その日の内に店舗型ホームに訪れ商品を売る準備を始めた。1極というメダルの数は伊逹でなく、全種類のアイテムや装備を交換できた。『宝石の肉』みたいなメダル×10万枚のアイテムは100万Gに設定し、メダル×10のアイテムは0を2つ加えた値段にしてみた。実際の価格は知らんし、利益の為に稼ぎたいわけでもないからな。でも、メダルでしか手に入らない物ならば買ってくれるか?
「ここもホームだからマモリも移動できるんだな」
「あい!」
開店前の店舗内にマモリもいて、お手伝いスキルで品出しに手伝ってくれている。さらに装備に関しては・・・。
「これは、能力的にこの値段でいいかしらね」
「凄いたくさんの装備、いいなぁ。色んな装備があって目移りしちゃう」
一流の鍛冶師&生産者の目利きを頼らせていただいている。いや、ほんと助かってる。お礼に好きなアイテムを提供するって言ったら凄いやる気を出してくれたんだからな。お陰様で夕方になる頃にはすべての商品の値段が決まり、白銀さんマーケットの開店が整った。
「二人ともありがとう」
「むしろこっちがお礼を言いたい方よ。イベントに参加しなかったのにメダルと交換しなくちゃ手に入らなかった物が何の苦労もせずに手に入れたんだから」
「これぐらいの労力はへっちゃらだよ」
今日中に終わるとは思ってなかったから、予想以上に早く終わったのだ。
「他になにか手伝うことある?」
「そうだな・・・・・じゃあオルト達の可愛い服を見繕ってくれるか? 今は夏だし和服、着物がいいな。イカルのエスクの分も頼む」
「任せて!」
「イズと相談しながら3日以内に完成させるね? ・・・・・ハーデスの制服もいる?」
「お願いするわ」
二人にお願いしたその後。メダルで交換したアイテムを畑にばら撒く時が来た。未だにイベント用のフィールドにいるだろうプレイヤーは多くても60枚は手に入っているだろうが、10枚で交換できる物があればそうではないものもある。他に交換する余裕がないから泣く泣く諦めるしかないだろう。この俺を除いてな!
「オルト、オレア、ゆぐゆぐ、ウッドとクリス集合! 新しい作物を植えて欲しい! 今回は大量だから気合入れろよー!」
蜜柑、サクランボ、メロン、スイカ、バナナ、パイナップル、キャベツ、サツマイモ、栗、松茸、椎茸とetc・・・百種類以上のファーマー用のアイテムがオルト達の手によって植えられていく間。ホームオブジェクトの設置をしていく。リゾート島を買った手前、海で泳げるのと巨大遊泳施設の落差が激しいな。どっちが楽しいのか気分の問題だろうか?
「いや、リゾート島に設置するべきか? 海に面してプールがある場所は外国でよくあることだし」
森の中ならばリックやクママも遊べそうだし・・・・・。・・・・・悩むなぁ。
でも結局・・・・・。
水路を畑に設置することにした。インベントリから取り出して使用したスクロールの羊皮紙から出てきたのは水路ではなく、1人のNPCであった。巨大なハンマーを担いだ、ドワーフである。ドワーフ、だと?
「今回は儂らの水路をお買い上げいただき、感謝するぞい。ぶはははは!」
何でドワーフが出て来る? ドワルティアのドワーフか?
「儂が呼ばれたということは、水路を設置したいのじゃろ?」
「ああ。あんたが手伝ってくれるのか?」
「うむ。儂に任せておけ! 儂の名はダイグじゃ」
「俺は死神ハーデスだ。頼む」
ドワーフというだけで頼もしさが違う。俺はダイグを連れて、水路の出発点である清らかなる池へと向かった。
「ここから水路を伸ばして、あっちの遊具の脇を抜けて――」
「ふむふむ――」
水路を通す経路を歩きながら、ダイグに説明をしていく。
「最終的には、ホームの畑の方まで繋がる感じにしてほしいんだけど」
「なるほど」
結構簡単なんだが、ダイグはそれで理解できたらしい。
「長さは足りそうかな?」
「問題ないぞい。じゃあ、仮設置しちまうか」
「仮設置?」
「まあ、どんな風になるかのお試しってことだ。仮設置の内は何度でも好きに変更できるから、安心してくんな」
「分かった。じゃあ、やってくれ」
「おう!」
ダイグが軽くハンマーを振るだけで、一気に長い水路が出現した。生産というか、魔法だよな完全に。
それとも、いつかプレイヤーもこんなことができるようになるのだろうか?まだ10メートルくらい余っているそうなので、その分少し経路を変形させたりしながら、仮設置は完了だ。
「でよ、細かい調整をしたいんだが、高さと材質はどうするよ? あと、デザインや色も選べるぜ?」
「高さはこれでいいかな」
俺の腰くらいの高さで、みんなが水遊びもしやすいだろう。問題は材質とデザインだ。
「今はレンガだけど、他には何があるんだ?」
「石も色々あるし、木材でも行けるぜ」
「そうなのか。ふーむ」
俺がカタログを見ながら悩んでいると、マモリが横から手を伸ばしてきた。そして、ウィンドウの一部を指さす。
「うん? これか?」
「あい!」
マモリが指しているのは、薄緑のタイル張りの水路であった。小さいタイルを白いモルタルのような材質の上に張り巡らせた、昭和レトロ風のデザインである。
ちょっと古めの銭湯とかにいくと、こんなお風呂あるよな。
「確かに、これなら日本家屋にも合うか?」
日本家屋に合わせて石にしようかと思ったんだが、こっちの方がオシャレかもしれない。
「じゃ、これで頼む」
「うむ。よかろう!」
ということで、水路の完成だ。ダイグは一礼して消えていった。
想定より完成までは早かったな。
「ペンー!」
「フムー!」
こいつらが水路に気づくのも早かったな! ペルカとルフレが、直ぐに水路を辿って現れていた。
「ペペーン!」
「おお、ペルカ――って、速過ぎじゃね?」
「ペーン!」
水しぶきを盛大に立てながら、凄まじい速度でペルカも泳いできた。いや、泳ぐっていうか、水面を滑っているような感じで、そのまま水路の向こうへと消えていった。
「いい感じだな。じゃあ―――ホームの周りを一周繋げようか」
同じホームオブジェクトを一つしか買ってないと誰が言ったかなー? 何度も日本家屋のホームに水路を繋げて高低と材質、デザインをちょくちょく変えて一周できるように繋げた後はリゾート島にホームオブジェクトを設置する番だ。リゾート島には海で円を描くように大型のプールを設置、それぞれのプールの中心に噴水を設置し、プールによって設置した遊具が異なる。
「ペンペー!」
「フムー!」
海に向かって伸びる架け橋からプールへ移動したルフレとペルカが早速遊び始めた。ジャングルジムだらけのプールの中を問題なく魚の如くスイスイと潜るのがとても楽しそうだ。
「ま、こっちもそうだがな」
砂浜にもプールを設置して、プールに飛び込めてもいいようブランコと滑り台を設置した。逆も然りだ。
オルト達はたくさんある遊具でそれぞれ遊び始め、ブランコに座っている俺の背中を押すクママとドリモに揺らされながらそう思っていた。
「おーい、フェルー」
リゾート島を後にして戻ってきた日本家屋にいる銀色の狼を呼んだ。のそりと寄って来た牛並みに大きいフェルに訊ねた。
「お前とペガサスのセキトは与えても何も食わないけど、好きな食べ物ぐらいあるだろ? 自分で狩りに行って獲物を捕らえて食べてたりしてる?」
「グルル・・・・・」
小さく頷くフェルを見て素朴な疑問を浮かぶ。人間が食べる物にはフェンリルの口に合わないか? そうならグルメな幻獣だ。だからこそ、これで確かめたい。
「なら、これは食えるか?」
100tはある宝石の肉を取り出すと、フェルは表情を変えないが千切れんばかりに尻尾を振り出した。あっ、口の端から涎が・・・・・。
「食えるなら食っていいぞ。まだまだたくさんあるからな」
「ガウッ!!」
あっ、食らいついた。おー、凄い勢いで食べていくな。一心不乱、無我夢中なフェルは見たことが無い。あんな大きな肉の塊を食って腹が膨れないんだ、と思わせるフェルの胃袋の中に納まっていく光景を眺めていった。そしてとうとう完食までしやがった。
「・・・・・グルッ」
「凄い満足した顔・・・・・」
満面の笑みを浮かべるフェルも初めて見たところで、好物が判った。
宝石の肉 レア度10 品質★10
古代のマンモスから剥ぎ取れる肉だが、強力な捕食者に狙われやすく極めて入手するのが困難であるため、手に入れた者は莫大な財宝と豪邸を約束される幻の肉。
強力な捕食者・・・・・絶対フェンリルも含まれてるだろ。
「美味かったか?」
「グルッ!」
「そうか。じゃあ、お前の仲間にもおすそ分けでもするか?」
きっと喜ぶだろう。そう思っての提案は、ネコバスに近づいて短く鳴いたフェルの言葉が判るのか、小さくしていた身体を元の大きさに戻したネコバスの方向幕が『フェンリル』になった。え、そういうのもありなのか!?
1時間後。
いやー、凄かった。ネコバスに乗って送ってもらった場所はどこだかわからず、着いたら着いたで警戒されるしフェルがいなかったら噛みつかれていたかも(くそ、称号め!)。しかも宝石の肉をお裾分けしたら、一匹残らず用意した分を平らげてしまうんだからな。フェンリルの子供とも触れることも出来て満足な俺に、フェルからリーダーを継いだフェンリルからは感謝の印として卵を貰っちゃった。フェンリルが生まれるのかもしれないがフェルが親代わりになってくれるだろう。
日本家屋のホームに戻り次第、今度は巨大なクスノキを設置してみた。いやこれ、本当大きいんだが。エルフの里のユグドラシルほどではないが、購入した日本家屋に影を差すほど大きいクスノキを設置してしまった。そう思っていたんだがゲーム的好都合な設定をしているのか、全然暗くはなく畑全体に太陽光が届いている。かなり畑を何度も購入して大量のマスを費やしてだ。
「夜行性の不思議な動物がいるらしいんだけど、どんな動物なんだ? マスコットなのか?」
既にマスコット枠は全部埋まっているからそれはないと思う。動物と戯れるホームオブジェクトならいいんだけど・・・・・。
それからも夜になるまでホームオブジェクトをあちこちに設置する仕事を終えた後は、リヴェリアとサイナ、オルト達とのんびり縁側でのんびりと虫の鳴き声と夜中に浮かぶ満月を見聞して風流を堪能してた。
「―――♪」
身体を横にして俺の脚に頭を乗せるゆぐゆぐの髪を撫でて寛ぐ。そんなゆぐゆぐが羨ましいともう片方の脚に頭を乗せるウッドと俺の背中に背中合わせして座るクリスが来たのが今さっきの話。
「ヤ、ヤミー」
「モグモ・・・・・」
「クックマ!」
「ピカッ!」「ピィ!」
遊具として木工をする際に作った水晶樹のジェンガで遊ぶベンニーア達。ドリモが今、慎重に一本のブロックを抜いて一番上に積み重ねた成功に盛り上がってたが、駆け走り回ってたダンゴとフレイヤに巨体を小さくしたネコバスがそこへ飛び込んでしまいジェンガを崩してしまった。ガーン! とショックを受けた様子の5人は、三匹の猫に対して怒りながら追いかけまわるようになった。
「ムー?」
「ヒムヒム」
「フマ」
「フム・・・」
四大精霊のオルト達は教えたトランプ遊びで楽しそうだ。ババ抜きをしているようでオルトのカードを取ろうとするルフレにヒムカとアイネは見守っていた。あっ、ババを取ったか? しまったー! って感じに叫ぶルフレとドヤ顔をするオルトの対照的な言動が凄く伝わってくる。
フェルとメリープ、ミーニィにセキト、ナッツは特に何もせず縁側の下、俺の傍で寛いでいる。
「ランラ~♪」
ファウも俺の傍にいて思うが儘に音楽を鳴らす。他のマスコットたちもそれぞれ自由に過ごしているのをマモリが配信しているようで、同じように俺も動画配信して顔を出すユーザーたちから凄く羨ましがられていた。
『なんだこれ、なんだこれ』
『クッソ裏山!』
『いいなぁ、物凄くいいなぁ!』
ふふ、そうだろうそうだろう。もっと羨ましがるがいい。
「もう夏だけど皆の地域で夏祭りとかある?」
『そういう縁のない場所に住んでるので』
『あるぞー! ふんどし一丁のお祭りが!』
『それだけでどこに住んでいるのか絞り込めれるな』
『そういうお前は?』
『・・・・・男の下半身を象徴した神輿を担ぐ祭りがございますが何か』
『お、おうそうか・・・・・』
あれか・・・・・かなり勇気がいる祭りだよな。参加する方も見に行く方も。
「因みにこのゲームって音楽プレイヤーはいるのか? 楽器を装備したプレイヤーだ」
『いるにはいるらしい。リアルでもそっち方面の生業をしている人間とか、演奏を上手くできたいためにゲームで練習しているやつとか。このゲームでしているとリアルにも反映されるからピッタリな練習場だってさ』
『カナヅチで泳げない友達も今猛特訓中でーす』
『リアルでナンパが上手くできないからとゲームでナンパの練習をしまくってる友人がいます』
『通報されるだろそいつ』
『それが草が生える。見た目が女プレイヤーにナンパしたら、男を狙っていたオカマだったんだ。今そいつに貞操を狙われて地の果てまで追いかけられてるからナンパどころではない』
『www』
『見た目が女でも、中身がなw』
『姿を変えられても声まで性別を偽れないからなぁ。声真似とか声を変えることが出来るんならワンチャンあるだろうけどさ』
『ナンパされたオカマの声がどんな感じあのかちょっぴり気になる』
そうか。そういう類のプレイヤーもいるんだな。楽しんでいるならいいんじゃね?
「和楽器を使っているプレイヤーがいてくれたならいいのになぁ」
『何故に和楽器?』
「ゲーム内でも俺の従魔達と祭り気分を味わいたいからだがなにか? 演奏してくれるプレイヤーがいたらオルト達が楽しんでくれるだろうしさ。ゆぐゆぐ達も喜んでくれるかもよ?」
『・・・・・ちょっと和楽器の練習をしてくる』
『実は俺、小学校では笛の達人の二つ名持ちのプレイヤーです』
『太鼓なら任せておけ! フルコンボのタッちゃんの俺の腕が鳴るぜ!』
『太鼓を鳴らすのに腕も鳴らすのはどうだろうか?』
『腕がバチ?』
『やめっwww』
なんだろう。滅茶苦茶不協和音にしかならない気がする・・・・・。
「そうそう。オルト達の和服、浴衣の依頼を生産職にお願いしたから近日公開するな。楽しみにしててくれ」
『お―マジか!!』
『和服美人が見られるのは眼福』
『目の保養にもなりますありがとうございます』
『できればお近づきに・・・・・』
『見守り隊が近づけさせてくれないぞ』
『握手できるなら追放も受け入れる!』
『こいつガチ勢だ!』
いま膝枕をしているところを見ているなら血の涙を流していないだろうな?
『死神さん。和楽器でバンドプレイしている者ですけど、祭り気分を味わいたいなら何とかなるかも。ただ問題が一つだけあります』
「その理由は?」
『私、リアルでは音楽を生業に活動している一人で、NWOでも演奏ができると聞いて皆とゲームを始めました。リアルすぎて現実よりも、ゲームの中で仲間と演奏の練習をする方が楽しくてつい時間も忘れてしまうほど・・・・・』
「話が長い。本題に入ってくれないか?」
『一刀両断!』
『確かに前置きが長すぎるな。要点だけ言ってくれないかって思ったところだ』
『俺達も長い話は好きじゃないんで、単刀直入におしゃってくれませんかね』
『す、すみません。えと、私達第二陣のプレイヤーでお金とレベルが足りないんです。出来れば白銀さんに協力を得られないかと』
第二陣のプレイヤーだったのか。金の方はともかくレベルか・・・・・。
「皆とゲームをしていると言ってるけど何人だ?」
『12人です』
『12人の音楽に関わっている・・・・・あれ?』
『もしかして・・・・・全員日本女性?』
『あ、はいっ』
『・・・・・ウソダロ?』
視聴者さんもどうやら察したようだな。俺もそんな感じがして来た所だよ。
「12人かレベルはどのぐらい上げておきたい方?」
『・・・・・50は無理ですか?』
『第二陣のプレイヤーが数日でそこまで求めていらっしゃるとは、凄い欲深いな』
『他の第二陣のプレイヤーも大体20前後、ガチ勢と中毒プレイヤーだったら30手前だろ? それなのに軽々と超えるレベルを望むとは』
『そこまで上げるのに俺達ですらどれだけ掛かると思ってる? しかも12人だぞ?』
『明らかに白銀さんの時間を奪っちゃってますねこれ。見守り隊が動きかねないぞ』
50か・・・・・。
「問題ない。明日の9時から4人ずつでレベル上げに協力してやる。それでいいか?」
『い、いいんですか?』
「こっちが願う側だからな。願ってくれるなら労力は惜しまないぞ」
『やだ、カッコいい・・・(胸キュン』
『やっさしぃっ!』
『アンタ、漢だぜっ!』
『そして羨ましい。白銀さんとプレイできるのは一握りだけなんだからな』
『しかもハーレム状態? いや、寄生ハーレムだから羨ましくもない・・・?』
寄生は否定できないなそりゃ。願った本人も言われるのは承知の上だろう。
「和太鼓を叩けるメンバーはいるんだっけ?」
『はい、勿論』
よし、夏祭り気分に必要な条件は揃ってるぽいな。
「今何人の仲間がログインしてる?」
『全員います。白銀さんの従魔ファンなので』
『マジか!』
『現実で有名な演奏家を虜にする従魔ってマ?』
『ちくしょう!! 話が旨すぎるじゃんかぁっ!!』
確かになー。・・・・・ん? なんか聞えて・・・・・?
「笛、オカリナ?」
『オカリナ?』
『あ、本当だ。音楽が聞こえる。しかも上手い』
『しかもこれ、ジブ○の曲だよぉっ!』
オルト達もこの綺麗な音色に気付き、俺と一緒に音がする方・・・畑の方へ歩いた。奥に行くにつれ、どこに何が植わっているのかわかると見上げた。巨大なクスノキを。視聴者も見えるように調整すれば・・・・・毛色は灰色で、耳が槍のように尖って、猫のような長いひげ、胸から腹にかけて白い体長2メートルぐらいの生物が何かを持って音を鳴らしていた。
もう一匹の胸には灰色の模様がある大きな生物と毛は青く、灰色の生物と同じで胸から腹にかけて白い。胸には灰色の生物と同じ形で青い模様がある。
最後は子狸ぐらい小さい毛は白い生物がクスノキの天辺にいた。あれ、どうやって座ってるんだ?
『ト、トト○だぁああああああああああああああっ!!!』
『マジか、マジかよっ!?』
『本当にいたんだよ~!!』
『でっかい木だなと思ったらクスノキだったのかっ!!』
『白銀さん、どこで手に入れたのか詳しくっ!!!』
トト○? あの三匹の呼称か? 手を振ってみたらこっちに気付き演奏を止めてクスノキから落ちて来た。ズンッ! ではなく、落ちる途中で大きな駒を回して足場代わりに乗ってゆっくりと降りて来る。小と中の生物も大きな生物の腹にしがみ付いて一緒にだ。
「えっと、名前は?」
と訊くと「ドゥオ、ドゥオ、ヴォロー」という野太い声を上げ、返事してくれた。うん、聞こえなくはないな。
「ヴォ」
「ん? 葉の包み?」
どこに持っていたのか分からないものを受け取り、オルトに開けてもらうと中身は木の実がたくさん詰まっていた。
「くれるのか?」
「ヴォー」
「そうか。ありがとう。あー、名前はトトロって呼んでも?」
視聴者がそう騒いでいるもんだからリクエストではないが尋ねると笑顔で頷いてくれた。トトロは自分の腹にポンポンと触り出す。
「触っていいのか?」
「ヴォ」
「ん、違う? ・・・ああ、そういうこと?」
小と中のトトロがこうするんだと行動で教えてくれた。大きなトトロの腹にしがみ付いたので俺もそうすると、腕だけではしがみつけないと思うのにくっついた瞬間に俺が磁石のようになった錯覚を覚え、大トトロの身体から離れなくなった。物凄いフカフカで温かくて、モコモコで・・・・・。
「ヤバい、この腹の上で寝たくなる」
『いいなぁあああああああああああっ!!』
『クッソ裏山!!』
『白銀さん、俺の財産を上げるから交ぜさせて!』
『子供の頃の童心が甦るぅ!!』
視聴者も羨ましがるほどの生物か。と言うかこいつはマスコットなのか? 枠の方はどうなってる? まぁ、それは後で確認するとして・・・・・回し始めた駒の上に乗っかったトトロ―――あ、待って?
「オルト!」
「ム!」
もう一人ぐらいしがみ付ける腹にオルトも一緒にくっつかせてもらった。よし、夜のホームエリアの空へと飛ぶ体感を楽しもう。トトロを乗せた駒は空高く浮きだして自由に飛び始める。ホームから飛び出し、ホームエリアの上を飛んで俺達は風になってる。
「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
トトロが叫んだ。小と中のトトロも叫ぶ。
「ムー!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
釣られて俺とオルトも叫んだ! ヤバい、なんか楽しくなってきた!
「【飛翔】!」
オルトと一緒にトトロから離れ、トトロの手を掴んで横並びに楽しく飛ぶ。あ、小と中のトトロもお互い手を掴んで大トトロの手を繋いで俺達と同じことした。
「ははは! オルトー! 俺達風になってるなー!」
「ムゥー!」
【新発見】NWO内で新たに発見されたことについて語るスレPART39【続々発見中】
・小さな発見でも構わない
・嘘はつかない
・嘘だと決めつけない
・証拠のスクショは出来るだけ付けてね
1:メタルスライム
とうとう見つけてしまったか白銀さん。
2:佐々木痔郎
すげー! ト○ロだ! ○トロが出たぁっー!
3:ヨイヤミ
小と中の生物も確認できた。
4:トイレット
「ヴォオオオオオオオオオオオオッ!!!」って叫び声が生で聞えた時は凄く感動した!! 白銀さんとノームの声も聞こえたけどとても楽しそうだった!!
5:アカツキ
う、羨ましい・・・・・っ。
6:ふみかぜ
サスシロ安定!
7:ロイーゼ
なぁ、あれってマスコットだったりするのかな。それともモンスだったりする?
8:ヨイヤミ
マスコットの線が強い。しかし、実際のところはまだ判明されていない。
9:トイレット
モンスターはないんじゃないかな。皆も知っているならトト○の設定は動物だし。
10:メタルスライム
クスノキから現れたとすれば、購入したクスノキのホームオブジェクトを設置すれば夜間のみ姿を見せてくれるだろうな。
11:ふみかぜ
どこでそのクスノキのホームオブジェクトを手に入れたのか詳しく知りたい!
12:佐々木痔郎
早速メールを送ってやったぜ!
13:ロイーゼ
手が早いな白銀さん追いかけさんは。結果はどうだ?
14:佐々木痔郎
・・・・・みんな驚け。まずクスノキのホームオブジェクトはメダルと交換しなくてはならないものだったらしい。マスコットかどうかは本人もまだ判らないようだ。
15:アカツキ
えええ~・・・・・無理、20枚しか集めれずパーティーの皆と相談し合って分け合ったから手元に10枚もないんだけど。
16:メタルスライム
待て、まだそう決めつけるのは早い。思い出せ白銀さんはメダルをどれだけルーレットで稼いだのかを。
17:ロイーゼ
ハッ・・・・・まさか、まさかなのか・・・・・?
18:ヨイヤミ
ありえるか? 光と闇の結晶を自腹で買って他のプレイヤーに無償で提供してくれたが今回も?
18:佐々木痔郎
―――白銀さん、クスノキのホームオブジェクトを六千万個も購入したそうだ。この意味、どういうことかわかるよな?
19:ふみかぜ
ろ、六千万個ォッ!? 新規参入したプレイヤーも手に入れるように確保したってのかあの人は!!
20:佐々木痔郎
その通りだ。確実に俺達も欲しがっているだろうと見越して、あの人は後日クスノキのホームオブジェクトを販売するから待ってろとメールに返事をくれた。
21:アカツキ
最高過ぎるだろう白銀さぁああああん!! 俺、白銀さんがギルドを立てたら真っ先に入りに行くよ! 恩返しをしたい!!
22:ヨイヤミ
俺もそれを狙っている。白銀さん、ギルドを設立してくれないか?
23:メタルスライム
するかどうかはわからないが。白銀さんは今、夏祭りの気分を味わいたいからと音楽系の第二陣のプレイヤーと協力しているからな。
24:トイレット
本当に本人達? ファンなんだよ。
25:ふみかぜ
音楽系の職業ってバフとデバフが主な攻撃手段しかない非戦闘職業だったよな?
26:ヨイヤミ
間違いない。しかも演奏中は動けず、演奏を続けなければバフとデバフの効果が発動しない設定になっている。俺も試した瞬間に直ぐ放棄した。
27:ロイーゼ
さては難しすぎるから演奏すらできなかったんだろ?
28:ヨイヤミ
・・・・・黙秘権を使う。
29:アカツキ
それはもう自分で認めてしまっているようなもんだぞ。
30:佐々木痔郎
センスと才能がないと扱えない道具だもんなアレ。とにかく、従魔と夏祭りの気分を味わいたいからとレベル上げに協力する白銀さんだ。絶対またやらかすに決まっている。
31:メタルスライム
同感だな。それじゃ、俺は抜けさせてもらう。仲間とダンジョンを探しに行くから。
32:ヨイヤミ
未知のダンジョンか? もしや、白銀さんと関わっていたりしてるな?
33:メタルスライム
・・・・・黙秘権を使う。
34:アカツキ
メタルスライムを捕えろ! こいつ、絶対白銀さんと関わって発覚した何かを隠しているぞ!
35:トイレット
待てぇー! メタルスライム! 俺達にも噛ませろー!
36:佐々木痔郎
白銀さんのように一緒に楽しもうじゃないかメタスラさんよ!
37:ふみかぜ
メタスラさん待ってよ! 俺達オ・ト・モ・ダ・チだろ?
38:ロイーゼ
どこだ! どこにいるのか正直に言うんだ!
39:メタルスライム
少なくとも始まりの町にはいない。
40:ヨイヤミ
・・・・・白銀さんと鍛冶師のNPCと一時だけ共に行動していたな? となれば鍛冶師関連で関わっているとすれば・・・・・ドワルティアの可能性が高いな。
41:佐々木痔郎
なんだと? じゃあ全員でそこに行ってみるか! まだいるなら直ぐに発見できる!
42:アカツキ
金属で逃げ足が速いスライム狩りじゃぁー!