転生したら自己中キャベツ刑事の親族だった!   作:レタス野郎

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ほとんど初心者なのでつたないところもあるかもしれないですが、どうか許してください脱字や誤字があったら遠慮なく報告してください!



転生してもダメダメすぎる

おそらく、俺は転生という物をしたらしい。

おそらくというのは、自分の死因や死ぬ前の出来事を思い出すことができないからだ。思い出そうとすると、まるで脳内をナニカに塗り潰されていくような未知の感覚を持ってしまうので、無理だ。思い出せることと言えば、一人っ子で趣味はアニメとゲーム、学生時代は友達と家に集まりゲームをして遊び、社会人になってからも月に溜まった給料で1本のゲームを買い、家に帰ってからゆっくり遊んでいた。というなんとも普通過ぎる記憶であった。しかし、その程度の記憶は残っているものの、家族や自分の名前、友達は何人いたのか、恋人はいたのか。そんな事が思い出せない。全く、クソみたいな記憶力だよって呆れもした。転生したという自覚を持ったのが、10歳の頃で肉体に精神を引っ張られていたのか、何とか思い出そうと毎日のように悩んでいたが、時が経つにつれその執念も冷めていき、今ではあまり気にしないことにしている。

そして、俺が転生したのは前世でよく遊んだゲームである『ペルソナ』の世界であった。加えて、如何いう訳かは分からないが俺のはとこは、『世の中クソだな!』で、お馴染みの自己中キャベツ刑事(デカ)の足立透であった。

 

一言だけ叫びたい……転生したのにクソだな!!

 

まぁ親族としての透さんは正直に言えば、割といい人だった。

ペルソナの記憶がなければ、本当に殺人犯になるなんて思いもしなかっただろう。そんな風に感じるほどに俺にとっては、透さんはいい兄貴でもあった。

転生してからもペルソナ4での事件の詳細を朧気に憶えていた俺は、何かにつけて透さんの犯行を辞めさせたいと勝手な正義感で、小学生ながらあの手この手で頑張ってみたが、結果は散々だった。その結果、透さんは原作通り、シスコン番長に敗れ、殺人事件の真犯人として逮捕された。親族から犯罪者が出てしまったことで、ウチの家庭も周りから色々言われる羽目になってしまった。

父は何処で嗅ぎつけられたのか、バレたのか、透さんの事件のことが広まり会社を辞めざる終えなくなった。また、学校で俺も色々言われたり、サレたりもしたが、所詮はクソガキどものチープな嫌がらせとして鼻で嗤ってやった。こんなものよりも父や母の方がもっと苦しい思いをしていると思えば、余計に耐えることができた。

そして、両親の人柄の良さが功を記す形で心のある色々な人の助けを少し借りて、引っ越し先で父と母は再就職先を見つけることができた。これはマジでよかったと思う。後、透さんは透さんの両親から勘当されているが、俺はコッソリ偽名で透さんに手紙を出したりしている。普通に透さんには、気づかれているので返信の文章にはもう少しマシな感じて書いてみろ下手くそって言う感じで書かれていた。相変わらずで何よりであった。俺自身が堂島さんほどではないがあの人とは、割と仲が良かったと勝手に思っている。夏休みを利用して、遊びに行き、メンドクサイと言いながらも泊めてくれたし、酒が回っている所為なのか割と色々な愚痴を俺の前で吐き出してくれたりもした。まぁ、酔っ払いの世話をするのは結構疲れるが、今でも俺はあの人のことを大っ嫌いにはなれなかった。

 

色々あったが、そんなこんなで今は16歳というピチピチの高校生となった。

先程言った通りあまり記憶も蘇っておらず、学力や運動能力で周りとは、ほんの少し差がつくが、わりと平凡に高校生活を送っている。

だが、ここで新たな大きな問題を抱えることになった。

この世界が恐らく「ペルソナ4とペルソナ5が連結している」という事だ。

 

ペルソナ4は、分かりやすく言えば1人の愉快犯から始まった殺人事件を高校生達がテレビの中へ入り、ペルソナという己の醜い部分を曝け出した自分を受け入れる形で持つ不思議な力で、事件を解決していくというもの。

対するペルソナ5とは、世の中の理不尽に悩まされる高校生の主人公とその仲間が、ペルソナという理不尽な現実に叛逆する意志の力に目覚め、「怪盗団」として心の世界に入り込み、悪い大人達を改心させて行く。

ざっくり言えばそんなゲームである。

ペルソナ4とペルソナ5が連結しているということに気づいたのは、中学時代に親と担任教師から勧められた高校が「秀尽学園高校」だった時だ。

高校の名前にしては、あまりにもインパクトのある名前だったためなのか、今の自分の記憶にも残っていた。また、この秀尽学園高校通称「秀尽」とは主人公達が通う学校であり、ペルソナ5においても様々な事件に関わる場所である。そんな場所に通うことに対して、事件に巻き込まれたくないという思いが強く、最初は別の高校にしたい、と希望した。

当然だ。自分は何もできないということを嫌というほど味わったのだから。しかし、家から近いことや、親と学校の勧めを断れるほどの理由が全く思いつかず、結局秀尽に通うことになってしまった。

とはいえ、大人しくしていれば主人公達と関わることもなく、別に問題ないと、割と楽観的に考えてもいた。だが、同時にこの学園で犠牲になる者達のことを分かっていたものの、何もできないことを言い訳に逃げている俺は、クソだなと思ってしまった。

そして、そのまま入学し入学式を終え、クラス内での簡単な自己紹介も終わり、今日は簡単な説明を受けて帰ろうとした時に、ある人物に声をかけられた。

 

そうそれは坂本竜司だった。

如何やら、竜司は先生の話を俺の後ろの席で寝ていたため消えておらず、教えてほしいとのことだった。メンドクサイと思ったが、それくらいならいいかと思い、メモしていたことを教えて終わりだと思った。

しかし、その考えは甘かった。

まるで誰かさんが羨望と嫉妬を抱かれていた番長さんのように、竜司は俺に関わり続けてきた。訳を聞いても、『友達になるのに理由はいらねぇ』とのことだった。それを聞いた時、思わず腹を抱えて笑ってしまった。そうだ、そうだった彼はそう人物だったのだ。損や得、理屈など関係なく、彼はそうやって動く人なんだ。だからこそ、俺はこいつといても全く悪い気もせず、楽しいんだと改めて気付かされた。透さんの件から色々と拗らせてもいた俺からすれば、ソレは本当に眩しいものだった。それでも俺は、彼の友達になってしまったんだと分からされてしまった。ったく、この頃から怪盗の才能を発揮するなよと密かに思ったのは余談だ。

 

そんなある日。

放課後、今日はバイトも無いし、竜司の様子でも見に行くかと陸上部のグラウンドまで歩いて行った。すると、グラウンドの方から竜司の怒鳴り声が聞こえてきた。驚いて、急いでグラウンドへ走るとソコには、

 

「てめぇ…もういっぺん言ってみろ!」

 

竜司が物凄い形相で、教師鴨志田を睨んでいた。

この鴨志田はペルソナ5における、最初の事件の犯人。バレー部に体罰を行い、女子生徒に手を出し、坂本を陸上部から退部にしたクソ教師。暴力事件として大袈裟に広め、竜司の居場所と足を潰した男でもある。竜司はよく、鴨志田の愚痴をこぼしていたので、よく憶えている。

 

ーーやめておけば?

 

何故かはわからないがあの人の声が聴こえてきた。

おそらく、このままだと竜司は鴨志田を殴るだろう。そうなれば彼は退部になり、足を潰され、学校からの居場所も失う。だが、それで終わるわけではない。竜司は、2年生のある日に主人公と出会い、結果的に鴨志田の事件を解決して、怪盗団として新しい仲間と人生を歩み、もう一度陸上をやる為に歩き出す。

 

ーーここでキミが行ってもボクの時と同じで無駄だよ?

 

ーーそれにキミが行ったらキミの居場所もまた無くなる

 

そうだ。止めれば俺の居場所が無くなる上に、また両親に迷惑をかけてしまう。鴨志田はゲーム内でも、前科持ちとして主人公の悪い噂を転校そうそう広めた。奴は自分に歯向かう可能性があるやつを、徹底的に潰すのだろう。歯向かえば、俺も潰される。

 

ーーだから、今動かないのはしょうがない事だよ?

 

……確かにそう…だが……。

 

ーー黙って見ないフリをする簡単なことだろ?

 

……友達を見捨ててもいいのか?

 

ーー実際にキミは見捨てられただろ…周りの誰もがやっていることだ

 

……それでも…俺は……ッ!

 

頭の中で思考がぐるぐると回る。考えている間にも聴こえてくる内容からして、鴨志田は竜司の母親のことを罵り、さらに竜司の怒りを強くしていく。

 

止めるな!見捨てろ!巻き込まれるな!!

 

色々な考えが頭に渦巻いていく。ここで竜司を見捨てれば、友達としての関係も終わる。

 

「てめぇ!!」

 

坂本が鴨志田に向けて走り出し、ニヤけた顔の鴨志田に向けて拳を振り抜こうとしている。

 

 

 

だが、竜司の拳が振り抜かれる前に、俺が鴨志田の頬を殴った。

 

 

「はぁ?」

 

呆気に取られたように鴨志田が口を開く。

 

「お前…なんでなんだよ、英治!?」

 

絞り出すように、我に返った竜司が声を出した。当然だろうな。突然、友達が割り込んでムカつく相手を殴ったんだからな。それも横取りする形で。

あ〜あ、やっちまったな。

ったく、ホント俺にこんな選択をさせるとか、この世界もクソだな!

これで、俺の学校生活は終わるかもしれないな。

マジでヤベェーわ。

でも、それほど後悔はしていない。

やりきった顔でワザとらしいニヤつき顔で鴨志田に笑ってやると、顔がみるみるうちに赤くなり、こちらを睨みつける。

 

ーーまったく、キミも気持ち悪いくらい馬鹿だね

 

「貴様ァ!!!」

「うるせぇ、バーカ」

 

あの人に向けて言ったのだが、どうやらこのアゴ教師は、自分が言われたと思ったのか、怒鳴り声を上げ、俺のみぞおちを殴ってきた。

ハハ、お前になんて言う価値もねぇよ、クソめ。

でも、咄嗟に防御をしてみたけどキツイなコレは。なんとか、踏ん張ることが出来たが、その後から何発も殴られた所為で、とうとう耐えきれず、ぐぇっ、と潰れた声を上げながら、その場に倒れてしまった。情けねぇ。

 

「あと少しという所で!このクソガキが!!」

「ぐっ…へ、よく言うぜ…ぇ…クソエロゴリラが」

 

「貴様ぁ!!!!」

 

更に怒りを爆発させたことで、さらに鴨志田は声を荒らげ、俺を強く踏みつけ続ける。ったく、流石運動部顧問というべきか、蹴りがいちいち重いんだよ。エロゴリラが。踏まれた所が青くなっていくじゃねぇーか。

 

殺す気マンマンと言わんばかりのあまりの迫力に、近くにいた陸上部員達の顔は真っ青になっている。そーそー、お前らはそのまま何もすんなよ。

あ゛ぁぁマジで痛いわ、コレは。今の人生の中で味わったことの無い苦痛だわ。って、1度目の人生では死んだわけだから、これ以上の苦痛を味わっているのだろうけど自覚ねぇーから、ノーカンだな。朦朧とする意識と鋭い痛みの中、現実逃避による訳の分からない思考を続けていると、

 

「やめろぉ!!」

 

竜司の叫び声の中、俺こと近藤(こんどう) 英治(えいじ)は意識を遠のいて行く。

 

 

ーーやれやれ、損得の選択もできないなんて、キミもまだまだクソガキだね。

 

ふっ、あんなクソゴリラよりはマシだろうが。

 

ーーさて、どうかな。キミが思っているよりも世の中クソだから精々足掻いたら、ボクの時みたいに。

 

うるせぇ、バーカ。

はぁ、ホント世の中ってクソだなぁ、オイ!

 

この最後の幻聴のやり取りを終えた後、俺は意識を完全に手放してしまった。

 

 




鴨志田のカモシダにメギドラオンをぶち込みたいでございまーす!
次回もお楽しみに!

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