バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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群れと戦う時はキングを狙うのが一番

鉱山の中は昔から鉱石を求めて掘り続けたドワーフの歴史を物語らせていた。ライトや天盤を支える木材、鉱物を運ぶレールやトロッコが今でも使われているのか、使用している痕跡が残っている。俺達が向かう古戦場はモグラが占領している鉱山の中心にあり、他の場所と繋がっている坑道が幾つもあるが、ドワーフとの戦いの際は背後から狙わない決まりになっているそうだ。

 

「わぁ、あちこちに採掘ポイントが・・・・・」

 

「この戦いに勝ったら掘らせてくれないかな?」

 

イズとセレーネが鉱山の中に点在する採掘ポイントにそわそわする。モグラ叩きに来なかったら喜んで採掘してただろう。

 

「鉱山の中って、結構広いんだな。ベヒモスの身体でも届かないぞ」

 

「・・・・・掘り続けた結果だ。上を掘り尽くしたなら掘っていない下の地面に掘ることになった」

 

「じゃあ、今歩いている坑道は下を掘っている最中ってことか」

 

上が駄目なら下にって視野を変えた昔のドワーフ、頭がいいな。そんな場所にモグラが住み着くとは。そもそもモグラは鉱山のどの辺りに掘って入って来たんだろうな。そして古戦場までの道のりは長い・・・・・1時間以上も歩いてようやく道半ばで、二時間以上も歩いてようやく古戦場に辿り着いた。

 

だがそこは、先に戦っていたドワーフ達の死屍累々の光景が俺達を待ち受けていた。いや、言葉の綾だ。地獄絵図とかグロテスクは用意されてないけど武器と防具だけしか残ってないのと、数十人ほどのドワーフがエレンを守るため、壁に背中を預けて一か所に集まって防衛陣を構えていたのだ。

 

「・・・・・間に合ったか」

 

「おおっ! 来てくれたか兄者、ドワーフの心の友よ!!」

 

エレンが大声で叫ぶためこっちに気付いた相手―――喧嘩上等! という黄色い作業用ヘルメットを被り、目の部分が小さくて丸いサングラスを鼻頭に乗せている。さらには紺色のオーバーオールに、でっかいツルハシを構えてるドリモールの軍勢が一斉に振り返って気付き、あいつらで最後だ! とばかり大挙してツルハシを掲げながら押し寄せて来た。その中には目隠しされている蛇と岩石の長い身体のモンスターまでもいる。

 

「・・・・・行くぞ。兄者を救出する」

 

『おうっ!』

 

ドワーフ達も数倍の差の数に恐れもせず前へ駆け抜け、あっという間にドリモール達と衝突した。そんな様子を見ても俺は動かなかったのでペイン達も動かなかった。

 

「ハーデス、戦いに行かないの?」

 

「考え事してる。うーん・・・・・」

 

単純に戦って勝てばいい話でもなさそうだからな・・・・・。うん、こうしようか。

 

「リヴェリア、サイナ。あのモンスター達を誰にも倒されないよう拘束しておいてくれ。モンスターに目隠しをして使役しているように見えないからな。ドリモール達も出来るだけ倒さずドワーフ達の助けになってやってくれ」

 

「わかりました」

 

「了解しました」

 

俺の指示にメタルスライムが疑問をぶつけて来た。

 

「ドリモール達を倒しちゃダメなのか?」

 

「普通に戦っていいぞ? 他のパーティのやり方に口出ししないから自由に戦ってくれ。これは俺個人がしたいことをしようとしているだけだから」

 

「何しようとしているのかなハーデス君」

 

まーた何かやらかそうとしているなこの人、そんな眼差しを向けてくるイッチョウに古戦場の奥へ指差す。

 

「ドリモール達のボスと会ってこようかなと。この戦いの終止符を打つためにな」

 

「それがこのイベントみたいな戦いを終わらせる方法なのか?」

 

「さて、それは実際誘拐してドワーフの王様と話合わせてみないことには何とも言えないな。と言うわけでイッチョウ、フェル。リヴェリアの護衛を頼んだぞ」

 

「グルル・・・・・」

 

「はーい」

 

足に力を込めて跳躍しかけた時、背中に衝撃が襲った。振り返ればドリモが飛び乗ってくっついていた。

 

「モグモ!」

 

「一緒にか?」

 

「モグ!」

 

同じドリモールのモンスターとして思うところがあるのかな。ドリモの想いを無下にしたくないので、一緒に行くことにした。跳躍して高く飛んだあと、ドリモール達の真上で【覇獣】に変身した。地面に着地しながら多くのドリモール達を薙ぎ払ってから奥へと移動する。ベヒモスでも余裕で通れる行動って凄すぎじゃないか?

 

 

イッチョウside

 

ドリモールのボスを誘拐してくると言ってこの場から離脱したハーデス君。そんな存在がいるのか分からないけれど、これだけはわかる。

 

「モ、モグ~!」

 

「モグモ! モグー!」

 

「モグモ!!」

 

「ドリモール達が焦ってる?」

 

「ハーデスを追いかけに離れていくな」

 

まぁ、突然巨大なモンスターが現れて鉱山の奥へ行っちゃったから戦いどころじゃないのかもね。ドワーフの人達もポカーンと呆けちゃってるし。でも全員が全員じゃない。

 

「数が減ったぞ! 今こそ好機っ、攻め立てるんだぁ~!!」

 

おお~~~!!!

 

戦線を維持するドリモール達もいるからドワーフ達も気を緩めない。手持ち沙汰にならずに済む私達もドワーフの勝利に貢献する。

 

「ジャァアアアアアッ!!」

 

「グオオオオオンッ!!」

 

リヴェリアさんの魔法でハーデス君の望み通り蔓で拘束されてる二匹のモンスター。目隠しを外したらさらに暴れまくるだろうから外せないし・・・・・あっ、蔓を攻撃してる竜化してるドリモールがいる!

 

「させないよん! ウィンドカッター!」

 

「モグゥッ!?」

 

数が減ってもまだたくさんいるから本当にキリがないね! なにより竜化したドリモールは本当に強い! ドワーフ達がてこずって負けちゃうのも頷けるかな!

 

 

 

「モグモ~!!」

 

「モグゥ!!」

 

「モグモ!!」

 

横の行動から現れ続け、通り過ぎる俺の背後から追いかけて来るドリモール達の声が止まない。ユーミルに見せてもらった地図の最奥までの道は、ほぼ直進だったので迷うことなく走り続けれた。そしてどれだけ走ったのか思い出すのも放棄してようやく鉱山の最奥に辿り着いたのだった。

 

まだ整備の手が入っていないくり抜かれた洞穴。明かりに照らされているドリモールは小さくなく、逆に数倍大きいドリモールがそこにいた。黄色い作業用のヘルメットには王と書かれていた。うん、わかりやすい。

 

「お前がボスだな? 突然で悪いが一緒に来てもらうぞ」

 

「モ、モグモ~!?」

 

な、なんだと生意気な!? とボスが言い返したのかと思ったんだが・・・・・ボスとは思えない逃げ腰で近寄る俺から後退する。壁とぶつかって俺から離れなくなったらその場で土下座をして何かを乞うので首を傾げる。

 

「・・・・・お前、ドリモールのボスなのに戦えないのか?」

 

「モ、モグモ!」

 

「それでよくボスになれるな。どうなったらボスになれる?」

 

ボスのドリモールは精一杯背伸びをする。体の大きさで次のドリモールのボスになれると。

 

「なるほどな。だが、俺はお前を誘拐することは決定事項だ。お前達ドリモールとドワーフの戦いを終わらせるために話し合いをしてもらいたいからだ」

 

「モ、モグ?」

 

「断るなら喰うぞ」

 

凶悪な牙を覗かせ迫れば、何度も首を縦に振る。俺に誘拐されることを選んだようだ。ならば話が早い。そのままボスの身体を銜えて踵を返すと、来た道には大量のドリモールで詰まっていた。

 

「どけ、お前等のボスがどうなってもいいのか?」

 

「モ、モグ~!!!」

 

「モ、モグ・・・!」

 

戦えない王様でも配下からの信頼はあるようで、俺が前に進むと道を開けてくれる。

 

「モグモ!」

 

頭の上にいたドリモが声を上げた。俺の顔を滑り、鼻先で停まるとツルハシでどこかを差す。ドリモが訴える何かの方へ向ければ、鉄の籠が一つあり小さなモンスターが閉じ込められていた。あれは・・・・・。

 

「助けろって?」

 

「モグ!」

 

手にドリモを乗せて俺の代わりに助けに行かせる。籠ごと運んでもらいまた鼻の上に乗せて移動した。

後ろから攻撃してくるドリモールはいない様子だったからゆっくりと戦いを終えていたエレン達のところへと戻れたのだった。

 

「あっ、ハーデス君が戻って・・・・・何かを銜えてるぅっ~!?」

 

「うわ、大きいドリモール・・・?」

 

「あれがボスなのかしら?」

 

「でっけぇなおい」

 

「・・・・・白銀さんがいつもどんなプレイをして来たのか、少しわかった気がする」

 

なんか驚かれてるがボスを皆の前で解放させると俺もドリモを降ろして元の姿に戻る。古戦場にまた大量のドリモールが現れるが直ぐに襲い掛かってくることはなかった。

 

「エレン、ドリモールのボスを連れて来た。こいつと話し合ってくれ」

 

「長年、見る事すら敵わなかったモグラのボスをこうもあっさり・・・・・」

 

「・・・・・この者ならばそれぐらい容易い」

 

エレンとユーミルがドリモールのボスに近づく。

 

「だが、何を話し合えばよい。ドワーフとドリモールの間にできた溝は深すぎるぞ」

 

「取り敢えず、どうしてこの鉱山に住み着いたのかの原因からで」

 

「・・・・・それでどうなる?」

 

「少なくともお互い話し合えば理解でき合うだろ? まだ戦いを今後もしたいのか?」

 

そう訊ねられたエレンとユーミルは押し黙り、俺の提案を呑むことにしてくれた。

 

「お前達はどこからやってきた?」

 

「モグ、モグモグモグモ・・・・・」

 

「・・・・・む」

 

まぁ、モンスターとNPCが話し合っても言葉が通じないのは当然だわな。さて、どうしたものか・・・・・と悩む俺の前でドリモールがヘルメットを外して隠していた何かを手に取った。それを口の前で・・・・・。

 

「こ、これでわかるか?」

 

「なっ!? 翻訳できるのかその石!」

 

「た、たまたま見つけて面白かったから重宝してた」

 

うわぁー、それ欲しいなぁ・・・オルト達と話が出来るじゃん。

 

「それで話し合いができるなら早い。もう一度聞くが、お前達はどこから来た?」

 

「お、おいら達はこの中に昔から住んでだ。でも、おいら達の住処におめーらが掘ってできた所と繋がってしまっただ。しかもおいら達の住処まで掘ろうとしたから追い返した。でも、その日から毎日、何度も掘りに来るおめーらを止めてもやってくるんだ。おいら達はもう怒って、おいら達の住処とつながったここを、おいら達の住処にする事にしたんだ」

 

「・・・・・俺達が生まれる頃の前の話になるなそれは」

 

「そうなるな兄者。これを聞かされると俺達の方が悪いように聞こえてしまうわぃ」

 

すまないが俺もそう思うわ。

 

「だからおめーら。二度とおいら達の住処に入らないでくれ。もうおいらの子分を戦わせたくないんだど」

 

「そう言われてもここはお前達が住み着く前に俺達ドワーフが掘り続けた場所だ。ここにはドワーフが必要な物が眠っている。それがないと俺達はいけていけないんだ」

 

あ、こいつは話し合いの平行線になる。即座に察した俺は間に入った。

 

「なら、エレン達が妥協したらいいんじゃないのか?」

 

「俺達の方が妥協だと? ここは元々俺達ドワーフが掘り続けた鉱山だ。モンスターの住処にさせておくわけにはいかんのだぞ」

 

「それでも別の場所で掘れていたんだろ?」

 

「む・・・・・そりゃあ、他にも鉱石が眠っている場所はいくつもある。地龍が現れるまではそこで掘ってはいたが・・・・・」

 

「納得していないのは承知の上だけど、ドリモール達の方にも妥協してもらってお互い納得する方法を見つけないと解決しない問題だぞ。どっちも種族の王としていいのかそれ」

 

むっ・・・と唸るエレンとドリモールのボス。

 

「エレン達ドワーフは鉱山に眠る鉱石が求めてるだけだから鉱山そのものはいらないだろ? 鉱石が枯渇したらただの洞窟になるだけだし、ドワーフは鉱石のない洞窟や山なんか興味あるのか?」

 

「・・・・・興味ない」

 

「これ兄者!」

 

「逆にそんな洞窟で暮らせるドリモール達は・・・・・いつも何食べてる?」

 

「に、人間が食べている物だど。硬い石は不味くて興味ない」

 

うん、だったら解決できるだろこれ。

 

「エレン、ドリモール達は鉱石を食べない。それどころか発掘が出来るモンスターだ。ドワーフ達の代わりに鉱石を採掘させて家賃代わりに集めさせてもらったらどうなんだ」

 

「モンスターと共存しろと、そう言うのかドワーフの心の友よ」

 

「利害関係を築いてくれって言ってるんだ。仲良くするかどうかはお前達の自由だし別の問題だ。鉱石だけ欲しいドワーフと鉱山の中で暮らしたいドリモール達。お互い利害出来る共通点だけ見出せば解決できる問題は解決できるんだ。そこは王として柔軟な対応をしてくれないと、この先も大量の戦死者が出るぞ。それが王として望んでいることなのか?」

 

「「・・・・・」」

 

口を閉ざし押し黙るドワーフとドリモールの王達。先にこの沈黙の空気を破ったのはドリモールの王からだった。

 

「か、硬い石はいらない。欲しいなら集めてくれてやる。そ、その代わりにおいら達の住処に来ないでくれど」

 

「・・・・・ここまでドワーフの心の友にお膳立てされて、無下にするのもいかんことぐらい俺だって頭ではわかっている。だが、心までは納得できん俺と同じく他の者共も簡単に納得できん。それはそっちも同じはずだドリモールの王よ」

 

「だ、だったらどうする・・・・・戦うのか」

 

弱弱しくファイティングポーズを取るドリモールの王に釣られて子分のドリモール達が一斉にツルハシを構え攻撃態勢に入った。次の言動で決まるが、ふかーい溜息を吐いたエレン。

 

「王同士、この鉱山のことについて会談をしよう。後日また俺はここに来る。お前も必ず顔を出せ」

 

「・・・・・わ、わかったど。それで戦わずに済み、おいら達の住処に来なくなるならい、行ってやる」

 

「ああ、そうしろ。後これだけは言わせろ。お前、王の癖になんだそのへっぴり腰の態度は。王なら王らしくもっと胸を張っていろ。そんなんじゃ部下に情けない所ばかり見られるぞ。うちの兄者なんかなぁ・・・王の務めを弟の俺に全部丸投げして押しつけて、自分だけ鍛冶をしているとんでもない頭の中まで鍛冶でいっぱいな大馬鹿なんだぞ。ちっとぐらいは王の仕事をしてくれたり俺の手伝いをしてくれたってもいいぐらいなのに面倒事は全部俺にやらせるんだ。俺より鍛冶の技術の腕があるってのに・・・・・あー今思い出すとやっぱり腹立つことばかりが頭の中で沸く! おい愚兄!! 長年積もりに積もった俺の我慢をぶつけさせろやぁっ! とりあえず、その鍛冶馬鹿な頭と脳みそをカチ割らせろぉおおおおおっ!!!」

 

「・・・・・断る!」

 

何故か兄弟喧嘩もとい追いかけっこをはじめだし、放置される俺達は困惑する。

 

「モグモグ!」

 

ドリモが俺の脚を叩き、籠の存在を主張する。あーそうだったな。

 

「ドリモールの王。こいつを開放してもいいよな」

 

「お、おいら達がいなくなった後にしてくれ。い、言うこと聞かせるためにおいら達の住処にやってきたそいつらの子供を捕まえて大人しくさせてるんだど」

 

「じゃあ、今すぐ奥に引っ込んでくれるか? それとその翻訳できる石ってまだある?」

 

「な、ない・・・・・見つけたならあ、あげる」

 

「ありがとう。あともう一つ。この鉱山に人間達が押し寄せてドリモール達を仲間にしたいと来るかもしれないがどうする?」

 

「て、抵抗する。お、おいらに攻撃するならおいらの本気を見せてやる」

 

これだけデカいから、竜に変身したその姿も爽快だろうなぁ。

 

「そ、それとおいらの仲間・・・・・これからも仲良くしてやってくれると、おいらは嬉しい」

 

「勿論さ。個人的にはお前とも仲良くしたいな」

 

「お、お前は怖いから嫌だ・・・・・」

 

振られたぁ!! 四つん這いになって落ち込む俺にドリモがポンポンと背中を触れて慰めてくれる!

 

「・・・・・食べ応えありそうな身体だよなお前」

 

「ひ、ひぃいいいいい!! く、喰われるぅ~!!!」

 

全力で逃げ出すドリモールの王。巣穴の奥へと引っ込む王に続き、ドリモール達も古戦場からいなくなった。

 

「モンスターをビビらせるプレイヤーがいるってマジか」

 

「あいつが臆病すぎるだけだ。ドリモ、開けていいぞ」

 

「モグモ!」

 

ツルハシを振るい、ガッ! と籠を破壊するドリモが解放した小さなモンスターを抱え、リヴェリアが拘束し続けているモンスターの方へと運ぶ。

 

「サイナ、目隠しを外してくれ。その後はリヴェリアを石化させないように頼む」

 

「了解しました」

 

ビームサーベルに変形した指で目隠しを切断したサイナ。視界がクリアして二匹の前に小さいモンスターの後ろにいる俺とドリモに対して、二匹は自分達を拘束していた蔓が解かれるとすぐさまに我が子と触れ合う。

 

「シャァアアアアア・・・・・!」

 

「グオオオンッ」

 

「ビィー、ビィー」

 

さて、この後どうなるか。自分達を使役してたドリモールが目の前にいて俺も目の敵にされるか? ドリモールを盾の陰に隠して伺ってれば岩蛇が顔を突き出して来た。

 

「グオン・・・・・ペッ」

 

岩蛇が何かを吐き出した。足元に落としたそれは・・・・・金色の光沢を放っていて凄く見覚えがある物だった。一方バジリスクの方は顔を近づけて俺の額に鼻先を押しつけて来た。

 

『バジリスクが死神ハーデスと契約を結びました。一日に一度だけの召喚が可能になります』

 

あ、こっちがお礼なの? ありがとう。こっちに尻尾で振ってお礼する子供のモンスターをバジリスクが口の中に入れさせると、地面に頭から突っ込んで穴を掘り始める岩蛇に続いてバジリスクも追いかけた。今度は誰にも捕まらない場所で過ごすんだぞー。

 

「あの二匹のモンスターを倒してたらどうなってたんだろ?」

 

「きっとテイムするしかないと思うな。でも、それよりも凄いのを得たから俺は満足だがな」

 

「うん、それってあれだよね?」

 

―――宇宙の星。その破片がこんなに早くまたゲットできるとは思いもしなかったな。やっぱり地中に埋まっているのかね?

 

「ドワーフの心の友よ」

 

追いかけっこを中断した二人が戻ってきたか。あれだけ走り回っても息を乱さない辺りはドワーフだからなのだろうか。

 

「此度の協力に深く感謝する。お前が居なければドリモールの王と会わず今後も戦いに明け暮れていただろうからな。話し合う機会も与えてくれたことに、これからはあの弱腰の王と鉱山のことで決め合う会議に力を注ぐ」

 

「フェアな話し合いをするんだぞ。一方的な不平は無しだ」

 

「わかってる。俺は絶対にそんなことはせん。俺を信じろ」

 

なら信じる。手を伸ばす俺にエレンも手を伸ばして強く握り締めた瞬間。ドワーフの兵士達が歓喜の歓声を上げた。今回の戦いで彼等の苦労が報われるといいんだがな。王として民を満足と納得させるのは中々に苦労するんだよな。いや、本当に・・・・・。

 

「城に戻るぞ者共! 今夜は祝杯だ!」

 

王の言葉にドワーフ達は歓喜し、お互い肩を組んで鉱山を後にしていく。俺達もそうして城に戻るとエレンの計らいにより鉱山奪還の協力の報酬として、神匠ユーミルへの武器の依頼を無償で受けられることと、称号『ドワーフの協力者』を獲得し、賞金1000万Gもくれた。

 

「おお、称号だ! しかもこんな大金も手に入るなんて!」

 

「やった!」

 

「これが白銀さん現象か・・・・・凄すぎるだろ!」

 

こらそこ、変なこと言うんじゃないよ。

 

「ドワーフの心の友よ。重ねて礼を言う。ありがとう」

 

「どういたしまして。だって言っただろ、友達になったらお前の為に協力するって」

 

「ああ、本当にそうなったな。あの時の言葉が偽りではなかった実感が湧いた。だからこそ今度はお前が困ったことがあれば俺達に協力を求めろよ。いの一番に力になってやる」

 

「信じるよその言葉。頼りにしてるぞエレン、ユーミル」

 

「・・・・・ドワーフは借りを返すのが当然」

 

その日の夜。ドワーフの宴会にも参加してドワーフとの友好度を更に高めた。もうドワルティアで俺を知らないドワーフはいないようで、俺は引っ張りだこな状態であちらこちらに酒を飲み交わされる。解放された時は全員が酔いつぶれた時だった。

 

「うおお・・・・・て、酩酊耐性が大になるほど飲まされるとは」

 

「とっかえひっかえ、しかもお酒を直接浴びさせられちゃって」

 

「リアルじゃなかったことだけは幸いだね」

 

絶対アルコールの臭いで染みついていただろうな。そして吐いていた。フェルの背中に仰向けで乗せてもらいながらホームへと帰還する。

 

「今日は満足のいくプレイをしたわね」

 

「メタルスライムさん達も凄く喜んでいたもんね」

 

「ペインさん達もどうでした?」

 

結局一緒にホームへ戻りについてきた一パーティのプレイヤーに尋ねるイッチョウ。

 

「とても有意義な時間を過ごさせてもらったよ」

 

「お前等と一緒にいると実りある事ばかりだな」

 

「その中心にいるのがフレデリカの夫だしよ」

 

「ドラグ、それいま関係ないでしょ」

 

関係あるんだよなーそれが。それを口にしたら何を言われるか分からないから言わない。俺は空気を読む男なのだ。

 

「ところでハーデス。ドリモールの居場所を他の人達に教えないの?」

 

「ああ、まだな。というか、教えたら採掘どころじゃないと思うぞ」

 

「「あっ、確かに」」

 

「こんな反応をする二人だからしばらくは教えない」

 

あそこの鉱山は今後行き来できるようになったし、あとは二人が満足するまで堀りに行かせればいい。

 

「そもそも二人はノームとドリモールをテイムしないのか? 採掘スキルがあるのに」

 

「いつかすると思うけれど、今はしないわ。鍛冶に集中できなくなりそうだから」

 

「うん、もっといろんな物を作る集中する時間が欲しいからね」

 

俺と違って生粋な生産職のプレイヤーはブレないな。

 

「いよいよ近日はリヴァイアサンレイドだな」

 

「船を造るなら、私頑張るよ?」

 

「素材集めはハーデスに任せちゃうわね」

 

その代わり最高の船を造ってもらうからな?

 

「さて・・・・・次はどんな風なイベントになるか楽しみだ」

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