バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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レイドイベント前

ヘルメスside タラリア―――。

 

「今日も精霊門の解放のアナウンスが聞こえたんだけど情報はー?」

 

「やっぱり白銀さんが解放したんでしょ? 情報の公開はないのか?」

 

「新しい結晶の無料提供は!?」

 

情報を欲しさに西の大通りの露天に集まるプレイヤー達に私だって欲しい情報なのにまだ彼から連絡もメールも来てないんだから分かるわけないでしょ! って言いたい自分を抑えてタラリアも未確認だから公開は出来ないって何度も繰り返して説明する。3時間前からずっとこの調子でさすがの私も辟易してきた。もうログアウトして休んじゃっていいかしら・・・・・早く姿を見せてハーデス!

 

「―――はいはーい、上失礼するぞー!!」

 

そんな叫び声がどこからともなく聞こえ、夜空から巨大な化け猫が空中を走って私の真上に止まった。そして待望の待ち人が私に手を伸ばす。

 

「遅れて悪いなヘルメス。取り敢えず中に入れ」

 

「もう、遅いわよ!」

 

その手に伸ばした手ががっしりと掴み合って、巨大猫の体の中へ引きずり込まれるように招かれた私はすぐに気付いた。毛皮の座席に全身黒いローブで隠している顔が骸骨の存在に。

 

「ハーデス、何て言えばいいのか分からないけどあのモンスターが精霊?」

 

「骸骨の仮面を被ってる闇の精霊な。名前はベンニーア。ベンニーア、仮面を外してくれ」

 

「ヤミー」

 

本当に骸骨は仮面だった。外された仮面の奥には青白い肌に金の目の可愛い女の子の顏が、フードもどかされ一本に編まれた薄紫色の長い髪が見えるようになった。

 

「やだ、可愛いじゃない!」

 

「ふふ、判るかヘルメス。俺もそんな反応をしたよ。さて、時間がないから情報を提供しよう」

 

「今回は長い攻略だったわね。闇霊の里の試練はそんなに大変?」

 

「凄く大変。トップクランや前線組のプレイヤー達でも絶対てこずる。強さだけで攻略できる内容じゃないぞあれ」

 

強さが強みのプレイヤーにとって大変な試練? 中々興味深い情報を、爆弾情報を抱え込んできたのは間違いなさそうね。毛皮の座席にいるハーデスの隣に座って話を聞く姿勢に入る。

 

「まず闇霊の里を開放する場所は『常闇の神殿』っていう場所に行く必要がある。知ってた?」

 

「いいえ、知らないわ。後でその場所を教えてね」

 

「次は試練の詳細だ。これは道具屋で売られてる五つの商品だ」

 

「ゴーグル型の暗視カメラ、ガンナー用の暗視スコープ、赤外線カメラ、赤外線暗視カメラ、世界の裏側を見るゴーグル? 夜間の時に使う道具ばかりね」

 

「これらは試練の時に必要な道具で試練の難易度を定められてる物でもある。俺が使ったのは世界の裏側を見るゴーグルで、闇の住人・・・異形達が夜の歌舞伎町を闊歩している世界が見えたんだ。動画も撮影してたんだが同じ視点は見れないようで始終、映像は真っ暗だった」

 

動画の情報は提供できないと彼は言う。実際に見せてもらったけどハーデス自身も映らない真っ暗な映像だったので私もこれは使えないと納得した。

 

「どれぐらい難しかったの?」

 

「それが俺にもよくわからないんだよなぁ。まぁ、試練を挑む時は絶対に声を上げて驚かない事、世界の裏側を見るゴーグル以下の道具を使う時は絶対に後ろに振り向いてはいけないことだ。振り向いたら何かに襲われるんだってさ。試練に挑む際、闇の精霊の長から判定機のフラスコを付けられる。判定機の目盛が超えたら失格で試練の扉の前に転送されるそうだ」

 

ふむふむ、今までの精霊の里の試練とひと味違うわね。光霊の里の試練もそうだけど闇霊の里の試練もだいぶ変わっている。

 

「しかも、試練をクリアしないと精霊と契約できない仕組みだ。世界の裏側を見るゴーグルで試練を挑んで目盛の判定1以下じゃないとユニークの闇の精霊をテイムできない」

 

うわ、それは凄く難易度が高い。

 

「付け加えるならば、俺が挑んだ試練をクリアできる確率は3%未満だったそうだ」

 

「たったの3%未満!? そんな試練が本当に存在するの?」

 

「だからクリアした俺自身もそんな難しかったのかと不思議に思ったんだ。ただまぁ、あれだ。耐久値が高い武器を何十も必要な場面もあった。それがないと多分試練をクリアできない」

 

その理由は、景品としてある次のステージに必要な木札が手に入るバッティングセンターで最高得点を叩き出さないといけない。でも、ボールが武器破壊の特製があるようで、木製のバットでは絶対に打ち返すことが出来ないとか。

 

「他に木札を手に入れる方法やイベントがあるかもしれないけど俺が体験したのはそれだ。他は分からない」

 

「聞いているだけでも確かに厄介な試練ね。難易度が高いのも頷ける」

 

「最後の試練も中々だ。NPCのサキュバスがわんさかいる風俗とラブラブなホテルのステージで、サキュバスから木札を手に入れなくちゃならなかった」

 

「ど、どうやって・・・・・? サキュバスってあれでしょ? エッチな悪魔的な・・・・・」

 

「その認識で間違いないけど、性的行為はないから安心しろ。首に噛みつかれてHPを減らされるだけだ」

 

「それも安心できる? 逆にハーデスはどうやってクリアできたのか気になるんだけど」

 

「あー、サキュバスに気に入られる必要があるようで、そんなこと知らず逆に俺もサキュバスを倒さないようエナジードレインした。それで気に入られて木札を欲しいと願ったらサキュバスのボスに会わされて一緒に攻略したことで試練をクリアできた」

 

な、中々ハードな試練ね・・・・・確かに強さだけじゃ絶対にクリアできない試練の内容だわ。

 

「あと抜けたけど、序盤は物乞いする異形達に多額の金を渡したあとに、地下闘技場で何十回も連続で異形達を殺さずに倒す必要があったよ。金額は1000万以上も払った」

 

「試練のクリア率が3%なのは絶対それでしょ」

 

「1000万も支払う必要ないかもしれないぞ? もう試すことできないからわからないけど」

 

理由を聞けばクリアした試練は新しいエリアになるらしく、ハーデスがまた難易度が高い試練をすることは無くなったらしい。へぇ、里の中で新しいエリアが増えるなんて不思議だわ。

 

「それと闇霊の里を解放できるのは曜日もそうだけど夜の時間帯じゃないと駄目だってさ」

 

「ああ、だから光霊の里が夜になると入れなくなったのね? そう言う話が私の方に何度も届いたわ」

 

ハーデス君はそれを知らなかったようで、そうなのかと相槌を打った。

 

「他の試練もクリアしたの?」

 

「いやしてない。後は他のプレイヤーによろしくやってもらうさ。俺は届けに来ただけからさ」

 

闇結晶×120とゴーグル型の暗視カメラ、ガンナー用の暗視スコープ、赤外線カメラ、赤外線暗視カメラ、世界の裏側を見るゴーグルを譲ってくれた。

 

「そうそう、ベンニーアの情報もいるか?」

 

「是非とも欲しいわね」

 

提示してくれたベンニーアちゃんのステータスの内容も興味深かった。日中に使えるスキルは少ないけど夜間に使えるスキルは強力じゃないかなって思える。特に【熟成】は品質を僅かに上昇させることが出来るって、ファーマーが喉から手が出るほど欲しがる【栽培促成ex】の効果と同じじゃない?

 

「こ、これは売れるわ・・・! ファーマーやそうじゃないプレイヤーでも確実に美味しい精霊だわ!」

 

「それは何より、それじゃ情報と結晶は確かに提供したから俺は行くぞ」

 

「ええ、この機に未払いで溜まっていた支払いも完済して見せるわ!」

 

こうしちゃいられない。夜の間ってことは今は22時、残り2時間しかないから急いで売りさばかないと! 地上に降りた私は、ホームへ駆け走るネコバスに大きく手を振ったあと、私を獲物として見る私から見れば情報を買いに来た非捕食者に対して大胆不敵な笑みで返してやった。

 

「さぁ! たったいま白銀さんからホットな情報を手に入れたわ! 完全な情報じゃなくても構わないならば情報と闇結晶×120を買ってねー!」

 

うわあああああああああああっ!!

 

情報欲しさに群がるプレイヤー達を今度は違う意味で説明を繰り返す。ふふっ、今凄く楽しい気分だわ!

 

 

 

 

 

「おー、いるなフクロウ」

 

ホームの畑に二羽のフクロウがいることを確認し、ホームオブジェクトとして購入した鈴虫とコオロギ、カエルの鳴き声がますます日本家屋らしくなってきたことに満足する。

 

「あ、ハーデス君、おか―――」

 

「ただいまイッチョウ」

 

「・・・・・どうしたのその仮面」

 

おっと当然気付きますか。

 

「闇の精霊がいる里で購入した。暗視スキル付きで俺の名前にピッタリな装備だ」

 

「四六時中、付けないよね?」

 

「ホームの中では流石に外すぞ」

 

「外でも外しておいてちょうだい。不審者のそれだから」

 

「ちゃんと死神の格好をすれば不審者じゃないだろ」

 

ゲームを始めた時から待っていた装備だったんだ。これから戦闘時でもつけるぞ。死神ハーデスの名を轟かせるのだ!

 

「で、新しい精霊も死神なんだね?」

 

微妙に俺に対して呆れてる彼女の視線は俺の隣にいるベンニーアに向く。

 

「顔は可愛いぞ」

 

「骸骨は仮面? 見せてみせて」

 

仮面を外すベンニーアが「可愛い!」と評価を受けた。

 

「これで全属性の精霊が揃ったねぇー。まさかあの時貰った結晶が本当に使う時が来るなんて」

 

「俺とイッチョウだけだったもんな、二つの結晶を貰ったのは」

 

「もう、だったら誘ってくれたってよかったのにー。まぁ、別行動していたから文句言えないけど」

 

そう、イッチョウは別行動していたようでそれなら一人で攻略することにしたんだ。

 

「何か収穫とかあった?」

 

「ふっふーん。スキル【超加速】を手に入れたよん! 【AGI】が+50増えるスキルだって」

 

「いいなそれー、俺も欲しいなー」

 

「ふっふっふ、じゃあ情報交換しようか、のぅ越後屋よ」

 

「へい、わかりましたお代官様」

 

唐突なノリをしてくるイッチョウに乗りで返す俺達は情報交換をしあったのだった。

 

「あ、【マグマ無効化】だけ取得できるならイッチョウも自力で行けるな」

 

「話に聞いたマグマの中にある未知のエリア?」

 

「そう、行ってくれないか?」

 

「旦那様のお誘いを断るわけないじゃない。待っててね必ず私も到達して見せるから」

 

と言う彼女は後日、本当に自力で水晶のエリアに辿り着きラプラスも彼女の行動力を認め独占できる人数が一人増えた。そして俺も【超加速】を手に入れたのである。

 

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

「おーい、鳳凰」

 

ゲーム内の翌日、鳳凰を呼ぶ。鶏もどきは鶏らしく庭を歩いていたところ呼ばれたからこっちに来てくれた。

 

『資格ある者よどうした』

 

「そろそろお前の片割れを探しに行こうかと思うんだが、心当たりとかないのか?」

 

『残念ながらない。我は今までずっとあそこにいたので外界のどこにいるのかわからないのだ』

 

「そうか。なら、ネコバスに案内できるか訊いてみるか」

 

鳳凰を抱きかかえ、スキル【変化】と【縮小】で小さな猫になって縁側で寛いでいるネコバスの下へ寄る。

 

「ネコバス、こいつの片割れのところに行きたいんだが案内できるか?」

 

「ニャーオ」

 

俺の願いは叶うらしい。大きくなったネコバスの方向幕が鳳凰(オス)に変わり、俺と鳳凰を乗せて空を駆けて行った。

 

「鳳凰、片割れが見つかったらそのまま一緒に過ごすか?」

 

『それも選択の一つだろう。しかし今の生活が気に入っている。鳳と一緒に住んでみたいと思っている』

 

「それも選択の一つだな」

 

移動中のネコバスの中で左右に揺れながら停止するのを待っていると、森が多いエリアに移動しているのが判り風のように高速で走り、森の中を抜けるときは木々が脇によけて道を空ける。こんなのところに神獣がいるのか? と顔だけ中から出して眺めているとネコバスが急停止した同時に、コケー!? と聞き覚えのある鳴き声が聞こえた。

 

「今の鶏の声はお前か?」

 

『我は鶏ではない! いや、先ほどの声は!』

 

忙しなく窓から飛び出す鳳凰に続いてネコバスから降り追いかけた。そして視界に入る光景は―――。

 

―――鳳凰と瓜二つな鶏もどきと白鶏と言うたくさんの鶏のモンスターに交じっていた。

 

なるほど、木を隠すなら森にだな。理解できなかったけどようやくわかったわ。こういうことだったんだな。

 

『鳳ー!』

 

『お、凰!?』

 

久しぶりの再会を果たせた雌雄の鳳凰は感動に浸る、その瞬間を見られると思っていたんだが・・・・・頭に怒りのマークを浮かべる凰が怒りで眦を裂いて雄の鳳凰に飛び蹴りを食らわした。

 

『我以外に雌鳥にうつつ抜かすとはどういうことなのだァー!!』

 

『コケェー!?』

 

見事な飛び蹴り、吹っ飛ぶ雄の鳳凰。そしてギロリと白鶏達が雌の鳳凰を睥睨したことに「あ」と漏らし、この後の展開が読めたのでネコバスの影に隠れた。

 

『なんだ貴様等! 我の番を囲って我に喧嘩を挑む気か? ならばかかってこいやぁー!!』

 

「「「「「コケーッ!!」」」」」

 

鶏と鶏もどきの女の戦い? が勃発した。自分用にこの光景を撮影してたのは別の話だがな。

だけどおかしいな? マップで見れば第2エリアにいるようだけど、白鶏って、第2エリアで出現するピヨコというひよこ型モンスを進化させた先にある、コケッコーというモンスのはずだ。それが一塊でいるのは異様だろ。

 

「おい鳳凰。話の収拾がつかないから喧嘩は後でしてくれ。―――じゃないと全身の羽毟るぞ」

 

『それだけは止めろ資格ある者よ!?』

 

冗談抜きで嫌がる鳳凰は白鶏と喧嘩するのを止めて木の上に避難した。白鶏も落ち着きを取り戻したがネコバスの存在に恐れてるのか、一塊になって恐れ戦いている。

 

「これで話が出来るな雄の鳳凰」

 

『あ、ああ・・・・・我の番を止めるとは資格ある者に間違いないようだな』

 

「どういたしまして。それで、どうして他の鶏と一緒にいたんだ? 俺みたいな存在と出会い、他の神獣達に報せる役割を担っているって聞いているんだが」

 

『その通りだ。しかし、資格ある者の不在の間は眠りにつく他の神獣達と違い我は、再び資格ある者と出会うその日まで眠らず待ち続ける使命があるのだ。我の番も同じ使命を担っているのだが・・・・・はぁ』

 

溜息を吐く鳳凰(雄)曰く、あのマグマの中では資格ある者でも気づいてもらえないのが関の山だと言うのに、真の資格ある者ならば必ずここに来てくれる! と聞かず押しても引っ張っても動かない鳳凰(雌)に仕方なく自分だけ地上で比較的に見つかれ易い場所で待つことにしたそうだ。

 

『それ以降、番の方が一向に出会わず我が資格ある者と出会い恩恵を授けるようになった。それまではこうして魔物と暮らして寂しさと退屈さを紛らわしていたのだ』

 

「・・・・・」

 

これは・・・どう考えてもどっちが悪いのか一目瞭然だわ。

 

「でも、あの鶏達は本来ここに存在しないのに、ヒヨコのモンスターがいないのは?」

 

『我が身を粉にして育て上げたのだ。今じゃこの森の中では負け知らずの立派な魔物になっている』

 

「だから勝てずとも負けじと鳳凰と張り合えたのか。根性と度胸が凄すぎるだろ」

 

『ふふん、育て方を熟知した我に抜かりはない』

 

胸を張ってドヤ顔する神獣がモンスターを育てていたなんて、誰がこの事実を信じてくれるんだろうな?

 

『だが、ここ最近の人間達が育て上げた我が子当然の魔物を狩っていく。主に魔物と毛色が違う我に愚かにも襲ってくるが撃退するも一向に数が減らないで困っている。そろそろ安息の地に移動せねばなるまいと思っているところだ』

 

悩みを抱えていた神獣にピンと来たので提案を持ち出してみた。

 

「お、じゃあ俺のホームに来るか? 神獣の麒麟と黄龍が居座ってるから襲われないだろう。元々お前を迎えに来たから丁度いい」

 

『麒麟と黄龍が資格ある者の傍にいるだと!? それは誠なのか!』

 

『誠であるぞ鳳よ。そこにいる神獣もまた我と麒麟、黄龍が創り上げた新しい神獣でもあるからな』

 

木の上から肯定する鳳凰(雌)に鳳凰(雄)は数秒呆けた。今までそんなことしなかった神獣とそんな資格ある者はいなかったんだろう。

 

『本当にそこ安全なのだな?』

 

「七人の精霊もいるし、なんなら幻獣フェンリルとペガサス、樹精だっているホームに好きこのんで荒らしに来る輩はいないだろ」

 

『我等も住まわせて欲しい資格ある者よ!』

 

翼を広げて土下座の姿勢で懇願する神獣って・・・・・。

 

「いいけど、白鶏をテイムしないとな・・・・・」

 

『我から言い聞かせる。どうか信じてもらえないか』

 

「テイムしなくて済むならいいぞ。テイムしてはならないならそれでも構わない」

 

『感謝する』

 

こうして雌雄の鳳凰が揃い、数十匹の神獣に育てられた白鶏をホームに招くことになった。モンスターの白鶏は鳳凰(雄)がテイムした形になっていたので間違ってもプレイヤーから襲われることはないだろうと思う。神獣がモンスターをテイムできるのか、そうかぁ~・・・・・。

 

数時間後―――。

 

『資格ある者よ。家賃として我が子達が産んだ卵を献上するぞ』

 

「はやっ、え・・・・・これ食用?」

 

『資格ある者よ。我らの卵も産んだ。不老長寿の霊薬の材料になるらしいから好きに使うがよい』

 

「はっ!?」

 

とんでもないアイテムを手に入れてしまったためにラプラスに相談したところ。

 

「神獣鳳凰の卵だと? 錬金術で使用して良いものなのか・・・・・」

 

凄く悩まれた。

 

「不老長寿の霊薬の素材の一つらしいけど、賢者の石の素材のオリハルコンと組み合わせるとどうなる?」

 

「わからない。鳳凰の卵など見聞したことが無い幻の卵だ。他の素材との組み合わせを研究しないことには手の出しようがない。三匹目の鳳凰として孵化する気はないのだな?」

 

「ないというかできないのが現状。完全な霊薬の素材の卵だ」

 

「そうか・・・・・ならばしばし所有してみてはどうだ。ひょんなことから必要になるかもしれないぞ」

 

「ハーデス、いるー?」

 

今にいる俺達のところにイズとセレーネが揃って入室してきた。何やら大きな塊を傍に置いて相談している様だと察したか、それはなに? と聞かれた。

 

「鳳凰の卵。完全な素材のアイテムになってるから使い道に困ってた」

 

「神獣の卵? 凄く激レアじゃないの? それとその人は誰?」

 

「そう言えば二人は初見だったか。聞いて驚け、神匠の職業と同じ神の名がついた魔法使いの最高位職業、『魔神』の存在で賢者の石を完成させた賢者であるラプラス先生だ」

 

「この家に居候させてもらっているラプラスだ。こちらは古から私に仕えてくれている初代征服人形(コンキスタドール)のゼロだ」

 

「以後お見知りおきを」

 

二人の紹介に、二人は呆けた表情を浮かべた後で自分達も名乗り上げた。

 

「奇麗な人ね。ハーデスは本当にモテるわね」

 

「言っておくけどラプラスは骸骨だからな? あの顔は魔道具を使ってみせている幻想だ」

 

「ふふっ、その通りだ!」

 

「ひゃっ!?」

 

仮面を外すことで晒される白骨体の姿なラプラス。セレーネの驚愕の声に満足そうなラプラスは仮面を再びつけると別人の女性の顔になった。

 

「さっきとは違う顔になった。それが錬金術で作成した道具?」

 

「如何にもその通りだ。賢者の石を完成させた私に不可能なことはないに等しい」

 

卵をインベントリに仕舞い、訪れた二人から話を訊く。

 

「それで二人してどうしたんだ?」

 

「うん、ハーデスが発生させた二つ目のイベント、参加するならパーティーに入れて欲しいかなって」

 

「それか。いいぞ? ただチームになるけどそれでいいなら」

 

「なら私もいいよねー!」

 

自分が大トリとばかり現れるイッチョウ。トリなだけに鳥が現れたか。

 

「なんか、変なこと考えてない?」

 

「いや?」

 

「凄く普通に否定する辺りが不自然じゃないのが逆に・・・・・まぁいいや。じゃあ後はハーデス君の従魔枠ってことでいいね? 誰を連れて行くの?」

 

当然サイナだろ。サイナにはオルト達を使役して欲しいからな。後は・・・・・。お茶を淹れてくれたリヴェリアを視界に入れる。

 

「リヴェリア、力を貸してくれるか?」

 

「あなたのためなら喜んで」

 

微笑んで了承してくれたリヴェリア。彼女はNPCである以上、HPが吹っ飛んだらそのまま死亡扱いになる。本人は弱くないがいつもより守りの意識をしないとな。

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