターにまたフクロにして勝った。宝は、なしか? やっぱり出る時と出ない時があるのかゲーム仕様だな。

 

「よーし、頑張るぞー!」

 

こうして俺達の快進撃はしばらく続いた。このダンジョンは飛行能力があるモンスターばかりで、動きを封じたり麻痺状態にしたりしてから俺達がリンチする感じで倒していったので随分とユルい戦闘ばかりする間にエーテルの宝は10個ほど集まった。戦闘回数は30回でだ。うーん、なかなか集まらないな。これ、他のプレイヤーが押しかけてモンスターの争奪戦になるんじゃないか?

 

「援軍を増やすか。サイナ、フェル、フレイヤ【召喚】!」

 

フェルの場合は牙の笛で召喚した。久々に使うなこれ。俺達の目の前に現れた一人と2体に告げる。

 

「チームを組んでエーテルの宝を集めるのに手伝ってくれ」

 

「かしこまりましたマスター」

 

「グルル」

 

『いっぱい集めてやるにゃー』

 

これでよし、譲渡が可能だから効率的に集めやすくなるはずだ。

 

―――そう思っていたんだが。小休止も入れて半日も費やした時間で手に入れた数はまだ30個。

 

「途中で止めてもいい理由がようやく理解したわ」

 

「ムムー・・・・・」

 

オルト達も流石に疲労の色を浮かべているか。フレイヤも飽きて床に寝転がってだらーんと身体を伸ばして寝てる始末だ。

 

「ふぅ、結構登ってきたが・・・・・」

 

登山をしている気分だ。山の頂上の如く上に続く階段がまだ見える。

 

「サイナ、オルト達としばらくいてくれ。もっと上に行ってみたい」

 

「お気をつけて」

 

休憩させるオルト達に対してフェルは黙ってついてくる。休んでていいんだぞ、と言うと尻尾で背中を叩かれる。お前が気にする事じゃないと言われた気がした。だったら俺に合わせてもらおうか。

 

「目指すは頂点だフェル」

 

「グルル」

 

階段を上った先にいたモンスターは今度は翼を生やした体長2メートルもある大きい燃えているような赤い馬―――赤兎馬? ペガサス?

 

「うーん、まさかこんなところで・・・・・」

 

食指が微妙に動かない・・・・・テイム可能なんだが、あれって幻獣だよな?

 

「フェル、あいつは幻獣種?」

 

聞いてみたら頷いた。同じ幻獣が頷くなら倒さない方がいいよな。ここは回避で違うステージに行こう。

スルーするつもりで右の階段へ向かおうとしたらペガサスがそれを阻む行動をとった。階段を背後に俺の前に立った。戦えと?

 

「いや、戦わないって」

 

なら左だと振り向いたらペガサスはこの場から行かせまいとまた階段を塞ぐように邪魔する。

 

「? じゃあ来た道に戻るか」

 

「ヒヒーン!!」

 

「んだよもう!?」

 

踵返して後退しようとする俺の背後から突然鳴きだし、人の頭を噛むペガサス。それもダメー! と言われて気がしてならないんだが。こいつ意外と知性が高いのか?

 

「フェル、ペガサスが何を望んでるかわかるか?」

 

「・・・・・」

 

「ブルル・・・ヒヒーン」

 

「・・・・・」

 

幻獣同士の対話はすぐに終わった。フェルは俺の手を噛んでペガサスに触れさせる。

 

「なに? 攻撃?」

 

「グルルッ」

 

「うーん、違う? 乗れ?」

 

「グルル」

 

「違う? ・・・・・テイムしろと?」

 

「ヒヒン!」

 

え、こいつが答える? しかも頷くし何でテイムしなきゃならない? くそ、言葉が判れば悩むことが無いのに。俺が神獣使いだからってことはないだろうし・・・・・うーん。何でだ?

 

「何でお前をテイムしなくちゃ? どうしてテイムしてほしいんだよ?」

 

「ブルルッ! ヒヒン、ヒヒーン!」

 

「いやゴメン。人間の言葉じゃないから分からん」

 

困惑する方だ。そんな俺がじれったくてしょうがないのか、何時だったかフェルが俺を認めてくれた時のように額を重ねて来た。ただし頭突き。

 

『幻獣種ペガサスが仲間になりたそうに見つめて来ます。仲間にしますか?』

 

「幻獣種ペガサスが仲間になりたそうに見つめて来ます。仲間にしますか? だと? だからドラ○○○○ストじゃないんだぞ運営っ!」 

 

突っ込んでもしょうがないだろうけど・・・・・あー、もう。

 

「分かったよ。理由は知らないが仲間にすればいいんだろ。それで満足か」

 

「ヒヒン!」

 

訳も分からずテイムしてしまった。ペガサスはその場で跪き、俺に背中に乗れとばかりな姿勢となった。大きな背中に乗ると立ち上がりだすペガサスは―――上の階段を目指して一気に駆け上がり出す。そのステージにいたモンスターをひき殺して・・・・・えげつな。

 

「ブルル!!」

 

「お、おいっ!?」

 

鞍がないからペガサスの鬣を掴んでいないと俺が落ちる。馬の速度に余裕でついてくるフェル。

 

ドガッ! ドゴッ! グシャッ! ドンッ!

 

各ステージに一体しかいないモンスターをひき殺す擬音が聞こえる幻聴と一緒に、ポリゴンと化して消失するモンスターの散り様を見せられる。その度にエーテルの宝が手に入るのだがどうしてこんなことするのか本当にわからなくて、いつの間にかあみだくじの最終地点、ステージが一つしかないところに近づいて来てペガサスはようやくそこで立ち止まった。安堵で深いため息を馬の背中ですると、ここにいるとは思いもしなかった男女のエーテルがポツンと退屈そうに膝を抱えて座っていた。・・・・・狂ってもいなさそうだな。

 

「どうしてこんなところに?」

 

「ピッカー!」

 

「ピィー!」

 

降りる俺の足にしがみつくエーテル達。うーん、ここまで登っちゃって疲れたから帰れなくなった的な?

 

「里に帰るか?」

 

「ピカ!」

 

「ピィ!」

 

コクコク、と頷く二人に俺は鷹の姿になって二人を背中に乗ってもらうとサイナ達のところへ戻る。フェルトペガサスは自力で駆け降りて行ってもらった。

 

「サイナ」

 

「お帰りなさいませ。それは?」

 

「多分迷子? ここから出るからオルト達はフェルとペガサスの背中に乗って」

 

「ムム」

 

でも大丈夫かな。凄く速いんだが。

 

「アイネとファウはサイナが運んでくれないか?」

 

「わかりました」

 

と言うことで俺達は里に戻った。駆け降りる途中は俺達が上を目指している間リポップしたモンスター達と遭遇するが、フェルとペガサスが倒していった。そして扉が見えて来た。

 

「ただいま長」

 

「ああ、お帰り。おや、その子達は」

 

「試練の中にいたんで連れ帰った」

 

フェルとペガサスから降りるオルト達と一緒に背中から降ろすエーテル双子。

 

「そうだったのか。あの中は危険だからと伝えていたのだが、無事で何よりだった。解放者よ感謝する」

 

「どういたしまして。・・・・・あー、後これ」

 

エーテルの宝×100

 

フェルとペガサスが爆走&ひき殺しで一気に集まっていたにしても、ここまでは貯まらない筈だ。いや、なんで?

 

「ピカー!」

 

「ピィ!」

 

「ふむ。どうやらこの子達は盗まれた宝を取り戻そうと中に入ったようだね。ここまで送ってくれたお礼にこの集めた宝の分をキミにあげたそうだ」

 

「お、そうなのか。ありがとうな!」

 

よしよしと頭を撫でたらくすぐったそうに笑みを浮かべる双子が、ギューッと抱き着いてきた。長は宝を受け取ってくれた。

 

「確かに受け取った。ではこの里にいるエーテルを仲間にすることを許そう。もしまた仲間にしたいならもう一度宝を取り戻してきてほしい」

 

「ん、わかったそれじゃ―――」

 

「ピカ!」

 

「ピィ!」

 

エーテル双子が俺を離さんと抱き着いてくる。仲間にしていいのは一人の筈だから二人同時は駄目だろ。

 

「長・・・・・」

 

「構わないよ。エーテルは二人で一人のような精霊だ。片方だけでは力を発揮できないのだ」

 

「え、そうなのか? じゃあ、これからよろしくなお前達」

 

嬉しそうに頷くエーテル。恐らく光系のスキルを覚えているはずだ。テイムも問題なく成功してステータスを確認する。

 

 

 

名前:エンゼ&ルーデル 種族:エーテル

 

 

契約者:死神ハーデス

 

 

LV1

 

 

HP:40/40

 

MP:49/49

 

 

【STR 13】

 

【VIT 12】

 

【AGI 10】

 

【DEX 12】

 

【INT 17】

 

 

スキル:【早熟】【閃光】【闇耐性】【ヒール】【状態異常回復】

    【光魔術】【収納鞄】【ライト】【祝福】

 

装備:【光霊の鞄】【光霊の服】【光霊の首飾り】

 

 

 

 

名前:セキト 種族:ペガサス(幻獣)

 

 

契約者:死神ハーデス

 

 

HP:250/250

MP:140/140

 

 

【STR 130】

 

【VIT 190】

 

【AGI 100】

 

【DEX 180】

 

【INT 150】

 

 

スキル:【スタミナ超回復】【赤き閃光】【超突進】【踏み付け】

    【浮遊】【高速移動】

 

装備:なし

 

 

赤き閃光ってなんだよ。ってツッコミたいがスタミナ超回復は便利だな。まさに疲れ知らずってことになるだろうから、従魔のレースイベントが行われるならこいつを出馬させよう。・・・・・いや控えよう。出来レースになりかねん。さて、やることやったしホームに戻ろう試したいことがあるしな。

 

 

 

あれからホームに戻った頃にはすっかり日が暮れた。エンゼとルーデルを皆に紹介した後はスキルの検証だ。

 

「二人とも、【早熟】のスキルを使ってくれるか?」

 

「ピッカ!」

 

「ピィ!」

 

麒麟が畑に何かした事は後でわかった。畑の土壌を改善と改良を施したんだ。具体的に言えば、ホームの畑に作物を植えたら全部高品質になるという栄養豊富な土壌にしてくれたんだ。ウッドの出番はここじゃなくなったが問題ない。他の畑に頑張ってもらうだけだ。土と植物のオルト達も麒麟の恩恵を享けた様子だけどステータスの数値に変化はない。目に見える変化じゃなくて見えない変化かな?

 

「ピカッ」

 

「ピィ」

 

採取したばかりで実がない胡桃の木に両手を突き出す二人が放った光を浴びた胡桃の木は、見ているとまた実り始めた。そして採取可能なまでに成長したのだった。

 

「おおー、【早熟】便利だな。これ、同じ作物に何度も出来るのか?」

 

揃って首を横に振られる。一日一回か?

 

「じゃあ、苗木と種に【早熟】すると成長が速くなる?」

 

「ピカッ!」

 

「ピィ!」

 

首肯するエンゼとルーデル。なるほど、ファーマーが欲しがるスキルだなこれ。あとでヘルメスに情報を売りに行こっと。

 

「じゃあ【祝福】は?」

 

今度は俺に光を浴びせて来るがバフかな?

 

 

効果:20分、祝福効果によって、戦闘以外の全ての確率が上方修正される

 

 

ほー・・・・・これは案外凄いスキルじゃあ?

 

 

「【祝福】は俺以外の人間にも使える?」

 

「ピィ」

 

「ピカピカ」

 

頷いたって事はできるのか。イズとセレーネが喜びそうだ。

 

「じゃあ次は【閃光】」

 

試した次の瞬間。ホームを照らす刹那の光を浴びて目の前が真っ暗になった。め、目がぁ~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【テイマー】ここはNWOのテイマーたちが集うスレです【集まれPART9】

 

 

新たなテイムモンスの情報から、自分のモンス自慢まで、みんな集まれ!

 

・他のテイマーさんの子たちを貶める様な発言は禁止です。

 

・スクショ歓迎。

 

・でも連続投下は控えめにね。

 

・常識をもって書き込みましょう。

 

 

 

 

 

821:イワン

 

 

なぁ、気のせいじゃないよな? 精霊門が解放されたってアナウンスが流れたぞ?

 

 

 

822:アメリア

 

 

気のせいじゃないよ! 私も聞こえたもん!

 

 

 

823:エリンギ

 

 

土霊のノーム、火霊のサラマンダー、水霊のウンディーネ、風霊のルフレ。これ以外にも精霊っていたっけ?

 

 

824:オイレンシュピーゲル

 

 

もしや、俺達が気付いていないだけで他にも精霊がいたんじゃ?

 

 

 

825:エリンギ

 

 

そしてその発見者は白銀さんだという

 

 

 

826:ウルスラ

 

 

あ、あり得る・・・・・。

 

 

 

827:オイレンシュピーゲル

 

 

だとしたら光の精霊と闇の精霊・・・・・? か、可愛い精霊だったら探さなきゃ!

 

 

 

828:ウルスラ

 

 

タラリアから聞きださないと!

 

 

 

829:エリンギ

 

 

タラリアはまだ早いんじゃあ? 仮に白銀さんが発見でもすぐには情報を売らないと思う。

 

 

 

830:イワン

 

 

それもう中古になるぞ。白銀さんがタラリアに現れた

 

 

 

831:ウルスラ

 

 

教えなさい! 白銀さんは何を売ってるの!?

 

 

 

832:オイレンシュピーゲル

 

 

かわいこちゃんいる!?

 

 

 

833:イワン

 

 

いる。しかも男の子と女の子で双子っぽいし、なんか赤くて大きい翼が生えた馬もいる。ペガサスだよなあれ。双子の容姿は金髪碧眼の童顔、白い布1枚だけ着て片に掛ける鞄を持ってる。白銀さんに引っ付いていて可愛いな。あ、ヘルメスがうみゃああああああ! って叫んだ。

 

 

834:アメリア

 

 

スクショは!?

 

 

 

835:イワン

 

 

無理、フェンリルが俺達プレイヤーを警戒しているのか睨んでる。ちょっと変な事でもしたら飛び掛かってきそうな迫力と威圧で、遠巻きで見てるしかない。

 

 

836:エリンギ

 

 

すっかり番犬もとい番狼に板についている・・・・・。

 

 

 

837:オイレンシュピーゲル

 

 

それにしても白銀さん、また可愛い従魔をゲットか・・・・・。裏山!

 

 

 

838:アメリア

 

 

最早そういう星の元に生まれたとしか思えない。

 

 

 

839:エリンギ

 

 

ゲームで可愛い従魔ばかりを引き当てる星?

 

 

 

840:イワン

 

 

限定的にも程があるな

 

 

 

841:ウルスラ

 

 

でも私もその星の元に生まれたかった!

 

 

 

842:オイレンシュピーゲル

 

 

俺の、道歩いてたら必ず人とぶつかる星と交換してくれないかな?

 

 

 

843:イワン

 

 

美女とぶつかるかもしれんし、ワンチャンあるんじゃ?

 

 

 

844:アメリア

 

 

というか、単に不注意なだけでは?

 

 

 

845:オイレンシュピーゲル

 

 

あー、可愛い女の子型の従魔が欲しい!

 

 

 

846:エリンギ

 

 

ぶっちゃけやがった(笑)

 

 

 

847:イワン

 

 

ビックニュース。白銀さんが新しい精霊の動画を配信したぞ。新光霊の里を発見! って題名でだ。

 

 

 

848:オイレンシュピーゲル

 

 

おおっ! ほんとだ、場所は朽ち果てた教会みたいだな。聞いたことも行ったこともないけど。

 

 

 

849:ウルスラ

 

 

ステンドグラスが綺麗。光結晶をあんな風に捧げればいいのね。

 

 

 

850:アメリア

 

 

光霊の長がイケメン! それに白銀さんに抱き付く里にいる子達がみんな可愛いー! 白銀さん、そこ代わって!

 

 

 

851:エリンギ

 

 

無茶を言う。なに? 狂った精霊がいない? その前に空気過ぎて皆に気づかれなかったって・・・・・。

 

 

 

852:イワン

 

 

そんな精霊もいたのか。うわぁ、里は凄いな。天空にある足場の上に住んでいるのか。下をみたら行けない場所だ。

 

 

 

853:アメリア

 

 

あの双子はどうやって手にいれるんだろ? 結晶は?

 

 

 

854:オイレンシュピーゲル

 

 

 

「今なら安いからお買得だよ」「販売してるんかい!」って、白銀さんが精霊の長にツッコミを入れるシーンを見ることになるとは。

 

 

856:ウルスラ

 

 

白銀さんが私財をなげうってレア度1の光結晶120個を買って、タラリアで私達に譲ってくれる・・・・・ですって?

 

 

857:オイレンシュピーゲル

 

 

1つ30000Gはするのに3600000Gを支払って俺達に無償でくれるなんて・・・・・あざーす白銀さんっ!

 

 

 

858:アメリア

 

 

私達は白銀さんを心から感謝しますっ!

 

 

 

859:ウルスラ

 

 

 

どこかで会ったら感謝の抱擁をしてあげるわっ! ステキ! 抱いてっ!

 

 

 

860:イワン

 

 

いい人だ・・・・・。

 

 

 

861:エリンギ

 

 

お前ら、感動するのはいいがもう結晶はなくなったぞ。タラリアから去った白銀さんの後に100人以上のプレイヤーが凄い勢いで情報と光結晶×6個まで購入したからな。結晶を買えなかったプレイヤーの絶望と阿鼻叫喚が凄い。

 

 

 

862:オイレンシュピーゲル

 

 

ええっ!? ひ、光の精霊ちゃんとの出会いがもうできなくなったってのか!? それじゃあ、高騰した結晶をプレイヤーから買う羽目になるじゃん!

 

 

 

863:エリンギ

 

 

―――安心しろ。白銀さんの気配りの優しさに胸を打たれた俺がお前達の分まで用意してやった。行こうか、更なる精霊のもとへ

 

 

 

864:アメリア

 

 

エ、エリンギ~~~っ!!

 

 

 

865:ウルスラ

 

 

エ、エリンギ~~~っ!!

 

 

 

867:オイレンシュピーゲル

 

 

エ、エリンギ~~~っ!!

 

 

 

868:イワン

 

 

エ、エリンギ~~~っ!!

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