イズたちが6時間の睡眠をした後、スケガワ達が眠る番となりイズたち鍛冶師プレイヤーが頑張る番となった。結局3日目最終日となってしまったイベントは、外へ出れば相変わらず魚介類のモンスター達の襲撃が続いていた。このスタンピードを止める術が見つからないものかね。海に出れば分かりそうな感じだが、他のプレイヤーがそうする気配がないし、していても見つかっていないか。
「修理をお願いしまーす!」
「急いで修理してくれ!」
「修理を頼む!」
何千人のプレイヤーが求めて来る。あの時の判断は失敗したなぁ、と痛感してるとイッチョウからコールが届く。
『ハーデス君。まだ動けなさそう?』
「全然だ。寧ろ金ばかり稼げてしまって何しに来たって感じだわ。そっちは?」
『私達がいるところはどうやらセーフティーゾーンらしくて、他のプレイヤーもここで休んではいるんだけど、やっぱりスタンピードが発生しているのは海底からみたい。海から大量のモンスターが出て来てるよ』
リヴァイアサンと戦えなくなった弊害か? プレイヤーは海に入ることが出来ない、というか入ったら入ったでモンスターの餌食になって即死するらしいから、誰も海に入ってスタンピードの原因を探れないのが現状だとか。うーん、八方塞がり・・・・・。
「おい! 巨大なクラーケンがここに迫ってるぞ! 修理が済んだ奴から迎撃にあたってくれ!」
「クラーケンだと!? あのモンスターは海にしか出てこないんじゃないのかよ!?」
「知るかよ! 来てるもんは来てるんだから急いで来てくれよ!」
剣士のプレイヤーが工房に入ってきては他のプレイヤーに叫びながら要請した。気になって外へ出てみれば、黒いエフェクトを纏っている山並に大きいタコが複数ある足を駆使して、モンスターとプレイヤーを薙ぎ払ってゆっくりとこっちに迫ってきているのが火を見るより明らかだった。・・・・・うん? 胴体に見慣れたもんが刺さっておりますが・・・・・。いや、冷静に見ている場合じゃない!
「白銀さん、何とかしてくれないか?」
俺に何とかしてもらいたいプレイヤーに懇願された。てか、もう目と鼻の先だから避難しなよ。と思ってももう遅いか? 夜のように周りが暗くなった。クラーケンが極太の巨大な一本の足を俺達に目掛けて叩き潰さんと振り落として来た。あ、工房って壊れない?
『タコ相手に手間取っているのか資格ある者よ』
「え?」
不意に聞こえてくる声と、タコ足が見えない何かに弾かれて潰されずに済んだ。だけどそれだけでは終わらなかった。
「放てェー!!」
「突撃ィー!!」
暗雲の空の下で大量の矢が雨の如く降り注ぎ、プレイヤーと戦っていたモンスターにだけ当たって倒していく。さらに武装した多くのNPC達が雄たけびを上げながらモンスターへ突っ込んで大剣や戦斧、槍に大鎚を叩き込む。な、何事だ!?
「あなた!!」
「え、リヴェリア?」
待て、今回は連れてこなかったリヴェリアがどうやってここに!? あれーオルト達もいるし! というかよく見ればあれはドワーフだし、ドワーフと交じって格闘術で戦ってる筋骨隆々はエルフだし、どういうことだ!?
「よう坊主。助けに来てやったぜ」
「ヘパーイストス!? ヴェルフも・・・本当にどうやって? いや、そもそも何でここに?」
「お前が鍛冶師が足りなくて困ってるって、手紙を寄こしたから駆け付けて来たんだよ。俺達だけじゃ足りないだろうから、クソッタレ師匠にも声を掛けたら暇人なドワーフ達までついて来やがったのさ」
「えええ・・・・・?」
まさか、NPCが駆け付けに来てくれるとは思いもしなかったぞ。この展開にもなるとも想像もしてなかった。
「でもどうやってここに? ここには来られないんじゃあ?」
「私が神獣に助けを乞いました」
「リヴェリア、お前が?」
『その通りだ資格ある者よ』
上空から黄龍と麒麟が降りて来た。麒麟の背には鳳凰達もいる。
『宿主の番の誠意に応えました。彼女のあなたを想う心の強さに感嘆し一度だけ協力を応じたのです』
麒麟・・・・・。
「ありがとうリヴェリア。でも、他のエルフとドワーフ達はなんで?」
「娘から頼まれたからだ娘婿殿!」
「・・・・・ドワーフの恩を返しに来た」
「その通りだドワーフの心の友よ!」
ハイエルフの長とエレンとユーミルが俺の前に現れて、どちらも互いに見つめ合った。
「ドワーフ王においては初めまして相まみえましたな」
「融通の利かんハイエルフの長と会うのは初めてだな。最近のエルフは身体を鍛えるのが流行りなのか?」
「ふっふっふっ。よくぞ聞いてくれたドワーフ王よ。そちらも逞しい肉体の持ち主で気が合いそうだ。娘婿殿の助けが終えた後、一緒にお話でもいかがかな? おのれの肉体の美しさを語り合おうじゃないか」
「・・・・・身体を自慢したがるエルフなど初めて聞いたぞ」
ドン引きするユーミルだった。
「喧嘩だけはしないでくれよ」
「出会い頭で喧嘩するほど俺達は短気ではないぞ」
「その通りだ。寧ろドワーフと良き交流を図りたいと思っている」
「ほう? ではエルフの秘宝であるオリハルコンを少なからず提供してくれてもよいのだぞ」
「そちらも風の噂で聞いた、魔力を蓄えている不思議な水晶を提供してくれるならば、考えてもよいですな」
そう言い合う二人は無言で手を握り合った。んと、交渉成立かな?
「ドワーフの心の友よ。ドワルティアの鍛冶師を全員連れて来た。これならば何千の人間の装備を整備、修理することが出来る」
「私達はドワーフ達の護衛としてモンスターを駆逐しよう。娘婿殿はまずあの怪物を頼まれてくれまいか」
んー・・・・・そういうことなら、頑張ってみるか。
「リヴェリア、行ってくる。来い、フェル!」
「グルル!」
フェルの背中に跨りクラーケンへ目指して走ってもらった。目と鼻の先まで来ているからすぐ懐に飛び込めて、振り下ろすタコ足を何度も躱し、地面から飛び出す巨大な蔓に助けられながら胴体へ連れて行ってもらった。断崖絶壁を登っているように駆けるフェルのおかげで、巨大な黒い棘があるところまで辿り着けた―――。
「よくぞここまで来たな宿敵勇者。この私―――」
「邪魔だ【悪食】!」
「ぶべらっ!?」
黒い棘から出て来た悪魔っぽい誰かの顏をフェルの背中から飛び出した勢いで殴り、棘も【悪食】で貫きダメージを与えた後は。
「【エクスプロージョン】!」
「ぐああああああああっ!? まだ私は名前すら言ってないのにぃいいいいい!!」
零距離から爆裂魔法をぶっ放した。巨大な棘だが、内側からの爆発は絶え切れまい!
実際に棘は真っ二つに分かれ、はみ出ていた方はクラーケンから離れながら黒いポリゴンと化して消滅した。一方のクラーケンは白目を剥いてその場で崩れ落ちた。支配されていたモンスターだから直に目を覚ますだろう。地上に落ちる俺を拾ってくれたフェルが、足場になっている巨大な蔓へ落ちながら地上に降りて行き、リヴェリアのところへと戻った。
「ありがとうリヴェリア。助かった!」
「力になれたのならばよかったです」
「うむ、鮮やかに見たことのない大きさの怪物を無力したな娘婿殿」
「わっはっはっ! やるではないかドワーフの心の友よ!」
「・・・・・見事」
悪魔がいたけど気にする事でもないかな。取り敢えず長とエレン達が駆け付けてくれるなんていい意味で凄い誤算だ。麒麟達の力でこの場所に連れて来てくれたんだろう。リヴェリアには本当に感謝しかない。
これで俺達もリヴァイアサンを倒しに行ける!
スケガワ達が起きた頃を見計らって、工房を仕舞わせてもらった。修理は鍛冶師のドワーフ達が請け負ってくれていることを説明したら信じられないと目を丸くした。
「NPCが助けに来てくれた? くっそ、そんなシーンを寝ている間に見逃していたなんて!」
「俺もびっくりだったが、船を修理する場所を教えてくれないか? レイド戦のイベントもそろそろ終わりに近づいているからさ。確か昼の12:00までなんだろ?」
「おう、そうだった。確かにレイドイベントをクリアしたいな。こっちだ、案内するぜ」
ペイン達と合流先は造船所がある場所だ。それを初日に見つけたペイン達は流石だと思う。スケガワに造船所の場所を教えてもらいながら待ち合わせ場所として指定したペイン達の姿とともに・・・・・見るも無残な破壊尽くされた造船所に唖然とする。ドックはゲートが開きっぱなしで腐海で溜まっている。納屋や漁業する者の集まっていただろう建物がドックに崩れ落ちていて漂っている。それも五つもだ。その場には多くのプレイヤーが屯っていた。どうにかして修理できる環境をしたいという作業をしているのが見受けれる。でも、ドックに浸水している水は触れたくない感じだ。
「あっ、来た!」
イッチョウが声を上げ、ペイン達と一緒に来た。
「これが造船所? 船造れないなこれじゃあ」
「リヴァイアサンが破壊したって話だよ。それにこの島の海域一体全部、リヴァイアサンの縄張りの海に船を出すと凶暴化した魚のモンスター達が襲ってきて壊されちゃうんだって」
「だから船の購入システムがあったんだね・・・・・それでリヴァイアサンの討伐の方は?」
「なかなか困難らしいぜ。船を出せばすぐに魚型のモンスターや大型のタコとイカの襲撃に遭って船の耐久値も減らされるようだ。仮にリヴァイアサンが待ち構えている海域に辿り着いたらついたで、戦った連中の話じゃあ大嵐に大津波、大渦で船を大破、プレイヤーには水のブレスで薙ぎ払われて海に落とされるってよ。落ちたらモンスターの餌食で死に戻りするしな」
まさに天災・・・・・ベヒモスとジズの方が可愛げあるように思えて来たぞ。
「壊れた船はどうなる?」
「修理が出来るようだけど、それをするための場所がアレだよ。また買い替えることも出来るけどリヴァイアサンのところまでまた同じ目に遭います」
ループか。
「海に触れたら? 海に入ると?」
「HPと装備の耐久値が減るし、まるでピラニアみたいにモンスターが落ちたプレイヤーを襲い掛かるんだって。それはもうホラーばりの恐怖感があるらしいよ」
「航海の道中、何かないのか?」
「多分無いんじゃないかな。皆リヴァイアサンばかり夢中で島があったとしても気にしないと思う」
うーん・・・・・情報はここまでかな。
「わかった。取り敢えずこの荒れた造船所をどうにかしよう」
「モンスターの方は? 結構ヤバいんじゃないのか」
「今まで関わったエルフとドワーフ達が俺のSOSに駆け付けて来てくれてスタンピードを押し返す勢いだ」
「え、そっちではそんなことが起きてたの? ハーデス凄い」
俺は助けを呼んだだけだがな。
「造船所がここしかないってんなら、使えるようにしないとダメだろ。そもそもここを改善していないのが気になるんだが?」
その疑問はすぐに解消された。
「今も見ての通り挑戦している。手を入れた時間の分、装備の耐久値が減ってそれ以上にHPが一分で100も減少してしまうことが判ってしまってから消極的になってしまったが。この島には鍛冶師が利用できる工房がないから修理もできない。」
「【毒無効化】を持ってる私達でも腐海の海を触れたら減少しちゃうから、毒じゃないみたいだよ」
さりげなく毒対策されていることを聞かされ微妙な気持ちになりつつ、納屋はどうしようもないけど漂っている木材は回収できるだろう。【
屯っていたプレイヤー達も俺の行動を見て活発的に動き始め出す。
「・・・・・その方が確かに早いんだけどよ。早いんだけどすげーシュール」
「右に同じく」
「俺達も動こう」
「でもさ、溜まってる腐海の水ってどうやって抜き出すの?」
「リアルだと造船所に排水機能があるんだけど、それは機械でしてるから。ゲームの中じゃあ確かにどうやってしてるんだろう?」
それから粗方廃材を救い上げた時、手にがぶりと噛まれた感じがしたのであげてみると腐ったゾンビのような巨大魚が大きな口で指に噛みついていた。見た目的にウツボかな?
「【悪食】」
それを噛み砕きながら【悪食】で倒す。【水中探査】でドックに潜むモンスターの魚影は・・・・・無しだな。すると・・・・・。
「あ、おいハンドル車が光ってるぞ!」
「あれって硬すぎて誰も回せなかったんじゃねーの?」
「こっちも光ってるぞ!」
「もしかしたら動かせれるんじゃ?」
他のプレイヤー達が何かに気付いた様子の声が聞こえて来た。何となく見ていると、ハンドル車を掴んで回し始めてドックのゲートがゆっくりと動き、ガコンと聞こえた重低音と一緒に完全に閉じた。そして腐海の水が渦を巻きし排水口があったのか、そこへ吸い込まれてあっという間に無くなった。
「ははーん。なるほど?」
「もしかすると、さっきハーデスが倒したモンスターがトリガーになっていたのかもしれないな」
おお~!! と歓喜の言葉を発するプレイヤー達。綺麗になったドックの本来の姿を取り戻しビフォーアフターをやり遂げた俺達。海水を抜く方法が分かったことで他のプレイヤー達もやる気を出した。
「白銀さん、もういっちょお願いします!」
「俺達も手伝いますんで!」
「よぅし任せろ」
残りのドックも同じ方法でしてみた。
「釣れたぞ! お前等が倒せ!」
「任せろ!」
「おりゃー!」
「よし倒した!」
「ハンドル車が光ったぞ! 回せー!」
「おうよ!」
廃材除去とモンスターの排除、排水をしたことで全てのドックの使用が可能になったアナウンスが島中に流れた。
「さっきから出てくるモンスター。もしかしたら中ボスのモンスターじゃないのか?」
「かもな。対して強くなさそうだったけど。そじゃあ、イズとセレーネ。船造りを頼んだぜ」
「任せて!」
「皆のおかげでドックが使用可能になったもの。最高の船を造ってみせるわ」
他のプレイヤー達も大破した船を修理する。最初にドックを使わせてもらえるのも非常にありがたい。両手を翳して渡した船の素材で造船する鍛冶師プレイヤーの二人。最大1000も必要な船の出来上がりを見守る俺達はついに自分達の船を手に入れることが出来るところで―――。
「急げっ、船を修理するんだ! 時間がない!」
「早く修理してリヴァイアサンに再チャレンジするぞぉー!!」
大破した船を修理できなかったプレイヤー達が怒涛の勢いで駆けこんできた。その中には当然知り合いもいた。
「あ、白銀さん! もしかして造船所を使えるようにしたのは白銀さんのおかげですか?」
「ここにいるみんなと一緒にな」
「凄く助かります! 俺達じゃあどうやってやればいいのかわからず、手を付けれずにいたんで放置するしかなくて・・・・・」
だろうな。モンスターが潜んでいたことも知らなかっただろう。
造る方も修理する方も時間が掛かるようだな。次に修理する番を決める為にじゃんけん大会が勃発しているほどだ。
さらに10分ぐらい経過した時。待望の瞬間を迎えることが出来た。セレーネの「完成したよ!」と歓喜の声が耳に届くものだから、他のプレイヤー達もドックを見て驚嘆と感嘆の念の籠った声を発した。
主にサイナが集めた水晶の樹木と鉱石の素材が様々な色を放っている。大きさは大型だな。100人ぐらい余裕で乗れそうな水晶の大型船は購入欄にあるどの船にも当てはまらない。帆船でも魔力帆船でも蒸気魔力船でもない。完全なオリジナルの魔力船として創造されたのだ。
「水晶の船。実際どんな感じかと思ったが、悪くねぇな」
「性能の方はどんな感じなんだ?」
「乗ってみればわかるさ。そうだろうハーデス」
「ああ、早速試運転を兼ねて乗るぞ野郎ども。出航だ!!」
「あいあいさー!」
「ムムー!!」
他のプレイヤーにゲートを開けてもらい、浸水する船に乗り込む。
「ほんとデカいな。全部注ぎ込んだんだっけ? 船と言うより艦だろこれ」
「余すところなくね。ハーデスが集めてくれた素材の数と品質が多かったから、他のプレイヤーにお願いして調べさせてくれた大型蒸気魔力船より何倍も性能が高いわ。しかも面白いことに能力付きよ。操縦するプレイヤーのステータスと装備と一部のスキルが船に反映するんですって」
「ほほう・・・・・? つまり鋼鉄よりも硬い船になれると? 壊されるたびに防御力が増える船になると?」
「あ、ハーデス君が適任だねこれ」
他のプレイヤーからの視線を浴びながら甲板を見回す。船を操作する舵輪がある場所は艦橋の方か?
「動力は? 蒸気も帆でもないんだろ?」
「当然魔力ね」
「セレーネ、趣味を詰め込めれた?」
「うん。大砲と大型バリスタを備え付けたよ。 弾は水晶で威力は低いけど貫通力が高いの。それに水晶には魔力を吸収して拡大、大きくなるから持続ダメージが発生するよ」
「凄く有能じゃん。後で見に行くわ」
セレーネの案内で艦橋甲板に入ると茶色の水晶樹の舵輪があった。こういうところまでこだわる二人の職人気質は本物だと感心して舵輪を握ると、水晶艦の耐久度が表示され、艦のステータスが俺のステータスと同調した。
「さて行くか。名前は
「どんな意味があるの?」
「特にない思い付きで決めた。水の王の龍としてリヴァイアサンに下剋上しに行くんだ」
艦を発進させる。手動か自動で艦の操作を決めれるようだが手動を選んで動かす。
操舵室から海を駆ける姿が見れる光景は絶景でなかなかいい眺めだ。
「セレーネ、通信手段とかないのか?」
「隣に刺さっているのがそうだよ」
これか? 床に刺さってる青い水晶を視界に入れる。どうやって使うのかと訊けば手を触れて話しかけるだけで出来るそうだ。これと同じ水晶は甲板と大砲がある砲撃管制室に複数あるとか。
「よく思いつく。前から考えてた?」
「もし船を動かして戦うイベントだったら~って思ったら考えが止まらなくて」
「それが現実になってセレーネの考えも実現したってことか」
「それだけじゃできなかったかな? ハーデスが凄い素材を発見してくれなかったら購入していただろうし、そっちでも私は人混みが嫌で戦いに参加していなかったかもだし」
何だかセレーネがギルドに入る想像が浮かばないな。
「そんなセレーネがイズとはゲームの中で知り合ったんだっけ?」
「鉱石を掘りに行ったらバッタリとね? お互い同じ生産職を選んで物作りのこだわりの会話が嚙み合って、同じ同性もあってすぐに仲良くなれたよ」
「想像しやすい展開だな」
俺は依頼でイズと出会ってそこからの付き合いだからその前なんだな。思った以上に速度を出していたか、島からだいぶ離れていた。水晶に手を触れる。
「皆、海に異変は?」
『・・・これは通信機なものかい? 今のところモンスターすら現れてないよ』
『後部甲板も異常なーし!』
もっと沖に出ないといけないのか? 出ないなら出ないでいいが。
―――しかし、俺達は気付いていなかった。運営の思惑に。
購入可能な船は筏以下になるとモンスターが積極的にプレイヤーと船の耐久値を減らしに襲撃するシステムになっていることに。そして偶然にもイズとセレーネが青い水晶と白い水晶を船底に使ったため、海の色に溶け込んで海面に進む大きな影は透明化しているように見えるモンスター達から発見されにくくなっていることも。