「さーて、今日も積みゲの消化といきますか」
学校から帰ったらすぐに、いつものようにパソコンのスイッチをオン。さーて、今日は何のゲームからやるかな。あっ、その前に着替えて楽になろっと。
いつものよーにタンクトップと短パンにして……ん、これでいっか。まだ起動まで時間がかかるし、麦茶とおせんべでも持ってこようかね。
「たっだいまー」
お盆によく冷えた麦茶とおせんべを乗っけて、部屋へ帰還。モニタを見てみれば、もう立ち上がってるみたいやね。さてさて、これであとはゲームに集中集中……って、あれ? なんかデスクトップのアイコンが減ってる?!
「ちょ、おま、えっ、えーっ?!」
私は何もしてないのに、今朝はもっといっぱいあったのに! ……まさか、お父さんがいじったとかじゃないよね。
「ちょっと、おとー――」
私はドアを開けて、お父さんに抗議の声を――
「んぎゃぁぁぁぁ!! 俺のエロゲ全部消えてるぅぅぅ!!」
うおーい! お父さんのってばもっと酷いじゃん!!
まさか、新手のウイルス? いやいや、ここ最近アブナイとこにはつっこんでないし、そーゆーのを立ち上げるなんてもっての他だし、じゃあ一体何が……って、また少なくなってる?
「ま、まさかソフトが全部勝手にアンインストール? そ、それはさすがに勘弁願いたいところなんだけど……」
って、今なんか画面の中で動いたような?
画面をじーっと見てると、右のほうからちっこいキャラが出てきて、アイコンをかついで、あっ、ゴミ箱にぽいっと投げた。
そのちびキャラは左側に消えていって……なんか、私にそっくりだったよーな。いや、アホ毛が無かったってことは……まっ、まさか?!
とか思ってたら、いきなりメモ帳が開いて、
『えっちなのはいけないとおもいます』
「ちょ、お、おっ……おかーさーーーーん?!」
――――――――――――――――――――――――――
私が小さい頃に死んだはずの、お母さん。
写真の中でしか見たことなくて、今は空の上で私たちを見てくれてるはずのお母さん。
『まったく、親娘そろって』
そんなお母さんが私のパソコンにちんまりと居着いてるなんて、誰が想像するよ……
勉強するふりをしながら画面をチラチラと見ていると、相変わらずちっちゃいお母さんはそーゆーゲームのアイコンをせっせと捨てている。まだプレイ中のもあるってゆーのに……
どうにかしたいけど、画面に近づけば画面の端に隠れちゃうし、ごみ箱から取り出してもまたすぐに放り込まれちゃうからなー。
誰かのイタズラっていう考えは、時々起動されるメモ帳に『そう君のばかー!』『こなたまでこんなにしちゃうなんて』って出てくることで吹っ飛んだ。そうなると、辿り着く結論といえば……一〇〇%現実にはありえないけど……お母さんが取り憑いたってこと?
『この際だから、徹底的にやりましょ』
しかし、部屋のエロ本を掃討される男子高校生の気持ちをわからされるとは……って、なんかホントにいっぱいアイコン抱えてるし?!
「ちょ、ちょっと待ったー!」
私は急いでパソコンに飛びつくと、マウスのポインタをアイコンに合わせてドラッグした。
『きゃっ!』
ドラッグしたアイコンはその場所で止まったまま、お母さんは盛大に他のアイコンをぶちまけて転んだ。ってことは、もしかして……
イタズラ心がムラムラと湧き出てきた私は、マウスのポインタをちっちゃいお母さんに合わせて、
「ていっ」
ポチッとクリック。
『きゃっ』
おおーっ、想像通りの反応。ほっぺたぷにぷにしてたら慌てるし、ドラッグすればジタバタするし。
「だめだよおかーさん、娘の秘密勝手に捨てちゃー」
『きゃっ! や、やめてー!』
クリックし続けているうちに、お母さんは画面の中をぐるぐると逃げ始めた。わはは、こやつめ。さっきまでの仕返しだーっ!
とかやってるうちに、お母さんは涙目でこっちを睨みつけると何かのプログラムを起動し始めた。えっと、これは……『ディスクの管理』? と、ポインタが勝手に動いて、Dドライブのところに行って……うぉーーーーーいっ! 『フォーマット』?!
「ごめんなさいっ! もうしないっ! もうしませんからっ!」
私が一生懸命謝り倒すと、お母さんは体をぱんぱんと払って、私と同じナイ胸を張って見せた。
『えっへん』
え、えっへんじゃないって、おかーさん……