バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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神獣にも魔獣にもなれるペンギン

「もどってきたぞー」

 

「ムムー!」

 

「いやー、今回のイベントも大変だったねぇ」

 

「本当ね」

 

「修復作業は楽しかったかな」

 

「今回もボスにしてやられたねー。ボス戦、まったく活躍できなかったよ」

 

「ハーデスを連れてくれば俺達が倒せただろよ」

 

「まさか、俺達をスルーして砦に向かわれるとはな」

 

「こういうこともあるだろう」

 

レイドボス戦を終えた俺たちは、始まりの町にあるホームへと戻ってきていた。あのフィールドから帰還する際、各地の転移門を選ぶことができたのだ。事前に決めあったわけでもなく、イッチョウ達も俺のホームに戻るつもりで始まりの町に選択したようで、途中合流した。

 

「ウニャー」

 

「ワンワン!」

 

「お、ダンゴにナッツ、出迎えてくれるのか? 可愛い奴らめ!」

 

右手に仔犬の腹。左手に子猫の腹。どっちもフニフニで至高の手触りだ。これほど贅沢なおさわりがあるだろうか?

 

微妙に違う手触りのダンゴとナッツを1分堪能していたら、イッチョウに催促された。

 

「さて、ボス素材も手に入ったし、これからどうするか」

 

レイドボス戦でゲットできた報酬は、アンドラスの羽根×3、アンドラスの爪、アンドラスの尾羽、アンドラスの剛嘴の4種であった。羽根や尾羽は、何かに使えるんじゃないかと思う。剛嘴は、杖はなんだろう?

 

あとは、サーバー順位が1位だったので、その報酬としてお金がもらえた。最終的に全サーバーでアンドラスを撃破できたため、どこでも報酬にそれほどの差はなかったようだ。

 

ピッポーン。

 

『MVPの集計が終了しました。第1サーバーのMVPに選ばれたので、報酬をお送りいたします。獲得票数、第1位でした』

 

MVPに選ばれた? はい? まじ? しかも1位って・・・・・善戦してたみんな、ゴメンネー(棒読み)。

 

だって、戦闘で―――いや、今回はちょっと活躍したな。アンドラスを地上に下ろしたのは間違いなく俺だし。そこを評価してくれたのかもしれない。あと、イベントを発生させたご祝儀的な意味もあるのかもな。

 

「ま、もらえる物が増えたんだから、ラッキーって思っておけばいいか」

 

追加報酬は、アンドラス退治MVPという称号と、お金とボーナスポイント。そしてアイテムだった。称号は効果なしの名誉称号だ。まあ、これはいい。

 

問題はアイテムだろう。アンドラスの剛嘴と、アンドラスの魔眼から選ぶことができるようだ。この2つがアンドラスのレアドロップなのだろう。

 

「むー・・・・・ここは魔眼一択だろ」

 

剛嘴はあるし、魔眼を手に入れたら全素材コンプリートになる。インベントリに追加された魔眼を取り出してみる。目と言ってもグロテスクな物ではなく、青みを帯びた丸い水晶玉って感じだった。陽に透かすと、非常に美しい。

 

「あいー!」

 

「おっと、マモリか。どうしたんだ慌てて?」

 

「あい! あーいー!」

 

縁側に座って成果を確認していたら、そこに座敷童のマモリが突撃してきた。どうやら、俺に何かを訴えたいらしい。

 

「バケー!」「カパッ!」「モフフ!」「テッフ!」

 

「なんだなんだ? マモリだけじゃなくて、お前らもか?」

 

焦った様子のマモリに他の妖怪マスコットたちも加わり、俺の周りはあっという間に人外の者たちで囲まれてしまった。

 

「あい!」

 

どうやら、今出て来たばかりの転送扉に向かっているようだ。まあ、マスコットたちが行ける場所は、ここ以外は畑しかないが。

 

「なんだなんだ?」

 

まあ、ついて行ってみれば分かるだろう。そのままマモリに先導されるままに歩くと、どうやらマスコットたちは俺を納屋に連れてきたかったらしい。因にだが、イッチョウ達は転送扉を通れないから留守番だ。

 

「一体何が――おおぉ? まじか! これを教えてくれてたのか?」

 

「あーい!」

 

リックとファウの卵にヒビが入ってた。孵化する直前だ。というか、孵化する! 急いでそれを抱えてホームに戻りみんなの前に置いた直後、ヒビが大きくなり、卵の内側から眩い光が溢れ出した。いつもの演出だ。

 

「うわっ!」

 

「きゃっ」

 

「なんだ!」

 

「まーぶしー!」

 

「あーいー!」

 

マモリも両手の平で目を覆って眩しさに耐えている。

 

「しかし、失敗したな~。リックたちを呼んでおくべきだった!」

 

モンス達に親子の感情があるか分からんけど、一応リックとファウの間に産まれた卵だからな。

 

「マモリ、リックとファウを呼んできてくれ」

 

「あーいー!」

 

マモリが居間を出て言った直後、光が完璧に収まり、そこには新たなモンスが――。

 

「あれ? いない? なんだこれ。光の球?」

 

後には白い光の球がフヨフヨと浮かんでいた。

 

ウィル・オ・ウィスプのような光の精霊っぽいのかと思ったが、どうも違うようだ。マーカーが出ていないのだ。

 

俺が首を傾げていると、ウィンドウが自動で立ち上がった。

 

「えーっと、なになに・・・・・? 未分化の力が渦巻いています? アイテムを捧げて、力の方向性を決めてください? どういうことだ?」

 

「あっ、私知ってるよん。確かテイマーのトッププレイヤーの情報じゃ、発生する条件は解明されてないけど、卵が孵化する時に極稀に起きる現象であるらしいよ?」

 

イッチョウの説明は続く。手持ちのアイテムをいくつかこの光の球に捧げることで、普通とは違うモンスが生まれてくる場合があるそうだ。灰色リスになったこともあるらしいので、絶対にレアモンスになるわけではないそうだが。

 

「選択できるアイテムは3つか・・・・・」

 

モンスターの素材から、武器や道具まで、色々なアイテムを選ぶことができる。とりあえず、俺は動画配信をすることにしてみた。

 

「久し振りの死神の宴だ。みんな来てるかなー」

 

 

『いえーい、一番乗りー。随分と久し振りの配信だね白銀さん』

 

『今回はどんな情報を教えてくれるんだ?』

 

『なんか奥にペイン達もいるし! え、どこにいるの?』

 

 

「今、俺のホームに集まって寛いでるところ。そんな時にうちの獣魔が産んだ卵が孵化したとも思ったらアイテムを捧げることで力の方向性を選ぶことが出来る未分化の力という現象が発生したんだ」

 

 

『それなに? アイテムを捧げると具体的にどうなるって?』

 

『アイテム次第で新しいモンスターを手に入れることができるんじゃないか?』

 

 

「うん、その認識で間違ってないと思う。ということでみんなもその瞬間を見て欲しい配信でーす」

 

 

『おお、もしかするととても貴重な瞬間を見られるのか? ありがたい』

 

『テイマーは興味ないけど、白銀さんのファンとして見させてもらいます』

 

『どんなモンスが生まれるのか楽しみです』

 

 

ということで、インベントリの一番上にあるアンドラスの魔眼を選択してみた。

 

「ふむふむ。アイテムを選択すると、それに合わせてここの数値とか、種別が変化すると」

 

ウィンドウには3つの項目があった。格、潜在、種別だ。アンドラスの魔眼を選ぶと、格が5、潜在が3となり、種別の欄には、鳥7、悪魔4、氷結5と表示されている。

 

次いで、アンドラスの剛嘴を選ぼうとしたんだが、「同種族のモンスターの素材は1種類しか選択できません」と表示されてしまった。全部アンドラス素材を選んで、レイドボスをゲット! とはできないらしい。

 

次に、白鶏の卵を選択してみる。格が7、潜在が4に増え、鳥や悪魔の種別は消えなかった。そして、新たに、鳥が5も増えている。試しにアンドラスの魔眼の選択を解除してみると、格2、潜在1に減少し、種別は鳥だけが残っていた。

 

「格、潜在は加算方式。種別は、選択した素材に含まれている属性的なものが表示されるのかね?」

 

次は水晶樹の木を追加で選択する。すると、格8、潜在6、樹木6、精霊7、草花2と変化した。どうも種別が被った場合も、その種別ごとに数値が加算されるらしい。

 

多分だが、種別の種類が多けりゃいいってもんじゃない気がする。だって、鳥で悪魔で樹木で精霊で草花で氷結属性も持っているって、意味が分からん。そんなのキメラですらない。

 

だとしたら、種別の中でも最も高い数値が反映されるとか、一定数値に達している種別が反映されるとか、そんな形になるだろう。だとしたら、格、潜在が高いうえに、種別の値が高くなる組み合わせを発見せねばならない。

 

「制限時間があるのか。でもまだ50分以上ある。じっくり調べてみるかな」

 

『口答で教えてくれるのはありがたいけど、本人しかわからないことみたいだからわかったら教えてね』

 

わかってるよ!

 

光の球に捧げるアイテムを選んでいると、マモリがリックとファウを連れて戻ってきた。

 

「あーいー」

 

「キキュ!」

 

「ヤー!」

 

「おー、お前らの卵、孵化したぞー。そしたら未分化の力って奴が出てきてなー」

 

「キュ?」

 

「ヤ?」

 

「あい?」

 

マモリも一緒に首を傾げている。これだけじゃ分からんか。とりあえず俺は、未分化の力や、それにアイテムを捧げると、改めてモンスが生まれてくることを教えてやった。

 

「キュー!」

 

「ヤヤ!」

 

「あい!」

 

話が難しすぎるかと思ったんだが、全員理解できたらしい。まあ、元々知識としてはあるってことなのかもしれんが。

 

「キュー?」

 

「ヤー?」

 

「そうだ、今アイテムを選んでるんだよ」

 

右肩にリック、左肩にファウが乗ってきた。やはり自分たちの卵から生まれたものに対しては興味があるんだろうか?

 

「2人はなにか希望はあるのか? このアイテムを使ってほしいとか?」

 

そう聞いてみたんだが、リックもファウも首を横に振っていた。こだわりはないらしい。

 

「となると、やっぱり数値的なものを優先して選んでいくか」

 

いくつものアイテムを選択しては解除、選択しては解除を繰り返していくうちに、段々と理解できてきた。

 

まず、レア度が高いアイテムや、品質が良いアイテムの方が、格、潜在、種別の値が高い。そして、1つのアイテムに含まれる種別は最大で3つまでであるようだった。

 

そして、使用するアイテムの候補を決めていく。とりあえず第一候補は、鳳凰の卵である。特にレア中のレア、希少素材だろう。

 

鳳凰の卵は、格10、潜在10、鳥10★、神獣10★、火炎10★だった。

 

格10というのは、他にない数値だ。さすが神獣の素材。

 

「ふむ、だがこれの意味するものは・・・・・?」

 

鳥と神獣と火炎10という数値の横に、★マークが付いていた。

 

「数値が10を超えたからか、という考えだったら妥当なんだろうが10以上にすればユニークなモンスターが手に入るかな?」

 

どうやら、特別な効果が期待できるようだ。もしくは、★マークが付いていなければ反映されないと言うことだろうか? しかし一番の問題は、種別倍化という不思議な項目だった。これは、鳳凰の卵を選択した際に、他の素材のもつ種別の値を1つ選び、その数値を倍加できるというものだったのだ。

 

制限としては、鳳凰の卵がすでに所持している鳥の種別は選択できなかったが、他はどれを選んでも自由だった。そこで、倍加すると10に届く項目を選んでみると、見事に★が1つ付いてくれたのだ。

 

「じゃあ、これらは?」

 

ジズの素材を調べてみたら・・・・・。

 

鳥帝の大黒羽 格10、潜在10、鳥9、魔8、雷8

 

鳥帝王の嘴 格10、潜在10、鳥8、魔8、貫通10★

 

鳥帝の鋭爪 格10、潜在10、鳥8、魔9、力7

 

ジズの帝尾羽 格10、潜在10 鳥7、魔7、風8

 

ベヒモスの素材だったら・・・・・。

 

ベヒモスの豪皮 格10、潜在10、獣9、魔9、防御10★

 

ベヒモスの牙 格10、潜在10、獣8、魔8、炎9

 

ベヒモスの爪 格10、潜在10、獣9、魔8、貫通9

 

ベヒモスの鬣 格10、潜在10、獣7、魔7、防御8

 

ベヒモスの角 格10、潜在10、獣8、魔9、地7

 

ベヒモスの尾 格10、潜在10、獣7、魔7、鞭6

 

「・・・・・」

 

な、悩む―!? と頭を抱えて天を仰ぐ俺に声が掛かる。

 

「ハーデス、レアな素材だけ使ってみたらどう?」

 

「ベヒモスとジズの素材も希少で色んな項目の数値が7以上で高くて悩んでるんだよ。獣の項目と魔の項目を足すと数値が10も超えてフレイヤみたいな魔獣が生まれる確率が高いんだ」

 

「それじゃ駄目なの?」

 

「発生する条件が解明されていない極稀な現象だぞ? 同じ種族のモンスターは出来れば被りたくない。この機会にまだ未確認のモンスターを手に入れたい」

 

火・水・風・土・木・光・闇属性のモンスターは揃っている。だとすればそれ以外のモンスターを生み出したい。ラヴァ・ゴーレムの熔鉱炉ならば格7、潜在6、溶岩8、岩石7、マグマ8だ。黄金林檎だったら草花の項目・・・・・これ、樹精が生まれてくる要素だよな。却下だ。なら初体験した氷結か・・・・・? 鳥に氷結・・・・・氷。

 

「配信を見てるプレイヤー諸君。氷に鳥を連想できる?」

 

 

『氷に鳥? 氷属性の鳥? そんなモンスターはまだ未確認だな』

 

『リアルを持ち出していいなら氷がある場所に住んでいる鳥としては何種類かいるよな。主に可愛いペンギン』

 

『ペンギンかー。北海道の動物園にもいるよな』

 

『このゲームにペンギンのモンスターいるかな』

 

『白銀さんの従魔として生まれるなら存在の確認が取れるんだが』

 

 

なるほど、ペンギンか。じゃあ、氷結に獣が10以上するとホッキョクグマかアザラシ辺り出て来るかな?

 

「よし、氷結の項目があるアンドラスの魔眼と神獣の鳳凰の卵、三大天災の鳥帝ジズの嘴の素材で試してみよう。非常に氷結と獣属性の組み合わせで、ホッキョクグマとモフモフなアザラシが生まれそうなのに後ろ髪を引かれるがな」

 

 

『待って? 神獣の卵とジズの素材を使うってマ?』

 

『白銀さん、希少な素材を大量に抱えてる説が浮上したな』

 

『というか、そんな素材を選んで生まれるモンスターってどんな?』

 

『トップテイマーのアミミンを超える・・・・・いや、もう超えてるか』

 

『この結果でテイマーも未分化の力の現状を狙うようになるな』

 

『はよはよ、やっちゃってくださいな白銀さん』

 

 

皆に催促され最終結果はこんな感じである。

 

格25、潜在23、神獣10★、鳥25★★★★、悪魔12★、火炎10★、氷結10★、貫通10★

 

格と潜在は10を超えても★は付かないようだが、種別は15で★★になるようだ。実際、20を超えると★★★★になってるからだ。

 

「神獣に悪魔、火炎と氷結を併せ持つモンスター? はは・・・不安しかないぞこれ」

 

 

『二つの属性を持つ神魔の鳥型モンスター? ドラゴンだったら格好いいと思うけど』

 

『これは別次元のモンスターだろ。どんなモンスターになるのか逆に気になる』

 

『これが最後ってわけじゃないんだから試してみたら? 今回が失敗しても次に活かせばいいし』

 

 

確かにそうだけど・・・俺はドキドキしながら決定ボタンを押した。インベントリから選択したアイテムが失われ、光の球が案の定輝き出す。俺はどんなモンスが誕生するのかて目を瞑りながら考える。鳥であるのは確定だ。しかも、アンドラス、鳳凰と、ジズの素材を投入しているのだ。予想では、猛禽系の戦闘もこなすモンスではないかと思っている。

 

「ペペン」

 

「?」

 

なんだ、今の気の抜ける変な音は?

 

ペタペタペタペタ。

 

え? なになに? このビーチサンダルでプールサイドを歩いてるような音は? モンスの足音?

 

「ペン?」

 

「・・・・・えっと」

 

目を開くと、未分化の力が浮いていた場所には何もなかった。だが、分かっている。分かっているのだ。俺の足下に何かいるのは。

 

視界の端で、青い何かが動いている。俺はゆっくりと視線を降ろした。

 

「ペン」

 

「ペ、ペンギーン!」

 

 

『おおおおおおおー!!』

 

『すげー!』

 

『初ペンギンの登場生シーンいただきましたぁー!』

 

『か、かわいい・・・・・っ!』

 

 

そこにいたのは、紛れもなくペンギンであった。腹は白く、背中や首から上が青い。ただ、青一色の顔の中にあって、目の上だけが少しだけ白くなっている。背中に背負ってる感じに蒼い炎がメラメラと燃えてる。

多分、大きさ的にはコウテイペンギンという奴だろう。まあ、リアルにいるのは白と黒で、こいつは白と青だが。

 

「た、確かに鳥だけど・・・・・」

 

「ペン」

 

「お前が、新しいモンス、なんだよな?」

 

「ペペン!」

 

ペンギンが、その通りとでも言っているかのように、右手をパタパタと動かした。うむ、可愛い。これが神獣であり悪魔の属性を持つモンスターか・・・・・。ペンギンの存在は実証されたが、俺が選んだ素材から産まれたこのペンギンはいないと思うぞ。恐らく唯一無二、オンリーワンだろう。

 

「ペン?」

 

「キキュー!」

 

「ヤヤー!」

 

「ペペーン!」

 

リックとファウが、ペンギンさんに抱き付いている。いや、腹にしがみ付いているという方が正しいだろうか。そのフカフカの羽毛に埋もれて、満足げである。羨ましい。ペンギンも嫌がる素振りはないので、そのままにしておこう。

 

考えてみたら親子の対面なのだ。まあ、しんみりした雰囲気はかけらもないが。やはり、親子関係という括りには当てはまらないんだろう。リックたちにとっては新しいモンス仲間って感じだった。

 

「さて、ステータスの確認――の前に名前だな!」

 

「ペン!」

 

「ペンギン・・・・・ペンペン・・・・・スイカ・・・・・。ペンカ――少し発音し辛いか? なら・・・。よし、決めた。お前の名前はペルカだ」

 

「ペペーン!」

 

「よしよし、喜んでくれてるな。じゃあ、次はステの確認だ!」

 

「ペン!」

 

名前:ペルカ 種族:ハイウェイ・ペンギン レベル1

 

契約者:死神ハーデス

 

HP:30/30 MP:18/18 

 

腕力10 体力12 敏捷8

 

器用4  知力7  精神5

 

スキル:【嘴撃】【高速遊泳】【採集】【耐寒】【耐熱】【跳躍】【突撃強化】【氷耐性】【炎上耐性】【氷結纏い】【火炎纏い】【ペンギンハイウェイ】【落下耐性】【漁師】【三角撃】【漁火】【氷炎操作】【神魔転換】

 

装備:なし

 

かなり強いぞ。初期値は報酬卵から孵ったドリモとほとんど変わらない。孵卵器のボーナスのおかげだろう。そして、スキルが18個もあった。

 

俺がリックとファウの卵に使ったのは、火属性付加戦闘技能孵卵器である。戦闘スキル、火属性スキル、火耐性の3つが加わっているはずだ。これは、三角撃、漁火、炎上耐性だろう。採集がリックから遺伝したブラッドスキルかね? 採取の上位スキルで、広い範囲から採取をしてきてくれるスキルだ。ペルカなら、水中から色々なアイテムを拾ってきてくれることだろう。

 

その他のスキルも興味深いものばかりだ。

 

 

嘴撃:嘴で攻撃するためのスキル

 

高速遊泳:水中を自由自在に泳ぎ回る

 

耐寒:寒い環境に強くなる

 

跳躍:高く飛び上がることが可能

 

突撃強化:移動攻撃時に、ダメージボーナス

 

氷耐性:氷結系魔術、氷結属性に耐性

 

火炎纏い:一定時間、行動に火炎属性付与

 

氷結纏い:一定時間、行動に氷結属性付与

 

落下耐性:高所からの落下時にダメージ軽減

 

漁師:様々な漁、生産を行う際にボーナス有り

 

三角撃:壁などを蹴って、勢いよく突進する

 

漁火:水中で消えない灯。一部の魚等が寄ってくる。

 

炎上耐性:火炎系魔術、火炎属性に耐性

 

氷炎操作:全てを凍てつかせる炎を操る。

 

これらはまあ、調べれば効果がすぐわかるスキルたちだった。データを確認しても、ペルカ以外にも所有者がいる。漁師や漁火のおかげで、釣りがより捗りそうなのがうれしいね。

 

だが、ペンギンハイウェイと神魔転換、これだけは、完全に未知のスキルである。掲示板でも一切語られていないし、データにも所有者はいない。完全にユニークスキルであった。種族名がハイウェイ・ペンギンであることからも、種族固有スキルなのだと思われる。

 

しかも、鑑定しても効果が意味不明だ。

 

ペンギンハイウェイ:ペンギンは行くよ、どこまでも。その歩みは誰にも遮ることができない。

 

神魔転換:神獣にも魔獣にもなれる唯一無二のペンギン。世界全ての獣の頂点を目指せる。

 

 

「分かるか! もっとちゃんと書いてくれ!」

 

ユニークスキルだからか? まあ、いい。使って見れば分かることだ。

 

「ペルカ。ペンギンハイウェイをここで使うことはできるか?」

 

「ペン!」

 

ペルカは嬉しそうに頷くと、部屋の端にトコトコと歩き始めた。いったいどんなスキルなんだ?この言葉自体は知っている。確か、ペンギンの群れが巣と海を行き来する際に使う、ペンギンの生活道路のことを指す言葉だったはずだ。

 

その名前のスキルとはいったい……。

 

「ペペン!」

 

部屋の角でこちらを振り向いたペルカが、片手をピッと上げると、そのまま腹ばいになった。そして、次の瞬間、驚くべき光景が繰り広げられる。

 

なんと、ペルカの体が軽く光ったかと思うと、その眼前から光の帯がミョーンと伸びたのだ。幅50センチ程の光の帯が、ペルカから俺の前まで山なりに敷かれている。

 

「ペペーン!」

 

「おおお! ペルカが飛んだ!」

 

光の帯は、正にレールであった。そのレールの上をペルカが滑り、かなりの速さで移動する。気付いたらペルカが宙を飛び、俺へと飛び込んできていた。

 

「おっと!」

 

あぶねー! 受け止めれたからよかったけど、失敗してたら俺もペルカもぶっ飛んでたぞ? 意外と思い切りがいい性格であるらしい。

 

「今のがペンギンハイウェイか」

 

移動系のスキルっぽいな。しかも、ただ地面を滑るのではなく、宙にレールを敷くことで、疑似的に空を飛ぶことさえ可能だ。

 

なんと、ペルカはペンギンでありながら、空すら飛ぶことができるのである!

 

「すごいなペルカ!」

 

「ペッペーン!」

 

俺が褒めると、嬉しげな表情でふんぞり返る。お調子者でもあるらしい。

 

「ふむ……」

 

「ペン?」

 

抱きかかえたペルカの手触りは、簡単に言えば至福であった。背中側の短い羽毛は、いくらでも撫でていられそうなほどに滑らかである。もっとツルツルしているかと思ったんだが、意外と柔らかい。

そして、腹側のフワモコの羽毛はうちの動物系従魔たちとはまた違う、鳥類特有の温かさがあった。しかも皮下脂肪がプニプニで、無限に揉みしだいていられるのだ。

 

断言しよう。ペルカの体は人を堕落させる魔性の肉体であると同時に人を癒す神性の肉体の持ち主だ。

 

「ペン?」

 

「はっ・・・! やばい、マジで手が止まらないところだった。残念だが、とりあえずスキンシップはこれくらいにしとこう」

 

次は、ペルカのお披露目かな。

 

「よーし、うちの子たちに紹介するからな」

 

「ペン!」

 

「キキュ!」

 

「ヤー!」

 

と―――思ったんだが。

 

「ハーデス君」

 

おっと、俺の肩を掴むイッチョウ以外にも女性陣がいつの間にか近くにいらしていた。ただならぬ気配を放って俺を見つめてくるその視線から鬼気迫る何かを感じさせる。

 

「触らして?」

 

「はい」

 

この有無を言わさぬプレッシャー・・・・・逆らえる男がいたら見てみたいものだ!

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