バカとMMORPGと召喚獣!   作:ダーク・シリウス

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最終決戦 水晶の乙女VSリヴァイアサン

まず落ち着こう、一先ずっ。

 

「イズ、セレーネ。こんな状態になったけど把握できるか?」

 

「えっと、待ってて・・・・・」

 

「・・・・・これ、皆で息と動きを合わせないとダメだって」

 

それは何となくそうだろうなと思っていた。横並びに並んで水晶の剣と盾を持っているんだからな。

 

「この状態のロボットだと、ステータスとスキルが反映されず、設定されたステータスとHPとMPで戦わないといけないみたい。しかもスキルは剣と大盾、ロボット自身に3つしか付与できないみたいだから、慎重に選ばなきゃね」

 

「マジで?」

 

「そういうことだったら、大盾はハーデス君のスキルが適任だよん?」

 

「剣はペインのスキルだな」

 

あっさり多数決で決められた感じで俺とペインのスキルから選ぶことになった。

 

「俺は剣に【断罪の聖剣】を付与する。ハーデスは?」

 

「【悪食】でする。攻撃と魔法、ありとあらゆるものをMPに変換する攻防一体のスキルだからな」

 

「えげつなっ!? そんなスキルだったの!?」

 

「そのスキルを本当に盾に付与されたら・・・・・勝ち目なくね?」

 

だから付与できるのにしてこなかったんだよ。運営から規制されるのが目に見えているんだから。

 

「じゃあ残り一つは?」

 

イズからの指摘にお互い、相手のスキルがいいんじゃないかとみて・・・最終的に俺の方に視線が集まる。サイナの一言で確定する。

 

「マスターの保有する【勇者】がよろしいかと」

 

「「「「「「「【勇者】」」」」」」」

 

「大盾の奥義になるけど? いや、俺が剣士にチェンジすればいいか。防御力が反映されないなら問題ないだろ」

 

ちゃっちゃとメインを剣士に切り替えた。ステータスは0のままだけど、ロボットがステータス持っているならそれも問題ないだろう。念のために全部10ずつ振ったけどな。

 

『準備は整ったようだな勇者よ』

 

あ、待ってくれてた? 敵ながら律儀だな。感謝するぜ。剣を前に構える俺に皆も同じ姿勢になった。

 

「これ、一人だけ違うことしたらどうなるかな?」

 

「限定的なものじゃなかったら後で試そうぜ」

 

「そういうことだ。それじゃ、皆戦おうか」

 

「どういう動きをするか、ハーデス君が声を出して私達に指示出してね」

 

え、マジで? しょうがないなぁ・・・・・。

 

 

 

 

勝負の合図はない。海大砲を放つリヴァイアサンに地面を蹴って高く飛んで莫大な海水の塊から回避し、上段から水晶の剣を振り落とさんとする。素早く長い身体を駆使して斬撃の軌道を見極めた動きをし、尾で叩きつけるリヴァイアサンも巨大な口を開けて噛み砕かんと迫った。尻尾で盾を持ち、叩きつけに来る尾をガードして、空いた手で剣を両手に持ちリヴァイアサンの牙に向かって振るう水晶の乙女。

 

『器用な真似をする。だが、これは受け止められまい』

 

口内から窺える燃え盛る火の粉に、水晶の乙女は怪物の顎を下から蹴り上げて喉に刺さっている黒い棘のような結晶に【断罪の聖剣】の一撃を与えたら、グンッとHPバーが4割も減った。弱点部位に攻撃すれば高いダメージを与えられるようだった。

 

水晶の乙女を閉じ込めんとリヴァイアサンは大型台風を召喚した。それによって濃霧に惑わされていたプレイヤーまでもが巻き込まれて全滅に帰した。【断罪の聖剣】で台風を切り裂きながら飛び込んできた水晶の乙女も無傷とはいえず、構えた盾で体当たりしてリヴァイアサンを吹っ飛ばした。

 

『海大砲!』

 

至近距離からの攻撃に身を縮めて盾に隠れる。海大砲が盾に衝撃を与えながら呑み込まんとするが、粒子となって盾に吸い込まれていく。そのまま一歩、一歩とゆっくりとした歩調で前に進む相手にリヴァイアサンは攻撃の手を止めて長い身体で弾こうとする。その盾で凹ませて地面に這いつくばって、長く巨大な鞭と化した一撃を回避に成功した水晶の乙女が駆けだす。迎え撃つリヴァイアサンは再び台風を喚び起こした。暴風の壁で見えなくなっても風を切り裂きもう一度突破する水晶の乙女の目の前には、あの巨大なリヴァイアサンの姿が見当たらなかった。四方八方、身体と首を動かして周囲を見回しても見当たらない。それもそのはず―――。

 

ドゴンッ!!

 

相手は台風の流れに乗って上空へ飛んでいたのだから。勢いづいた長い身体による叩きつけは水晶の乙女の身体に罅を入れさせた。地面に叩きつけられた身体を起き上がろうとするその様子を見守る優しい相手ではなく、何度も水晶の乙女の背中に叩きつけるリヴァイアサンも続かない。振り上げた瞬間を狙って、横に寝転がり前に構えた大盾に当たった尾の一部が消し飛んでしまったのだ。

 

『むっ!? おのれっ!!』

 

既に見切ったとばかり飛んでくる海大砲から紙一重で躱し、巨体故のリスクを知っているかの如くリヴァイアサンの身体に剣を刺しながら、前に走る水晶の乙女と一緒に斬撃を走らせると二つ目のHPバーが弾け飛んだ。

 

『勇者ぁあああっ!!』

 

それに呼応するレジェンドモンスターの目が怒りで血走った。リヴァイアサンが自分の身体が燃えようと厭わない炎を吐き出す。赤々と大気を焦がし水晶の乙女を照らす業火に対して剣を振るい炎も切り裂く、その瞬間を狙っていたかどうか定かでないリヴァイアサンが、鋭く突っ込んできてガチンッ!!! と凶悪な牙で噛みついてきた。

 

『―――これで盾は持てなくなったな』

 

見せつける風にリヴァイアサンの口から零れ落ちる水晶の片腕と大盾。それらは巨体で弾き破壊されてしまったために、水晶の乙女は隻腕の剣士となった。戦力が激減した相手に最早恐れることが無い。リヴァイアサンは一気にケリを着けんと回避を繰り返す水晶の乙女を追い詰めていく。徐々に、ゆっくりと水晶の身体を痛めつけられていく水晶の乙女は、死に体でもう全身に罅で繋がってボロボロだった。

 

『くくく・・・・・我をここまで追い詰めたのは後にも先にもお前だけだ。中々強かったぞ?』

 

胴体に巻き付け締め上げる水晶の乙女を称賛の言葉を送るも、優越感を隠そうとしなかった。もう勝敗は決したとばかりの口ぶりで言い続ける。

 

『だが、最後に勝つのは我レヴィアタン。それは絶対揺るがない。貴様のことは魔王様に願い―――』

 

「ムー!!!」

 

「―――!」

 

「キキュー!」

 

「ヒムー!」

 

「ヤー!」

 

「フマー!」

 

「フムー!」

 

『―――!』

 

勇者と最大の怪物の戦場に割り込む様々な声。振り返ったリヴァイアサンの顏に鋭い突きが刺さって締め付けていた水晶の乙女を開放してしまうほど大きく殴り飛ばされた。

 

『なん・・・・・っ!?』

 

「メェー!!!」

 

今度は上から。見上げた先は金色の雲が暗雲を覆い隠していて、放電する雷がリヴァイアサンに直撃する。

 

『アバババババッ!?!?!?』

 

『にゃはははー!! 焼き魚は大好物にゃー!!!』

 

黒い獣の形をした光のオーラがリヴァイアサンを呑み込み、主なステータスを一定時間奪った。

 

『魔獣ヘルキャットだと? どうしてここに・・・・・!!』

 

「ガルルルアアアアアッ!!!」

 

「クマー!」

 

≪―――!!≫

 

「ペンペンペー!!」

 

「ヒヒーン!!」

 

「グオオオオオオオオオオオ!!」

 

「モグ~!」

 

長い身体を何度も飛び移って喉元にある黒い結晶にダメージを与える赤い閃光と熊の斬撃とツルハシ、銀色の斬撃と打撃、光の帯に乗って突っ込んだ光るペンギン、白いドラゴンのブレス。

 

「ピカ!」

 

「ヤミー!」

 

「ピィ!」

 

最後に光と闇が同時にリヴァイアサンを襲う。

 

『な、何が起きている・・・ッ!?』

 

自分の身に何が起きているのか理解しきれておらず瞠目するリヴァイアサン。一番存在感を放っている方へ視界に入れると。

 

「ターコタコタコタコタコタコォッ!!!」

 

数本の触手を使って鋭いパンチを繰り出すクラーケンが、非力な精霊達を胴体や触手に乗せながらリヴァイアサンに敵意を向けていたのである。

 

『クラーケン!!? 勇者たちに倒されていたのではなかったのか!? 我が部下のみ倒して支配を解くとはッ・・・・・グゥッ!! 魔獣だけでなくフェンリルまでいるとは誤算だ!!』

 

俺を忘れるな! そう言いたげなセキトが【超突進】してリヴァイアサンの横顔にど突いた。だが、その気持ちを訴えていたのはセキトだけではない。

 

「オルトちゃん達が頑張っているのにッ、テイマーの私達が頑張らないでどうするんじゃーい!!」

 

「サモナーも強いってことを教えてやるぜおらぁっ!!」

 

「うおおおおー!! やられても直ぐ復活して戻ってくるゾンビ殺法っー!」

 

「こんな熱い戦いを眺めているだけなどあり得るか、なぁ兄者!?」

 

「・・・・・否!」

 

「戦う鍛冶師の力を思いしやがれ海蛇野郎!」

 

「娘婿殿が、勇者殿達だけ戦わせはしない! 我が筋肉の強さと素晴らしさをその身で知るがよい!」

 

「必要ですかそれ?」

 

復帰したプレイヤー、自分達じゃあ役に立たないからと参戦していなかったプレイヤーが、駆け付けてくれたNPCが、無人島にいるもの全てがリヴァイアサンの許へと集う。

 

『・・・・・並みの気配ではない覇気を感じる。この我を倒さんとする者達の力が収束しつつあるか。しかし、我はそれを凌駕する』

 

全てを薙ぎ払わんと台風を喚ぼうとするリヴァイアサンが天に意識を向けた矢先。体内から突き破る巨大な魔水晶が顔を出して来た。それもリヴァイアサンの胴体の半分以上も占めた。プレイヤーとNPCが怪物の異変に気にすることなく攻撃する。

 

『グガッ!? こ、これは・・・・・? 我の魔力を吸収して、大きくなっているのか・・・・・っ!? 体内から攻撃していたのはこのためだったというのか・・・・・!!』

 

今になって気付いたことに最早どうすることもままならない。未だ沈黙を貫いていた水晶の乙女がこの時を待っていたかのように水晶の破片を零しつつ剣を杖代わりにして立ち上がった姿に、リヴァイアサンは心から称賛した。

 

『勇者よ・・・・・見事だ・・・・・我の魔力が尽きればこのまま死するだろう。だが、我はただで死を迎えんぞっ!!!』

 

天を轟かせる咆哮を上げる。全員、動きを強制的に停止させられてリヴァイアサンの次の行動に見守るしかなかった。

 

『我が最大の技で我の死に様をお前達のその身に刻む! ―――アクア・ラグナ!!!』

 

島全体が激しく揺れ出し、遥か海の彼方からこの島を軽々と覆い包む高さの高波が迫って来た。リヴァイアサンだけ倒してもその次は自分達の死が待っている。NPCが死ねば二度とゲームの世界に現れないシステムになっている以上、高波をどうにかするしかない。

 

 

水晶の剣を天に掲げる水晶の乙女。その剣が極光の粒子を一身に集めて輝きを強めていく中でリヴァイアサンは牙を覗かせる笑みを浮かべた。

 

『勇者の奥義・・・・・それを見るのもたった二度目だ。我が最期に相応しい技―――来い、勇者! その一撃で我を屠ってみせよっ!!!』

 

成長し続ける水晶で貫かれて鈍重になってしまった身体を引きずってでも前に進み、自ら死を受け入れんと水晶の乙女に手を伸ばすレヴィアタン。その表情は純粋な子供のようにとても楽しそうに笑みを浮かべていた。

 

「「「「「「「「「勇者奥義(剣)エクスカリバァアアア!!!」」」」」」」」」

 

9人の声が異口同音に重なった叫びと共に極光の斬撃が放たれた。リヴァイアサンの身体は真っ二つに分けた斬撃はさらに奥から迫る高波まで届き、天を衝く極光の柱が立って島を呑み込むはずの高波を打ち消し、その他の高波は島の両脇を通り越していった結果にプレイヤーとNPCは歓喜の雄叫びと歓声を沸かせた。

 

そして―――。

 

水晶の乙女が最後の力を振り絞ったが如く崩壊を始め、乗っていたハーデス達が落ちて来た。

 

「あああー!!? 艦が壊れたぁあああああああああ!!! 凄く気に入ってたのにぃー!!!」

 

「また集めてくれたらセレーネと作るわよハーデス」

 

「今度は2倍の数の素材で・・・・・ふふ、楽しみ」

 

「高いところから落ちていることに危機感を覚えないのかなこの3人はー」

 

「本当だよ全くー」

 

「いや、お前等もそうだからな?」

 

「俺達もだドラグ」

 

「そうだね。ドレッドの言う通りだ」

 

「救助要請不要」

 

地面から生える巨大な蔓がハーデス達を受け止め、ゆっくりと降ろされた矢先にリヴェリアがハーデスを強く抱きしめ感極まっている様子で一目があるのに唇を重ねたので女性人達が「あー!」と叫んだ。

 

「信じていましたあなた・・・・・」

 

「リヴェリアのおかげで助かったのが大きい。お前がいてくれて本当によかった。ありがとうリヴェリア」

 

「ふふっ、妻として当然です。私もあなたのために役に立ちたかったですから」

 

「ムゥウウウウウ!」

 

「うお、オルト。今の叫びは聞いたことが無い―――待てお前等!! 一気に抱き着こうとするな!! 前回の二の舞ぃいいいいい!!」

 

数多の従魔達による飛びつきに押し潰されもみくちゃにされるハーデスに、そんな光景を見て堪え切れず笑うイッチョウ達。

 

「ドワーフの心の友よぉっ!」

 

「坊主ー!!」

 

「娘婿殿ー!」

 

後にNPC達も交ざり更に混沌と化した。胴上げもされて恥ずかしい思いをしていたが不意にある言葉を零した。

 

「なんでアナウンスが流れない?」

 

『あ』

 

リヴァイアサンは討伐したはずだ。勇者奥義で真っ二つに斬ったのだから倒したのでは? その疑問はイッチョウ達も同じのようである場所へ駆け走った。

 

『・・・・・ぅぅぅ』

 

リヴァイアサンの頭部。そこに埋まっているレヴィアタンがまだ息をしていたのだ。しかもその悪魔の傍に―――魔王とハーヴァの姿が。

 

「リヴァイアサン/レヴィアタンの繋がりだからレヴィアタンも倒さないと戦いは終わらないようだな」

 

「っ!?」

 

「血塗れた残虐の勇者・・・・・」

 

「それを言わないで頼むから!?」

 

酷い二つ名に悶絶するハーデスは、周囲を見回してスキル【濃霧】を発動した。今この場に魔王がいることを知られたら他のプレイヤー達が襲い掛かる可能性を考慮し、秘密裏に片づけなければいけない。

 

「最後に魔王ちゃん達が介入されると困るんだが。俺達とレヴィアタンとの死闘に横やり入れる事はどういう意味なのか分からない筈だ」

 

「・・・・・」

 

「申し訳ございませんがレヴィアタンは我が魔王軍において最高戦力の一柱を担っている大悪魔。そう易々と失うわけにはいかないのです。それでも命を狙うなら私がお相手致しましょう」

 

眼光を鋭く戦意を放ってくるハーヴァ。魔王はレヴィアタンを守ろうと背後に隠す位置でハーデス達と対峙する。

 

「ハーデス君、どうする? 戦う・・・・・?」

 

「俺はまだ戦えるよ。ロボットを操作するのと違って今はスキルも使える」

 

訊いてくるイッチョウと戦意を示すペインに挟まれるハーデス。悪魔側は悪魔を助けんとする気持ちを訴え、助けられるなら戦闘も辞さないと身体で示している。これ以上の戦いに意味があるのか? 脳裏で過るその答えを求めた結果・・・・・。

 

「レヴィアタンはリヴァイアサンのおまけつきだ。レヴィアタンを倒しに参加したわけじゃない」

 

インベントリから黄金林檎を取り出し、それをハーヴァに投げ渡す。

 

「俺達はリヴァイアサンを倒した実績が欲しいだけだ。悪魔なんて最初からいなかった。それでいいだろ」

 

「・・・・・ハーデス君がそれでいいなら、私もいいよん。正直、疲れちゃったから戦いたくもなかったんだよねー」

 

ダガーを手放して戦闘意思のなさを示すイッチョウ。ペインも無言で剣を鞘に納め、フレデリカ達も構えを解く。

 

「・・・・・敵をみすみす見逃すとは、勇者とは思えない言動をするのだな」

 

「今回は友達の魔王ちゃんの顔を立てて見て見ぬふりをするだけさ。だけど、次もするかどうかはわからないからな?」

 

「・・・・・ありがとう優しい勇者」

 

リヴァイアサンの頭ごと冥界に繋げてあるゲートへ引きずってレヴィアタンを連れて行った魔王に続き。

 

「魔王様のお父上は回復に至りました。これにより魔王代理として務めていたお嬢様は代理の任から外されますでしょう。これから人間界に魔王軍は本格的に侵攻することになります」

 

「そうか、それは何よりだ。真の魔王と会える機会を楽しみにしているよ。お茶を用意して待っている」

 

「・・・・・そのお言葉、魔王様にお伝えしましょう」

 

ハーヴァもゲートに潜り、悪魔達は完全にこの島からいなくなった瞬間・・・・・。

 

 

 

カラーン、カラーンと荘厳な鐘の音が鳴り響く。ログインしている、イベントの参加している全プレイヤー、第二陣のプレイヤー達は初めて聞くアナウンスに思わず動きを停めて耳を傾けた。

 

 

 

『ニューワールド・オンラインをプレイされている全てのプレイヤーの皆様にお知らせ致します』

 

『現時刻を持ちまして、レジェンドレイドモンスター「皇蛇リヴァイアサン」の撃破を確認いたしました。三大天「覇獣ベヒモス」「鳥帝ジズ」「皇蛇リヴァイアサン」の三体が撃破されたことで―――新大陸が1ヶ月後に実装されます』

 

『なお、第二陣の新規プレイヤーのログイン記念で各ギルドで「覇獣ベヒモス」「鳥帝ジズ」「皇蛇リヴァイアサン」のレイドクエストが常時可能になります。どうぞ挑戦してくださいませ』

 

【濃霧】を消しながら聞くアナウンスに少なからず驚いた。既に倒したベヒモスとジズがレッサーではなくなり、ハーデス達が倒した元の怪物の強さのままでクエストを受けれるようになったからだ。

 

「わぉ、前線組や攻略組が喜びそうな内容だったね。そんなプレイヤーのペインさん。今のお気持ちを是非」

 

「ハーデス、今から一緒にベヒモス討伐クエストをしないかい」

 

「すっごい笑顔! え、今から!?」

 

「まっ、ジズとリヴァイアサンは倒してベヒモスはまだだったからな。どんだけ強いのか俺も興味あるぜ?」

 

「俺もだ。ベヒモスの素材を落としてくれるか気になるし」

 

そう話しているとハーデス達の前に青いパネルが表示された。

 

 

『おめでとうございます。レジェンドレイドモンスター「皇蛇リヴァイアサン」を討伐しましたプレイヤーには称号【勇者】を獲得しました』

 

 

『死神ハーデス様は既に称号【勇者】を所持しています。死神ハーデス様はスキル【勇者】を獲得しました』

 

『死神ハーデス様は既にスキル【勇者】を所持しています』

 

『おめでとうございます。「覇獣ベヒモス」「鳥帝ジズ」「皇蛇リヴァイアサン」の三体撃破された死神ハーデス様はレベルキャップの解放がされます。上限レベルは500。称号【空と海と大地の救済者】を獲得しました』

 

『あなたの功績が世界に轟きます。この世界の神話の神々が死神ハーデスの行跡に讃え祝福を捧げます。称号【七天八祝】を獲得しました』

 

 

【七天八祝】

 

 

闇神:夜間のみHPとMPを含むステータスが2倍になる。無属性の攻撃と魔法の効果が2倍になる。

 

戦神:炎系の攻撃と魔法、回復効果が2倍になる。

 

海神:水系の攻撃と魔法、回復効果が2倍になる。

 

樹母神:樹木系の攻撃魔法、回復の効果が2倍になる。

 

天神:風系の攻撃と魔法、回復効果が2倍になる。

 

地神:土系の攻撃と魔法、回復効果が2倍になる。

 

光神:日中のみ経験値取得が2倍になる。光属性の攻撃と魔法、回復効果が2倍になる。

 

幸運:全ての確率が上方修正される。

 

 

「・・・・・」

 

ドサッ。

 

「え、ハーデス。いきなり倒れてどうしたの?」

 

「・・・・・倒れたくなる衝撃的な称号を手に入れてしまったからだよ」

 

「え、なにそれ聞くのが怖い」

 

「俺達もそれを手に入れる王手を掛けているってのに、変なこと言わないでくれるか」

 

「いい称号、なんだよね? そうだよね?」

 

「良すぎる称号だったんじゃないか?」

 

「あり得るね。俺達も【勇者】スキルを手に入れた以上、更にその上を行く称号を手に入れられるのも不思議じゃない」

 

「私もまた【勇者】を手に入れちゃった・・・・・」

 

スキル、称号の確認の後はドロップアイテムの確認である。

 

「よし、リヴァイアサンの素材が手に入ってる。オリハルコンもまた手に入ったぜ」

 

「わ、私も手に入ってる!」

 

「リヴァイアサンを直接倒したプレイヤーのみ手に入る仕組みかなこれは」

 

「素材はみんな同じか? ちょっと確かめ合おう」

 

「・・・・・うん、みんな一緒だね。あ、レベルの方は?」

 

「私、ハーデスと【英雄色を好む】の効果で増えてるからレベルが90も超えたよ」

 

「フレデリカとハーデスのレベルにまだ追いつけないな」

 

「俺も90を超えた程度だぞ。スキル【勇者】のレベルダウンの代償に10レベル払ったんだからな」

 

払っていなければレベル100になっていたかもしれない。そう告げるハーデスに神妙な面持ちを浮かべるイッチョウ。

 

「このゲームのレベルの上限って100?」

 

「ああ、ベヒモスとジズにリヴァイアサンの三体を倒せばレベルキャップが500に解放されるらしいよ」

 

「レベル500も増えるの? もしかして新大陸のモンスターって100レベル以上のモンスターがわんさかいるってことなのかしら」

 

「新大陸、どこから行けば行けるんだ?」

 

そりゃあ、とハーデスは大海原に差した。

 

「この島から行けるんじゃないか? ドックもあるんだから船で航海して新大陸に行けって意味だと思う」

 

「なるほど~納得できるねそれ」

 

「ということでイズとセレーネには寝室と調理場の増設をお願いしたいところだ」

 

「任せて。腕に寄りをかけて新しい船を造ってあげるわ」

 

「その代わりまた、水晶の素材を集めて欲しいかな? 今度は4000個」

 

「・・・・・サイナ、助けてくれ。お前の力が必要不可欠な数を請求されちまったよ」

 

「ふふっ、かしこまりましたマスター」

 

和気藹々と会話の花を咲かせているハーデス達がいる島を覆っていた暗雲は久しぶりに晴れ、腐海の大海原は美しい青色を取り戻し海中では様々な魚介類が再び住み着くようになった。支配から解放されたクラーケンもオルト達に大きく触手を振りながら海へ帰って行った。

 

「よし、戻るか始まりの町に」

 

「うん! 今日はハーデス君のホームで祝勝会でもする?」

 

「やるなら、このメンバーだけでな。各自料理を作って持参だ」

 

「「「フレデリカ、よろしく頼む」」」

 

「もーっ! 私だけ作らせるなよー! ハーデス、この三人だけ除外して!」

 

「ふふ、あんなに激しい戦闘をしたのに元気ね」

 

「私達もまだ元気だよイズ。もっと凄い船の設計を考えよう?」

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